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日々これ好日 https://shirane3193.hatenablog.com/

57歳で早期退職。再就職研修中に脳腫瘍・悪性リンパ腫に罹患。治療終了して自分を取り囲む総てのものの見方が変わっていた。普通の日々の中に喜びがある。スローでストレスのない生活をしていこう、と考えている。そんな日々で思う事を書いています。

杜幸
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2023/03/09

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  • 喜びと期待を乗せて

    一番列車。その日の始発列車だろうが新たに開通した路線で初めて運行される列車でもあるだろう。今時新規に開通する鉄道路線などあるのだろうか。都心の地下鉄か、全国へ伸びていく新幹線網くらいだろう。 小学生の頃、横浜駅あたりまで行くと駅の手前で国鉄と京浜急行を跨いで国道1号線と15号線を結んでいた陸橋・青木橋を往く路面電車をよく覚えている。中学高校と転居して住んだ広島は路面電車王国で、引退した地方の路面電車の車両が集まっていた。京都市電も北九州市電、大阪市電もあり路面電車の博物館だった。一時期両親は転勤で富山に住んでいたがそこにも路面電車が走っていた。東京都内の都電や玉川電車、そして横浜を初めとする大…

  • 門下生

    毎月通うクリニック、予定の採血を終えた。これで来週にその結果がわかる。可溶性インターロイキン2R。悪性リンパ腫のマーカーだ。敷居値内であること、値に大きな動きがないことを見ている。この二年間、値は安定してくれていた。少なくともあと三年。大人しくしてほしい。毎月審判を仰ぐ気持ちだ。 会計を待っていると隣の席の男性に目がいった。自分より十歳、いやもう少し年上だろう。彼はある紙を手にしていた。自分も何度見たがわからぬ画像を印刷したものだった。 脳のCT画像だった。それを彼は手にとっては幾度も天井を見上げていた。思わず話しかけてしまった。「自分もそれを手にして天を仰ぎましたよ」と。悪性リンパ腫で脳腫瘍…

  • 夏のウグイス

    六十歳。子供の頃は大人の年齢など気にしなかった。ただ当時は六十歳といえばおじいちゃんおばあちゃん、「老人」という認識だった。「老」という漢字には何かポジティブな使われ方があるだろうか。広辞苑を広げた。音読みと訓読みでざあっと探してみた。「おい」は見開き2ページに渡って、「ろう」に至っては見開き4ページに及び様々な「老」のついた言葉が書かれていた。ほぼネガティブな言葉だった。よくぞここまで老化にまつわる言葉があるものだ、何か恨みでもあるのか、と僕は日本語学者に腹がたった。老練、老熟、少しは前向きかもしれないが、老獪に至ってはずるがしこさがある。勘弁してほしい。 一桁代は心臓の動くままに任せていた…

  • 休日列車「楽しみの国」行き

    宇都宮の駅に居た。夏も終わりで夕暮れは決して暑くない。そんな中、同駅始発の列車を待っていた。日光の2400m級の山に一泊二日かけてでじっくり登った自分は疲労感に包まれながらも無事に終えた山の余韻と満足感、下山後の立ち寄り湯、それに駅前で手早く食べた宇都宮餃子とビールで良い気持ちだった。 駅のコンコースには馴染みの風景があった。今日の自分はヘヴィな皮の登山靴に大型のザックを背負っているが、前回もその前もこの駅に来たときには目の前の彼らと同じで、輪行袋を担いでいたのだった。 輪行袋をきれいにパッキングした四人組のサイクリストだった。女性を含む二人は、群馬の沼田から金精峠をこえて戦場ヶ原に出ていろは…

  • 履きつぶしましたね

    靴もいい加減歩くとソールが減ってくる。自分はどうも右足外側踵側が早く減る。歩く癖だろう。ビジネスシューズでも良いものだったら踵部分の張替が出来る。スニーカーは履きつぶしたら終わりだ。ナイロン軽登山靴などはペロリとソールがはがれる。登山の最中にソールが剝がれて大慌て。かつて三度か四度あった。いずれも日帰りの山だった。手持ちの細引きをぐるぐる巻いてしのいだ。突然来るから困りものだった。ペラペラのソール部分の張替は出来そうで出来ない。メーカーによって多種多様なデザインだった。一方ノルウェイジャン製法やステッチダウン製法でつくられた手作りの皮の登山靴はソールは何度も張替えが効く。ビブラムソールの形はあ…

