ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!...
ジャズ喫茶『松和』は仮想喫茶店。大好きなジャズや70年代ロックの話題など、音楽三昧な日々をどうぞ。
ジャズの裾野は広い。一昨日、ご紹介した様な、最新のジャズ・エレクトロニカもあれば、ハードバップ時代の隠れ名盤もある。どちらも、聴いて楽しい「ジャズ」であり、どちらも、個人的嗜好においては好き嫌いはあるだろうが、客観的に見て、優劣を付けることの出来ない。歴史上、どちらも内容の優れた「ジャズ」である。Eddie "Lockjaw" Davis & Johnny Griffin『The Ten...
思えば、このフュージョン・バンド、イエロー・ジャケッツとても息が長い。1977年、ラッセル・フェランテを中心に結成され、1981年のフュージョン・ブームの最盛期にメジャー・デビュー、昨年メジャー・デビュー40周年を迎えている。レコード会社も幾つか変わり、メンバーも、リーダーのラッセル・フェランテ以外は全て入れ替わっているが、このフュージョン・バンドの音志向は40年以上、大きな変化は無い。Yell...
ジャズは常に「深化」している。新しい演奏スタイルや演奏トレンドが出ることはまず無い時代になったが、新しい他ジャンルの音楽との融合とか、新しいテクノロジーの採用とか、今までのジャズをよりバリエーション豊かに、多様化に拍車をかける様な、新しい響きが芳しいジャズが、今でも時折、出現する。そして、そういうジャズは、しっかりとジャズの「肝」である即興演奏を展開する。これがまた、今までに聴いたことの無い展開...
ジャズ・ドラマーがリーダーのアルバムを色々聴き直しているのだが、今回はエルヴィン・ジョーンズに戻る。エルヴィンは1960年代、ジョン・コルトレーンの伝説のカルテットに在籍したこともあって、エルヴィン単独になっても「コルトレーン・ミュージックの継承者」とか、「コルトレーン・ジャズのスピリッツの伝承者」とか、特に我が国のジャズ評論家の方たちが、こぞって、そんな「レッテル」を張るので、エルヴィン独自の...
シェリー・マンは、米国ウエストコースト・ジャズの代表的ドラマーであったと同時に、ウエストコースト・サウンドの体現者でもあった。ドラマーとしても超一流だが、バンド・サウンドのプロデュース&コントロールについても優れた実績を残している。シェリー・マンのリーダー作を聴くと、米国ウェストコースト・ジャズの音が、たちどころに判る、と言っても良い。Shelly Manne and His Men『Vol.4...
ファンキーで流麗で明快なトランペッターのブルー・ミッチェル。彼って、ブルーノート・レーベル専属になって初めてのリーダー作が「お蔵入り」になった、気の毒なトランペッターでもある。その「お蔵入り」のジャケットも、ブルーノートのジャケットの平均レベルからすると、明らかに「イケてない」ジャケットで、とにかく気の毒の極みである。Blue Mitchell『Step Lightly』(写真)。1963年8月...
ブルーノート・レーベル時代のブルー・ミッチェルのリーダー作って、ファンキー・ジャズというよりは、その先、ジャズロックやソウル・ジャズを志向していたと思うのだ。聴いて楽しい、聴いて踊れるジャズ。そんなエンタテイメント志向のジャズを目指していたように思うし、それをしっかり実現していた。Blue Mitchell『Down with It!』(写真左)。1965年7月14日の録音。ちなみにパーソネルは...
ブルー・ミッチェルのリーダー作は、ポップでキャッチャーな、明るく乗りの良いファンキー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがメイン。特に、ブルーノート・レーベルに残したリーダー作に、その良いところが余すこと無く記録されている。ファンキーで円やかで流麗なトランペッターの個性をしっかり着目し、録音に残しているところは、さすが、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンである。Blue Mitche...
ジャズの世界では、歴史に名を残すイノベーターばかりで無く、歴史を変えたり、新しい演奏トレンドを生み出すことは無いが、その個性と演奏スタイルから、人気ジャズマンとして名を残しているジャズマンが沢山いる。トランペッターでは、僕は真っ先に「ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)」の名前が浮かぶ。彼は、ジャズにおいて、イノベーターでも無ければ、キーマンでも無い。ファンキーで円やかで流麗なトラン...
