○4-2広島(7回戦:バンテリンドーム) 「ホントのお金と一緒で貯金はすぐ無くなるし、借金は返すのが大変」 去る4月12日、今季初めての貯金を作ったときに立浪監督は独特の表現で貯金の脆さ、そして借金の厄介さを語った。あれから半月。最大3あった貯金はあれよあれよと言う間に使い果たし、再び借金生活へと転落した。 「すぐ無くなる」という言葉を痛感すると同時に、何としても負債は最小限で返済しないと大変なことになる。かつて栄華を誇ったゼロ年代には想像すらできなかったが、暗闇のテン年代を経た中日ファンは借金が積み重なる怖さを身をもって体感してきた。 借金1は、いわば自販機でジュースを買うのに小銭を借りる程…
「理想の三振」を狙いすぎ? 高橋宏斗に足りない「雑さ」と「余裕」
●0-1広島(6回戦:バンテリンドーム) 立浪ドラゴンズの熱いゲームを期待した大勢のファンで賑わうゴールデンウィーク初日の本拠地。しかし待っていたのは淡々と、黙々と凡打を重ねる「ダメなときのドラゴンズ」だった。 試合前には大島洋平の登録抹消という、聞きたくない悲報も届いた。昨日抹消せずに様子を見たことから安堵したのも束の間、軽傷という当初の見立ては叶わぬ願望に終わった。目下首位打者の離脱はあまりにも痛い。ここまで中日が5割をキープしているのは、言うまでもなく大島の好調によるところが大きい。 その大島が最低10日間はチームを抜ける。それも6連戦が続くこの大事な時期に、である。「Addict to…
●2-3阪神(5回戦:阪神甲子園球場) あっとう言う間の出来事だった。打者6人に対して投げた球数は9球。本塁打や長打が出たわけではなく、ほとんど内野の中だけで3点を奪われた。3連打での失点もさることながら、スクイズ、犠打、野選での2失点は悪い夢でも見ているかのようだった。 先制したのはドラゴンズだった。2回表、石川昂弥がレフトスタンドへの最前列にアーチを駆けた。昨日の嫌な流れを払拭するかのような豪快な一発。先発が大野であることからも、本来ならこの一発で勝利をモノにしなければいけなかったのだが……。 不思議だったのは、この2日間どれだけチャンスを作ろうがまったく点が入る気配がしなかったことだ。「…
●1-3阪神(4回戦:阪神甲子園球場) ドラゴンズにとってはとにかくアンラッキーな雨上がりの一戦となった。 昨季2勝7敗1分、おととし1勝11敗。鬼門中の鬼門ともいえる甲子園での今季初戦。マウンドに上がったのは勝野昌慶だった。名前とは裏腹になぜか「勝てない」投手である勝野だが、内容的にはいつ勝ってもおかしくない投球が続いている。 というわけで “16試合目の正直” に挑んだ今夜は初回に味方が幸先よく先制。自身もテンポよく三者凡退で切り抜け、久々の勝利を予感させる立ち上がりとなった。しかし球場に吹き荒れる浜風と同様、このあと勝野を強烈な “向かい風” がことごとく襲うことになる。 まずは2回裏、…
WHIP1.00切り!分厚いブルペン陣に割って入る選手はいるか?!
