越天楽(Espostoa mirabilis)を手にしたのは,2年前の夏,三河さんのところでした.その時のサイズは,高さ20cm程度,すぐに比較的大きな鉢に植え替えてやりました. 1年経って高さは約倍の40cm超になりました.なかなかの育ちっぷりです. そして2年後の今年の夏.高さは約60cmに,途中から分枝が2本出てきて面白い形になりました. 茎の先端は,こんな感じ.強い中刺はここしばらくはずっと連続して発達しています.稜の数...
師走が近づきシャコバが咲き始めました.ずっと炎天下の露路栽培なので茎は赤茶けていますが,元気に咲いてきました.せっかくなのでしばらく玄関に飾ってやることにしました.シャコバサボテンという名は,葉の形がシャコに似ているからそう呼ばれたのですが,花の時期からクリスマスカクタスとも呼ばれていました.その後欧州産の改良された園芸品種が作られる様になり,デンマークカクタスと呼ばれるようになりました.売る方...
ウチには黒牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus)と色々なレッツーサス(A. retusus)との交配種が居ます.自作のものではなく,以前にこうした交配種が気になった時期に,色々なサボテン屋さんなどで見るたびに手にしたもものです.下の3株はそれぞれ花粉親のレッツーサスが異なります.草姿は似たり寄ったり,花も似たり寄ったりで,見るべき個性がありません. そしてこの株は,やはりレッツーサスとの交配種ですが,花も黒牡...
キリンに接木して気持ちよく成長していたザラゴザエ.キリンの冬の寝床を開け閉めしている際に,誤って枠の支柱をぶつけてしまい,キリンが折れてしまいました.元に戻しても切断面が綺麗に繋がりそうにありません.葉がひどく汚れていますが,これは数日前にヨトウムシ対策で粉剤を撒いたためです. 仕方なく切り取り,キリンの茎が大変短いのですが,葉を2枚温存させて挿し木しました.11月上旬,温度的には心許ない季節です...
ラベルには玉牡丹×赤花三角牡丹となっていました.でも出来上がってきたものは,昔でいう厚葉ロイヤル皺玉牡丹とでも呼べるような顔つきです.2株あるのですが,ともに同じ系統の顔.うーんラベルを間違えたのか?と思いながら花を待っていました. 花はご覧のように典型的なレッツーサスの花で,とても赤花三角牡丹が掛かったとは思われません.花を見て,うーんやっぱりなと思いました. 多分これはラベル間違いなのですが...
時間がかかってようやく雪冠雲の後継ができたと報告したのは8月のことでした.秋になり果実が伸びてきました.最初に果実が伸びてきた時,おや?っと思いました.果実の色がうっすらピンクを帯びているのです.親の写真を確認してみましたが,記憶通り真っ白です.これじゃ雪冠雲じゃなくて桃冠雲じゃん!と思ってしまいました. さらに時間が経っていくつもの果実が伸びてきました.桃色がかった果実を出す傾向は薄れてきまし...
秋にいつもの通りMesaへ種子の注文をし,返事が来て,これもいつもの通りPayPalで支払いを終え,種子を待っていました.ところが今頃になって,あなたの注文は謝絶されましたので返金します,というメールが.一体何事が起きたのか?その説明は以下の通りです. 「米国農務省との間に変化がありました,現時点では全てのサボテンはワシントン条約2号リストに載っています.現時点ではどのような書類が必要か決定されるまで私た...
ウチの牡丹棚には銘品は一つもありませんが,色々な顔のレッツーサスが居ます.花が綺麗なのが良いなと思って交配した3兄弟です.ある程度のサイズになり,しっかり個性が現れてきました.牡丹類の花は数日間開いたり閉じたりしますが,その間の変化もまた見て楽しいものです. 1番目の個体の開花時は,白花で外側の花弁がはっきりとしたピンクを帯びます.開花後日数を経ると赤味が増し,夕方に閉じた花ははっきりとしたピン...