The Cookers Quintetは、カナダ出身のジャズ・バンド。演奏の基本は「ハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ」。21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・ハードバップ」とは異なる、どちらかと言えば、1950年代後半の古き良き時代の「ハードバップ」。そして、もう1つの演奏の基本が「モード・ジャズ」。これも、21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・モード」とは違う、1980年代後半...
ベースやドラムは「リーダーの担当楽器」として前面に押し出すのが難しく、いきおい、ベーシストやドラマーがリーダーのアルバムは少ない。特にベーシストがリーダー作はかなり数が限られる。ジャズ・ベーシストのリーダー作は幾つかのケースに分かれるが、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースが一番多い。自らはその音世界の創造を支える側に回って、自らのベースはあまり前面に出ることは無い...
チック・コリアのリーダー作の振り返り。リーダー作の第3弾。前リーダー作『Now He Sings, Now He Sobs』で、録音当時、ピアノ・トリオの最先端を行くパフォーマンスを披露したチック・コリア。次作では、いきなり「フリー・ジャズ」に接近する。Chick Corea『Is』(写真左)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (ac-p, el-p...
スイング時代からビ・バップを経験すること無く、中間派を経由して、ハードバップ期に至るまでの期間、三大テナーマンとして君臨したのが、コールマン・ホーキンス、ベン・ウエブスター、レスター・ヤング。この3人は、ロリンズとコルトレーンが新しいスタイルのモダン・テナーを流行らせるまで、テナー・サックスの吹奏スタイルを代表する3人だった。今では「オールド・スタイル」と形容される、テナー・サックスの吹奏スタイ...
1960年代後半から1970年代前半にかけて、チャールス・ロイドは売れた。ロイドのテナーは「こじんまりしたコルトレーン」、言い換えれば「期待を裏切らない、予想を外さないコルトレーン」。アブストラクトにも振る舞うんだが、徹底的に、ということは無く「安全運転のコルトレーン」。どうにもコルトレーンのコピーのイメージがつきまとう。当時のジャズ者の方々は、ロイドに「判り易いコルトレーン」を求めていた様...
最近、やたら、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)のリーダー作が目に付く。コロナ禍にも負けず、ピエラヌンツィの活動は充実しているのだろう。加えて、ピエラヌンツィは現代ジャズ・ピアノ、特に欧州ジャズ、伊ジャズにおけるピアニストの第一人者の1人として、その実力がジャズ界で認められているからだろう、と思っている。Enrico Pieranunzi Quintet『The Ex...
ズート・シムスは我が国では、あまり人気の無いテナーマンだった。レコード会社にとって、コマーシャルなところが少なくて、売れない、と踏まれたのだろう。でも、ズートの名盤を聴いたジャズ者の多くが、ズートのテナーのファンになる。歌心溢れ、スインギーで小粋。そんなズートのテナーって、東海岸ジャズ志向でも無く、西海岸ジャズ志向でも無い独特なテナーで、扱いに困るところがあるんだろうなあ。でも、良いものは良い。...
米国西海岸ジャズを代表するドラマーと言えば、シェリー・マン(Shelly Manne)。というか、シェリー・マンしか浮かばないほど、シェリー・マンのドラマーとしての存在は突出している。Shelly Manne and His Men『Vol.1 : The West Coast Sound』(写真左)。1953年4月, 7月, 9月の3つのセッションの寄せ集め。シェリー・マンの2枚目のリーダー作...
ズート・シムス(Zoot Sims)は、玄人好みのサックス奏者である。というのも、コマーシャルなところ、キャッチャーなところが無いので、内容の良いリーダー作についても、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌にその名が上がることが少ない。恐らく、日本のレコード会社のプロモーションの乗りそびれたのだと思われる。確かに、ハードバップ期から第一線で活躍しているが、ハードバップ以降、ジャズの多様化の時代にも、ズートは...
