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財部剣人の館(旧:アヴァンの物語の館) https://blog.goo.ne.jp/avantgarde-october

「マーメイド クロニクルズ〜第三部配信中!」「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中!

財部剣人
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2010/03/19

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  • 第一部 第8章−7 謎かけ

    「聞きたいことがあるんだけど、KKK団のビラの文句読んだ?死への旅路が終わりを告げ、始まりの旅の幕を切って落とされるって部分があったでしょ。何のことかわかる?」「読むには読んだが、まるでスフィンクスの謎かけだな」ナオミは、小さい頃に朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の動物なあにという謎かけを夏海から出されて、簡単に「人」だと答えて驚かれたことを思い出した。「前半部分はわたしたちのことを言ってるような気がするんだけど」「どういう意味だ?」「こころざしをおなじゅうする者。これは、LUCGのことじゃない。わたしたちは世界中からここで学ぶために集まってるわ」「南風の地につどいて戦いの宴に身をささげよ十字架の戦士たちと競う瞬間って部分はどうなる?」「今回のKKK団の講演会のことじゃないかと思うの。カンザスはカンサ族の言葉...第一部第8章−7謎かけ

  • 第一部 第8章−6 ナイトシフト

    深夜の聖ローレンス大学キャンパス。もう六月も終わりに近いというのに、冷たい雨がしとしと降り続いていた。ナオミとケネスのパトロールも、最後に講演会場のローデン・オーデトリアムのチェックで終わろうとしていた。ナオミは、孔明との深夜パトロール中も心ここにあらずだった。マウスピークスは精神状態が最悪で話を続けられなかった。ふと、トーミの言葉を思い出した。「かわいそうな娘だよ。お前は、いつか人間界に出ていく星の下に生まれついている。だけど、どこへ行ってもやっかいごとに引き寄せられていくんだ」だけど、トーミはこうも言った。「せめてお前がどこへいっても、教え導くものと助けてくれる仲間に恵まれるように魔法をかけておいてあげよう」助けてくれる仲間・・・・・・ナオミが考え事をしている間、実は孔明も不安を感じていた。何か変だ。暗い、...第一部第8章−6ナイトシフト

  • 第一部 第8章−5 マウスピークスとディベート

    そのまま死んでしまえたらいいなと思っていた。だけど、ディベート仲間たちが噂を聞きつけてアパートをのぞきに来て話をしたり出前のピザを食べたりしてるうちに、このまま負けちゃうのがくやしくなって、それからはディベートと勉強に精を出すようになったの。男性不信になってたから、時間だけはあったわ、ウフフ。学部時代にはディベート大会ではいつも入賞して、大学院でも成績はストレートAだったわ。けど、徹夜してはコーラを飲みながらお菓子を食べてたので、気がついたらこんなに太ってしまったわ。だけど、気持ちが満たされるのはいつでも瞬間だけ。大会で相手を破っても、よい成績を取っても。すぐにむなしさで胸に穴が空いたようになる。だから次々にゴールを設定してはがむしゃらにがんばってきたわ。そんな時よ。大学院二年目でもうすぐ修士論文が終わろうとい...第一部第8章−5マウスピークスとディベート

  • 第一部 第8章−4 マウスピークスの告白

    「ナンシー・・・・・・」「大丈夫。要件に入りましょう。こんなものがキャンパスで配られていたの」青ざめた顔のマウスピークスがビラの下の方を指して言った。ビラはKKK団が講演会の宣伝に作ったものらしかった。そこには、「アポロノミカンからの予言」という文字と共に・・・・・・こころざしをおなじゅうする者南風の地につどいて戦いの宴に身をささげよ十字架の戦士たちと競う瞬間炎がすべてを包み死への旅路が終わりをつげ始まりの旅が幕を切って落とされる・・・・・・と書かれていた。「何でしょう、このアポロノミカンって?」「ナオミ、とうとう話さなければいけない時が来たわ。アポロノミカン・・・・・・」アポロノミカン、ナオミはどこかで聞いたような気がした。そうしてマウスピークスの話が始まった。わたしが大学二年生のことよ。わたしにも若かった時...第一部第8章−4マウスピークスの告白

