考古学は遺跡・遺物の「物」からの帰納法により古代史を推理し、歴史学は主に「文献」から古代史を解明しますが、私はそれらに加えて現代に継承されている「文化・伝承」から古代史を仮説演繹的に推理してきました。前2者は科学的とみなされますが、限られた「発見物」「文献」からの推理という大きな限界があり、「未発見物」への推理を欠くことから、「新発見物」により容易にそれまでの定説がパアになる危険性があります。一例をあげると、出雲にめぼしい遺跡がないことから記紀に書かれた出雲神話は8世紀の創作とされてきましたが、荒神谷遺跡・加茂岩倉遺跡でのかつてない大量の銅器(銅槍・銅矛・銅鐸)の発見により、記紀に書かれたスサノオ・大国主一族の建国が物証により裏付けられました。八百万神信仰により「銅槍圏(通説は銅剣圏)・銅矛圏・銅鐸圏の統...155スサノオ・大国主建国論の方法論