「蛸壺やはかなき夢を夏の月」この句は「笈の小文」からの選定で元禄元年に行った芭蕉の小紀行文には若さというか色気が感じられる。わび・さびに慣れた目にはこの句をはじめとする諸作が眩しく映る。とくに蛸壺の句が好きだ。現代の文芸作品と比べても優れている。芭蕉は若い時も老境になっても色あせない。才能が頭抜けている。6月18日、明け方になっても蒸し暑い。ぼくはこれから眠るから蛸と一緒に「はかなき夢」でも見よう。芭蕉の名句㊱『はかなき夢を夏の月』
斬新な切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設17年目に入りました。
自然と共生しながら、生きてきました。 ここでは4,000字(原稿用紙10枚)程度の短い作品を発表します。 <超短編シリーズ>として、発表中のものもありますが、むかし詩を書いていたこともあり、コトバに対する思い入れは人一倍つよいとおもいます。
ホタルブクロ画像は〈季節の花300より〉昼間白いホタルブクロの前でふたりの女の子がしゃべっていたねえクレハちゃんこのホタルブクロの中に妖精が隠れているのようそだメミルちゃん見たことあるの?クレハのことだましちゃいやだよ見たことはないけどきっと妖精がいる夜中にホタルブクロを見るとボウっと明るいんだって道草していた女の子二人はお布団の中でスヤスヤきっとたくさんの妖精がダンスをしている夢でも見ているんだろうなポエム383『ホタルブクロの秘密』
〇「芦田愛菜ちゃんはますます活躍してるな」「ご隠居、急にどうしたんですか。鈴木福君ともども成人になって知的なタレントになりましたよ」〇「いや、親がここまでよく育てたなと思ってさ」「そうですね、2人とも反抗期とかなかったんですかね。子育ての本でも出せば売れますね」〇「北朝鮮のゴミ風船は飛ばした50パーセントは韓国に届いているらしいぞ」「いやですね、イメージが・・飛ばす方の品格が問われますね」〇「日本も先の戦争末期には風船爆弾を飛ばしたけれど何個かアメリカ本土に届いただけだ」「太平洋を越えてよく届きましたよ。北朝鮮と韓国は隣同士の諍いで始末が悪いですね」〇「大谷翔平は背番号と同じ17号に到達したけど、ヤンキースのジャッジに大差をつけられたな」「相手投手の攻め方にも大差があるように見えますよ」〇「小池百合子さん...紙上大喜利60『じじいの時事ばなし』
駐車場の奥の崖下に黄色い百合が咲いていた梅雨入り前の真夏日の午後人間どもがあえぐ日盛りに黄色い百合はいとも涼しげに大きな花を咲かせていたなんだかノカンゾウに似ているがきみは野の百合だよね群れてないところが最高だ花言葉は「陽気」というんだってきみに出合ってよかったよ運勢がよくなる前兆だってさ駐車場の雑草の中で輝く黄色い百合これから仕事に出かけるけどよろしくなポエム382『黄色い百合』
茨城県に五浦海岸〈いづらかいがん〉という場所がある。岡倉天心のもとに集まった横山大観、下村観山、菱田春草らが日本画の美を極めようと切磋琢磨した北茨城市の景勝地である。海水浴場にもなる砂浜には海風にもめげず松が枝を伸ばし、岩場を望む六角堂にこもると打ち寄せる波の音が思索を深化させるようだ。天心は後に六角堂を日本美術院の本拠地にした。横山大観のいわゆる朦朧体などは五浦で生まれたものである。冬場はボストン美術館の中国・日本美術部長を務める天心は、夏場は五浦に戻って日本美術界の改革に注力した。もともと日本美術品の研究・収集に造詣の深かったフェノロサの通訳を務めていた天心は、自らも日本美術の研究にのめりこむ。弟子たちはみな家族とともに五浦で夏を過ごし、橋本雅邦ら若き天才画家たちが日夜日本画の可能性を追求した歴史的な...真夏の怪談その5『五浦海岸』
昨日のニュースで嘴太ガラスを肩に乗せて散歩する青年のインタビューに答える様子を放映していたとにかくカラスは頭がよくて可愛い同居していて新たな発見があり伴侶として申し分のない存在だという話変わって都内の繁華街からカラスが激減いま何が起こっているのかとミステリー仕立ての特集でもあった有力な答えは頑丈なゴミ箱の設置だカラスを兵糧攻めにする施策がやっと浸透してきたのだろうというその一方で鷹やハヤブサが増えているらしい都心の高層ビルは崖みたいなもので天敵を避けて営巣するには最適なんだとか新たな悩みに都知事候補はどう応えますか小池さんはまだ出馬表明せず蓮舫さんならビルに網かけろとでも・・ポエム381『カラスをペットにする男』
海野太吉は千葉県内をよくドライブした。勝浦や御宿が好きで、家族を乗せて行楽に引き回した。自宅が都内にあったので、あるとき茂原から四街道を経由して家に帰ることにした。自動車の道路ナビなどない時代に地図を頼りに近道を探して強行突破してきた。すると四街道に近づいたと思われる頃いきなり目の前に竹襖が現れた。「えーっ、なんじゃこれ?」家族も身を乗り出して怖がった。「おとうさん、引き返しましょう」「いや、竹藪が道までせり出しただけだ、道がないわけじゃない」農道なのか畑の中の私道なのかわからないがギリギリ通り抜けられそうだ。太吉は運転席のミラーを引っ込め、竹の幹にこすりそうになりながらなんとか通過した。「いやー、水木しげるの妖怪が出たかと思った・・」「お父さん無謀だから、いつもヒヤヒヤするわよ。いつか青梅の方でコンクリ...真夏の怪談その4『四街道の竹藪』
〇10代二人がバールを持って民家に押し入ったアーソレソレ主人殴って妻からカネ奪うソレカラドーシタあわてて逃げたが忽ち捕まった〇架空の投資で60億円集めたアーソレソレ社債を印刷くばってその場をごまかしたソレカラドーシタいくら稼ごうが悪銭身につかず〇詐欺をしようが強盗だろうがお札に色はないアーソレソレ金を使えばクラブは恵比須顔ソレカラドーシタ焼酎飲み飲みマルサ対策考えた当世あきれ節2
「羽衣の松」という小説を書いた仲間がいた。老境に入ってロマンスには無縁と感じ始めていた時、突然女性の方から思いを告げられたのだ。彼は驚き、うれしくも感じた。若い時は何度か恋愛をしたことがあったが、縁あって現在の女房と結婚し40年を共に過ごしてきた。それだけに同じ同人誌に所属する女性に誘われて食事をし、その後一夜を共にしたことはそれとなく記録しておきたかった。天女からふわりと羽衣をかけられたと表現したのは彼の心境そのものだ。富士山が世界遺産になったとき三保の松原もその一部に認定された。羽衣伝説は世界中に説話として存在し、日本では滋賀県や京都府の風土記に残されているのが最も古いのだが、富士山がよく見える場所として世界遺産に含まれたことから三保の松原が有名になった。本来、羽衣伝説とは関係のない話であるが、三保の...真夏の怪談その3『三保の松原浮気考』
〇八冠が叡王戦で踏みとどまる〇連敗のあと1勝返し2対2に〇挑戦者伊藤匠はAI通〇子供のころから聡太のライバル互角の才〇現棋界勝率1位の匠立つ〇21歳聡太・匠の若武者戦〇八冠は先に名人位防衛す〇藤井聡太に過密日程発汗やまず〇AIにもまれて予備軍虎視眈々〇もはや大人の出る幕なしか将棋界俳句川柳7『藤井聡太八冠』
〇牽制球が足に当たって痛い顔〇そんな翔平見たことなかった心配だ〇監督が復調予言ほっとした〇翔平が10試合ぶり14号〇トップまで2本差いずれ追いつくさ〇とはいうが守りの姿勢が垣間見え〇水原に受けた裏切りトラウマに〇新住居〈十数億円〉へ移って心機一転か〇ロバーツ〈監督〉のおねだり〈自動車〉変じてミニチュア・カー〇背番号〈17〉譲った選手と違うわい〈奥さんにポルシェ贈って話題に〉俳句川柳6『心配させんなよ』
現在はにかほ市になった秋田県の象潟町で重吉は炭焼きを生業にしている。東京の大学を卒業したあと実家の山を預けられ、楢や橡の木を切り倒しては木炭づくりを目指した。ところが重吉は炭窯に火を入れた後持ち込んだ哲学書を読みふけるものだから、火を止めるタイミングを失い出来上がった木炭はほとんど灰に近い状態になってしまった。「重吉さんなばダメなもんだ。炭つくってんだか灰つくってんだか売り物になるのは一本もなかった」口さがない住民が噂するうちはよかったが、そうち呆れて誰も近寄らなくなった、そうして一年が過ぎ炭の材料になる木を伐りに遠くまで足を運ばなくてはならなくなttころ、重吉さんの炭の品質がきゅうによくなった、聞きつけた住民が重吉さんから話を引き出したところでは本に夢中になっていても木の精が勝手に話しかけてくるのだとい...真夏の怪談その2『にかほ市の哲学者』
〇「どうだ、やっぱり大の里が優勝したろう?」「ご隠居の言う通りでしたね。しかし、中日のあと2敗したんでハラハラしましたよ」〇「負けを肥やしにしてどんどん強くなったよ」「最後の3日間は自信に満ちた顔をしてましたね」〇「大の里はあと何場所かで大関になる、横綱も遠くないだろう」「そう簡単にいきますかね、人生何が起こるかわかりませんよ」〇「大丈夫だ。オーラがある。謙虚さもある。相撲の型もある」「へえへえ、ご隠居を信じますよ」〇「ライバルの琴桜もうまく育ってほしいな、尊富士も復帰してくれば面白くなる」「平戸海や熱海富士も見どころありましたしね」紙上大喜利59『じじいの時事ばなし』
市ヶ谷駅は僕がよく利用した駅である。夏の深夜、大急ぎで改札口に降りていくと頭上から人のすすり泣く声が降ってきた。声の主はたぶん女性だろうと気になったが、こちらも電車に乗り遅れる心配があったので確かめることなくホームへ走った。何日か経って市ヶ谷駅のすすり泣きのことが週刊誌に載っているのを中吊り広告で知った。早速買って読んでみると、僕が体験したよりも大分前から噂になっていたらしい。誌面によると夫に捨てられた女性がJRの線路上で飛び込み自殺した事件があり、その時の状況がこだまのようによみがえって夜な夜な誰かしらの耳に届いていたらしい。よほど無念だったのか、聞いたのは男性ばかりで男への恨みも感じられる話だった。週刊誌の記事を読んで以来、僕は市ヶ谷での乗降を避けるようになった。総武線ではなく中央線の快速や準急電車を...真夏の怪談その1『市ヶ谷のすすり泣き』
天・点天を仰ぐ暑い直視できない点黒点子供の絵なら簡単ゴマのような黒点太陽フレアまでクレヨンカナダでオーロラ電離層パニック気象衛星多数墜落・点天天を仰ぐ熱い直視できない黒点気象も天文学も天に始まり点に終わる人生は天の思し召しポエム380『天』
〇社長が一瞬目をかけたアーソレソレ早くあと継がせろと焦る娘婿ソレカラドーシタ魂胆読まれると匿名人間を雇って深い闇深い闇〇政党交付金の使い道報告下限はいくらアーソレソレ与党の協議はいくらやっても折り合わずソレカラドーシタ自民は10万以下に切り下げず国民無視国民無視〇クマがやたと人を襲うアーソレソレ暖冬で冬眠短め腹が減ってたまらないソレカラドーシタ民家に侵入し貯蔵庫開けて好き放題好き放題当世あきれ節1
〇「おい、小相撲って知ってるか」「えッ?大相撲なら今やってますが」〇「横綱照ノ富士をはじめ大関貴景勝、霧島、関脇若隆景、朝乃山など注目力士がみんな休場で元気なのは小物ばかり」「それで小相撲ですか、ご隠居」〇「今場所の優勝は大の里で決まりだな」「またまた、気が早い。まだ8日目ですよ」〇「先場所だって尊富士か大の里のどっちかといったろう、今場所は大の里の番だ」「へえへえ、外しても知りませんよ」〇「大谷翔平が13号を打ってトップに並んだな」「打率もトップだし三冠王が狙えるんじゃないですか」〇「ロサンゼルス市が大谷翔平の日を制定したな」「5月はアメリカ政府がアジアやハワイ、太平洋の島々にルーツを持つアメリカ人の歴史・文化や功績をたたえる月間でそれにあやかったらしいですよ」紙上大喜利57『じじいの時事ばなし』
巣鴨プリズンが解体されたとき、ある独房の壁の中から奇妙な塊が転がり出てきた。公には報道されなかったが、それは高温の熱によって溶かされたコンクリートが、冷えて固まった状態に見えた。普通、ブルドーザーで破砕された壁は、捻じ曲がった鉄筋を除けば、セメントと砂、砂利による組成が一目瞭然だった。それに対し、発見された塊は内部でガラス質の粒子が滾り、流れ出たような形跡が見られた。飴を塗りつけたような表面には、わずかながら人をほっとさせる暖色系の彩りがあった。なぜ、コンクリートが溶けたのか。壁の一部だけが、どうして他と違う様相を見せるのか。独房に収監された囚人が、脱獄を図るために薬品で壁の腐食を狙ったと考える者もいた。壁の解体に携わった業者は、上司を通じて拘置所の責任者に報告した。あり得ないことだが、少しの疑いでもあれ...思い出の短編小説『壁の中』
『東海道中膝栗毛』〈とうかいどうちゅうひざくりげ〉で名の知られた十辺舎一九は1802年~1814年にかけて初刷りされた滑稽本である。「膝栗毛」とは、自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行の意で人気作品となり刊行は『東海道中膝栗毛』と『続膝栗毛』あわせて20篇に及んだ。後世に読みつがれ、主人公の弥次郎兵衛と喜多八コンビのキャラは歌舞伎や映画等で現在でも活躍が続いている。文才とともに絵心のあった作者による挿絵が多く挿入され、江戸時代の東海道旅行の実状を記録する、貴重な資料でもある。版木による出版が何版にもおよび、今でいうベストセラー作家となった十辺舎一九は文筆業だけで生計を立てたわが国最初の人物ともいわれている。通称「弥次喜多道中記」のあらすじは、江戸の神田八丁堀の住人である栃面屋弥次郎兵衛と居候の喜多八が二人と...新作KAIDANその10『十辺舎一九』
