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  • 東京へようこそ/青池保子展(弥生美術館)

    〇弥生美術館漫画家生活60周年記念『青池保子展Contrail航跡のかがやき』(2025年2月1日~6月1日)1963年、15歳でデビューした青池保子(1948-)の漫画家生活60周年を記念する展覧会。緻密なカラー原画とモノクロ原稿、約300点(前後期の合計点数)を展示する。2023年の秋、神戸市立小磯記念美術館で参観した展覧会だが、東京で開催されるのが嬉しくて、また見てきた。私が少女マンガを熱心に読んでいたのは70年代から80年代前半で、青池先生の作品でいうと「イブの息子たち」「エロイカより愛をこめて」の時代。ただし私は集英社&白泉社びいきだったので、青池先生が執筆していた講談社・秋田書店の雑誌には縁がなかった。けれども、上述の2作品は、マンガ好きの友人の手から手へまわってきたように記憶している。あと「...東京へようこそ/青池保子展(弥生美術館)

  • おまけに蔦屋重三郎墓碑拓本/豊原国周(太田記念)+歌舞伎を描く(静嘉堂)

    ■太田記念美術館生誕190年記念『豊原国周』(2025年2月1日~3月26日)終わった展覧会だが書いておく。2025年が豊原国周(とよはらくにちか、1835-1900)の生誕190年となることを記念した回顧展。国周は幕末から明治にかけて役者絵の第一人者として君臨し、月岡芳年や小林清親らと並ぶ人気絵師として活躍した。芳年や清親に比べて紹介される機会の少なかった知られざる巨匠・国周の画業を約210点の作品で紹介する。正直、私は名前を聞いてもピンと来なかったが、作品を見ていくと、ああこの絵柄の人か、と分かるものも多かった。やっぱり魅力的なのは役者絵である。細い眉、切れ長の釣り目に小さすぎる瞳、高い鷲鼻、唇の薄いへの字口。こう並べると、国周以外の役者絵にもだいたい当てはまってしまうのだが、最も特徴的なのは極端な三...おまけに蔦屋重三郎墓碑拓本/豊原国周(太田記念)+歌舞伎を描く(静嘉堂)

  • 2025桜咲く

    昨日、3月26日(火)の朝、ようやく窓の外の桜の木に白い花が認識できるようになった。そして、昨日は1日初夏のように暖かかったので、今日27日(水)の桜はこんな感じ。窓の外の遊歩道は、大横川の護岸工事のため、昨年夏頃からずっと通行止めだったが、サクラの季節だけは通行止めが解除されたので、久しぶりに人の姿がある。今日は在宅勤務だったので、私も昼時に桜の下を歩いてきた。ひとつ残念なのは、遊歩道の入口(茶色いビルの前)にソメイヨシノとは別種の、緑の葉に白い花を咲かせる桜の樹があって、薄ピンクのソメイヨシノと競い合うような美しさが好きだったのだが、護岸工事が始まったと思ったら、いつの間にか跡形もなく撤去されてしまった。かなりの大木だったのに。もう戻ってはこないのだろうな。「年々歳々花相似たり」というけれど、今年の花...2025桜咲く

  • 権利と責任の主体/消費者と日本経済の歴史(満薗勇)

    〇満薗勇『消費者と日本経済の歴史:高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中公新書)中央公論新社2024.8本書は戦後日本の社会と経済の変化を消費者の姿から読み解いていく。「消費者」という言葉が学問の議論を超えて使われ始めるのは1920年代、さらに一般化するのは1960年代以降だという。1946年に創立された経済同友会は少壮の進歩的な経済人から成る団体で(占領政策で大企業経営者が追放された影響)、修正資本主義の構想を持ち、消費者に強い関心を寄せた。大塚萬丈は「そもそも社会構成員は一人残らず消費者である。従って社会における最も普遍的・包括的の利益は消費者の利益である」と述べ、資本家中心の資本主義と労働者中心の社会主義の双方を批判し、消費者の利益を実現する主体=専門経営者の正統性を主張した。この発想は生産向...権利と責任の主体/消費者と日本経済の歴史(満薗勇)

