「マーメイド クロニクルズ〜第三部配信中!」「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中!
マーメイド クロニクルズ 第二部 第2章−5 さらばタンタロス(再編集版)
リギスの唄姫の名称は、ダテではなかった。おお、ケルベロスよ、ケルベロス三匹の息子を人間界に送った冥界の魔犬今日も三つの頭で何思う今宵、四人の魔女たちが別れた己の息子らにメッセージを伝えにはるかかなたの人間界へ行こうではないかおお、冥界の守り神よ、冥界の守り神明日は三つの首で誰と闘うマクミラと共に生きるキル、ルル、カルの父遠く離れた息子らを汚れた世界から救うために我らがタンタロスから煉獄界へと上っていこう息子らに伝えたいことがあれば我らに託すがよい我らの手で汚れた世界で生きなくてもよいよう救ってやろうリギスの唄声と竪琴の音色に、ケルベロスもうつらうつらし始めている。(よし。皆、今の内じゃ)ドルガが、魔犬が眠りにつきかけていることを確認する。四人が、人間界へと通じる煉獄界へと向かおうとしたときだ。サディストの血が騒...マーメイドクロニクルズ第二部第2章−5さらばタンタロス(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第2章−4 タンタロス・リデンプション(再編終版)
ルールを変えるそもそもの発端となった四人の魔女たち。話は、マクミラが人間界に送り込まれて妹ミスティラが後をついだときにさかのぼる。経験不足から来る自信不足の彼女は、実力不足を露呈した。その結果、冥界の結界がゆるみ、魔女たちが氷結地獄コミュートスの牢獄を抜け出した。その魔女たちが、魔犬ケルベロスと対峙していた。危険きわまりない彼女たちに脱獄を許せば、冥界史に残る汚点となろう。ケルベロスの眼前で不敵に笑う四人は、「爆破するもの」で悪魔姫ドルガ、「いたぶるもの」両性具有だが見た目は女性の氷天使メギリヌ、「酔わすもの」で蛇姫ライム、「悩ますもの」で唄姫リギス。(四対一じゃ。なんとかなるのではないか?)リーダー格のドルガが、思念を発する。参謀役のメギリヌは、切っ先の尖った黄金のステッキを攻撃にそなえている。(ドルガ様、こ...マーメイドクロニクルズ第二部第2章−4タンタロス・リデンプション(再編終版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第2章−3 プルートゥの提案(再編集版)
冥界は、精神世界を管轄するために元々魔界からの波動攻撃を受けやすい。侵入する大物魔物たちをかたはしからコキュートスの牢獄に閉じこめた結果、ここ数千年は「平和」が保たれていた。かつての冥界親衛隊長ブラド・ツェペシュとマクミラ親子の相性は理想的であった。足下からのオーラで百匹の魔物をたじろがせ、一睨みで千匹の魔物を打ち震えさせた“ドラクール”にひるんだ魔物たちは、気づいた時にはマクミラの爪で魂を切り裂かれ、マクミラの兄アストロラーベとスカルラーベの部下たちになすすべなく捕捉された。魂を切り裂かれた魔物は、心が打ち震えるほどの情念に苦しんだ。なぜなら冥界一の美女の気高さは、消えることのない痕跡を彼らのハートに刻んだから。だが反乱者が魔女であった場合には、心に一生消えない怨みを残した。(マクミラと魔女たちのいさかいに、...マーメイドクロニクルズ第二部第2章−3プルートゥの提案(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第2章−2 四人の魔女たち(再編集版)
