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2011/10/21

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  • 『バッカイ ―バッコスに憑かれた女たち』 エウリーピデース (岩波文庫)

    バッカイ――バッコスに憑かれた女たち (岩波文庫)書名:バッカイ ―バッコスに憑かれた女たち著者:エウリーピデース訳者:逸身 喜一郎出版社:岩波書店ページ数:233おすすめ度:★★★★★『バッカイ ―バッコスに憑かれた女たち』は、エウリピデスの最後の作品とされている。ディオニュソスによる、信心を持たない者たちへの復讐をテーマにしており、いかにもギリシア神話らしいエピソードといえる。ディオニュソスはテーバイの王家の血...

  • 『トロイルスとクリセイデ』 ジェフリー・チョーサー(彩流社)

    トロイルスとクリセイデ書名:トロイルスとクリセイデ著者:ジェフリー・チョーサー訳者:松下 知紀出版社:彩流社ページ数:374おすすめ度:★★★☆☆ギリシア軍に包囲されたトロイアを舞台に、チョーサーが恋愛を描いた詩作品が本書『トロイルスとクリセイデ』である。トロイルスとクリセイデのエピソードは、『イリアス』などによって古代ギリシアから伝わっているいわゆる正統なストーリーではないとはいえ、高名な英雄たちに縁ど...

  • 『縛られたプロメーテウス』 アイスキュロス(岩波文庫)

    縛られたプロメーテウス (岩波文庫 赤104-3)書名:縛られたプロメーテウス著者:アイスキュロス訳者:呉 茂一出版社:岩波書店ページ数:118おすすめ度:★★★★★残存する作品数が少ないとはいえ、アイスキュロスの代表作に数えられるのが本書『縛られたプロメーテウス』である。有名な神々の対立を主軸に据えた話であるが、人間界とのつながりも強く、それだけ読者の興味をひくのではないかと思う。人間たちに火を与えたことで天界の...

  • 『アガメムノーン』 アイスキュロス(岩波文庫)

    アガメムノーン(アイスキュロス) (岩波文庫 赤 104-1)書名:アガメムノーン著者:アイスキュロス訳者:久保 正彰出版社:岩波書店ページ数:210おすすめ度:★★★★★ギリシアの三大悲劇詩人に数えられるアイスキュロスの代表作が本書『アガメムノーン』である。トロイア戦争の後日譚はいくつもあるが、『アガメムノーン』で描かれる出来事もそれらの中で有名なエピソードの一つなので、ギリシア神話を知る上で重要なピースといえるだ...

  • 『アンティゴネー』 ソポクレス(岩波文庫)

    アンティゴネー (岩波文庫)書名:アンティゴネー著者:ソポクレス訳者:中務 哲郎出版社:岩波書店ページ数:210おすすめ度:★★★★★ソポクレスの悲劇の中で、時系列的に『コロノスのオイディプス』に続く物語が『アンティゴネー』である。オイディプスの一族につきまとう不幸の連鎖は悲劇の題材としてやはり非常に優れたものであると思うが、『アンティゴネー』の読者はそれを改めて実感できることだろう。オイディプスの死後、テー...

  • 『コロノスのオイディプス』 ソポクレス(岩波文庫)

    コロノスのオイディプス (岩波文庫 赤 105-3)書名:コロノスのオイディプス著者:ソポクレス訳者:高津 春繁出版社:岩波書店ページ数:101おすすめ度:★★★★☆ソポクレスが『オイディプス王』のその後を描いた作品が本書『コロノスのオイディプス』である。こちらも一般的にソポクレスの代表的な作品の一つとみなされることが多いのだが、作品単体として楽しめるだけではなく、オイディプスにまつわるエピソードを理解する上で欠か...

  • 『オイディプス王』 ソポクレス(光文社古典新訳文庫)

    オイディプス王 (古典新訳文庫)書名:オイディプス王著者:ソポクレス訳者:河合 祥一郎出版社:光文社ページ数:174おすすめ度:★★★★★ソポクレスの代表作であり、ギリシャ悲劇における最高傑作との呼び声も高いのが本書『オイディプス王』だ。ソポクレスの他の作品を『コロノスのオイディプス』、『アンティゴネー』と読み進めるうえでも、まず最初に手にするべき作品となっている。スフィンクスを退治したことでテーバイの町に王...

  • 『アダムとイヴの日記』 マーク・トウェイン(河出文庫)

    アダムとイヴの日記 (河出文庫 ト 11-1)書名:アダムとイヴの日記著者:マーク・トウェイン訳者:大久保 博出版社:河出書房新社ページ数:244おすすめ度:★★★★★トウェインの後期の作品である『アダムの日記』と『イヴの日記』を一冊にまとめたのが本書『アダムとイヴの日記』である。『アダムの日記』も『イヴの日記』も、ある程度は『創世記』に準拠してはいるものの、宗教臭さは感じられないので、読者を選ぶこともないだろうし...

  • 『マーク・トウェイン ユーモア傑作選』 マーク・トウェイン(彩流社)

    マーク・トウェイン ユーモア傑作選書名:マーク・トウェイン ユーモア傑作選著者:マーク・トウェイン訳者:有馬 容子、木内 徹出版社:彩流社ページ数:269おすすめ度:★★★☆☆本書『マーク・トウェイン ユーモア傑作選』は、マーク・トウェインの長短交えて9作品を収めている。文章量的には『そぞろ旅の気ままな覚書』と『ストームフィールド船長の天国訪問』の二つでおよそ8割を占めており、それ以外は格段に短い作品となってい...

  • 『エクトール・セルヴァダック』 ジュール・ヴェルヌ(インスクリプト)

    エクトール・セルヴァダック (ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション)書名:エクトール・セルヴァダック著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:石橋 正孝出版社:インスクリプトページ数:508おすすめ度:★★★★☆ヴェルヌの長編小説『エクトール・セルヴァダック』では、主人公たちの旅の行き先は太陽系、すなわち宇宙である。ヴェルヌの宇宙ものといえば有名な『月世界へ行く』があるが、同じ宇宙ものでも本書の内容はかけ離れており...

  • 『アーサー王宮廷のヤンキー』 マーク・トウェイン(角川文庫)

    トウェイン完訳コレクション アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫)書名:アーサー王宮廷のヤンキー著者:マーク・トウェイン訳者:大久保 博出版社:角川書店ページ数:573おすすめ度:★★★★★アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー マーク・トウェインコレクション (16)アーサー王宮廷のヤンキー (創元推理文庫)『アーサー王宮廷のヤンキー』は、マーク・トウェインの代表作とされることもある長編小説で、邦訳も何種類か存在して...

  • 『バック・ファンショーの葬式 他十三篇』 マーク・トウェイン(岩波文庫)

    バック・ファンショーの葬式 他13篇 (岩波文庫 赤 311-7)書名:バック・ファンショーの葬式 他十三篇著者:マーク・トウェイン訳者:坂下 昇出版社:岩波書店ページ数:206おすすめ度:★★★☆☆マーク・トウェインの初期の短編作品を集めた短編集が本書『バック・ファンショーの葬式 他十三篇』である。いずれもマーク・トウェインらしい作品を集めた短編集となっている。とある銀鉱の町における葬式をテーマとした『バック・ファンシ...

