・3月の東京都区部物価上昇率が低下。日銀の利上げ気運にやや水を差した。 ・米国では、1-3月期GDPとともに発表になった、同期間PCE価格指数上昇率が上昇。米国の利下げ延期観測が高まった。 米日金利差が特に開いたわけではないが、日銀会合イベントも通過し、円安に振れた。 以下、参考
金は安全性、流動性が高く、ゼロクーポン・償還無しのインフレリンク債的な性格を持つ。 つまり、市中金利が上昇すれば、魅力は低下する。 やはり、ここに来ての金価格の下落は金利の上昇によって起きている。 まずは、金価格と実質金利(=インフレ連動債利回り)を見ると、金価格の下落は実質金利の上昇を反映(逆相関)していることがわかる。 ただ、期待インフレ率は比較的安定していて、 (名目)金利=実質金利+期待インフレ率 なので、 実質金利の代わりに(名目)金利で見ると、同様だ。 実質金利など持ち出されるより、こちらの方がわかりやすいだろう。 気を付けなければならないのは、すっかり話題になっ
2023年9月26日の米株の下げは「The prospect of "higher for longer" interest rates put pressure on markets.」というところだろう。 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は「米経済が強力過ぎたら、より長くより高い金利が必要」と述べた。 少し前までは、長期金利の上昇は限定的だろうと考えていた。 今回は、70年代の展開を参考にすると、長短金利差はさらに低下するだろうと考えていた、FFレートが上昇しても、長短金利差が低下するので、長期金利の上昇は大きくないだろうと考えていた。 しかし、10年金利とFFレートのグラフ、
216 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年9月19日時点
為替先物市場において、投機筋はドルに強気だ。ユーロについては強気から弱気に方向転換し、豪ドルについては、中国経済の軟化懸念からショートが急増し、過去にないほどの水準に高まっている。 前回記事 2023年5月23日 216 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年5月16日時点 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄い。そしてそれに基づいてポジションを張る。投機筋の動きは参考になるときがある(いつも参考になるわけではな
個人投資家にとって、株式投資と言えば米株だったが、今年は日本株が大健闘。しかも、小型のよく知られていない株ではなく、時価総額トップのトヨタ7203や2位の三菱UFJフィナンシャルグループ8306の株価の上昇が凄まじい。 銀行株上昇の背景は動き出した金利である。以下、時価総額9位の三井住友フィナンシャルグループ8316を例にとって、金利の上昇が銀行株を押し上げた様子を見る。 SMFGと金利が連動しだしたのは2015年くらいからである。2020年はパンデミックで株価は大きく下げたが、金利は0以下になりにくい性格があるので両者にギャップが出た。2014年以前は、そもそも銀行の収益や株価を
植田総裁の話しぶりから、見ているものは次だろう。 日銀への批判急増「国民生活を考えていない」 金融緩和は継続、植田総裁は「家計の負担は認識している」:東京新聞 植田日銀は同じ「わな」にはまるのか 慎重さの裏にある記憶と重荷:朝日新聞 日銀・植田和男総裁会見 政策修正時期「決め打ちは到底できない」 - 日本経済新聞 消費者とズレがあるのは、 (1)タイムラグ 植田総裁は7月の展望リポート公表時の見通しに比べて消費者物価の上昇率のプラス幅の縮小の仕方が「少しゆっくりめかなという雰囲気はあるかと思う」と話す一方、企業の価格転嫁の動きについて「そろそろピークに近いと思っている」とも述
植田総裁の話しぶりから、見ているものは次だろう。 勿論、総裁がたびたび口にするように、 日銀が計算している基調的なインフレ率の加重中央値 もあろうが、 たぶん、それが2%を越えていないので、都合がいいので口にしているだけだろう。 刈込平均値は、品目別価格変動分布の両端の一定割合(上下各10%)を機械的に控除した値。 加重中央値は、価格上昇率の高い順にウエイトを累積して50%近傍にある値。 日銀の物価目標は生鮮食品を除く消費者物価上昇率が2%ということなので、それは見ているだろう。 これが上昇している背景は「輸入物価上昇を起点とする・・」と言っているので、輸入物価上昇率も見ているだろ
301 FOMC(2023年9月20日) さらなる金利上昇懸念高まる
