小説再開までいましばらくお待ちください 小説(森野日菜) - カクヨムkakuyomu.jp 拓馬&詩織編ただいま連載中。毎朝7時ごろ更新していま…
いろんな恋のカタチ。ちょこっと胸がきゅんとなるお話です。暇つぶしにケータイでも気軽に読めます!
ものすごく胸があったかくなって、ちょっぴり切ない気持ちになりたくなって書き始めました。私自身、もうそういう時間は通り過ぎてしまいましたが、もう一度そんな切ない時間を取り戻したい!
「・・おれ。 他の女と、寝た。」 瑠依は意を決したように真実を彼女に告げた。 「え、」 小和は驚いて顔を上げた。 「・・その人のこと。 好きとかそういうんじゃ…
小和はずっと待っている間落ち着かなかった。 ずっと音沙汰がなかった瑠依からLINEがやっと来たのが元旦。 簡単に 『ごめん、今オヤジたちと一緒に青森にいる。 …
「だから。 お父さんには幸せになってもらいたかったんです。 お父さんが好きな人と・・ずっと生きられるように、」 千晶はポットから紅茶をカップに注いだ。 ずっと…
そんな彼女を見て瑠依は 「・・祐美さんを。 よろしくお願いします、」 静かにそう言った。 千晶は え? という顔をした後すぐに笑顔になって 「ホント。 なんか…
「あけましておめでとうございます~。 ささ、どうぞ。」 祐美は嬉々として玄関を開けた。 「おじゃましまーす、」 やって来たのは。 母の恋人の北城ともう一人女の…
「鯵ヶ沢、どうだった?」 祐美はホットココアの入ったマグカップを瑠依の前に置いた。 「もう。 大歓迎。 おじいちゃんもおばあちゃんも。 おばちゃんもおじちゃん…
「あのサックス。 持って帰ってもいい?」 瑠依のこの言葉がとどめだった。 葦切は熱いものがこみ上げてきて、手で顔を覆ったまま何度もうなずいた。 瑠依が純太を受…
「今までつきあった女って。 ほとんど・・なんかね、身体だけで飽きちゃうっていうか。 ホントにこの人のこと好きなのかなってわかんなくなっちゃう、」 瑠依は足を元…
瑠依は布団に寝かせた一楓をおもちゃであやしながら 「・・おれ。 酔っぱらって。 他の女抱いた、」 ボソっとさくらに言った。 「あ?」 一楓の着替えを畳んでいた…
「この真実を聞いた日から。 何度も何度も、何度も。 ふいに不安がやってきては消し去っての繰り返しだった。 おれが嵯峨純太さんを否定することは・・父さんや祐美さ…
一楓はお腹が空いていたようでミルクをゴクゴク飲んでいた。 「欠食児童か、」 さくらはそれを見てアハハと笑った。 葦切もそんな様子を微笑んで見守っていた。 その…
「みんな。 弱いよ。 ぼくも・・強い大人じゃなかった。 自分が弱いことを受け入れるとね、少しだけ気が楽になる。」 葦切は優しくそう言った。 その言葉に瑠依は少…
「瑠依は。 だいじょぶなんかねえ・・」 葦切の母がため息をつきながらそこにあったおせんべいを食べ始めた。 「耕ちゃんが『ちょっとスランプだから』って言ってたし…
「純太さんが死んで。 祐美さんが妊娠して・・瑠依を産んでからはもうジェットコースターに乗ってるみたいだった。瑠依の瞳の色に気づいてからもね。 純太さんの子なら…
「あそこ。 工事のプレハブが建ってるところがあるだろう? あの辺、今新しく集合住宅を建ててるらしいんだけど、」 葦切は丘から見下ろすところを指さした。 「・・…
二人で歩くなんてどのくらいぶりだろうか。 葦切はそんな風に考えていた。 実家は少し高台にあって、坂を下りていくともう海がすぐそこに見える。 何も言わずに葦切は…
葦切家に到着すると。 一楓への歓迎はもちろんなのだが、瑠依への歓迎ぶりはすさまじく 「ちゃんと食べてるの? 一人暮らしなんでしょ? 高校生の時に来た時よりなん…
とにかく。 葦切耕平が自分の血のつながった父親でない、という事実が全く受け入れられないのだなと さくらは思った。 嵯峨純太さんの存在も。 認めたくない。 彼ら…