  • 『ジム・スマイリーの跳び蛙』 マーク・トウェイン(新潮文庫)

    ジム・スマイリーの跳び蛙: マーク・トウェイン傑作選 (新潮文庫)書名:ジム・スマイリーの跳び蛙 マーク・トウェイン傑作選著者:マーク・トウェイン訳者:柴田 元幸出版社:新潮社ページ数:255おすすめ度:★★★★☆マーク・トウェインの名を広く知らしめた出世作である表題作を含む13編を収めた短編集が本書『ジム・スマイリーの跳び蛙 マーク・トウェイン傑作選』である。作品の数でいえば、デタラメから成り立つほら話が中心で、...

  • 『人間とは何か』 マーク・トウェイン(角川文庫)

    トウェイン完訳コレクション 人間とは何か (角川文庫)書名:人間とは何か著者:マーク・トウェイン訳者:大久保 博出版社:角川書店ページ数:219おすすめ度:★★★★★マーク・トウェインの晩年の作品であり、哲学的な示唆に富む作品として有名なのが本書『人間とは何か』である。原題は

  • 『復楽園』 ミルトン(音羽書房鶴見書店)

    復楽園書名:復楽園著者:ジョン・ミルトン訳者:道家弘一郎出版社:音羽書房鶴見書店ページ数:166おすすめ度:★★★★☆ミルトンによって『失楽園』に続く作品として書かれた叙事詩が本書『復楽園』である。イエスがサタンの誘惑を退けることで人間たちに楽園が取り戻されることを描いた作品で、『失楽園』の続編的な位置付けではあるものの、必ずしも『失楽園』を読んでいなくても、これだけ単独で読んでも特に支障はないと思う。神...

  • 『失楽園』 ミルトン(岩波文庫)

    失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)書名:失楽園著者:ジョン・ミルトン訳者:平井 正穂出版社:岩波書店ページ数:443(上)、431(下)おすすめ度:★★★★★ミルトンの代名詞ともいえる叙事詩が本書『失楽園』である。ダンテの『神曲』と並び称される記念碑的な作品であり、サタンによる神への反逆と地獄落ち、アダムとイブのエデンからの追放という、キリスト教文化の根幹部分をテーマにした雄大この上ない叙...

  • 『王子と乞食』 マーク・トウェイン(KADOKAWA)

    王子と乞食書名:王子と乞食著者:マーク・トウェイン訳者:大久保 博出版社:角川書店ページ数:526おすすめ度:★★★★★『トム・ソーヤーの冒険』と『ハックルベリー・フィンの冒険』に次いで、マーク・トウェインの代表作としてよく名前が挙がる小説といえば本書『王子と乞食』だろう。16世紀のイギリスを舞台とした小説で、歴史小説とおとぎ話の中間のような、世代を問わずとても読みやすい作品になっている。ロンドンの場末で物...

  • 『ハックルベリー・フィンの冒険』 マーク・トウェイン(光文社古典新訳文庫)

    ハックルベリー・フィンの冒険(上) (光文社古典新訳文庫 Aト 4-2)ハックルベリー・フィンの冒険(下) (光文社古典新訳文庫 Aト 4-3)書名:ハックルベリー・フィンの冒険著者:マーク・トウェイン訳者:土屋 京子出版社:光文社ページ数:420(上)、412(下)おすすめ度:★★★★★ハックルベリー・フィンの冒険 上 (岩波文庫)ハックルベリィ・フィンの冒険 (新潮文庫)『ハックルベリー・フィンの冒険』は、マーク・トウェインの最高傑作と...

  • 『トム・ソーヤーの冒険』 マーク・トウェイン(光文社古典新訳文庫)

    トム・ソーヤーの冒険 (光文社古典新訳文庫)書名:トム・ソーヤーの冒険著者:マーク・トウェイン訳者:土屋 京子出版社:光文社ページ数:540おすすめ度:★★★★★マーク・トウェインの代表作といえば、何はともあれこの『トム・ソーヤーの冒険』だろう。実際には『ハックルベリー・フィンの冒険』と双璧を成しているというべきだろうが、物語の時系列的には『トム・ソーヤーの冒険』から先に読むことをお勧めしたい。トム・ソーヤー...

  • 『カトリアナ』 スティーブンソン(平凡社ライブラリー)

    カトリアナ: 続 デイビッド・バルフォアの冒険 (927;927) (平凡社ライブラリー す 14-2)書名:カトリアナ著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:佐復 秀樹出版社:平凡社ページ数:511おすすめ度:★★★★☆スティーブンソンの最晩年の作品となったのが本書『カトリアナ』である。前編にあたる『さらわれて』の最後の章でデイビッドが銀行に入り、『カトリアナ』の最初の章はその銀行から出てくるところから始まっているよう...

  • 『さらわれて』 スティーブンソン(平凡社ライブラリー)

    さらわれて (平凡社ライブラリー0923)書名:さらわれて著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:佐復 秀樹出版社:平凡社ページ数:414おすすめ度:★★★★★本書『さらわれて』は、スティーブンソンの最高傑作との呼び声の高い長編小説である。『バラントレーの若殿』と同様に18世紀のスコットランドにおける政治情勢を背景としており、実在の人間を数多く登場させつつ、スリリングな展開に様々な私欲や私怨も織り交ぜて、読者...

  • 『バラントレーの若殿』 スティーブンソン(岩波文庫)

    バラントレーの若殿 (岩波文庫 赤 242-9)書名:バラントレーの若殿著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:海保 眞夫出版社:岩波書店ページ数:438おすすめ度:★★★★☆『バラントレーの若殿』は、スティーブンソンの故郷であるスコットランドを舞台とした歴史小説である。作家にインスピレーションを与える歴史的事実はいくつかあったにせよ、登場人物も筋書きもバラントレーという地所も架空のものであり、作品自体はステ...

  • 『ペール・ギュント』 イプセン(論創社)

    ペール・ギュント (RONSO fantasy collection)書名:ペール・ギュント著者:ヘンリック・イプセン訳者:毛利 三彌出版社:論創社ページ数:130おすすめ度:★★★☆☆しばしばイプセンの代表作として扱われることがあるにもかかわらず、あまり翻訳が出回っていないのが本書『ペール・ギュント』である。論創ファンタジーコレクションの一冊として出版されているが、子供向けのファンタジーとはかけ離れていて、遍歴する主人公の内面をも...

  • 『幽霊』 イプセン(岩波文庫)

    幽霊 (岩波文庫 赤 750-4)書名:幽霊著者:ヘンリック・イプセン訳者:原 千代海出版社:岩波書店ページ数:163おすすめ度:★★★★☆本書『幽霊』は、イプセンが『人形の家』の次に発表した作品であり、戯曲作家として脂ののった時期のものといえる。本編は150ページ程度と比較的短く、手軽に読むことができる本だ。『幽霊』の登場人物はとても少なく、亡き夫の記念碑となる新たな孤児院を開こうとしているアルヴィング夫人、その息子...

  • 『ヘッダ・ガーブレル』 イプセン(岩波文庫)

    ヘッダ・ガーブレル (岩波文庫 赤 750-5)書名:ヘッダ・ガーブレル著者:ヘンリック・イプセン訳者:原 千代海出版社:岩波書店ページ数:203おすすめ度:★★★★★イプセンの代表的な戯曲の一つとして名高いのが本書『ヘッダ・ガーブレル』である。一般的に奥深い女性像を創造した作品として評価されているが、本書の読者であれば、この評価に大いに賛同することだろう。美しい妻であるヘッダと、その夫であるイェルゲンが、豪華な新...

