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お話 https://blog.goo.ne.jp/shin-nobukami

日々思いついた「お話」を思いついたままに書く

或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!

伸神 紳
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2007/11/10

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  • ジェシルと赤いゲート 10

    床にへたり込んで、左右から槍の突き出している階段を眺めているジャンセンの尻を、ジェシルは蹴飛ばした。思わず前のめりになって階段へと転がり落ちそうになる。ジャンセンは悲鳴を上げて両手で床を押さえ、からだを支えた。そして素早く立ち上がると、にやにや笑っているジェシルを正面から睨みつけた。「危ないじゃないかあ!」ジャンセンは怒鳴る。「階段に落っこちたらどうなると思うんだよ!」「ジャンセンの串刺しが出来るんじゃない?」ジェシルは平然と答える。「どう料理しても、美味しそうじゃないけどね」「あのなあ!」「それよりも、手伝ってよ」ジェシルは、怒っているジャンセンを気にする事も無く、横倒しになった大きな机の傍に行き、机をぽんと叩いた。「……手伝えって、何をするんだい?」「あのさあ……」ジェシルは呆れたようにため息をつく。...ジェシルと赤いゲート10

  • ジェシルと赤いゲート 9

    「え?何?何の音なの!」ジェシルが叫んで、ジャンセンの顔を見る。「何って……」ジャンセンは戸惑う。「何だろう?」「普通は男の人が何事かを見に行くもんじゃないの!」ジェシルは語気を強める。「それを『何だろう?』って!本当に役に立たな庭いわね!」「だって、部屋から出て行けって……」「それは、わたしが着替えるからでしょ!」「散々下着姿を見せておきながら、そんな事言うんだって、鼻で笑っちゃって、同時に呆れたけどな」「あなたって、常識が無いの?全部着替えるから出て行けって行ったんじゃない!」「え?全部?……」「あああっ!もういい!」ジェシルは、考え込んでいるジャンセンに怒鳴ると、部屋へと駈け戻った。扉を開け、部屋に入る。扉は自然と閉じて行く。その様をジャンセンは玄関ホールで見ていた。「……ちょっと、これ、何なのよう...ジェシルと赤いゲート9

  • ジェシルと赤いゲート 8

    ジャンセンが部屋から出ると、背後で殊更大きな音で扉が閉められ、続いて聞こえよがしに鍵を掛ける音がした。「……そんなに怒る事はないじゃないか」ジャンセンはぴったりと閉じられた扉に振り返る。「小さい頃は一緒に風呂にも入ったって言うのにさ……」全宇宙の男どもが殺意を抱きかねないつぶやきをすると、ジャンセンは手にした燭台をしげしげと見た。「やっぱり、これはレプリカだ。……にしては良く出来ているなぁ」ジャンセンは折れ口を見る。心無しか眉間に皺を寄せた。何か気になる事があるようだ。ジャンセンは燭台を右手に持ったまま、左手で右肩からたすき掛けにしている鞄のかぶせを捲り上げ、鞄の中に突っ込んだ。しばらくがさごそと探っていたが、目当ての物を見つけたようで、左手を鞄から抜き出した。左手には大きな虫眼鏡が握られていた。それを右...ジェシルと赤いゲート8

  • ジェシルと赤いゲート 7

    「……なんだって?」ジャンセンはジェシルの右手の燭台を見て、それから苦笑いを浮かべているジェシルの顔を見る。「……なんだってぇ!」ジャンセンは大きな声を出しながら立ち上がった。勢いでジェシルは床に転がる。ジャンセンはぼっきりと折られた燭台の根元を見上げる。「折っちゃったのか……」ジャンセンはつぶやく。「折っちまったのか……」「下に下がる構造だったって言うから、飛びついたらそうなると思うじゃない?」ジェシルも立ち上がる。手にした燭台をぶらぶらさせながら言う。「でも、下になんか下がらなかったわよ」「でも、折っちゃうかい、普通?」「それだけ軟弱な作りだったのよ」ジェシルは悪びれずに言う。「それにさ、下に下がらないんだから、あなたの得た情報も嘘だったんじゃない?元々、地下なんか無かったのよ」「いや、でも、ぼくが調...ジェシルと赤いゲート7

  • ジェシルと赤いゲート 6

    「探検って……」ジャンセンがむっとする。「ジェシル。君は何か勘違いをしているようだ。これは遊びじゃない、学術調査なんだ」「あら、それは言い方が悪かったわね。ごめんなさい」ジェシルは素直に謝った。先程とは違う態度にジャンセンが面食らう。「おい、どうしちゃったんだ?君なら、『あなたはどう思っていようが、わたしには探検以外の何物でもないわよ!』って怒鳴りそうなもんだけど……」ジェシルはむっとする。……せっかく歴史に興味を持ったって言うのに、これじゃ台無しだわ。でも、口の悪さも我が一族って感じかな。ジェシルは思って苦笑する。「なんだ?怒った顔をしたり苦笑いをしたり……」ジャンセンが呆れたように言う。そして、気を取り直すように頭を軽く左右に振る。「……とにかく、協力してくれるのはありがたいよ」「そう素直に言えばいい...ジェシルと赤いゲート6