  • 図書の旅30 赤頭巾ちゃん気をつけて (庄司薫)

    ・赤頭巾ちゃん気をつけて 庄司薫 新潮社 1969年 青春時代とは一体何歳頃をさすのだろう。部活に燃える中学生も、受験で忙しい高校生も。自我を見つめて何かを見出していく大学生も。どれもが青春時代だと言えると思う。スポーツの苦手な自分は中学時代は部活もせずに。ただテニス部の女子を眩しい目で見ていただけだった。高校時代は人並みに受験勉強だった。大学時代はようやく自分とは何だろう、と考え始めたと思う。自らの容姿も気になり多感な日々だった。しかしおしなべてノンポリな学生だった。 青春時代の完結とは何をもってそう言えるのだろう。大切な人、愛する人が出来る事だろうか。少なくとも自分の中ではそうだった。 「…

  • 伸ばしてしまったゴム

    姉が居た影響なのか、幼い頃にスカートに憧れた。なぜ僕は半ズボンで姉はスカートなのだろう、と思ったがスカートはひらひらとして綺麗に思えた。 まだよく覚えている。幼稚園の頃、姉のスカートを履いて六畳間をスキップして喜んだことを。余りに履きたがったのだろう、親もそれを許してくれた。とても嬉しくて腰に手を当ててルンルンとスキップしたのだった。 成長するにつれスカートは別の意味を持つようになった。異性そのものだった。憧れの対象になった。しかし今になればまた思う。妊娠出産という機能が女性にはある。スカートは下腹部を冷やすまいか、それはその機能に悪い影響ではないかと。スカートはどんな文化背景で履くようになっ…

  • 二つのカレー

    「今夜はカレーよ」。「リンゴと蜂蜜、トローリ溶けてる」 カレーを巡ってのテレビコマーシャルは多くが記憶に残る。カレーはラーメンと並び日本人の国民食と言われている。成人してからは何故か自分は余りカレーが好きではなかった。あれ一皿にせいぜいサラダで、はい夕食です、となる呆気なさ、それに数分で食べきってしまう手短さ。夕食とは楽しいもので時間をかけたい、そんな思いと対極に位置しているように感じたのだろう。やはり夕食は一汁二菜は欲しいし、食べながら食卓を囲んでの会話をしたい所だった。 そんな自分も、出張先の英国で食べたインド料理は好きになった。あっさり食べ終わってしまうカレーライスとは違い。サイドメニュ…

  • 美しい所作

    映画「男はつらいよ」の大ファンだ。今の世の人にはただの短気で自分勝手、パワハラ・モラハラ気質満点な暴力的なクソオヤジとしか思えない主人公の寅さんだが、1969年の初スクリーン、それから1995年まで彼が年2回映画館に登場し毎回多くの観客を動員し皆が涙したというのだから、主人公の寅さんにはそれらを越えた魅力があるのだった。ペーソス溢れる心優しさ、純情さは粗野で直情径行な彼の裏返しだった。そんな寅さんを支える妹のさくらやおじちゃん・おばちゃん、妹婿の博のとらやの一家、印刷工場のタコ社長、帝釈様の御前様と寺男、といった魅力あふれる人立ちが繰り広げる人情喜劇は全く当時の日本人を魅了した。毎回異なるマド…

  • ゴンズクとパトス

    父親が世を去りひと月以上経過した。口座の凍結、年金の停止、遺産確認、墓地の手配、四十九日の準備…。山のようにやることがあった。現役の頃のような集中力、事務処理能力、そして持続力も無くなった自分にはすべてが億劫だった。沢山溜まった書類を前にため息が出て、TO-DOリストを作る気すらわかなかった。雪だるまのようにやることが膨らんでいった。 加齢なのか。脳腫瘍摘出の影響なのか、血液ガンの化学治療の影響なのか。ここ一年続いている母親の介護手続きの疲れか、父の葬儀の関連か。忙しさの中に失なわれている自分を取り戻そうと、やや身体に鞭打って登山やサイクリングを続けるからか。手術・治療終了して二年以上経っても…

  • 水ヨーヨー

    子供の使うビニールのプールに水を張り、ゴムの風船を浮かべる。その口の輪ゴムを竹ひごなどで引っかける。上手く釣れるだろうか。そんな遊びをしたのは子供の頃だった。水ヨーヨー釣りだった。 そんな水ヨーヨーが車のリアシートにポツンと忘れされれていた。 その日、母は数日間に限って宿泊できる施設での滞在を終えて、長期間の入所が可能な新しい施設へ移動するのだった。すっかり足腰の弱くなった母は車いすだが歩行には人の手が必要だった。それに加え父の逝去と言う出来事で気落ちしたのかここ数日見る間に小さくなってしまった。元気になるまでは、少なくとも暑い夏のうちは施設で暮らしてもらいたい。そう思い新しい施設に向かうのだ…