  • 『マーカイム・壜の小鬼 他五篇』 スティーブンソン(岩波文庫)

    マーカイム・壜の小鬼 他五篇 (岩波文庫)書名:マーカイム・壜の小鬼 他五篇著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:高松 雄一、高松 禎子出版社:岩波書店ページ数:339おすすめ度:★★★★☆スティーブンソンの短編小説を七篇、初期から晩年に至るまで集めた短編集が本書『マーカイム・壜の小鬼 他五篇』である。収録作品のうち、『その夜の宿』と『天の摂理とギター』は、もともと『新アラビア夜話 第2部』に収められてい...

  • 『野鴨』 イプセン(岩波文庫)

    野鴨(イプセン) (岩波文庫 赤 750-3)書名:野鴨著者:ヘンリック・イプセン訳者:原 千代海出版社:岩波書店ページ数:234おすすめ度:★★★★★本書『野鴨』は、戯曲家としての名声を確固たるものにしていた頃のイプセンの作品の一つである。発表当時の批評には賛否両論があったようだが、イプセンの代表的な戯曲作品としてかつての文学全集に収められていたりと、現在では一般的にイプセンの作品の中でも名だたる傑作として評価され...

  • 『人形の家』 イプセン(岩波文庫)

    人形の家(イプセン) (岩波文庫 赤 750-1)書名:人形の家著者:ヘンリック・イプセン訳者:原 千代海出版社:岩波書店ページ数:198おすすめ度:★★★★★人形の家(新潮文庫)母国ノルウェーはもちろん、19世紀のヨーロッパを代表する戯曲家ともいえるイプセンの代表作といえば、やはりこの『人形の家』であり、それを証しするかのように、岩波文庫以外にも新潮文庫をはじめ複数の翻訳が出版されてきている。これまでいろいろな作家がこ...

  • 『魔法の庭・空を見上げる部族 他十四篇』 カルヴィーノ(岩波文庫)

    魔法の庭・空を見上げる部族 他十四篇 (岩波文庫)書名:魔法の庭・空を見上げる部族 他十四篇著者:イタロ・カルヴィーノ訳者:和田 忠彦出版社:岩波書店ページ数:258おすすめ度:★★★★☆カルヴィーノの初期短編を集めた短編集が本書『魔法の庭 空を見上げる部族 他十四篇』である。カルヴィーノの最初の短編集である『最後に鴉がやってくる』に収録されていて、国書刊行会から出ている『最後に鴉がやってくる』の翻訳には収録...

  • 『エミーリア・ガロッティ ミス・サラ・サンプソン』 レッシング(岩波文庫)

    書名:エミーリア・ガロッティ ミス・サラ・サンプソン著者:ゴットホルト・エフライム・レッシング訳者:田邊 玲子出版社:岩波書店ページ数:356おすすめ度:★★★★☆本書には、レッシングの戯曲『エミーリア・ガロッティ』と『ミス・サラ・サンプソン』の2編が収録されている。いずれの作品も、ドイツにおける啓蒙主義作家の代表ともいえるレッシングの性格をよく表している悲劇作品といえるだろう。アッピアーニ伯爵と結婚式を迎...

  • 『くもの巣の小道』 カルヴィーノ(ちくま文庫)

    くもの巣の小道: パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 (ちくま文庫 か 25-2)書名:くもの巣の小道著者:イタロ・カルヴィーノ訳者:米川 良夫出版社:筑摩書房ページ数:279おすすめ度:★★★★☆カルヴィーノの最初の長編小説にして、出世作ともなったのが本書『くもの巣の小道』である。「パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話」という副題が示すように、第二次世界大戦の後半の、イタリア北部におけるドイツ軍とパルチザ...

  • 『引き潮』 スティーブンソン(国書刊行会)

    引き潮書名:引き潮著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン、ロイド・オズボーン 訳者:駒月 雅子出版社:国書刊行会ページ数:265おすすめ度:★★★★☆44歳で短い生涯を閉じることになったスティーブンソンが最後に仕上げた長編小説となるのが、本書『引き潮』である。義理の息子であるロイド・オズボーンとの共作ではあるが、解説によると、本書の成立に関してはスティーブンソンのほうがより大きな役割を果たしていると言えそう...

  • 『賢者ナータン』 レッシング(光文社古典新訳文庫)

    賢者ナータン (光文社古典新訳文庫)書名:賢者ナータン著者:ゴットホルト・エフライム・レッシング訳者:丘沢 静也出版社:光文社ページ数:308おすすめ度:★★★★★劇作家でもあり、思想家としても知られるレッシングの代表的な戯曲作品が本書『賢者ナータン』である。日本ではあまり知られていないかもしれないが、ドイツではいまだに上演されることが多いようで、本書を一読すればその根強い人気も納得できるように思う。『賢者ナ...

  • 『ハテラス船長の航海と冒険』 ジュール・ヴェルヌ(インスクリプト)

    ハテラス船長の航海と冒険 (ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション)書名:ハテラス船長の航海と冒険著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:荒原 邦博出版社:インスクリプトページ数:645おすすめ度:★★★★☆『ハテラス船長の航海と冒険』は、ヴェルヌが作家として始動した最初期にあたる頃の長編作品の一つである。極寒の北極海に挑むイギリス人たちを描いた作品で、作品に何度も航海が、そして極地が登場するヴェルヌらしい小説とい...

  • 『子どもの詩の園』 スティーブンソン(KADOKAWA)

    子どもの詩の園書名:子どもの詩の園著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:ないとう りえこ出版社:KADOKAWA/メディアファクトリーページ数:119おすすめ度:★★★★☆本書『子どもの詩の園』は、スティーブンソンが自らの子供時代を思って書いた詩を集めた詩集である。スティーブンソンが詩も書いていたということが日本ではあまり知られていないかもしれないが、欧米では非常によく読まれているもののようだ。スティーブン...

  • 『眺海の館』 スティーブンソン(論創社)

    眺海の館 (論創海外ミステリ 237)書名:眺海の館著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:井伊順彦 編訳出版社:論創社ページ数:307おすすめ度:★★★★☆スティーブンソンの短編集である本書『眺海の館』は、『臨海楼綺譚 新アラビア夜話 第2部』に収録されている4編と、作家の没後出版となった作品である『寓話』、『宿なし女』、『慈善市』を収めている。何を隠そう、本書の表題作である『眺海の館』は、実は『臨海楼綺譚 ...

  • 『爆弾魔 続・新アラビア夜話』 スティーブンソン(国書刊行会)

    爆弾魔: 続・新アラビア夜話書名:爆弾魔 続・新アラビア夜話著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン、ファニー・スティーヴンソン訳者:南條 竹則出版社:国書刊行会ページ数:318おすすめ度:★★★☆☆『新アラビア夜話』第1部の続編として書かれたのが本書『爆弾魔 続・新アラビア夜話』である。アラビアンナイト的な手法はさほど感じられず、むしろ古風な入れ子構造の枠物語となっている。また、スティーブンソンの作品では珍し...