東京を発ったのは12月29日の早朝。 もう新幹線の切符の追加が取れなかったので瑠依は車両の間のドアの近くにぼんやりと座っていた。 「大丈夫?」 途中でグズり出…
「一楓が生まれてから。 ぼくの瑠依に対する気持ちがひょっとして変わってしまうかもしれないと思ったこともある。でも。逆に瑠依への思いが本当に強くなって。 もっと…
「・・瑠依の瞳の色が。 純太さんと・・同じだ、」 葦切は瑠依の目をまっすぐに見た。 「え、」 瑠依はそのまま呆然と立ち尽くした。 「祐美さんも。 もちろんわか…
そして床に置いてあったサックスのバッグも乱暴にテーブルに置いて 「もう、返す。 これも・・見たくない!」 瑠依は言葉を詰まらせながらそう言った。 その音に一楓…
そして手を洗って葦切に歩み寄る。 「・・瑠依くん。 年齢を経て・・自分が嵯峨純太さんに似てきたんじゃないかと。 悩んでます、」 さくらはゆっくりとそう言って椅…
「すみません、突然。」 ホクトの会議室で待っていた瑠依は斯波が現れたので立ち上がって一礼した。 「いや。 どうしたのかおれも心配だったから、」 斯波はゆっくり…
葦切は社の近くの地下鉄を出たところでポケットに入れてあったスマホのバイブが鳴っていることに気づいた。 瑠依の名前に驚き慌てて画面をタップした。 「瑠依?」 「…
「・・そっち。 まだ朝早いでしょ、」 電話に出たと思ったらいきなりそう言われたさくらは 「一楓が起きちゃったの。 まだ耕平さんは寝てる。」 リビングで一楓をラ…
いったい。 瑠依に何が起きたのか 葦切は不安で胸がいっぱいになってしまった。 「わかりました。本人と直接話をします。ご迷惑をおかけして申し訳ありません、」 斯…
葦切は何度もスマホをチェックしたが瑠依から特に返事はないようだった。 「・・小和さんは。 何か聞いてますかね・・」 と言い出したのでさくらはやや焦って 「や・…
「・・あたし。 お茶淹れてくるね、」 小和が立ち上がると 「あ、手伝う~」 ひなたもキッチンについてきた。 「生首って。 ひどくない? そう言われるとなんか…
「話って、いったい・・」 さくらは一楓を抱っこしたまま椅子に座った。 「電話では詳しい話はできないからって。 28日に事業部にいらっしゃるそうなんですけど、」…
「・・おれ、・・何しゃべった、」 瑠依は記憶が途切れ途切れの自分が怖かった。 サラはふふっと笑って 「・・泣いてたわよ。」 と彼の頬に手をやった。 そしてサッ…
「ん・・」 その明るいブラウンの髪の主が気配で目を覚ました。 瑠依は胸の鼓動がどんどん早くなる。 「・・ん? あ、おはよ・・」 彼女は乱れた髪のままのっそりと…
自分の出自を両親から聞かされた時はもちろん驚いたけれど。 でも。 自分を心から愛してくれてることもすごく伝わってきたので 今までと変わらず親子として生きていけ…
「おれを?」 瑠依は自分を指さした。 「もちろん。 サックスを演奏しているところ。 なんか。 立ってるだけで絵になりそう、」 サラはクスっと笑った。 「や、お…
「すごいじゃん。びっくりして二度見しちゃったよ、」 奏はひなたの数学のテストのことを笑顔で話してきて、ハッと我に返った。 「え?あー、なんか嬉しくて。 カナに…
家に帰ると父がひとりで晩御飯を食べていた。 「・・ただいま、」 志藤は時計を見て 「もう10時やんか。 遅いぞ、」 少しムッとして答えた。 「ちょっとみんなで…
佑真はぎゅっとこぶしを握り締めた。 そして 「じゃあ。 もうやめちゃえば、」 メソメソするひなたにそう言った。 「え、」 彼のまなざしがとても厳しいことに驚い…
ひなたがドリンクバーに飲み物を取りに行ったままなかなか戻らないことに佑真は心配になり 騒いでいるみんなを尻目にそっと部屋を出た。 ドリンクバーのコーナーにはい…