マミラリア協会誌の11月号が届きました.表紙はニヴォサ,金銀司です.プエルトリコの東にあるクレブラ島の海外の写真です.こんなところにマミラリアが居るなんてちょっと不思議な気がします.でも実際に見てみたいなあ. さて中身はマミラリア協会誌なのにテロカクタスの大統領の記事,コリファンタのC. retusaの記事があります.それもそのはず,このマミ協会の守備範囲は、マミラリア,コケミアエ,テロカクタス,ツルビニ...
この小さな姫牡丹を手にしたのは一昨年のことです.それまでは接木で育成したまん丸の姫牡丹しかうウチにはいませんでした.牡丹らしく過ごさせようと,手にしてすぐに植え替えて小石に埋めました.今年の夏はことの他暑く,残暑も厳しかったので,何やら顔色が黒ずんできて,ああ腐ったのかなと思っていましたが大丈夫.季節を忘れず蕾を上げてきました. 花が咲き,こんな角度から眺めて,うん,いいぞ!と一人悦に行ってい...
昨年簡単な風除けをしてやった露地植えの葉ウチワ,春先からいたく元気であっという間に倍ぐらいのボリュームになりました.秋の陽射しのもとで元気よく過ごしています. 面白いもので,葉ウチワの花は春に咲いたあと夏は一休みし,秋にまた咲いてきます.10月も終わりになってもまだ少し咲いていました. 根元には多肉らしいものを植えたくてデロスペルマを植え付けておきました.全面を覆うようになれば,雑草対策にもなりま...
今ウチではアガベ牡丹をほぼ小石に埋めて栽培しています.本当は黒土に埋めてイボ先だけ出して栽培すると自生地らしくなるのですが,さすがにそこまで行く勇気がなく,こんな感じで維持しています.牡丹類の栽培はどうも苦手なのですが,こうした小石を株回り敷くことにより,大いに楽になった気がします.ほぼ小石の中から花が上がってきました. 横から見ると小石の中に咲くように見え,その姿は悪くありません. 普通の視点...
ごく最近のこと,普通の白星ありませんか?と聞かれ,ウチにはないねーと返事しながら,そういえば長いこと種子を蒔いていないなと気付きました.ピンク花の方は毎年少しですが蒔いてきましたが,普通の白星は大きくなった株が2つあるだけ,カキコ繁殖もしないので,手元には小苗が全くありません.実際にサボテン屋さんに行ってもあまり白星は並んでいません.すっかり駄物扱いで,増やしても売れない・お金にならないサボテン...
竜角牡丹(Ariocarpus scaphirostris)の独特の蕾が膨らんでくると,ああ今年もこの季節が来たなと嬉しくなります. 竜角牡丹の花は他の牡丹類にない,かわいい系の花です.開きかけの抱え咲気になった頃の姿は本当にかわいいです. しっかりと開くと雄しべがふわっと開き,それはそれでまた他の牡丹類にはない美しさを演出します.このように花が開く各ステージを愛でるのが竜角の楽しみです. この株は13年前からウチに居る...
綿毛に包まれてなんだか咲きにくそうな連山(Ariocarpus fissuratus)です.でもこの時が一番美しく見えます. 人が多毛系を選抜してきたので,花が咲きにくいほど綿毛がありますが, 野生の亀甲・連山はこれほど綿毛が豊かではありません.おまけにボクは頭から容赦なくジャーっと水をかけるので,毛が固まってほつれにくくなっています.綿毛を少し外してやるとふわーっと花が開いてきます. この株は先日の亀甲牡丹同様,一...
この金鯱は2年前に今の場所に落ち着きました.今度3度目の冬を迎えようとしています.晩秋の陽射しのもとで元気良さそうにしています. まだそんなに寒いわけではありませんが,周りにビニルを張ってやることにしました. ちょっとスペースに余裕があるので,外組のアガベ君を同居人に迎えることにしました.今は北側の上部をすかせてあるので,晴れた日でも中がそれほど高温にはなることはありません.でもこれを設置するとい...