  • 『シェイクスピアの記憶』 ボルヘス(岩波文庫)

    シェイクスピアの記憶 (岩波文庫 赤792-10)書名:シェイクスピアの記憶著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス訳者:内田 兆史、鼓 直出版社:岩波書店ページ数:158おすすめ度:★★★★☆ボルヘス後期の短編小説4編を集めた作品集が本書『シェイクスピアの記憶』である。表題作である『シェイクスピアの記憶』は、本邦初訳となるボルヘス最晩年の作品の一つであり、ましてシェイクスピアをテーマにした作品ということで、ボルヘスのファンに...

  • 『臨海楼綺譚 新アラビア夜話 第2部』 スティーブンソン(光文社古典新訳文庫)

    臨海楼綺譚 新アラビア夜話第二部 (光文社古典新訳文庫)書名:臨海楼綺譚 新アラビア夜話 第2部著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:南條 竹則出版社:光文社ページ数:288おすすめ度:★★★★☆本書『臨海楼綺譚』は「新アラビア夜話 第2部」と銘打たれてはいるものの、実は第1部との内容的なつながりはまったくなく、さらにはアラビア人の原著者の作品を翻訳したものであるという、第1部で用いられたアラビアンナイト風の...

  • 『新アラビア夜話』 スティーブンソン(光文社古典新訳文庫)

    新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-1)書名:新アラビア夜話著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:南條 竹則出版社:光文社ページ数:303おすすめ度:★★★★☆『新アラビア夜話』は、スティーブンソンによる短編小説7編を収めた作品集である。原題は

  • 『宝島』 スティーヴンソン(光文社古典新訳文庫)

    宝島 (光文社古典新訳文庫)書名:宝島著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:村上 博基出版社:光文社ページ数:413おすすめ度:★★★★★『ジーキル博士とハイド氏』に並ぶスティーヴンソンの代表作にして、彼の出世作となった小説が本書『宝島』である。孤島に隠された海賊の財宝を探すという、冒険小説のお手本のような筋書きであり、その抜群の知名度と絶大な人気が示している通り、面白い本であることは間違いないといえ...

  • 『ジーキル博士とハイド氏』 スティーヴンソン(光文社古典新訳文庫)

    ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-3)書名:ジーキル博士とハイド氏著者:ロバート・ルイス・スティーヴンソン訳者:村上 博基出版社:光文社ページ数:159おすすめ度:★★★★★スティーヴンソンの代表作といえば、言わずと知れたこの『ジーキル博士とハイド氏』である。作者であるスティーヴンソンの名前は知らなくても、作品名は誰もが知っている超の付く有名作品なので、読んで損はないだろう。『ジーキル博士とハ...

  • 『不在の騎士』 カルヴィーノ(白水Uブックス)

    不在の騎士 (白水Uブックス)書名:不在の騎士著者:イタロ・カルヴィーノ訳者:米川 良夫出版社:白水社ページ数:219おすすめ度:★★★★☆『まっぷたつの子爵』と『木のぼり男爵』と合わせて、カルヴィーノの「我々の祖先」三部作を成しているのが本書『不在の騎士』である。「我々の祖先」三部作の中では一番最後に書かれた作品であるが、カルヴィーノが後から三部作にまとめたことでもあるし、読む順番は気にする必要がないと思う...

  • 『イタリア紀行 - 1817年のローマ、ナポリ、フィレンツェ』 スタンダール(新評論)

    イタリア紀行: 1817年のローマ,ナポリ,フィレンツェ書名:イタリア紀行 - 1817年のローマ、ナポリ、フィレンツェ著者:スタンダール訳者:臼田 紘出版社:新評論ページ数:295おすすめ度:★★★☆☆スタンダールが1816年から1817年にかけてのイタリア滞在について書いたのが本書『イタリア紀行 - 1817年のローマ、ナポリ、フィレンツェ』だ。1817年はナポレオン没落後に当たっており、検閲を意識したスタンダールの書き方が時代を感じ...

  • 『木のぼり男爵』 カルヴィーノ(白水Uブックス)

    木のぼり男爵 (白水Uブックス)書名:木のぼり男爵著者:イタロ・カルヴィーノ訳者:米川 良夫出版社:白水社ページ数:347おすすめ度:★★★★☆『木のぼり男爵』はカルヴィーノ初期の長編作品である。「我々の祖先」三部作の一作品であるが、三つの作品のストーリーに直接的な関係はなく、ほとんど読む順番を気にする必要はないので、どの作品から読み始めても構わないように思う。イタリアはリグリア地方のとある男爵家の長男コジモ...

  • 『最後に鴉がやってくる』 カルヴィーノ(国書刊行会)

    最後に鴉がやってくる (短篇小説の快楽)書名:最後に鴉がやってくる著者:イタロ・カルヴィーノ訳者:関口 英子出版社:国書刊行会ページ数:332おすすめ度:★★★★☆本書『最後に鴉がやってくる』は、カルヴィーノが作家生活を始めた頃の作品を中心に集めた短編集である。ただし、本書はカルヴィーノの短編集として出版された『最後に鴉がやってくる』の収録作品30篇をそのまま全編翻訳したものでなく、そこから既に日本語訳の出回っ...

  • 『まっぷたつの子爵』 カルヴィーノ(岩波文庫)

    まっぷたつの子爵 (岩波文庫)書名:まっぷたつの子爵著者:イタロ・カルヴィーノ訳者:河島 英昭出版社:岩波書店ページ数:169おすすめ度:★★★★★本書『まっぷたつの子爵』は、カルヴィーノの代表的な長編小説の一つとされている。カルヴィーノ初期の作品で、彼が得意とする寓話的な読みやすい物語であり、老若男女を問わず楽しめる作品となっている。トルコとの戦争に赴いた年若いイタリアの貴族メダルド子爵は、戦いの最中にトル...

  • 『郷愁のイタリア』 ヘンリー・ジェイムズ(図書出版社)

    郷愁のイタリア (海外旅行選書)書名:郷愁のイタリア著者:ヘンリー・ジェイムズ訳者:千葉 雄一郎出版社:図書出版社ページ数:332おすすめ度:★★★☆☆イタリアをこよなく愛し、何度も訪れていたヘンリー・ジェイムズによる紀行文が本書『郷愁のイタリア』である。原題は

  • 『ロデリック・ハドソン』 ヘンリー・ジェイムズ(講談社文芸文庫)

    ロデリック・ハドソン (講談社文芸文庫)書名:ロデリック・ハドソン著者:ヘンリー・ジェイムズ訳者:行方 昭夫出版社:講談社ページ数:613おすすめ度:★★★★★ヘンリー・ジェイムズの長編第一作目となるのが本書『ロデリック・ハドソン』である。アメリカとヨーロッパの対比、身分や財産とそれに伴う結婚問題、さらには芸術家と芸術作品といった、ジェイムズの小説世界に欠かせないエッセンスが存分に詰まった小説となっている。教...

  • 『魔法つかいの弟子』 ゲーテ(理論社)

    ゲーテショートセレクション 魔法つかいの弟子 (世界ショートセレクション 17)書名:魔法つかいの弟子著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ訳者:酒寄 進一出版社:理論社ページ数:206おすすめ度:★★★☆☆ゲーテのショートセレクションとして、散文作品3点、韻文作品6点を収めているのが本書『魔法つかいの弟子』である。ゲーテの作品の中からファンタジー的な要素のある作品を集めており、ゲーテに魔術的なものを好む傾向...

