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大福 りす
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2011/01/21

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  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第154回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第150回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第154回屋舎を出た杠。事が動いた以上は一日でも早く男達を動かしたい。マツリが京也に言いに行った翌日に京也が動かしてくれたのだから、それを無駄にするわけにはいかない。それに出来ればまだ武官たちが居る間に試運転を行ないたい。マツリの元に歩き出した杠に真後ろからドン!と何かがぶつかってきた。たたらを踏んだ、ように見せかける。足音が迫ってきていたのは分かっていた。毎度毎度、同じ手を使うのはどうだろうか。そう思いながら振り返ると芯直が居た。完全にすっ転んでいる。本気でぶつかって来たようだ。「...辰刻の雫~蒼い月~第154回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第153回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第150回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第153回杠が歩を出した。その杠の後ろから巴央がついてくる。屋舎に入ると十二人の男達に目を這わせ穏やかな声を舌に乗せる。「早朝より杉山からお疲れで御座いました。杉の木材の売れ行きも良く、皆さんの作られた物も手にとってはお買い上げいただいております。ああ、薪も。薪は見事に均等にされていると大変喜ばれております」薪などとどうでもいいこと。材木材料になりそうにないものを割っただけなのだから。だが・・・どうでもいいと思っていた薪を喜んでいると?均等にしているのが?「お持ち帰りになられる時に均...辰刻の雫~蒼い月~第153回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第152回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第150回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第152回翌日、杉山に、よく言えば無償労働、普通に言えば労役、見たままを言えば連行されていく者たちの横を歩きながら武官に話しかけた。話しかけたマツリも話しかけられた武官も互いの顔は見ていない。目は咎人を見ている。「少しは働けるようになったか」六都でろくでもない生活を送っていたのだ、最初は杉山に来ただけで力を使い果たし、斧さえふるうことが出来なかった。そしてすぐに戻る、そんな状態だったが少しは体力がついただろう。「はい、二辰刻(四時間)は働けております」「ふむ、己らの昼飯代くらいは稼げ...辰刻の雫~蒼い月~第152回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第151回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第150回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第151回「我と紫の子だ、女子(にょご)さえ生まれれば必ず次代紫が生まれるはず。次代紫が紫として自覚すれば本領に来てほしい」「え?だって、この間はそんなこと言ってなかった」「紫は民を守る紫として東の領土に居たいのだろう、その役は次代紫が引き継ぐ。言い換えればその邪魔をしてはならん」「邪魔なんてしない」「紫は・・・今代紫はあの事情の中、東の領土が待ちに待った紫。単になかなか生まれてこなかった紫ではない。民はずっとお前を慕うだろう、次代紫がいてそちらを見る者もいるだろうが一人でもお前を見...辰刻の雫~蒼い月~第151回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第150回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第140回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第150回紫揺の家まで行くとガザンが玄関の外で伏せをしていた。出入りする者たちから「どいて」と何度言われても知らん顔をしていたが、マツリの顔を見ると立ち上がり、開け放たれていた玄関の戸を潜った。隅に置いてある濡れた手拭いで足の裏をシャッシャと拭くと紫揺の部屋に向かって歩きだした。そのあとをマツリが歩いていく。「あ、ガザン、やっとどいてくれたの?」青菜が台所から出てくると、見たこともない男がガザンの後ろに立っているではないか。祭のときにマツリが来ていたと言っても、民がマツリの顔を見るこ...辰刻の雫~蒼い月~第150回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第149回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第140回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第149回黒山羊を出たマツリと杠。とにかくいったん落ち着いたと杠が大きく息を吐く。「今、十六人おりましたか」「ああ」享沙は『人数が集まってきたのであと少し人数を集めてからにするということです。今のところ十四人』と言っていた。ということは享沙が調べた時より少なくとも二人増えている。今日にも夜襲があるかもしれないし、まだこの先かもしれない。ましてやその時には更に人数が増えているかもしれない。「当分どこか他の宿にお泊りになって下さい」この進言が無駄だと知りつつも言う。「断る」やっぱり。「宿...辰刻の雫~蒼い月~第149回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第148回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第140回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第148回「秋我、音夜はどんな具合だ」前回東の領土に来る前に、初めてシキの子である甥に会いに行ったが泣かれてどうにもならなかったと話していたあとに、そんな風に訊かれた。「連れて来ても宜しいでしょうか?」「ああ、是非とも」茶を出し後ろに控えていた耶緒が頷くと家に戻り音夜を連れてきた。耶緒に抱かれてやって来た音夜は耶緒によく似ている。「これはまた玉のように輝いておるな」マツリが手を出すと天祐と違ってすぐにその手の中に入ってくる。「ははは、良い子だ。うん、柔らかいな」天祐の肉はもう少し硬か...辰刻の雫~蒼い月~第148回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第147回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第140回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第147回酒を一口入れると、どういう形で亡くなったかを話した。「紫は父御と母御を殺したのは己だと言って己は誰かと幸せになってはいけない、そう言っておった」マツリが杠の表情を確かめる。「心に刃を持っていたならそうかもしれん。だが紫はそうではない。だから殺してなどいない、我はそう言った」硬い表情をした杠が視線を下げる。「杠もそう思わんか?」静かな時が流れる。杠から返事が返って来ない。―――訊こう。「六都のことが終わったらと言っておったが・・・。杠も紫と同じように思っておるのか?」一旦口を...辰刻の雫~蒼い月~第147回

  • 辰刻の雫 ~蒼い月~ 第146回

    『辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~』目次『辰刻の雫~蒼い月~』第1回から第140回までの目次は以下の『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページからお願いいたします。『辰刻の雫~蒼い月~』リンクページ辰刻の雫(ときのしずく)~蒼い月~第146回閉められた襖を見ていた紫揺が睨みつけるようにマツリに視線を転じる。「なんなのよ」来てほしくなかったのに、どうして来たのか。挑戦的に紫揺が言う。その言葉を受けながら座卓を挟んで紫揺の前に座り、その上に四つの包みを置いた。「母上の従者、元姉上の従者、彩楓たち、姉上の従者。またみんな菓子だろう。夕餉前だ、明日にでも食べればよい。先刻の菓子の味はどうだったかと訊かれたが?」「う・・・うん、みんな美味しかった。そっか、お遣いに来たんだ」挑戦的な態度はどこへやら、いそいそと袋を開けだし...辰刻の雫~蒼い月~第146回

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