  • ジェシルと赤いゲート 5

    「はあ?」ジェシルはまずは呆れ、次にはむっとした顔を作った。「あなた、何を言ってんのよ!」「だって、君は優秀な宇宙パトロールの捜査官なんだろう?」むっとした顔のジェシルを、ジャンセンは不思議そうな顔で見返す。「それに、飛んだり跳ねたりが得意だそうじゃないか。タルメリックおじさんが言ってたよ」「……」ジェシルの見えない熱線銃がタルメリック叔父に何発も撃ち込まれていた。気分が落ち着いたジェシルはジャンセンを見る。「たしかに、飛んだり跳ねたりは得意だけど、あんな高い所は無理よ」「やっぱりそうだよなぁ……」ジャンセンは燭台を見上げる。「あれを下に下げれば入口が開くんだけどなぁ……」ジャンセンの様子は、子供が目の前にある欲しいものに手が届かずにやきもきしているようだった。あれだけ腹立たしかったジェシルだが、ジャンセ...ジェシルと赤いゲート5

  • ジェシルと赤いゲート 4

    大概の来客は、屋敷の規模の大きさや圧倒的な豪華さに目を奪われ、しばし言葉が出ない。しかしジャンセンは違った。「じゃあ、地下への入り口へ行こうか?」ジャンセンはじっとジェシルを見つめて言う。周りなど全く見えていないようだ。と言うより、関心を持っていないとしか言いようがない。「……あなたって、最低ね!」ジェシルはむっとする。「どこが最低なんだ?」ジャンセンは首をかしげる。「ぼくは調査がしたくてやって来た。そして、君は通してくれた。さらに、物には触れるなとも言った。だから、君の手で地下への入り口を開けてもらわなきゃいけない。それをお願いしているのに、どうして最低なんだ?」「もう良いわ!」ジェシルは語気強く言う。「あなたに普通の感覚を求める方が間違いだったわ!」「ぼくも君の噂を聞いているんだけどさ」さすがにジャン...ジェシルと赤いゲート4

  • ジェシルと赤いゲート 3

    ジェシルは壁に掛かっている柱時計を見た(これも年代物だそうだが、ジェシルには全く興味も関心もない)。「ジャンのヤツ、昼前には来るだなんて言っていたわね。聞いてもいないのに、弁当を持ってくるから昼食はいらないなんて言っていたわ……」ジェシルはにやりと笑う。「だったら、思い切り豪華なランチを目の前で食べてやろうかしら」と、玄関の呼び鈴が鳴った。ジェシルは壁に備え付けたモニター画面を操作し、玄関に佇んでいる人物を映しだした。画面には右斜め上から見下ろした映像が映っている。柔らかそうな長い金髪の男性だ。右肩から大きなカバンをたすき掛けにしている。ラフな普段着姿だ。「人の家を訪ねるって言うのに、何よあの格好!」ジェシルは文句を言う。男性は呼び鈴の反応が無い事に戸惑ったのか、きょろきょろと周囲を見回している。その際、...ジェシルと赤いゲート3

  • ジェシルと赤いゲート 2

    ジャンセンの「お願い」と言うのは、ジェシルの住む屋敷についてだった。「ちょっと調べさせてもらいたいんだよ」ジャンセンは言う。「実はさ、あの屋敷って地下三階くらいになっているだろう?」「知らないわ、そんな事!」ジェシルはけんか腰の口調で答える。「わたしは単にあそこに住んでいるだけだから。さっさと引っ越したいんだけど、『お前は直系なのだから、ここに住まねばならない』なんて言われて、イヤイヤ住んでんのよ!」「ジェシルって、本当に物の価値ってのに無関心と言うか、無知と言うか……」ジャンセンの大きなため息が聞こえる。ジェシルはむっとする。「あのさあ、あの屋敷って連邦政府が管理しているんだぜ。それってどう言う事か分かるかい?」「叔父様たちが面白がってやっているんじゃないの?」ジェシルは、連邦評議員のタルメリック叔父の...ジェシルと赤いゲート2

  • ジェシルと赤いゲート

    ジェシルは朝から不機嫌だった。今日は休暇日で、天気も爽やかだった。いつものジェシルなら、碌で無しどもを片っ端から見つけてはとっちめると言う趣味のために出かける所だ。しかし、黒い下着の上に黒いフリソデを羽織って、自宅であるただっ広い屋敷の、玄関から入って右脇にある客室を改装した自室のソファに寝そべっていた。組んだ脚をつまらなさそうにぶらぶらさせ、時折デスクの上の時計を見てはため息をつく。「……ジャンセンのヤツ、いっつも最悪なタイミングを見計らっているようね」ジェシルは吐き捨てるように言う。ジャンセンとは、ジャンセン・トルーダと言い、ジェシルの従兄弟だ。ジェシルより二、三歳上の歴史学者だ。数々の古文書や遺跡に刻まれた文言の解析にとてつもない能力を発揮するようで、その方面では「若手天才学者」として名が通っている...ジェシルと赤いゲート

  • ごあいさつ

    しばらく更新の手が止まっておりましたが、そろそろ始めようかと思っております。良い歳をした(何と今年で63歳になるのです)おじさん、いや、じいさんですから、ペースがゆったりしてしまうかもですが、お付き合い下さればと思っております。皆様のご多幸をお祈りい申し上げます。伸神紳ごあいさつ

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