日頃は地味な紫丸(Mammillaria voburnensis),花どきは少し主張しています.7年前に手にした時と比べるとすっかり貫禄が出ています. 秋の陽射しを浴びて一斉に花を開き始め,賑やかな雰囲気になりました. 花弁の外側に茶色の筋が入るクリームの花は,華やかさこそありませんが,安心感のある美しさです. 彼らの故郷はメキシコ南部からグアテマラに至る場所で,ウチの無加温ハウスは彼らにとって寒いんじゃないかなと心配...
三角牡丹(Ariocarpus trigonus)の小さな株が花を咲かせました.あーこれこれと手にとってしばし眺めました.三角牡丹はとても思い入れのあるサボテンです. 牡丹類の中では異彩を放つ薄黄色の花,なんとも言えない雰囲気を持った花ですね. 昔,この三角牡丹を持っていました.セピア色の写真に映る牡丹類の中でひときわ大きな三角牡丹.おそらくこれは輸入球で,大阪エキゾチック植物研究所の黒田さんのところから買った...
赤城(Ferocactus macrodiscus)とテロカクタスのラウセリー(Thelocactus lausseri) が交配できると知ったのは去年のことです.恥ずかしながら,フェロとテロの属間交配が可能とはそれまで知りませんでした.早速半信半疑で赤城にラウセリーの花粉を載せてみました.ちゃんと着果しました. そして採れた種子を直ぐに蒔いて見ました.とても異属間交配種とは思えない良好な発芽です.また種間交雑種にしばしば認められる過剰な...
この天紫丸(Gymnocalycium pflanzii var.albipulpa = G.zegarae)錦はなんと13年前からうちに居ます.手にした時は6−7cmの小さな株でした.まずまずの斑柄だったのですが,成長するに従い,斑が勝っている部分が段々と肥大して行き,株全体の形が歪んできていました.斑が入った部分はどういうわけか肥大する傾向にあり,このため斑が偏った株では不整形になりやすいのです.本当にもう廃棄するかと思うほどでしたが,我慢して...
アルビコマ(Mammillaria albicoma)は,淡雪丸という和名をもらっていますが,普通はアルビコマで流通しています.タマウリパス,ヌエボレオン州の比較的狭い地域が故郷です.ウチにはいくつかのアルビコマがいて,ちょうど花が咲いてきています.白マミであり,中刺の強弱こそあれ,カギ刺はありません. これは三重のコロンさんのところから来たもの. 次は奈良多肉研さんから来たもの.上に比べてややイボが小ぶりでしょう...
サボテンたちに影で,オトンナ ユーフォルビオイデス(Othonna euphorbioides)のおチビさんが黄色い小さな花を上げています. 花はキク科らしい頭状花序で,小花には舌状花はなく,全て筒状花です.それでもはっきりと5枚の花弁があることがみて取れます.茎の先端に複合花序を形成し,その直下の腋芽から新たな芽が出るため,花をつけた幹はその後二つに分かれることが多いようです. 茎に残る刺のようなものは花茎が枯れて...
この亀甲牡丹は随分前におそらくオオタバコガの食害と思われる災難に遭い,成長点部に大穴が開きました.その後分枝が出てきて,復活して来ました.あれからさらに2年が経ち,7頭が全体を覆うようになって,ようやく形になってきました. とは言え全頭が一斉に開花することなく,なんとなくバラバラと咲きがちです.さらにそれぞれの頭が10cmぐらいまで大きくなればもっと見事な花姿を見せてくれるかなと期待しています. 今...
