獅子の檻(5)芽生
「下ろしてよ」「どうするかな」長い銀の髪が上空の強い風で翼のように広がった。それは優雅に微笑んで、男は言った。「何をしていた?」「別に」頑固に唇を尖らせて、リリィはそっぽを向いた。迷子と言われてご機嫌斜めの様子に男は愉しそうにまた笑った。「ラシュに会いに来たとか?」「そ・・・」その通り、なのだが。何故かこの男にそう指摘されるのは恥ずかしかった。顔に出たのだろう。男は何かに勘付いた様だった。「お前、魔獣族のリリィだろう」一瞬驚いた後、リリィはぎりっと奥歯を噛んだ。「なるほどな、聞くにたがえぬお転婆姫だ。大人しく輿入れに同意はせぬということか」尖らせた唇に頬まで膨らませて、リリィはやっとの反論をした。「・・・ちょっと会ってみようと思っただけよ」「会ってどうするつもりだったんだ」「それは・・・」考えていない。とにかく...獅子の檻(5)芽生
2014/12/14 10:54