投手王国ーー。中日ドラゴンズというチームを形容するときによく使われる言葉だ。豊富な先発陣に強固なリリーフ陣がそれを支える、といったようにどちらにも軸になる選手が何人もいることは12球団でもそう多くはないだろう。 先発投手陣は大野雄大、柳裕也の2人を軸にコロナ陽性で離脱してしまったが小笠原慎之介が本日途中で中止になった2軍で先発。来週には戻ってくるだろうか。さらに福谷浩司、勝野昌慶、松葉貴大を1軍、2軍でうまく回しながら適材適所に当てはめつつ、何よりも今年は高橋宏斗がどこまでできるかがファンとしての大きな楽しみでもある。 そしてリリーフ陣、R.マルティネス、ロドリゲスのキューバ勢が8、9回を任せ…
基本的に月曜日はゲームがない移動日ということで「先週のナイスプレー!」という企画を行っている。今回は4/19~24に行われた5試合を対象に、目立ったプレーには漏れてしまっているが個人的にナイス!と思われたワンプレーを投手部門、野手部門に分けて紹介したい。 投手部門:Return of the “King” ライデルの完璧投球(4/20 ヤクルト戦) 「●●で負けたら仕方がない」という名にふさわしい格を与されたであろうR.マルティネス。来日時はひょろひょろで140キロも精一杯だった投手が、2020年には自己最速を161キロとし、チームレコードを保持している。 キューバ代表としてもその役割を全うす…
〇7-6巨人(6回戦:バンテリンドーム) 3回表、ウォーカーの打球がライトスタンドに着弾した瞬間、二つの言葉が頭をかすめた。「ダメ押し」と「終戦」。序盤で1-6というスコアを目の当たりにして「絶対勝つぞ! ドラゴンズ!」と思えるほど私のメンタルは強くなかった。 今年の巨人は強い。何しろ打線に穴がなく、小林誠司にまで打たれてしまったら抗(あらが)う手立ては無いに等しい。圧倒的な戦力差をまざまざと見せつけられ、呆然と過ごす日曜午後。だが、どんなに強いチームにだって全く隙がないという事はないのだ。 例えば球団史上最強と謳われる2006年のドラゴンズには、タイロン・ウッズの一塁守備という分かりやすい弱…
●0-3巨人(5回戦:バンテリンドーム) 二度ある事は三度ある、ではないが。完全試合の快挙が28年ぶりに塗り替えられたかと思ったら、すぐ一週間後に同じ投手が「あわや」の快投。さらにその一週間後、今度は別の投手が大記録達成なんて事になったら、2022年4月は完全試合の特異月として永久にプロ野球史に刻まれたことだろう。 でも正直、マジでやられると覚悟したのは私だけではなかろう。なんたって7回2死まで淡々と抑え込まれ、残るは2イニング7アウトのみ。ノリノリで投げるシューメーカーには疲れの気配は一切なく、むしろ大記録に向かってアドレナリンがみなぎっているようにさえ感じた。 ドラゴンズの被パーフェクトは…
●2-7巨人(4回戦:バンテリンドーム) 菅野智之に最後にナゴヤで土を付けたのは8年前まで遡らなければならない。2014年7月25日。当時24歳の菅野から森野将彦、和田一浩がアベック3ランを放って8失点KOした。さぞかし痛快な勝利だったと思うが、どういうわけだか私の記憶からはすっぽりと抜け落ちている。 この年のできごとは、消費税8%への増税、STAP細胞論文の捏造など。カルチャー面では『アナ雪』がブームとなり、『笑っていいとも!』の放送終了も話題を呼んだ。近いようで遠くなりにけり過去。その間、今日に至るまで本拠地で菅野を倒せていないのはどう考えても異常であり、屈辱だ。 ドラゴンズはかつて、やは…
根尾昂に新局面。遊撃再コンバートをきっかけに、ついにスーパーUTの道へ?