ベーシストがリーダーのアルバムには、テクニックを重視した、その特徴的な演奏テクニックを全面に押し出した内容のものも多くあるのだが、ベース・ソロだけのアルバムは殆ど無い。その理由として、ベースの場合、速いフレーズのソロを取りにくいこと、そして、リズム&ビートを醸し出すのが、基本的に難しいこと、その2点が上げられるだろう。Brian Bromberg『Hands』(写真)。2008年7月録音。ちな...
ローランド・ハナ(Roland Hanna)のピアノは、端正でタッチが堅実、そして、典雅なフレーズ、典雅なアドリブが個性のピアニストである。リーダー作は常に平均点以上の出来をキープし、破綻が無い。逆に、個性的な手癖や弾き回しがある訳では無い。いわゆる「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの1人。ハナは米国デトロイト出身。1932年生まれ、2002年11月に70歳で鬼籍に入っている。ハード...
最近、ドラマーがリーダーのアルバムを聴き直している。特に、エルヴィン・ジョーンズ、ロイ・ヘインズを中心に聴き直していて、今の耳で聴くと、以前、若かりし頃に聴いた印象とは異なる音、もしくは、若かりし頃には気が付かなかった音が聴けて面白い。そんな中、まだ、有名なジャズ・ドラマーを忘れているぞ、と思って、ライブラリーを見渡したら、米国ウエストコースト・ジャズのレジェンド・ドラマーであるシェリー・マンの...
最近、マイルス・デイヴィスの発掘ライヴ盤が幾枚かリリースされている。しかし、マイルスの未発表音源って、まだまだあるんやな、と感心する。ピアノでは、ビル・エヴァンスの未発表音源が未だにチョロチョロと出るんだが、マイルスも負けずにチョロチョロ出てくる。これは当然「需要」があるからで、確かに、ビルにせよ、マイルスにせよ、発掘音源が出れば「ゲット」である(笑)。Miles Davis『Rubberba...
マックス・ローチと言えば、主にビ・バップ時代からハードバップ時代に、活躍したレジェンド級のジャズ・ドラマー。典型的なバップ・ドラミングで、テクニックもずば抜けて優秀なのだが、ハードバップ後期、ジャズの多様化の時代において、モード・ジャズやフリー・ジャズなど、従来とは異なる、新しいスタイルが登場したが、ローチは一貫してバップ・ドラミングを貫いている。『Max Roach + 4』(写真)。195...
ハンク・ジョーンズのデビュー盤から10枚ほどを久々に聴き直している。昨日は初リーダー作について語った訳だが、初リーダー作にして「典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗」なピアノの個性を手に入れていたことが良く判る初リーダー作だった。『Hank Jones Quartet & Quintet』(写真左)。1955年11月1日の録音。サヴォイ・レーベルからのリ...
Twitterで、Hank Jones(ハンク・ジョーンズ)の優秀盤について呟いていて、ハンク・ジョーンズのデビューの頃って、どんなんだったんだっけ、確か、デビューは1947年だから、ビ・バップなピアノだったかなあ、と思いながら、デビュー盤から10枚ほどを久々に聴き直している。さすがに、デビュー盤から2〜3枚のリーダー作を聴くと、ハンク・ジョーンズのピアノの個性が明確に判る。ジャズマンとしてのデ...
9月は僕の好きなジャズマンの新盤が結構出たみたいで、聴き通すのにとても忙しい毎日である。特に今年は夏が蒸し暑くて、ジャズを聴くのに辛い気候だったのだが、有り難いことに、僕の好きなジャズマンの新譜はほとんど無かった。が、ちょっと涼しくなってきて、一気にドッと出た感じで、嬉しいやら忙しいやら(笑)。Robben Ford & Bill Evans『Common Ground』(写真左)。20...
ジャズは、大衆音楽の側面と芸術音楽の側面、2つの側面を持つ。ポップス同様、大衆向けの音楽として、キャッチャーで判り易い、耳当たりの良い演奏と、しっかりとした音楽理論の下、確かなテクニックと理論的な演奏手法を基に、芸術性を前面に押し出した演奏、2つの側面を持つ、ユニークな音楽ジャンルである。John Lewis『Private Concert』(写真左)。1990年9月10〜12日、NYでの録音。...
