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  • 190 日米独中の株価の動き やっぱり日本株は!

    まず、日米の代表的な株価の動きは。 日本では、2021年春まではNT倍率(日経平均/TOPIX)は上昇したが、以降、調整が起き(何がきっかけだったかは忘れた)、今は両者の動きは似ている。 米国では、FAANGなどmega cap tech stocks(時価総額の大きな成長株)が相場を押し上げるのは、2021年秋で終わり(2年金利などの金利上昇がきっかけ)、2020年9月末を基点とすると、NYダウとS&P500は似た動きをしている。 米国株はコロナ禍の経済対策などを背景に力強く上昇していたが、金利上昇で調整が起きた。ドイツの株価はウクライナ紛争の影響を受けて低迷したが、エ

  • 189 米株 不安が一杯

    投機筋の米国株先物のネットポジションは2011年以来の低水準である。というより、ロングポジションは殆どない。米国株に強気な投機筋はないと言っていいくらいだ。 参考 182 CFTC 米日株先物の投機筋のポジション 話題 4月のBofAの世界ファンドマネジャー調査(旧メリルリンチ・ファンドマネージャーズ・サーベイ)によれば、『投資家の株式への資産配分が債券との比較で世界金融危機以来の低水準になった』。 以上のように、米国株式投資家は米国株に超弱気である。この状態は、去年の6月くらいから続いている。背景は、金融引き締めと景気悪化懸念のコンビネーションである。次のグラフに見るよ

  • 188 FX必須情報#017 為替相場と金利差

    (1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)昨年から仕切り直しがいつにもなく多い。「インフレ⇒目先の政策金利上昇」と「利上げによる景気悪化懸念⇒中長期金利低下(あるいは、来年の利急利下げ期待)」で、金利相場がフラフラしているからだ。 そして、足元では、日本の利上げ期待も後退し、結局、2020年秋から続く「為替相場と金利差」の関係に戻っている。 結局、今は、

  • 187 米 中小銀行の資金流出動向など

    179 米 中小銀行の資金流出動向など の グラフ更新です。 米国経済で、今注目されることの一つは、 3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? (B)FRBからの借入に頼っていないか? (2)銀行は融資態度を厳しくし始めているもようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか? (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? 流出は止まっているようだ。まずは一安心。 最後は4月5日(水) なお、

  • 186 米国消費者物価(CPI) 要するに

    とにかく3月のCPIはわかりにくかった。 なので、もう一度まとめてみよう。 参考になったのは次のtwitterである。 Michael McDonough(@M_McDonough)さん / Twitter Chief Economist, Financial Products at Bloomberg LP Bloombergでは、ECAN<Go> で見られるらしい。 まず、CPIの全体感は。 ・ターゲットは総合指数の前年同期比上昇率が2%になることである。 ・エネルギー(緑色)はマイナスになっている。つまり、物価押し下げている。 ・食料(橙色)はまだ物価をかなり押し上げている

  • 185 米生産者物価(卸売物価)2013年3月

    米国で、3月の生産者物価指数がインフレ圧力がさらに緩和したことを示し、金融引き締めが早期に終了することが期待され、金利は低下、ドル安、株高が起きた。 ドル円は、日本時の12日21:30にCPIの発表で133.7⇒133円と円高になり、13日21:30に生産者物価(卸売物価)の発表で133.15⇒ 132.15円と円高になった。その後、株高、金利反騰、ドル反騰(円に対して)になっている。なかなか難しい相場展開だ。 基本的には、景気減速⇒金融引き締めから緩和へ早期転換⇒株高、長期金利は緩やかな低下、緩やかなドル安(為替は相手があるので一概には言えないが)という展開になっている。 景気減速

  • 181 国際収支に見る日本経済の構造変化

    かつて日本企業は決心した。円高(つまり国際的に賃金が高くなる)で国内で生産しても国際競争力に劣り、輸出が振るわない。なので、もう働くのはやめて、海外に投資して(生産の海外移転など)、海外で儲けた利益を日本に送ってもらおうと。 それはうまくいった。物の輸出は少なくなり、貿易赤字は膨らんだが、それ以上に海外投資(海外子会社、海外への証券投資)からの収入が大きくなった(所得収支の黒字の拡大)。そして経常黒字を維持している。 (注)原油価格があまりに大きいと、エネルギー輸入で経常赤字になるときもある。 万々歳である。 今や、日本は貿易黒字国から貿易赤字国になっている。しかし、海外投資からくる所

  • 184 3月の米国消費者物価 インフレは沈静化していない

    米国消費者物価の発表があった。 金融政策のターゲットは「PCE価格指数の前年同期比上昇率が2%」であるが、発表が遅いこと、データの元が同じであることから、発表が早いCPIが市場で注目される。 (注)PCE価格指数とCPIの違いは、計算方法の違いもあるが、PCEの方が幅が広いことである。 そのCPIについて、 (1)変動が激しい食料とエネルギーを除いたコアCPIの前年同期比上昇率が2%以内に収まること (2)コアCPIの前月比、3か月前比上昇率の年率換算が2%以内に収まること (3)家賃を除くサービス価格の3か月前比の年率換算が2%以内に収まること が注目点である。 さて、今回発表

  • 183 米中日独印のGDP 日本はいつ逆転されるか?

    IMFから米中日独印のGDP予想が発表された。 注目は、日本のGDP(名目、ドル換算)が、いつ、独とインドに追い越されるかということである。 今回発表されたIMFデータによれば、ドイツには追い越されない。インドには2027年に追い越される。 IMFの予想による2027年のドル換算名目GDPは、 ①米 31,091.6 ②中 25,722.4 ③印 5,153.0 ④日 5,077.1 ⑤独 5,153.0 (単位は十億ドル) である。 日本はドイツに追い越されないことになっているが、その背景は、ここから円高、ユーロ安を予想しているからである。2027年には、円は126.2円/ドル、

  • 番外 東証のPBR1倍割れ改善要請

    東証はPBRが1倍を下回る上場企業に、株価水準を引き上げるための具体策を開示・実行するよう要請した。 PBR1倍割れは成長性が投資家から評価されていないことを示すものと問題視したとのこと。 有識者においては「企業に資本効率への意識が乏しい」との指摘が多かったらしい。 PBRが1倍未満の企業は約1800社と全体の5割強を占める。トヨタ自動車も該当する。 企業の対応は自社株買いが中心になるようだ。日本企業は現金を持ち過ぎとの批判も多いので、ちょうどいいのかも。 しかし、東証が期待するのは「企業が資本コストや資本収益性を意識しながら、持続的に成長を目指す姿」で、「自社株買いなど一過性の対応を

  • 182 CFTC 米日株先物の投機筋のポジション 話題

    CFTC米日株先物の投機筋のポジションが話題になっている。 ヘッジファンドの米国株ショート、11年ぶり高水準 - Bloomberg ヘッジファンドは米国株に対する弱気なポジションを再び拡大している。経済指標や企業利益の悪化を背景に、最近の相場低迷が続くとみているためだ。 製造業やサービス業の指標を受けてリセッション(景気後退)が間近に迫っているとの懸念が強まり、23年の株式上昇の持続性に対して懐疑的な見方が広がっている。 米国投資家は、 ・米株のポジションを取るときは、通常、S&P500 ETFの信用売買を使う。 ・日本株先物はシカゴでなく、大阪取引所がメインだろう。 と

  • 180 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年4月4日時点

    面白い現象がある。通常、投機筋と小口投機筋の動きは殆ど同じだが、今は、投機筋はネットでショート、小口投機筋(主に個人のファンド)はネットでロングになっている。小口投機筋の方が相場に敏感で動きも早いので、これは要注目である。 注) ネットとは 「ロングポジションーショートポジション」のこと。 前回記事 2023年3月26日 169 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年3月21日時点 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄い。

  • 179 米 中小銀行の資金流出動向など

    米国経済で、今注目されることの一つは、 3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? (B)FRBからの借入に頼っていないか? (2)銀行は融資態度を厳しくし始めているもようだが、銀行の貸し出し状況はどうなっているか? (1)中小銀行に金融不安が起きていないか、つまり、 (A)資金流出(預金引き出し)が加速していないか? 流出は止まっているようだ。まずは一安心。 最後は3月29日(水) (B)FRBからの借入に頼っていないか? FRBからの借入も増加していない。

