隣を大型トラックがすごいスピードで走り抜ける度に心臓がバクバクする。 ・・だいじょうぶ。 真緒は小さくその言葉を口にした。 車の中には大好きなキースのジャズが…
いろんな恋のカタチ。ちょこっと胸がきゅんとなるお話です。暇つぶしにケータイでも気軽に読めます!
ものすごく胸があったかくなって、ちょっぴり切ない気持ちになりたくなって書き始めました。私自身、もうそういう時間は通り過ぎてしまいましたが、もう一度そんな切ない時間を取り戻したい!
「おれらが高野の副社長の息子ってこと。ウチの会社の人たちや北都家の人たちに内緒ってことになってんねん、」 天音は母にそう言った。 「それは・・初音が色々考えて…
「あそこを離れることになった経緯は。正直あまりよく覚えてないの。でも。父も兄も離婚をしなくても別居をしてみたらどうかって言ってくれたんだけど。直さんが・・離婚…
ついこの間、いきなり 母 とカミングアウトされて。 いきなり なー、お母ちゃん~ なんて話もかけられんしな・・ 天音は距離感を迷っていた。 すると 「直さんは…
父は少し離れたところで椅子に座って天音が作業するのをジッと見ていた。 天音が父について調律に行くようになったのは中学生のころ。 学校が長い休みになると東京や大…
天音はなんとなく父をジッと見た。 するとそれを察してか 「いや。ワシはもうでけんで。」 秒で断られた。 「・・できるやろ?こういう事情や。頑張ってやってみ、」…
彼女が着ていたワンピースの柄も。 スーツケースの色も。 全部覚えている。 『私はもう家には帰りません、』 そう言って子供のように泣き出した彼女の顔も。 そし…
とても温和な紳士だった。 最初は社長とわからずいきなり声を掛けられて怪訝そうに会釈をすると 『社長の高野です。HIRAIにとても腕のいい調律師がいると聞いてい…
「おれ、その日の昼間にある高野主催の音楽祭のピアノ調律の補佐依頼されて。」 天音はスープの乗ったトレイをダイニングに運んだ。 「え、そうなの?すごいやん、」 …
真緒は隣にいた兄・真太郎に 「・・どういうこと?ちょっと怖いんですけど、」 小声でコソっと言った。 「いや。おれもわからん・・。さっき急に言い出して、」 真太…
「いや、しかし・・」 父はそのメールの文面を読んでも戸惑うだけだった。 「別にな。今さらお母ちゃんとどうこうっていうんやなくて。おれらの親として。天音が頑張っ…
「おまえにも。いろんな経験をしてほしいんや、」 初音はなおも続けた。 「兄ちゃん、」 天音は兄の気持ちを思う。 「いくら身内や言うても。補佐とはいえそんなこと…
My sweet home~恋のカタチ。 ご覧くださっている皆様、いつもありがとうございます。 さて。 お話は。 真緒と初音のモヤモヤ出張を経て。 少しは距離…
そして。 それから1か月半が経った。 その間。 真緒は捻挫をした足を治療しつつ、リモートで仕事をこなし。 時折初音と電話やメールなどで打ち合わせをしたりと カ…
「ひとつは悪いことをしたらきちんと叱ること。もうひとつは。『お嬢さま、お坊ちゃま』と呼ばないこと、」 美和子はふふっと笑った。 「それは・・」 初音は少し首を…
なんとか昼過ぎには北都邸に戻ることができた。 「あらあら、まあまあ。全くもうどうしたの、」 初音に抱えられるように帰ってきた真緒にゆかりは呆れたように言った。…
「すみません。こんな夜中に、」 初音も部屋着のままやってきた。 「い、いえ・・」 「もう寝てるかなと思ったんですけど。すぐに返事が来たので。ああ痛んで寝れない…
元夫の祐介のことを思い出した。 彼も本当に完璧な人だった。 はたから見ると不足なんか何一つなさそうな人だったけれど 長い間ずっと悩んでいたんだろう。 真緒…
なんだか周囲の空気が緊張に包まれた。 「あの、」 彼がいったい何を言い出すのか。 ドキドキと心臓が音を立てる。 「・・はい、」 神妙に言葉を待つ。 しばしの間…
真緒はスプーンを握っていた手にグッと力を入れた。 「母は大女優と呼ばれた人ではあったけれど。素顔は本当に普通の人です。そんな人がホクトグループの総帥の妻になる…
「・・忙しい父親はほとんど家にいなくて。料理のヘタな母親。子供たちはほとんどお手伝いさんのゴハンで大きくなってって。いくら金持ちでももっと普通の親がいいなあっ…
「適当に頼んじゃったんですけど。好き嫌いとかあります?」 初音が訊くと 「あー。こう見えても好き嫌いないです。なんでも大好き、」 真緒はそう言いながら茶碗蒸し…
朝ドラ大河好きな私。 今期の大河ドラマは紫式部が主人公の「光る君へ」。 私は20代の頃、「源氏物語」が好きで円地文子さんや田辺聖子さんのもの、そして大和和気さ…