今回は政策金利の据え置きを決めたが、パウエル議長は、インフレ抑制こそが重要で、その為ならとことん金融引き締めを行う態度を鮮明にした。 時々言っているが、今回も次のように言っている。 ・経済の軟着陸は実現可能だが、それを実現できるかどうかは我々がコントロールできることではない。 ・今、政策金利は終着点に近づいている。しかし、正しい終着点に到達しているかはわからない。 ・利上げが景気後退につながることを心配している。しかし、最も重要なことは長期的に強い労働市場をもたらすための物価の安定だ。 ・経済が強ければそれだけ引き締めも強くせざるを得ない。何としても物価目標を達成するためにだ。 パウエ
300 FX必須情報#025 為替相場と金利差 円安 一時148円へ
背景は原油高。 米国の原油の在庫が戦略備蓄を含め底をついている。備蓄放出により原油高をさますどころか、在庫積み増しの必要性があろう。加えて、サウジが自主減産継続、 ロシアは輸出削減と、原油価格を押し上げている。 この原油高は、ガソリン価格高など米国の物価を押し上げよう。賃上げ圧力が高まる恐れがある。そうなると、米国では利上げ中止から再度の利上げへとの動きになる可能性もある。米金利は上昇し、米日金利差が拡大し、円安になるという動きになる。 また、原油高は日本の貿易収支も悪化させる。 というように、足元の円安は投機的なものというよりファンダメンタルズを通じた自然な流れである。 しかし、
私の株価予想を示すものではないが、定期的に (1)TOPIXとそのEPS、(2)S&P500 とそのEPS の「グラフをチェック。
ECBは、2023年9月14日、政策金利を0.25%引き上げる一方で、利上げ打ち止めの可能性を示唆した。利上げは10会合連続。 (リファイナンス金利は4.25%から4.5%に、中銀預金金利は3.75%から4.00%に引き上げた。) 中銀預金金利は今回の利上げで1999年の単一通貨ユーロ導入以降で最高水準となった。ECBが2022年7月に金融引き締めを開始した際はマイナス0.5%と過去最低水準にあった。 ECBは声明で「政策金利はインフレ率の目標回帰に多大な寄与をするとみられる水準に到達し、十分長い期間維持されたと理事会は考える」と述べた。 理事
(グラフは追って追加する。) 9月13日に発表された米国消費者物価は、インフレが引き続き鎮静化していることを示した。予想通りで、金融市場はほとんど反応しなかった。 14日は、小売売上高は弱い数値が。生産者物価はコア指数はやや弱い数値が発表されるだろう。 これで、9月20日のFOMCでは、政策金利は据え置かれることが一層はっきりした。10年金利は実効FFレート(現在5.33%)-1.1~1.2%と考えているので、4.13から4.23%で推移するだろう。今の10年金利は4.24%なので、ほぼ横ばいで推移することになるだろう。リスクはあるが、別途書く。 インフレは、次の①~③で始まった。
281 最近の円安の背景 282 株、豪ドル、に弱気 商品相場軟調から で、米株ショート、円、ユーロ、豪ドル、NZドルを対ドルでショートして、そのポジションを継続している。一時損になったときもあるが、今は全て益になっている。特に、ユーロショートの益が大きい。 このポジションは継続予定。 で、ドル円についてだが、 (1)植田総裁はそもそもマイナス金利やYCCなどというゲテモノ政策は嫌い、というよりとるべき政策とは全く考えていない。 YCCの解除は着々と進んでいる。金融緩和継続は考えていても、マイナス金利も修正したいはずだ。今の環境なら、いつあってもおかしくない。 その時、ドル円相場は、
日本の小売業の販売額はいよいよバブル期を超え、パンデミック後、急増している。三越や伊勢丹、高島屋など売り上げは絶好調である。富裕層向けが特に伸びている。株価上昇の背景の一つである。 上記は事業所を調べたものであるが、家計調査で家計を見ると、2018年ごろから収入は増加傾向に転じている。(特に2019年の伸びが大きかった。) しかし、収入は伸びても消費は横ばいである。事業所調査では販売額は増えているが、家計調査では消費は伸びていない。 事業所調査では富裕層による高級品の購入が販売額を押し上げているとの報告があるが、家計調査にはそれが反映していないようだ。(家計調査では富裕層へのアンケ
FOMCにはブラックアウト期間(FOMCのメンバーが政策決定会合の前後の時期に金融政策について発言することが禁じられた期間)がある。 9月のFOMCは9月20、21日に開かれるが、ブラックアウト期間は9月9日~21日である。 ブラックアウト期間に入る直前に、発言の機会があるFOMCメンバーの発言は重要である。 今回は、たぶん、ローリー・ローガン ダラス連銀総裁のダラス・ビジネス・クラブでの講演がそれにあたるだろう。パウエル議長とも打ち合わせ済みと思う。 結論は、Dallas Fed President Lorie Logan: Skipping a September hike c
