chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
通りすがりの〇〇なホラーブログ https://kowai.tourisugari.jp/

完全オリジナルの怪談のブログとなります。 怪談と名を打ってますが、不思議な話なども掲載しております。 なお、当ブログの掲載内容には著作権が発生しますので、無断での転載・引用・複製は禁止とさせていただきます。

通りすがり
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2024/06/26

arrow_drop_down
  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十九 〜月光~

    怪談 ~月光~ 男は一人山奥にいた。今日は満月のはずだが、生憎空は厚い雲で覆われ一筋の月の光も見られない。足場の悪い中、男は必死にスコップを使い穴を掘り続けた。やがてポツポツと雨が降り始めたと思ったら、あっという間に大雨となった。ずぶ濡れになりながらも、やっと穴を掘り終えると、近くに止めてあった車のトランクを開いた。中には若い女性の遺体が体を丸めるように収まっている。トランクから女性の遺体を穴の中に移し土の上に寝かせると、さきほど穴を掘った時に出た土を、穴の中の女性を覆うように戻していく。全ての土を穴に戻し終えた男は、スコップを放り出すと力尽きたように倒れ込んだ。荒く息を吐き出しながら、他とは…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十八 〜時をかける~

    怪談 ~時をかける~ 幼い頃、陸生の母はある日突然姿を消した。誰にも理由は分からず、警察にも捜索願を出したが、母が見つかることはなかった。 時は流れ、陸生は40代となっていた。ある日、ふらりと入った喫茶店で店員を見て驚愕した。その女性は失踪した母に瓜二つだったのだ。「母さん…」思わず呟いた陸生の声に、女性が顔を上げた。「陸生なの…」女性は、陸生の名前を呼んだ。間違いなく陸生の母だった。詳しく話を聞くと、母はタイムスリップによって未来の世界へと来ていた。母の中では陸生の前から姿を消してから、まだ2年ほどしか経っていないと言った。そのため、今では陸生の方が母親よりも年上になっていた。普通ならとても…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十七 〜無限~

    怪談 ~無限~ 真夏の暑い公園、蝉の鳴き声だけが異様に響き渡る。ベンチに座る男、健太の額には脂汗が滲んでいた。その目の前には、異様な二人の姿があった。一見親子のようにも見えるその二人は髪の長い女と少年。しかし、その女は真夏だというのに黒いコートを纏い、顔色は青白く、生気を感じさせない。少年の瞳は虚ろで、まるで人形のようだった。そのあまりにも異質な雰囲気に、健太は言いようのない不安を感じていた。女は健太を見据え、冷たい声で語り始めた。「あなたが今進んでいる道は、血塗られた不幸な未来へと繋がる道。あなたにとっても、彼女にとっても。」「はっ、なんだいきなり。どういうことだ。」健太は、女の言葉に戸惑い…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十六 〜彼~

    怪談 ~彼~ 私は、この山奥の村でたった一人の生徒として、小学校に通っていた。四年生になった時から、私は一人だった。寂しい?最初はそう思っていた。でも、すぐに慣れた。だって、私には『彼』がいたから。『彼』は、私にしか見えない友達。いつも一緒に遊んでくれた。授業中も、休み時間も、放課後も。他の人には見えないけれど、私には確かに『彼』がいた。でも、周囲の人たちはいつも一人の私のことを気にかけていた。とくに先生はいつも心配そうな顔で私を見ていた。「有里ちゃん、学校で一人で遊ぶのもいいけど、たまには外に出て遊んだら」と。でも、私には『彼』がいれば十分だった。卒業の日が近づき、小学校が閉鎖されることが決…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十五 〜事故物件~

    怪談 ~事故物件~ 街中にある古びた一軒の不動産屋。その異様な雰囲気に惹きつけられ若い男は入口のガラスの扉を開けた。店の中にいたのは奥の事務机に座っている痩せこけた店長だけだった。「いらっしゃいませ」嗄れた声が、人気のない店内に響く。若い男は席に座ると単刀直入に告げた。「事故物件を借りたいんです」店長の目は、ギョロリと大きく見開かれた。「お断りだね。事故物件なんかに積極的に住みたがるようなのに関わると碌なことにならない。帰ってくれ」そう言い残し、店長は奥の部屋へと消えてしまった。若い男は店を出て、人気のない裏道を歩いていた。そんな若い男の背後から私は声をかけた。若い男が振り返り私を見た。「事故…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十四 〜悔恨~