  • 表現者礼賛

    登山と山頂でのアマチュア無線運用。山に登れば電波が良く飛び下界の無線局と交信が多くできる。無線機を持っていれば緊急時に携帯電話よりも確実に誰かに連絡が取れる。SOSは誰かが聞いている。仲間内でもはぐれない。そんな二点から登山とアマチュア無線は親和性が高い。登山者が安全のためにアマチュア無線機を持つのか、アマチュア無線局が無線をより楽しむために登山をするのか。どちらでもよいが、そんな趣味を持っているといずれ同好の士が増えてくる。するとそれらが仲間となり果ては同人誌を作ってしまう。会員数100は越えよう「山岳移動通信・山と無線」誌はそんな仲間たちの会報だ。 初号は1986年だった。自分は2003年…

  • 老いと円熟

    年齢を経ると様々な運動機能が衰えてくる。晩年の父は歩けなくなり最後は老人施設で人生を閉じた。ずっと寝ているか車いすだった。歩行機能は失いたくないが老化には抗えない。少しでも機能を長く維持するためには普段から鍛錬が必要なのだろう。鍛錬と書くと辛いイメージがある。散歩、階段昇降も良いとされる。 輝く技巧を持った音楽プレイヤーが居たとする。年老いたら彼らの技量は衰えているだろうか? ロックの世界で天衣無縫な技巧と明るいキャラクターで新しい時代のギターヒーローとして人気者になったエドワード・ヴァン・ヘイレン。決して好みの音楽ではなかったが高校生の頃初めて聞いた時には驚いた。彼が造り上げたタッピング奏法…

  • 老いと円熟

    年齢を経ると様々な運動機能が衰えてくる。晩年の父は歩けなくなり最後は老人施設で人生を閉じた。ずっと寝ているか車いすだった。歩行機能は失いたくないが老化には抗えない。少しでも機能を長く維持するためには普段から鍛錬が必要なのだろう。鍛錬と書くと辛いイメージがある。歩行や階段昇降だろうか。いや、脳の鍛錬も必要だろう。 輝く技巧を持った音楽プレイヤーが居たとする。年老いたら彼らの技量は衰えているだろうか? ロックの世界で天衣無縫な技巧と明るいキャラクターで新時代のギターヒーローとして人気者になったエドワード・ヴァン・ヘイレン。決して好みの音楽ではなかったが高校生の頃初めて聞いた時には驚いた。彼が世に広…

  • カフェの彼女

    久しぶりに立寄った新幹線の駅だった。西の街へ向かうためだった。待合室に入ると淹れたてのコーヒーの匂いに包まれた。懐かしい時を思い出し思わず、顔を探した。 朝一杯のコーヒーは体を目覚めさせてくれるだろう。イタリアンローストのカプチーノよりも薄めのアメリカンコーヒーが朝には向いていると自分は思う。あまり強いコーヒーは少し胸焼けを起こしかねない。お湯のようなアメリカンは目も覚ましてくれるし胃にも優しかった。しかしたいていギリギリまで寝ているのでコーヒーなどそんな優雅な時間はなかった。 朝のコーヒーにありつけなかったのは他に理由があった。心の病だった。部門をまとめるべき自分はとても上手くやっているとは…

  • 終着駅は始発駅

    「終着駅は始発駅」、書き上げたこの1600字の原稿にはその題名が相応しいと思った。もしかしてそんな題名の本があったはずだと探したら鉄道作家・エッセイストの宮脇俊三さんの書だった。読んだ記憶もあるがなにせ彼の書は大変多く今は数冊を手元に残すだけだった。この本も気に入っていたが何故手放したのかは覚えていない。宮脇氏の秀作の題を頂戴するつもりもないが、やはり終着駅は始発駅なのでお借りしよう。 会社時代の一年先輩から「会おう。会社も辞めたから昼呑みしよう」という連絡を頂いた。アウトドア好きな彼は自分の一年先輩で、入社してからずっとバイクキャンプツーリング、登山、サイクリングキャンプ、といろいろ遊ばせて…