先週、雇用統計の軟化にもかかわらず、その後発表になったISM製造業指数で金利上昇、ドル高になった。 そして、9月6日、ISM非製造業(サービス業)で一層再インフレ懸念が高まるとともに、FFレートをもう一段引上げの可能性が高まった。これを受けて、金利上昇、株価調整、為替市場は目立った動きはなかった。為替市場は先週末からの金利上昇に過度に反映していたからだろう。 8月のサービス業のISM指数は堅調。特に雇用、価格がが強い。在庫が大幅に増え、受注残が大幅に減っているが、「在庫は無いとか在庫や受注残は計測していない」という回答が多かったようで、とりあえずは深刻に考えないことにしよう。 IS
米国債利回りは、世界的なインフレ懸念の中で上昇、ドルを押し上げた。 背景は、 (1)原油価格の上昇でインフレ懸念が再燃していること、 (2)クリーブランド連銀が発表する8月および9月の消費者物価指数の推計値・予測値(ナウキャスト(Nowcast))が反騰していること。 次図は、7月までのCPIとコアCPIの前月比のグラフである。 クリーブランド連銀ナウキャストでは、 以上により、インフレ抑制の為、FRBの利上げが続くことが懸念されている。 この懸念は、先週金曜日の予想を下回る雇用統計の後に始まり、今週世界的に再開された。10年物米国債の利回りは雇用統計前は4.1%を下回っていたが
(1)非農業部門雇用者数の増加は縮小 直近3カ月で44.9万人増えたが、うち、医療・社会扶助従事者が28.3万人。その他が16.6万人。雇用市場は、かなり軟化してきているようだ。 なお、今回発表の雇用統計では、映画業界のストライキ(ハリウッド俳優労組によるスト)と大手陸運会社の事業閉鎖(トラック運送会社イエローの破綻)で合計5万4000人の雇用減少があった。これらがなければ、雇用者数はさらに増加していた可能性がある。 という見方もあるので、医療・福祉従事者、映画業界、トラック運輸業界を除いた民間雇用者の3か月増加数の推移を見ると、C19パンデミック前の水準よりも低くなっている。雇用市
米国長期金利が低下して、米日金利差が縮小した。 米長期金利は「インフレは鎮静化しつつあるが、目標には遠いという環境で、上にも下にもいかない」というのが基本だ。 しかし、一時的にこのバランスが崩れていたようだ。8月15日発表の小売売上高が強かったこと、16日に発表された7月のFOMC議事録に「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」と記されていたことなどで、インフレ鎮静化が目標に到達するにはさらに時間がかかると考えられたからだ。 それが、8月23日S&P社が発表したPMIが低水準であったことから、金利上昇は
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・3月の東京都区部物価上昇率が低下。日銀の利上げ気運にやや水を差した。 ・米国では、1-3月期GDPとともに発表になった、同期間PCE価格指数上昇率が上昇。米国の利下げ延期観測が高まった。 米日金利差が特に開いたわけではないが、日銀会合イベントも通過し、円安に振れた。 以下、参考
高校授業料無料化の影響を除けば、若干の低下に留まる。物価上昇持続。高騰しすぎぎていた宿泊費上昇率の若干低下などがあるが、大勢に変化はない。 日銀は、円安効果がなくても、2%物価上昇が維持できるようになれば、利上げを徐々に行っていくだろうが、その可能性は維持されていると見ていいだろう。決めては勿論、賃上げによる物価押し上げ効果。植田総裁は秋口から顕在化してくることを予想(期待)している。 高校授業料無償化の影響を除いた場合 高校授業料無料化の影響を除かない場合 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年同月比は1.4%(3月は2.3%)。高校授業料無償化の影響で0.5
米で2024年1-3月期のGDPの発表があった。市場の注目は、個人消費支出(PCE)価格指数。 長期間のグラフであるが、注目は最後のところ。大きく跳ねた。 総合は、1.8%(前期)⇒3.4%(1-3月期) コアは、2.0%⇒3.7% これでは利下げどころではない。金利は上昇、株価は下落、ドルはやや堅調。 なお、実質GDP前期比成長率は年率で1.6%増となり、前期(3.4%増)から鈍化したが、基調的な需要の強さを示すGDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要の前期比成長率は年率で2.75%増と堅調。