  • 2025桜を待つ

    今年の2月~3月は旅行と出張続きで、梅も桃も、おかめ桜も河津桜も見逃してしまった。そして、ソメイヨシノは例年より遅いような気がする。我が家の窓の下の大横川では、お江戸深川さくらまつりの遊覧船の運航が始まったが、まだ全く花は咲いていない。それでも昨日から少し暖かくなったので、清澄庭園を覗いてきた。ちょうど見頃だったのは、梅に似ているが、アンズの花とのこと。5~6月には実が成るらしいので、また見に行こう。早咲きの寒緋桜(カンヒザクラ)はもう散り始めだった。かなり気温が上がっていたので、大泉水を渡ってくる風が、笹や竹の葉をそよがせるのが気持ちよかった。我が家の前のソメイヨシノ、夕方に見たら、糠星のように小さな花が、わずかに1つ2つ開いていた。2025桜を待つ

  • 出会い、包み込まれるまで/アメリカ・イン・ジャパン(吉見俊哉)

    〇吉見俊哉『アメリカ・イン・ジャパン:ハーバード講義録』(岩波新書)岩波書店2025.1本書は、著者がハーバード大学の客員教授として2018年春学期に行った講義「日本の中のアメリカ」を活字化したものである。ちなみに2018年は最初のトランプ政権の2年目だった。全般的には、日本という小国が、海の向こうの大国に出会い、包み込まれてしまう歴史だが、そこに抗った人々の存在が印象的である。講義は、日本がアメリカに出会う「ぺリー来航」の前史から始まる。18世紀半ば、対仏戦争に勝利したアメリカでは「西漸運動」と呼ばれる西への不可逆的拡張が始まる。西谷修は「アメリカ」とは「ヨーロッパ国際秩序」の外部の「無主の地」にもたらされた、〈自由〉の制度空間の名前であると論じているという。そして大陸西岸に行き着いた西漸運動は、さらに...出会い、包み込まれるまで/アメリカ・イン・ジャパン(吉見俊哉)

  • 五大明王と襖絵の寺/大覚寺(東京国立博物館)

    〇東京国立博物館開創1150年記念特別展『旧嵯峨御所大覚寺-百花繚乱御所ゆかりの絵画-」(2025年1月21日~3月16日)平安時代初期、嵯峨天皇は嵯峨に離宮・嵯峨院を造営し、空海の勧めで持仏堂に五大明王像(現存せず)を安置した。貞観18年(876)、皇女・正子内親王の願いにより寺に改められ、開創されたのが大覚寺である。来たる2026年に開創1150年を迎えるのに先立ち、優れた寺宝の数々を一挙に紹介する。昨年3月の今頃、関西の桜を見に行ったついでに、久しぶりに大覚寺を訪ねてみたら、大変魅力的な仏像(平安時代の五大明王像)があったりして、この展覧会を楽しみにしていたのだが、結局、最終日の駆け込み鑑賞になってしまった。しかし、見逃さなくてよかった。展示室の冒頭には、嵯峨天皇像(江戸時代、画幅)と弘法大師像(鎌...五大明王と襖絵の寺/大覚寺(東京国立博物館)

  • 2025年3月関西:大阪市立美術館、大和文華館

    ■大阪市立美術館リニューアルオープン記念特別展『What’sNew!大阪市立美術館名品珍品大公開!!』(2025年3月1日~3月30日)2022年春の『華風到来』展から、2年半に及ぶ休館期間を経て、リニューアルオープンを記念する特別展。施設の印象は既に書いたので、本稿は展覧会そのものについて書く。会場は1階に2つ、2階に2つ。各会場がさらに複数の展示室の連なりになっており、考古から近代絵画まで、幅広い分野の作品約250件を一堂に展観する。ボリュームとクオリティは、国立博物館の常設展示並みかそれ以上だと思う。第1会場は近世の風俗画から。田万コレクションの『洛中洛外図屏風』(江戸時代17世紀)、こんなのも持っていたんだっけと驚く。そのほかにも『寛文美人図』『舞妓図』『扇屋軒先図屏風』など。江戸初期の風俗図が好...2025年3月関西:大阪市立美術館、大和文華館