魔界の住人とのちぎりをむすんだドルガ、メギリヌ、ライム、リギスの四人は、本来、死刑宣告にあたる魂百万裂き刑を受けてもおかしくはなかった。しかし、666年の禁固刑という驚くほど「寛大な」処置の秘密は、彼女たちの血筋にあった。死の神トッドの娘ドルガは、プルートゥの遠縁であった。略奪婚により娶った豊穣の女神デメテルの娘ペルセポネとプルートゥは不仲であり、ようやく生まれた日食の神コロネウロスも、第一次神界対戦の混乱に乗じて冥界をおそった魔界との闘いで行方不明であった。父親に似ない人気者で、実力も兼ね備えたコロネウロスを失って、元々暗かったプルートゥの性格がさらに悪くなったと言われる。そんな係累の極端に少ないプルートゥには、トッドは数少ない心を許せる間柄の一人であった。悩みの神レイデンの両性具有の娘メギリヌは、「明けの明...マーメイドクロニクルズ第二部第2章−2四人の魔女たち(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第2章−1 神々の議論、再び!(再編集版)
肉を持つ存在の訪れを拒み、精神体の訪れのみが許される場所。マグマ層とつながる地中深くに存在する4次元空間タンタロス。そこに冥主プルートゥが支配する王宮があった。大広間には大魔王サタン率いる魔界の6軍団、その下の66大隊、そのまた下の各々6666の悪魔を擁する666小隊が、冥界の親衛隊長ドラクールとサラマンダーの女王ローラに率いられた冥界親衛隊と争う場面が描かれている。半透明の槍をあやつり輝く青い羽を拡げた軍師アルトロラーベと一振りで千匹の魔物の首をはねる鎌を持つ不気味な黒い羽を拡げた大将軍スカルラーベの兄弟の姿も描かれている。めったに顔を合わせることのない天界、海神界、そして冥界の最高神たち。ついこの間、マーメイドの娘を軸とするゲームを始めたばかりだというのに、再び彼らが集まらざるえない事態が起こっていた。まさ...マーメイドクロニクルズ第二部第2章−1神々の議論、再び!(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部再編集版(序章〜第1章)バックナンバー
「第一部神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ第二部のストーリーマーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。死の神トッド、悩みの神レイデン、戦いの神カンフ、責任の神シュルドが堕天使と契って生まれた魔女たちは、冥界の秩序を乱した罪でコキュートスに閉じこめられていた。「不肖の娘たち」は、彼女たちを捕らえたマクミラに対する恨みをはらすべく、人間界を目指して脱獄をはかった。天主ユピテルは、ゲームのルール変更を宣言した。冥界から助っ人として人間界に送られるマクミラの兄アストロラーベとスカルラーベ、妹ミスティラは、彼女を救うことができるのか...マーメイドクロニクルズ第二部再編集版(序章〜第1章)バックナンバー
マーメイド クロニクルズ 第二部 第1章ー9 オン・ザ・ジョブ・トレーニング(再編集版)
「彼女は教官じゃない。オブザーバーだ。いいか、戦場でのオン・ザ・ジョブは普通じゃ行われない。初めての戦闘から常に本番なんだ。戦場は本番を訓練にできるほどあまくない。死ねば一巻の終わりだ。通常のオン・ザ・ジョブ・トレーニングじゃ、成功しようが失敗しようが死ぬことはないだろ」「じゃあ、戦場では何が成功と失敗の分かれ目になるの?」「さすが俺の娘だ。なかなかいいことを聞くじゃないか。3つの要素が成功と失敗の分かれ目になる。実力、運、そして瞬時の判断だ。俺は、これまで実力があっても運がなくて死んだ奴も、実力がそこそこなのに運が強くて生き残った奴も見てきた。実力はともかくも、お前には運だけはあるようだな」「カンザスの闘いでは、たしかに運があったと思う。でも、次は別物ってことね」「そうだ。前回はお前に有利な雨中の闘いだったが...マーメイドクロニクルズ第二部第1章ー9オン・ザ・ジョブ・トレーニング(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第1章−8 M I A(再編集版)