IMFの推計によると、2025年の日本のドル換算名目GDPはインドに抜かれ、世界5位になる見通し。 こんなにあっさり、ドイツに追い越され、インドにも追い越されそうになっている理由は、日本のデフレと円安である。 中には、ドイツだって日本以上に景気が悪いのに、ドイツに追い越されるのはおかしい。ひとえに円安のせいだ。ドル換算名目GDPで比較するのはおかしい。PPP(購買力)ベースで見るべきだ。また、人口が多ければGDPが大きくなるのは当然だ、一人当たりで見るべきだ。という声も大きい。 私は国力、国のプレゼンスという観点から、ドル換算名目GDPで比較してよいと思うが、参考までpppベースのG
投機筋の為替ポジションは、円ショートが凄まじい。 前回記事 2024年4月17日 463 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2024年4月9日時点 2024年1月15日 385 CFTC 為替先物の投機筋のポジション では、為替先物における投機筋の円、ユーロ、豪ドルのポジションを見てみよう。また、投機筋のポジションと日米金利差の関係も見てみる。やっぱりという感じ。 (1)円/ドルポジション (先物市場ではドル/円ではなく円/ドルである。) 投機筋は、3月末から急速にショートポジションを拡大している。極端に円に弱気(ドルに強気)だ。
シナリオ (1)10% 中東問題(イラン-イスラエルなど)がエスカレートして原油価格が100ドルを超え、世界的にインフレが再燃する。第2次オイルショックafterパンデミック。 (2)30% 米国で 賃金上昇⇒物価上昇 のスパイラルが続き、物価上昇率が2%に近づいて行かない。 (3)40% 米国で、緩やかではあるが、賃金上昇率が低下し、物価上昇率も低下する。(ソフトランディングシナリオ) (4)20% 米国で、利息支払い増を背景に低所得層の困窮が一段と高まる、低迷する商業用不動産市場絡みで大型企業倒産、中小銀行破たんが起き、景気が悪化していく。  
2024年3月の日本の総合物価上昇率は2.7%。 但し、持家の帰属家賃を除く総合は3.1%。また、食料は4.8%なので、家計が受けるダメージ感は相当大きい。 それでも、日銀が金融引き締めへ転換しないのは、物価高の維持に不安があるからだ。 日銀は、「賃金上昇⇒物価上昇⇒企業売上拡大⇒賃金上昇(始めに戻る)」の好循環に入れば、円安による物価押し上げは不要と、利上げに転じるだろう。 (注)売上高人件費率が一定なら、売上高上昇率=賃金上昇率 になる。 日銀が特に注目しているのは、サービスだ。輸入食品などと違って、人件費のウェイトが大きいからだ。そのサービスの物価上昇への寄与(上図の青)が大
4月第2週(4月8日─4月12日)の海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買は、8259億円の買い越し(前週は8353億円の買い越し)だった。買い越しは2週連続。 4月第1週、第2週と、海外投資家はかなりの買い越しだった。にもかかわらず、同期間に日本株は軟調だった。相場に影響を与える誰かが売っている。 その前に、1ー3月の株価上昇(新高値に押し上げた)買い手は誰だったのだろう。このnoteで何度か取り上げてきた謎の投資家である。それは、証券自己に含まれる。証券自己は概ね(海外投資家先物買い+日銀ETF買い+その他)になるが、海外投資家はこの期間むしろ売り手だった。なので、謎の相
日銀は9月会合で追加利上げの可能性、為替の影響に注意-門間元理事 - Bloomberg 元日本銀行理事の門間一夫みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストは、足元で力強さを欠く個人消費の回復を見極めた上で、日銀は9月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切る可能性があるとの見方を示した。 門間氏は日銀の金融政策運営を占うための最重要指標に4-6月のサービス価格を挙げ、「ここに今年の賃上げが反映されてくるか」に注目していると説明。それが確認されれば、「最速で7月の利上げもあるかもしれない」としつつ、メインシナリオとして4-6月の個人消費を国内総生産(GDP)で確認でき