根尾昂が遊撃へ再コンバートされることになった。 21日に立浪和義監督が明らかにしたもので、「今のチーム状況を考えると外野はたくさんいてなかなか出る機会がない。外野をやることも遠回りしているようで彼にとってはプラスになると思ってやらせている」とのこと。同日に登録抹消、ファーム帯同となり、早速遊撃手として出場を始めている。 外野専念の今季は限定的な起用に 遊撃手はもともと根尾本人が希望して守っていたポジションで、昨季もキャンプ中は京田陽太と競争。シーズン終盤にはスタメンで出場した試合もあった。今季は外野手登録に変更され、開幕から1軍帯同していたものの、先発出場はわずか1試合のみ。限定的な起用に終わ…
佐々木朗希完全試合の裏で ~あるちうにちファンの抱えていた呪縛~
2022年4月10日。横浜スタジアムでのDeNA戦が中止となり、ZOZOマリンスタジアムへと出向いた。佐々木の完全試合で幕を閉じたこの試合について10日以上経った今、語ることは何もない。ただただ狂熱の渦に自分自身がいた事が信じられないほどだ。その日の夜のスポーツニュースのはしご、そして多くの評論家が語る「2度目、3度目もありますからね」という言葉に、ただ頷くしかなかった。 納得の交代は15年前と時代が変わったことを実感 1週間後、マツダスタジアムでの中日打線に胸を躍らせながら、ワクワク気分で試合を見ていた。その裏で佐々木が完全試合ペースという速報を見て驚愕した。マツダの試合を余所に、マリンの中…
〇4-1ヤクルト(5回戦:バンテリンドーム) 小川泰弘といえばバンテリンドームに滅法強いことで知られる。愛知・田原市出身。昨季は100球未満での完封を意味する「マダックス」をこの球場で記録した。今シーズンはここまで不甲斐ない内容が続いているが、得意のナゴヤで息を吹き返す恐れは十分あり得る。 そんなわけで昨日の一戦は大野雄大でなんとしても取りたかったのだが、結果は言わずもがな。本拠地2連戦を連敗で終えるか、五分に戻せるかは19歳の右腕に託されることになった。 高橋宏斗にとってヤクルトは、前回登板でプロ初勝利を飾った相手である。休養を兼ねた「投げ抹消」を経て約二週間ぶりのマウンド。球筋も、どんなタ…
●4-12ヤクルト(4回戦:バンテリンドーム) 「点の取られ方が悪すぎました。同じことを繰り返さないように、次回の登板に向けて修正していきます」(スポーツ報知) 4回8安打6失点(自責5)とまさかの炎上となった大野雄大。初回、簡単に2死を取ったところまではよかったが、続く3番・山田哲人、4番・村上宗隆に連続四球を許すと、塩見泰隆にセンターへのタイムリーツーベースを打たれて2点を献上。なるほど、確かに「点の取られ方が悪すぎ」たのはその通りである。 ただし山田、村上を警戒し過ぎるほど警戒するのは間違いではなく、塩見への一球を悔やむのも結果論に過ぎない。むしろその後、味方のエラー絡みとはいえ6失点ま…
基本的に月曜日はゲームがない移動日ということで「先週のナイスプレー!」という企画を行っている。今回は4/12~17に行われた5試合を対象に、目立ったプレーには漏れてしまっているが個人的にナイス!と思われたワンプレーを投手部門、野手部門に分けて紹介したい。 投手部門:嫌な空気を一掃したジャリエルのイニング跨ぎ(4/17 広島戦) 2回を終えて8-0という圧倒的リードの展開でも、楽勝ムードを許さなかったのはマツダスタジアムの空気に他ならない。先発・福谷浩司が5回3失点でマウンドを降りると7回に清水達也がさらに1点を失い4点差。この間打線は満塁のチャンスに得点ができないなど無得点のまま嫌な空気が漂っ…
〇10-4広島(5回戦:MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島) 野球とは不思議なもので、互いに「0」を延々と並べる試合もあれば、面白いほどの打ち合いになる試合もある。とくに初回に幸先よく複数得点を記録した試合というのは、得てして後々キツい展開になるものである。 森下暢仁と福谷浩司。このマッチアップからして予想されたのは僅差の投手戦。しかしプレイボールから15分で、試合は思いもよらぬ方向に動くことになる。スコアボードに刻まれた「4」の数字。一挙6安打を集中したドラゴンズが、防御率1点台の森下を早々に打ち崩した。 休日のマツダスタジアムに集まった大勢の広島ファンは、おそらく初めて目にする…
