「みの太家の魔法にかかった夜」

ある日の夕暮れ、金町に事務所を構えるサブローとミツルは、ムーニンの自宅がある柴又へと自転車を走らせていた。 目的は一つ、ムーニンに貸した5,000円の取り立てだ。 「5,000円なんて大した額じゃないけど、返してもらわないと帳簿が合わないしな」とサブローが言うと、ミツルが「まあ、でもムーニンって奴、ちょっと面白いキャラだよな」と笑いながら答えた。 柴又の静かな住宅街にあるムーニンの家の前に着き、サブローがインターホンを押すと、奥からムーニンがのんびりした顔で出てきた。 「ああ、サブローさんとミツルさん、どうもなんだムー。今日はなんのご用なんだムー？」 サブローは腕を組み、「いや、

「突然現れた客、ムーニン」

金曜日の夜、葛飾区鎌倉に佇む居酒屋「みの太家」には、いつもどおり賑やかな笑い声が響いていた。 店主のみのるさんは、カウンター越しにビールを注ぎ、はるとくんは注文を取ってテーブルを行ったり来たりしている。 そんな中、ふいに入口の暖簾がかき分けられ、一人の男が姿を現した。 「いらっしゃいませ！」はるとくんが明るく声をかけると、男は少し照れくさそうに「ど、どうも…なんだムー」とつぶやいた。 その男、ムーニンは初来店の客だ。 44歳の独身で、平日は葛飾の柴又で暮らし、週末には栃木の実家に帰って米作りをしているという変わり者。 着ている作業着には、泥汚れがついていて、田んぼの香りが漂うようだっ

葛飾区鎌倉・新柴又 居酒屋「みの太家」物語 第0話

東京都葛飾区鎌倉に実在する居酒屋「みの太家」は、北総鉄道新柴又駅から徒歩約3分の場所に位置し、カウンター6席とテーブル2卓、計12席のこぢんまりとした空間で、木の温もりが感じられるアットホームな雰囲気が魅力です。 店主のみのるさんは、添加物に頼らない安心・安全な家庭料理を提供することを心がけており、定番の焼き鳥や煮物など、真心込めた料理がリーズナブルな価格で楽しめます。ドリンクメニューも充実しており、ビールやサワー、ハイボールなどの定番に加え、不定期で入荷する日本酒や焼酎、ウイスキーなども取り揃えています。 また、店内にはカラオケ設備もあり、食事とともに歌を楽しむことができます。み