那須野が原には「九尾の狐」が住んでいるといわれている。最近、那須野が原を舞台にいやな事件が勃発しているが、ご当地の九尾の狐がどう思っているか世間の口端も喧しい。「ぼくは九尾の狐はワルだから冷ややかな顔で見ていたんだと思う」「いや、わたしは九尾の狐は憤慨していると思います。もともと伝説では神獣といわれて王朝を支えてきたのだから今回の事件はイメージダウンになると怒っているはずです」「読み本屋、曲亭馬琴の受け売りだな?」「そういう貴方こそ玉藻前〈平安時代末期に登場する『玉藻草紙』で鳥羽上皇の姫に化けた狐〉にたぶらかされているんでしょう」「九尾の狐をワルだと言っているぼくが騙されるわけがないだろう、何を考えているんだ」「全身〈心〉全霊で化かすというから、あんたなんかイチコロよ」「ちょっと待った,お二人さん、九尾の...新作KAIDANその9『九尾の狐』
〇「大谷翔平が11号ホームランで両リーグトップに立ったな」「3連発の後このまま突る可能性がありますね」〇「護衛艦『いずも』をドローン撮影した奴はドロンしちゃったのか」「中国のSNSに投稿されたということですが誰かはわかりませんね」〇「政治資金規正法はどうなった?」「連座制は決まりみたいですが問題は使い道ですよね」〇「何に使ったか記録し党に報告する金額を10万にするか5万にするかで自民・公明の折り合いがつかないんだろ」「ザルの目を粗いままにしたい自民が引き延ばししているようですね」〇「宇野昌磨が今シーズン限りで引退するらしいぞ」「男子フィギアという激しいスポーツでよく頑張りましたよ」紙上大喜利57『じじいの時事ばなし』
今回は短編小説のカテゴリーに入ってはいるが、実質「八犬伝」の勉強会みたいなものなのでご承知おき願いたい。明治時代の中頃までは物語といえば『南総里見八犬伝』が最もよく読まれていた。江戸時代後期に曲亭馬琴によって書かれて以来いろいろな形で読み継がれてきた大長編物語である。貸本による普及が第一だが、歌舞伎の演目にも取り入れられ庶民の間で人気が沸騰した。馬琴はこの物語を48歳から76歳までの28年間かけて完結させた。〈全98巻、106冊の大作〉途中失明しながらも、息子宗伯の妻であるお路の口述筆記で完成させたと伝えられている。物語の概要は、南総里見家の勃興と伏姫・八房の因縁を説く発端部(伏姫物語)関八州各地に生まれた八犬士たちの流転と集結の物語(犬士列伝)里見家に仕えた八犬士が関東管領・滸我公方連合軍(史実世界の古...新作KAIDANその8『八犬伝の影響力』
人は花を追い花に慰められて生きている蜂や鳥は蜜という獲物を求めるが人は花を眺め花を称えて生きているよきかな人生花は心の友節目節目に花をささげ花を手向けられて終わるよきかな人生花と連れ添う日々よきかな人生花は包容力花に抱かれてとわに生きるポエム379『花と生きる』
その昔、甲州の造り酒屋『七賢』を訪れたことがある。清春白樺美術館を見たついでに白州町まで歩いて行ったのだ。途中、竹林があったような気だするが感覚的な記憶だから間違いかもしれない。坂を下ってまた登って道が二手に分かれていた一方を進むと喫茶店があり土産物店もあった。喫茶店で食べた酒かす入りカステレがすごくおいしかったので聞くと七賢の酒蔵を紹介された。そこには日本酒『七賢』の唎酒コーナーがあり、お客さんは大概Ⅰ本買って帰る。女性陣は酒かす入りカステラに手が伸びる。薄暗い酒蔵の土間を通り抜けると裏手に工場があり、土地の名水仕込みの酒が造られているとのことだった。因みにもう少し山の奥まで行くとサントリーの山崎工場があるところだから「『七賢」の酒もうまいわけである。その後数年して旅行仲間のイベントがメンバーの一人Yさ...新作KIDANその7『七賢』
紀貫之が編纂した古今和歌集には世間的に評判の高い6名の歌人の作品が収録されている。序文に当たる「仮名序」には六歌仙の呼び名はないが、誰いうともなく六歌仙の呼称が定着したようだ。古今和歌集に収録された6名の歌人は次の通り。1僧正遍照2在原業平3文屋康秀4喜撰法師5小野小町6大友黒主このうち文屋康秀について紀貫之が仮名序に記した短評が気になったので焦点を当ててみた。<吹くからに秋の草木のたをるればむべ山風を嵐といふらむ評=詞はたくみにてそのさま身におはずいわば商人の衣着たざらんごとこの和歌に関する限り、紀貫之の評は的確と思うが少々辛らつに見える。〈もっとも6人全員の欠点を上げ酷評しているのだが・・〉でも何かありそうだ。新KAIDANぽい。いろいろ探ってみると、康秀の作品は息子が代作したものだとか、平安前期の官...新作KAIDANその6『六歌仙の男たち』
〇補欠選挙自民全敗茂木とぼける〈長崎・島根・東京〉〇植田〈日銀総裁〉岸田〈総理大臣〉の泥田コンビに穂波ナシ〈理想とする経済成長は無理〉〇無理やりの指数かさ上げ国ガタピシ〈消費者物価指数の伸び続かずデフレ回帰〉〇5月から電気・ガス補助消え大幅値上げ〈おまけに暑い夏予報=気象庁〉〇解散の芽を摘み取られ打つ手なし〈内閣総辞職もの〉俳句川柳5『自民にお灸』
〇「おばあちゃんの飴玉」とかけて「後半に強いマラソンランナー」とときますそのこころは「どちらも老い〈追い〉あげます」〇「ゴールデンウィークの年金生活者」とかけて「立ちしょん」とときますそのこころは「チン上げがないので〈世間から〉漏れます」〇「もて男のデート」とかけて「無能な芸能マネージャー」とときますそのこころは「どちらもダブルブッキングの恐れ」があります〇「大谷7号」とかけて「アイスキャンデー」とときますそのこころは「夏場にかけて量産する」でしょう〇「山本由伸2勝」とかけて「ダルマさん」とときますそのこころは高速スプリットに「手も足も出ない」でしょう新企画『ととのいました』〈25〉
〇「最近、麻生元総理の動きが目立つな」「皇位継承会議の自民党側重鎮としても目立ちますね」〇「しかも訪米してトランプとヒソヒソ会談だ」「11月のアメリカ大統領選を睨んでの行動でしょう」〇「トランプが勝つと見込んだのか」「岸田総理がバイデン大統領とフィリピン含めての三者会談をやってますからバランスがとれてます」〇「どっちが勝っても米国とつながっていたいのか」「もしかしたら外務省の戦略かもしれませんね」〇「森元総理が安部派の政治資金問題でポシャッタから新フィクサーだな」「まともな政治ができるわけありませんね。紙上大喜利56『じじいの時事ばなし』
長いこと中断されていた川辺川ダム計画が動き出そうとしている。村の一部が水没するため住民が反対していたが、先ごろ貯水ダムとしての受け入れを半世紀ぶりに表明した。関係する五木村長や県・国が地域振興策の一環として合意したことがニュースで報じられたから、実現性はかなり高くなった。五木村といえばほとんどの人が「五木の子守歌」を思い出すのではないだろうか。物悲しい旋律と方言主体の歌詞が響きあって一種重苦しい日常を想起させる。子守歌の安らぎどころか鬼気迫る怖ささえ感じさせる。<おどまぼんぎりぼんぎり盆からさきゃおらんど盆が早よ来りゃはよ戻る<おどまうっ死んちゅうて誰が泣いて呉りょか裏の松山蝉が鳴く・・だが五木村の歴史をさかのぼるともう一つよく知られた民謡がある。それは「ひえつき節」である。歌詞を見てみると椎葉村の平家落...新作KAIDANその5『五木村の歴史ロマン』
島原の乱を起こした天草四郎は、幕府軍に取り囲まれて討ち取られえたといわれているが、一方で城の井戸を抜け穴に外部に逃げ延びたとする説が残っている。当時交流のあったインドネシアの日本人街にひそかに船で運ばれたという話は、まったく信ぴょう性がないわけではない。天草四郎時貞はそもそも誕生の時から数奇な運命を背負っていた。紅蓮の炎に包まれて海上に現れたと信じる者もいる。イエス様の生まれ変わりと信じる信奉者は天草四郎にすべての望みを託した。当時から過酷な年貢取り立てに不満を募らせていたキリシタンたちは一揆軍として立ちあがった。その先頭に立って戦ったのが天草四郎時貞であり島原の乱であった。幕府軍に取り囲まれ廃城に立てこもって戦ったが、天草四郎はうまうまと脱出したと信じられている。根拠として、天草四郎の首級が見つからなか...新作KAIDANその4『四郎の末裔』
岩手県のある地方で、学校帰りの小学生が男女合わせて6名ほどでかくれんぼをして遊んでいた。その日は昼過ぎから風が強くなり、先生が早く家に帰るようよう言い渡しておいたのに気象の変化が逆に生徒たちを興奮させてしまったようだジャンケンで鬼になった三郎くんは、ほかの5人から離れて近くの芦原の中に駆け込んだ。「もう、いいかい」「まあだだよ」「もう、いいかい?」「もういいよ」と、三郎くんの声が聞こえたとき、突然芦原の中でつむじ風が渦を巻いた。5人の小学生はその場でひっくり返り、つむじ風に巻きもまれずに済んだが、芦原の中にいたはずの三郎くんの姿はなかった。話を聞いた先生方がまず駆け付け、連絡を受けた父兄や駐在のおまわりさんが次々に集まった。つむじ風に吹き飛ばされたのならその辺に倒れているのではないかと手分けして探したがど...新作KAIDANその3『帰ってきた三郎くん』
修二さんは秋になると零余子〈むかご〉の収穫をしながら自然薯の蔓の位置に目印の竹竿を刺ししっかりと記憶しておく。晩秋から冬にかけて本命の自然薯を掘るために欠かせない作業である。修二さんの家の裏山は大昔、合戦に敗れた坂東武者が逃げ込んだ場所と言い伝えられていて、武具が持ち去られた後には亡骸が放置されていたとも言われている。時代を経て亡骸は海に近い湿地に集められ、その場所はしばらく白骨が砕けて夜目にも白く光って見えたという。修二さんはこれまでに草の下から何かが出てきたといったことがなかったもので、気にすることもなく自然薯掘りに熱中した。この日も印をつけておいた蔓を探し出し、長柄のスチール製自然薯掘り器で周囲を掘りはじめた。やがて蔓の先に細い自然薯が現れた。修二さんは鎌で穴の一方を切り崩し、自然薯の全容が見えるよ...新作KAIDANその2『自然薯の涙』
喜一さんはヘラブナ釣りの名人である。ふだんは僅かな田畑を耕して生計を立てているが、冬場は釣ったフナの甘露煮を作って貝の佃煮とともに引き売りしていた。喜一さんが活動する場所は茨城県の牛久沼、流れ込む大きな川がないことから湖ではなく沼と呼ばれている。フナは溜まり水のような環境のほうが生息しやすい。県外からもヘラブナ釣りに訪れる客がいるぐらい有名な場所であった。最近では釣った魚をリリースして帰るのがマナーになっているが、喜一さんが活動した昭和の中頃には捕った魚は当然食用にされていた。ついでながら入漁料などを払う習慣もなかった。制度はあったのかもしれないが地元の人間は払わなくてよかったのだろう。ともあれ喜一さんは週に何回かはヘラブナ釣りに出掛けた。午前中から夕方まで田舟を操ってヘラブナとの駆け引きを楽しんだ。春と...新作KAIDAN①『忘れ物』
〇「おい、シーチキンて海の鶏肉という意味にとれるがおかしくないか」「マグロなど魚肉のオイル漬けなのにね」〇「知ってるな、それなら海ブドウはどうだ」「プチプチした食感の海藻ですよね、グリーン・キャビアという別名でも呼ばれています」〇「知っているのか、じゃあ何食わぬ顔ってどんな顔だ」「来た来た、大谷翔平に寄り添ってたあの人のことでしょう?」〇「信頼するのもいい加減にしないとな」「その点ご隠居は心配いりませんね」〇「トンコロとかトンずらとか、豚を馬鹿にしてないか」「知りませんよ、それよりトン死〈頓死〉しないように気を付けてくださいね」紙上大喜利55『じじいの時事ばなし』
〇歯医者で治療が終わったのでカッターやドリルの音がすごくて道路工事みたいだったと言ったらフフフと笑った。〇大谷翔平の主張が捜査当局によって裏付けられたとか。〈水原一平氏が罪を認め起訴される見通し・よかったけど一抹の疑念〉〇二階さんの後釜候補は世耕さんの鞍替え出馬のうわさに戦々恐々らしい。〈血で血を洗う抗争とか〉〇岸田総理が国賓待遇で訪米だと。〈そりゃ大変だ。マイクロソフトなど巨大企業の日本招へいは実質占領だ〉〇自衛隊と米軍の連携強化もヤバいぞ。〈指揮系統を握られ先兵として出撃だ〉〇自民党のゴタゴタ騒ぎの隙にゴールド球をにぎられたか。〈国が敗れても権力維持にいそしむ人〉〇憲法審査会が開催されたらしい。〈誰の思惑か岸田総理のうちに改正=改悪?を目論む〉ありえへん話1『国破れて山河ナシ』
堤防沿いの桜並木が満開になったばかりの今日冷たい風雨にさらされたたくさんの花びらが散歩道を覆い水面に飛んだ花が川岸に吹き寄せられる花筏になって川岸にまつわりつく乗ってみたいなあ花筏幾重にも重なり分厚い布団のよう花筏の上で眠ったらいい夢見るだろうなポエム378『花筏』