    怪談 ~悔恨~ カウンター席しかないバーで、オカルト好きの常連客3人がアポカリプティックサウンドの真偽について議論していたが、議論が尽きたのか、次第に口数が少なくなってきた。そんな時、常連客の一人、40代くらいの身なりの良いスーツ姿で、皆から「先生」と呼ばれる男が、店の女性マスターに「今日は元気がないようですが、大丈夫ですか」と訊いた。するとマスターは、今までの人生での後悔が唐突に思い出されて苦しくなり、昨夜はあまり眠れなかったという。今の私は幸せだと思っているはずなのに、なぜなんだろうと途方に暮れたように呟いた。「それは誰にでもあることです。『後悔先に立たず』とも言いますし、あまり気にしない…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十三 〜応報~

    怪談 ~応報~ 周囲を見渡すと、無数の同じ顔がひしめき合い、蠢いている。奴らは皆、無表情で目的も分からず、ただひたすらに歩き続けている。その異様な光景に俺は言いようのない嫌悪感を覚えた。「俺は違う。お前らとは違うんだ!」心の奥底から叫びが込み上げるが、声にならない。俺はこの異質な群れに紛れ込んだ異物。奴らとは違う存在であることを、必死に主張したかった。 目の前に男が座っている。その顔は、無機質なほどに整っており、感情が読み取れない。男の瞳は、底なしの闇のように深く、俺をじっと見つめている。「なぜ、こんなことをしたんだ」男の声は静かで冷たい。まるで氷の刃が肌を滑るようなぞっとする感覚を受ける。「…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十二 〜鏡像~

    怪談 ~鏡像~ 夜中、保晴は突然の悪寒に襲われ、目を覚ました。普段は一度眠ると朝まで起きることなどないのに、今夜は異様な気配がまとわりつき、眠気は完全に消え失せていた。喉の渇きを覚え、保晴は重い体を引きずって台所へと向かった。冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出しコップに注ぎ込む。水を飲む音だけが、静まり返った部屋に不気味に響き渡る。「なにかが変だ」漠然とした不安が心の中で膨らんでいく。寝室に戻る前に保晴はトイレに立ち寄った。そして何気なく鏡を見た瞬間に背筋が凍り付いた。鏡に自分の姿が映っていない。代わりに背後の壁だけが虚ろに広がっている。「まさか…」保晴が恐怖に震えながら鏡に手を伸ばし…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十一 〜シミ~

    怪談 ~シミ~ 大和の働く会社は、築40年を超える古い雑居ビルの中にあった。 時代に取り残されたようなその建物は、昼なお薄暗く、淀んだ空気が漂っている。 会社の中もまた、外観に違わず陰鬱な雰囲気を纏っていた。大和は、そんな会社の中でも特に嫌悪感を抱く場所があった。 それは、薄汚れた蛍光灯が寂しく光る男子トイレだ。 個室が一つと小便器が二つだけの狭い空間は、清掃会社の努力も虚しく、常に湿気と尿の匂いが入り混じった不快な空気に満ちていた。大和がトイレを嫌う理由は、入ってすぐ左手にある古びた洗面台に設置された鏡にあった。 曇った鏡には、やつれた自分の姿と、背後のコンクリート壁が映り込む。 問題は、そ…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之五十 〜予定外~

    怪談 ~予定外~ どこだかわからない、深い霧に包まれた場所。足元はぬかるみ、冷たい空気が肌を刺す。若い男は、自分がなぜここにいるのか、全く理解できなかった。最後に覚えているのは、橋の上から川の流れを見下ろしていた時の目も眩むような景色だけだ。「勝手に死なれたら困るな」低い、それでいてよく響く声が、霧の中から現れた黒いコートの男によって放たれた。男の顔は影になって見えないが、その声には有無を言わせぬ威圧感があった。「別に死にたくて死んだんじゃない」若い男は、苛立ちを隠せずに答えた。そこでハッとした顔になった。橋から川に落ちて死んだことを思い出した。「だって川に身投げしただろう」「違う、橋から川の…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十九 〜なんで~

    怪談 ~なんで~ 最近、4歳になった娘がいろんなことに興味を持つようになった。「あれ、なに?」「なんで?」が口癖のように出てくる。そんな子供の成長を母親は微笑ましく思っていた。 ある日、娘と二人で電車に乗った時、後続の急行の通過を待つため駅に止まる電車内で、窓から外を眺めていた娘が母親に訊いた。「なんであの人はあそこにいるの」そう言って指をさした先は反対側ホームの下あたりの線路上だった。母親は困惑の表情を浮かべて言った。「えっと...誰もいないけど...」先ほどと同じ所を指さして再び娘は言った。「えー、いるよ、おんなのひと。でもへんなの、そのおんなのひと、あしがないの」それを聞いて思わず母親は…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十八 〜願い~