投機筋の為替ポジションが市場で話題になっているので、見てみた。 チョット見ない間に大きな変化があった。見落としていた。 前回記事 2024年1月15日 385 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年12月25日 374 temp 投機筋の為替ポジション 2023年12月19日 367 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄く、それに基づいてポジションを張っているので、投機筋の動きは参考
いつもの推計をupdate
いろんな比較があるが、いくつか。 (1)日本株とドル/円は非常に連動性が高い時期もあるが、それだけで説明がつかない時期の方が多い。 (2)日本株と米国株の連動性は次の通り。長期的に見て、日本株の割高感が強い。
今日(4月15日)の米株の下落は、金利上昇に応じた株価のバリェーションの調整だろう。中期上昇トレンドに変化はないだろう。 何しろ、日米ともPERは高すぎる(企業業績の伸びに比べ株価の上昇が速すぎた)。 米3月小売売上高は前月比0.7%増。 オンライン小売の売り上げ急増を背景に予想を上回り、堅調。 2月分は従来発表の0.6%増から0.9%増に上方改定された。 3月の自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は1.1%増。2月分は前回の横ばいから0.3%増に改定された。コア小売売上高(コントロール・グループという)は、GDP統計の個人消費の動向を反映する傾向がある。 参照 Mo
イランがイラン国内からイスラエルに対し直接攻撃に踏み切った件で、 フェイクニュースも流れている(Xで)。私もだまされそうになった。不明なソースのニュースには要注意。 イラン イスラエルに無人機やミサイルで大規模攻撃【速報中】 NHK イランの攻撃実施、市場に新たな波乱リスク- Bloomberg 原油価格上昇⇒物価上昇⇒金利上昇 の傾向があるのは明らか。
今回の件(イラン-イスラエル)では、イラン側の発表にはそう注意を払う必要はない。イランが穏便に済ませたいことは明白だ。問題は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。そのことははっきりしているが、ネタニヤフ首相がどういう風に出るかはわからない。 原油相場は非常に難しい市場だ。通常時でもOPEC、ロシア、シェールオイルなど産油国の供給の動きを読むのが難しい。中国を中心とする世界経済動向(つまり、需要)にも左右される。地政学的リスクはコントロールされているものではない。要するに、原油価格は、景気が良くて上昇する場合もあれば、産油国の思惑で上がることもあり、地政学的リスクから上がることも
第2次オイルショック(1978年10月~1982年4月):(前略)イランでの原油生産が中断して産油量が減ったことで世界的に原油不足となり、原油価格が跳ね上がった。 今回、第2次オイルショックと同じ道を辿るかどうかはわからない。しかし、これまでは殆どないと思われていたが、多少可能性は高まった。
米長期金利 上昇が続いている。米景気が堅調ということだ。 米国株 なので、米国株も基本堅調だ。上昇トレンドが続いていると思う。 足元の動きは、利下げ先送り観測、株価上昇の行き過ぎのマイナーな調整。 ただし、イランーイスラエルは勿論要注意。エスカレートするようなら、株価大幅下落も。 原油価格 イランーイスラエル情勢を反映していると思う。 しかし、100ドルを超えてこないと、景気、インフレ、金融政策に大きな影響はないだろう。 Gold 一番の驚き。 理由はよくわからない。 ・米国財政不安、 ・インフレ懸念、 ・中国の買い(中国国民は自国内資産(株、不動産、預金など)全てに不安がある。
2024年3月のPPI(生産者物価指数)が発表になって、相場(特に株式)相場が動いた。株価上昇、金利低下、ドル安。 しかし、何も変わっていない。相場が動いた理由は、ポジション調整だろう。なので、特にここで取り上げることもない。 貿易サービスを除く理由は、販売価格ではなくマージンを測定しているからということだ。 では、販売価格でないものが、何故、物価指数に含まれるかというと、次に説明がある。 Frequently asked questions on the Producer Price Index (PPI) for Final Demand
米FRBには二つの責務がある。物価の安定(PCE価格上昇率2%)と雇用の最大化(具体的数値目標はない)である。 1980年前半から続くディスインフレ時代は、専ら雇用の最大化が目標だった。なので、雇用統計発表が最大のイベントであった。今は、勿論、物価の安定が最優先である。なので、CPI発表が最大のイベントである。 (注)目標の対象はPCE価格指数であるが、それより発表が早いCPIが注目される。CPIのデータから、PCE価格指数は概ね推量できる。 インフレの鎮静化が怪しくなっている。にもかかわらず、パウエル議長は、物価鎮静化はbumpy(でこぼこ道)と言い、物価鎮静化には自信があると言っ