先にポムに登場したアライグマの画像です。スマホの写真ではわかりづらいでしょうが、とりあえず見てください。捕まって観念したのかおとなしくしていました。そろそろ畑に出たくなってきました。時期遅れのフキノトウの画像を載せておきます。どうぶつ番外物語トピックス1『アライグマ』
〇「とうとう出たな」「大谷翔平のホームラン第1号ですね」〇「高めが打てたから今度は膝つきスウィングだな」「昨年の活躍を思い出しますね」〇「世耕さんにも処分が出たな」「離党勧告でしょう?自民党を追い出されたら困るでしょうね」〇「萩生田殿下と松野アルマジロは御咎めなしか」「組織がしっかりしているので切るに切れないんでしょう」〇「岸田総理も処分対象のはずだがほっかむりか」「職にとどまって改革するという決まり文句で逃げましたが国民は納得していませんよ」紙上大喜利54『じじいの時事ばなし』
仕掛けた罠にアライグマがかかった覗きに行くと織の奥で蹲っている夜行性だから昨夜のうちの出来事だろう観念したのか暴れることもないおいラスカルこっちを見ろよ案外可愛い顔をしているじゃないかお前がやった所業は人間の仕業なみだゴミを収納する戸棚の戸を引き開け袋を外へ出してひっかき食い破る最初は悪意のある人間がやったと疑った市役所の開庁を待って電話をした環境保全課に回されて10時には係が来た書類を何枚も書かされ張本人は業者の手にそうかお前は特定外来生物か在来種じゃないから立場悪いなハクビシンや台湾リスと同じ扱いだ確認書を渡されてお前とはバイバイだラスカルみたいな顔で訴えたってどうにもならんわしゃ知らんそれが法治国家の定めだ許せよ人間だって入管法で隔離されるんだ日本にやってきたのが運の尽きだ・・ポエム377『アライグマ御用!』
〇元気くん〈健大高崎のピッチャー〉が今朝丸〈報徳学園ピッチャー〉破って初優勝〇健大高崎ツワモノの名が並びおり〈石垣元気のほか佐藤龍月、箱山遥人など〉〇佐藤龍月上州気質の不敵な笑み〈決勝戦でリリーフに回った〉〇国定の忠治魂直球ズバ〈決め球で見逃し三振〉〇優勝校と準優勝校は紙一重〈報徳学園も強かった〉俳句川柳5『センバツ春は健大高崎』
母は鬼無里から逃げ帰るとき幾つか渡った川の土手で幽霊草を見た旦那様に離縁されたとも知らず盆休みを口実に生家へ戻された父には後添いがいて手紙を見ると烈火のごとく怒りだしたおまえ誰と乳繰り合ったんだ旦那には子種がないはずだと書いてある母は身ごもった腹を抱え善光寺裏の口入れ屋に泣きついた後継者を欲しがる銀座の国旗屋に雇われ僕が生まれて老夫婦に可愛がられた母さんその後どうしていますか養子になった僕と以後一切の縁を絶たれた母いつか探し出して銀座で余生を送ってもらいます満月に照らされて揺れていた幽霊草の話も恐ろしかった気持ちとともにもう一度僕に聞かせてください*幽霊草という学名はありませんポエム376『幽霊草』
〇報徳〈学園〉と大阪桐蔭死闘終わる〈4対1で報徳の勝ち〉〇報徳の今朝丸〈ピッチャー〉午後の試合も丸〈正確なコントロール〉〇トケマッチ時計〈ロレックス〉預かり溶けマッチ〈消えちまった代表らを国際手配〉〇東京はあと一輪で二日待ち〈標本木に4輪のままで開花宣言なし〉〇宝ジェンヌの後輩いじめで火傷する〈阪急宝塚側が被害者へのいじめ認め謝罪〉俳句川柳4『センバツ高校野球ほか』
リビングルームのsファーの陰から『獺祭』の2お22年物が出てきたすわッ、プレミアム価格はいくらぐらい?調べてみたら大したことはない我が家ののん兵衛がいつか飲もうと大事にしすぎて家族が偶然見つけてしまったようだ我が家に『獺祭」ねえ似合わない似合わないそう思いつつまんざらでもない気持ち日本酒は若いうちに消費するもの洋酒のように古さが価値を上げるものではないスコッチでいえばシーバースリーガル12年物これなら秘蔵の価値もあるともあれそうした趣向は我が家にはないお祝いの時に多少グレードの高いサジェをグラスに分けてまずk時パイ獺祭の発見などまれなハプニングなのだポエム375『獺祭』
〇「おい、尊富士が優勝したぞ」「新入幕力士が優勝するのは110年ぶりの快挙だそうですね」〇「前日の相撲で足を怪我してたのに気力で勝ち取った優勝だ」「見上げたものです、尊富士もご隠居も」〇「大の里も石川県を代表して健闘したな」「ご隠居が10日目に予想した尊富士と大の里の直接対決が事実上の優勝戦でした」〇「錦木も最後2連勝して3勝12敗だった」「そうそう錦木は足とか腰とかどこかケガしていませんか」〇「大関陣のもろさも目立ったな」「霧島が崩れて貴景勝もバタバタ琴ノ若も伸び悩み強さを見せたのは豊昇龍だけでした」紙上大喜利53『じじいの時事ばなし』
〇大谷の飛球ショックで塀越せず〈水原イッペイ違法賭博・解雇〉〇世耕さんついに証人喚問か〈政倫審では安部派5人衆は誰も責任をとらず〉〇尊富士上位者〈大の里・琴ノ若・若元春〉破って2差を維持〈きょう勝てば新入幕優勝〉〇ロレックス預かりトンズラあれッ?クス〈客の気持ち〉〇口封じ圧政強める習・プーチン〈権力維持のため悪法連発〉俳句川柳3『ショック』
投げた打った一二塁間を抜けそうな球に食らいつく二塁手が膝まづいて送球間一髪アウトセンバツ高校野球が始まった北国からの代表南国からの球児みなキビキビと溌溂と声援を背に白球を追ういいな球春古豪も初出場校も奢〈おご〉らず竦〈すく〉まず練習で鍛えた通りの実力を発揮する優勝校を予想するのはまだ早い東北・関東・近畿・九州それぞれのブロックから勝ち上がり互いに星の潰しあいだテレビを見ながら畑に目をやると呆けたフキノトウが春はどこだとうろたえているスイセンが集団で春を謳歌するこちらも球春にまけず球〈根〉春だバスを連ねた応援団が毎日地元の春をに届けに来る旬の食べ物をお重に詰めて食え食えと無理強いしなければいいが・・ポエム374『球春』
〇「政倫審にキーパーソンの下村さんが出席したな」「出るには出ましたが安部派は誰も責任をとりませんでした」〇「予想されたこととはいえこの国の将来が危ぶまれるな」「岸田政権も手をこまねいているだけで支持率は20パーセントと低迷したままです」〇「大谷翔平は韓国でも人気だが最後のオープン戦は快音が聞けなかったな」「3ペコでしたね。開幕戦を期待しましょう」〇「大相撲は今日が事実上の決勝戦だな」「え?またご隠居気が早い、まだ10日目ですよ」〇「9戦全勝の尊富士と8勝1敗の大の里の直接対決だ」「二人とも終盤に上位者に当てられますすよ」〇「大関・関脇に勝てばいいんだろう」「簡単に言いますが地力が違いますからね」〇「日銀のマイナス金利解除期待で株価が1000円以上値上がりしたぞ」「そうですね、再び日経平均4万円越えが間違い...紙上大喜利52『じじいの時事ばなし』
〇まろばの地表騒がす不義不正〇日夜プレート地下でもあえぐまほろばよ〇高深度トンネルの下龍が住む〇渡米してまたもお荷物〈カンボジア〉預けられ〇岸田さん外交ホイホイばらまき旅〇ひかる君やたら忍びや群れ夜盗〇白鵬〈宮城野〉は弟子ごと部屋を没収ーと〇白鵬は土俵の外へ押し出され俳句川柳2『まほろばの・・』
〇「株価は乱高下だな」「ていうか4万2千円の天井を付けた後3千円の急落です」〇「NISAに資金を呼び込んだら外国ファンドはさっさと売り逃げだ」「将来の資産形成を夢見た初心者が泣きを見る構図ですか」〇「岸田さんが渡米した際大手ファンドの会合でスピーチした通りの展開だ」「NISAはお土産だったんですか」〇「政権の支持率アップのためなら何でもやるからな」「どうりで日経平均4万2千円越えの時は市場も評価してくれてありがたいとか言ってましたね」〇「石川県出身の大の里が5勝0敗で快進撃だぞ」「ご隠居の贔屓力士錦木は1勝4敗ですけど大丈夫ですか」〇「栄枯盛衰は世の習いじゃ」「え?もう見限ったんですか錦木を・・」〇「オスプレイが国内でも飛行再開だってよ」「原因も教えてもらえず木更津駐屯地の自衛隊員も不安でしょうね」〇「嘘...紙上大喜利51『じじいの時事ばなし』
パソコンがあるおかげで便利は便利だ情報集めも買い物もパソコンなしじゃどうにもならない一方パソコンがあるおかげで苦労も多い小さな文字を読むのにルーペは必需品メールを開けば次から次とフィッシュング詐欺正常な連絡も開くのが恐ろしいウィンドウズ11にも少し慣れたとはいえウィンドウズ10の機能が懐かしいああ問答臭いじれったい検索機能いくら使用頻度を上げても覚えてくれない変換機能もう投げ出しちゃうぞパソコン廃業ちょっと待ってブログはやめられない生きてる限りクレジットカードもやめられはい病院通いもコンビニ通いもやめられない視力当落ギリギリンなのにまだハンドルにしがみつくクルマの運転免許もやめられないポエムのポの字もないポエムを書いて生涯文学を捨てきれないポエム374『パソコンあるなし』
〇「おい、錦木が横綱を寄り切ったぞ」「もう大相撲が始まったんですか」〇「だから春場所の初日に照ノ富士からいきなり金星だ」「ご隠居にとってはビッグニュースですね」〇「大関陣の不甲斐なさも目立つしな」「霧島も豊昇龍もあっさりはたきこまれましたね」〇「新大関の琴の若に期待するか」「そうですね、はち切れんばかりの充実ぶりですからね」〇「とにかく錦木の四つ相撲には惚れ直したぞ」「へい、へい、また錦木ですか。春場所じゅう聞かされそうですね」紙上大喜利50『じじいの時事ばなし』
〇目ン玉に目薬一滴かじか鳴く〇紅梅の花の中らしホーホケキョ〇春の川葉陰に集うメダカかな〇海苔弁のちくわ半分ハンチクな〇コンビニのおでん戻りの寒の手に俳句川柳1『春近し』
〇「スーパー・チューズデイでもトランプが勝ったな」「驚きましたね、民主党はヘイリー元国連大使しか候補がいないんですかね」〇「あのヘリテージ財団がトランプで完全シフトを敷いたらしいぞ」「保守派の動向を左右する牙城ですから共和党の大統領候補はほぼ決まりですね」〇「それにしてもバイデン大統領は何をやっているんだ」「ウクライナに肩入れしたもののロシアに勝てずに立ち往生の感じですね」〇「このままじゃトランプが大統領に復帰するぞ」「プーチンとアメリカの保守系資本が大喜びしますよ」〇「嘘つきが世界の頂点に立つ日が1年後にくるなんて悪夢じゃ」「ゲッペルスの言う通り嘘も百万遍つきとおせば真実になるんですかね」紙上大喜利49『じじいの時事ばなし』
たけしが首都直下型地震について言及したらしい普段はすっかり忘れて生活していたがかんの鋭い大御所の発言と聞くとどうにも気になって仕方がない発言を詳しく読むとおふくろさんが関東大震災にあって入谷の山に逃げたところから始まっているそこが墓地でお墓の陰というのがいかにもビートたけしの話らしい要は首都直下地震の予言ではなくいつ起きても不思議はないのだから命を守る準備だけはしておこうと至極当たり前の発言であった過去のことだが予想していなかった東日本大震災をその5~6日前に「明瞭な前兆」として電気通信大学の研究グループが確認していた同グループが注目するのは地震の前に現れる大気上空の電離層の乱れだという地震学者にはない視点で独自の観測網を整え彼らの研究を続けていた地震予報はできなかったが確実に前兆をとらえていた受け止め方...ポエム373「気になる」
〇「おい、大谷翔平が結婚したな」「ご隠居、古い、古い、その話題古すぎますよ」〇「新婚なのに古いっというのか」「え?それっていいがかりに聞こえますよ」〇「デコピンも祝福してるんだからこんな芽出度いことはないじゃないか」「わかりました、末永くお幸せに」〇「今日はひな祭りだな、雛あられ用意したか」「へえ、へえ、コンビニで買ってきます」〇「プーチンが戦術核を使ったって本当か」「最近のニュースはフェイクが多いから何が真実か判断が付きません」〇「アメリカも核戦争を恐れてウクライナ支援を控えてるようだな」「チキンレースじじゃプーチンに適うわないですね」紙上大喜利48『じじいの時事ばなし』
「昭和枯れすすき」でのさくらと一郎の歌いだしは<貧しさに負けた~~<いいえ世間に負けた~~<この街も追われた<いっそきれいに死のうか<力の限り生きたから昭和は夢に満ちた時代かと思っていたがこのような歌詞が生まれる要素はあったのだろうか信じられない思いで歌詞をまさぐった<未練などないわ<花さえも咲かぬ二人は枯れすすきおかしいどうも実感がわかない秋吉久美子さんが出演していた映画があったなお兄さんの刑事がいつも気にかけている妹役で新宿の不良に魅かれていて兄の目を盗んで会いに行くだけど映画は後から制作されたのではないのかよくわからないが歌詞の切実さは尋常じゃない令和の時代に当てはめれば<貧しさ>とはマーケットの買い物かごに安売りの品を2,3個仕入れてレジに向かう買い物客の姿を指すのだろうか<世間>とは所得格差を助...ポエム372『令和枯れすすき』
〇「異次元の少子化対策」とかけて「ハーメルンの笛吹き男」とときますそのこころは「本当に子どもを育てやすい社会が作れるのか(約束が反故にされないか)注視」しています。新企画『ととのいました』(24)