「な、なんで?」 思わず莉里香に聞いてしまった。 「なんでって。 最近、ゆうくんからあんまり連絡ないなあって思って。 前は毎日連絡取り合ってたんだけど。 ゆう…
「遠く離れちゃうとね。 距離はもちろんなんだけど。 『時間』も離れちゃう気がしてね、」 さくらはゆっくりと話し始めた。 「・・時間?」 小和は小さく首を傾げた…
「じゃあ、あたし。 銀行に行ってきます。」 小和はゆらっと立ち上がった。 「じゃ、あたしも帰る。 また何かあったら連絡ちょうだい。」 さくらはそれに合わせるよ…
「・・ちょっと! 大変!」 ひなたは思わず前の席の佑真の背中を叩いた。 「いってえ・・、なんなんだよ、もう!」 「見てよ!」 ひなたは返ってきた数学のテストの…
「・・ルイ、ルイ・・」 揺り起こされてようやく目が覚めた。 「・・ん? お~~さみ~~と思ったらこんなところで寝てた・・」 瑠依は固いベンチからのっそりと起き…
「と、いうわけで。 今日からお世話になります。 野々村天音です。 調律の専門学校には来年の春から通わせてもらうことになって、学校と仕事の両立に頑張りますのでよ…
My sweet home~恋のカタチ。 いつもご覧くださっている皆様ありがとうございます。 ここ最近はお休みがちで小説ブログなのに本当にもうしわけないです。…
※ただいま小説はお休み中です。 私の大ファンである羽生結弦さんの公演『GIFT』に行ってまいりましたのでちょっと長めに忘備録も兼ねて書いてゆこうと思っています…
※ただいま小説はお休み中です。 私の大ファンである羽生結弦さんの公演『GIFT』に行ってまいりましたのでちょっと長めに忘備録も兼ねて書いてゆこうと思っています…
※ただいま小説はお休み中です。 私の大ファンである羽生結弦さんの公演『GIFT』に行ってまいりましたのでちょっと長めに忘備録も兼ねて書いてゆこうと思っています…
※ただいま小説はお休み中です。 私の大ファンである羽生結弦さんの公演『GIFT』に行ってまいりましたのでちょっと長めに忘備録も兼ねて書いてゆこうと思っています…
受け取りに行ってまいりました。 東京ドームに。 GIFTを。 発表になって第一弾の申し込みしたんですが正直当たらないだろうなあと半ば諦めの気持ちでしたが、初…
My sweet home~恋のカタチ。 いつも読んで下さってありがとうございます。 ちょっと中途半端ですが、今日の回で一旦この「セリシール編」終了となります…
「おれは。 ウチが貧乏で嫌やなんて。 思ったことなかった。 だって。 貧乏やからこそ一緒におれたやん。 お母ちゃんおらんようになっても。 寂しいなんて思ったこ…
8年前、父は突発性の難聴を患ったことで調律の仕事をきっぱりやめた。 その前に祖父も亡くなって、農業の人手も足りなくなったので 畑に専念することになった。 その…
兄と一緒に夕食の支度をした。 「初にいは誰かええ人おらんの? もう37やろ、」 大根を拍子切りにしながら話を振った。 「いやいや。 別におれは結婚せんでもええ…
「高遠奏・・」 父はぼんやりと繰り返した。 天音は父がその名前を知っているという前提で話をしていた。 「びっくりしたわ。 篠宮さんて設楽さんの事実上の奥さんみ…
ここへ帰ってくるのはどのくらいぶりなのだろうか。 天音はバスを降りて山あいの道へと歩いて行った。 途中の畑で父の姿を見つけた。 「おーい!」 大きな声を出した…
「え! お父さん許してくれたの?」 ひなたはぱあっと笑顔になった。 「うん! がんばりなさいって。 よかったーーー。 なんかもう話をしたときはとりつくしまもな…
それには天音はやや後ずさりをして 「ちょ、ちょっと待ってください! あのね、学校もええですけど! 『暮らし』もしてかなアカンし! 学校やって入学金やらなにやら…
さくらはピアノを弾くのをやめて、そっと天音に近づいた。 「ねえ。 天音くん。 ・・きちんと『調律師』の資格。 取る気ない? ピアノ技能士の資格、」 「え、」 …