暖かな陽差しに誘われて,ミズクエンシスが綺麗に咲いてきました.ミズクエンシスと言ってもスルコではありません.4年前にプシスの原種シリーズで紹介した旧ロビビアのミズクエンシス(Lobivia calorubra v. mizquensis TB488.1)です.やや小型のロビで年に何度も咲く素敵なヤツです. 先に紫野との交配種を紹介しましたが,彼らは大変花着きもよく,いいものだと思いました.花色のバリエーションがないのがちょっと残念です...
二十四節気の立冬は「木枯らしが吹き,冬の気配を感じる頃」とされます.木枯らしは吹いていませんが,朝の気温低下は遠からず冬がやって来ることを予感させます.温度の低下を気にするハウスから内張をしっかり留めて二重被覆を完成させました.陽がさせばハウス内の気温は30℃以上にはすぐ上がります.柱サボテンのひだに縮こまっていた雨蛙くんも昼には活動再開. 晴れさえすればハウスは30℃を超える時間を5時間ほど確保でき...
ミニムスが咲いていました.ツルビニたちの開花は季節外れという言葉が適用できません.不定期に年中咲いてくるからです.このミニムスというサボテンは,T. krainzianus var. minimusまたはT. pseudomacrochele subsp. krainzianus f. minimus(蕪城丸ミニムス)とされたりT. pseudomacrochele subsp. minimus (長城丸亜種 ミニムス)とされたりで,ツルビニストでないものにとってお前は誰なんだって感じになります. また茎...
盛んに秋の成長をするサボテンたちがいます.一方で春にはあれほど盛んに刺を出したのに,夏以降すっかりお休みしてしまうものたちもいます.まだ小さな苗たちは,この季節も精一杯成長してようとしており,新刺の美しさを存分に味合わせてくれます. 琴系丸(M. camptotricha)の短刺変異,欧州ではBruという品種名で流通しています.このbruの語源は何なのか,調べてもそれらしいものは出てきませんでした.新しい刺が淡い象...
冬咲きのピクタ(M.picta SB944)の開花が始まっています.pictaという種小名を持つ動植物がたくさんあり,これはpictusの女性名詞形で,色彩のある,美しく色付いたなどの意味です.どうしてこのサボテンこのような種小名が付けられたのかちょっと理解に苦しみます.イタヤカエデ(Acer pictum)ならなるほどと思いますが. 一昨年の今頃,播種後初めて咲いた花を記事にしています.その時に比べて随分と大きくなり,おや?と...
この初夏にキリンウチワに乗せたアリオが横っ腹から蕾を出しています.確か竜角牡丹を蒔いたと思ったのですが,こんなふうにイボの先にアレオレがあって正解なの?なんか違うでしょう! 数日後,健気に花を咲かせました.花を見たからと言って何者かがわかるわけではありません. 今年蒔いたアリオたちは少しずつキリンに乗せています.これはいわゆるゴジラ,小さい時からゴジラ顔です. そしてこれは黒牡丹,これまたああ黒...
Neoporteria clavata KK1447が咲き始めました.ネオポルらしい花です.このクラバータはこれから長期間にわたり,次々と花を上げてゆきます.ネオポルは一つのアレオレから複数の花芽を出すことがあり,これが花数を増やしている一つの要因です. クラバータの1タイプが暗黒王として日本では広く流通していますが,このFNは暗黒王に近い姿をしています.この個体は刺がやや強く正に暗黒王タイプです. 自家受粉するのかどうか...
今年もあと2ヶ月となりました.いえ,まだ2ヶ月もあります.これから防寒対策が本格化しますが,毎年あーでもない,こーでもないとマイナーチェンジをしながら,冬に備えます.それが済めば比較的暇な時間がやってきます.冬の園芸の楽しみはカタログ園芸,特にサボテンの場合は種子の注文です.海外のサイトは秋に種子リストが更新されますが,人気の種子はすぐに売り切れてしまします.そんなリストを見ながら,来春向けて何を...
