旅蝶

朝な夕なヒヨドリバナに寄り添って アサギマダラのひと夏が行く

天狗シデ

深山(ﾐﾔﾏ)にて 奇樹のイヌシデ 見上げると 個性が一位と 諭される僕

春の兆し

春立ちて 河津桜は 匂い立ち メジロ枝々 蜜から蜜へ

水仙の歌

霜風も 颪（おろし）も耐えた 雪中花 科戸（しなと）の風に 東風を待つ （独り言） 淡路島の灘黒岩水仙郷は、水仙の日本三大 群生地の一つです。 標…

理想郷

君と来て 栗林(ﾘﾂﾘﾝ)の池 水鏡 棹さし船で ゆるゆると行く この水面のように 穏やかに 棹さし船のように ゆるゆると 春陽のよう…

イヴの Stille Nacht (きよしこの夜）

桜のような君が好き

春嵐に 散ることはなき 我が心 桜花の君を 抱きて永久(ﾄﾜ)に もう散ってしまった？ 「いいえ、満開よ…

河津桜の舞う頃

東風(ｺﾁ)吹けば のどやかな陽に 舞う桜花 しず心なく 潮騒(ｼｵｻｲ)に散る もう散ってしまうのですか？ …

瀬戸大橋に想う

島架ける 瀬戸の大橋 凛として 寒風突いて 天空翔る(ｶｹﾙ) 「生きているみたいね」と君 「そう、息づい…

なまこ壁の小路(ｼｮｳｼﾞ)を行く

大路(ｵｵｼﾞ)へと 向かう路次(ﾛｼﾞ)には なまこ路地 春待つ小路(ｺｳｼﾞ) 未だ静けし 「静かだね」と…

鴛鴦(ｵｼﾄﾞﾘ)力車(ﾘｷｼｬ)

冬日和 夫婦(ﾒｵﾄ)の力車 むつまじく 二世（ﾆｾ）の契りを 結ぶがごとし 「乗りたい？」と僕が聞く …

途次(ﾄｼﾞ)にて

急ぎゆく 三十日(ﾐｿｶ)の路次(ﾛｼﾞ)に 友垣(ﾄﾓｶﾞｷ)の 赤い頬っぺた 車窓に浮かぶ 郷里の母よ 恙無(ﾂ…

倉敷川の棹差し船

悠久の 歴史の中に 水棹（ﾐｻｵ）船 ひと差しごとに 時が流れる 滑らかに 川面を滑る ゆるゆると 揺られ…

村上水軍の海道

しまなみの 猛者(ﾓｻ)の海廊 朧朧(ﾛｳﾛｳ)と おぼろの渦に 栄枯を抱く 「寒くて悲しい所」と君がぽつり …

眉月(ﾏﾕﾂﾞｷ)が好き

山の端に そっと寄り添う 蛾眉の月 柳眉の君と ともに魅せられ 新月が好きと君が言う 満月より好きと君が言…