あまりにありすぎてついていけない。 (1)2月ケース・シラー米住宅価格指数 下げ止まってきたのだろうか? (2)3月新築住宅販売件数 かなり良かったが、気にすることはないデータ。 (3)4月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) ちょっと悪かったが、重要な指数ではない。 (4)ファースト・リパブリック(FRC S&P500構成銘柄) 株価49%急落。この日の米国株下げをリードした。米国債は買われ、ドル/円は売られる。原油も景気不安から売られる。金は小幅上昇。 米地銀FRC株が5割安 預金急減で経営不安再燃 - 日本経済新聞 米地銀FRC、預金4割減 1~3月33%減益 人
最近の景気指標二つ (1)S&Pグローバルが21日発表したドイツの4月のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.9と好調。製造業は悪化したが、サービス業が上向いた。サービス部門PMIは55.7。製造業PMIは44.0と低調。ドイツの労働市場はタイトな状況が続いている。 S&Pグローバルが21日発表した4月のユーロ圏総合PMIは54.4と改善。サービス部門PMIは56.6と、サービス業が好調。背景は賃金上昇。賃金上昇が全体的なPMI拡大につながることからECBはサービスPMI上昇に注目しているようだ。ただし、製造業は引き続き低迷。需要が一段と落ち込み、P
187 米 中小銀行の資金流出動向など の グラフ更新です。 米国経済で、今注目されることの一つは、 3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? (B)FRBからの借入に頼っていないか? (2)銀行は融資態度を厳しくし始めているようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか? (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? 流出は止まっているようだ。まずは一安心。 Bloombergはセンセーシ
2022年度 消費者物価指数 前年度比3.0%上昇 41年ぶり水準 NHK 物価高騰 消費者物価指数、3月3.1%上昇 電気代抑制でも高水準続く - 日本経済新聞 3月の 生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比で3.1%上昇。 食料及びエネルギーを除く消費者物価指数は、前年同月比で2.3%上昇。 いずれにしろ、物価の前年比上昇率は高い。くどいようだが、背景は、 (1)コロナ禍で世界的に工場閉鎖など(ロックダウン)が起き、物流・サプライチェーンが滞ったこと。<これは既に緩和している> (2)ウクライナ紛争でエネルギー価格、農産物(特穀物)価格が高騰したこと。<既に前年比で
4月20日の市場の話題は、Teslaの自動車価格値下げ、Philly Fed index(フィラデルフィア連銀製造業景況指数)の悪化、新規失業保険申請件数の増加。 米金利低下、ドル安、株価は下げたものの僅か。 <参考> テスラ株11%安、時価総額7兆円失う 値下げ減益に懸念 - 日本経済新聞 米テスラ急落、目標株価下げ相次ぐ マスク氏が値下げ継続示唆 ロイター 米国の失業保険、新規申請24.5万件 2週連続増 - 日本経済新聞 米新規失業保険申請、5000件増の24.5万件 労働市場の減速示唆 ロイター 米東部3州の製造業景況感、2年ぶり低水準 地区連銀 - 日本経済新聞 米
まず、日米の代表的な株価の動きは。 日本では、2021年春まではNT倍率(日経平均/TOPIX)は上昇したが、以降、調整が起き(何がきっかけだったかは忘れた)、今は両者の動きは似ている。 米国では、FAANGなどmega cap tech stocks(時価総額の大きな成長株)が相場を押し上げるのは、2021年秋で終わり(2年金利などの金利上昇がきっかけ)、2020年9月末を基点とすると、NYダウとS&P500は似た動きをしている。 米国株はコロナ禍の経済対策などを背景に力強く上昇していたが、金利上昇で調整が起きた。ドイツの株価はウクライナ紛争の影響を受けて低迷したが、エ
