日々思いついた「お話」を思いついたままに書く
或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!
評議院の最高責任者であるタルメリック・ローデンビッキは深いため息をついた。その様子に秘書であるベレッカ・サンピ―ラサは同情の眼差しを送る。「タルメリック様、また、ですか……?」「ああ、そうだ……」タルメリックはベレッカに顔を向け、再びため息をつく。「君は若くて有能で容姿も良い。それだけではなく、三児の母としても見事な物だ……」「ありがとうございます」ベレッカは頭を下げる。「これも、良縁を結んで下さったタルメリック様のお蔭でございますわ」「わしは、わしに関わった者たちが皆幸せになってもらうのが、何よりも好きなのだよ」タルメリックは優しい笑みを浮かべる。「君を妻にしたダングレンも優秀なエンジニアだ。この前『あんな素敵な女性を紹介して頂き、心から感謝いたします。彼女のお蔭で、自分は研究に没頭できます』なんて礼を...タルメリック叔父の憂欝~ジェシル番外編
「……ジャンセン様……」メキドベレンカは写真からジャンセンへと顔を向けた。その瞳からは涙が溢れかけている。「あれ?泣かせちゃった……」ジャンセンは困った顔で頭をぽりぽりと掻く。「想い出のつもりだったんだけど……迷惑だったかなぁ……」「いいえ、いいえ!」メキドベレンカは頭を左右に振る。瞳の涙た左右に散る。「このような嬉しい事は初めてでございます。嬉しすぎて……」「それなら良かった」ジャンセンは笑む。「ぼくは、こう言う事に慣れていなくってね。でも、喜んでくれて、ぼくも嬉しいよ」「ジャンセン様」メキドベレンカはじっとジャンセンを見つめる。その表情に、何かの覚悟を感じた。ジャンセンも思わず真顔になった。「……あなたから……」メキドベレンカは言葉を止めた。頬を染め、戸惑いながら、名前では無く「あなた」と発したからだ...ジェシルと赤いゲート90
「君の思いは良く分かった」ジャンセンは向き直ったメキドベレンカの瞳を見つめる。「ぼくも君を悩ませるのは本意じゃない。それに、君の言っている事は正しい」「そうでしょうね……」メキドベレンカは優しく笑む。「時代も何もかも違う二人は一緒にはなれないのですわ……」「そう、その通りなんだ」ジャンセンはメキドベレンカの微笑に浮かぶ悲しさを見て取った。「その通りなんだけど……」「その通りでしたら、それに従うのが節理ですわ」メキドベレンカは、自分の悲しさを抑え込むように、強い口調で言う。ジャンセンもその意思を感じ取った。「……そうだね、そうする事が正しいんだね」「そうですわ」メキドベレンカは言うと、ジャンセンの背後を指差す。「お仲間の皆さんがお待ちですわ」ジャンセンは言われて振り返る。何度もうなずいているマスケード博士、...ジェシルと赤いゲート89
「……あっ!」ジャンセンはわれに返り、慌ててメキドベレンカから身を離し、すっと立ち上がった。「ごめんなさい!つい、うっかり……」ジャンセンはぼりぼりと頭を掻きながらメキドベレンカに言う。「何だか感激しちゃって……」「……いいえ、構いません」メキドベレンカは笑みながらゆっくりと立ち上がる。「ジャンセン様のお気持ち、しかと感じました……」「女性に告白されたのも初めてだし、こんなに信頼されたのも初めてだし……」メキドベレンカは右の人差し指を立て、それをそっとジャンセンの唇に当てた。驚いたジャンセンは半開きの口のままで動きが止まった。「ジャンセン様」メキドベレンカは指をそのままにして続ける。「言い訳なんかなさらないでくださいまし……あなた様のお気持ちは十分に伝わっておりますわ」マスケード博士は何度もうなずきながら...ジェシルと赤いゲート88
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