  • 『タウリスのイフィゲーニエ』 ゲーテ(作品社)

    若きヴェルターの悩み/タウリスのイフィゲーニエ書名:タウリスのイフィゲーニエ著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ訳者:大宮勘一郎出版社:作品社ページ数:401おすすめ度:★★★★☆本書『タウリスのイフィゲーニエ』は、ゲーテの戯曲作品の一つである。本書は『若きヴェルターの悩み』との併録となっているが、紹介としては翻訳の少ない『タウリスのイフィゲーニエ』に絞りたい。トロイ戦争に向かうギリシア方の軍勢の...

  • 『イタリア日記(1811)』 スタンダール(新評論)

    イタリア日記(1811)書名:イタリア日記(1811)著者:スタンダール訳者:臼田 紘出版社:新評論ページ数:222おすすめ度:★★☆☆☆スタンダールが1811年にイタリアを訪れた際の日記が本書『イタリア日記(1811)』だ。スタンダールはイタリアを何度も訪れたり、イタリアに住んだりもしていて、何種類かの紀行文が出版されているため、それらと明確に区別をするために、わざわざ1811年という但し書きが付けられているのである。1811年とい...

  • 『シャーンドル・マーチャーシュ』 ジュール・ヴェルヌ(幻戯書房)

    シャーンドル・マーチャーシュ: 地中海の冒険 (上) (ルリユール叢書)シャーンドル・マーチャーシュ: 地中海の冒険 (下) (ルリユール叢書)書名:シャーンドル・マーチャーシュ著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:三枝大修出版社:幻戯書房ページ数:453(上)、375(下)おすすめ度:★★★★★ヴェルヌの冒険物語である本書『シャーンドル・マーチャーシュ』は、以前は『アドリア海の復讐』というタイトルで知られていた作品であるが、それを原...

  • 『イタリア紀行』 ゲーテ(岩波文庫)

    イタリア紀行(上) (岩波文庫 赤405-9)イタリア紀行 中 (岩波文庫 赤 406-0)書名:イタリア紀行著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ訳者:相良守峰出版社:岩波書店ページ数:271(上)、247(中)、324(下)おすすめ度:★★★★☆30代後半のゲーテが、自身の精神的危機とでもいう状況から脱却すべく、ワイマールでの官僚として勤務する日々を投げ捨てて憧れのイタリアに旅立った際の旅の記録が本書『イタリア紀行』で、イタリアで...

  • 『糸繰り女』 バルザック(鳥影社)

    糸繰り女書名:糸繰り女著者:オノレ・ド・バルザック訳者:石井 晴一出版社:鳥影社ページ数:66おすすめ度:★★★★☆本書『糸繰り女』は、「シャルル・ペロー風の小説」という副題の付されていることからも察せられるように、バルザックの書いたおとぎ話である。バルザックが『艶笑滑稽譚』のために書き溜めていたものの、バルザックの死後に『艶笑滑稽譚』が編纂される際に収録から漏れた作品とのことで、作風としては『艶笑滑稽譚...

  • 『エドゥアール・マネを見つめて』 エミール・ゾラ(東京書籍)

    エドゥアール・マネを見つめて (Artist by Artist)書名:エドゥアール・マネを見つめて著者:エミール・ゾラ訳者:林 卓行、神田 由布子出版社:東京書籍ページ数:175おすすめ度:★★★★☆同時代のパリに生き、直接の親交もあったゾラとマネであるが、ゾラが書いたマネに関する評論を収めたのが本書『エドゥアール・マネを見つめて』である。19世紀を代表する作家ゾラが書いた、19世紀を代表する画家マネの評論ということで、大いに...

  • 『猫の楽園』 エミール・ゾラ(理論社)

    ゾラ ショートセレクション 猫の楽園 (世界ショートセレクション 7)書名:猫の楽園著者:エミール・ゾラ訳者:平岡 敦出版社:理論社ページ数:222おすすめ度:★★★☆☆世界ショートセレクションというシリーズの7冊目として出されているゾラの短編小説集が本書『猫の楽園』である。これまでに他社から出されているゾラの短編小説集と収録作品の重複は多いが、それだけ有名どころを押さえているとは言えそうだ。本書には、『アンジュ...

  • 『古城哀詩』 バイロン(桐原書店)

    古城哀詩 (1984年)書名:古城哀詩著者:ジョージ・ゴードン・バイロン訳者:岡本 成蹊出版社:桐原書店ページ数:96おすすめ度:★★★★☆バイロンの優れた叙事詩2点、『シヨンの囚人』と『悲恋-パリシナ』を収録しているのが本書『古城哀詩』である。なぜ本のタイトルを素直に『シヨンの囚人』とせず、このようなまわりくどいものとしたのかはよくわからないが、収録されている作品は大いに読み応えがある本である。『シヨンの囚人』...

  • 『バイロン詩集 ヘブライのうた』 バイロン(鳥影社)

    バイロン詩集 ─ヘブライのうた─書名:バイロン詩集 ヘブライのうた著者:ジョージ・ゴードン・バイロン訳者:藤井 仁奈出版社:鳥影社ページ数:187おすすめ度:★★★☆☆これまで日本ではあまり脚光を浴びてこなかったバイロンの詩集『ヘブライのうた』の本邦初の完訳版が本書である。さほど文章量が多くないのが残念ではあるのだが、その反面、イラストレーターの手がけた挿絵も豊富に入っており、すらすら読める本に仕上がっている...

  • 『「人間喜劇」総序・金色の眼の娘』 バルザック(岩波文庫)

    「人間喜劇」総序・金色の眼の娘 (岩波文庫 赤530-15)書名:「人間喜劇」総序・金色の眼の娘著者:オノレ・ド・バルザック訳者:西川 祐子出版社:岩波書店ページ数:320おすすめ度:★★★☆☆岩波文庫から新たに刊行されたバルザック作品が本書『「人間喜劇」総序・金色の眼の娘』である。いずれもバルザック作品の中ではあまりメジャーなほうではないと思うが、既訳のある作品2点を合わせて文庫化したものとなる。「人間喜劇」がいか...

  • 『皇帝の密使ミハイル・ストロゴフ』 ジュール・ヴェルヌ(パシフィカ)

    書名:皇帝の密使ミハイル・ストロゴフ著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:江口 清出版社:パシフィカページ数:321おすすめ度:★★★★☆ヴェルヌの長編小説である『皇帝の密使ミハイル・ストロゴフ』は、そのタイトルからも推測できるようにロシアを舞台とした作品である。皇帝の密使が数々の困難に出会いながら目的地を目指すという物語で、ヴェルヌの代名詞とでもいうべき旅をテーマとした作品の一種といえるだろう。タタール人の軍勢...

  • 『二十世紀のパリ』 ジュール・ヴェルヌ(集英社)

    書名:二十世紀のパリ著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:榊原晃三出版社:集英社ページ数:246おすすめ度:★★★☆☆本書『二十世紀のパリ』はヴェルヌ最初期の作品で、出版を断られたために生前には刊行されず、長らくその作品名だけが知られているといういわば幻の作品だったが、ヴェルヌの死後しばらく経ってからたまたま原稿が発見されるという、何とも魅惑的なエピソードを持つ作品である。今となっては過去の時代のことではあるが、...