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越天楽(Espostoa mirabilis)を手にしたのは,2年前の夏,三河さんのところでした.その時のサイズは,高さ20cm程度,すぐに比較的大きな鉢に植え替えてやりました. 1年経って高さは約倍の40cm超になりました.なかなかの育ちっぷりです. そして2年後の今年の夏.高さは約60cmに,途中から分枝が2本出てきて面白い形になりました. 茎の先端は,こんな感じ.強い中刺はここしばらくはずっと連続して発達しています.稜の数...
昨日緋縅の記事を載せたのですが,この時期に頑張る夏サボの代表はこの豊明殿(M. grahamii)です.強固なカギ刺で身を固めたやや硬い感じのサボテン.当初は暑さが苦手で夏の灌水を制限しないといけないのかと勘違いしていました.でも彼らの故郷はバハカリフォルニアで夏から秋の高温期に雨が降り出すところです.このバハグループのカギ刺のマミは夏もしっかり水をやります. これはMesamから来た種子由来のグラハミー,刺が...
毎年暑い夏の到来とともに緋縅(Mammillaria mazatlanensis)たちが咲いてきます.毎日40℃になるハウスの中で,人間様はわずかな時間でヘロヘロになるのですが,そんな猛暑をものともせず彼らは咲いてきます.この株は随分前から居るのですが,ラベルの文字が消えてしまって正確にはいつウチに来たのか分かりません.でも2012年にはすでにブログに登場しています. そして昨年紹介したソノラさんのマザトラネンシス.今年は雑居...
昨年たくさんキリンの花が咲き,なんとか種子も採れました.5月になり気温も安定して来たのでキリンウチワの種子を蒔いてみることにしました.蒔いて間も無く種子はしっかり吸水して中身が膨らみました.すぐに発芽するのかと思いきや,なかなか発芽しません.これは発芽しないのかなと思っていたら,一月以上経ってようやく一つだけ根が出た様で,下胚軸が伸びて来ました.10年ほど前に大葉キリン(Peireskiopsis aquosa)の発...
連休過ぎに蒔いた太平丸たちが,揃って発芽してかわいい姿を見せています.これらは昨年に交配したものです.初夏から夏にかけて種子が収穫されるのですが,ボクは種子を洗浄・乾燥後冷蔵庫にしまって,翌年の春に蒔くことにしています. どこかガチャピンを彷彿とさせるユーモラスな形をしているのですが,それぞれ系統によって個性も見えます.一般論ですが,ニコリー系は種子も大きく,そこから生まれる実生も丸々としていま...
これはM.albicans JP85/1347,故郷はバハカリフォルニアSan Juan de la Costa です. アルビカンスの名前の通り,全体に側刺の白さが目立ちます.それにしても花の様子,草姿ともに銀姫によく似ているなと思ったら,M.slevinii (銀姫)はM.albicansのシノニムでした.以前紹介したスレベニーSB1251も同じ所から採られたものですね. シノニムとは言え,みんながみんな一緒かと言えば,以前からウチに居る白天丸(M.albicans)の...
カペンシス(Mammillaria capensis)がようやく咲いたことを記事にしたのは3年前のことでした.小型のマミながらじわじわと大きくなってすっかり落ち着いた姿になりました. 花はこの仲間の花としては地味系ですが,これがまたしっとりとした落ち着きを生み出しています. カペンシスという種小名をいただいていますが,capensisとは「ケープ地方の」という意味で,多くの動植物の種小名として用いられています.なぜカリフォ...
この小さなサボテンがSan Pedro Nolasco島の固有種というのですから,驚きです.M. dioica var. multidigitataとされることもあったのですが,KewはCochemiea multidigitataとして独立種として認めています.確かにディオイカに近いと言われると納得の形態です. 花は完全に両全花で,季節によって機能的雌性花になるのかどうかは確かめられていません.そんなことはともかく,覗き込むとなかなか風情のある花です. 玉簪とい...