  • 178 米3月雇用統計 まだまだ堅調すぎる

    2023年3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から23万6000人増えた。失業率は2月の3.6%から3.5%に低下した。 雇用の勢いは弱まりつつあるが、FRBにとってはまだ強すぎる水準。 市場の反応は、金利は上昇、ドル高、株式市場はGood Fridayで休場だが、先物は上昇。このところ、景気悪化懸念⇒企業業績悪化懸念⇒株安 という状況だったが、景気悪化懸念にやや安心感が出た感じ。 但し、今は3月10日にシリコン・バレー銀行が破たんしたことを受けて、銀行は融資態度を厳しくしており、この影響がどうのように現れるかが懸念材料に唸っている。 今は、金融不安が落ち着いている

  • 177 米ADP雇用統計、ISMサービス業景況感、弱い数値が続く

    今週発表された米景気指数は弱い数値が続く。 4月5日発表のADP雇用統計、ISMサービス業景況感指数も弱かった。 これを受けて、金利低下、ドル安/円高。但し、ユーロ、豪ドルはそれぞれも弱く、ユーロ安、豪ドル安。株価は、薬品などPERが押し上げられてDOW30は堅調。S&Pは弱い。 (1)ISMサービス業景況感指数(非製造業景況感指数) 特に内訳指数の新規受注と新規輸出受注、輸入指数が大幅に低下。 (2)ADP雇用統計 米民間雇用サービスADPが発表した3月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から14万5000人増。増加数としてはやや低下。

  • 176 米求人件数減少、景気減速懸念から金利低下、ドル安、株安

    2023年4月4日、2月の米雇用動態調査(JOLTS)で、非農業部門の求人件数(季調)は993万1000件だった。前月から63万2000件減少し、2カ月連続でマイナスとなった。米景気の急減速を示したと市場で受け止められ、金利低下、ドル安、株価下落。 前日には、ISM製造業景況感指数も弱く、弱い経済指標が続いたことで、米景気減速感が強まった。 パウエル議長が注目する求人失業者倍率(失業者1人に対する求人件数)は約1.67倍となる。(雇用統計では2月の失業者数は593万6000人) 依然高い数値だが、徐々に米労働市場の逼迫が解消し始めているようだ。 FRBにとり朗報。カナダ中銀や豪州準備

  • 175 米国 ISM(景況感) 依然低調ではあるが・・・

    米ISM指数は、従来投資家にとっては非常に重要な指標であった。 景気状況を正確に表すこと、速報性からだ。 今もその通りだが、投資家にとってISM指数の利用が難しくなっている(後記の(3) )。 (0)ISM製造業景況感指数3月データ。 総合指数は46.3と47を割った。サブ指数は全体に弱い。新規受注も、雇用も、在庫も(顧客の在庫は増えているのもネガティブ)、新規輸出受注も、輸入も、ほとんど全てがネガティブ。日経記事によると、『3月10日に米地銀のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻したのを機に、中小銀行の信用不安が強まっている。調査対象の企業からは銀行破綻の影響を懸念する声は聞か

  • 174 金価格の決まり方 ここからどうなる?

    金(Gold)とは 金の性質は、希少で、均質性を持ち、自由に分割でき、変質せず、耐久性がある(鉄のように錆びたりしない)ことだ。 こうした特長を持つものは他に殆ど存在せず、それが故に貨幣的価値を有する。 こうしたことから、国の信用力を背景としている通貨において、その背景に不安が出てくると、金価格はその通貨に比べて上昇しがちになる。 しかし、貨幣的価値を有していても、工業価値もあり、貴金属でもある。 金価格の決定要素 ①金価格はドルで測るので、ドルが強くなれば、金価格は下落することになる(逆も真)。 ②金は利息が付かないので、ドルの金利が高くなれば、それだけ金の相対的魅力は低下する(逆

  • 173 米 中小銀行の資金流出(グラフ更新)

    171 米国経済 気になることのグラフ更新。 (A)FRBの金融機関への貸し出し状況 SVB破綻(3月10日)後、FRBから市中銀行への貸し出しが急増。 市中銀行のFRBからの借入増は止まったようだ。とりあえずは、金融不安パニックは止まったようだ。 BTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)は、FRBが新たに設定した貸出制度。連銀窓口貸出は従来からある通常の貸出制度。 最後は3月29日(水) The Fed - Factors Affecting Reserve Balances - H.4.1 - Release Dates https://www.federalre

  • 172 2023年3月29日のマーケット

    日本時29日0時頃、FRBのバー副議長(銀行監督担当)の議会証言から銀行破たんが広がることはなさそうとなり、米金利低下観測後退、円安に。株価も堅調に。株価は、マイクロン・テクノロジー<MU>がひどい業績発表を行ったが、「業界の需給バランスは徐々に改善すると考えている。」と最悪期を脱し、復活の可能性を示唆したことから、半導体株中心に上昇している。   バー副議長の証言から;‐ シリコンバレー銀行(SVB)破綻の一因は、金利の急上昇による米国債や住宅ローン担保証券の価格下落で損失を被ったこと。SVBは放漫経営でこれに何も手を打たなかった(経営陣が明確な金利リスクと明確な流動性リス

  • 171 米国経済 気になること

    (1)インフレ動向 サービス価格の3か月前比 (2)雇用市場 新規失業保険申請件数13週前比 (3)企業収益(S&P500のeps前年比)とISM指数のギャップ (4)金融引き締め化でS&P500のPERが拡大しているわけ? (5)景気と物価の関係 (6)中小金融機関の預金流出 (7)長期債を多く抱えている機関の状況 金利上昇の最初の犠牲者が出た。SVBだ。 保有長期債の時価下落でバランスシートの状態が悪くなり、しかも取引先の業績悪化から預金も引き出されて、行き詰まった。 中小金融機関の状況が気になる。 チェックする指標としては、(A)FRBの金融機関への貸し出し状

  • 170 FX必須情報#016 為替相場と金利差

    (1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)2月2日まで早期利下げへの転換と市場は見ていたが、2月3日の強い雇用統計で米金利は急上昇し、ドル高になった。  それが、3月10日のSVBの破たんで今後の成り行きがにわかに難しくなった。FRBには迷い*があるようであるが、市場は金融不安懸念(中小銀行から預金流出など)、景気後退懸念から、今後利下げに転じる

  • 169 CFTC 為替先物の投機筋のポジション 2023年3月21日時点

    前回記事 2023年3月20日 161 為替 投機筋のポジション 円安スタンスに転換したところで 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄い。そしてそれに基づいてポジションを張る。投機筋の動きは参考になるときがある(いつも参考になるわけではない)ということだ。 では、為替先物における彼らの、円、ユーロ、豪ドルのポジションを見てみよう。 データは週次で、3月21日まで発表されている。その翌日の22日にFOMCがあった。 (1)円/ドルポジシ

  • 168 CFTC 米日株先物の投機筋のポジション 2023年3月21日時点

    米国投資家は、 米株のポジションを取るときは、通常、S&P500 ETFの信用売買を使う。 日本株先物はシカゴでなく、大阪取引所がメインだろう。 また、株の場合、ショートしていても有事の際に買い戻すことはないだろう。 というわけで、投機筋のシカゴ市場の先物ポジションは、重要な情報ではない。参考まで。

  • 167 CFTC米国債先物の投機筋のポジション 2023年3月21日時点

    データの出所はCFTCである。3月21日(FOMC前)までのデータが発表になっている。 米国債先物には、2年物、5年物、中長期物(残存6.5年~10年)、10年物(残存10年)、長期、超長期の6種類ある。 最も取引量が多いのは中長期物(残存6.5年~10年)である。 参照 Most Active Futures - Barchart.com 今回は、FOMC前のポジションでもあり、コメントは省略するが、6種類全て紹介する。 前回の記事 159 米 投機筋が踏み上げられて異常な金利低下 を参照。