さて、Weather Report(以下、WRと略す)のアルバムを今の耳で聴き直すシリーズ。いよいよ佳境である。前作『Black Market』で、エレベのイノベーター、ジャコ・パストリアスを発見し、正式メンバーとした。そして次作。あのWRの大ヒットしたアルバムの登場である。Weather Report『Heavy Weather』(写真)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Joe Zaw...
現代の現代ジャズ・オルガニストの代表的存在の1人、Joey Defrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)が、今年の8月25日に急逝して以来、ちょくちょく、彼のリーダー作を聴き直している。生涯、リーダー作は約40枚。確か、デフランセスコは51歳で亡くなっている。17歳でリーダー作を録音してるので、34年間の活動期間でリーダー作が40枚。1年に1枚のペースでリーダー作をリリースしていたことにな...
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ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!...
ジャズを本格的に聴き始めた頃から「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」はお気に入り。アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバムを聴き通すだけで、ジャズの演奏トレンド、演奏志向の歴史が判る。ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズのそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立...
ホレス・シルヴァーと袂を分かって、ブレイキー単独となったメッセンジャーズ。ブルーノートに移籍してブレイクする前のアルバム群。以前のジャズ盤評論としては「ブレイク前のメッセンジャーズの暗黒時代」とされる時代のアルバム達。しかし、そうだろうか。僕はこのアルバムを実際に自分の耳で聴いて、この盤は決して「暗黒時代」の音では無い、と判断している。Art Blakey & The Jazz Mess...
レコード・コレクターズ 2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きしている。今回のアルバムは、実は初めて聴く「初聴き」盤である。Barre Phillips『Three Day Moon』(写真左)。1978年3月の録音。ECM 1123...
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴いている。以前聴いたことがあって、今回聴き直しのアルバムもあれば、初めて聴くアルバムもある。どちらも「今の耳」で聴くので、意外と新鮮に感じるから面白い。Enrico Rava『...
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集に「ECMレコーズ」があった。これは「創設者マンフレート・アイヒャーのコンセプトと55年の歴史の概説」と「今聴きたいECMアルバム45選」の2本立ての特集。特に、後半の「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入った。ということで、この45枚のアルバムについて、ブログ記事としてアップしようと思い立った。Wolfgang D...
今日で「僕なりのジャズ超名盤研究」シリーズの三日連続の記事化。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』の超名盤を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、はや3年。やっと第1巻の終わりである。ジャズを本格的に聴き始めたのが1978年の春。フュージョン・ジャズの名盤の何枚かと、純ジャズのアルバム、MJQ『Pylamid』、 Herbie Hancock『Mai...
小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、今回までで32枚の「超名盤」について聴き直して、聴き直した時点での感想をブログ記事に綴ってきた。そして、いよいよ、残すは2枚。今回はキース・ジャレットの登場。 Keith Jarrett『The Köln Concert』(写真左)。1975年1月24日、当時の西ドイツ、ケル...
この歳になると、なかなか「超名盤」について聴き直す機会が無いだけに、楽しみながらの聴き直しになっている。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、今回までで31枚の「超名盤」について聴き直して、聴き直した時点での感想をブログ記事に綴ってきた。そして、いよいよ、残すは3枚。Chick Corea『Return to F...
まだまだ夏日が顔を出す、暖かいというか、蒸し暑い日が続く10月だが、真夏日以上という「酷暑」は去ったので、様々な類のジャズを聴く時間が増えた。特に、この10月は、何故だか判らないが、和フュージョンと合わせて、和ジャズの名盤・好盤を探索したり、聴き直したり。特に、学生時代から、若き社会人時代に聴きまくった盤を聴くことが多い。古澤良治郎『キジムナ』(写真左)。1979年10月16~20日、東京、日本...
フュージョン・ジャズ時代、そのアルバムの成り立ちが変わっている例として、高中正義『オン・ギター』をご紹介した(2024年10月10日 のブログ記事・左をクリック)。この『オン・ギター』は、ギター教則本の付属レコードとして発表されたものだった。ゼロ戦『アスファルト』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、大谷和夫 (key), 長岡道夫 (b), 鈴木正夫 (ds), 佐野光利 (g)...