    怪談 ~願い~ 陽の傾きかけたグラウンドに、広夢のバットが乾いた音を響かせた。土埃を上げながら白球が弧を描き、フェンスを越えていく。それを見つめる広夢の瞳は、ダイヤモンドよりも輝いていた。 シングルマザーの貴子にとって、小学四年生の息子広夢はかけがえのない宝物だった。しかし仕事に追われる日々のなかで、広夢と向き合う時間は決して十分とは言えなかった。広夢が少年野球チームに入ってからというもの、貴子は息子の成長を遠くから見守るばかり。そんなある日、貴子は偶然、野球チームの監督から声をかけられた。「広夢くん、最近めきめきと上達していますよ」驚いた貴子が理由を尋ねると、広夢は誰かと特訓をしているらしい…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十七 〜トレッキング~

    怪談 ~トレッキング~ トレッキングが趣味の美雪は、その日も週末の休みを利用して、お気に入りの山へ向かった。いつもは仲間と一緒だが、今回は初めて一人で来ていた。紅葉が終わり、冬の足音が聞こえ始めた山は、昼なお薄暗く、冷たい空気が肌を刺す。午前10時、美雪は登山道に入った。午後1時には山頂に着く予定だった。山頂までの道則は至って順調だった。しかし下山を始めた頃から、美雪は背後からの視線を感じ始めた。誰かが常に一定の間隔で自分を見ている、そう感じた。周囲を見回しても、木々が視界を遮り誰の姿も見つけられない。気のせいだと思おうとしたが、その視線は次第に強まっていくように感じられた。嫌悪感と焦燥感に駆…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十六 〜イヤホン~

    怪談 ~イヤホン~ 車窓から流れていく景色を見るでもなく眺めていた。いつもと変わらぬ風景。清太郎は通勤時、いつもスマホで音楽を聴いている。ワイヤレスイヤホンが耳にぴったりと収まり、外界の音を遮断する。自宅から最寄りの駅まではバス、そこから電車に乗り換えて会社へ。入社して数ヶ月、そんな日常が続いていた。ある日、いつものようにバスに揺られていると、イヤホンから微かな雑音が聞こえることに気づいた。最初は気のせいかと思ったが、その雑音は次第に大きくなる。ザッ、ザッ、ザッ……。耳障りな音が音楽に混じり、不快感を覚える。いつからだろうか、バスに乗っている時だけ、この雑音が聞こえる。電車の中では一度もなかっ…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十五 ~廃墟巡り~

    怪談 ~廃墟巡り〜 大学生の智治は、大学の友人グループ、男3人、女3人の計6人で廃墟巡りをするのが趣味だった。彼らはスリルと好奇心を求めて、各地の廃墟を訪れていた。ある日、智治たちはいつものように廃墟巡りを計画した。目的地は、彼らが住む街から車で2時間ほどの距離にある山奥の廃村だった。そこはかつて数十軒の家が立ち並ぶ村だったが、過疎化が進み、今では誰も住んでいない。村全体が廃墟と化しており、その異様な雰囲気が彼らを惹きつけた。昼過ぎに車で出発したが、道に迷ったり、途中で休憩を挟んだりしているうちに、予定よりも大幅に時間が過ぎてしまった。廃村に到着したときには、すでに日は傾き始めていた。廃墟の中…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十四 ~袋~

    怪談 ~袋〜 隆一は10年前に父親を病気で亡くし、今は自宅である一軒家で母親と二人で住んでいる。だが母親は健康診断で癌が見つかり、今はその治療のため入院しているため、家には隆一だけしかいなかった。ある日、仕事を終えた隆一は最寄りの駅から自宅へと向かって歩いていた。時刻は19時を少しだけ過ぎたあたりで、周囲は夜の帳が下りつつあった。自宅は片側一車線のそれほど広くはない道路沿いにあった。その道は大通りへの抜け道となるため交通量も多く、自宅前の歩道と車道の間には鉄製の白いガードレールが設置されていた。自宅が近づいてきたときに、自宅前のガードレールに、何かがぶら下がっているのことに気がついた。その日の…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、通りすがりさんをフォローしませんか?

ハンドル名
通りすがりさん
ブログタイトル
通りすがりの〇〇なホラーブログ
フォロー
通りすがりの〇〇なホラーブログ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用