  • 海岸から登る山 - 岩戸山・熱海市

    海岸からそのまま登山し始める山。ありそうで浮かばない。小田原と熱海の間にあった。湯河原駅から歩き相模湾の国道に登山口がある。しばらくはみかん農園の簡易舗装の道。そして舗装が途切れるととんでもない藪になった。舗装路の上部に居た農夫さんが言っていた。「最近この道通る人いないからね、どうなってるかなぁ」と。 案の定だった。地形図でルートファインディングするのはスマホの地図ソフトのお陰で容易になった。現在地が地形図の上にプロットされるのだから。しかし実際に伸び放題の藪を前にするとミスコースではないと知っても飛び込むには勇気が必要だった。数年来の台風の災禍も片付いておらずにそこに夏草が茂っていた。低山な…

  • スパゲティ新作?

    「スパゲティ・ジアスターゼ」 そう書くと何やら途端に本格的な料理な気がする。リストランテは無理でもトラットリアやオステリアあたりのメニューにあってもおかしくなさそうだ。ニヤニヤと笑いながら、ありあわせの材料で作った昼食にそう名付けようと考えた。 夕立の多い季節、パートの勤務先から帰る途上の妻は通り雨に遭い上着が濡れたという。湿気も多く体は湿り余り食欲がないようだった。なにかあっさりした昼食を昼過ぎに帰ってくる彼女のために作ろうと考えた。冷蔵庫にはピーマンと小松菜、エリンギそして大根があった。大根おろしなら豆腐にでも載せてこの季節は美味しいだろう。しかし力が出そうにない。ふと頭に明かりが灯り、気…

  • お好み焼きイノベーション

    革新、イノベーション。それはいつも会社人生では求められできた。イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」がある。前者は既存市場での顧客の満足度を上げていく取り組み。後者は既成概念にとらわれず新発想を取り入れ新しい製品やサービスを創造する取り組み。そんなふうに学んだ。 前者は既存製品を改良しユーザにとって使いやすくすることなどが代表例とされていた。日本企業の得意とするところだ。後者にはローエンドモデルといいサービスを新しい価値と共に安価で提供しビジネスモデルを改めるものがある。また新市場創造モデルもある。スマートフォンの出現によってデジタルカメラや携帯電話、ミュージック…

  • 二時間の友人

    中国地方のある街から新幹線に乗った。夏の西日が遠慮なくホームに差し込んで目がくらみそうだった。ホームに滑り込んだ車両の中は冷房が効いておりようやく一息ついた。少し遅れて大きな荷物を持った青年が乗ってきた。西洋人だった。彼は偶然にも自分の隣席だった。 コレイイデスカ と語りかけた、その理由は手にしていたお弁当を見て分かった。ここで食べていいか?という事だった。勿論だった。 旅は道連れ世は情け。古い価値観かもしれないがそんな時代の話を僕は大切だと思っている。袖振り合うも多生の縁、そんな風に言われるほど似たような言葉が多いのも、偶然と思える出会いにはある種の必然性がありそれは日本人が大切にしてきた価…

  • 素敵なひと時

    赤信号の交差点だった。横からドコドコという排気音が聞えてきた。ビッグシングルだろう。案の定やって来た。想像通りだった。 単気筒のバイクにずっと乗ってきた。中型免許を取っての最初のバイクだけは空冷二気筒のアメリカンスタイルのバイクだったが、すぐに単気筒のオフロードバイクに変えた。ホンダからスズキへ、そしてまたホンダへ。三台の空冷単気筒オフロードバイクに乗った。いずれも素晴らしいバイクだった。単気筒エンジンは一つのシリンダーが懸命にエンジン内を上下しているさまが想像できる。その鼓動が振動と音とともに体を包み、トルクとなってバイクを推進させる。痺れるような単純なメカニズムだった。自分が乗っていたのは…

  • バンザイ突撃

    お盆休みの渋滞がテレビで報じられている。お馴染みの東名高速は御殿場インターまで40キロの渋滞です。中央道は八王子インターから20キロ渋滞、新幹線の乗車率は200%…。 時期こそ地域によっては異なるがお盆だから故郷に帰るのは仕方が無いだろう。そこにお盆には無縁の行楽客も加わる。真っ赤に続くテールライトをヘリコプターから捉える映像は、もう見飽きた。あの中には入りたくない。しかしかつてはその中に自分も居た。 それは何もお盆の時期ばかりではなく五月連休や秋の連休などでも見られる。みんな何故それを覚悟でその行列に飛び込むのだろう。ある秋のシーズン、自分は車で神奈川県を抜けて静岡県に行くのに半日を費やした…