  • 166 日本の消費者物価 まだデフレ

    2月 消費者物価指数 前年同月比3.1%上昇 上昇率は鈍化 NHK  消費者物価指数3.1%上昇、2月 電気代抑制で13カ月ぶり鈍化 - 日経新聞 2月の 生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比で3.1%上昇。 食料及びエネルギーを除く消費者物価指数は、前年同月比で2.1%上昇。 解説は、NHK、日経の記事を参照。 いずれにしろ、物価の前年比上昇率は高い。くどいようだが、背景は、 (1)コロナ禍で工場閉鎖などが起き、物流・サプライチェーンが滞ったこと。 (2)ウクライナ紛争でエネルギー価格、農産物価格が高騰したこと。 (3)米国のコロナ禍対策で財政拡大⇒米消費急膨張

  • 165 米 不可思議な逆イールド

    不可思議ではないのかもしれないが、国債1月ものから始まって全年限利回りがFFレートを下回っている。 銀行以外はFFを利用できないので、理論的に不思議ではない。 ましてや、「銀行預金は嫌だ、国債の方がいい」というなら、なおさら国際需要は高まるだろう(MMFを通じての需要も含む)。 それでも不思議だ。 今のFFレートは4.83%、そして、FRBは年末のFFレートの予想を5.1%としている。にもかかわらず、6カ月物国債利回りは4.76%に、1年物は4.386%に低下した。 考えてみてほしい。普通預金金利が4.83%(しかも、9か月後には5.1%に上昇する方向)なのに、金利が4.386%の

  • 164 2023年3月22日FOMC 金融不安は横において

    ・FF金利の誘導目標レンジを0.25%引き上げ4.75〜5%とした。 ・また、国債、機関債、ローン担保証券の保有量の削減を継続する。 ・経済見通しでは、FOMC参加者が見込む23年末の政策金利は中央値で5.1%。つまり、あと1回の利上げを行って、その後据え置くということだ。 (声明文では今後の利上げについて「継続的な」という表現がなくなった。) ・24年末の政策金利の予想は4.3%。 ・銀行問題を放置すれば銀行システムが脅かされる可能性があり、全ての預金の保護、融資プログラムの新設を行った。 それでも、銀行を巡る問題は、家計や企業の信用状況を厳しくし、経済活動や雇用、インフレに影

  • 163 メモ クレディ・スイス、2.2兆円分のAT1債が無価値に

    クレディ・スイス、2.2兆円分のAT1債が無価値に - 日本経済新聞 これはないだろう。これでは、金融市場の混乱を煽るばかりだ。 破綻もしていない銀行の社債(AT1債)を勝手に無価値にする(ワイプアウト)のは横暴だ。 他にもAT1債を発行している銀行もある。 今後は、AT1債発行による資金調達は難しくなる。 CSのAT1債の保有者はどうなる。 (この処置の背景を勝手に憶測すると、・・・最後を参照。) こんなありえないことが起きれば、金融市場はルール無しになってしまう。 UBSがCSを買収とのことで、CSの高利回りのAT1債を買った投資家もいるようだ。 この決定は、UBSによるも

  • 162 FX必須情報#015 為替相場と金利差

    (1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)SVBの破たんで今後の成り行きがにわかに難しくなった。 これをもって、金融政策が転換点を迎えたのか?雇用市場や物価に影響が出るのか?注意深く見る必要がある。今のところ皆目見当がつかない。 22日(日本時23日未明に)FOMCの結果発表がある。FRBがどのように考えているか、わかる最初になる。(今はブラックアウト期間

  • 161 為替 投機筋のポジション 円安スタンスに転換したところで

    前回記事 2023年1月23日 118 為替 投機筋のポジション 円高スタンスに転換 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄い。そしてそれに基づいてポジションを張る。投機筋の動きは参考になるときがある(いつも参考になるわけではない)ということだ。 では、為替先物における彼らのポジションを見てみよう。 (1)円/ドルポジション (先物市場ではドル/円ではなく円/ドルである。 赤の棒線が投機筋の円買い越しポジションである。目盛は右軸で上下を

  • 160 CFTC 米日株の投機筋の先物ポジション

    米国投資家は、 米株のポジションを取るときは、通常、S&P500 ETFの信用売買を使う。 日本株先物はシカゴでなく、大阪取引所がメインだろう。 また、株の場合、ショートしていても有事の際に買い戻すことはないだろう。 というわけで、投機筋のシカゴ市場の先物ポジションは、重要な情報ではない。参考まで。

  • 159 米 投機筋が踏み上げられて異常な金利低下

    米国金利急低下。 SVB破綻をきっかけとして投機筋がshort squeezeされた。 ということなので、この金利低下は投資家の相場感を反映したものではない。 金利低下は行き過ぎ。2年金利は反騰しよう。 但し、10年-2年のスプレッドはマイナス幅が拡大すると思われるので、10年金利の反騰は小さく、弱含みが続こう。 参考 ・市場急変、ファンドを直撃 シリコンバレー銀破綻で成績悪化 銀行株買い裏目に - 日本経済新聞 ・ヘッジファンドがやけど、SVB破綻前に円ショートが高水準 - Bloomberg 米国債先物の投機筋のポジションを確認する。データの出所はCFTCである。3月7日まで

  • 158 SVBの破たんの余波

    SVB破たんの連鎖はないと思う。 しかし、米国では、 ・Fedは量的引き締めをしている。 ・テック大手のリストラ続々。 ・ISM製造業指数は47.7とリセッションに近いレベル。 今後、景気悪化、銀行含む企業業績の悪化から中小金融機関の行き詰まりがでてきてもおかしくない。 市場はそう考え始めたようだ。 クレディスイスの問題は、銀行の財務状況に特に問題があるとは思えないのだが、とにかく怪しいことに巻き込まれ過ぎている。この銀行にはかかわりたくないという気持ちが大きいだろう。それが問題だ。思わぬ事故がおきる気がしているのだろう。SVBと違って、規模が大きく、広いカウンターパーティーリスクの

  • 157 今日は米国利上げ記念日

    ちょうど1年前の今日(米国3月16日、日本時では3月17日未明だが)、FRBは利上げを開始した。 そして、1年で4.5%という驚異的なスピードで利上げを行った。案の定、犠牲者が出た。シリコンバレー銀行(SVB)だ。 米シリコンバレー銀行が経営破綻に至り、金融市場に動揺が広がっている。同様に破綻へ至ったシグネチャー銀行と併せ、そのメカニズムを簡潔にひもとくとともに、今後の市場への影響について展望した。 以下は、次のサイトでご覧ください。 「SVB破綻」は米利上げの犠牲者、市場への影響をベテラン専門家が展望 政策・マーケットラボ ダイヤモンド・オンライン 昨日からクレディ

  • 156 FX必須情報#014 為替相場と金利差

    (1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)今のドル円為替レートと米日金利差の連動図は後記するが、SVBの破たんで今後の成り行きがにわかに難しくなった。 (A)SVBの破たんで仕切り直しになるのか? (最近の仕切り直しについては、146 FX必須情報#013 為替相場と金利差を参照) (B))SVBの破たんで米金利は急低下した。2年金利は実効FFレート(誘導

  • 155 米雇用統計 どころじゃない

    パウエル議長の下院での証言で、ウォーレン議員と喧嘩。 Watch Warren Says 2 Million Jobs Will Be Lost Due to Powell Policy - Bloomberg 民主党ウォーレン上院議員は「金融引き締めで約2百万人が失業する。」と質問するが、パウエル議長は「引き締めしなくて6%のインフレのままの方がいいのか?」と言い返している。動画を見ればわかるが、パウエル議長はかなり激しい。 この時は、大幅利上げの可能性大。 何と言っても重要なのは、シリコンバレーバンクの経営破綻。 (リーマンショックの前にパリバショックがあった。今回のSVBショッ

  • 154 バイデン米政権が2024年度予算教書発表

    日本では岸田氏が分配を唱えて首相になった。1億円の壁問題もうやむやになった。 米国では、予算教書で分配の強化を打ち出した。共和党が同意すれば成立する。実際にはその可能性は殆どないが、政府としての立場は明確にした。 日本も、もっと真剣に富裕層への課税強化に取り組むべきだろう。 バイデン米政権が2024年度予算教書発表 ―ジェトロ ・1億ドル超の資産を保有する上位0.01%の富裕層に対して25%の最低税率を設ける(所得だけでなく富を対象とする新税) ・年収40万ドル以上の独身者と45万ドル以上の夫婦の最高税率は37%から39.6%とトランプ前大統領の減税以前の高水準に戻す。(累進課税

  • 132 メモ 昨日の米株下げ

    SVBファイナンシャルが大幅安 ついに、利上げの犠牲者が出た。 成長企業向けに銀行業を営むSVBファイナンシャル<SIVB>が大損。 詳細は、後で調べる。Q1 2023 Investor Letter 同社は「金利の上昇で、銀行顧客が困難になることが予想されるため、・・・」と述べています。 株価は木曜日に60%下落した。 銀行株は軒並み大幅下落 銀行顧客(事業会社)が困難に陥っているのでは?