旅先でミツマタの花を山茱萸と言い張った友よあなたが去ってもう15年が過ぎました民俗学を研究していたあなたにとって山茱萸はきっと憧れの存在だったのでしょう恋愛小説の創作に長けたあなたの胸中にはあるいは訪れたことのある椎葉村の風景があったのかなと今にして思うのです鈴の音がしたらあなたの送った便りと信じますポエム371『山茱萸の花』
〇「おい、大事件がぼっぱつしたな。北青鵬が引退したぞ」「弟弟子への度重なる暴行が明らかになった以上引退勧告もやむを得ないですね」〇「親方の宮城野(白鵬)も監督不行き届きで2階級降格だそうだ」「的確な相撲解説で信頼していたのにね」〇「もう広報にはいられない。駐車場係とかに追いやられる」「親方の耳に入っていたということなのになぜ厳しく指導しなかったんですかね」〇「そこが不思議なところよ、相撲協会に対し挑戦的な態度が感じられる」「そうですね。大横綱だったオレに処分なんかできないだろうという不遜さですね」〇「現役時代からバンザイしたり協会の慣習に逆らっていたからな」「そうそう、双葉山を尊敬していると言いながらモンゴル優位の意識が強かったですからね」紙上大喜利47『じじいの時事ばなし』
〇「ジャンボジェット」とかけて『悪ガキ」とときますそのこころは『どりらも飛行機(非行期」でしょう」松「相撲の立ち合い」とかけて『息の合った漫才コンビ」とときますそのこころは『どちらも阿吽(あ・うん)の呼吸」でしょう〇「話題の大物芸人とかけて」「お茶会と飲み会」とときますそのこころは『菓子と献上も抹茶(まっちゃ・・〉に関係が」あるでしょう新企画」新企画新企画『ととのいました』(23)
ソフィア・ローレンさんもう一度あの映画に出てくださいジョバンナ役で世界を感動の渦に巻き込んだ映画「ひまわり」に・・ロケ地はかつてのソ連邦(現ウクライナ)一面のひまわり畑で繰り広げられる恋物語兵士アンオニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の12日間の結婚休戦を永遠にと精神疾患を装うがもくろみは入院後にばれて戦地へ送られる汽車の中と外のホームで見つめ合う二人の別れ二度と会うことのない運命を知りつつも夫を探し戦地をさまようジョバンナの姿に戦争の影を見る映画から50年の歳月を経て侵略を受けるウクライナソ連邦から解放され独立したウクライナを再び手中に収めようと攻撃を繰り返し市民を標的にするロシアの軍人たち世界中が待ちのぞむ小麦と共にヒマワリを破壊されたウクライナの国土復興のための切り札にしようとするアイディアが提案さ...ポエム370『ひまわりをもう一度』
〇「大谷は化け物か」」「始動したと思ったら150メートル弾ですからね」〇「アメリカの医者はサイボーグ造りに自信満々だな」「星飛雄馬は強力なバネをつけて練習してましたが・・」〇「空想はあっさり超えられたようだ」「それでも大谷翔平のイメージは好青年のままですからね」〇「もう野球選手の枠は取っ払われて理想像の一人歩きだ」「どんどん大きくなる雪だるまですね」〇「ドジャースには幾らカネが入ってくるんだ?」「ご隠居、この際ハシタナイ話はよしましょう」紙上大喜利46『じじいの時事ばなし』
〇春一番吹いて鼻水とめどなく〇抗ヒスタミン剤鼻炎薬さま仏さま〇目薬をさして益々しょぼしょぼと〇めん玉をできることなら丸洗い〇株一番NISAの日〔2月13日)から吹き上げぬ〇作られしインフレ弾ける日も近し〇投資家の心理透視しファンド動く〇まだボレる企業物価の上げラッシュ〇支持率を下げても涼し株高で川柳復活13『春一番』
タム・ソーヤたちはお兄さんの手伝いをした後ただひたすら多磨川の土手を歩いていた。すると広い河原の一角に臨時キャンプ場という看板がかかっている場所を発見した。「おおっ、どこの区か知らないけど夏休みの子供たちのためにキャンプ場を開いてくれたらしい。ラッキー、俺たちもここで一泊しよう」タム・ソーヤが管理責任者らしいおじさんに近づき「すみません、4人ですけど今夜ここを使わせていただけますか」「事前申し込みの許可証は?」「あ、お母さんがリュックに入れてくれたんですけどどこへ行ったかな・・」タム・ソーヤは必死に探すふりをした。「許可証がないとここは使えないよ」「そんな、殺生な・・このキャンプ場に泊れないと僕たち野宿ですよ」「君、殺生なんて言葉どこで覚えたの?おじさんを脅しているみたいだな」「いえ、僕の家の電話は〇〇ば...短期連載『ルリ色の石を探して』〈6〉最終回
堤防の下で待っていた大学生のお兄さんが、「この前はありがとう」とタム・ソーヤたちを迎えた。「実は君たちに採取してもらったウグイやオイカワは最近外来魚の餌食になって数を減らしているんだ。大分前からここはタマゾン川と呼ばれていて、熱帯魚のグッピーやブラックバスが定着している。下流域の川崎市近くで<おさかなポスト>を運営する方の発表ではペットショップで買い求めた珍しい熱帯魚を設置した生け簀に入れていくケースが増えているそうだ。ところが中には勝手に川へ捨てる人も多いので多摩川に外来魚が住み着いてしまった。一時は死の川と呼ばれていたが下水処理施設が整備されて水質がよくなったのと生活排水の温度が高くなったことから冬場でも熱帯魚が住みつき繁殖までできる環境になった。ぼくは在来魚の生息を守る立場から、君たちに手伝ってもら...短期連載『ルリ色の石を探して』〔5)
タム・ソーヤたちは多摩川の堤防に寝そべって明け方まで天の川や夏の星座を見続けた。背後が北で多摩川の方向が南なので月明りが残っているうちから天の川がはっきりと見えた。「ミルキー・ウェイか、多摩川の上は街の明かりが届かないからきれいに見えたよね」ビルがうっとりとした表情で言った。「まさか、こんなことになるとは思いもしなかったよ」タム・ソーヤが自慢げに応じた。「ぼく、一度も見たことなかったからベガやアルタイルを目に焼き付けておくよ」ジミーもビルと同じように感激していた。明け方月明りがなくなるころ、天の川は多摩川をまたいではるかに雄大な天空の川を作っていた。消防署や警察署はタム・ソーヤの言葉を信じて星座観察を許してくれた。午前中にでもひとっ走りしてお礼を言おうという気になっていた。しかし多摩段丘の亀裂の浅いところ...短期連載『ルリ色の石を探して〈4〉
タム・ソーヤに誘導されながらもハックがぶつぶつ呟いている。「ムロって冬場に樹木や野菜をかこうものだろう?真夏にムロなんてあるわけないだろう」実はタム・ソーヤも自分の間違いに気づき始めていた。しかし、言い出した手前引っ込みがつかない。「ほら、夏でもちゃんとムロがあるじゃないか」たしかに4人の前方に屋根のついた小屋があった。だが、よく見ると戸が閉まっていて小屋全体に鎖ロープが巻かれている。「あれ、これってムロじゃなくて無人の野菜直売場じゃないかな?」ビルが言った。「そうか、それじゃ引き返して今夜は野宿だな」タム・ソーヤの方針転換に皆一斉に「ええーっ」と不満を漏らした。しかし、現状は変えようがない。幸い満月の夜だったので足を引きずりながら多摩川の堤までもどった。誰一人とおおらない道にレジャーシートを広げ、拾い集...短期連載『ルリ色の石を探して』〈3〉
多摩川の堤に這い上がったもののタム・ソーヤにも次の行動予定があるわけではない。もたもたしているうちに大学生が近づいてきて「君たちぼくのお手伝いをしてくれないかな」と笑いかけた。「お礼はできないけど、個人的に多摩川に生息している魚や甲殻類を調査する仕事もしているんだ。世界の学会に発表するかもしれないんです」「はあ・・」タム・ソーヤがつられたように返事をした。世界という言葉に弱い田村一郎は仲間を見回して「どうせ暇だし暑いから水遊びしてみようか」と積極的になった。昼過ぎの一番暑い時間帯にタム・ソーヤたちはズボンもシャツも脱ぎ捨て、パンツ一丁で川に入った。川といっても本流に沿って流れる人工の支流である。本来は飲料水や灌漑用水にするための取水口で、詳しい人の話では自治体ごとにそうした工夫をしているらしい。タム・ソー...短期連載『ルリ色の石を探して』(2)
昭和〇〇年の夏休みに、田村一郎の提案で遊び友達総勢4人がルリ色の石を探すことになった。ガキ大将の田村一郎は関西出身の大柄な中学一年生で、何かにつけ「そうや」と返事をするのでタム・ソーヤのあだ名をつけられていた。そうなると当然、ほかの三人も八田はハック、蛭田はビル、おとなしい舟木はジミーと愛称で呼ばれることになった。「俺たちは今夜家を抜けだしルリ色の石を見つけるまで帰らない。家族が心配すると厄介だから田村の家で宿題をやると書き置きしてきてくれ。それと一週間分の食料、飯盒、マッチ、レジャーシート、毛布などを忘れないように。」あいんしゅたいんは「ところでルリ色の石ってどんなものなの?」ビルが聞いた。「お前らもアインシュタイン博士は知ってるだろ。おれの読んだ本によれば地球に降り注いだ隕石のうちルリ色の隕石には宇宙...ルリ色の石を探して〈1〉
〇「おい。検察は司直の剣を振るわずに目的を達したと自画自賛しているらしいな」「たしかに二階派をはじめ雪崩を打ってだけど派閥解散に動いたんだから実効はあったのでしょうが・・」〇「だけど安部派6人衆は顔を合わせたとたんに薄ら笑いを浮かべてたな」「あれは同じトカゲ同士が不貞腐れた照れ笑いじゃないですか」〇「世耕さんだけは不機嫌そうだったが何か企んでるのか」「わかりませんが政治の復権を考えている可能性はありますね」〇「大相撲も終わっちゃたし気抜けのビール状態だぞ」「あとは森安ジャパンを応援しましょうか」〇「照ノ富士の気迫と錦木の勝ち越しが心の支えじゃ」「ご贔屓の二人が活躍したほかに琴の若の大関昇進がありましたね」川柳復活13『じじいの時事ばなし』
それぞれの退場休暇が終われば出勤してくる人間に、課長はなぜ電話をかけてきたのだろう。吉村は、熊本から帰ってきたばかりの疲れた頭で考えていた。(契約のことで、また不備でも探し出したのか)それとも、辞めさせることができなかったので他局へ放り出す算段でもしているのか。蒲団にくるまっても真意が分からないために苛立ちを感じていた。となりの部屋では、久美と乳児が休んでいる。何時間置きかに授乳させる久美とは、寝床を別にすることで互いの睡眠を確保する方法をとった。眠れないまま転々としていると、苛立ちの原因がもう一つあることに気付いた。どんな用件があったにせよ、家庭にまで電話をしてきたことへの不満だった。久美から報告を受けたとき、ほんとうは家の中まで押し入られたような嫌悪を覚えたことを、いまになってはっきりと思い出していた...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(21)最終回
密息その日仕事から戻ると、課長から局長室へ出頭するよう申し渡された。「すぐにですか」と問い返すと、事務処理を済ませてからでいいと歯切れの悪い言葉が付け加えられた。何事だろう。頭が高速回転をしている。集金カードの集計が覚束なくなるほど気になった。(こんなときこそ密息だ・・・・)いつか雑誌で読んだ気功の記事が頭に浮かんだ。もともとは高僧が修行のなかで会得した呼吸法らしいのだが、武術や芸術の世界でも、奥義を極めたような人はこの息遣いの秘密に気付いていたようなのだ。吉村などにできるワザではないが、たまたま試みた手かざしで熱とも圧力とも解らない<気>を掌が感知したことがあるので、密息なるものも習得できそうな気持ちになっていたのだった。金銭授受が終了すると、待ち構えていたように課長が近付いてきた。「あとは、後でいい」...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(20)次が最終回
〇世耕さんそれはセコイよしっぽ切り(会計責任者に罪を押し付けて恥じない人=橋下徹が怒っていました)〇平然と萩生田もシラなすりつけ(安倍派幹部はドイツもバウムクーヘン=生地のグルグル巻き}〇翔平は犬(デコピン)まで稼ぐポチ見習え(広告業界あたふた)〇ウクライナ主役奪われ資金切れ(ハマス・イスラエル紛争の勘にアメリカの支援細る)〇伊藤美誠代表漏れかつるべ落とし(パリ五輪卓球女子シングルス代表枠2名に入れず)川柳復活12『じじいの時事ばなし』
流砂のごとく急いで事務室に戻ると、内務の総務主任が慌てたように立ち上がった。返還しておいた集金カードをめぐって何かの動きがあったらしい。「吉村さん、遅いですよ」「おお、こっちだって気になってるさ。だけど課長が放してくれないんで仕方がないんスよ」言いながら壁の掛時計に目をやると、二時五十五分を指していた。吉村は思わずヒェ―ッと奇声を上げた。いままさに客の要請してきたタイムリミットを目前にしているではないか。「少し前にポケベルで代理を呼んで持っていってもらいましたけど、すごい剣幕で怒ってましたよ」「えっ、どっちが?」「外務代理ですよ」「へえ、仕事だからね・・・・」契約募集の途中で急遽呼び戻された課長代理の仏頂面が目に浮かんだ。いくら文句をいっても、緊急事態が起これば遊軍としてなんでも処理しなければならないのが...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(19〉