  • 憧れの絵画

    NHK-BSでヨーロッパの駅ロマンというタイトルの番組をやっていた。偶々録画した回はフィンランドのヘルシンキ中央駅の光景だった。冬のヘルシンキは寒い。自分のヘルシンキは出張だった。バルト海に面した港の前のホテルで一瞬外に出ただけでウールのズボンが瞬時に凍った。街中の中央駅も如何にも零下10度といった風の映像だった。番組は冬の駅を往く人々にフォーカスをあてた人間ドラマだった。 あるシーンで列車が駅を出て北に向かうカットがあった。車窓から見る延々と続く深い森はパインの木々だろうか。森の国フィンランドだと思った。長閑なムーミン谷が何処かにありそうにも思えた。雪を被った針葉樹林を見て、僕はいつも思う。…

  • こんな日もあるだろう

    いや、今日は大変だったね。お疲れ様。ほら、まずはカンパーイ。 コロナ前の神田や新橋あたりでは当たり前の風景だ。夕闇迫るガード下や雑居ビルの焼き鳥屋だ。コロナが始まってすぐに自分は会社勤めをやめてしまったので今の風景は知らない。しかし仕事を終えてまずは「ビール一杯」で始まるひと時は懐かしくもある。空ジョッキが増えて空きグラスがふえてくると「全く今の職場はなってないな。そもそもさ・・・」といった具合に始まりしまいには会社改革論までが論ぜられよう。 社会福祉法人にて非常勤職員で働く自分。職場では常勤職員がいつも奮闘している。自分が携わっている地域交流の仕事とは別に高齢者に向けての包括支援や対個人のケ…

  • 湯船にて

    日帰り湯に良く出かける。登山の帰りには必ず立ち寄る。温泉の湧く銭湯も最近よく行く。これは日常の中のリフレッシュだ。 当然だが日帰り湯と銭湯では客層の違いがある。日帰り湯は行楽帰りによることが多いので若い子連れなどの世代も増える。値段は千円を超えるだろう。街の銭湯は完全に地元に密着しているので年齢層は高めになるだろう。五百円程度で入れる。前者には備え付けのシャンプーやボディソープがあり、後者は基本自分で持っていく。風呂桶に小さな石鹸を入れてカタカタと鳴らすという、昭和のフォークソング「神田川」の世界だ。そんな風呂の象徴的な風景とは何だろうか?と朝っぱらから考えた。そんな時間から風呂の想像とはまる…

  • 相模原に関所あり 淵野辺大勝軒

    相模原市はいつの間にか巨大化し旧津久井郡も巻き込んでしまった。神奈川県津久井郡は消滅し、傘下の相模湖町、藤野町、津久井町、城山町。それらはすべて今では幻の地名になってしまった。神奈川県北東部の山梨県との県境が相模原市緑区と言われてもピンとこない。またその境をなす地が山梨県上野原市というのも腑に落ちない。山梨県北都留郡上野原町のはずだった。どちらの地籍変化も遠い昔でもなく2005年あたりだがそれでももう二十年経つ。いつの間にか自分のアタマもすっかりとオールド・タイマーになってしまった。 旧い人物には昔の記憶しかない。新しいものは受け入れられないか、受け入れても頭の中を流れて消えていく。寂しい話だ…

  • 雨宿り

    驟雨だった。陽炎が漂うような空にもくもくと雲が盛り上がり急に降り出した。 自転車の小さな旅で街道沿いを走っていた自分は本能的にひさしを探した。速乾ウェアとパンツのいで立ちで土砂降りでも晴れればすぐに乾くだろうが、やはり濡れたくはない。雨宿りが必要だった。車道からビルの庇に飛び込んだ。降り落ちた雨粒がアスファルトに跳ね返って濡れた路面は粒立っていた。しばらくはここで退避だ。 直ぐに避難民がやってきた。赤色のスーパーカブだった。ヤレヤレとヘルメットを外した彼と目線があった。 すごい雨ですねここ毎日、いつもこうですよ。まだ配達残っているのにな。 郵便配達の男性は浅黒く日焼けしていた。先を急ぐふうだが…