  • 151 日本株相場と米国株相場の連動性

    ここでは、日本株相場として日経225、米国株相場としてNYダウを用いる。 長い間、上昇率は違っても、同方向に動くという意味で両者には高い連動性がある。(日本のバブル崩壊後は、米国株の上昇率の方が大きい。) 両者の連動性は、やはり、米国の経済動向がグローバル経済を左右しているということだろう。勿論、中国経済も重要であるが、中国経済の強さの源泉(資金)は米国への輸出からきているので、やはり、米国経済(消費)が重要だということだ。 米国がこんなに主導権を取れる背景は基軸通貨国だということだ。いくら米国が貿易赤字になっても、海外の国が米国債を買ってくれるので、米国はお金につまることがない。

  • 150 パウエル米FRB議長の議会証言

    パウエル議長は3月7日、上院銀行委員会の公聴会で証言した。 最新の経済データ(雇用や個人消費など)は予想を上回る強さとなっており、インフレ圧力は従来の想定を上回っている。 今後のデータ次第で、利上げのペースを加速する。 2月のFOMCでは利上げ幅を0.25%にしたが、次回会合では0.5%に引き上げる可能性がある。 また、最終的な政策金利の水準は従来想定より高くなる可能性が高い。 インフレ率が2%に回帰するには、住宅を除くコアサービスのインフレを低下させる必要がある。但し、住宅を除くコアサービスでは今のところディスインフレの兆候はほとんどない。 家賃を除くサービス価格の前月比、3か

  • 149 日本経済の目標 シリーズ (3)

    今から5年以上前のことであるが、ネットで。増税や社会保険料の引き上げがある都度、その項目を積み上げていくスレがあった。今はどうなっているのか知らない。今も続いているのだろうか?とにかく、それを転載すると、 ・消費税増税5%→8%→10% ・所得税増税 ・住民税増税 ・相続税増税 ・高層マンションにかかる固定資産税見直し ・一定の空家等の土地に対する固定資産税・都市計画税が増税。 ・贈与税の税率構造の見直し ・退職金の住民税控除廃止 ・国民年金料引き上げ ・厚生年金保険料引き上げ ・年金支給0.7%減額 ・年金支給開始年齢の引上げ ・企業の組合健保の保険料引き上げ ・診療報酬引き上げ(

  • 148 日本経済の目標 シリーズ (2)

    このシリーズはメモなので、まとまりがない、同じことが重複して出てくるので、悪しからず。 今の日本に必要なのは、名目GDPを拡大することだろう。 名目GDPが拡大すれば、企業の売上高、賃金、税収などが拡大し、増税は抑えられるし、公的サービスの水準も維持できるだろう。 この場合、内閣府の試算によれば、名目GDPは3%以上の成長が必要になる。 名目GDPを拡大するためには、「… → 企業の売上高増加 → 賃金上昇・設備投資拡大 → 消費増=企業の売上高増加 →…」という好循環(経済の自律的拡大)を起こす必要があろう。 以前は、経済が停滞すると、「金融緩和→円安→輸出拡大→輸出企業の売り

  • 147 日本経済の目標 シリーズ (1)

    いずれまとめたいと思うが、とりあえず、そのためのメモとして書いていく。 模擬試験の偏差値だったり、血液検査のデータだったり、何でもそうだが、判断基準としての数値がある。 経済指標を見るときの判断基準は? それは、誰が見るかで変わってくる。経済学者、内閣府や日銀、企業、投資家・・・ 私のnoteでは、投資家の立場で相場判断のために経済指標をチェックしている。 と同時に、日本国民として望ましい経済へ向けてという概念でも見ている。 (1)経済(政策)の目的・目標 これが最終的な目標である 経済成長、完全雇用、物価安定、経済のサステイナビリティ(持続可能性) (2)経済成長(景気がいい)

  • 146 FX必須情報#013 為替相場と金利差

    (1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)最近のドル/円為替相場の仕切り直しは、 (a)昨年10月21日の日本の2回目の為替介入直後の、米国で利上げ⇒景気後退⇒利下げが意識され始め、米10年金利の低下が始まった時。円高へ。 (b)昨年12月20日、日銀が10年債利回りの許容上限をそれまでの0.25%から0.5%に拡大した時。円高へ。 但し、その後、依然米国

  • 145 東京23区物価 脱デフレ

    東京23区 2月の消費者物価指数3.3%上昇 上昇率は鈍化 NHK  東京都区部物価3.3%上昇 2月、電気代抑制で13カ月ぶり鈍化 - 日本経済新聞 東京都区部の2月の消費者物価指数(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比3.3%上昇した。1月の4.3%から伸びが鈍化した。政府による電気・ガス料金の抑制策の効果が表れた。その効果を除いた指数の上昇率は、さらに高くなっている。 足元の物価上昇が激しいのは事実だが、今の前年比物価上昇率高騰には、新コロショック(2020年1-3月)後物価が低下していた前年比効果もある。 3年前比で物価上昇率(年率)を見ると、1

  • 144 米国 ISM(景況感) 依然低調

    米ISM製造業景気指数、2月は4カ月連続で50割れ 新規受注回復 ロイター 2月の米国企業の景況感は前月から大きく変わらず低調。サブ指数の新規受注は拡大したが、50割れに変わりはない。価格指数は大きくなったが、意味のある変化には見えない。 ISM製造業景況感指数の47.7は実質GDP成長率がゼロ近いことを示唆する。 これだけISM製造業景況感指数は低調なのに、雇用の増加数は依然高い。どうなっているのか? そして、この雇用の強が高い賃金上昇率につながっており、物価を押し上げている。 ISMが低調ということは、企業収益(eps)が減益になる可能性を示唆している。 米国株価の前

  • 143 FX必須情報#012 為替相場と金利差

    (1)為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要だ。 (2)今の、ドル円為替相場と米日金利差の関係は後記。 (3)政策金利はあと3回利上げで、ターミナルレートは5.25-5.50%。 (4)ただし、長短金利差はマイナス幅が拡大し、長期金利は、当面、ほとんど変動しない。中期的には下がる。 (5)よって、ドル円相場は、当面横ばい、その後円高へ。 というシナリオを考えてきたが、(

  • 142 日本の消費者物価 ピークアウトか?

    1月 消費者物価指数 去年同月比4.2%上昇 41年4か月ぶりの水準 NHK 日本の消費者物価、1月4.2%上昇 41年4カ月ぶり伸び - 日本経済新聞 1月の生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比で4.2%上昇。 円安や資源高の影響で、食料品やエネルギーといった生活に身近な品目が値上がりしている。 来月からは、物価上昇率は低下し始めると思うが、上昇率が低下するだけで、物価が低下するとは思えないので、賃上げがなかった人にはつらさは残る。 永浜利広第一生命経済研究所 首席エコノミスト CPIインフレ率を財とサービスに分ければ、輸入物価の影響を受けやすい財が前年比+7.2%

  • 141 ユーロ圏の物価 依然高い

    1月のユーロ圏消費者物価指数の上昇率は前年同月比8.6%、エネルギーや食品などを除いたコア指数は過去最高の同5.3%。 ロシアのウクライナ侵攻が引き起こしたエネルギー高で、欧州は数十年ぶりの深刻な物価高に見舞われている。その影響がまだ続いている。 ECBは、来月に0.5ポイントの利上げを行うことをほぼ確実にした。

  • 140 ドイツの景況感

    ドイツの代表的な景況感指数はifoだ。 ドイツの大手経済研究所であるIfo経済研究所は、毎月、国内の約9,000社を対象にアンケート調査を実施。 現在の景気に対する見方を示す「現況指数」、半年後の見見方を示す「期待指数」、両指数の平均の「企業景況感指数」の3種類がある。 で、22日に発表された2月の独企業期待指数は88.5と、前月の86.4から上昇した。企業景況感指数は91.1と、前月改定値の90.1から上昇した。 ifoのクレメンス・フュースト所長は発表文で「(エネルギー危機や高インフレにもかかわらず、)ドイツ経済は徐々に弱さを脱しつつある」とコメントした。 とはいえ、回復力は鈍い