視線のゆくえ夏の日差しが顕著となった休みの一日、吉村は久美と連れ立って近くの水天宮にお参りにいった。ふたりの住むマンションからはゆっくり歩いても二十分ほどの距離だから、その程度の運動はむしろ久美にとって望ましいものだった。梅雨明け宣言のあと、ぐずついた天候が戻ってきて気象庁が慌てる一幕もあったが、この日は朝から夏到来に太鼓判を押してもいい気温の上昇が見られて、部屋の中にはいられない気分になっていたのだ。「暑いけど大丈夫かな」「わたしのこと?」「そうだよ」「日傘を差しているんだし、むしろ気持ちがいいわよ。ねえ・・・・」そろそろ目立つようになった腹部に手を置いて、育ち始めた命に語りかけるような仕種をした。水天宮はいかにも都会の神社というたたずまいで、コンクリートで固めた竜宮城のようにせり上がった場所にある。目...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(18〉
新世界より腰を痛めて集配課から貯金課に移った間宮が、久しぶりに演奏会のチケットを送ってきた。今回のプログラムには、ドボルザークの『新世界より』が入っていた。他の楽曲も含めて三つのパートで構成されていた。アマチュア・バイオリニストの彼は、休日や勤務終了後の時間を使って練習に励んでいるらしく、郵便局の同僚とはあまり交流する時間がないようであった。酒は嫌いではないので、仕事帰りに気の合った仲間と居酒屋に寄ったりすることもあるらしいが、趣味の違いが大きすぎてとことん付き合うところまではいかないようであった。むかし一緒に草津へ旅行したときは、年上の八田とウマの合うところを見せていたが、今はどうしているのだろう。同じ局舎の中とはいえ間宮が貯金課へ転属してしまってからは、以前のような付き合いはできないだろうとおもった。...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(17〉
天草薫風吉村と久美の新家庭がスタートして半年、こんどは八代の兄が嫁取りを考え出したとの連絡が母からの手紙に記されていた。相手は地元のスナックで働く二十八歳の女性とのことだった。兄が米屋の会合の流れで立ち寄った際、カウンターの奥でママを手伝う控え目な女の様子に心を引かれたらしい。「本人がいうには天草生まれの家庭的なオナゴで、浮いた話など何もないんじゃと。ばってん、よかオナゴがこれまで嫁の話がなかちゅうんはどうしたわけじゃろと、かえって身分ば心配しとんのよ」その相談のためによこした手紙のようであった。しかし吉村にも相手のことはわからないし、かといって母の危惧も理解できないではなかったので、ありきたりのことを書き送るしかなかった。兄は、弟の洋三が完全に実家を離れ東京に所帯を持ったことで、長年わだかまっていた心が...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(16)
カウベルの響く町唐崎の後について会社訪問を繰り返す中で、中堅の旅行代理店との商談が有望になりつつあった。そうした進行の途中、経理畑の役員との懇談の際、近ごろの若者の旅行事情が話題になったことがあった。「まあ、短期のレジャーではハワイ、グアム、韓国、台湾といった近場が主流ですが、このごろは新婚旅行も含めてタヒチ、モルディブ、バリ島あたりが人気になってますねえ」「いやいや、豪勢ですなあ」唐崎がうなずいてみせた。「・・・・それじゃあ、御社はますます儲かる一方ですな。うらやましい限りですわ」「まあ、しかし経費のほうもかさみますから・・・・」会社契約の有利さに興味を示しながらも、あと一歩の踏み出しができないでいた。そんな役員に、何か決断させる決め手はないかと策を練る唐崎の表情を見ながら、吉村は自分の新婚旅行のことを...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(15)
〇「おい、近ごろ空耳を聞くことが多くなってな」「ご隠居、空耳って空が何か言うんですか」〇「ゴリアルタイケンとかいうんだが何のことかわかるか」「わかりませんよ、ひょっとしてラーメンでも食べたくなったんですか」〇「能登はいらんかね・・はどうだ?」「それは多分、坂本冬美の『能登はいらかいね』の覚え違いじゃないですか」〇「気になってしょうがないんだが意味わかるか」「さあ、あとで歌詞を調べてみますよ」〇「このままじゃ夜も眠れない、早く調べて教えてくれ」「ハイ、ハイ、のと、のと、のと・・」紙上『大喜利』(44)
かわたれどき十二月半ばに転勤の辞令が出た。翌日から皇居をはさんで反対側の郵便局へ出勤することになった。通勤時間は以前より短くなった。職種が変わった際の規定に従い、二週間ほど局内での職場研修が行なわれることになった。課長が講師になって、保険業務の基礎的な知識を教えられた。その間に、送別会と歓迎会が相次いで催された。片や居酒屋チェーン店、他方も寿司屋の二階と似たり寄ったりの会場だったが、拍手で迎えられた保険課の二次会で、初めてクラブというものに付き合わされた。その日がちょうどクリスマスイブに当たっていたからだろうか、店内は混みあっていた。吉村は経験したことのない嬌声を聞いて、落ち着かない表情であたりを見回した。職場環境が変わったことを、実感した瞬間だった。そうした喧騒のなか奥まったテーブル席の一郭で、保険課の...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(14)
瓢箪から駒秋の将棋大会で保険課の蜂谷を破ったことが、吉村の予想もしない評判を呼んでいた。同じ屋根の下に居ながら、自分の所属する課以外の職員に妙な対抗意識を持っている者が少なくないことを、つくづく感じさせられる顛末でもあった。「あいつ今年も優勝できると思ってそっくり返っていたけど、おまえに負けてへこんでたぞ」吉村を讃えるというより、蜂谷をくさすことに熱中しているのだ。蜂谷が背を反らすのは、単なる癖かもしれないし、もしかしたら腰が悪いための姿勢ではないかと考えられる。どちらにしても人を見下すような仕種には見えないと、吉村は仲間の言に戸惑いを覚えていた。そして、一部の人間とはいえ集配課に漂う卑屈な空気を、あらためて思い知らされるのだった。「将棋が強いからって威張る人は、あんまり居ないっスよ。大体勝負なんて、どっ...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(13)
指運郵便局の公社化を睨んで、集配課への締め付けも更に厳しくなってきていた。民間企業を見学した足での業務研修や、デパート地下売り場での体験実習など、組織の活性化とサービス向上を念頭においてのスケジュールが頻繁に組まれるようになってきた。流行の自己啓発セミナーにも中堅の職員を参加させ、さらには郵政局のホールに講師を招いて主任クラスの意識改革を図ったりした。局内では班の編成を再構築する試みも勧められていた。人員削減が現実のものとなって、班員一人ひとりの受け持つ作業量を増やすことで定数減に対応する方針が示された。吉村はいままでの伸びやかな環境が、しだいに失われていく状況を肌で感じ取っていた。九州の地から東京へ、下へも置かぬ扱いで迎えられた日のことが懐かしく思い出される。わずか十年で、磐石に見えた組織がほころび始め...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(12)
不知火の町一度はお母さまに会っておきたいという久美の希望で、五月の連休を利用して八代に帰郷することになった。東京駅を朝の九時前に出て、八代に着いたのは午後五時近かった。新幹線と特急で熊本へ。在来線に乗り換えて八代まで、ほぼ八時間をかけての長旅は、慣れているはずの吉村の方が音を上げそうになった。「久美さん、疲れなかった?」「岡山から先は来たことがないから、楽しかったわよ」新大阪を出てから買った車内販売の弁当を、二人であれこれ批評しながら食べたのも楽しかったと吉村を見上げた。この日の久美は、萌黄色のワンピースに白いリングのベルトでアクセントをつけていた。オレンジ系のニットのボレロが若々しい印象を与えている。この日のために新調した気配が、足先まで漲っていた。「おふくろは迎えに来たいと言ったんだけど、到着時刻がは...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(11〉
年賀状狂想曲富士山に初冠雪があったとのニュースが、朝のテレビ画面に流れていた。平年より一週間ほど早かったとのことで、吉村の住む高円寺のアパートでも、明け方の寒さは冬近しを思わせるものだった。一昨年までなら、ウールのシャツ一枚でせんべい布団に横たわり、冬山に備える訓練を課していた時期だが、去年は久美の祖母の他界、自分のバイク事故と続き、今年は早川の滑落死が追い討ちをかけるなど、身辺に暗雲が漂った感じであまり前向きの気持ちになれないでいた。振り返れば、早川が笑顔を残して逝ってから四ヶ月が経つ。岳沢へ下る途中で見た焼岳が、なぜか早川の笑顔と重なって想い出されるのだった。遭難現場から戻ったあと、結局早川の遺体を確認することなく東京に戻った。あのとき松本から松代病院に向かうには、時間も気力も残っていなかった。奥穂高...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(10)
滑落七月の第二月曜日、早川が無断欠勤したというので、集配課はみな大慌てしていた。班長は欠員となった配達区の穴埋めに、自ら郵便物の区分を始めていた。その間、課長は早川の自宅に電話を入れて状況把握に努めていた。しばらく呼び出し音が続いた後、やっと電話口に出たのは早川の母親らしかった。それは課長席から聞こえてくる会話のやり取りから推察できた。「えっ、息子さん家に居ないんですか」課長の不満そうな声があたりに響く。「・・・・ええ、金曜日の夜に自宅を出て行ったきり、まだ帰っていないんですか」今度は不安げなトーンに変わっていた。一体どう解釈したらいいのか、課長が思いあぐねて助けを求めるように周囲の者を見回した。「はい、はい、愛用のオートバイで出かけたのですか。お母さんにも行き先を言ってなかったんですね。・・・・そうです...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(9)
(ウェブ提供画像)より〇「おい、今年は甲辰(キノエタツ)だそうだが東京地検特捜部のように見えてこないか」「ご隠居、たしかに雲中に炎を吐く勢いはいかにも今年もやるぞと宣言してるみたいですね〇「むかしリクルート事件というのがあって自民党の派閥領袖クラスが軒並み摘発されたんだがその中に安倍慎太郎の名前も登場しているんだ」「へえ、そのころからですか」〇「江副浩正という人物からリクルートの未公開株が渡されていたんだがこの時の大騒動で政治家は襟を正したはずなんだが・・」「今度はパーテイ券売り上げのキックバックですか」〇「あの時は野党や有力省庁のトップまで摘発されたから政治とカネの問題は繰り返して起こっている」「ご隠居、リクルート事件は1998年のできごとですね、干支で言えばほぼ二巡りですね」〇「安倍派6人衆をはじめ全...紙上『大喜利』(12〉
繭玉(画像はウィキペディア)より真綿って見たことありますか真綿色したシクラメンほどいとしいものはない、と小椋佳が詞にしたあの真綿です真綿は蚕が作る繭玉のうち生糸にできない品質のものを苛性ソーダなどで処理し水洗いの後繭の繊維を伸ばして重ねたものです色はやや黄色みが乗った白とでも言いましょうか真珠の色に近いかもしれません綿花の白と違って動物性の共通性があるようですむかし近所のおばあさんが縁側の廊下に座って繭から糸を紡いでいましたあれは輸出されていた生糸です絹布に織られて貴婦人のドレスなどになりました真綿は布団の四隅などで木綿の移動防止に張られました家族の防寒着である綿入れなどにも真綿のチャンチャンコは温かいです脱いでおくと猫に占領されます真綿色のシクラメンは素朴で愛しさを感じます小椋佳の詞は古風ですなぜか真綿...ポエム369『真綿色のシクラメン』
キリキリシャン今年こそ結婚をと誓いあった矢先に、久美の祖母が亡くなった。何年かぶりの寒波に見舞われた二月半ば、一週間ほど臥せったあと入院して三日目に還らぬ人となった。最期は呼吸困難に陥り、正視できなかったと久美が涙ぐんだ。医師が示す肺のレントゲン写真は、壊死した細胞の墓場と化していた。酸素吸入でも軽減できない肺炎の苦しみが、久美の話から想像できた。「ごめんなさい、つい取り乱してしまって」久美が腫れた瞼を上げた。「・・・・おばあちゃまから、見苦しい様子をお見せしないようにと、きつく言われていたのに」睫毛の先で水滴が光った。光の源は霊安室の蛍光灯である。八畳ほどの畳敷きの部屋に、膝元を温める電気ストーブが置かれ、細長い組み立て式の机をはさんで久美と対している。赤く熱したニクロム線の周囲にだけ、温度を上げた空気...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(8)
