花より男子の二次小説です。司×つくしメイン。他、類、あきら、総二郎のCPもあり^^!
2017/08/01 で4周年になります^^ 今年も一日8回更新の『こ茶子DAY』をお楽しみくださいm_ _m
「…こんな真夜中にケーキかよ」 「だから、半分こね」 にっこり笑って言われるが、どこら辺が『だから』なのかわからずにため息をつきつつも、言われるままに半分に分けられたケーキをつつき回す。 どちらにせよ、遅い時間の帰宅になるのだし、こうした状況になることはわかっているのだから、最初から買ってこなければいいのだが、それでも喜ぶつくしの顔が見たい気持ちに負けてしまう。 …まあ、しょうがねぇか。 それでも...
『ごめんなさい』 本当に申し訳なさそうな顔をして、類の名前を憶えていないことを告白したつくしに、彼が感じたのは、危惧だったのかあるいはまったく真逆の感情だったのか。 いや、わかっている。 司はたしかに、安堵したのだ。 それでも、もし彼女の記憶の欠落が今も進行しているというのなら、道明寺家の意向がどうであろうと、つくしがどれだけイヤがろうと、やはりこのまま病院に通院させずに放置しておくわけにはいか...
「へぇ、弁護士さんなんだ。美人なだけじゃなく、賢い人なんだね」 「そうだな」 …本当に凄く綺麗な人。 司の姉の椿も天女と見紛う美女だが、幼馴染みだという女性も椿に負けず劣らず、自分と同じ人間だということが信じられないくらいに美しい女性だった。 年の頃はおそらく、司よりも2才、3才年上くらいか。 女神然と美しい微笑みを浮かべた女性は、つくしの目にあまりに眩しく気後れしてしまう。 けれど、 …この人だ...
「嫌いじゃないよ」 胸に広がる安堵、そして、わずかな失望。 彼女の言葉が、自分の問いかけに対して肯定ではないことに対して安堵する気持ちと、‘愛してる’とまでは言ってくれないことへの失望だった。 …ふっ、当たり前じゃねぇか。 まだ彼女が自分に慣れ親しんだ人間への‘好意’以上の感情を抱いてくれてはいないことをわかっていて、それでもいいといまだ彼女を束縛しているのだから。 それでも、少なくても、かつてのよ...
司の視線が居た堪れない。 布団に顔の半ばを隠して、キョトキョトと視線を彷徨わせて落ち着かない彼女の顔をジッと見るだけで、なんのアクションもとろうとはしてくれない司が今何を考えているのかわからなった。 …は、恥ずかしい。 「抱いて…もいい、って、お前、自分の言ってることわかってんの?」 真剣な顔をしたまま、ニコリとも笑ってくれない司の視線を受け止めきれずに視線を反らして、コクリと一つだけ頷く。 …司...
拗ねたつくしを布団から誘き出すことに成功して、司の髪がつくしの手によって乾く頃には彼女の機嫌も直っていた。 「…ふっ」 思わず失笑した彼の笑い声に気がついたらしいつくしが、ドライヤーのスイッチをオフにしつつ、怪訝に首を傾げる。 「なに?」 「…あ?」 「今、笑ったでしょ?」 子供みたいにコロコロと気分を変えて、あれほど恥ずかしがって怒っていたはずなのに、そんなこともあっさりと忘れて楽しそうな彼女の...
「……いい」 「え?」 言葉に迷うつくしの声に被さって、司が彼女の言葉を遮った。 「いい。お前は何も誓わなくて」 目を見開く彼女の髪をもう一度撫で、わずかな苦笑と―――自嘲だろうか、唇の端に刻んで、司は彼女から視線をわずかに外して小さく吐息をつく。 「もうお前に何も無理強いしたりしねぇって言ったろ?」 「……司」 まるでバカの一つ覚えのように彼の名前を繰り返し呼ぶことしかできないでいる自分。 「それで...
一瞬、なんの聞き違いかと耳を疑った。 しかし、ニヤリと笑った司の顔は、冗談や酔狂を言っているようにはとても思えない 「は?結婚式を今からって…今ああっ!?」 驚愕するつくしの手首を無造作に握って、さっさと車から引き出し、彼女の手を引き教会へと向かう。 当然、後続車からSPたちも出てきて、彼らに追従するが、教会の玄関口の手前で、司が手をひと振り追い払ってしまう。 「お前らは、ここで待ってろ」 S...
本来ならば望むまま、やりたいことだけをやり、どんな贅沢や娯楽に耽って遊び暮らすことも許された身の上だというのに、つくしゆえに、生まれながらに用意された運命に逆らい、いらぬ苦労を背負って。 もしかしたら、これまで彼は努力らしい努力をしたこともなかったかもしれない。 …赤ちゃんのことだって。 きっと辛かったのは、つくしだけじゃない。 むしろ、赤ん坊の誕生を望み、彼女との間に子供を欲しがっていたのは司...