昨年かなりたくさんのキリンウチワが咲いたことを記事にしました.そして交配して種子を採り,わずかながらも実生苗ができました.昨年咲いた袖ヶ浦接木のキリンは,この春に倒すことなく伸びすぎた枝を剪定して残していました.梅雨も後半になってキリンウチワの古株もエンジンがかかり出し,一斉に芽を吹い来ました.その新芽を観察してみると驚いたことにかなりの割合で先端が花です.果樹で言うところの短花枝のようになって...
ディオイカ(Mammillaria dioica),和名単独丸の種小名は,雌雄異株(dioecy)から来たものですが,ウチで観察している限り,株が別というより開花時期により両全花だったり,雄しべが退化した機能的メス花だったりする様です. これは随分昔に西沢さんから来たもので,SB1242,カリフォルニア半島の中央部辺りの内陸側Mulegeが故郷です.花は薄いピンクの中筋が目立つ白花です. 一方こちらはL44 同じくカリフォルニア半島の...
グラデーションとは色などが段階的・連続的に変化することを指します.この段階的・連続的変化が大きいか小さいかはさして問題ではなく,変化そのものが大切なようです.ヒトはなぜグラデーションを美しいと感じるのか?単純にはベタ塗りの色に比べると,グラデーションがあると立体的で奥行きを感じるからだと言えます.そもそも自然界のものはほとんどグラデーションがあり,ヒトはそれに安らぎや安心感を感じるからだと解釈さ...
今年も160本余りの太平丸がキリンの園を卒業して独り立ちしました.以前は袖接ばかりでしたが,徐々にキリンに移行して,ここ数年は全てキリン接木です.袖に比べて開花がやや遅く,接木2年目の太りも弱いのですが,降ろしてからの安定性は袖よりずっと高いようです. まだ本領発揮には程遠いサイズですが,面白そうな顔つきを2,3紹介しておきます.ただ5,6cmの時の顔の良し悪しは全く当てにならず,太平は8cmぐらいで1度化け...
亀甲柄の兜が出てきたのはそんなに新しいことではありません.ただ非常に高価だったのと近親交配を進めて作った結果なのか生殖器官の異常が目につき,あまり手にする気がしませんでした.だいぶんと世代も進み多様な亀甲タイプの兜も出回ってきたので,手元に置いて眺めることに. これは亀甲柄のルリ兜です.雄しべ,雌しべともに正常でした.試しにウチにあるかつては亀甲柄でしたが大きくなって普通のルリ兜のような風情にな...
アブディダ(Neobesseya abdita => Escobaria abdita => Pelecyphora abdita)の白くて短い刺にビシッと覆われた姿を写真で見て,これは自分でも増やしみなくちゃと思いました.幸い地元のカクタスクラブの方から種子を分けてもらい,なんとか発芽したものをキリンで育成してみました.あっという間に大きくなり,播種して10ヶ月ほどで開花し始めました.これはVM1018で,コアウイラ州オカンポが故郷です.現地の写真と比較する...
先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはMammillaria glochidiata var. xiloensis ML45です.故郷はメキシコ イルダゴ州AlmolónとGiloの間付近とのことです. 肌色が黄緑に近くカギ刺の色が黄色なので,全体としてボヤッとした印象です.小型のマミで,花は大変小さく覗き込まないとよく分かりません.草姿とともに大変地味ですね. このグロチディアータM. crinita のシノニムという見方もありますが,KewはM. glochidiataを認めています.佐藤さんの事典に...
ヤヨイアーナという種小名をみて弥生を連想するのはボクだけではないはずです.しかも女性の弥生さんを勝手に連想するのは行き過ぎでしょうか.紅傘丸なんて色気のない名前は好きになれません.Lobivia jajoianaはのど黒系ロビの代表選手,この春にL. jajoiana var. glauca WR218の花が咲いたことを報告しました.その後もいくつか連続して花を咲かせてくれましたが,今はすっかり成長の方に力が入っているようです. そんな中...
