すっかり忘れておりました。先に、これの続きを出してしまいました。深謝。紫草拝カテゴリー;Novel節分が過ぎた。暦の上では春。関東にもかかわらず、いきなり雪が降る。寒い夜だった――。「お父さんは、まだ帰ってこないの?」節分の夜。娘の言葉に、遅くなるだろうからと先に休むように言った。もう誤魔化しの効かなくなる年齢だ。小学五年、美紗子が子供の時はどうだったろうと思い起こす。やはり、大人がどんな言葉を使っても、その雰囲気から何かを感じることはあった。父親が大好きだからこそ、一旦不審に思ったら容赦ないのではないかと思う。「今日は帰ってこないかもね」軽く言ってみる。彼女の瞳が哀しく揺れたのを見た――。子供の頃。家族が揃って、節分の行事をした。鬼役はいなかった。家族全員が家の中にいて、父が玄関を開け、『鬼は外』と叫ん...『幽鬱、そして冀求』(小題:血)