花より男子の二次小説です。司×つくしメイン。他、類、あきら、総二郎のCPもあり^^!
2017/08/01 で4周年になります^^ 今年も一日8回更新の『こ茶子DAY』をお楽しみくださいm_ _m
2018年7月
今日、ニューヨークを発つ。 ヨーロッパ…とりあえずは、東ドイツ有数の経済都市ライプツィヒにある道明寺ホールディングスのドイツ支社長として赴任する司の転勤に同伴してのこと。 ドイツ統合でだいぶ復興が進んでいて、海外資本も入っているとはいえまだまだ西欧諸国に遅れをとり、ドイツ国内でも経済格差の大きな地域だ。 大学出たてのホヤホヤの司が支社長という身分で派遣されるのは、それだけ御曹司としての彼に期待が...
「バイオリン?」 「うん。今日ね、ホテルのロビーにいる時に―――あ~、えっと、そ、そう、流れていた曲が何か聞き覚えがあったんだけど」 連想がボウッと日本人観光客の若い男性を見ていたことにまで飛んでしまい、またも司の機嫌を損ねてはと、サラッと流して本題を話してしまう。 「ホテルのロビーで流す曲つーたら、バッハやモーツァルト、ショパンあたりだろうけど、特に気にしたことねぇな」 つくしにしても同様だった...
和気藹々とは言えないが、それでもホテル側の用意した車に乗り込み、一息つくと先ほどの諍いにもならないあれこれの気まずさはだいぶほとんどなくなっていた。 いつまでも引きずっていても仕方がない。 つくしに関しては自分は嫉妬深い男だと、開き直られてしまっては、つくしとしてもどうしようもなかったから。 …たぶん普通は、司にそこまで言ってもらえたら、逆にうっとりしちゃうんだろうな。 女は熱烈に自分を愛してく...
「きゃっ!」 いきなり腕を掴まれたと思ったら、強引に立ち上がらされ、文字通り引きずられて……ボンヤリしていたつくしはそこでやっと我に返った。 「つ、司?」 あきらかに何かに腹を立てた司が、まるで彼女を引っ立てるようにしてつくしの腕を掴んだまま、どこかへと連れてゆこうとしているその状況に、つくしは混乱していた。 「え?な、なに?どうしたの?司」 しかし、司はつくしの問いに応えることなく、いつもは彼...
「お前はここでちょっと待ってろ」 「あ、うん」 二人でデートして、ホテルに泊まって―――久しぶりの甘い時間を過ごした次の日の朝。 いや、寝入った時にはすでにもう午前を過ぎていたはずだったが。 いつもは朝食の準備をして、司を起こすつくしだったが、さすがに今朝はすっかり寝過ごしてしまった。ll 司の方はといえば、すでに一日の規則正しいスケジュールが体に刻み込まれているのか、早めとはいえなかったが、それ...
司が怪訝に目を瞬かせるのをジッと見つめて、何度となく心の中で問いかけた問いを言葉に乗せる。 「私のどこが好きなの?」 「……なんだよ、突然」 司が戸惑っているのもわかる。 けれど、それをこそつくしは聞きたいと思った。 ずっと聞きたかったのだ。 「突然じゃないよ」 「いつも言ってんだろ?」 「聞いてないよ」 「そうかぁ?」 いつも、『好きだ』、『愛してる』、『そのままのお前でいい』と何度となく、惜し...
「へぇ、そんなによく見えるんだ?」 「……派手は派手だな」 「綺麗なんでしょ?」 「まあな」 嵐のような情熱的な一時が過ぎ、汗ばむ素肌にこもる熱と荒いでいた息が収まり出した頃、なんとはなしにポツリと呟いた話に司も応じてくれて、思いつくままに雑談していた。 「私からしたら羨ましい環境だけど、感動薄いよねぇ。ホント司ったら、贅沢者なんだから」 「……ふっ」 ボヤくつくしの言葉に、司が失笑する。 しかし、...