今季初のズムスタは惜敗。気になるのは大ベテラン・福留孝介の状態だ
●2-3広島(4回戦:MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島) 今季初めての屋外デーゲーム、初めてのズムスタでの試合は1点差で敗戦。先発・岡野祐一郎が自らのバットで先制点をもたらすも、リードを守りきれず。28歳のバースデー登板を勝利で飾ることはできなかった。 野手陣はわずか4安打(そのうち1本は岡野だ)に終わり、京田陽太とビシエドが同イニングに失策を犯すという場面も見られた。やはり普段とは違う環境、ましてや今季初めての試合でアジャストしていくのは難しいのだろう。 チームとして、この敗戦はそこまで引きずるほどでもないかなと感じる。勝ちパターンの投手をほぼ温存しながらも相手の追加点を許さな…
●2-3広島(4回戦:MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島) 直近3カードで8勝1敗と波に乗る立浪ドラゴンズ。対するは、今月初頭にスイープを食らわせた広島である。コロナ禍の入場制限のあった過去2年とは違い、3年ぶりとなる真っ赤に染まったマツダのスタンドが自信を与えるのか、下馬評を覆して広島は現在首位を走っている。 久々の満員のマツダで、果たして中日は好調をキープすることができるのか。最低でも1勝はしておきたいこの2連戦。マウンドには今季初先発の岡野祐一郎が上った。 先発の順番待ち渋滞が発生するほど人材豊富の竜投。「自分もその流れに乗れるように。ストライク先行で攻めたい」(中日スポーツ…
「♪その船を漕いでゆけ お前の手で漕いでゆけ お前が消えて喜ぶ者に お前のオールを任せるな~♪」 4月12日、バンテリンドームナゴヤで久々に響いたTOKIOの『宙船』。祖父江大輔が一軍のマウンドに帰ってきた。 この日の阪神戦、1点ビハインドの8回に登板した背番号33。2死から四球を与えたものの、佐藤輝明を内角スライダーで三振に斬って取り、自らの復帰マウンドを無失点で終えた。 そして、直後の攻撃でチームが逆転したため、勝利投手が転がり込む“おまけ付き”だった。 いかに祖父江の存在が大きいか 今季はキャンプ終盤に右肩痛を訴え、調整が遅れていた。昨季までの8年間で372試合に登板。年平均46試合以上…
〇4-1阪神(3回戦:バンテリンドーム) 「どの試合が一番嫌だったかって言われたら、俺は横浜とやるゲームが一番嫌だった。落とせないから」 11年前の冬、落合博満は監督退任後に出演したテレビ番組のインタビューにこう答えている。当時の横浜といえば暗黒時代の真っただ中であり、失礼を承知の上で言えば “勝って当たり前” の格下の相手。だが戦いの当事者からすれば、そういう相手こそが最もプレッシャーがかかって「嫌だった」のだという。 時は流れて令和4年。阪神が文字通りの歴史的な惨状に陥っている。勝率.067はプロ野球が始まって以来のワースト記録更新なのだという。従来のワースト記録保持球団は、伝説の弱小球団…
〇1x-0阪神(2回戦:バンテリンドーム) 「緊急登板」というのは得てして予想外の結果をもたらすものである。ドラゴンズでいえば松坂大輔の代役で登板した2018年の藤嶋健人であったり、2014年に腰痛の川上憲伸の代役でプロ初登板初完封を成し遂げた濱田達郎が思い出される。 手元に詳しいデータが無いので推測に過ぎないが、まるで急な休日出勤を命じられたサラリーマンがかえって変なテンションでいい仕事ができるのと同じように、緊急登板を命じられた先発投手もダメ元で臨める分、期待をうわまわる結果を残すことが多いように感じる。 というわけで今夜の阪神の先発は、コロナ感染の伊藤将司の代役・小川一平。今季は開幕2戦…
不思議の勝ちあり~大野雄大に対して右打者を並べた阪神の“ミス”
