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大福 りす
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2011/01/21

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  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第196回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第190回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第196回翌朝しっかりとマツリを見送り、杠と二人乗りで岩石の山に向かった。馬を下りるとすぐに杠が棚から出してきた硯を持って二人で山に入って行く。作業場があればいいのだろうが、宿所を建てただけで作業場などない。もっとも杉山もそうなのだが。「お早うございます。今日もお邪魔します」「お早うっす!マツリ、マツリ様が許してくれたのか?」「はい。でもこちらには今日で最後になると思います。また道具をお借りします」紫揺の言った“今日で最後”さざ波のようなざわめきが起こったが、素知らぬ顔でノミを取りに...辰刻の雫~蒼い月~第196回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第195回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第190回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第195回宿所に行くとすぐに座卓の上に渡された硯を置き、水と墨を使って磨ってみる。引っかかりは感じないし、底もしっかりと平らにしてあるようで僅かなグラつきもない。砥石とヤスリでよく仕上げている。硯職人から見てどうなのかは分からないが、使い手からとしての文句はない。「良いですね」顔を上げて男を見ると、強張っていた男の顔が緩んでいく。「やっとかー・・・」そう、これで何度目であっただろうか。だがここが第一関門に過ぎないことは分かっている。第二関門は教えてくれた硯職人からの合否である。その第...辰刻の雫~蒼い月~第195回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第194回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第190回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第194回朝餉を終わらせたマツリが早々に杉山に向かって出て行った。「武官所に行くか?」享沙や柳技たちとの接触の時はまだである。「うん」薬草のお礼を言いに行くか、と言ってくれているのだろう。杠が言わなくてもそのつもりだった。だが杠はそのつもりではなかった。紫揺の元気な姿を見せねば、今夜もまたあの嗚咽交じりの嘆きの呪詛を聞かされるからである。武官所では思った以上の歓迎ぶりだった。丁度交代にやって来ていた武官たちが多く居て、泣き出すものまで現れた。「うわぁぁぁー・・・良かった、良かった。崖...辰刻の雫~蒼い月~第194回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第193回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第190回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第193回そろそろとスカートをめくり上げ自分の足を確認する。結構上まで傷がある。高くまでスカートをたくし上げていたのを今更にして後悔する。マツリが薬草を塗っている足が動かされる。後ろに傷が無いかを確認しているのであろう。最後にはマツリの手で内腿まで薬草を塗られた。そしてその腿にも晒が巻かれる。(これってサイアク恥ずかしい。もっと下でスカートを括っておけばよかった。そうなると走るに邪魔だっただろうけど)手足に晒が巻かれ肘も膝も簡単に曲げられない。手足を突っ張ったお座り状態のぬいぐるみの...辰刻の雫~蒼い月~第193回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第192回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第190回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第192回≪触れよ≫そう言われてもどの杉か分からない。どの杉も立派だ。あの時のように一本大木が目立っているものではない。≪すべては吾(わ)ら≫そう言えば東の領土の大木が言っていた。≪吾らは地に根を生やし、地で繋がっておる≫≪吾らは地で繋がっておる≫≪地のあるところ、吾らは繋がっておる≫と。あたりをキョロキョロと見る。一本の杉に目がとまった。樹皮のデコボコが他の杉より大きい。その杉の前に行くと裾を括りつけていたスカートを解き、パンパンと皺を伸ばす。礼儀のつもりだ。そしてそっと手を触れる...辰刻の雫~蒼い月~第192回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第191回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第190回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第191回武官が走り寄って来る。「や、やはり紫さま、どうして・・・。あ、や、お怪我をされましたでしょうか!」良いことを言ってくれた。そういうことにしよう。「ちょっと足を挫いちゃって」「すぐに山を下り、治療をさせて頂きます!」「あ・・・お気遣いなく」「万が一のことがあっては!」良いことではなかったようだ。面倒臭いことになった。「ホントに大丈夫ですから」半笑いのマツリが紫揺を下ろす。目的の三人が目の先にいる、これ以上歩く必要は無い。「ここにかけていろ」切られた杉の木のあと。まるで丁度良い...辰刻の雫~蒼い月~第191回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第190回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第180回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第190回大門に行くと前回付いてくれた武官が二人待っていた。「紫さま!お咎めがないようにして下さり、有難きこと・・・」「どれだけ感謝を申し上げても足りぬことで御座います」でっかい武官二人で足元に泣きつかれた。えっと、これは元を作った・・・自分の罪か?「あははー・・・」声だけで笑うしかない。前を百藻が歩き後ろから瑞樹が馬を曳いてやって来た。前回乗った馬と同じ月毛の馬である。相変わらずとても綺麗だ。「武官さんには何の責任もありませんから。今回もお願いします」紫揺の言葉に武官二人が立ち上が...辰刻の雫~蒼い月~第190回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第189回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第180回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第189回六都に戻り、翌日飛尾伊に会うと受けてくれた礼を言い、まだしばらくはそのままでいるようにということを伝えた。そして足を官別所に向けると一人一人に向き合い咎を言い渡していった。四方は飾り石の咎の後に決起の咎と言っていたが、二度手間など踏む気はない。決起のことへの追及、断罪も行った。十日の労役は百二十七名中、五十九名が飾り石の窃盗未遂だけの咎ということになり、決起へのことは訳が分かっていなかったようだったが、結果としてどういうことになるのかをよくよく言ってきかせた。五十九名の中に...辰刻の雫~蒼い月~第189回

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