あわてて、ベジタリー人達が、木元大介を抱き起した。口から血が出ていて、意識もなさそうだった。ゆすってみたり話しかけても、ぐったりとしていた。数分経っても状況が変わらないので、ベジタリー人の1人が、「病院に連れて行きます。」と言い出した。流暢な日本語だった。木元大介を抱え、3人のベジタリー人が通訳所から出て行った。通訳所に残された、マック・タイソンともう1人のベジタリー人に、「地球で戦争が激化してき...
「以前にも話した通り、私達は3年ほど前に、この星に連れてこられ、あなた達と同じように、勝手に注射と点滴をうたれ、このような姿になりました。地球に戻りたくて戻りたくて、たまりませんでした。けれど、未だに地球に戻る方法が分かりません。今でも地球に戻りたい思いがあるのですが・・・」ここで、木元大介は一時、言葉を止め再び話し始めた。「あなた達には、言いずらいのですが・・・3年もいると、だんだん地球に戻りた...
木元大介は、苦笑いみたいな笑みを浮かべながら、「あなた達は、地球に戻りたいですか?」と質問してきた。「当たり前だろ、あんた達は戻りたくないのか?」と佐々木一朗が、怒気を込めて言い放った。その言葉を聞いた、木元大介達は、またしても逃げ出した。すると、竹井秀喜、佐々木一朗、中谷翔平が木元大介達を追いかけた。分かっていたことだが、辰徳は追いつけなかった。追いついた時には、木元大介と2人の地球人が竹井秀喜...
無事、通訳所とやらに着いた。すると通訳所の近くで、木元大介達が何やら話をしていた。また、逃げるかもしれないと思ったけど、今回は逃がさないぞ。ここに来る前に、竹井秀喜、佐々木一朗、中谷翔平とミーティングをした。ミーティングと言っても、ベジタリー人か木元大介を捕まえよう、最低でも、木元大介と一緒にいる地球人を1人でも捕まえようという、お粗末な内容で、手順や戦略などない。なんと言葉をかけて良いかのか分か...
次の日の朝、目が覚めると喉がやたら乾いたので、飛んで河原に水を飲みに行った。空を飛べるのは、なんて便利で爽快な気分なんだろう。河原に着くと、先客が3人いた。3人とも顔と名前は知ってる。竹井秀喜、佐々木一朗、中谷翔平。けど、あまり話したことはない。「今日は、いい天気ですね。」と3人に話かけた。「全くですね。今、魚の群れが泳いでいるのをみんなで、観察してるんですよ。」なんか、緑色の魚が多いですよね。ベ...
ここの通訳所には15人で来たはずなのに、人数が12人に減っていた。いなくなった3人は、マック・タイソンや木元大介達に連れ去られたか、自らついて行ったのかもしれない。ベジタリー人や木元大介達は、地球の戦力を奪うと同時に地球から連れてきた人達を改造しこの星の味方にしようとしているような気がしてきた。マック・タイソン達が去った場所を調べようという意見もあったが、気味が悪いので、嶋茂雄達の所へ戻ることにし...
30分くらいして、通訳所とやらに着いた。地球にある平屋と同じような建物だった。辰徳は少し拍子抜けした。もっと、奇妙な建物を想像していたからである。「皆さん少々、お待ちください。」と言い木元大介は、建物の中に入って行った。4、5分後、木元大介と1人の男が出てきた。「こちら、ベジタリー人のマック・タイソンさんです。」紹介されると、マック・タイソンは軽く会釈をした。辰徳はマック・タイソンの顔を見て、おか...
そして、うっすらと涙を浮かべ始めた。それを見て、嶋茂雄は気まずくなったらしい。暗い雰囲気が漂い始めた。空気を読むのが、苦手な辰徳にも、それが分かった。そんな中、小泉新一郎が口を開いた。「地球に対する思い、自分の今の境遇、これから先どうするのか、人それぞれ違うと思います。木元大介さん達は、先住民ベジタリーに会ったことあるんですよね?私もベジタリーに会うことは、できるのでしょうか?」「はい、できると思...
ある日、この星の情報や仲間を探していると、20人くらいの集団に出会った。すると、そのうちの一人が大声で話しかけてきた。「私は、木元大介と申します。3年くらい前に、地球からこの星に連れてこられました。皆様は、この星に連れてこられて、どのくらいですか?」「私達は、全員1か月も経ってません。だから、この星の情報や仲間を探しているところです。もう何が何だか分からなくて。だから、いろいろお聞きしたいことがあ...
日星という惑星にきて、1週間くらい経った頃、辰徳も背中に生えてる羽みたいな物を羽ばたかせ空を飛べるようになった。小泉新一郎の言ってたとおりだった。地球にいる頃、鳥や昆虫のように自分で空を自由に飛べたらいいなと思っていたので、嬉しかった。いい気分だった。それと、貧しくて食料に困ることの多かった辰徳には、太陽、水、土、二酸化炭素があれば食事を摂らなくても、生きていけるというのも嬉しかった。水分が欲しく...