  • 139 日本企業(TOPIX)の収益(eps)予想

    ダイヤモンドオンラインに、日銀新総裁で日本株相場はどうなる?市場に好影響の妙手はあるか 政策・マーケットラボ を書いた。 そのなかで、企業収益予想をしているが、原稿の制約から、表記について省略しているので、ここに補足したいと思う。 ここでは、TOPIXのepsをマクロデータからトップダウン予想するときのベースを示す。

  • 138 政策金利と長期金利の関係

    前回、「長期金利の水準は将来の短期金利に対する期待によって決定する(純粋期待仮説)」と書いたが、これは平たく言えば、「長期債を満期まで保有するのと、その間、短期債をつないで保有するのと、結果として同じ収益になる」という考え方だ。 下表のように短期金利が推移すると市場で予想されているなら2年債の利回りは4.606%になるだろう。なぜなら、短期債をつないで保有するのと2年債を満期まで保有するのと同じ元利合計になるからだ。 短期金利(FF金利)の推移をグラフにすると次の通り。来年(2024年は急速に政策金利が引き下げられると市場は見ているようだ。つまり、今年後半はかなりの景気減速が起きる

  • 137 FX必須情報#011 為替相場と金利差

    2月1日のFOMCで、パウエル議長ははっきりと『we are talking about a couple more rate hikes』と言った。あと2回は政策金利を上げるということだ。市場はあと1回と考えていたが、ひょっとしてと思い始めた。そして、2月3日の雇用統計、2月14日発表の消費者物価、2月15日発表の小売売上高、2月16日発表の生産者物価で、あと2回ではなく、後3回もと思い始めた。 これで「長期金利の水準は将来の短期金利に対する期待によって決定する(純粋期待仮説)」との考え方から長期金利は上昇。それに伴い、米日金利差は拡大しドル堅調となった。 FOMCがあった2月1日

  • 136 商品相場 と 米株価、豪ドル相場

    商品相場(ベースメタル相場)は世界景気を反映する。つまり、商品相場(ベースメタル相場)は世界経済のプロキシだ。 商品と言っても、ロシアやOPECなどに左右される原油相場や天候によって左右される農産物、景気とは無関係な需要がある貴金属を含まないベースメタル(銅やアルミなど)相場が世界景気を計るのに適当だ。 参照 ドクター・カッパーは何を診る? | 日本経済新聞 今回は、そのコモディティー相場(ベースメタル相場)と米国株価、豪ドル相場の関係をチェックする。

  • 135 米国株と金利

    米国で、企業業績予想が急速に下方修正されていく中で株価は堅調だ。 米国株相場の見通しについては改めて取り上げるが、とりあえず、米国株相場(S&P500)と金利の関係をチェックする。

  • 134 米生産者物価(卸売物価)2013年1月 前月比大幅高

    1月の生産者物価指数=卸売物価指数(最終需要向け製品・サービス)は前月比0.65%(年率8.17%)上昇。前年同月比では6.03%の上昇。 生産者物価指数=卸売物価指数は生産者や小売業者、物流業者などの企業間で取引される製品やサービスの価格変動を映す。最終的に消費者向けの物価にも影響する。 食品、エネルギー、運搬を除いたコアPPI(生産者物価指数)は前月比0.58%(年率7.26%)上昇、前年同月比では4.50%上昇。 前月比がこんな高くては、前年同月比の低下も限らてくる。 サプライチェーンの問題が改善し、商品価格は低下しているが(一部のベースメタル価格は反騰している)、生産者物価

  • 133 米小売売上高 堅調

    米国で、2月15日、小売売上高、鉱工業生産、NAHB住宅市場指数、ニューヨーク連銀製造業景気指数が発表になっている。どれも堅調だった。 特に小売売上高が注目された。 小売売上高が焦点になっているのは、過剰消費からの戻り具合を見ているからだ。 小売売上高(金額ベース)、実質小売売上高(数量ベース)のどちらも、過去のトレンドから上に大きく乖離しており、つまり、過剰消費=過剰ディマンドを起こし、物価を引き上げている。 金融引き締めで、こうした需要が抑制され始めており(但し、金額ベースではインフレの影響を受けている)、トレンドラインに回帰しつつあったが、1月のデータは逆行した。まだまだ、物価

  • 132 米国インフレ どこからどう見ても沈静化していない

    パウエル議長が注目するコアサービス価格 前月のデータを上書きしてしまって、わからないが、前回発表値は大幅上方改定されたのではないか? いずれにしろ、インフレは沈静化していない。

  • 131 日本のGDP 何が問題か?

    ニュースでは前期比〇%とか報じられるが、そういう問題ではない。なが~く経済(名目GDP)が停滞しているのが問題なのだ。評価は持続的(継続的)名目GDPの3%成長目標に対してどうかということだ。現実は、まったくそれどころではない。 なぜか? 私のguessによる回答は前回書いた。 実は、GDPから輸出入を除いた国内需要はかなり伸びている。企業も家計も電気代などエネルギー料金を高くても払っているからだ。出費は嫌でも増える。少々の節約を凌駕する価格高となっている。 家計で見ると、支出金額(名目)は増えているのに、消費量(実質)は増えていない。電気の使用量は増えていないのに、支払金額は増え

  • 130 日本のGDP かろうじて独を上回る

    速報値ベースだが2022年の日独GDPのデータが出た。 かろうじて日本がドイツを上回った。かろうじてである。四半期ベースでは、2022年7ー9月期は逆転していた。今年は逆転されるかもしれない。それはまずいだろう。ますます日本の存在感が薄くなっていく。 日本の(名目)GDPはほとんど伸びない。ドイツはなぜあんなに伸びるのだろう?日本以上にエネルギー輸入に苦しんでいたはずなのに? ドイツは輸入エネルギー価格高を商品・サービス価格に転嫁できているということだろう。つまりは家計報酬(賃金)も上昇していて、物価高を許容できるのだろう。日本のように、価格転嫁できない中小企業、賃金上昇が

  • 129 米国10年国債利回りは上がるか下がるか?

    ドル高/円安が反転し始めたのは昨年10月後半である。2回目の為替介入のときであるが、米長期金利の低下が主な要因だろう。今年に入ってドルが持ち直してきたのは、米10年国債利回りの低下が止まったことが背景だろう(5年債利回りも同様)。 米金利(米日金利差)とドル円相場の関係は次回(130 FX必須情報#011 為替相場と金利差)参照。 為替相場は、「時々ファンダメンタルズを反映する形で仕切り直ししては金利差と連動」というパターンになることが多い。なので、中長期的にはファンダメンタルズが重要になるし、短期的(あるいはファンダメンタルズに大きな変化がない場合)には金利差が為替相場にとって重要

  • 128 日本の物価指標

    植田さん関連の記事をたくさん見て感じたことがある。 (1)黒田氏はじめ、殆どの人は物価指標として「生鮮食品を除く総合」を見ている。その他の指標はほとんど出てこない。 (2)日銀はデフレ脱却していないという認識だが、国民や市場、海外は、日本はもはやデフレではないという認識だ。 そういうなかで、植田氏は、『食料・エネルギーを除く基調的なインフレ率は2022年5月時点で0.2%とほとんど上がっておらず、2%のインフレ率を持続的に実現するという目標には程遠い。(2022年7月6日 経済教室)』と、食料・エネルギーを除く消費者物価指数を持ち出している。 米国経済を見ている人なら、何も思わないが

  • 127 日銀新総裁で日本株相場はどうなる?