「……いや」 彼が毎日忙しくて、暇もなく、ストレスを抱えていても当たり前のことなのだ。 それが財閥を担うものの定めであり、そうしたことをわざわざ指摘して気の毒がる人間はこれまで司の周囲にはいたことがなかった。 過程が重要なのではなく結果がすべてで、その結果を出せなければ仕方がない、途中どれだけ努力しようが、激務に疲労やストレスを抱えようが誰も心配する人間などいない。 それなのに、なのだ。 「ね、...
人工物ではない彼女の甘い清潔な匂いを胸いっぱいに吸い込んで…癒され、和まされるのに、真逆の衝動に身悶えて、何度も寝返りを打つが、昂ぶった神経が女の柔肌と温もりを求めて、彼の体内を荒れ狂い、ランランと目が冴えてしまって、一向に彼を眠りへと陥らせてくれない。 さすがに抱きついて眠ることは理性に自信がなくて、それだけは控えていたのに…。 …触りてぇ。………抱きたい。 これ以上、この場に留まっている危険にやむ...
司の両親が、決して彼女をそうとは認めてはいなくても、つくしは諦めたくなかった。 司と結婚し、家族となり、彼を夫と呼ぶなら彼の家族も大切にしたい。 自分のせいで、司と両親の間にこれ以上亀裂を生んで欲しくなかった。 たとえつくしのことがなかったとしても、司と彼の両親の間に元々相克があったのだとしても。 「よし!フランス語の課題、先にやっちゃお。せっかくフランスまで来たんだもん。司と一緒に行くパーティ...
昼間も一人きりで外出する気持ちにはとてもなれず、SPに迷惑をかけるのもどうかと結局今日も丸一日ホテルの部屋に閉じこもって、どこへも出かけていない。 司は当然、この地に訪れて、時差ボケも感じさせず当日から精力的に駆け回っている。 もっともこっちに出張するそうとう以前から、分刻みで過酷なスケジュールを組まれ、こなさなければならないたくさんの案件を抱えてやってきているから、呑気に一休みしている間もなか...
「で」 「……え?」 「で、出張」 「あ、ああ……」 しかし、そんな甘ったるい空気も霧散してしまう司の一言に、気持ちが暗く塞ぐ。 …でも、今はメアリもいてくれるし。 家庭教師の叱咤と使用人たちとの事務的なやり取りだけで、一日中誰とも話さずにいなければならないということもないだろう。 「お前も来いよ」 「えっ?!」 今度こそ驚いて振り向いたつくしに、司が甘くおもねるように彼女の顔を覗き込んでくる。 「...
「……………」 なんと返していいのかわからない。 もちろん、イヤな気持ちではなかった。 どちらかといえば、嬉しい、それが一番近い。 当然だと言い切る司の気持ちに、どこかムズムズとして落ち着かない気持ちになってしまう。 …いまさらだよね。 どんな彼の愛の言葉よりも、そうした彼の気持ちにこそ絆される。 もしかしたら記憶を失う前の自分は、彼の容姿や背景よりもそうした彼の一途な愛情を愛したのかもしれない。 そ...
「え、ええっ?」 もちろんそう要求されるのは初めてのことではないが、室内にはまだメイドのメアリが残っていて、にーんまりとまるでチシャ猫よろしく目を細めて二人の様子を堂々と眺めていた。 司の方はそんなメイドに一顧だにすることなく、そもそも彼女の存在自体家具同然に気にしてもいないだろう。 彼の目はつくしだけを見ていて、おそらく彼の意識になるのは彼女の存在だけなのだ。 しかし、つくしはそうではない。 ...
―――来年、3月で英徳学園の高等部を卒業したという資格をあなたに取得させます。 最初その意味がわからなかったが、どうやら楓が言っていたのは、彼女がたとえ実際にはもう英徳学園に通学していなくても、道明寺家の意向で卒業したという資格だけ付与させるつもりであるということだった。 そして、英徳学園を卒業した後は、どこかの大学なり専門学校等の進学先や、司のように‘会社’に勤めるのではなく、現在と同様必要なこと...
『そう……、ダメだったの』 片手に持った書類にざっと目を通し、一つ片付ければまた一つ、山になっている書類を片付けてゆく。 もう片方の手に持った携帯電話の向こう側、司以上に陰鬱になってしまっている姉の声音に苦笑する。 同じ血の姉弟だというのに、どうしてこの姉と自分とではこんなにも違うのかと。 『……なによ、あんた?笑ってない?』 「笑ってなんかねぇよ」 『そう?今までやりなれなかった努力なんかしてるか...