  • 第一部 第8章−3 不安の町

    KKK団が聖ローレンス大学で週末に講演するというニュースは、キャンパスだけではなくカンザスシティ全体にあっという間に広がった。まるで街全体に、火薬の臭いが漂っているかのようだった。白人のガールフレンドと手をつないでいた黒人学生がいきなり誰かから殴られたとか、あちこちで人種間対立が原因の「ヘイトクライム」が続発した。ダウンタウンの中華料理店でも女を巡って中国人留学生が店の客と殺し合いを演じたとか、騒ぎが起こって警察が駆けると死体はおろか怪我人の姿もなかったという噂も流れていた。百年以上の伝統を誇る学校新聞『聖ローレンス・タイムス』は、連日カンザスKKK団の講演に反対の論陣を張ったし、リベラルな白人学生と有色人種の学生、留学生を中心に講演会反対集会があちこちで開かれた。特に人々を不安がらせたのは講演会に不満を持つ「...第一部第8章−3不安の町

  • 第一部 第8章−2 最悪の結論

    彼らの議論が白熱した頃、マウスピークスが、マーチン・マーキュリーとロイド・アップルゲイトと一緒に部室に戻ってきた。彼らは全米ディベート選手権優勝者ということで委員に選ばれたのだった。「最悪の事態よ。委員会はKKK団にオーデトリアムの使用許可を与える決定をくだしたわ」「どうしてそんなことが?」ナオミは思わず叫んだ。「検討委員会は満場一致の結論に達することが出来なかった。最後は投票で決着がつけられることになったの。そして四対三の一票差で講演会は一週間後の実施が決まったわ」多数決!ナオミは思った。なぜ人間は少数派の苦悩を平気で無視するだけでなく、多数派の横暴にもこれほどまでに寛容なることが出来るのだろう。「しかし、マクミラというKKK団の女性指導者には驚かされたな」すでにハーバード大学法科大学院に進学が決まっているロ...第一部第8章−2最悪の結論

  • 第一部 第8章−1 バランスト・ニュートラリティー

    一九九一年六月。聖ローレンス大学ではやっかいな論争が起こっていた。「言論の自由」の観点からキャンパス内のオーデトリアムでKKK団に講演会を開く許可を与えるべきかという提案がなされたのだった。六〇年代あるいは七〇年代なら、「質の悪い冗談だろ」の一言で片づけられた提案について、大学当局、学生代表、KKK団による真剣な討議が重ねられた。ディベート専門家の立場からマウスピークスもこの討議に参加していた。午後十時を回ったディベート部の部室でナオミとケイティはLUCGのメンバーと共に検討委員会の最終判断を待っていた。まだ新入りだった彼女らは討議に参加させてもらえなかった。「すべての団体と個人には言論の自由が保障されていて人々にはそれを聞く権利があるだって?検討委員会は言論の自由がすべてを保障してるわけじゃないことさえわから...第一部第8章−1バランスト・ニュートラリティー

  • 第一部 序章と1〜7章のバックナンバー

    財部剣人です!おかげさまで今週トータル閲覧数が64万PV越えを達成、トータル訪問数も24万UU越えを達しました。第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待。「マーメイドクロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも議論を打ち切って、神界大戦を始めかねない二人を調停するために、ネプチュヌスは「神々のゲーム」を提案する。マーメイドの娘ナオミがよき人間たちを助けて、地球の運命を救えればよし。悪しき人間たちが勝つようなら、人類は絶滅させられ、すべてはカオスに戻る。しかし、プルートゥの追加提案によって、悪しき人間たちの側にはドラキュラの娘で冥界の神...第一部序章と1〜7章のバックナンバー

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