    ダイヤモンドオンラインに、日銀新総裁で日本株相場はどうなる?市場に好影響の妙手はあるか 政策・マーケットラボ   を書きました。 書いたときは、『政府は雨宮正佳副総裁に就任を打診した』と報じられているときだったが、確信を持てなかったので、雨宮氏を前提に書いていない。 内容は読んでもらうとして、テーマは日本株の相場予想である。 日銀新総裁が、財務省出身でもなく、日銀OBでもない植田氏に決まったが、東大理学部数学科・経済学部学士入学である。高橋洋一氏もそうじゃなかったかな?(後で、wikiで調べる) 高橋氏はどうだかしらないが、植田氏は言うことが数学的だ。妙なしがらみ

  • 126 新日銀総裁

    新日銀総裁は元日銀審議委員の植田和男氏に決まりのようだ。 雨宮正佳副総裁は打診を受けたが辞退。 副総裁は内田真一理事、氷見野良三前金融庁長官。 現総裁の任期は4月8日まで。政府は人事案を2月14日に国会に提示。 衆参両院の同意を経て政府が任命する。 植田氏をよく知っているわけではないが、日銀審議委員のときは市場で評価されていた。 理論的なのである。 ■植田和男氏「日本、拙速な引き締め避けよ」 物価上昇局面の金融政策: 日本経済新聞 2022年7月6日 ■金融研究所40年を振り返って:マクロ経済・金融政策分析の観点からを見ても、よくわかる。 現在の金融政策にも深い洞察を持っているが

  • 125 23年1月 雇用統計とISMサービス業 強い

    2023年2月3日(金)二つの重要な経済指標の発表があった。 (1)雇用統計 米1月雇用者数51.7万人増、失業率は53年ぶり低水準 賃金の伸び鈍化 ロイター 米就業者数51.7万人増 1月雇用統計、失業率は半世紀ぶり低水準: 日本経済新聞 (2)ISMサービス業(非製造業)景況感指数 1月米サービス業景況感、2カ月ぶり「好況」 受注回復: 日本経済新聞 米1月雇用者増加数は予想外に強く、1月ISM非製造業景況指数も大きくリバウンドした。結果、米金利は急上昇し、ドル高になり、株価は下落した。但し、株価は下落したと言っても、下落幅は大きくない。(株価は予想金融政策動向に沿って動い

  • 124 2023年2月1日FOMC これまでの方針通り

    ・政策金利を0.5%引き上げて、誘導目標を4.5‐4.75%にする。 ・バランスシートの規模を縮小するプロセスは継続する。 事前の予想通り、というより、FOMCが示唆していた予定通り。 参考 2022年12月14日FOMC これまでの方針通り FOMC声明要旨「インフレ率やや鈍化」: 日本経済新聞 今回のFOMCに対する株式市場の反応には驚いた。 金利、為替相場は予想通り。 株価は、FOMC前のISMなどの経済指標を受けて下げていた⇒FOMCの結果発表後は利上げ継続が意識され、下げ幅が500ドル超に拡大する場面があった⇒パウエル議長の会見中に急速に急反騰。「これまでのインフレ鈍化

  • 123 米国 ISM(景況感) JOLTS(求人) ADP(民間雇用)

    米国 ISM(景況感) 、JOLT(求人)、 ADP(民間雇用) 各統計が発表になっている。企業の景況感は悪化しているが、賃金上昇圧力は続いているという判断でよさそうだ。ということは、企業業績は悪化しているのに、利上げは続きそうだということで、株価にはネガティブ。長期金利は長短金利差のマイナス幅拡大⇒長期金利低下、ドル安 が示唆される。 この後発表されるFOMCの決定でも、大きく見方が変わることはないだろう。 ■米ISM製造業景気指数(製造業景況感指数)、1月は47.4に低下 20年5月以来の低水準 ロイター ■米ISM製造業総合景況指数、1月は47.4に低下- Bloomber

  • 相場の基本感

    日米金利、日米株価、ドル円為替相場について、 今、私の頭にあるのは以下の通り。

  • 121 最近の米国経済

    今週は、米国で、FOMC、ISM、JOLTS、雇用統計の発表がある。昨年10-12月期の業績発表も続く。 先週は、GDP、耐久財受注、PCE(個人所得、支出、価格)、住宅関連の指数(12月新築住宅販売件数、12月中古住宅販売保留指数(成約指数))、新規失業保険請求件数などの発表があった。 決定的なデータは見当たらなかったと思う。 なので、次のFOMC(2月1日)では、予定通り0.25%の利上げとなり、3月22日に0.25%利上げされる可能性が示唆されると思う。問題は、その後で、そのまま据え置きになるか、5月3日にさらに0.25%の利上げがあるか?インフレ率が低下してきてるのは間違いなさ

  • 120 東京23区物価 1月も凄まじい上昇

    東京23区 1月の消費者物価指数 4.3%上昇 41年8か月ぶり NHK 物価高騰 東京都区部物価4.3%上昇 1月、41年8カ月ぶり高水準: 日本経済新聞 持ち家に対し家賃を払ったものとする帰属家賃と生鮮食品を除いた物価上昇率は5.3%。凄まじい。 しかし、その要因の多くはエネルギーや輸入食料(その加工食品)で、国内に起因するものではない。 賃上げ機運が高まっている背景は物価高だが、外圧(輸入物価)ということだ。日本の政策や事情によるものではないのが悲しい。 食料及びエネルギーを除くと、東京都区部の12月の物価上昇率は1.7%だ。 既にエネルギー価格の上昇は止まっている(下

  • 119 米債、米株 投機筋のポジション 踏みあげられやすい状態

    (1)米国債 米国債先物には、2年物、5年物、中長期物(残存6.5年~10年)、10年物(残存10年)、長期、超長期の6種類ある。 最も取引量が多いのは中長期物(残存6.5年~10年)である。 参照 Most Active Futures - Barchart.com

  • 118 為替 投機筋のポジション 円高スタンスに転換

    前回記事 2022年12月25日 為替 投機筋のポジション ユーロで特徴的 最初に、いつものように、念のため、 相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。むしろ、彼らも相場の後追いをすることが多く、彼らもしばしば間違う。 しかし、投機筋の情報収集力は凄い。そしてそれに基づいてポジションを張る。投機筋の動きは参考になるときがある(いつも参考になるわけではない)ということだ。 では、為替先物における彼らのポジションを見てみよう。 (1)円/ドルポジション (先物市場ではドル/円ではなく円/ドルである。 赤の棒線が投機筋の円買い越しポジションである。目盛は右軸で上下を逆にして

  • 117 米国長期金利動向の基本感 逆イールド広がる

    ドル高が反転し始めたのは昨年10月後半である。2回目の為替介入のときであるが、米国長期金利の反落が始まったのも同時である。その後のドル安の背景は、米長期金利の低下が主な要因だろう。 その米長期金利の予測手法はいろいろある。機械学習を用いた予測モ デルもある。優れたモデルもあるかもしれないが、私が現役の頃トライしていたものはイマイチであった。通常、我々が長期金利動向を考えるときは、経済動向に沿って決まると考えるが、今回はちょっと違う。

  • 消費者物価22年12月4.0% 1981年以来 41年ぶりの高水準

    昨年12月の生鮮食品を除いた消費者物価指数は前年同月比で4.0%上昇。 4.0%の上昇率は1981年12月以来、41年ぶりの水準。 原材料高や円安の影響で価格転嫁が進む食料の伸びが拡大したほか、電気代を中心にエネルギーも上昇に寄与した。 今回の物価高は『輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響』によるものだが、既に国際商品価格は下落してきており、為替相場も円高に転換しており、輸入物価は低下し始めている。半年ぐらいの時間差をおいて消費者物価に反映してこよう。米国と違って、国内要因(超過消費、賃金上昇など)がほぼないので、消費者物価上昇率は今回のデータがほぼピークで、春ごろから低下に向か

  • 115 米 新規失業保険申請件数 Philly Fed index 景気は弱いが、雇用・価格は堅調

    2022年12月の住宅着工件数は1.4%減の年率138万2000戸。 将来の建設を示す建設許可件数は1.6%減の年率133万戸。 住宅市場の後退は23年も続きそうだ。 新規失業申請件数は、前週の20万5千件から19万件に減少。 非常に低い。それだけ雇用市場がタイトだということだ。 新規失業保険申請件数は、フィット率は必ずしも良くないが、非農業部門雇用者前月比増加数で45万人に相当。雇用市場が非常に強いことを示唆。つまり、賃金上昇率にも上昇圧力がかかっており、ひいては物価上昇圧力にもつながる。利上げが続きそうということだ。 1月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数は、12月の-13.8