投機筋の米国株先物のネットポジションは2011年以来の低水準である。というより、ロングポジションは殆どない。米国株に強気な投機筋はないと言っていいくらいだ。 参考 182 CFTC 米日株先物の投機筋のポジション 話題 4月のBofAの世界ファンドマネジャー調査(旧メリルリンチ・ファンドマネージャーズ・サーベイ)によれば、『投資家の株式への資産配分が債券との比較で世界金融危機以来の低水準になった』。 以上のように、米国株式投資家は米国株に超弱気である。この状態は、去年の6月くらいから続いている。背景は、金融引き締めと景気悪化懸念のコンビネーションである。次のグラフに見るよ
(1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)昨年から仕切り直しがいつにもなく多い。「インフレ⇒目先の政策金利上昇」と「利上げによる景気悪化懸念⇒中長期金利低下(あるいは、来年の利急利下げ期待)」で、金利相場がフラフラしているからだ。 そして、足元では、日本の利上げ期待も後退し、結局、2020年秋から続く「為替相場と金利差」の関係に戻っている。 結局、今は、
179 米 中小銀行の資金流出動向など の グラフ更新です。 米国経済で、今注目されることの一つは、 3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? (B)FRBからの借入に頼っていないか? (2)銀行は融資態度を厳しくし始めているもようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか? (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? 流出は止まっているようだ。まずは一安心。 最後は4月5日(水) なお、
とにかく3月のCPIはわかりにくかった。 なので、もう一度まとめてみよう。 参考になったのは次のtwitterである。 Michael McDonough(@M_McDonough)さん / Twitter Chief Economist, Financial Products at Bloomberg LP Bloombergでは、ECAN<Go> で見られるらしい。 まず、CPIの全体感は。 ・ターゲットは総合指数の前年同期比上昇率が2%になることである。 ・エネルギー(緑色)はマイナスになっている。つまり、物価押し下げている。 ・食料(橙色)はまだ物価をかなり押し上げている
米国で、3月の生産者物価指数がインフレ圧力がさらに緩和したことを示し、金融引き締めが早期に終了することが期待され、金利は低下、ドル安、株高が起きた。 ドル円は、日本時の12日21:30にCPIの発表で133.7⇒133円と円高になり、13日21:30に生産者物価(卸売物価)の発表で133.15⇒ 132.15円と円高になった。その後、株高、金利反騰、ドル反騰(円に対して)になっている。なかなか難しい相場展開だ。 基本的には、景気減速⇒金融引き締めから緩和へ早期転換⇒株高、長期金利は緩やかな低下、緩やかなドル安(為替は相手があるので一概には言えないが)という展開になっている。 景気減速
かつて日本企業は決心した。円高(つまり国際的に賃金が高くなる)で国内で生産しても国際競争力に劣り、輸出が振るわない。なので、もう働くのはやめて、海外に投資して(生産の海外移転など)、海外で儲けた利益を日本に送ってもらおうと。 それはうまくいった。物の輸出は少なくなり、貿易赤字は膨らんだが、それ以上に海外投資(海外子会社、海外への証券投資)からの収入が大きくなった(所得収支の黒字の拡大)。そして経常黒字を維持している。 (注)原油価格があまりに大きいと、エネルギー輸入で経常赤字になるときもある。 万々歳である。 今や、日本は貿易黒字国から貿易赤字国になっている。しかし、海外投資からくる所
米国消費者物価の発表があった。 金融政策のターゲットは「PCE価格指数の前年同期比上昇率が2%」であるが、発表が遅いこと、データの元が同じであることから、発表が早いCPIが市場で注目される。 (注)PCE価格指数とCPIの違いは、計算方法の違いもあるが、PCEの方が幅が広いことである。 そのCPIについて、 (1)変動が激しい食料とエネルギーを除いたコアCPIの前年同期比上昇率が2%以内に収まること (2)コアCPIの前月比、3か月前比上昇率の年率換算が2%以内に収まること (3)家賃を除くサービス価格の3か月前比の年率換算が2%以内に収まること が注目点である。 さて、今回発表