  • 『グラント船長の子供たち』 ジュール・ヴェルヌ()

    書名:グラント船長の子供たち著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:大久保 和郎出版社:ブッキングページ数:364(上)、342(下)おすすめ度:★★★★☆『グラント船長の子供たち』はヴェルヌの長編作品で、南洋のどこかで行方不明になったグラント船長を探し求めるという壮大な物語である。ヴェルヌらしいといえばヴェルヌらしいことだが、その舞台となる南アメリカ、オーストラリア、そしてニュージーランドに関するうんちくが豊富で、そ...

  • 『ラスト・タイクーン』 フィッツジェラルド(作品社)

    書名:ラスト・タイクーン著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:上岡伸雄出版社:作品社ページ数:411おすすめ度:★★★★☆フィッツジェラルドの最後の長編小説にして、未完の作品となったのが本書『ラスト・タイクーン』である。フィッツジェラルド自身が人生の終盤を過ごしていたハリウッドを舞台にした作品で、フィッツジェラルドならではの哀愁や耽美的な筆致が存分に味わえる作品となっている。的確な判断力や優れたセンスを...

  • 『サンソン回想録』 バルザック(国書刊行会)

    書名:サンソン回想録著者:オノレ・ド・バルザック訳者:安達 正勝出版社:国書刊行会ページ数:329おすすめ度:★★★☆☆本書『サンソン回想録』は、バルザックが小説家として大成する前の若い頃の作品で、代々パリで死刑執行人を務めてきているサンソン一家の四代目当主の回想録を、バルザックが意外にも別の作家との共著として書いた作品となっている。本書ではバルザックの書いた部分が訳出されていて、人間喜劇に含まれないマイ...

  • 『ヘンリー・ジェイムズ短篇傑作選』 ヘンリー・ジェイムズ(英潮社)

    書名:ヘンリー・ジェイムズ短篇傑作選著者:ヘンリー・ジェイムズ訳者:多田 敏男出版社:英潮社ページ数:367おすすめ度:★★★★☆ジェイムズの短編作品を四編収めているのが本書『ヘンリー・ジェイムズ短篇傑作選』である。『パンドラ』、『パタゴニア号』、『コクソン基金』、『ジュリア・ブライド』の四編が収められていて、いずれも読みごたえのある作品となっている。『パンドラ』は、ヨーロッパの保守派の代表ともいえるドイ...

  • 『後見人と被後見人』 ヘンリー・ジェイムズ(大阪教育図書)

    書名:後見人と被後見人著者:ヘンリー・ジェイムズ訳者:齊藤園子出版社:大阪教育図書ページ数:258おすすめ度:★★★☆☆ジェイムズ最初の長編小説が本書『後見人と被後見人』である。これまであまり注目を集めてはこなかった作品で、本邦初訳となるようだ。事実、後年のジェイムズ自身による作品の評価も決して高くなかったようではあるが、当然ながらジェイムズらしさ、それも後期の難解さを帯びていないジェイムズらしさが出てい...

  • 『夜はやさし』 フィッツジェラルド(作品社)

    書名:夜はやさし著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:森 慎一郎出版社:作品社ページ数:600おすすめ度:★★★★☆フィッツジェラルドが完成させた最後の長編小説となったのが本書『夜はやさし』である。作家としての再起をかけてフィッツジェラルドが取り組んだ作品であるが、その割りに当時の評価は芳しくなく、後年になってから評価を上げていった作品でもある。美貌を武器にハリウッドで映画出演し、一躍知名度の上がった駆...

  • 『鼻持ちならぬバシントン』 サキ(彩流社)

    書名:鼻持ちならぬバシントン著者:サキ訳者:花輪 涼子出版社:彩流社ページ数:240おすすめ度:★★★☆☆サキの数少ない長編小説の一つが本書『鼻持ちならぬバシントン』である。傲慢この上ないイギリス上流社会に対して皮肉な目線に満ちている点は、いかにもサキらしい筆致であるといえる。他人を引きつけるほどの美しい容姿を備えてはいるものの、とことん自己本位で他人を思いやる心の欠けているバシントン青年。上流を気取りな...

  • 『スコット・フィッツジェラルド作品集』 フィッツジェラルド(響文社)

    書名:スコット・フィッツジェラルド作品集著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:中田耕治 他出版社:響文社ページ数:433おすすめ度:★★★★☆フィッツジェラルドの短編小説とエッセイを集めた作品集がこの『スコット・フィッツジェラルド作品集』である。フィッツジェラルドの作品が幅広いジャンルにわたって紹介されている一冊となっている。本書には、副題にもなっている『わが失われし街』に加えて、『再びバビロンで』、『...

  • 『ウィリアムが来た時』 サキ(国書刊行会)

    書名:ウィリアムが来た時著者:サキ訳者:深町 悟出版社:国書刊行会ページ数:297おすすめ度:★★★★☆短編の名手として知られるサキの数少ない長編小説の一つがこの『ウィリアムが来た時』である。「ホーエンツォレルン家に支配されたロンドンの物語」という副題が如実に語っている通り、ドイツに戦争で敗れたイギリスが本国を占領されたという設定の物語となっている。本邦初訳ということで、サキのファンには待望の一冊といえる...

  • 『美しく呪われた人たち』 フィッツジェラルド(作品社)

    書名:美しく呪われた人たち著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:上岡 伸雄出版社:作品社ページ数:484おすすめ度:★★★☆☆フィッツジェラルドの二作品目となる長編小説が本書『美しく呪われた人たち』である。『楽園のこちら側』と『グレート・ギャツビー』の間に書かれた作品であるにもかかわらず等閑視されがちな長編作品で、2019年になってようやく本邦初訳されたようだ。大富豪を祖父に持つアンソニー・パッチは、ニュー...

  • 『パット・ホビー物語』 フィッツジェラルド(風濤社)

    書名:パット・ホビー物語著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:井伊順彦、今村楯夫 他出版社:風濤社ページ数:253おすすめ度:★★★☆☆フィッツジェラルド晩年の短編小説を集めたのが本書『パット・ホビー物語』である。すでに映画産業の中心地となっていたハリウッドにパット・ホビーという哀愁あふれる主人公を据えた連作で、これまで断片的に邦訳されることはあっても、すべてをまとめて翻訳されるのは初めてという、フィッ...

  • 『神秘の島』 ジュール・ヴェルヌ(偕成社文庫)

    書名:神秘の島著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:大友 徳明出版社:偕成社ページ数:394(上)、394(中)、396(下)おすすめ度:★★★★★ ヴェルヌの代表作の一つにも数えられる長編冒険小説が本書『神秘の島』である。『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』としてハリウッドで映画化もされているが、これは原作に忠実な映画化とは言い難く、あくまでインスピレーション源として機能した程度にとどまっているようだ。アメリカ...

  • 『序曲』 ワーズワース(国文社)

    書名:序曲著者:ウィリアム・ワーズワース訳者:岡 三郎出版社:国文社ページ数:583おすすめ度:★★★★★「詩人の魂の成長」という副題が如実に示すように、ワーズワースが自身の精神史を綴った長編詩がこの『序曲』である。親友であるコールリッジに語りかけるというスタイルで書かれていて、湖水地方で生まれ育ったワーズワースが自然を愛するようにと育っていく様が見事に描き出されている。『序曲』は、ワーズワースが幼少の頃...