  • 2025年3月大阪市立美術館リニューアル

    水曜の午後から金曜まで広島出張の仕事が入っていたので、私費で1泊付け足して、大阪と奈良でちょっとだけのんびりしてきた。大阪のお目当ては、大阪市立美術館のリニューアルオープン展。展示の参観レポートは別に書くとして、まずは施設情報から。外観は基本的に変わっていないが、大階段の横に新しい入口ができた。最近のリニューアルにはよくある改修スタイル。エスカレータで展示室階に行けるのは、足の弱い高齢者にはありがたいだろう。エントランスホールに入って天井を見上げると…何もない!「展示室1はこちらで~す」と案内をしていた女性に、思わず「シャンデリア、無くなっちゃったんですね!」と話しかけてしまった(※シャンデリア→これです)案内スタッフの方は、「そうなんですよ、でもこの白い天井が本来の色なんだそうです」と教えてくれた。『美...2025年3月大阪市立美術館リニューアル

  • アイスショー”notte stellata 2025”2日目リハ見学、千秋楽ライビュ

    〇羽生結弦nottestellata2025リハーサル見学(3月8日、14:10~);ライブビューイング(3月9日、16:00~、TOHOシネマズ日比谷)アイスショー”nottestellata2025"の話を続ける。2日目は、初体験の「リハーサル見学」に出かけ、早めのシャトルバスで会場に行って、物販や飲食ブースをまわって楽しんだ。予定どおり13:30開場で中に入ると、シェイリーン、理華ちゃん、知子ちゃんがリンク上にいた。そこでアナウンスがあって、見学時間は14:10から1時間くらいと聞いていたのだが、14:10~14:55ジェイソン、無良くん、刑事くん、15:10~16:00明子ちゃん、ハビ、羽生くんに変更になったと知る。予定より長く見学できるのは願ってもない幸せだった。無良くん、刑事くんが登場すると、...アイスショー”nottestellata2025”2日目リハ見学、千秋楽ライビュ

  • アイスショー”notte stellata 2025”初日公演

    〇羽生結弦nottestellata2025(2025年3月7日、16:00~)今年も羽生くんが座長をつとめるアイスショーnottestellataを見て来た。今年のスペシャルゲストは野村萬斎さんと聞いて、絶対チケットを取るぞと意気込んだのだが、結局、倍率の低い金曜しか取れなかった。しかしなんとか有休を活用して見に行くことができた。そして事前情報の少ない初日の特権で、衝撃に次ぐ衝撃を味わうことができた。出演スケーターは、ハビエル・フェルナンデス、ジェイソン・ブラウン、シェイリーン・ボーン・トゥロック、宮原知子、鈴木明子、田中刑事、無良崇人、本郷理華、フラフープのビオレッタ・アファナシバで、昨年と変わらず。座長の羽生くんにとって、最も信頼できる仲間たちなのだろう。ハビとジェイソン、それにフラフープのビオレッ...アイスショー”nottestellata2025”初日公演