真緒を部屋まで送って、初音は本日分の資料をパソコンでまとめ始めた。 手だけが動いて頭は全く違うことを考えている。 ずっと。 あのピアスを見つけた時、単純に彼女…
診療時間ギリギリだったが何とか診察してもらえた。 「レントゲン撮りましたが骨には異常ないですね。靭帯を伸ばしてしまったようですので固定して。しばらく負荷をかけ…
「イタタタ・・」 尻もちをついてしまった真緒を見て初音は慌てて彼女に駆け寄った。 「だ、だいじょうぶですか、」 「ちょ、ちょっと滑って。なんかこの辺がグキって…
小樽に到着するまでも。 ほぼほぼ無言だった。 背の高い彼が少し早歩きをするとついていくのに小走りでいかなくてはならない。 そんな光景が何度も繰り返された。 小…
最初から『高野一族』として紹介され、それでも 田舎から出てきたどこの馬の骨・・ という好奇の目も正直感じていた。 こんな中で自分が結果を出せるのか、とも思った…
「もっと。自信を持っていいんです。まあ・・結婚生活もいろいろあって傷ついたりしたでしょうけれど。恐らく元旦那さんもあなたのことが嫌いになったわけじゃない。・・…
「・・似合います。よかった、」 初音は優しく微笑んだ。 少し気恥ずかしくなって真緒はうつむいた。 真緒。 真緒がホクトグループの社長の娘って聞いたらみんなが…
「ええっと・・。 この写真はインテリアの花器だったから・・」 ホテルの部屋で真緒が悪戦苦闘している時。 『なんとか終わりました。そちらはどうですか』 初音から…
2件目の工房でも2時間ほど滞在し実のある話がたくさん聞けた。 「なんか。こんな素敵なグラスたちがテーブルに乗るって思うだけで情景が浮かびます。あー、楽しみ・…
「そ・・そんなに笑わないでください!」 「いや・・もう・・想像の上を行くなあって、」 初音は顛末を聞いて笑いが止まらなかった。 「だって!2月の青森ですよ?寒…
・・ なんか。 思ってたんと違う!! 真緒は青森の空港で外の景色が見えるラウンジでそう思った。 2月の青森って言ったらもう雪がじゃんじゃん降っていて移動も大…
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隣を大型トラックがすごいスピードで走り抜ける度に心臓がバクバクする。 ・・だいじょうぶ。 真緒は小さくその言葉を口にした。 車の中には大好きなキースのジャズが…
「気を付けてね。ちゃんとあたしが言ったこと守るんやで。」 南は真緒にお守りを手渡した。 「ありがと。・・お父さん、お母さん。真太郎・・南ちゃん。本当にどうもあ…
「なに、この荷物・・」 初音は玄関前に並べられた段ボールを見た。 「ああ。浜松に送ろうと思って。宅配便呼んであるから。あっこの引き出しに金入ってるから払ろとい…
「・・あたし。昨日家帰ってきたの夜中の12時過ぎやったんですけど・・」 南は非常に迷惑そうに横の真緒を見た。 「だから!奢るから!お願い、」 真緒は必死な表情…
みなさんお久しぶりです。真緒&初音編のつづきです。 【これまでのお話】偶然にホクトのカフェレストラン造りの仕事をすることになった北都会長の娘、真緒と野々村初音…
My sweet home~恋のカタチ。 を読んでくださっている皆様。いつもありがとうございます。 もうなんか休み休みでホント申し訳ないなあと思っているんです…
小説再開までいましばらくお待ちください 小説(森野日菜) - カクヨムkakuyomu.jp 紗枝&陸編ただいま連載中。毎朝7時ごろ更新しています…
My sweet home~恋のカタチ。 いつもありがとうございます。 こんなにお休みしてるのに。 めちゃくちゃ忙しいわけでもないのに。 私も年齢を経まして、…
いつもMy sweet home~恋のカタチ。を読んでくださっているみなさま。 ありがとうございます。 ここのところ休みがちでなんかホント自分のダメさに落ち込…
いつもMy sweet home~恋のカタチ。をご覧くださってありがとうございます。 真緒&初音編のつづき、をお送りしてまいりました。 二人は純粋に出会って惹…
北都家の広いリビングで北都夫妻、初音の父、そして真緒が向かい合った。 「・・少し浜松へ行くのが早くなりました。」 ゆっくりとした口調で初音の父が口を開いた。 …
「でもね。一つだけ言えるのは。ぼくらの結婚は何の計算もない、どこにでもある何の変哲もない普通の結婚だってこと。誰に何を言われようと関係ない。何も知らない人たち…
「もう。いいです、」 愛は真緒の言葉を遮るように静かに言った。 「え、」 「・・彼が好きなこと、好きなものなんか。知らなかった、」 ガラスの向こうの景色を見た…
初音は翌日の早い新幹線で帰って行った。 真緒は勉強のため机に向かっていたが、何となく悶々としていた。 そして。 見るからに不機嫌そうにやってきた愛に真緒は立…