  • 『ワーズワース詩集』 ワーズワース(岩波文庫)

    書名:ワーズワース詩集著者:ウィリアム・ワーズワース訳者:田部重治出版社:岩波書店ページ数:225おすすめ度:★★★★☆ワーズワースの詩集として長いこと読まれ続けているのが、この岩波文庫の『ワーズワース詩集』である。改版を経てはいるものの、初版は1938年というのだから、大いに時代を感じさせる訳業といえる。当然ながら訳文は古めかしいものなので、それが詩にある種の荘重さを加えているのは事実であるが、読みやすさの...

  • 『マイ・ロスト・シティー』 フィッツジェラルド(中央公論新社)

    書名:村上春樹翻訳ライブラリー マイ・ロスト・シティー著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:村上春樹出版社:中央公論新社ページ数:280おすすめ度:★★★★☆フィッツジェラルドの短編小説を中心に編まれた作品集が本書『マイ・ロスト・シティー』である。短編集ではなく作品集という呼び名がふさわしいのは、表題作である『マイ・ロスト・シティー』がエッセイであることに加え、訳者である村上春樹によるエッセイも収められ...

  • 『フィツジェラルド短編集』 フィッツジェラルド(新潮文庫)

    書名:フィツジェラルド短編集著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:野崎 孝出版社:新潮社ページ数:291おすすめ度:★★★★☆新潮文庫の『フィツジェラルド短編集』は、有名どころを中心に短編六編を収めている。残念なことに本書の収録作品は村上春樹が翻訳している作品とかなり重複しているのだが、代表的な作品はすでに村上訳が存在していることを思えばこれは仕方のないことであろうし、作品の質のむらを指摘されることの多...

  • 『名を捨てた家族』 ジュール・ヴェルヌ(彩流社)

    書名:名を捨てた家族著者:ジュール・ヴェルヌ訳者:大矢 タカヤス出版社:彩流社ページ数:367おすすめ度:★★★★☆一般的なヴェルヌのイメージからは少し外れることと思うが、本書『名を捨てた家族』は歴史小説であり、訳者が付した「1837-38年 ケベックの叛乱」から推測できるように、イギリスの支配下にあるカナダでのフランス系住民による叛乱をテーマとしている。史実をベースにしつつ、ヴェルヌが架空の登場人物をそこにはめ...

  • 『昔も今も』 モーム(ちくま文庫)

    書名:昔も今も著者:ウィリアム・サマセット・モーム訳者:天野隆司出版社:筑摩書房ページ数:371おすすめ度:★★★★☆ モーム晩年の長編小説にして、モームには珍しい歴史小説が本書『昔も今も』である。政治的・軍事的な勢力図が目まぐるしく変わり続けていた1500年代前半のイタリアを舞台としていて、主人公は『君主論』で知られるかの有名なマキアヴェリであり、そしてマキアヴェリが対するのは、権謀術数の代名詞のようなチ...

  • 『若者はみな悲しい』 フィッツジェラルド(光文社古典新訳文庫)

    書名:若者はみな悲しい著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:小川 高義出版社:光文社ページ数:413おすすめ度:★★★★☆本書『若者はみな悲しい』は、フィッツジェラルドが生前出版していた短編集の全訳である。フィッツジェラルドの場合、短編集は訳者が作品を選んで編まれることが多く、フィッツジェラルドの自選短編集が全訳されることは少ないので、文庫本でオリジナルの短編集に接することができるというのはとてもありが...

  • 『バビロンに帰る』 フィッツジェラルド(中央公論新社)

    書名:バビロンに帰る著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:村上春樹出版社:中央公論新社ページ数:355おすすめ度:★★★★☆本書『バビロンに帰る』は村上春樹翻訳によるフィッツジェラルドの短編集である。大いに読み応えのある『バビロンに帰る』が収められているというだけでも、手にする価値がある本といえるように思う。本書には『バビロンに帰る』に加えて、『ジェリービーン』、『カットグラスの鉢』、『結婚パーティー』...

  • 『ある作家の夕刻』 フィッツジェラルド(中央公論新社)

    書名:ある作家の夕刻著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:村上春樹出版社:中央公論新社ページ数:332おすすめ度:★★★★☆フィッツジェラルド後期の短編小説とエッセイを集めた作品集がこの『ある作家の夕刻』である。同じく村上春樹訳であり、フィッツジェラルドの若き日の作品集である『冬の夢』と対をなす一冊となっている。本書には八編の短編小説と、五編のエッセイが収録されている。ヨーロッパを旅する若きアメリカ人夫...

  • 『冬の夢』 フィッツジェラルド(中央公論新社)

    書名:村上春樹翻訳ライブラリー 冬の夢 著者:村上春樹訳者:スコット・フィッツジェラルド出版社:中央公論新社ページ数:353おすすめ度:★★★★☆作家生活が決して長くはなかったフィッツジェラルドではあるが、そんな彼の比較的若い頃の作品を集めたのが本書『冬の夢』だ。いずれも彼の代表作である『グレート・ギャツビー』以前に発表されていたもので、随所にその萌芽を見出すことができる短編集となっている。本書には表題と...

  • 『楽園のこちら側』 フィッツジェラルド(花泉社)

    書名:楽園のこちら側著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:朝比奈 武出版社:花泉社ページ数:432おすすめ度:★★★☆☆フィッツジェラルドのデビュー作であり、同時に出世作ともなった長編小説が本書『楽園のこちら側』である。主人公の幼年期から青年期に至るまでの成長を描いた、ドイツ文学でいうところの教養小説のような作品といえる。フィッツジェラルドの自伝的要素も多く含まれているので、フィッツジェラルドに興味のあ...

  • 『ベンジャミン・バトン』 フィッツジェラルド(イースト・プレス)

    書名:ベンジャミン・バトン著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:都甲幸治出版社:イースト・プレスページ数:92おすすめ度:★★★★☆ フィッツジェラルドの作品の中ではあまり脚光を浴びることのなかった『ベンジャミン・バトン』だが、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットという二大スターを迎えての映画化によって、一躍有名な作品に躍り出ることになった。それにしても、いまだに『ベンジャミン・バトン』が『グレ...

  • 『グレート・ギャツビー』 フィッツジェラルド(新潮文庫)

    書名:グレート・ギャツビー著者:スコット・フィッツジェラルド訳者:野崎 孝出版社:新潮社ページ数:262おすすめ度:★★★★★ 言わずと知れたフィッツジェラルドの代表作であり、20世紀のアメリカ文学を代表する小説でもあるのがこの『グレート・ギャツビー』である。有名な古典的作品だけあって古くから翻訳の種類が豊富な上に新訳も出ており、村上春樹が賞賛し、自ら翻訳していることでも知られている作品だ。語り手の青...

  • 『湖水地方案内』 ワーズワース(法政大学出版局)

    書名:湖水地方案内著者:ウィリアム・ワーズワース訳者:小田 友弥出版社:法政大学出版局ページ数:222おすすめ度:★★★☆☆ワーズワースの生涯のみならず、彼の作品とも切っても切れない縁にある湖水地方を、ワーズワースが散文で紹介しているのが本書『湖水地方案内』である。建前としては湖水地方を観光で訪れる人向けの本ではあるものの、もちろん単に名所を連ねたガイドブックではない。自作の詩だけではなく、コールリッジか...