たとえ誰が待ってくれているわけではなくても、誰にとっても無意味な…それどこか疎まれているこの場所から逃げ出したかった。 …でも。 それが単なる逃避に過ぎないこともわかっている。 日本に帰って、そこでもおそらく記憶のない自分と見知らぬ知人や友人たちとの齟齬に悩み、また逃げ出したくなるだろう自分が容易に想像できた。 誰もいない。 どこにも居場所がない。 …家族がいる。 つくしに彼らの記憶がないとしても...
「つくしっ!」 「……………」 司の声掛けに、つくしがゆっくりと振り返る。 彼女はベッドに腰掛け、ただぼんやりと蹲っていた―――いつか、彼から受けた仕打ちに打ち拉がれて魂が遊離してしまっていた頃のように。 「つくし!!」 足音荒くつくしのもとへと駆け寄った司が、彼女の両肩を掴んで揺すぶる。 虚ろだったつくしの表情が、そんな彼の乱暴な仕草に顔を顰めて我に返った。 まるで人形から人間に戻ったかのような、劇的...
気が付けば、今日もまたいつの間にか一日が終わっていた。 お姫様みたいな天蓋付きベッドの上、両足を抱えて体育座りのまま、ぼんやりと窓の外、夕日が木々の向こう側へと沈んでゆくのに見入る。 …どうしてこんなことになってしまったんだろう。 ポロリと涙が頬を伝い落ちて、無感動にその雫を指先で拭って目の前に翳す。 何もかもがまるで遠い世界での出来事のようで、最初、東京の病院で何もかも過去の一切を忘れ、目覚め...
ダダダダダッ、バァ――――ンッ!! 大音響を立て、ドアをブチ開けた司が、はぁはぁと荒い息を整える間もなく、さっと視線を走らせた先にベッドに横たわるつくしを見つけ、足音荒く駆け寄ってくる。 「つくし!」 ‘Please be quiet.(※静かに!)ここは病院ですよっ、きゃっ’ 止めに入った看護師を半ば突き飛ばし、横たわったまま微動だにしないつくしを覗き込む。 つくしは意識を保っていた。 しかし、壁の向こう側へと青白...
ピチュピチュピチュ。 どこかで鳥の声が聞こえた気がして、ふと目が覚めた。 無意識に振り返った背後にはすでに司の姿がない。 「あ………」 慌てて周囲を見回しても、当然のことながらもう司は出勤した後だった。 ―――もうっ、あたしったらまた。 司の身体を最優先しろという言葉に、ここのところ5時起きで自習に励んでいた生活を出産までは…と改めていた。 そのぶん、家庭教師に叱咤されることが増えたかというと―――、 …...
「は?」 面食らっている司の手を引き、強引にベッドに腰掛けさせてしまう。 「乾かしてるから、司はパソコン開いてていいよ?」 サイドテーブルの引き出しには、小型のノートパソコンがしまわれていて、ふと目が覚めた時に横を見ると、よく司がベッドに横になったまま画面を覗いていたりするのをつくしも知っていた。 …気分転換に娯楽とかしてるんだったらいいんだけど。 司の場合は、わずかな余暇さえもまるで自らに禁じ...
「え?なに?」 司の言葉を捉え損ねて、つくしが聞き返す。 「……いや、お前、もしかして伯父貴の屋敷の方がお前にとっては気楽だったのか、って思ってさ」 「伯父様?」 正直、それこそ思いもよらぬことで、つくしにしてみれば、司の伯父の屋敷だとてとてもではないが気安くも居心地も良いところだったとも言えなかった。 「どうして?」 「お前、伯父貴の屋敷にいた時の方が、まだのんびりしてただろ?」 「……あ~」 の...
「なんかお前、目…赤くね?」 道明寺邸の家具としては小さなテーブルに二人向かい合い、つくしの作った食事に舌鼓を打っていた司が、料理を飲み下し、彼女の顔をジッと見て顔を顰めた。 「え?そ、そうかな?」 「……なんかあったのか?」 部屋に戻ってきた司はかなりグタグタで、体力があるはずの彼でも相当キツい毎日を送っていることが一目瞭然な有様だった。 もっともそれは昨日、今日のことに限らず、つくしにしても珍...
『あんたのそれはね、ペットの可愛がり方よ。……たしかになんだか何に対しても自信なげで、頼りない感じがする子だけど、そうやってあんたから話を聞いてみると、実際にはけっこう自分の意思をちゃんと持ってる子みたいじゃない?』 姉のつくしへの評価には、どうしても苦笑せずにはいられない。 彼女が現在のつくしを見て、そう評価するのももっともなことなのだが、しかし、元々のつくしはそうではなかった。 …俺がそうしち...
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