道元禅師の『律』に対する考え方
この一節をご覧いただきたい。洗面は、西天竺国よりつたはれて、東震旦国に流布せり。諸部の律にあきらかなりといふとも、なほ仏祖の伝持これ正嫡なるべし。数百歳の仏仏祖祖おこなひきたれるのみにあらず、億千万劫の前後に流通せり。ただ垢膩をのぞくのみにあらず、仏祖の命脈なり。『正法眼蔵』「洗面」巻道元禅師が、単純な「テキスト至上主義」では無かったことを示す一文として理解されたい。これは、どういうことかというと、道元禅師が「洗面法」について言及する中で、この作法は西天竺国=インドから伝わって、東震旦国=中国に流布したのだが、作法の内容については、諸部(インド仏教の各部派)がまとめた『律』に明らかだけれども、ところが、実際には「仏祖の伝持」こそが正嫡であるという。この正嫡という言葉は、決して生やさしい意味では無く、正しく...道元禅師の『律』に対する考え方
2023/12/23 16:35