これはMesaから入れたMammillaria meridiorosei RAR34です.故郷はアリゾナ州Madera Canyon,このFNは検索サイトでヒットしないのですが,Mesaのカタログでは使っています.かなりの大輪で,ピンクの細弁がスッキリ伸びてとてもよく目立ちます. 横から見ると長いカギ刺を持っていることが分かります.側刺は白いので全体として優しい雰囲気でもあります. このメリディオロゼイはM wrightii subsp. wilcoxiiとされたり, Kewは...
春に咲いたマミラリアの実が見えるようになりました.少し繁殖しておこうと思ったものは積極的に手交配しますが,そんな意図とは関わりなく生まれた果実は眺めるだけに留めます. アルビコマは果実の様子を確かめたくてきちんと手交配をしました.記載では果実は赤いとされていたのですが,本当にそうだっけ?と不安になり,実際に見てみたかったのです.なるほど赤い果実でした.アルビコマはダラダラとずっと先続けるので,こ...
6月中旬には梅雨がどこかに行ったような日が続き,その後やっぱり梅雨だったのねと言った天気に戻りました.そして昨日,異例の速さで梅雨明け宣言.そんな天気の気まぐれに左右されず,夏マミたちが始動しました.全体としてマミたちの成長がひと段落して花も少なくなるこの時期にしっかりと主張してくる彼らの花を見るとおおっと思います. まずは舞衣ことライティーくん,小さいながらも立派な花をグンと広げています.仲間...
一年を通じて雨の少ない讃岐地方にしては,今年は陽性の梅雨,よく雨が降っています.おかげで作業の出遅れた畑は,すっかり雑草に覆われ,どうしたものかとため息が出ます. 外で雨よけ栽培をしている金鯱くんも,今は強い陽射しを待ってじっとしています.その稜間でアマガエルがひっそりへばりつき,こちらを見ているようです. 春に生まれたたくさんのカマキリの子が,ハウス内にまで棲息場所を広げていますが,雨続きのハ...
マイニアエ(M.mainiae)のオシャレな花が咲いてきました.ピンクのストライプの花弁の基部に黄色い葯がまとまり,その中をこの仲間特有の先端が大きく割れるピンクの雌しべが伸びます.どうしてこんなにオシャレな花に進化したんだろう,と見るたびに感心します. このマイニアエはどれぐらいの種内変異があるのだろうか,と思いFNの付いた種子を蒔いてみました.これはSB540,故郷はメキシコ ソノラ州のエルモシージョ(Hermo...
亀甲竜の小さい株が揃って梅雨とともに休眠に入りました.枯れた枝をむしり取ってやり,表面の軽石を取り除いてやると,ようやく亀甲模様の出てきた球根が見えました.何年移植していないのか分からなくなっていましたので,気まぐれではありますが移植することに. 鉢から抜いてみるとしっかり根が張っていました.鉢底に日向土の中粒,その上にバークを入れ,さらにその上に普通サボテンに使っている用土を用いて植えられてい...
キリンウチワに花が咲き始めたことを報告したのは5月のことでした.あれからも次々と花が咲き,5つの異なる系統で花が見られました.今回は花の特徴などを報告しておきます.5系統のうち2つは花径が他の3系統より大きい感じでした。ただ,花芽の着いた位置や樹勢により花の大きさは変わることもあるので決定的ではないかも知れません.参考に大きいもの,小さいものの写真を載せました. またある系統では下の写真のように星形の...
春に交配した綾波の果実が日に日に赤みを増し,ある日ウチのハウスを訪れた方が,赤いプラスチック,ピンポン玉のようだと言うのを聞いてなるほどピンポン玉だなーと感心しました. 梅雨が入って間も無く,ピンポン玉を収穫しました.まだしっかり母体にくっ付いているのですが,これが簡単に外れるまで待っていると種子の休眠が深まってしまうとされています.どのタイミングで休眠に入るのかなど詳細な情報はありません.趣旨...