フュージョン・ジャズの時代、インスト中心のアルバム作りが主流で、ボーカルがメインのアルバムは少なかった。ボーカル入りのアルバムはあったが、どちらかと言えば、ファンクネスな要素の彩りが欲しい時の「ソウル、R&B志向のボーカル」で、フュージョン・ジャズとして、「ボーカリストの歌を聴かせる」盤は希少だった。阿川泰子『Lady September』(写真左)。1985年6~7月、東京での録音。ちなみにパ...
我が国を代表するクロスオーバー&フュージョン・バンドである「カシオペア」。意外と超ストイックなバンドで、結成時(1976年)から1989年までの野呂一生・櫻井哲夫・向谷実・神保彰によるメンバーでの第1期の活動の中で、10年以上、常にカシオペアはグループとしての活動を優先、ソロ活動は一切御法度という厳しい規律の上でバンド運営されていた。1985年〜1986年、当初から期間を厳格に定めてソロ活動を容...
ジャズの演奏で大切なものは色々あるが、リーダーのフロント楽器の特性に応じた「アレンジ」は特に重要な要素。そして、その「アレンジ」に適したリズム・セクションの手配。この「アレンジ」と「適したリズム・セクション」がバッチリ合ったセッションは優れた結果になる。J.J. Johnson and Kai Winding『Jay & Kai + 6: The Jay and Kai Trombone...
ここヴァーチャル音楽喫茶「松和」では、「夏だ、海だ、高中だ」ではなく、「秋だ、爽快だ、高中だ」というキャッチが蔓延している(笑)。とにかく、この2〜3日前から、ググッと涼しくなった関東地方。涼しくなって、空気が爽快になって、高中正義のアルバムの聞き直しの続きである。高中正義『Brasilian Skies』(写真左)。1978年のリリース。リオデジャネイロの「PolyGram Studios」と...
この2〜3日、関東地方では気温がグッと下がって、昨日などは、11月中旬の陽気になって、ちょっと寒いくらい。慌てて、合物の服を出して、夏物のほとんどを衣替えである。これだけ涼しくなると、音楽を聴くのにも良い環境になって、夏には聴くのを憚られたハードなジャズやロックなども聴くことが出来る。高中正義『オン・ギター』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄 (ke...
「Jay&Kai」のアルバムを聴いていて、改めて「トロンボーンの音色ってええなあ」と思った。もちろん、トロンボーンを吹く上でのテクニックが優れていることが前提なんだが...。テクニックに優れたトロンボーンの音色って、ブリリアントで、エモーショナルで、ニュアンス豊かで、柔らかで優しい。そんなトロンボーンの音色が好きで、今でも時々、ジャズ・トロンボーンの好盤を引っ張り出してきては聴き直している。K...
「A&Mレコード」が牽引役を担ったのが、聴き易さと分かり易さと適度な刺激を追求した「クロスオーバーなイージーリスニング・ジャズ」。そのカラクリは「聴き易さと分かり易さと適度な刺激を追求した、ロック&ポップスとジャズとの融合」と考えると、A&Mの諸作は実に興味深く聴くことが出来る。J. J. Johnson & Kai Winding『J&K: Stonebone』(写真左...
1960年代半ば以降、ビートルズをはじめとするロック・ミュージックの台頭によって、ジャズのシェアは下降線を辿り始めた。一般聴衆は、聴き易く分かり易く適度な刺激のある「ロック&ポップス」を好んで聴くようになる。ジャズは「古い時代の音楽」として、その人気は徐々に衰え始めていた。一方、ジャズは多様化の中で、ハードバップから派生した大衆志向なファンキー&ソウル・ジャズ、そして、ハードバップの反動から派生...
ブラウン~ローチ・クインテットの始動後、『Clifford Brown & Max Roach』と『Brown and Roach Incorporated』の直後、同一日、同一メンバーでのジャム・セッションの『Clifford Brown All Stars』と『Best Coast Jazz』は、ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)にとって、1954年8月のロスでの、怒涛の「名演...
マル・ウォルドロン(Mal Waldron)は、漆黒ブルージーな、黒い情感のレジェンド・ピアニスト。2002年12月に逝去しているので、逝去後、既に20年以上が経過したことになる。もう、そんなになるのか。マルのピアノは個性的。硬質なタッチの底に、もやっとした黒いブルージーな雰囲気が横たわっている。そして、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。この「黒い情感と適度なラフさ」がマルの...