「・・いっぱい。言いたいことあったのに。初音さんが・・これまで抱えてきた悩みとか。苦しみとか。・・わかっちゃうから!わかっちゃうと・・なんも言えないよ、」 ワ…
「毎日、楽しかったけど。やっぱり無理に無理を重ねてるから一人の部屋に帰るとものすごく落ち込む。自分だけこんな楽しい思いをして。 天音を高野に絶対に渡さないって…
『ここへ来たのは。父や弟のためだ。今さら都合よく高野に来るとか。絶対にしたくなかった、』 彼の涙を見てしまったから。 私にとって『はじめての人』。 愛は初音…
真緒は彼女の言葉に激しく動揺し 「・・利用なんか。彼を利用しようだなんて思ってないです。あたしそんなに賢くもなんでもないです、」 目をそらして急ぎ足でパウダー…
「当時の話。知ってらっしゃいました?」 愛は真緒に挑戦的に言った。 「・・いえ。初音さんはあまりその時のことを話したがらないので。しばらくは高野の方、というこ…
いつもMy sweet home~恋のカタチ。をご覧くださっているみなさま。 ありがとうございます。 高野楽器のパーティーで真緒の母、ゆかりと初音と天音の母有…
パーティーのホスト役、高野社長夫妻はゲストへの挨拶で大忙しのようだったが、天音の父・野々村直人はその合間を縫って挨拶に行った。 「ここに来られる立場ではないの…
一方、天音も。 ホスト側として忙しそうな母に疑問をぶつけられずにいた。 「天音さん?」 声を掛けられ振り返る。 「高野楽器の取締役の矢田部と申します。初音さん…
何とも拍子抜けしたが 「・・いや!『ナイショ!』じゃなくて! 高野副社長とどういう関係??」 真緒はさらに母を問い詰めた。 「どういう関係って。まあ・・むかし…
「まさかゆかりさんが来てくれるなんて、」 「あたしもね、息子夫婦が行かれなくなって。なんかユキちゃんともう一度会うようにって神様が言ってる気がして・・。」 「…
「・・真緒、さん?」 後ろから声を掛けられて振り返る。 天音がスーツ姿で立っていた。 「あ! 天音くん! え?なに?やっぱ来てたの??」 「コンクールのピアノ…
「え? ひょっとして。 一ノ瀬ゆかりじゃない・・?」 「ウソ。 ホクトグループの奥様になって完全引退したよね?」 「いや、たぶんそうだよ!」 高野楽器のアニバ…
父は少し考えた後 「・・じゃあ。少しだけ、」 とパーティーへの出席を承諾した。 え! 天音はぎょっとした。 絶対断ると思っていたのに。 どうした、お父ちゃん…
My sweet home~恋のカタチ。を読んでくださっている皆様。いつもありがとうございます。 お話の方は高野楽器のパーティーを舞台に意外な方向に転換してゆ…
でも母はそのまま芸能界からフェードアウトした。 真緒はコップをカタンと置いた。 「オファーの方はひっきりなしにあったようですよ。直接の電話も結構ありましたし。…
母ゆかりは真緒が部屋に入ってきたのを丸っきり無視するように 「真也さ~ん、」 と隣の部屋にいる父の所に行ってしまった。 「ねえ、どうかしら。このワンピース。若…
「おれらが高野の副社長の息子ってこと。ウチの会社の人たちや北都家の人たちに内緒ってことになってんねん、」 天音は母にそう言った。 「それは・・初音が色々考えて…
「あそこを離れることになった経緯は。正直あまりよく覚えてないの。でも。父も兄も離婚をしなくても別居をしてみたらどうかって言ってくれたんだけど。直さんが・・離婚…
ついこの間、いきなり 母 とカミングアウトされて。 いきなり なー、お母ちゃん~ なんて話もかけられんしな・・ 天音は距離感を迷っていた。 すると 「直さんは…
父は少し離れたところで椅子に座って天音が作業するのをジッと見ていた。 天音が父について調律に行くようになったのは中学生のころ。 学校が長い休みになると東京や大…
天音はなんとなく父をジッと見た。 するとそれを察してか 「いや。ワシはもうでけんで。」 秒で断られた。 「・・できるやろ?こういう事情や。頑張ってやってみ、」…
彼女が着ていたワンピースの柄も。 スーツケースの色も。 全部覚えている。 『私はもう家には帰りません、』 そう言って子供のように泣き出した彼女の顔も。 そし…
とても温和な紳士だった。 最初は社長とわからずいきなり声を掛けられて怪訝そうに会釈をすると 『社長の高野です。HIRAIにとても腕のいい調律師がいると聞いてい…
「おれ、その日の昼間にある高野主催の音楽祭のピアノ調律の補佐依頼されて。」 天音はスープの乗ったトレイをダイニングに運んだ。 「え、そうなの?すごいやん、」 …
真緒は隣にいた兄・真太郎に 「・・どういうこと?ちょっと怖いんですけど、」 小声でコソっと言った。 「いや。おれもわからん・・。さっき急に言い出して、」 真太…