夏に咲いて来るマミたちが次々と開花しています.その中で荒目丸が綺麗に先揃っていました.この荒目丸は学名のM. alamensisから来たものかと思いますが,現在はM.sheldoniiに統合されています.カリフォルニア半島のメキシコ側の対岸に広く分布し,このシェルドニーはかなり変異に富んだ種とされ,幾つものシノニムがあります. 花はほぼ白で薄茶色のストライプの入るものからピンクまであるようで,何が典型的なのかは決めが...
いかにもアカントらしい風貌のサボテン,Acanthocalycium munitum HD10です.A.thionanthum var. munitum ともされ,どうやらA.thionanthumに包含される流れのようです.グラウカムとはごく近いものです.故郷はアルゼンチン,広く分布しているようです.種小名のmunitumは武装している,つまり刺があるという意味ですが,確かに刺がうねるような個体もありますが,この種が特にアカントの中で強刺ということでもなさそうです....
効率良くカプトメデューサエの実生を生育させるのにはどれぐらいの密度で播種すれば良いか,昨年7月に小さな実験をしてみました.種子はイヤというほど採れるのです.発芽もまずまずです.しかし生えたものを移植すると歩留まりが低い.これはどこか栽培方法に問題がるものと思われました.出来ることなら発芽後の移植を省いて何とかならないでしょうか.そこでいつも使っている25穴のトレーを用いて播種密度を5,10,15,20,25...
この南米の柱ものアレキパは,6年前の春に山城さんのところで,これは一体なんだろう?と思って手にしたモノです.当初名前が分からず困ってましたが,どうやらArequipa spinosissimaらしいと言うことで落ち着きました.すっかり立派になったなと感心して眺めています. 彼らの花は,ハチドリ受粉に適応した形態を進化させています.こうして2花が揃って咲くとそれ自体が何か鳥の様にも見えます.残念ながらここにはハチドリは...
梅雨空の下,舞衣(Mammillaria wrightii)が大きな花を咲かせていました.このライティーは,何度か登場するウィルコキシー の元となる種です.1800年代にすでに記載されており,古くから知られた種ですが,日本で広く流通しているかと言えばそうでもありません.勿体ないなと思います.この株はSB86で,故郷はニューメキシコ州Manzano Mountainsです.かなり分布が広いらしくメキシコ北部のソノラ砂漠にまで広がっている様です...
黒王丸など一部のコピが欲しい人がまだ結構居るらしく,サイズのある株は高価です.そんなに興味あるなら自分で種子を蒔けばよいのにと思うのですが,どうやらそんな人は少数派のようです.確かに少し時間がかかりますが,コピたちは,自分で育てたぞという達成感というか満足感というか優越感というか,一言で言えば栽培の楽しみを存分に享受できる代表的な種類です.まず交配すれば種は簡単に採れます. 蒔けばよく発芽します...
3年前の夏に“夏のロビビア”という記事を書いています.多分この時に交配してみたのだと思うのですが,ミズクエンシス×紫野の一つが開花しました.草姿,刺の様子などはかなりミズクエンシス(Lobivia calorubra var. mizquensis)に近い印象です.花型は中間型ですが,花色は相当紫野(L. winteriana)に引っ張られている感じです.紫野と交配したものを色々見て来ましたが,喉が白くなるのは潜性なのか,後代には現れません....
この紅籠はちょうど10年前の京都シャボテン大会でグランカクタスさんから分けてもらったものです.当時の日本ではまだ紅籠はとても珍しく,興味津々で眺めたのを思い出します.竜神木接でしたので,台を短くして栽培して来ました.すっかり竜神木の部分は木質化しています.自然とたくさんの分枝を出して多頭株になっており,一斉に開花するととてもかわいい姿です.過去記事を辿るとこの紅籠が登場するのは大変久しぶりのことで...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...