  • 2025年3月仙台食べたもの

    去年に続いて今年も、アイスショー「羽生結弦nottestellata2025」を見て来た。野村萬斎×羽生結弦のコラボは、凄いことになるに違いないという期待があったけれど、初日、何も情報のない状態で見た公演は、期待を軽々と超えて、歴史的瞬間に立ち会ったとしか言いようのない衝撃だった。公演の中身について書く前に周辺情報から。金曜の初日は、晴れていたけれど、風が冷たくて、屋外で開演を待つのがつらかった。暖かいものが食べたくて選んだのは、阿部蒲鉾店のひょうたん揚げ。アメリカンドッグの中身がカマボコになった感じで、ケチャップをつけて食べる。しかし、のんびりしていると揚げたてもすぐに冷めてしまう寒さ。金曜は仙台に1泊。今日、土曜日はリハーサル見学のチケットが取れていたので再び利府へ。その前に、朝9時から開いているとい...2025年3月仙台食べたもの

  • 地域史の証言/慶珊寺と富岡八幡宮の名宝(金沢文庫)

    〇神奈川県立金沢文庫特別展『慶珊寺と富岡八幡宮の名宝-『大般若経』が語る中世東国史-』(2025年2月7日~3月23日)横浜市金沢区に位置する富岡八幡宮と、その別当寺であった慶珊寺(けいさんじ)に関する特別展。東京下町の住人としては、富岡八幡宮と聞けば深川の八幡様しか思い浮かばないので、横浜にも同じ名前の八幡宮があることを初めて知った。慶珊寺は真言宗御室派で、寛永元年(1624)に領主の豊島明重(としまあきしげ)が両親の菩提を弔うために建立した寺だという。本展の見どころのひとつは慶珊寺が所蔵する多数の仏像。十一面観音半跏像(鎌倉時代、院誉作)は、いわゆる遊戯坐の像容で、たっぷりと襞を寄せた衣の裾から曲げた右足の足先を見せる。右手は体の横の座面に突き、左手は膝の上に置く。大きな耳たぶと耳の穴が目立つ。優雅だ...地域史の証言/慶珊寺と富岡八幡宮の名宝(金沢文庫)

  • 樹木の精霊たち/魂を込めた円空仏(三井記念美術館)

    〇三井記念美術館特別展『魂を込めた円空仏-飛騨・千光寺を中心にして-』(2025年2月1日~3月30日)江戸時代前期に日本各地を修行し、木肌とノミ痕を活かした現代彫刻にも通ずる独特の神仏像を残した円空(1632-1695)は、晩年を飛騨で過ごし、千光寺をはじめ近隣地区で多くの像を制作した。飛騨の寺社から集まった、魂を込めた円空仏71件(100躯くらい?)を展示する。私は、円空にはそれほど熱い関心はないので、せっかく東京に来たのだから見ておくか、くらいの気持ちで見に行った。それが会場に一歩足を踏み入れて、見渡す限りの円空仏に囲まれると、やっぱり空気が違っていて、深い森の中に迷い込んだような、不思議な気持ちになる。冒頭の展示ケースには、小さな地蔵菩薩立像。おにぎりみたいは宝珠を胸の前に捧げ持つ。横から裏にまわ...樹木の精霊たち/魂を込めた円空仏(三井記念美術館)

  • 今年も陶芸と刀/中国の陶芸展(五島美術館)

    〇五島美術館館蔵『中国の陶芸展』(2025年2月22日~3月30日)漢時代から明・清時代にわたる館蔵の中国陶磁器コレクション約60点を展観する。同館は、この数年、春先は『中国の陶芸展』というスケジュールが定着しているようだ。私は昨年は見逃したが、一昨年は見ている。特に新しい作品は加わっていないが、名品が何度見ても新鮮なので問題ない。午前中で、まだお客が少なかったせいか、展示室が広々して気持ちよかった。展示ケースの床には黒いビロードのような布を敷き、白い四角形のベース上に展示品を置く。壁にはバナーや説明パネルの掲示が一切ない。展示室全体が黒と白のシンプルなしつらえなので、展示品の色がとても映える気がした。冒頭の『瓦胎黒漆量』(戦国時代)の艶やかな黒茶色もよいし、展示順としては最後にあたる『茶葉末瓶』(乾隆年...今年も陶芸と刀/中国の陶芸展(五島美術館)

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