  • 114 米生産者物価(卸売物価)2012年12月 上昇率は大きく低下

    12月の米卸売物価指数、0.5%低下 インフレ鈍化の兆し: 日本経済新聞 12月の生産者物価指数=卸売物価指数(最終需要向け製品・サービス)は前月比0.5%下落。前年同月比では6.2%の上昇。 生産者物価指数=卸売物価指数は生産者や小売業者、物流業者などの企業間で取引される製品やサービスの価格変動を映す。最終的に消費者向けの物価にも影響する。 食品、エネルギー、運搬を除いたコアPPI(生産者物価指数)は前月比0.09%上昇、前年同月比では4.6%上昇。 サプライチェーンの目詰まり緩和と商品価格が下落していることを受けて、生産者物価の前年比伸び率は鈍化している。 次のグラフの生

  • 113 2023/01/18 米国市場 景気減速

    米国で、 ■鉱工業生産(実質値):12月に0.7%減少。2021年9月以来最大の月間減少。 米鉱工業生産、12月製造業は1.3%低下 予想以上の落ち込みに ロイター ■小売売上高:12月の小売売上高は1.1%減少。 米小売売上高、12月1.1%減 インフレで年末商戦不振: 日本経済新聞 ISM指数など、ソフトデータ(景況感)では示されていたが、ハードデータ(鉱工業生産のような経済活動の実指数)でも確認されるようになってきた。 グラフの小売売上高は実質である。米商務省が発表する名目値を実質化。鉱工業生産(実質値)と実質小売売上高から実質GDP前期比年率成長率を推計すると、12月は▲

  • 112 日銀 金融政策 据え置き <めも>

    <めも> 日銀は2023年1月18日の金融政策決定会合で現政策の維持を決めた。 長期金利の許容上限は0.5%程度のまま維持した。 ・読売新聞の「大規模緩和副作用の点検」リーク記事が全ハズレで市場混乱 ・長期金利低下、円安、株高、米国金利も低下した。 物価上昇率見通しは2022年度は3.0%、24年度は1.8%、23年度は1.6%。 物価の現状について「目先、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から高めの伸びとなる」。 緩和策を続けることで「企業が賃上げをできる環境を整えることが重要だ」と語った。 新たに決めたのは国債利回りを押し下げるための追加策だ。銀行など金融機関が持つ国債や

  • 111 NY製造業指数、20年5月以来の低水準

    昨日発表になったニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス32.9と、リーマンショック時並みの低さに低下した。 6カ月先の景況見通しは8.0で、前月から1.7ポイント上昇したものの、恐ろしく低水準であることに変わりはない。 しかし、価格指数は低下してきていると言っても、歴史的には高水準である。 景気は悪く、先行きの見通しも悪く、物価は高く、先行きも低下の見通しはない。悲惨な状態だが、雇用統計は堅調である。 参照 103 FRBと市場のギャップ の最後のグラフ。 で、昨日は、NYダウは1.14%下げたが、S&P500は‐0.2%、Nasadaqは+0.14%だった

  • 110 日本 GDPで世界4位に転落か?

    昨日のモーニングショーで、第一生命経済研究所の熊野さんによればということで、日本がGDP世界第4位に転落か?と言っていた。 ドイツに逆転されて、米国、中国、ドイツに次いでの第4位になるだろう?という。 ネタ元は ドイツに抜かれそうな日本 ~「まずい」の危機感がないと本当にまずい~ 熊野 英生 第一生命経済研究所 GDPでドイツに抜かれる? 日本は今年4位転落の瀬戸際 熊野英生の「けいざい新発見」 熊野英生 毎日新聞 私は、以前チェックして「それはない」と思っていたのだが、再度チェックした。 現在、2022年7-9月期までのデータが発表になっている。以下のとおりであ

  • 109 日本の消費者物価と輸入物価

    日銀は、16日、2022年12月の企業物価指数を発表した。 参照 企業物価、年間で過去最高 円安一服も高止まり: 日本経済新聞 そのなかで、輸入物価の上昇率はドルなどの契約通貨ベースで8.1%、円ベースでは22.8%の上昇だったが、円安と資源高が反転していることから低下してきている。 日本の物価上昇は、輸入物価の上昇が時間差を伴って消費者物価を押し上げてきた。以下、日本の物価と輸入物価の関係を見てみる。 輸入物価指数は、「消費者物価上昇率は今がほぼピークで、春ごろから急低下し、2%割れになる可能性がある」ことを示唆してい折る。 商品価格上昇率の低下 輸入物価上昇率の低下は、商品価格

  • 108 日本の10年金利 日銀の上限超え

    10年物国債利回りが、一時的にも日銀の金融政策で上限とする0.5%を上回っている。なぜ、政策に逆らって売り込まれるのか? このことについてポイントは (1)市場は10年金利のフェアバリューを、5%より高いところにあると考えている。フェアバリューはいくらか? (2)黒田日銀総裁の任期満了(4月8日)が近づいている。早ければ、副総裁の任期満了(3月19日)に合わせて辞任ということもあるかもしれない?黒田総裁はレームダック状態だ。このことも市場を勢いづかせている、 (3)昨年12月20日に、日銀が長期金利誘導目標幅の修正を発表すると、ユーロ/円とユーロ/日金利差との連動から外れる動きが起きた

  • 107 FX必須情報#010 為替相場と金利差 米金利の不思議

    の前に、ドル円に6週サイクルが見られる。いつまでも続くことはないが、1月16日~20日の週は2022年12月5日~9日の週と同じような展開か?つまり、前週末より若干円安(130円程度)の横ばいか? 冗談はさておき、今の相場のキーは、米国の2年や10年金利の低下である。市場は近い将来に利下げを期待していることになる。つまり、インフレの沈静化+景気後退(雇用市場の悪化)を予想していることになる。この予想の是非は別途取り上げるとして、そういうことが起きている。 それ(利下げ期待、2年以上の金利の低下)により、株価のPERは支えられ、ドル安が起きている。 以下、いつものように、定例のグラフ

  • 106 日本の経常収支昨年11月大改善

    2022年11月、日本の経常収支は大きく改善した。経常収支は季節性が強いので、それを調整した季節調整値を見れば、さらに明瞭。 主に二つ要因がある。 (1)原油価格が下落したこと。 原油価格は、2022年7月には116.48ドル/バレル、99,666円/㎘だったが、11月は100.38ドル/バレル、92,344円/㎘だった。これにより鉱物性燃料の輸入金額は減少した。 (2)証券投資収益のうち株式投資の配当が大きかった。株式投資の配当収入は、2021年11月は3,163億円だったが、2022年11月は9,388.6億円だった。異常な増え方だ。背景がわからない。これは一時的と思われ

  • 105 米国消費者物価 結論先送り

    米消費者物価、12月6.5%上昇 6カ月連続で鈍化: 日本経済新聞 米国の消費者物価は、さらに沈静化。 沈静化とい判断したのは、「食料・エネルギー・住居・中古車を除く消費者物価前月比上昇率」の12月が0.163%(年率1.975%)と低い点。3カ月連続で年率2%を下回っている。物価上昇率の基調は低下している。 しかし、目標の安定的に2%以下に沈静化するかと言われれば問題はある。 前回FOMC後にパウエル議長が注目していると言っていた(賃金上昇をより反映する)コアサービス価格が高止まりしていることだ。 今回は、エネルギー価格の下落が物価全体にも及んでいるが、サービス価格が沈静化し

  • 104 英株式相場コロナ後の高値更新

    『FTSE100は2018年8月以来、約4年5カ月ぶりの高値。』 という記事をみてびっくりした。 あの悲惨な経済状態の英国株が高値? 2020年後半からは各国で利上げが続いているのに? 新型コロナ感染拡大ショックが一段落した2020年9月末から今年1月11日までの先進23か国のドルベースのパフォーマンスを見ると、1位はオーストリアで60.5%上昇。時価総額は世界株式市場の0.1%もないような小さな市場だ。2位は、何と英国で37.7%。英国の時価総額は米国、日本に次いで3番目に大きい。 因みに、米国は12位で19.7%、日本は▲1.1%。但し、現地通貨ベースでは、英国46.8%、米国1