「ええピアノですね、」 天音はつくづく言った。 「ああ。 ここ。 もともと義弟の北都マサヒロが使ってたから。 けっこういいヤツみたいよ。 あたしわからへんけど…
「・・先生から見て。 蒼あお は・・見込みがありそうでしょうか、」 最初の勢いはすっかりなくなった夏目は静かにさくらに言った。 「見込みは。 わかりません。 …
「夏目くんは。 私のところで・・レッスンをします、」 さくらは絞り出すような声で言った。 「は? あ、そ。 いいんじゃないの?」 全く興味がなさそうな高柳の物…
ほどなく渋谷にある高柳音楽教室のあるビルに着いた。 「どうしました? アポもなしで、」 さくらのリサーチ通り、高柳は事務所にいた。 夏目がいきなりやって来た…
「・・あなたが、」 名刺と彼女の姿を交互に見て意外そうにつぶやかれた。 「初めまして。 スタジオセリシール代表取締役 篠宮さくらと申します。」 さくらは普段よ…
いちおう喪中なので新年のご挨拶は遠慮させて頂きますが。 本年もどうぞよろしくお願いします。 で。 年末 天皇の料理番 一気再放送やってたじゃないですか。: …
「めんどくさいなあ、もう。」 さくらは名刺を見ながらため息をついた。 「また来るともなんとも言ってなかったけど。いちおう、」 成は外出のついでにさくらの自宅に…
「とにかく今私は出られませんので! 失礼します!!」 思いっきり電話を切った。 「なんね! 自分が苦労して頼み込んだことばっかり! アホか!」 思わず電話に向…
「はあ? なにそれ。 今一楓寝てるから出かけられないよ、」 さくらは自宅で洗濯中だった。 「・・篠宮先生とどうしても話をって言って動かないんだよ・・、」 成は…
「真尋の子供たちを面倒見てた時は。 まあ甥っ子姪っ子だし? 別に離れてもさ、また普通に会えたりするわけやん? でも。 奏はヨソの子やからね。 もうここには戻っ…
「・・なんか。 もったいないんですよ。 すごくポテンシャル持ってる子なんですけど。 ロクな仕事してないっていうか、」 さくらは眠っている一楓を見ながらぼうっと…
「ごちそうさま! 篠宮さんの作ったおかず、めちゃくちゃ美味しかったです。 じゃ、おれはこれで、」 天音はさくらにお辞儀をして帰り支度を始めた。 「あ。 ねえ。…
My sweet home~恋のカタチ。 いつも読んで下さってありがとうございます。 今日から新しい章です。 ひなたのクラスメイト夏目蒼、そして神の耳を持つ伝…
「ま・・それだけじゃないんだけどーー、」 さくらはチラっと飾ってある奏の写真を見やった。 「あたしとりあえず帰るね。 じゃ、夏目も頑張ってね!」 ひなたは時計…
静かに弾き終えたあと、蒼あお はスッと立ち上がってさくらの言葉を聞く前に 「・・お願いします! ぼくを。 ぼくを教えてください!もっともっと高みを目指したいん…
「あんたが生半可な気持ちでいるのが! いっちばん許せん!」 さくらは蒼あお を指差した。 蒼はその力強さに目線を逸らすことさえできなかった。 さくらは立ち上…
はあっと息をついた後、さくらはテーブルの向かいに座った蒼あお を見て 「えっと・・。 なんだっけ、」 ようやく話が戻ってきた。 「・・ですから。 ぼくを。 教…
高遠くんの先生に。 レッスンをしてもらいたい。 その気持ちがさらに大きくなった。 ドキドキしながら言葉を告げようと息を吸った時 「・・で。 この人だれ?」 ひ…
「それで。 夏目も悩んでるんだよね? その先生と合わなくて。」 ひなたが口をはさんだ。 「その人の・・言うとおりです。 藝高に落ちて。 滑り止めの音高もダメで…
その時 「おいしそーーー! もうめっちゃお腹空いてた~~、」 ひなたが蒼あお を連れてやって来た。 「あんたたちの分までないわよ・・」 「・・なんか。 すみま…