〇2-1阪神(1回戦:バンテリンドーム) 「勝ちに不思議な勝ちあり」とはよく言ったもので、まさしく常識では理解できないような、そんな1勝を立浪ドラゴンズは手にした。 中盤まではエース対決にふさわしい手に汗握る展開だった。大野雄大、西勇輝ともに走者は出すものの得点は与えない粘りの投球で、両者どちらが先に崩れるのか。まったく予測のつかない投げ合いが続いた。こういうときのセオリーは、「ミスをした方が負ける」である。 そして先にミスを犯したのは、守備が盤石なはずのドラゴンズ、それも名手・京田陽太だった。6回表、先頭の山本奏寛のなんでもないショートゴロを悪送球。クリーンアップへと繋がるところで無死一塁と…
基本的に月曜日はゲームがない移動日ということで「先週のナイスプレー!」という企画を行っている。今回は神宮球場の3試合を対象に、目立ったプレーには漏れてしまっているが個人的にナイス!と思われたワンプレーを投手部門、野手部門に分けて紹介したい。 投手部門:守護神を完全休養に導いた清水のリベンジピッチング(4/7 ヤクルト戦) 高橋宏斗のプロ初勝利が懸かったこの試合、2番手で登板した清水達也が3人でピシャリ。そのうちの2つのアウトをスプリットで空振り三振に仕留めた。前回4/5の登板では勝野昌慶の後を受けたものの村上宗隆に痛恨の3ランホームランを打たれてしまった。直後に石川昂弥のプロ初ホームランで勝ち…
石川昂弥の初ホームランに高橋宏斗のプロ初勝利。先日の神宮3連戦は一生語り継ぎたい出来事が2つも起こった。筆者も3連戦すべてを現地観戦し、その喜びを享受した。やはりドラフト1位選手というのは特別なのだ、と改めて感じた。 その神宮3連戦で印象に残ったことがある。 「平田、良い表情で野球やっているな……」 かつてのドラフト1位・平田良介についてだ。 今季初スタメンで渋い活躍 思わずつぶやいてしまったのは、7日の試合でのこと。具体的な場面は失念したが、3アウトを取って左翼の守備位置から三塁ベンチへ帰るとき、控え選手と笑顔でタッチする姿にグッときたのだ。 この日が今季初スタメンだった背番号6。かつての定…
みなさん、こんにちは、こんばんは!yuyaです。4/10の試合をIkki(@ikki_0306)くんと観戦予定だったのですが、残念ながら中止になってしまいました。ベイスターズ選手、関係者の快復をお祈りしております。 さて、現地観戦グッズのお供といえばレプリカユニフォームですが、みなさんは誰の選手のものを着用していますか?私は高橋周平の背番号3を着ています!今年は立浪監督をはじめ、石川昂弥、岡林勇希、高橋宏斗と将来を背負って立つ選手たちが続々と1軍の試合で出てきているので、彼らのユニフォームも欲しいな……と思うようになってきました。 大人の事情で今シーズンまでは現行のユニフォームということで、来…
プロ野球の歴史は、記憶にも記録にも残らない「ある日」の積み重ねで出来ている。 年間140試合のうち10年後も思い出せる試合は幾つあるだろうか。何の変哲もない日常はやがて記憶の彼方へと埋もれてゆく。 しかし、忘れ去られた「ある日」もたまに引っ張り出してみれば案外懐かしかったり、楽しめるものである。今回紹介するのは1994年5月のある日の出来事。1994年といえばとにかく「10.8」しか語られないだけに、シーズン序盤を振り返るのは新鮮なものである。 1994年5月28日vs横浜(ナゴヤ球場) 「野村は3流ですよ」。立浪和義は、口癖のように横浜・野村弘樹をこう評してきた。もちろんPL学園同期ならでは…
〇11-3ヤクルト(3回戦:明治神宮野球場) 興奮冷めやらぬ3連戦の3戦目、高橋宏斗は勝利のハイタッチでプロ初勝利の大事な記念球を受け取った直後、それを立浪監督に手渡しした。まだまだ寒い日の続く東京の夜、必要な時以外は常にウィンドブレーカーを着込んでいた指揮官がユニフォーム姿で記者陣の前に姿を表した。テレビ越しではあるが私はその姿を親戚のおじさんのように微笑ましく眺めていた。 監督が2000本安打を達成したとき、高橋宏斗はまだ生まれて11ヶ月。現役引退をした2009年時点でさえ、小学校1年生の7歳だった。いくら名古屋で生まれ育ったといえ監督の現役時代をはっきりとは覚えていないだろう。 ドラフト…
4発11得点!高橋宏斗プロ初勝利!一夜の夢のような強竜祭りは「未来」ではなく今だ!