我が家の隣人の外国人が何を思ったか9月頃トマトの種を播いた市場ではそろそろ品薄になる時期で露地栽培のトマトは撤収の最中だろうちょっと外人さん今ごろ種からというのは遅過ぎませんか言葉が出てこないので胸の内だけの思いであるところが何週間か過ぎるとトマトの種がビッシリと芽吹く早く間引いてあげないと苗が息できないよやきもきして見ていると競うように成長する強い苗木はどんどん伸びる弱いやつは地に這いつくばってそれでも生きるまさかと思ううちに花が咲き10月には実がなったさすがに赤くはならないがかなり大粒だ11月に入ると青い実がカラスの標的になった大きい実から咥えて近くの路上はトマトの残骸だらけう~ん、トマートーは逞しい南米の荒れ地で鍛えられてきたルーツに思いをはせる2023年もいろいろのことがあったがトマートーのように...ポエム368『トマートー』
草津にてなぜ、そんな気になったのだろう。湯もみを見ようなどという気に・・・・。湯畑をひとめぐりしたとき、右手の古びた小屋から入場開始を告げるアナウンスがあり、鼻にかかった案内嬢の呼び込みに好奇心をくすぐられたという面はたしかにあった。吉村は、祭りや見世物に人一倍の興味を持っていた。ただ、人ごみの隙間に仄見える影のようなものを意識する癖があって、子供のころから手放しで騒ぐといったことができない性質であった。このときも、チケット売り場を前に気持ちを決めかねていたのだが、「せっかく来たのだから・・・・」と仲間の佐々木に勧められて、やっとその気になったのだった。「行こうよ」「そうだね、入ってみようか」佐々木のことばを引き取って、吉村は横の二人に声をかけた。だが、八田も間宮も気乗り薄で、何でそんなものを観る気になっ...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(7)
〇「とうとう東京地検の強制捜査が入ったな」「久しぶりに特捜が本気を出しましたよ」〇「安倍派だけかと思ったら二階派もやられたぞ」「アベの陰に隠れてうまくやっていたのにね」〇「屋上屋を重ねるというのはこのことだな」「土台がしっかりしてないのに無理に建て増ししたからですか」〇「ついこの前までは最大派閥でキングメーカーだったから倍安心(安倍〉して乗っかっていたんだろう」「どうもそのようで」〇「どっちにしろ国民不在で政界地図は殺伐つとしているな」「窮地にあった総理の岸田派が清潔そうに見えますものね」〇「おい、山本由伸のドジャース入団が決まったらしいぞ」「クリスマスと正月がいっぺんに来たような話ですね」〇「日本製鉄のUSスチール買収はどうなるんだ」「バイデン大統領がどう判断するかですね」〇「いくら同盟国でもエンパイア...紙上『大喜利』(42〉
飛ぶ四月二十日の逓信記念日に永年勤続を表彰された課長代理が、問われるまま苦労話を披露した。報告がてら職場巡りをしている最中だった。「勤続四十年とは驚きました。いろんなことがあったんでしょうね」水を向けられると、もう止まらない様子だった。「当時はね、臨時補充員という身分で入って、一年間じっくりと勤務態度を見られたもんだ。まあ見習い期間だから、必死に働いたなあ。・・・・きみらのように採用されてすぐ公務員になれるわけじゃない。郵政事務官なんて、わしらから見れば夢みたいな話なんだよ」「そうですか。・・・・いまは誰でも事務官ですから、ありがたみは薄いですがね」「給料だって、半月ごとの支払いさね。一遍に渡すと毎月晦日に足りなくなるから、やり繰りし易いようにという親心だったんだろうけど」「へえ、堪らないスね。初めて聞き...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(6〉
日々是好日マリオン・クロックの前は、人ごみでごった返していた。有楽町駅から流れてくるJR利用客と、真近の地下鉄銀座駅から湧き出てくる乗客が一緒になって広場にあふれていた。久美はこの場所なら待ち合わせに最適と考えたのだろうが、吉村は人出の多さに不安を感じていた。待ち合わせ時刻の十一時までに、久美の姿を見つけることができるだろうか。吉村は車道と歩道を隔てる金属フェンスに寄りかかって、伸び上がるように久美を捜した。折りしもビルの壁面に設置された大時計がせり上がり、小人の音楽隊がキラキラとメロディーを奏でながら正時を告げはじめた。西欧仕込みのカラクリが、この時刻を待って集まってきた人びとの期待に応えて、ひとしきり夢の世界を紡ぎだしてみせた。これまでに幾度も装いを変えた広場は、人と人との出会いをたくさん見てきた。名...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(5〉
逃げる朝から霙もようの天候になっていた。ここ数年暖冬が続いていて今年も例外ではなかったが、ときおり寒い日がやってきて人々をあわてさせた。吉村は朝一番の速達を配達し終えて、次の便に備えていた。濡れた合羽は腰高の丸椅子にかけてある。室内の暖房によって少しずつ乾きはじめていたが、床に滴った雫がその染みを拡げていた。窓外に目を転じると、近くを通る首都高速道路の入口がスキーのジャンプ台のようにスロープを描いていた。今でこそ慣れてしまったが、大きな窓ガラスに切り取られた都会の風景は、当初吉村に戸惑いと苛立ちをもたらした。八代の海と田園が奏でる柔らかな音色に育てられてきた男にとって、無機質の展示物は夾雑物以外のなにものでもなかった。コトッと音がして、ビル街を担当する佐藤が席を立っていった。隣接する郵便課での速達便の区分...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(4〕
舟艇暮色十月のある一日、吉村は休みをどのように過ごそうかと迷ったあげく、スポーツ新聞に載っていたレース・ガイドに誘われて多摩川競艇に出かけることにした。山男の彼とギャンブルの間に、親和するものがあるようには思えなかった。しかし相性はともかく、彼自身は遥か以前から賭け事に惹かれる自分の性質に気付いていた。「おれだって、破れたり崩れたりすることはあるよ・・・・」金銭だけの賭博ではなく、人生の要所要所で出合う岐路を前に、運命を賭けてみたい衝動に駆られることがある。吉村はかねがね、ギャンブルが形を変えた祈りのようなものだと信じているところがあった。祖母の手で育てられてきた環境が、いままでは彼に堅実な生き方を選ばせてきた。誠実で礼儀正しい人間性に、嘘偽りがあるわけでもない。しかし、平穏な日常に仕掛けられた危険な罠の...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(3〉
紫陽花郵便配達中の職員が犬に咬まれたというので、集配課は大騒ぎになっていた。広いフロアの窓に面した課長席を取り巻いて、三人の男たちが声高に話し合っている。真ん中で受話器に向かって頭を下げているのは、定年間近の課長である。断片的に聴こえるやり取りから察すると、総務課長の指示を仰いでいるらしかった。吉村はその日二度目の速達を配達して、ちょうど戻ったところだった。次の便まで若干の手空き時間があり、待機しながら深田久弥の『日本百名山』を読みつごうと心積もりしていた。速達を扱う部屋は書留郵便物も授受することから、一般の集配室とは区切られている。吉村は騒動のゆくえを横目に窺いながら、離れた通路を大股に通り過ぎようとした。「吉村くん、ちょっと」課長席のあたりから春風のような声が流れてきた。あらためて見直すと、ズボンの上...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(2〉
黄金の紐「郵便屋さん、そりゃないよ」遠くから凛とした声がひびいた。春とはいっても、まだ寒気が緩むまえの朝十時である。その滞った空気を貫いて、容赦をしない女の声がぴしりと飛んできた。吉村はおもわず歩みを止めて、からだを固くした。二十センチほどの細い銀線が背後で煌き、彼の後頭部を光のように射貫いていったのを、はっきりと意識した。(なるほど、神様の目は誤魔化せないな)それが女の声だとわかっていても、あまりにも間がいいものだから、日常を超えたところの存在に想いが行ったのだ。すべて見通されてしまった仕方なさが、逆に落ち着きをもたらした。『天網恢恢疎にして漏らさず』・・・・心のうちで呟きながら、ゆっくりと後ろを振り向いた。かなり遠くからの声と思っていたのに、足早に近付く女はもう吉村から数歩のところに来ていた。女は小豆...思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(1)
〇「国民をなめ切ってるな」「ご隠居、ご立腹ですね、もしかして政治資金のことですか」」〇「ノルマ以上にパー券売った分はポッポに入れてもいいことにしたんだと」「もともと緩い政治資金規正法が独り歩きを始めたみたいですね」〇「暗部派の幹部3人はそれぞれ1年で1000万円のキックバックを受けていたらしいな」「通算1億円以上ですからね、甘い汁とはこのことでしょうか」〇「有意見者はどう反応するんだ」「有権者のことですね、さすがに呆れたとは思うんですが特捜部が立件しなけりゃ少し票を減らす程度でしょう」〇「ウィンターミーティングが終わったら即大谷の移籍先が発表されると思ったがまだ待たせるようだな」「昨日はドジャースに決まったと発表されませんでした?」〇「メディアもスクープ合戦だな、見込みでぶち上げるんだろう」「ご隠居も、け...詩情『大喜利』(41)
いつも拝見するブログの記事の中に地球は子孫からの借り物です・・という石碑の写真が掲載されていたふと思い出したが誰の言葉かわからない地球を汚さずに子孫に渡すようにという願いだが大型台風や洪水・山火事など地球を汚した罰をすでに受けている気候変動と化石燃料に関係性はない御用学者の説を持ち出したトランプをグレタさんが睨みつけたわれらは過ぎ去った寸劇を思い出すが飛行機にも乗るし化石燃料の恩恵にもあずかる昔の耐乏生活には戻れないだろう過剰な生産とコマーシャルと消費のサイクル資本主義が作り出した悪しき生活習慣だが誰もそれらを手放そうとはしない地球の肺といわれる熱帯雨林は一年で日本のひとつの県ほどの面積が焼失する肺が少しずつ壊れていくのだそうだ火星に移住した一部の人間が変わり果てた地球を眺めながらかつて地球は青かった・・...ポエム367『地球は借り物』
〇さあCOP28(首脳級閣僚会議〉メンツそろって成果出た?(化石燃料使用削減については具体策決まらず〉〇COP28再生可能エネルギー発電量3倍に(2030年までに110か国誓約〉〇温室効果ガス排出売り買いしても効果なし(その場しのぎの削減〉〇まだ間に合う悲痛な叫びも馬耳東言(グレタさんの声も届かなかった〉〇愚低レス(グテーレス国連事務総長)と侮る世界の地球レス(結局人類は焦熱地獄に苦しむ〉川柳復活12『じじいの時事ばなし』
〇つつがなく過ぎし日ガザは筒だらけ(日本は平和なの?)〇逃げ惑うドッジボールの敵味方(ハマスはイスラエルの攻撃で一方的に逃げ惑うのか)〇阪神はアレ?で頂点(日本シリーズ)大賞(流行語)も〇岡田(監督)さん掛布・バースをしのぐ締め(大ホームラン)〇大相撲弱い大関の生き残り(大関・霧島が面目保つ)〇熱海富士あたふた突っかけ自滅する(対霧島の事実上の優勝戦で)〇錦木は負け越し(7勝8敗)構えはいいけれど(役力士への再浮上に期待)〇いよいよだ大谷翔平残留か(エンゼルスは居心地いいんだろうな)〇ヌートバー見ない日はなしCM王(野球もガンバレ〉〇由伸(山本〉は絶対エースと期待され(大リーグも研究してくるぞ)川柳復活11『じじいの時事ばなし』
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「蛸壺やはかなき夢を夏の月」この句は「笈の小文」からの選定で元禄元年に行った芭蕉の小紀行文には若さというか色気が感じられる。わび・さびに慣れた目にはこの句をはじめとする諸作が眩しく映る。とくに蛸壺の句が好きだ。現代の文芸作品と比べても優れている。芭蕉は若い時も老境になっても色あせない。才能が頭抜けている。6月18日、明け方になっても蒸し暑い。ぼくはこれから眠るから蛸と一緒に「はかなき夢」でも見よう。芭蕉の名句㊱『はかなき夢を夏の月』
月の裏側はわからないことばかりだ何年か前に中国がロケットを着地させたらしいがその後の様子は皆目わからないもしかしたすでに基地を作っていて秘密の地下壕に宇宙飛行士が住んでいるかもしれない太陽風や隕石に耐えながら暗闇の生活に慣れる訓練も月は地球を回る公転と自転の関係で地球の人にいつも良い顔を見せている三日月から満月まで風流の極みを提供して月にはかつて水が存在したらしい井戸掘りしなくても光さえあればプラントの中で野菜を栽培することもできるなのになんで月の裏側にこだわるのか月面裏側の地下シェルターの奥深くに会議室を設け核戦争後の地球支配を協議するつもりか1959年に初めて月の裏側を見たルナ3号も地球は青かったのボストーク1号もソ連だった習近平さんウラジーミル・プーチンさん仲良くしましょポエム413『月の裏側では』