さくらはまた一楓を抱っこ紐で抱えながらそっと事務所に入って行った。 「金持ちが弾くピアノを。 アホみたいに貧乏なおれらが音を調律してるなんて。 なんか変な感じ…
「しゃあねえ。 飯奢ってやっか。 何か買ってくるわ。 さよちゃん何がいい?」 成は時計を見て立ち上がった。 「あ、あたし。 あんまり食欲ないんで・・ あとでコ…
「おなかすいたけど、とりあえず時間ないからすぐ行くね、」 「う、うん・・」 蒼あお は何となくみんなの視線が気になった。 「うーー、寒くなったねー。 風が冷た…
「はあ? またそれかよ・・。 言ったじゃん、時間なかったって。 たまたまさくらちゃんの出産に巻き込まれちゃって、」 瑠依はため息とともにそう言った。 「たまた…
小和のモヤモヤは晴れなかった。 「ああ、ごめんごめん。 ずっと課題の練習で忙しくてさ、」 瑠依と連絡がついたのも2週間ぶりだった。 その間、LINEでメッセ…
小和は生徒としてさくらと関わるようになってからもう6年ほど経っていた。 ずっとそばでアシスタントをしていたけれど、もう今になって知る事実があまりの衝撃で驚きっ…
「彼のタッチは繊細だし、なんていうか・・ppで弾くと音の芯まで弱くなっちゃって余韻も聴こえないみたいな演奏家もたくさんいるのに、そういうのもきちんとできてるし…
小和は静かにショパンのノクターン2番を弾きはじめた。 天音は横で腕組みをしてジッと聴き入っていた。 「・・もう、いいですか、」 さわりを弾いて小和は彼に言った…
「よっ・・と、」 ピアノの前板を外して丁寧に一音一音確かめながら調律していく。 「彼のお父さんはね。 『スゴ腕の調律師』なのよ、」 さくらは一楓にミルクを飲ま…
さくらは岩のように固まった後、ハッとして小和と加治木を見た。 二人とも静かに ただ静かに 目だけ驚いている感じになっていた。 「あーーっと。 あのー。 この子…
その時インターホンが鳴った。 「あ、・・はい。 どうぞ。 お願いします、」 小和が応対した。 「だれ?」 さくらが資料を見ながら聞くと 「あ。 今日、ピアノの…
ひなたはふっとさくらのことを思い出した。 「いいピアノの先生、知ってるけどーー」 「え、」 蒼あお は勢いよく顔を上げた。 それにややおののいて 「や、ホント…
そんな挙動不審の蒼あおに構わず 「それ・・ ス・・スクリャービン? だっけ、」 ひなたはさっきまで彼が弾いていた曲名を告げた。 「え、」 蒼は驚いたように彼女…
急に。 寒くなったなあ。 ひなたは学校の廊下の窓から見える枯葉の風景をぼんやりと見ていた。 奏がジャパンピアノコンクールで最年少優勝を果たして すぐにウィー…
My sweet home~恋のカタチ。をご覧くださっているみなさま。 いつもありがとうございます。 すみません、小説ずっとお休みしてます。 別に仕事が忙しい…
My sweet home~恋のカタチ。をご覧くださっている皆様。 本当にいつもありがとうございます。 今日の回で今回のお話は終了。 奏はウィーンに旅立ちまし…
奏はスッと座布団から降りて 「・・ありがとうございました、」 畳みに額が着くくらい深く頭を垂れた。 志藤はそんな彼にふっと笑った。 「悪いけど。 まだおれら。…
「よう、」 強い目力で志藤から声を掛けられ 「こ、こんばんわ・・」 奏はものすごく緊張した。 手を洗って戻ると、 「ちょっと、いい?」 志藤に奏だけ隣の和室に…
花やしきで たくさんたくさん遊んだ。 子供みたいに。 「ねえ・・」 久しぶりのキスの後。 ひなたは愛おしそうに奏の顔に手をやった。 「ん?」 「まだ子…
「オチがわかっていても。 笑ってもらえるような。 わかっていても。感動してもらえるような。 おれだけのピアノを弾けるようになりたい。」 奏は陽の光に煌めく川面…