ブレッカー兄弟が立ち上げ、エレ・ジャズ・ファンクの代表的バンドとして、一世を風靡した「ブレッカー・ブラザーズ」。1994年にて活動を停止、2007年には、弟のマイケルが骨髄異形性症候群から進行した白血病によって逝去。このマイケルの逝去によって、「ブレッカー・ブラザーズ」は永久に活動停止となった。The Brecker Brothers『Out of the Loop』(写真左)。1992年4月〜...
そろそろ、日野皓正の「渡米後」のフュージョン・ジャズからコンテンポラリー・ジャズについて、このブログでコメントせんとなあ、と最近、思い始めた。和フュージョン・ジャズを語る上では、日野皓正のフュージョン・ジャズ盤は避けて通れない。日野皓正『Daydream』(写真左)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、日野皓正 (cor, flh), Dave Liebman (ts), John Trop...
初代「John Abercrombie Quartet」について、昨日の続きを。ECMレーベルの総帥プロデューサー、マンフレッド・アイヒャーとリッチー・バイラークとの喧嘩の件、この双方が最終的に決別したのが、初代「John Abercrombie Quartet」の3枚目のアルバムの録音時のことであったらしい。John Abercrombie Quartet 『M』(写真左)。1980年11月...
ジョン・アバークロンビー(以降「ジョンアバ」と略)のリーダー作のディスコグラフィーと、このブログでのジョンアバのリーダー作の記事化の有無をチェックしていて、あるパーソネルのECMレーベルでのリーダー作のみが廃盤になっているのに気がついた。ジョンアバは長年、ECMレーベルのハウス・ギタリストの位置付けだっただけに不思議なことである。どうも、よくよく見てると、リッチー・バイラークが入っているパーソネ...
ジュリアン・ラージの『View with a Room』は傑作だった。ラージとフリゼールのギター2本の絡みが素晴らしく、官能的な「くすんだ音色」と「前のめりでアグレッシブなフレーズ」というラージのギターの独特な個性全開。フォーキーで、どこか懐かしい、哀愁感漂う米国ルーツ・ミュージックの音要素を融合して、ジャズのフォーマットに乗せる「アメリカーナ」でジャジーな音世界は見事だった。Julian L...
ドナルド・バードは「機を見て敏なる」トランペッターだった。トランペッターとして、テクニックは優秀、端正でブリリアントで理知的な吹奏。破綻無く、激情に駆られて吹きまくることなく、理知的な自己コントロールの下、常に水準以上のバップなトランペットを吹き上げる。そんなドナルド・バード、ハードバップ初期の頭角を表し、ハードバップの優れた内容のリーダー作を幾枚もリリース、その後、ファンキー・ジャズに手を染め...
ジョン・アバークロンビー(以降「ジョンアバ」と略)のギターの音世界が好きで、1970年代から、ずっとジョンアバのアルバムを追いかけている。欧州ジャズらしい、彼しか出せない叙情的なサスティーン・サウンドが、とにかく気持ち良い。特に、ECMレーベルでの、ECM独特の深いエコーに乗ったジョンアバのギターシンセには、聴くたびに惚れ惚れである。John Abercrombie『Current Event...
僕は「チック者」である。チックを初めて聴いたのが、1970年代半ばだったから、2021年2月9日に逝去するまで、かれこれ既に半世紀、チックをずっとリアルタイムで聴き続けてきたことになる。よって、チックのリーダー作については、当ブログで全てについて記事にしようと思っている。現時点で、あと十数枚、記事にしていないアルバムがある。今日は、その中の「異色作」について語ろうと思う。Chick Corea...
チック・コリアのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログに、まだ記事化していないチックのリーダー作を順に聴き直している。意外とソロ・ピアノ集が多く、記事化されていない。あまり興味が湧かなかったかとも思ったのだが、聴き直してみると、どのアルバムもチックの個性が散りばめられていて、聴き応えのあるものばかりである。Chick Corea『Children's Songs』(写真左)。1983年7月の録音。E...