〇11-3ヤクルト(3回戦:明治神宮野球場) 上弦の月が輝く夜空の下、神宮球場に集まった熱心なドラゴンズファンは夢のようなひと時に酔いしれた。 「高橋宏斗プロ初勝利」という、それだけでも一生忘れられないメモリアルゲームだというのに、打つわ打つわで4ホーマー11得点。将来のエースの門出を祝うかのように、どこからでも点が入る “強竜打線” が火を噴いた。 こうも見どころが多いと、どこから触れていいのかも分からない。贅沢な悩みだが、まず京田陽太の2連発は特筆すべきトピックスといえよう。何しろ昨日、打率0割台に突入し、当ブログでも「落ちるところまで落ちた。あとは這い上がるばかりだ」と祈るような気持ちで…
●1-2ヤクルト(2回戦:明治神宮野球場) 「4番の差で負けた」とは落合博満が残した名言の一つである。 1988年、中日対西武の日本シリーズ。星野監督率いるミラクル・ドラゴンズは1954年以来となる悲願の日本一に向けて、目下2連覇中の最強・ライオンズに挑戦。しかし結果は1勝4敗、「惨敗」ともいえる戦績であっけなく敗れ散ったのである。 このシリーズで注目されたのが、中日・落合と西武・清原和博という両4番の存在だった。三冠王3度を誇るオレ流と、プロ3年目の若き主砲。シーズンでは互いに31本塁打と互角の成績を残した両者だったが、シリーズでは明暗がくっきりと分かれた。単打のみで打点0に終わった落合に対…
今季神宮初戦、石川昂弥の劇弾で勝利! その裏でブルペンワークはどうだった?
〇7-6東京ヤクルト(1回戦:明治神宮野球場) 昨年の王者・ヤクルトとの初戦は競り勝ち、連勝を4に伸ばした。3回表までに5点リードを奪うも、山田哲人&村上宗隆による一発攻勢に遭い、7回終わって6-6の同点に。 今年も相手主砲の打棒に震える日々が始まったか……。そう思った矢先の8回、石川昂弥のプロ初アーチが飛び出した! 清水昇の直球をかち上げると、神宮球場の左中間最深部に着弾。スタンドのファンは当然ながら、当の石川本人も溢れる気持ちを抑えきれず、何度も拳を握り、ベンチ前では石垣雅海やビシエドと抱擁。まるで優勝したかのような騒ぎだった。 これが決勝点となり、試合はドラゴンズの勝利。最少リードをジャ…
〇8-7東京ヤクルト(明治神宮野球場) その時、時計は午後8時39分をさしていた。漆黒の空を舞う白球は、レフトスタンドに詰めかけた中日ファンの大歓声に吸い寄せられるように、観衆の中へと飛び込んでいった。打った本人は平静を装ってか、表情をかえずにダイアモンドを小走りに一周する。だが三塁ベースを回ったところで大西コーチと目が合うと、抑えていた感情があふれ出し、そのまま満面の笑みでホームイン。 ベンチも祝祭ムードに沸き立つ。ナイン総出でプロ初ホームランを打った若き大砲を出迎えると、最後尾で待っていた石垣雅海、そしてビシエドと感極まったように強く、熱く抱擁を交わした。 ファンも、ナインも、首脳陣も、み…
基本的に月曜日はゲームがない移動日。そこで「先週のナイスプレー!」という企画を行おうと思う。今回は開幕カードを含めた9試合を対象に、目立ったプレーには漏れてしまっているが個人的にナイス!と思われたワンプレーを投手部門、野手部門に分けて紹介したい。三日坊主ならず三週間坊主にならないように自分にもプレッシャーをかけていきたい。 投手部門:サヨナラ勝ちの機運を高めた田島の投球(3/30 DeNA戦) 高橋宏斗のプロ初先発の試合は中盤に橋本侑樹の乱調で一時は5点ビハインド一方的な試合になってしまった。昨年までであれば気落ちをしてしまい打線は為す術もなく黙り込んでしまうのが痛切だった。しかし、今年は違っ…