R18です。 パスなし、隠しなし(通常版では隠せてますが、テンプレート的には隠せず)ですので、18歳未満の方、苦手な方ご注意をm_ _m ******************...
ビクッと体が咄嗟に怖じけてしまったのは、単なる条件反射だったと思う。 唐突に司に腕を掴まれ押し倒されて、気がつけば、真上に彼を見上げていた。 …司が怖いからじゃない。 つくしの顔の脇に両肘をついて、彼女を見下ろす司の顔は、辛そうに引き歪んで自嘲の笑みを唇の端に刻んでいた。 …ああ。 こんな顔をさせたいわけじゃないのに。 「ほらな。俺がちょっとのしかかっただけで、ビクついて、身体なんてガチガチに強張...
…私なんて捨てていまえば、きっとそれですむ話なのに。 司の妻として、さまざまなことを学び、道明寺財閥の威容もある程度理解できるようになった今でも、その全てを把握しきれないほどに、道明寺財閥は巨大で強大な一族だ。 そして、そんな一族の頂点に立つべきものとして、生まれながらにあらゆるものを与えられ、自身も兼ね備えた人物である司が、それらのものすべてを捨ててまでも彼女に執着するその理由が、つくしにはま...
無言になってしまった司を、つくしが窺い小さく首を傾げた。 「あの……?」 「……いや」 彼女が彼に対して拒絶的ではないのを見計らって、司も彼女が座り込んだままのベッドに乗り上げ彼女の横に腰掛ける。 そんな司の緩くウェーブのかかった髪を見上げて、つくしが申し出る。 「司、シャワー浴びてきたんだ?まだ、髪、濡れてるけど、ドライヤーしてあげようか?」 「いや、いい。タオルドライしてきたから、すぐ乾くし。そ...
「……大丈夫か?」 今日のデートの締めくくりは、定番といえば定番だが、レストランの上階の夜景の美しいホテルのスウィートに宿泊する予定ではあった。 格的には同列ではあるが、普段司はザ・メイプルを常宿にしている。 だが、道明寺系列のメイプルでは、楓が出没する可能性が高く、どうせならできるだけ道明寺家のことや、彼の両親のことは彼女の念頭から一時でも忘れさせ、ただ楽しませたい、リラックスさせてやりたいと...
『私の助力なしに、……お前自身の両親に逆らって、お前に道明寺が統べられるはずがない。せいぜい経済危機に瀕している東ヨーロッパの泥水でも啜って、自分の奢りと無力を思い知るがいい。それこそ、お前の親たちの意図通りその小娘を手放して、今度こそ親の傀儡になるか、あるいは逆らって心中でもするか。それでもその娘の手を離さずにいられたら、それこそこの私も天晴と言ってやろうよ』 どこまでも呪詛と毒とを吐き散らし、...
…チッ。 驚いているつくしを横目に、無作法に押し入ってきた親族である初老の男の姿を無表情に眺めて、司は内心で舌打ちをする。 心労からくるのだろう窶れた顔には以前の覇気はなく、以前に会った時よりもさらに老け込み、その目だけが憎悪と怨嗟に滾り、ギラギラと底光りしていた。 大伯父も、さすがに腐っても道明寺一族の一員だ。 いくら気持ちが荒んでいようとも泥酔して醜態を晒しているということはなかったが、小競...
「司ってイジメっ子よね」 「そうか?」 「絶対!そうだよ」 さすがにもう怒ってはいなそうだったが、それでもいくぶんか先ほどのやり取りを引きずっているのか、どうにもつくしはイジケ気味だ。 イジメたお詫びに、だいぶ巧みになったとはいえ、解体しづらい魚介類を食べやすいように切り分けてやり、つくしへと戻してやる。 「うわ、さすが。私がやったら、いまだにこうはいかないんだよね」 小さくため息をつくつくしに...