この星のことが知りたいのは、こっちのほうだよ。と思いながら、辰徳は挨拶した。「私は、清原辰徳と申します。あなたが、おっしゃる通り、この星に来たというより、連れ去られたばかりです。黒田慎之助さんも、自分の意志ではなくこの星に連れ去られたのですか?」「はい、そうです。気付いたら体を縛られていて、点滴と注射をうたれ、このような姿になりました。」「先程、小泉新一郎さんという方が、おっしゃってたのですが、こ...
小泉新一郎を中心に、みんな、もっと色々話したそうだったが、しゃべり過ぎで、口が、疲れ、眠くなった人も多くなってきたので、お開きになった。部屋に帰り辰徳は思った。さっき、小泉新一郎が語っていた言葉が本当なら、ここは地球より良い星なのではないかと。これは人によって差があることだと思うけど、辰徳は、地球でいい生活をしていたわけではない。楽しいこともあったが、嫌なことのほう多かった。貧困、戦争、災害、差別...
外へ出ると、雲一つない快晴だった。太陽の光を浴びながら、辰徳は思った。今まで浴びてきた太陽の光と何かが違う。光を浴びてると、体中からエネルギーが湧いてくる。しばらく歩いてると、小泉新一郎、嶋茂雄達が岩に座りながら、話をしていた。話しかけづらかったが、「清原辰徳と申します。 この前は、暴れたり暴言吐いたりして、 すいませんでした。」と詫びた。すると、嶋茂雄が、「そりゃ、誰だって目が覚めて、ベッドに縛...
心が落ち着かないので、考え事をしながら、ウロウロしていると、テーブルの上に本が数冊置いてあることに気付いた。さっそく、本を手に取り読み始めた。あまりの字の汚さに驚いた。読むのに、かなり苦労した。この本の内容によると、小泉新一郎が言ってたとおり、ここは「日星」という惑星らしい。そして、肌が緑色になっている理由や羽が生えてる理由らしきことが書かれていた。どうやら、点滴をしたり、注射をしたのは、植物の光...
点滴の中身がなくなった。自分の目で見える範囲の皮膚は、すべて緑色になっていた。背中や服の下の皮膚も緑色に、なっているに違いない。溜息をついた。しばらくすると、護衛隊らしき者ども10名くらいが部屋にやってきた。その姿を見ると、辰徳は、どなり声をあげたが、言葉の途中で、口を猿ぐつわで結ばれた。そのうちの一人が辰徳の皮膚の色を見たり、背中に生えた羽らしきものを触りながら、「もう点滴、外しても大丈夫でしょ...
「はい、嶋です。」「聞きたいことがある。 早く来てくれ。」「はい、伺います。「しばらくお待ちください。」しばらく、じゃねーよ早く来いよ。と思いながら、点滴を外そうともがいていた。やがて、部屋のドアが開き、嶋茂雄と同じように緑色の肌をし、鳥の羽らしきものが生えてる男が数人現れた。辰徳は、喚いた。「なんだ、貴様らは?この点滴みたいなのと、 鳥の羽みたいな物は、なんなんだ? ここは、どこなんだ?あ?」「...
辰徳は、自分を落ち着かせようと、考え事をしながら、深呼吸を何度も繰り返した。20分ぐらいすると、少しは落ち着いてきた。上半身の鎖と、さるぐつわを外されたので、ある程度、上半身は自由になっていることに気づいた。気づくの遅すぎと自分で思ったが、それだけ頭が混乱してたのだろう。腕に生えた鳥の羽みたいな物を、軽く引っ張ってみたが、取れないので、思いっきり引っ張ってみた。すると、鳥の羽みたいな物は腕から取れ...
ここに監禁されてから、どれくらい経ったのだろう。初めて部屋のドアが開いた。そして、何者かが、医療器具らしき物が乗っている処置台を押しながら、部屋の中に入ってきた。その侵入者の姿を見て、辰徳は仰天した。人間の姿をしているが、皮膚が緑色で、背中に鳥の羽のようなものが生えていたからである。侵入者は辰徳に注射を打ち、緑色の液体が入った点滴を刺した。そして体を縛っている鎖の一部を解き、さるぐつわを外し始めな...
日本の片隅に、清原辰徳という男が住んでいる。父親が、プロ野球好きだったので、このような名前になったらしい。別に野球が、上手いわけでもないし、他の才能もなく、平凡な生活を送っていた。ところが、ある日、目が覚めると、体がベッドに鎖やロープで縛られ、口も塞がれていた。しかも、自分のベッドでも、家でもなかった。寒気がし、鳥肌が立ってきた。錯覚か、幻覚か、妄想か?恐怖心で、いっぱいだったが、眠気には勝てず寝...
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