大塚の報告を聞いて私は呆気に取られていた。『もうちょっとうまいやり方はなかったの?』「すみません」ヒステリックになりそうな自分を抑えて正座をする大塚を見下ろし…
静香への気持ちは晴れていた。やりすぎだと罵りはしたがこれは天罰だとも思っていた。売春の強要をした罪で彼女は男たちから暴行をされた。因果応報というものだ。その後…
北沢静香は高校を中退後夜間の高校に転入した。彼女はどこでも人気者だったようで友人作りに困っている様子はなかった。しかし、高津雪穂のようなプライベートでも遊ぶ友…
被害届を出してから学校の様子は一変した。生徒たちは生気のない顔をして不安げな生活を送っていた。まさか北沢静香が売春の斡旋をしたなんてとても信じられないようだっ…
「それでは、あなたは北沢静香に成りすましていた」飛騨は念を押すように問いかける。『はい。舞ちゃんの前では北沢静香と名乗っておりました』「柴崎さんはどうなの?」…
舞ちゃんの顔をSNSで見た時コウ君にそっくりだと感じていた。写真でしか見たことはなかったがどの角度から撮られた写真も全て彼に似ている。そして今目の前で私に羨望…
ライブに参加し、ファン仲間を増やしSNSも人気のアカウントにまで成長させたころ舞ちゃんのことをライブ会場で探すようになった。インターネットのおかげで私の知名度…
探し出すのは意外と簡単だった。彼女の誕生日や学校名習い事や趣味など様々なことを聞いておいた。彼は隠すことなくすべてを答えた。それを元にSNSで該当の人物を探し…
飛騨の問いかけに笹塚紗代は視線に鋭さを増して私を睨みつけた。彼女は立派な母親だ。『舞ちゃんは16歳になりましたね』問いかけるように笹塚紗代に言葉を投げる。彼女…
高津雪穂のことをあまり知らなかったので彼女の気を引くようなことを考えるのは苦労したが北沢静香は私の援助交際に随分と興味を持っていたことを思い出して渋々同じ作戦…
『どうして』飛騨が図星を言い当てたかのような顔を見せる。私はそれが許せなかった。「あなたが北沢静香に成りすましているからですよ」飛騨は全てを知っているかのよう…
部屋は静寂に包まれていた。誰も今の沈黙を破って話すものはいなかった。私に偶然とは何かを問いかけたあの探偵も重苦しい雰囲気をジッと耐えているようだった。「気の迷…
コウ君はホテルの裏口から出ていく。手を振り、またねと彼は言った。私は手を振り返すだけで言葉を発することができなかった。正面の入り口から外に出ると北沢静香が満面…
「驚いたな。そんなこと言われたの初めてだよ」『そう?みんな気付いてないのね』彼は真剣な眼差しを向けた。「本当にいいの?」『来て』誘いに応える形で彼は私を抱いた…
北沢静香がなぜ自分の想い人と私を会わせたのかはわからない。もしかしたらコウ君と名乗った彼が自分の目的の人物かどうか確証がなかったのかもしれない。だから身代わり…
あの日みた光景を今も忘れてはいない。初めてあなたに会ったその瞬間から勝手に恋をしていた。『笹塚さん』夫婦の顔を交互に見比べながら私は当時のことを思い出していた…
「どういうこと?って…そのままの意味です。彼と結婚するものと思っていたのにそれが叶わないとわかったので意地悪をしました。彼氏と旅行に行くと言ってみたらどんな反…
「夫って…どういうこと?独身じゃなかったの?」夫はまるで魂でも抜かれたかのようにか細い声で松原さんに問いかけた。一方の松原さんはニッコリと笑うと「独身じゃない…
夫の祈りもむなしく彼女はすぐに電話に出たようだった。先日の一件から別れたと言っていたがこれほど早く電話に出るということは夫からの電話を待っていたのだろうか。そ…
「あの少女は自分のことを静香と名乗ったんですね?」「…はい、そうです」夫の返事に飛騨さんは大崎先生を見た。大崎さんも同様に飛騨さんを見て2人で何か納得したかの…
『答えてよ!』好きだったのかどうなのか気持ちが彼女に向いたのかそれとも遊びだったのか聞きたかった。「…好き」小さくつぶやいた彼の言葉は私の心を粉々に砕くほどの…
「笹塚さん、旦那さんにいくつか質問したいことがあるのでそちらのお話合いが終わりましたら私から旦那さんと話をさせてもらえませんか?」『えぇ、それはいいですけど』…
飛騨さんと会う約束をしたのは夫の件があった日から3日後のことだった。『お母さん行ってくるね』「うん。行ってらっしゃい」舞は今日も学校を休んだが放課後は世奈ちゃ…
「不貞の証拠は今から集めるのは色々と厳しいと思います。今日の一件で別れているかもしれない。事情を説明してもらうにしても弁護士とか必要になるかもしれない」『そう…
飛騨亮二に電話をかけ夫が松原琴美という女性と浮気をしていたことを告げた。そして相談がしたいと、お願いをした。飛騨の事務所まで行っても良かったが群馬のショッピン…
「嘘だ…」舞は信じることができずに松原さんの顔をジッと見つめた。見つめられた彼女は舞の視線を避けるように顔を背けた。柴崎さんでもないと言われて私も信じられずに…
無言は数秒の間続き私は彼女に見入っていた。柴崎雪穂がイメージを変えたらきっとこんな風に見違える。と、思っていた風貌そのものだったからだ。『あなた・・・柴崎さん…
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