「テーブルが邪魔で、抱きつけねぇっ。キスもできねぇじゃねぇか!」 「ええっ!?」 司のセリフにつくしがギョッと仰け反る。 今彼女をこの腕の中に抱きしめて、キスを贈りたい。 気持ちのままに立ち上がって、自分の言葉のとおりに行動しようとしている司に気がついたらしいつくしが、慌てて彼を思い留まらせようと押し留め出す。 「つ、司、お、落ち着いて!いくらここが個室だって言ったって、公共の場だよっ!」 「こ...
「あの…卒業おめでとう」 食前酒をサーブしたギャルソンの後ろ姿を見送って、キョドキョドと視線を彷徨わせたり、唇を何度も舐めたりとどこか挙動不審だったつくしが、テーブルの下、膝の上のハンドバッグから小ぶりの長箱を取り出し、そっと司へと差し出した。 「…これ」 「お祝いのつもりなの。良かったら使ってもらえたらと思って……」 遠慮がちなつくしが、それでもどこか期待するように上目遣いで司を見上げてくる。 言...
なんだかんだで時間が過ぎてしまい、結局どこかのおしゃれなカフェでお茶をすることもなく、今日のデートは今来ている衣類のショッピングとショールームでの車の鑑賞、そして、それに伴うディーラーの説明に、司が気に入った車の試乗と購入の手続きで、一日の大半が終わってしまっていた。 …まあ、元々午後からだったし。 常日頃から仕事や学習に追われている司のこと。 オフだとは言え、丸一日というわけではなかったし、そ...
…やっぱり司もまだ20才そこそこの青年なんだよね。 「なに?」 ついマジマジと見入ってしまっていたらしく、嬉しそうにハンドルを握っている司が彼女の視線に気が付いて、チラリと振り返る。 「ううん。…えっと、どう?いい感じ?」 車は走ればいい、彼の言うランボルギーニだのフェラーリだのの区別がつかない手合いのつくしには、どう話題を振ればいいのか思い当たらず、曖昧ながらもとりあえず無難だと思われる質問をひ...
「あんま天気良くねぇな」 司の言葉に、彼の腕に手をかけて腕を組んでいたつくしも、空を見上げて首を傾げる。 「そうだね。天気予報だと夜には晴れるって言ってたけど」 くすんだ空はど陰鬱な影を地上に落とし、今にも雨が降り出しそうに見える。 10月のニューヨークは一年のうちでも最も美しい月の一つで、外出するに最適なシーズンだ。 朝夕は肌寒かったりもするが、日中は適度に暖かく、街中のどこに行くにも快適だ。 ...
隣に横たわっていた司が、いきなり起き上がってベッドを降りようとし出すのに驚き、咄嗟につくしはその腕を掴んで引き止める。 「ど、どうしたの?」 「……ちょっとシャワー浴びてくる」 「え?…あ…あぁ」 一瞬、さっき浴びたはずなのに…と反駁しかけて、手の力が緩んだ隙にスルリと手を外され、司はもう浴室へと向かってしまっていた。 ここ数年、何度かあったシチュエーション。 連れ添って4年近くになるとはいえ、こ...
「やっとお前もニューヨークの環境にも慣れたところなのに、マジごめんな」 司は謝るが、転勤は誰にでもありえることで、けっして司のせいではないのだから謝る必要などないものだ。 「気にしないでって言ってるのに……、それよりね。MBAはどうするの?」 「……ああ」 「司は大学を卒業した後、そのまま1月開始の16ヶ月コースでビジネススクール※1に入学するつもりだったんだよね?」 司とつくしが渡米して4年。 しかし...
…司がヨーロッパに。 「もちろんお前も一緒だ」 ハッと司の顔を見返す。 彼女の様子を注意深く窺っているようだった司が、ふっと破顔した。 知らず彼女も息を詰めてしまっていたらしい。 安堵に息を吐き出し、肩の力を緩めたつくしに優しく微笑んで、司が彼女の頭をポンポンといつものように優しく撫でてくれる。 「当たり前だろ?お前がイヤだって言ったって、一緒に連れてゆくさ。お前は俺の女房なんだから、一日や二日...
2018年7月
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