  • 『ゲーテ全集 4 ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』 ゲーテ(潮出版社)

    書名:ゲーテ全集 4 ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ訳者:中田美喜 他出版社:潮出版社ページ数:454おすすめ度:★★★★☆ゲーテの戯曲のうち、若い頃の作品を集めたのが本書『ゲーテ全集 4 ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』である。量から言っても質から言っても、『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』と『エグモント』を中心とした本といえる。本書には、現存するゲーテ最初の戯曲で...

  • 『対訳 ワーズワス詩集』 ワーズワース(岩波文庫)

    書名:対訳 ワーズワス詩集著者:ウィリアム・ワーズワース訳者:山内久明出版社:岩波書店ページ数:210おすすめ度:★★★★☆イギリスのロマン主義の代表的な詩人であるワーズワースの詩集が本書『対訳 ワーズワス詩集』である。岩波文庫の対訳シリーズの一冊で、左ページに原文が、右ページに訳文が載っていて、見開きで対訳となっている。抜粋とならざるを得ない長い詩もあるとはいえ、限られた紙幅の割りにワーズワースの有名な詩...

  • 『床屋コックスの日記/馬丁粋語録』 サッカレー(岩波文庫)

    書名:床屋コックスの日記/馬丁粋語録著者:ウィリアム・メイクピース・サッカレー訳者:平井呈一出版社:岩波書店ページ数:220おすすめ度:★★★★☆サッカレーが『虚栄の市』の発表以前に雑誌に投稿していた作品を収めたのが本書『床屋コックスの日記/馬丁粋語録』である。物語の性格上、これといった深みはないが、サッカレーらしいユーモアセンスと風刺精神を満喫することのできる一冊となっている。『床屋コックスの日記』は、し...

  • 『虚栄の市』 サッカレー(岩波文庫)

    書名:虚栄の市著者:ウィリアム・メイクピース・サッカレー訳者:中島 賢二出版社:岩波書店ページ数:434(一)、447(二)、446(三)、411(四)おすすめ度:★★★★★サッカレーの出世作であり、代表作ともなった長編小説が本書『虚栄の市』である。ヴィクトリア朝を代表する作家としてディケンズと並び称されることもあるサッカレーであるが、『虚栄の市』を読んだ方であれば、それも納得できるに違いない。作風はディケンズに似...

  • 『ボードレール』 テオフィル・ゴーティエ(国書刊行会)

    書名:ボードレール著者:テオフィル・ゴーティエ訳者:井村 実名子出版社:国書刊行会ページ数:243おすすめ度:★★★★☆ボードレールの死後に刊行が進められていたボードレール全集にゴーティエが寄せた序文がこの『ボードレール』である。個人的な繋がりも強く、ボードレールが師と仰いでいたゴーティエによって書かれたボードレール論は、言うまでもなく非常に興味深いものがある。ボードレールの主著である『悪の華』を中心に書...

  • 『パリの憂愁』 ボードレール(岩波文庫)

    書名:パリの憂愁著者:シャルル・ボードレール訳者:福永武彦出版社:岩波書店ページ数:251おすすめ度:★★★★☆ボードレールの散文詩集が本書『パリの憂愁』である。本書でボードレールが取り上げた主題は、『悪の華』と比べると多少狭められた感はあるものの基本的にはそれほど変わりがなく、続編のような印象すら与える一冊となっている。『パリの憂愁』には、五十編の散文詩が収められている。当時のパリに暮らす不遇の人たち、...

  • 『悪の華』 ボードレール(岩波文庫)

    書名:悪の華著者:シャルル・ボードレール訳者:鈴木信太郎出版社:岩波書店ページ数:480おすすめ度:★★★★☆本書は、ボードレールの詩人としての活動の集大成となる詩集『悪の華』の全訳である。彼が詩で取り扱う題材が古典的な王道からは外れているだけに、ひょっとすると好き嫌いが分かれてしまうかもしれないが、後世への影響力の大きさから考えれば比肩することのできる詩人のいない偉大なボードレールの主著がこの『悪の華』...

  • 『クルンバーの謎』 コナン・ドイル(創元推理文庫)

    書名:クルンバーの謎著者:アーサー・コナン・ドイル訳者:北原尚彦、西崎憲出版社:東京創元社ページ数:333おすすめ度:★★★★☆ドイルの作品集である『クルンバーの謎』には五つの作品が収められている。いずれもドイルの怪奇趣味が存分に発揮されている作品ばかりで、ミステリアスなストーリーには誰もが引き込まれることだろう。古代エジプトを深く研究し、部屋にはパピルスやミイラまで集めているオックスフォード学生の不審な...

  • 『ラウンド・ザ・レッドランプ』 コナン・ドイル(文芸社)

    書名:ラウンド・ザ・レッドランプ著者:アーサー・コナン・ドイル訳者:白阪 玲麻出版社:文芸社ページ数:280おすすめ度:★★★★☆コナン・ドイルの医者にまつわる短編小説を集めたのが本書『ラウンド・ザ・レッドランプ』である。一部の収録作品は除外されたらしいが、ドイルが編んだ十五編のうち十二編が収められており、概ね原書に近いラインナップといえる。『ラウンド・ザ・レッドランプ』というタイトルを聞いても、それが何...

  • 『クロックスリーの王者 コナン・ドイル・ストーリーズ1』 コナン・ドイル()

    書名:クロックスリーの王者 コナン・ドイル・ストーリーズ1著者:アーサー・コナン・ドイル訳者:岩佐薫子出版社:柏艪舎ページ数:208おすすめ度:★★★★☆コナン・ドイルの短編集『クロックスリーの王者 コナン・ドイル・ストーリーズ1』は、ボクシングかキツネ狩りかのいずれかをテーマとした作品を集めた短編集である。どれくらい忠実にそのテーマに沿っているかは作品ごとにかなりのばらつきがあるものの、そのおかげで収録作品...

  • 『ドイル傑作集 3 恐怖編』 コナン・ドイル(新潮文庫)

    書名:ドイル傑作集 3 恐怖編著者:アーサー・コナン・ドイル訳者:延原 謙出版社:新潮社ページ数:175おすすめ度:★★★★☆新潮文庫のコナン・ドイル傑作集、三巻目は「恐怖編」である。ホームズシリーズ以外のドイルの短編の中では比較的有名な作品も入っているので、興味のある方には一読をお勧めしたい。本書には『大空の恐怖』、『皮の漏斗』、『新しい地下墓地』、『サノクス令夫人』、『青の洞窟の怪』、『ブラジル猫』の六編...

  • 『ドイル傑作集 2 海洋奇談編』 コナン・ドイル(新潮文庫)

    書名:ドイル傑作集 2 海洋奇談編著者:アーサー・コナン・ドイル訳者:延原 謙出版社:新潮社ページ数:221おすすめ度:★★★★☆新潮文庫のコナン・ドイル傑作集の二巻目となる本書は、「海洋奇談編」と銘打って、奇怪な物語六編を集めている。モームやジャック・ロンドンにも航海や南洋の島々を扱う作品があるが、本書はそのコナン・ドイル版と言えるだろう。本書には『縞のある衣装箱』、『ポールスター号船長』、『たる工場の怪』...

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