ケネスが続けた。「話を戻そう。俺は、奴らのカンザス攻撃の目的は三つ目の可能性が高いと思ってる」「それは?」「シミュレーションだ」「シミュレーション?」「味方の戦闘能力のチェックと相手の戦闘能力の情報収集が目的だ。様子見とシミュレーションの違いは、データ収集のためならいかなる犠牲もいとわない。負けっぷりのよさだっていい情報提供になる。戦士は戦死するための消耗品だ」消耗品の部分で、ケネスが苦々しい口調で言った。「おそらくシミュレーションに間違いないだろう。マクミラが、お前や孔明とかいう奴を『目覚めさせる』とか言っていたというのは余裕というかなんというか・・・・・・」「あるいは、何かのゲーム・・・・・・」「人間の命をもてあそぶゲームか?」「ふとそんなイメージが浮かんだの。単なる闘いというよりも、もっとスケールの大きな...マーメイドクロニクルズ第二部第1章−8MIA(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第1章−7 襲撃の目的(再編集版)
「ケネス、だてに長年ネイビーにはいないね」「ちゃかすんじゃない。学習能力のない奴はいつか命を落とすか、大切な仲間を失う。学習能力の高い奴だけが生き残れる。一度くらい勝ったと調子に乗っていると痛い目を見るし、逆に、敗北から財産を得ることもある。覚えとけ。襲撃の目的には、3つある。第一が様子見だ。序盤戦でよくあるパターンだが、実力がかけ離れている場合ならいやがらせや、余裕をもっている場合なら脅し。一目置いている場合なら、牽制の可能性もある。だが、今回はそうした可能性は排除していいだろう。なぜか、わかるか?」「全滅させられるまで闘ったのだから様子見ではない」「及第点の答えだ。様子見だったなら、そこそこの奴を出して勝てば御の字、負けそうなら適当な時点で撤収させている。全員を真っ正面からつぎ込むなんてありえない。じゃあ、...マーメイドクロニクルズ第二部第1章−7襲撃の目的(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第1章−5 マクミラの仲間たち(再編集版)
「お前の妹ミスティラでは、まだ神官には力不足だったのだ。冥界の牢獄の結界が、ゆるんできている」「やはりそうか・・・・・・だが、お主たちの実力では牢獄は簡単に破れないはず。何か、他にも理由があるだろう」「四人の魔女が・・・・・・ドルガ、メギリヌ、ライム、リギスが、逃げ出した混乱に生じてわれわれも抜け出したのだ」「あの四人が!」もともと青ざめたマクミラの顔が、さらに青ざめた。一瞬、マクミラの注意がそれた。ずっと隙をうかがっていたダークブリッジが、押さえつけていたジュニベロスの太い前足から逃れてマクミラに飛びかかった。油断なく予想していたダニエルが、両眼から熱戦を発射するとダークブリッジの全身が燃え上がった。断末魔の叫びを上げながらも、捨て台詞を残す。「調子に乗っていられるのも、今の内だ。魔女たちだけではない、この地...マーメイドクロニクルズ第二部第1章−5マクミラの仲間たち(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第1章−6 ケネスからの電話(再編集版)
カンザスの闘いから1年経った1992年初夏のある夜、聖ローレンス大学学生寮で一人ぼんやりとしていたナオミの部屋の電話が鳴った。午前1時ちょうどだった。受話器を取る前から、ナオミには父ケネス・アプリオールからの電話だという確信があった。「ケネス!」「まるで電話がかかってこないわけじゃないだろ。なんで俺からとわかったんだ。こんな夜中にすぐ受話器を取るなんて、いつも電話の前で待ってるのか?」「そんな冗談より、何で連絡をくれなかったの!」「1年に一度は会おうと言ったのを忘れたわけじゃない。ちょっと面倒な事情があってな・・・・・・やっと電話できた」「事情って・・・・・・元気だったの?ずっと戦場にいたの?」「最初の質問に対する答えは、イエス。二番目の質問に対する答えは、ノーだ。戦場にはいなかった。俺は、どうやらもうお払い箱...マーメイドクロニクルズ第二部第1章−6ケネスからの電話(再編集版)
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