チック・コリアのピアノとゲイリー・バートンのヴァイブは凄く相性が良い。ジャズ特有のファンキー色を限りなく押さえ、ブルージーでマイナーな展開を限りなく押さえ、硬質でクラシカルな響きを前面に押し出し、現代音楽の様なアブストラクトな面を覗かせながら、メロディアスで流麗なフレーズを展開する。楽器は違えど、音の性質は同類の二人。Chick Corea & Gary Burton『Lyric Sui...
向井滋春は、和ジャズを代表するトロンボーン奏者の一人。1976年に初リーダー作『For My Little Bird』でデビュー。当初は、コンテンポラリーな純ジャズがメイン。しかし、1979年、約1年間、NYに在住した折にフュージョン・ジャズに触発される。そして、いきなり、フュージョン・ジャズに転身する。向井滋春『Spacing Out』(写真左)。1977年9月28日、日本コロムビア第1スタジ...
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集、「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、向井滋春のアルバムが目に入った。懐かしい。和フュージョン全盛時、もともと、トロンボーンの音色が好きなこともあって、向井滋春のフュージョン盤はよく聴いた。意外とトロンボーンって、フュージョン・ジャズに向いているんですよね。向井滋春『Hip Cruiser』(写真左)。1978年10月2~6日...
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集、「フュージョン・ベスト100 邦楽編」に挙がったアルバムを聴き直している。当時、ヘビロテで聴いたアルバムも多くある。当ブログに記事としてアップしていないアルバムも結構ある。当時の耳で聴いた感覚と今の耳で聴いた感覚、意外と変わらないのが面白い。松岡 直也 &ウィシング 『The Wind Whispers』(写真)。1979年の作品。...
1973年の再結成後、順調に内容のあるアルバムを2枚、リリースしてきた、マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)。そろそろ「マントラの音志向」を確立するタイミングでもあった。The Manhattan Transfer『Pastiche』(写真左)。1976年12月から1977年9月の録音。1978年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ti...
1973年、一旦解散したマンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)。その後、まもなく、リーダーのティム・ハウザーは、ローレル・マッセ、ジャニス・シーゲルと出会う。そして、アラン・ポールを紹介され、新生マントラを立ち上げることを決意、『The Manhattan Transfer (Atlantic, 1975) 』(左をクリック)で再デビュー...
マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)は、1969年にティム・ハウザー(Tim Hauser)が中心となり結成したジャズ・コーラス・グループ。マントラと言えば、1973年にティム・ハウザーをリーダーとして、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル(1979年からシェリル・ベンティーン)、ローレル・マッセーの4人組という印象だが、これは再結成後...
シビアで硬派で「即興が命」の純ジャズを聴き続けた合間、耳休めにウエストコースト・ジャズを聴くことが多い。ウエストコースト・ジャズは、1950年代後半から1960年代全般にかけて、米国西海岸、ロスアンゼルス、サンフランシスコを中心に流行ったジャズの演奏トレンド。ハイテクニックを駆使して流麗で聴き心地の良いパフォーマンス、聴き手に訴求するキャッチーなアレンジ。「聴かせる」ジャズを旨とした、ジャズの演...
リッチー・バイラークはNY生まれ。当初、クラシック音楽とジャズの両方を学び始め、バークリー音楽大学に入学。1年後、バークリーを離れ、マンハッタン音楽学校に移り、彼はマンハッタン音楽学校を音楽理論と作曲の修士号を取得して卒業した才人。確かに、バイラークのアレンジは、学者然とした「理詰め」の雰囲気が強い。ピアノの個性は、リリカルで耽美的、そして「多弁」。ハイテクニックを駆使して、多弁なフレーズを弾き...
ジャズ・インストを聴き続けた合間、耳休めに女性ジャズ・ボーカルを聴くことが多い。もともとジャズ・ボーカルは得意では無い。流石に、レジェンド級の、低めの声で唸るような、こぶし豊かな、日本で言う「演歌系」のような本格派の女性ボーカルは得意では無い。聴くには聴くが、申し訳ないが、ジャズ・ボーカルの勉強の為に聴くことがほとんどで、ジャズ・インストの合間の「耳休め」に聴くことは無い。合間の「耳休め...