  • 怖い虫

    近所のハンバーガーショップに時々出かけるのはハンバーガーが食べたいわけでもない。米国発祥で世界中に店を持つそのチェーン店の一つで学生の時に半年程度アルバイトした。懐かしさから行くわけでもない。確かにたまに食べるとそれなりに美味だが、今ならもう少しお金を出してより重量感があるものが食べたい。1000円はするだろうがそれにミラーライトでもあれば気分はアメリカだ。残念なことに全部食べるころには満腹になり紙に包んで持ち帰ってしまうだろう。 この店のコーヒーがなかなか好きだ。数枚のコインで気軽に飲めて店内は時間を選べば長居できる。PCを持ち込んで考え事をしながら何かを「書く」のに向いている。色々な人がい…

  • 小さくがんばる

    病は気からと言う。昔は何とつまらないつこじつけだろうと思っていた。気持ち次第で病の状態が変わるはずなどないと思っていた。 しかし実際に病にかかると心の在りようが大きく体調に関係することを実感した。適応障害に罹患したときは金縛りにあったかのように体がベッドから起き上がれなかった。無理して出社してもPCを前にして体は動かず両手はいたずらにキーボードをまさぐり頭の中は渦を巻く。鼓動が高まり逃げたくなる。しかし動けない。心が体を支配する。前向きにはなれない病だった。 ガン病棟の日常でも感じた。心に強い支えがある人は現実をありのまま受け入れどこかに希望を持ち、強く苦しい治療に向き合い体力と気力が漲るのが…

  • 図書の旅29 作って遊べ工作図鑑 かざまりんぺい えびなみつる

    ● 作って遊べ工作図鑑 かざまりんぺい えびなみつる 誠文堂新光社 2004年 幼心の自分に影響を与えた出版社といえば三社だろうか。怪人二十面相シリーズのポプラ社。そして、誠文堂新光社と科学教材社。児童書のポプラ社は別として、後者二社は間違えなく自分に科学的な興味つまりは工作や電子工作を教えてくれた。今自分がアマチュア無線家であり電子工作好きなのもこの二社の刊行物の影響だった。 初歩のラジオ(誠文堂新光社刊)、模型とラジオ(科学教材社刊)、それぞれ「ショラ(初ラ)」「モラ(模ラ)」。前者は小学生の自分には難しく内容も理解できなかったがラジオの回路図に興味を覚えた。後者は電子工作に加えて模型も紹…

  • 番号の意味

    子供の頃のかけっこ。もちろん一等賞が嬉しいものだろう。運動全般が苦手だった自分には縁のない数字だった。 高齢者になり自立生活が難しくなるとその方には介護保険の傘の下に番号付けがされるということを自分はこの三年前までは知らなかった。そんな番号をつけるのは役所だった。介護事業をもやっている施設で非常勤職員として働くようになってから少しづつ仕組みを知るようになった。 要支援1そして2。要介護は1から5まで。実に7段階の区分けがある。要支援1が最も軽く要介護5が重い。支援と介護、それらの番号付けは日常生活が自力で行えるか。つまりADL(Activities of Daily Living) のレベルに…

  • 乗り遅れた烏合の衆

    ふるさと納税が話題になったのはもうかなり昔だろう。なんだか手続きが大変そうで、結局一度もやっていなかった。居住地の地方自治体に収めるべき住民税や所得税。しかし会社勤めならば源泉徴収されるので、それをどうやって他の行政の物として申請するのだろう。源泉徴収を蒸し返すのか?よくわからなかった。 確かに本来の地に納税をしないで何処かの行政体に納税して魅力的な返礼品が貰えるのだから悪くない話だと思う。牛肉、お米、海産物・・。しかし自分の住む横浜市ではこれで本来得るべきの住民税の内272億円がふるさと納税で他の自治体に流出してしまった、そんなニュースに接して驚いたが、同時に相変わらずだなと思った。本日のコ…

  • 図書の旅28 ぐりとぐら(なかがわりえこ)

    ●ぐりとぐら 中川李枝子昨、大村百合子絵 福音館書店 1963年 手にした施設の蔵書の絵本は第170刷、2007年とあった。初版は自分の生年の版だったのか。重版を重ねているのだろう。幼い頃自分も母に読んでもらった記憶があるし、妻が子どもたちに読み聞かせていたという記憶もある。 開いて閉じるのに3分もかからなかった。森の中に住む野ネズミのぐりとぐらは料理好き。どんぐりを拾っては砂糖湯で煮たりクリームにしたり。大きな玉子があった。持ち帰ることもできない。彼らは代わりにその場にフライパンや小麦粉。バター、牛乳を持ってきた。 「♪僕らの名前はぐりとぐら。この世で一番好きなのはお料理すること食べること。…

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