〇1-0広島(3回戦:バンテリンドーム) わずか一週間前に東京ドームの真ん中で呆然と立ちすくんでいた男が、今日はゲームセットまでマウンドに仁王立ち。「やられたらやり返す」という立浪監督の所信を実践するような柳裕也のみごとな完封劇で、政権初のスイープ勝ちを飾った。 決して楽な展開ではなかった。劇的なサヨナラ勝ちから一夜明け、試合前から勝利を半ば確信していたのは私だけではなかろう。相手先発は1戦目の大瀬良大地、2戦目の森下暢仁と比べれば格の落ちる遠藤淳志。対するこちらは昨季二冠の柳だから、マッチアップ的には優位とみて間違いない。また昨日の勢いが余熱のように残っていることからも、場合によっては序盤か…
これぞミラクル!3時間58分、「終わりよければすべて良し」を呼んだ大島洋平の三塁打
○4x-3広島(2回戦:バンテリンドーム) 「野球は最後までどうなるか分からない」。だからゲームセットの瞬間まで諦めずに応援しようぜ! と言われても、大半のドラゴンズファンにとってそんな格言は取るに足らない“たわ言” でしかない。ただし、逆の立場ならいくらだって味わってきた。 ここ数年、「最終回の大逆転サヨナラ劇」は決して手の届かない雲のような存在としてドラゴンズの頭上はるか遠くに漂い続けてきた。「あと一本」まで迫ることはあっても、最後はため息と共にゲームセットの声を聞く。それが弱い中日の日常だった。 だからこそ、何年かに一度だけ実現する夢のような逆転劇は、まるで古い集落の口頭伝承のようにその…
相手クローザーを崩しての逆転サヨナラ! でも忘れてならない笠原祥太郎の好投
○4x-3広島(2回戦:バンテリンドーム) いやはや、野球は最後まで何が起こるか分からないものだ。正直言うと、坂倉将吾の犠飛で勝ち越された瞬間、ドラゴンズの勝ちを九割方諦めていた。 なぜか。広島にはまだ栗林良吏が残っていた。昨季53登板中、失点を喫したのはわずか4試合。バンテリンドームナゴヤでは防御率0.00と、難攻不落のクローザーなのだ。 サヨナラヒットは4年ぶり 12回裏、やはり栗林がマウンドに上がった。そして、石垣雅海が初球で凡退。この時点で九分九厘負けを覚悟した。 だが、事態は風雲急を告げる。溝脇隼人がファウルで粘り、四球をもぎ取る。まだ場内は軽くざわつくだけで、誤差の範囲。と思ったら…
合言葉は「8回裏の大逆転」!ミラクル立浪竜、あとは4番のお目覚め待ち
○2-1広島(1回戦:バンテリンドーム) 1988年、ミラクル星野ドラゴンズの合言葉は「8回裏の大逆転」だった。どんな劣勢でも必ず追いつき、追い越すという執念。立浪ドラゴンズが、かつてのチームを彷彿させるような逆転劇でホーム初勝利を飾った。 今日もダメか--。1点リードで迎えた4回表に “魔” は潜んでいた。1死一、二塁から坂口将吾の力ない打球が大野雄大のグラブに収まった。おあえつらえ向きのゲッツコース。誰もがこぶしを握りかけた、その時だった。大野の二塁送球がわずかに逸れ、たちまち満塁の大ピンチを迎えたのである。 流れの悪い時というのは、何をやってもとことんうまく行かないものだ。続く會澤誠に痛…
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