「そっかー。 ウィーンに行くんかー。 なー、大変だけど。 頑張れよ、」 その先生のしゃべり方も。 何もかも懐かしい。 「はい。 ありがとうございます。」 奏は…
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小説再開までいましばらくお待ちください 小説(森野日菜) - カクヨムkakuyomu.jp 拓馬&詩織編ただいま連載中。毎朝7時ごろ更新していま…
このまえに引き続き。 大谷選手の話なんですけど、今朝彼の口から事実、経過説明がありましたね。 100%これが真実なのか、はわからないんですけど 全て辻褄は合う…
突然ですが めちゃくちゃショックだったんですよね。 大谷選手の通訳の水原さんの一件。 大谷選手いるところにはいつもそばに彼の姿があって、とにかくメジャーの世界…
My sweet home~恋のカタチ。 いつも読んでくださってありがとうございます。 えー 大変申し訳ございません。 また本日からお休みさせていただきます。…
「とにかくひねくれてて。プライド高くて。自分のことしか考えられなくて。誰かと家族になるとか?全く想像つかなかった。女性とつきあったことなかったわけじゃないけど…
「代理店の人の話によると。そのプロジェクトメンバーの中に高野副社長の離婚して丹波に置いてきた息子がいたって。」 高宮は顔を上げて真緒を見た。 「え・・」 テー…
「あの、さ。」 含みを込めたように高宮は話し始めた。 「ん?」 真緒は生返事をした。 「この前の話なんだけどー・・」 「・・この前?」 ようやく高宮を見た。 …
「最近は。それが重いなあって思い始めて、」 水を出す音にかき消されないように天音は少し声を張った。 「重い・・?」 真緒はまた首を傾げた。 「なんていうのかな…
「・・お金なくても。別につきあえるんじゃない?」 疑問に思ったことを天音にぶつけた。 「まあ。それもそうですけど。二人目につきあった人はバイト先の飲み屋のお客…
「そっか。大変やったんやな、」 「まあでも。なんとか頑張れそうやったで。」 初音はその晩赤星から電話をもらった。 「・・みんな。いろいろあるよな。」 赤星の言…
祐奈は窓際に飾ってあった赤星の息子の写真に目をやった。 「・・息子さんのこと。友達から聞いた。大変やったね、」 「まあ。おれの責任やし。どうやって償ってええか…
突然の雨に赤星は走って店まで戻ろうとしていた時、シャッターの降りた店のほんの狭い屋根の下で少し濡れながら雨宿りをするランドセルを背負った女の子を見つけた。 「…
リビングに降りていくと、父が一人でお茶を飲みながら新聞を読んでいた。 「お茶、もう一杯いれましょうか?」 真緒が声をかけると 「ああ。もう休むからいい。」 新…
真緒は混乱した。 ワケがわからなかった。 初音さんが高野楽器の副社長の息子・・? 確かにお父さんが伝説のピアノ調律師って話は聞いていたけど。 高野楽器は楽器の…
「カフェの仕事。楽しそうだね。」 高宮はその書類を南のデスクの書類入れに入れた。 「ああ。うん。なんかねー。この年になってようやく仕事に対してのやる気?出てき…
高野で仕事をしたのは 26歳から28歳の2年間だった。 東京での生活は楽しかった。 今まで経験したことがない世界で全部が目新しくて。 仕事の仲間と銀座や六本木…
「東京、遊びに行ったん?」 祐奈にそう言われて 「いや。天音が。弟が今ホクトエンターテイメントの社長の家に下宿してんねん。・・挨拶にと思って。」 初音は色々端…
「・・あー、そうなんだ。」 真緒はまた普通に朝食を食べ続けた。 天音はすかさず彼女に近づいて 「地元の市議の娘さんなんですけど。何年か前に結婚して神戸に住んで…
「初音さん、今のカフェの企画の仕事。楽しいですか?」 真緒がふいにそう訊いてきた。 「えっ、」 思わず言葉に詰まった。 「あたしはすごく楽しいし毎日充実してま…