「野を横に馬牽きむけよほととぎす」この句は「おくの細道」に載っている。この句が読まれた場所は、宇都宮から日光街道と分岐する奥州街道の拓けた場所らしい。〈白河の関へ向かう直前の作〉野の端っこからホトトギスの鳴き声が聞こえてきたので、すかさず芭蕉が反応した即興の名句である。絶えず句作のことに留意している芭蕉ならではの馬子への命令「馬牽き向けよ」に切迫感を感じないだろうか。今この瞬間を逃したらホトトギスはどこかへ行ってしまう。忍者まがいの健脚で知られる芭蕉がたまには馬に乗ることもあったのかと思う一方、江戸時代初期には馬子という職業が定着してとも考えられる。もともと伊賀の武士出身の芭蕉に職業意識はあるまいが、とっさの言葉に馬子への優位が覗かれる。いろんな面白さを含んだ名句として取り上げた。芭蕉の名句㉟『野を横に馬牽きむけよ・・』
〇古・古・古米ニワトリ啄みコケッコー〈結構〉*立憲民主の原口さんが「くず米〈家畜用〉」と呼んだ備蓄米です。〇六方を踏んで「どうだ」と進次郎*JA・全中〈農協〉を相手に富樫〈総理・農水省〉承知の勧進帳俳句川柳21『コメ騒動余波』
〇「退院のとき禁酒を申し渡された肝臓病患者」とかけて「看護婦なんぞに命より大事なものがあるのがわかるめえ、と帰りしなに蕎麦屋で祝杯をあげるオッサン」とときますそのこころは「おれの辞書には婦も屋も酒もちゃんと載っている、サ別用語じゃありません」*謎かけ問答変則版新企画『ととのいました』34
〇「長嶋茂雄が死んだな」「89歳というのはミスターらしいですね」〇「どのテレビ局も特集を組んで悼んでいるな」「エピソード満載の人ですから材料に事欠きませんね」〇「ジャイアンツでの活躍と慌て者のイメージが目立つ人だった・・」「そのギャップが愛されましたね」〇「やっぱり白鵬が相撲界を去ったな」「ご隠居の言った通りでした」〇「辞めさせられた白鵬の反撃で相撲協会もおちおち眠れないか」「何を言われても沈黙を押し通すらしいですよ」紙上大喜利91『じじいの時事ばなし』
栃木県の白河の関は奥の細道の入り口とあって芭蕉は待ち構えていた門人たちの大歓迎を受けた。そのため、かなりの期間黒羽町に滞在したと記されている。ある解説によれば「白河の関は東北の玄関口とされ、芭蕉は古歌や故事を偲ぶのに夢中で句を詠む余裕がなかったとされています。一カ所一句の原則は後に紀行文「おくの細道」を編纂する際に確立したものである。立ち寄らなかった場所でも俳句を載せて紀行文の体裁を整えた。『田一枚植えて立ち去る柳かな」尊敬する西行の五百年祭を記念する「遊行柳」などには実際に足を延ばしたが、門人のいない場所では連歌や連句を巻くこともできず早々に通過したことは前にも記した。「俤(おもかげ)や姨ひとりなく月の友」数年前の中秋9月10日、千曲市八幡の長楽寺で、松尾芭蕉の没後を偲ぶ会が催された。この句は「亡き母の...芭蕉の名句㉞『姨ひとりなく月の友』
〇新国劇のヒーローは月形半平太「春雨じゃ濡れて行こう」〇深刻劇に登場は斎藤兵庫の輔「責められても蛙の面にしょんべん」〇魔手・訴え返しで職員を告発「立花孝志さんに立ち話以上の秘密を洩らした」時代変われば主役も変わる『月形半平太もどき』
お土産にもらった魚沼産こしひかりの塩にぎり舌が感じるほんのり甘いコメの味ふるさとの川に戻った鮭が嗅ぎ取る匂いのように新潟の味が鼻腔をくすぐるうまいうまいよう何も足さない何も引かない思わずコピーライターの顔が浮かぶほど完璧な商品魚沼産こしひかりの味は三日過ぎてもまだ舌に残っているポエム412『塩にぎり』
「夏の夜や崩て明し冷し物」物知り博士の解説によれば以下の通り。前月下旬から嵯峨落柿舎に滞在していた芭蕉は、膳所に戻った翌日、元禄七年六月十六日(1694年8月6日)曲翠亭にて夜遊の宴、支考らと五吟歌仙を巻きました。掲句はその発句です。脇は曲翠、露ははらりと蓮の縁先。「今宵は六月十六日のそらみずにかよひ、月は東方の乱山にかゝげて、衣装に湖水の秋をふくむ。されば今宵のあそび、はじめより尊卑の席をくばらねど、しばしば酌みてみ(乱)だらず。人そこそこに涼みふして、野を思ひ山をおもふ。(中略)しからば湖の水鳥の、やがてばらばらに立わかれて、いつか此あそびにおなじからむ。去年の今宵は夢のごとく、明年はいまだ来たらず。今宵の興宴何ぞあからさまならん。そぞろに酔てねぶ(眠)るものあらば罰盃の数に水をのませんと、たはぶれあ...芭蕉の名句㉝『崩て明し冷し物』
松島トモ子という元子役は長じてライオンにがぶりと噛みつかれて有名になった最近では芦田愛菜ちゃんや鈴木福くんが印象に残る活躍をした中でも忘れられないのはひとひとピッチャンひとピッチャン万屋金之助映画「子連れ狼」の子役だろうか「大五郎」は役の上とはいえ毎回幼くして命を狙われる劇画家・小島剛夕が作りだした独特の死生観を付与されたまさか大五郎が実人生で事件を起こすとは子役の時に与えられた死生観が実人生に影を落としたのか不思議な縁だが深淵を覗き込んだ気がする子役のたどる運命は難しい芦田愛菜ちゃんのように親のサポートがしっかりしていて才能をどう伸ばすか方針が決まっている親の役割は成人になるまで卒業できない鈴木福くんも大学生になってそろそろ卒業するころだろう有名大学で学んだ学業を生かして実りある社会人生活を送るのももう...ポエム411『子役』
〇「大相撲夏場所は大の里の優勝で終わったな」「惜しくも全勝はできませんでしたが圧倒的な強さでした」〇「翌日には理事全員一致で横綱審議委員会に諮問された」「初土俵以来13場所での横綱は異例の速さだそうですね」〇「しかし千秋楽で豊昇龍に突き落とされたのは不覚だった」「14日目から緊張してましたものね」〇「二所ノ関〈稀勢の里〉親方がコメントして「アドバイスはほとんどない。この負けを来場所以降の糧にしてほしい・・と手放しのほめようだった」「稀勢の里以来の日本人横綱というんですから因縁を感じますね」〇「優勝2回の師匠を早くも上回っているぞ」「ご隠居、朝青龍・白鵬・日馬富士などモンゴル勢全盛時代に2回優勝した稀勢の里は立派でした」紙上大喜利90『じじいの時事ばなし』
「曙はまだ紫にほととぎす」「曙」は言うまでもなく、清少納言の『枕草子』の「春は曙。やうやう白くなりゆく山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。‥を下敷きにしている。曙はまだむらさきにほとゝぎす(真蹟)(あけぼのはまだむらさきにほととぎす)元禄3年(1690)。芭蕉47歳。前書きに、「勢田に泊まりて、暁、石山寺に詣。・・とあるように、やはり芭蕉は近江にも縁が深い。前に「石山の石より白し秋の風」を取り上げた際にも触れたが、奥の細道以前の小紀行文にも優れた句が載せられている。あらためて伊賀時代からの学識の厚みに敬服する。47歳で病没する最晩年の句業「奥の細道」がいかに過酷な行脚だったか、胸が痛む。芭蕉の名句㉜『曙はまだ紫に・・』
〇コメがない張り紙貼って店閉じる〈大阪のコメ販売店〉〇江藤農相「コメ買ったことない」で辞任する〈正直な人だ〉〇次期農相進次郎さん就任で失言待ち?〈コメ見たことない・・とでも〉〇備蓄米政府と農協で高値維持〈古米を高く売りさばき新米を高値で買い付ける=政府もJAもホクホク〉〇5キロ袋を買えずに2キロ選ぶ人〈庶民の生活苦は深刻だ〉俳句川柳20『コメがない』
「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」出羽三山の一つ湯殿山には、そこでの修行〈体験〉を他人に漏らしてはいけないという決まりがある。修験者にとっては掟と言ってもいい。芭蕉の句の「語られぬ」は「湯殿山のことは」の意味で「ぬらす袂かな」は修行の有難さに感激して涙で袂を濡らすほどだと詠んでいる。芭蕉が実際にどんな体験をしたのかは知る由もないが、ここで作った句は俳諧師松尾芭蕉の得意とする言葉遊びも若干顔を覗かせている。別の解説を見ると、湯殿山は女人禁制で「恋の山」という別名があるそうだ。また、湯殿山でのことは昔から「語るなかれ、聞くなかれ」とされており、この俳句が収められている「おくのほそ道」の文章の中にも、「惣而此山中、微細(総じてこの山の中の微細)、行者の法式として他言する事を禁ず。」という部分があるらしい芭蕉の名句㉛『湯殿にぬらす袂かな』
〇「五月場所も中日を過ぎて大の里が全勝で突っ走ってるな」「強いし安定してますね」〇「15日間白星を並べて横綱昇進に花を添えてほしいな」「白鵬みたいに何回でも全勝優勝できそうな逸材ですからね」〇「その白鵬に近々引退のうわさが流れているのを知っているか」「親方になって相撲解説などで活躍してましたが弟子の暴力事件を黙認していた責任を問われてミソを付けましたね」〇「弟子の伯桜鵬が必死に頑張っているみたいで痛々しい」「親がなくとも子は育つんじゃないですか」〇「青い目の力士が強くなって早晩上へあがってきそうだ」「琴欧州みたいな大関が誕生してほしいですね」紙上大喜利89『じじいの時事ばなし』
最近、佐藤浩市の顔を頻繁に見る「ファミリー・ヒストリー」にも登場したから何ごと?と思っていたら映画で吉永小百合の夫役を演じたのが話題になっているらしい父親の三国廉太郎も吉永小百合と共演しているから親子二代の縁とは珍しい父親は「釣りバカ日誌」のマドンナ吉永と佐藤浩市はエベレスト女性初登頂の田部井順子モデルの夫役佐藤浩市も渋い演技〈田部〉役で存在感を出しているが80歳の吉永小百合の妻役〈登山家〉にはビックリだ映画の完成報告会見だそうだから十何回忌の三国廉太郎も「てっぺんの向こうあなたがいる」を喜んでいるだろうポエム410『あの親子』
〇「大相撲五月場所も3日目が終わっておおむね期待通りの成績だな」「大の里の綱取りはほぼ固いんじゃないですか」〇「もう一人の横綱も負けて優勝が見えてきたな」「ご隠居、大の里はまだ横綱じゃないですからね」〇「おまえが固いというからついその気になった」「それにしても王鵬は絶好調ですね、豊昇龍を破って自分も大関を目指してますよ」〇「三役復帰した高安は負け先行だな」「先場所の優勝決定戦に負けてガックリしているんでしょうね」〇「尊富士は3連勝で力通りの相撲を取っている」「精悍で気持ちのいい力士ですよね」〇「心配なのは琴櫻だ、なにが原因なんだ」「先場所やっとカド番を脱したばかりなのにまたカド番もあり得ますね」紙上大喜利88『じじいの時事ばなし』
「象潟や雨に西施がねぶの花」象潟に義母の親せきがあるので結婚当初はよく遊びに行った。鳥海山もいいが、親せきが夏には海の家を経営していたので口に余るほどの岩ガキをごちそうになって思い出になっている。さて、この句は「奥の細道」の中でもよく知られた一句である。雨降る象潟で花びらを閉じた合歓の花を見かけたのだろう。「まるでまつ毛を閉じた西施の横顔を見るようだ。憂いに沈んだ表情が胸を打つ。・・」と漢籍にも強い芭蕉が思ったのかどうか。西施は歴史上中国の古代四大美女として楊貴妃らとともに登場した。生没年は不明だが、呉の時代に陰謀を託されて王に献上された美女の一人として古来から人気が高い。芭蕉の俳句も西施の印象を決定づけたのかもしれないが。参考=〈ウィキぺディアより〉本名は施夷光。中国では西子ともいう。紀元前5世紀、春秋...芭蕉の名句㉚『象潟や・・ねぶの花』
〇走るのも地獄降りても税地獄〈ゴールデン・ウィーク〉〇梅雨寒とともに自動車税期限〈6/2〉〇お土産ははしか?近場の渡航客〇トランプの関税破綻も友〈英国〉ありて〇寝ていても太刀筋きわめホームラン〈早くも11号〉俳句川柳23
ホタルブクロ画像は〈季節の花300より〉昼間白いホタルブクロの前でふたりの女の子がしゃべっていたねえクレハちゃんこのホタルブクロの中に妖精が隠れているのようそだメミルちゃん見たことあるの?クレハのことだましちゃいやだよ見たことはないけどきっと妖精がいる夜中にホタルブクロを見るとボウっと明るいんだって道草していた女の子二人はお布団の中でスヤスヤきっとたくさんの妖精がダンスをしている夢でも見ているんだろうなポエム383『ホタルブクロの秘密』
〇「芦田愛菜ちゃんはますます活躍してるな」「ご隠居、急にどうしたんですか。鈴木福君ともども成人になって知的なタレントになりましたよ」〇「いや、親がここまでよく育てたなと思ってさ」「そうですね、2人とも反抗期とかなかったんですかね。子育ての本でも出せば売れますね」〇「北朝鮮のゴミ風船は飛ばした50パーセントは韓国に届いているらしいぞ」「いやですね、イメージが・・飛ばす方の品格が問われますね」〇「日本も先の戦争末期には風船爆弾を飛ばしたけれど何個かアメリカ本土に届いただけだ」「太平洋を越えてよく届きましたよ。北朝鮮と韓国は隣同士の諍いで始末が悪いですね」〇「大谷翔平は背番号と同じ17号に到達したけど、ヤンキースのジャッジに大差をつけられたな」「相手投手の攻め方にも大差があるように見えますよ」〇「小池百合子さん...紙上大喜利60『じじいの時事ばなし』
