ジェシルと赤いゲート 10
床にへたり込んで、左右から槍の突き出している階段を眺めているジャンセンの尻を、ジェシルは蹴飛ばした。思わず前のめりになって階段へと転がり落ちそうになる。ジャンセンは悲鳴を上げて両手で床を押さえ、からだを支えた。そして素早く立ち上がると、にやにや笑っているジェシルを正面から睨みつけた。「危ないじゃないかあ!」ジャンセンは怒鳴る。「階段に落っこちたらどうなると思うんだよ!」「ジャンセンの串刺しが出来るんじゃない?」ジェシルは平然と答える。「どう料理しても、美味しそうじゃないけどね」「あのなあ!」「それよりも、手伝ってよ」ジェシルは、怒っているジャンセンを気にする事も無く、横倒しになった大きな机の傍に行き、机をぽんと叩いた。「……手伝えって、何をするんだい?」「あのさあ……」ジェシルは呆れたようにため息をつく。...ジェシルと赤いゲート10
2023/01/30 09:59