初音が外にゴミを置いて来て戻ってくると 「お茶、入りましたよ。」 真緒がほうじ茶を淹れてきた。 「あ。すみません・・」 「こちらこそ。ありがとうございました、…
「・・おれ。 他の女と、寝た。」 瑠依は意を決したように真実を彼女に告げた。 「え、」 小和は驚いて顔を上げた。 「・・その人のこと。 好きとかそういうんじゃ…
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「だから。 お父さんには幸せになってもらいたかったんです。 お父さんが好きな人と・・ずっと生きられるように、」 千晶はポットから紅茶をカップに注いだ。 ずっと…
そんな彼女を見て瑠依は 「・・祐美さんを。 よろしくお願いします、」 静かにそう言った。 千晶は え? という顔をした後すぐに笑顔になって 「ホント。 なんか…
「あけましておめでとうございます~。 ささ、どうぞ。」 祐美は嬉々として玄関を開けた。 「おじゃましまーす、」 やって来たのは。 母の恋人の北城ともう一人女の…
「鯵ヶ沢、どうだった?」 祐美はホットココアの入ったマグカップを瑠依の前に置いた。 「もう。 大歓迎。 おじいちゃんもおばあちゃんも。 おばちゃんもおじちゃん…
「あのサックス。 持って帰ってもいい?」 瑠依のこの言葉がとどめだった。 葦切は熱いものがこみ上げてきて、手で顔を覆ったまま何度もうなずいた。 瑠依が純太を受…
「今までつきあった女って。 ほとんど・・なんかね、身体だけで飽きちゃうっていうか。 ホントにこの人のこと好きなのかなってわかんなくなっちゃう、」 瑠依は足を元…
瑠依は布団に寝かせた一楓をおもちゃであやしながら 「・・おれ。 酔っぱらって。 他の女抱いた、」 ボソっとさくらに言った。 「あ?」 一楓の着替えを畳んでいた…
「この真実を聞いた日から。 何度も何度も、何度も。 ふいに不安がやってきては消し去っての繰り返しだった。 おれが嵯峨純太さんを否定することは・・父さんや祐美さ…
一楓はお腹が空いていたようでミルクをゴクゴク飲んでいた。 「欠食児童か、」 さくらはそれを見てアハハと笑った。 葦切もそんな様子を微笑んで見守っていた。 その…
「みんな。 弱いよ。 ぼくも・・強い大人じゃなかった。 自分が弱いことを受け入れるとね、少しだけ気が楽になる。」 葦切は優しくそう言った。 その言葉に瑠依は少…
「瑠依は。 だいじょぶなんかねえ・・」 葦切の母がため息をつきながらそこにあったおせんべいを食べ始めた。 「耕ちゃんが『ちょっとスランプだから』って言ってたし…
「純太さんが死んで。 祐美さんが妊娠して・・瑠依を産んでからはもうジェットコースターに乗ってるみたいだった。瑠依の瞳の色に気づいてからもね。 純太さんの子なら…
「あそこ。 工事のプレハブが建ってるところがあるだろう? あの辺、今新しく集合住宅を建ててるらしいんだけど、」 葦切は丘から見下ろすところを指さした。 「・・…
二人で歩くなんてどのくらいぶりだろうか。 葦切はそんな風に考えていた。 実家は少し高台にあって、坂を下りていくともう海がすぐそこに見える。 何も言わずに葦切は…
葦切家に到着すると。 一楓への歓迎はもちろんなのだが、瑠依への歓迎ぶりはすさまじく 「ちゃんと食べてるの? 一人暮らしなんでしょ? 高校生の時に来た時よりなん…
とにかく。 葦切耕平が自分の血のつながった父親でない、という事実が全く受け入れられないのだなと さくらは思った。 嵯峨純太さんの存在も。 認めたくない。 彼ら…
東京を発ったのは12月29日の早朝。 もう新幹線の切符の追加が取れなかったので瑠依は車両の間のドアの近くにぼんやりと座っていた。 「大丈夫?」 途中でグズり出…
「一楓が生まれてから。 ぼくの瑠依に対する気持ちがひょっとして変わってしまうかもしれないと思ったこともある。でも。逆に瑠依への思いが本当に強くなって。 もっと…