駐車場の奥の崖下に黄色い百合が咲いていた梅雨入り前の真夏日の午後人間どもがあえぐ日盛りに黄色い百合はいとも涼しげに大きな花を咲かせていたなんだかノカンゾウに似ているがきみは野の百合だよね群れてないところが最高だ花言葉は「陽気」というんだってきみに出合ってよかったよ運勢がよくなる前兆だってさ駐車場の雑草の中で輝く黄色い百合これから仕事に出かけるけどよろしくなポエム382『黄色い百合』
茨城県に五浦海岸〈いづらかいがん〉という場所がある。岡倉天心のもとに集まった横山大観、下村観山、菱田春草らが日本画の美を極めようと切磋琢磨した北茨城市の景勝地である。海水浴場にもなる砂浜には海風にもめげず松が枝を伸ばし、岩場を望む六角堂にこもると打ち寄せる波の音が思索を深化させるようだ。天心は後に六角堂を日本美術院の本拠地にした。横山大観のいわゆる朦朧体などは五浦で生まれたものである。冬場はボストン美術館の中国・日本美術部長を務める天心は、夏場は五浦に戻って日本美術界の改革に注力した。もともと日本美術品の研究・収集に造詣の深かったフェノロサの通訳を務めていた天心は、自らも日本美術の研究にのめりこむ。弟子たちはみな家族とともに五浦で夏を過ごし、橋本雅邦ら若き天才画家たちが日夜日本画の可能性を追求した歴史的な...真夏の怪談その5『五浦海岸』
昨日のニュースで嘴太ガラスを肩に乗せて散歩する青年のインタビューに答える様子を放映していたとにかくカラスは頭がよくて可愛い同居していて新たな発見があり伴侶として申し分のない存在だという話変わって都内の繁華街からカラスが激減いま何が起こっているのかとミステリー仕立ての特集でもあった有力な答えは頑丈なゴミ箱の設置だカラスを兵糧攻めにする施策がやっと浸透してきたのだろうというその一方で鷹やハヤブサが増えているらしい都心の高層ビルは崖みたいなもので天敵を避けて営巣するには最適なんだとか新たな悩みに都知事候補はどう応えますか小池さんはまだ出馬表明せず蓮舫さんならビルに網かけろとでも・・ポエム381『カラスをペットにする男』
海野太吉は千葉県内をよくドライブした。勝浦や御宿が好きで、家族を乗せて行楽に引き回した。自宅が都内にあったので、あるとき茂原から四街道を経由して家に帰ることにした。自動車の道路ナビなどない時代に地図を頼りに近道を探して強行突破してきた。すると四街道に近づいたと思われる頃いきなり目の前に竹襖が現れた。「えーっ、なんじゃこれ?」家族も身を乗り出して怖がった。「おとうさん、引き返しましょう」「いや、竹藪が道までせり出しただけだ、道がないわけじゃない」農道なのか畑の中の私道なのかわからないがギリギリ通り抜けられそうだ。太吉は運転席のミラーを引っ込め、竹の幹にこすりそうになりながらなんとか通過した。「いやー、水木しげるの妖怪が出たかと思った・・」「お父さん無謀だから、いつもヒヤヒヤするわよ。いつか青梅の方でコンクリ...真夏の怪談その4『四街道の竹藪』
〇10代二人がバールを持って民家に押し入ったアーソレソレ主人殴って妻からカネ奪うソレカラドーシタあわてて逃げたが忽ち捕まった〇架空の投資で60億円集めたアーソレソレ社債を印刷くばってその場をごまかしたソレカラドーシタいくら稼ごうが悪銭身につかず〇詐欺をしようが強盗だろうがお札に色はないアーソレソレ金を使えばクラブは恵比須顔ソレカラドーシタ焼酎飲み飲みマルサ対策考えた当世あきれ節2
「羽衣の松」という小説を書いた仲間がいた。老境に入ってロマンスには無縁と感じ始めていた時、突然女性の方から思いを告げられたのだ。彼は驚き、うれしくも感じた。若い時は何度か恋愛をしたことがあったが、縁あって現在の女房と結婚し40年を共に過ごしてきた。それだけに同じ同人誌に所属する女性に誘われて食事をし、その後一夜を共にしたことはそれとなく記録しておきたかった。天女からふわりと羽衣をかけられたと表現したのは彼の心境そのものだ。富士山が世界遺産になったとき三保の松原もその一部に認定された。羽衣伝説は世界中に説話として存在し、日本では滋賀県や京都府の風土記に残されているのが最も古いのだが、富士山がよく見える場所として世界遺産に含まれたことから三保の松原が有名になった。本来、羽衣伝説とは関係のない話であるが、三保の...真夏の怪談その3『三保の松原浮気考』
〇八冠が叡王戦で踏みとどまる〇連敗のあと1勝返し2対2に〇挑戦者伊藤匠はAI通〇子供のころから聡太のライバル互角の才〇現棋界勝率1位の匠立つ〇21歳聡太・匠の若武者戦〇八冠は先に名人位防衛す〇藤井聡太に過密日程発汗やまず〇AIにもまれて予備軍虎視眈々〇もはや大人の出る幕なしか将棋界俳句川柳7『藤井聡太八冠』
〇牽制球が足に当たって痛い顔〇そんな翔平見たことなかった心配だ〇監督が復調予言ほっとした〇翔平が10試合ぶり14号〇トップまで2本差いずれ追いつくさ〇とはいうが守りの姿勢が垣間見え〇水原に受けた裏切りトラウマに〇新住居〈十数億円〉へ移って心機一転か〇ロバーツ〈監督〉のおねだり〈自動車〉変じてミニチュア・カー〇背番号〈17〉譲った選手と違うわい〈奥さんにポルシェ贈って話題に〉俳句川柳6『心配させんなよ』
現在はにかほ市になった秋田県の象潟町で重吉は炭焼きを生業にしている。東京の大学を卒業したあと実家の山を預けられ、楢や橡の木を切り倒しては木炭づくりを目指した。ところが重吉は炭窯に火を入れた後持ち込んだ哲学書を読みふけるものだから、火を止めるタイミングを失い出来上がった木炭はほとんど灰に近い状態になってしまった。「重吉さんなばダメなもんだ。炭つくってんだか灰つくってんだか売り物になるのは一本もなかった」口さがない住民が噂するうちはよかったが、そうち呆れて誰も近寄らなくなった、そうして一年が過ぎ炭の材料になる木を伐りに遠くまで足を運ばなくてはならなくなttころ、重吉さんの炭の品質がきゅうによくなった、聞きつけた住民が重吉さんから話を引き出したところでは本に夢中になっていても木の精が勝手に話しかけてくるのだとい...真夏の怪談その2『にかほ市の哲学者』
〇「どうだ、やっぱり大の里が優勝したろう?」「ご隠居の言う通りでしたね。しかし、中日のあと2敗したんでハラハラしましたよ」〇「負けを肥やしにしてどんどん強くなったよ」「最後の3日間は自信に満ちた顔をしてましたね」〇「大の里はあと何場所かで大関になる、横綱も遠くないだろう」「そう簡単にいきますかね、人生何が起こるかわかりませんよ」〇「大丈夫だ。オーラがある。謙虚さもある。相撲の型もある」「へえへえ、ご隠居を信じますよ」〇「ライバルの琴桜もうまく育ってほしいな、尊富士も復帰してくれば面白くなる」「平戸海や熱海富士も見どころありましたしね」紙上大喜利59『じじいの時事ばなし』
市ヶ谷駅は僕がよく利用した駅である。夏の深夜、大急ぎで改札口に降りていくと頭上から人のすすり泣く声が降ってきた。声の主はたぶん女性だろうと気になったが、こちらも電車に乗り遅れる心配があったので確かめることなくホームへ走った。何日か経って市ヶ谷駅のすすり泣きのことが週刊誌に載っているのを中吊り広告で知った。早速買って読んでみると、僕が体験したよりも大分前から噂になっていたらしい。誌面によると夫に捨てられた女性がJRの線路上で飛び込み自殺した事件があり、その時の状況がこだまのようによみがえって夜な夜な誰かしらの耳に届いていたらしい。よほど無念だったのか、聞いたのは男性ばかりで男への恨みも感じられる話だった。週刊誌の記事を読んで以来、僕は市ヶ谷での乗降を避けるようになった。総武線ではなく中央線の快速や準急電車を...真夏の怪談その1『市ヶ谷のすすり泣き』
天・点天を仰ぐ暑い直視できない点黒点子供の絵なら簡単ゴマのような黒点太陽フレアまでクレヨンカナダでオーロラ電離層パニック気象衛星多数墜落・点天天を仰ぐ熱い直視できない黒点気象も天文学も天に始まり点に終わる人生は天の思し召しポエム380『天』
〇社長が一瞬目をかけたアーソレソレ早くあと継がせろと焦る娘婿ソレカラドーシタ魂胆読まれると匿名人間を雇って深い闇深い闇〇政党交付金の使い道報告下限はいくらアーソレソレ与党の協議はいくらやっても折り合わずソレカラドーシタ自民は10万以下に切り下げず国民無視国民無視〇クマがやたと人を襲うアーソレソレ暖冬で冬眠短め腹が減ってたまらないソレカラドーシタ民家に侵入し貯蔵庫開けて好き放題好き放題当世あきれ節1
〇「おい、小相撲って知ってるか」「えッ?大相撲なら今やってますが」〇「横綱照ノ富士をはじめ大関貴景勝、霧島、関脇若隆景、朝乃山など注目力士がみんな休場で元気なのは小物ばかり」「それで小相撲ですか、ご隠居」〇「今場所の優勝は大の里で決まりだな」「またまた、気が早い。まだ8日目ですよ」〇「先場所だって尊富士か大の里のどっちかといったろう、今場所は大の里の番だ」「へえへえ、外しても知りませんよ」〇「大谷翔平が13号を打ってトップに並んだな」「打率もトップだし三冠王が狙えるんじゃないですか」〇「ロサンゼルス市が大谷翔平の日を制定したな」「5月はアメリカ政府がアジアやハワイ、太平洋の島々にルーツを持つアメリカ人の歴史・文化や功績をたたえる月間でそれにあやかったらしいですよ」紙上大喜利57『じじいの時事ばなし』
巣鴨プリズンが解体されたとき、ある独房の壁の中から奇妙な塊が転がり出てきた。公には報道されなかったが、それは高温の熱によって溶かされたコンクリートが、冷えて固まった状態に見えた。普通、ブルドーザーで破砕された壁は、捻じ曲がった鉄筋を除けば、セメントと砂、砂利による組成が一目瞭然だった。それに対し、発見された塊は内部でガラス質の粒子が滾り、流れ出たような形跡が見られた。飴を塗りつけたような表面には、わずかながら人をほっとさせる暖色系の彩りがあった。なぜ、コンクリートが溶けたのか。壁の一部だけが、どうして他と違う様相を見せるのか。独房に収監された囚人が、脱獄を図るために薬品で壁の腐食を狙ったと考える者もいた。壁の解体に携わった業者は、上司を通じて拘置所の責任者に報告した。あり得ないことだが、少しの疑いでもあれ...思い出の短編小説『壁の中』
『東海道中膝栗毛』〈とうかいどうちゅうひざくりげ〉で名の知られた十辺舎一九は1802年~1814年にかけて初刷りされた滑稽本である。「膝栗毛」とは、自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行の意で人気作品となり刊行は『東海道中膝栗毛』と『続膝栗毛』あわせて20篇に及んだ。後世に読みつがれ、主人公の弥次郎兵衛と喜多八コンビのキャラは歌舞伎や映画等で現在でも活躍が続いている。文才とともに絵心のあった作者による挿絵が多く挿入され、江戸時代の東海道旅行の実状を記録する、貴重な資料でもある。版木による出版が何版にもおよび、今でいうベストセラー作家となった十辺舎一九は文筆業だけで生計を立てたわが国最初の人物ともいわれている。通称「弥次喜多道中記」のあらすじは、江戸の神田八丁堀の住人である栃面屋弥次郎兵衛と居候の喜多八が二人と...新作KAIDANその10『十辺舎一九』
那須野が原には「九尾の狐」が住んでいるといわれている。最近、那須野が原を舞台にいやな事件が勃発しているが、ご当地の九尾の狐がどう思っているか世間の口端も喧しい。「ぼくは九尾の狐はワルだから冷ややかな顔で見ていたんだと思う」「いや、わたしは九尾の狐は憤慨していると思います。もともと伝説では神獣といわれて王朝を支えてきたのだから今回の事件はイメージダウンになると怒っているはずです」「読み本屋、曲亭馬琴の受け売りだな?」「そういう貴方こそ玉藻前〈平安時代末期に登場する『玉藻草紙』で鳥羽上皇の姫に化けた狐〉にたぶらかされているんでしょう」「九尾の狐をワルだと言っているぼくが騙されるわけがないだろう、何を考えているんだ」「全身〈心〉全霊で化かすというから、あんたなんかイチコロよ」「ちょっと待った,お二人さん、九尾の...新作KAIDANその9『九尾の狐』
〇「大谷翔平が11号ホームランで両リーグトップに立ったな」「3連発の後このまま突る可能性がありますね」〇「護衛艦『いずも』をドローン撮影した奴はドロンしちゃったのか」「中国のSNSに投稿されたということですが誰かはわかりませんね」〇「政治資金規正法はどうなった?」「連座制は決まりみたいですが問題は使い道ですよね」〇「何に使ったか記録し党に報告する金額を10万にするか5万にするかで自民・公明の折り合いがつかないんだろ」「ザルの目を粗いままにしたい自民が引き延ばししているようですね」〇「宇野昌磨が今シーズン限りで引退するらしいぞ」「男子フィギアという激しいスポーツでよく頑張りましたよ」紙上大喜利57『じじいの時事ばなし』