IMFから米中日独印のGDP予想が発表された。 注目は、日本のGDP(名目、ドル換算)が、いつ、独とインドに追い越されるかということである。 今回発表されたIMFデータによれば、ドイツには追い越されない。インドには2027年に追い越される。 IMFの予想による2027年のドル換算名目GDPは、 ①米 31,091.6 ②中 25,722.4 ③印 5,153.0 ④日 5,077.1 ⑤独 5,153.0 (単位は十億ドル) である。 日本はドイツに追い越されないことになっているが、その背景は、ここから円高、ユーロ安を予想しているからである。2027年には、円は126.2円/ドル、
東証はPBRが1倍を下回る上場企業に、株価水準を引き上げるための具体策を開示・実行するよう要請した。 PBR1倍割れは成長性が投資家から評価されていないことを示すものと問題視したとのこと。 有識者においては「企業に資本効率への意識が乏しい」との指摘が多かったらしい。 PBRが1倍未満の企業は約1800社と全体の5割強を占める。トヨタ自動車も該当する。 企業の対応は自社株買いが中心になるようだ。日本企業は現金を持ち過ぎとの批判も多いので、ちょうどいいのかも。 しかし、東証が期待するのは「企業が資本コストや資本収益性を意識しながら、持続的に成長を目指す姿」で、「自社株買いなど一過性の対応を
CFTC米日株先物の投機筋のポジションが話題になっている。 ヘッジファンドの米国株ショート、11年ぶり高水準 - Bloomberg ヘッジファンドは米国株に対する弱気なポジションを再び拡大している。経済指標や企業利益の悪化を背景に、最近の相場低迷が続くとみているためだ。 製造業やサービス業の指標を受けてリセッション(景気後退)が間近に迫っているとの懸念が強まり、23年の株式上昇の持続性に対して懐疑的な見方が広がっている。 米国投資家は、 ・米株のポジションを取るときは、通常、S&P500 ETFの信用売買を使う。 ・日本株先物はシカゴでなく、大阪取引所がメインだろう。 と
面白い現象がある。通常、投機筋と小口投機筋の動きは殆ど同じだが、今は、投機筋はネットでショート、小口投機筋(主に個人のファンド)はネットでロングになっている。小口投機筋の方が相場に敏感で動きも早いので、これは要注目である。 注) ネットとは 「ロングポジションーショートポジション」のこと。 前回記事 2023年3月26日 169 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年3月21日時点 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄い。
米国経済で、今注目されることの一つは、 3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? (B)FRBからの借入に頼っていないか? (2)銀行は融資態度を厳しくし始めているもようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか? (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? 流出は止まっているようだ。まずは一安心。 最後は3月29日(水) (B)FRBからの借入に頼っていないか? FRBからの借入も増加していない。
2023年3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から23万6000人増えた。失業率は2月の3.6%から3.5%に低下した。 雇用の勢いは弱まりつつあるが、FRBにとってはまだ強すぎる水準。 市場の反応は、金利は上昇、ドル高、株式市場はGood Fridayで休場だが、先物は上昇。このところ、景気悪化懸念⇒企業業績悪化懸念⇒株安 という状況だったが、景気悪化懸念にやや安心感が出た感じ。 但し、今は3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて、銀行は融資態度を厳しくしており、この影響がどうのように現れるかが懸念材料に唸っている。 今は、金融不安が落ち着いている
今週発表された米景気指数は弱い数値が続く。 4月5日発表のADP雇用統計、ISMサービス業景況感指数も弱かった。 これを受けて、金利低下、ドル安/円高。但し、ユーロ、豪ドルはそれぞれも弱く、ユーロ安、豪ドル安。株価は、薬品などPERが押し上げられてDOW30は堅調。S&Pは弱い。 (1)ISMサービス業景況感指数(非製造業景況感指数) 特に内訳指数の新規受注と新規輸出受注、輸入指数が大幅に低下。 (2)ADP雇用統計 米民間雇用サービスADPが発表した3月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から14万5000人増。増加数としてはやや低下。