  • 103 FRBと市場のギャップ

    今、Fedはインフレ抑制しか頭にない。方や、市場はFedは景気後退から利下げに追い込まれると考えている。 この差はどこから来るのだろう? 実は奇妙なことが起きている。米国の2大経済指標に齟齬が起きている。 ISM製造業指数を見ると、昨年12月は48.4とリセッションレベル(47)に近づいている。今年前半にもリセッションに突入しそうだ。 一方、FRBが重視する雇用統計では、非農業部門雇用者数の前年同期比増加数は、昨年12月は4,419千人(月平均368千人)とかなり高い。リセッションどころではない。 足元の状況をより反映する3か月前比で見てもまだ高い。 これでは賃金上昇圧力は低下

  • 102 日本の家計調査に見る不思議

    家計調査を見ていて気になることがある。 以下は、「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータである。単身世帯は含まれないので注意。 (1)2019年から所得は顕著に増えている。しかも、配偶者の所得も増えている(共働きが増えたということもある)。家計全体では、過去5年間に年率2.5%の割合で増えている。政府は3%の増加率を目指しているので、かなり近づいてきている。 赤線は右軸 (2)収入は増えているのに消費は増えない 可処分所得(=実収入- 税・社会保険料)は増えているのに、消費は増えていない。2016年までは可処分所得の74%が消費に回っていた。残りは貯蓄や住宅ローンの返済。しかし、今

  • 101 東京23区物価 凄まじい上昇

    東京23区の12月の消費者物価指数4.0%上昇 約40年ぶり高水準 NHK 東京都区部の物価4.0%上昇 22年12月、40年8カ月ぶり: 日本経済新聞 持ち家に対し家賃を払ったものとする帰属家賃と生鮮食品を除いた物価上昇率は4.9%。凄まじい。 しかし、その要因の多くはエネルギーや輸入食料(その加工食品)で、国内に起因するものではない。 賃上げ機運が高まっている背景は物価高だが、外圧ということだ。日本の政策や事情によるものではないのが悲しい。 食料及びエネルギーを除くと、東京都区部の12月の物価上昇率は1.3%だ。 既にエネルギー価格の上昇は止まっている(下落している)、

  • 前回が100号

    昨年9月20日にnoteを書き始めて、前回が100号記念だった。 これまでの記録は以下の通り。 最も読んでもらえた記事は 66 FRBと金融政策について 基本事項 2022/11/27 次は、47 2022/11/2 FOMCでわかったこと 2022/11/4 だった。 時節柄という気はする。今は米国の金融政策に関心が高まっているのだろう。 1 日本の消費者物価 2022/9/20 2 米国株式相場の基本感 金融環境は悪く、業績不安も大きい 2022/9/21 3 日本株式相場の基本感 円安はいいが、海外経済不安 2022/9/21 4 米国超スピードの利上げ 2022/9/22

  • Fedが重視する4つの指標

    今の金融政策の最終的な目標はPCEデフレーター上昇率を2%以下に抑えることだが、そこへたどり着くまでの金融政策(利上げのスピード、到達点=ターミナルレート、その金利の据え置き期間など)を決める大きな指標は以下の4つ。 (1)求人倍率(失業者数に対する 求人数の割合) パウエル議長が講演会や記者会見でたびたび言及する。 2022年11月の求人数は1045.8万件。一方、同月の失業者数は601万1000人。失業者1人に対し求人が約1.7件ある計算だ。依然として米労働市場は逼迫している。 高賃金上昇率⇒賃金コストが物価を押し上げる という図式を抑えるためには、労働市場を緩ませる必要がある

  • 22年12月 雇用統計とISMサービス業 サプライズ

    (1)雇用統計の最も注目される時給増加率 減速 (2)ISMサービス業(非製造業)大幅悪化 50割れ FRBの目標は物価抑制。財の価格は減速しつつあり、サービス価格の下落(抑制)が焦点。そのため、需要抑制(要は景気悪化)⇒賃金抑制⇒物価抑制が狙い。今回、雇用統計で賃金上昇率の伸びが示され(一時的かもしれないので、その点は注意)、ISMサービス業で景気悪化が示された(多少の反動増はあるかもしれないが、この傾向は間違いないだろう)。 1月12日発表のCPIにもよるが、FRBは2月1日に0.25%の利上げを行うことは確かだが、その後、これまでの(累積的)利上げ効果を見るため、利上げをスト

  • 2023年1月6日 ドル円相場解説

    ドル円の動きがわかりにくい。 日本、今年、利上げはあるか?2023年1月4日 で書いたように、長く硬直的だった日本の金利に上昇が見えてきた。10年金利は年始から上昇し、昨日には-0.5~0.5%の誘導幅の上限に達している。 日本の金利上昇は円高への道のはずであった。しかし、年始からドル高が進んでいる。 今後の展開を、どういう風に考えればいいのだろう? 私も分からない。そのうえで、いくつか考えてみた。

  • 2023年1月5日 米国 強い民間雇用統計で株価下落

    2022年12月のADP全米雇用リポートで非農業部門の民間雇用者数は前月比23万5000人増と強かった。(通常、15万人以上だと強い。25万人以上だとかなり強い。) 2022年12月最終週の新規失業保険申請件数(204,000人)は低かった。(今は、強い・弱いの分岐点は概ね225千人)。低い方が経済は強い。 両者から、労働市場が底堅さを保っている⇒賃金上昇圧力が続いている⇒賃金コストがインフレ圧力を高める⇒FRBが政策金利を高く保ち続けるとの観測が強まった⇒金利上昇&ドル高&株価下落 という素直な反応。但し、利上げは将来のリセッション懸念を強め、金利低下の思惑から長期金利の上昇は続か

  • 2022年1月4日 米国市場 また不可解

    主要な経済指標が二つ ・これまでの金融引き締めにもかかわらず、11月の求人数(1045.8万件)は労働市場が引き続きタイトであることを示した。FRBはインフレを抑えるために現在の予想よりも高い水準に金利を引き上げる可能性があるといえよう。 11月米求人、微減の1045.8万件 労働市場なお逼迫: 日本経済新聞 求人件数は3月の約1186万件をピークに減少基調にある。しかし、11月の失業者数は601万1000人だった。失業者1人に対し求人が約1.7件ある計算で、依然として米労働市場は逼迫している。 ・景気動向を反映するISM製造業指数は12月に48.4と、11月49.0から低下。リ

  • 日本、今年、利上げはあるか?

    あるだろう。 つまり、日銀の超緩和策は後退するだろう。少なくとも、金利の正常化(マイナス金利の修正)は確実だろう。 ただし、政策金利は、▲0.1%から0%又は+0.1%への修正(利上げというより、金融政策の正常化)にすぎないだろう。 長期金利については、YCCを解除するか、緩やかなYCC(目標幅を±1%)となるだろう。解除したとしても、長期金利は0.5~1.0%のレンジ内で留まるだろう。 以上の見方が外れるとすれば、米国の景気後退が予想以上に大きくなる時だろう。この時は、日本の景気にも影響すると思われ、利上げは躊躇するだろう。それでも、日銀は市場との対話をうまく進め、金利の正常化(政策

  • 株価に弱気な投資

    私は、今年の株価(米日英独など)は昨年に引き続き下落、その後、長期低迷(幅の大きなボックス相場)と予想している。 そういう状況の時に、どういう投資をするか? 長期投資、分散投資、逆境に耐えられる企業に投資、株式相場と逆相関に動く資産に投資・・・。それはそれで否定しないが、株式相場が下落すると予想するなら、株式相場が下落すると単純に儲かるものに投資すべきだ。 機関投資家なら、株式先物をショートする。株式指数のプットオプションを買う。 では、個人ならどうするか?機関投資家と同じことができるなら、それでいい。しかし、そう簡単ではないだろう。私が現役のころは、S&P500の先物オプショ

  • 米国株 パフォーマンスが悪かった翌年は?

    2022年の米国株は最悪だ。(私はもっと下落すると思っていた。10月からの回復が不可解) 1950年以降の年間パフォーマンスは4番目に悪い。 1957年は、20年ぶりに配当利回りが債券利回りを下回るなかで、ソ連が最初の人工衛星を軌道に乗せたことで米国にショックが起きた。スプートニク相場という。 1966年はベトナム情勢不安ほか、悪材料が次々とでた。 年間パフォーマンスがマイナスになった翌年のパフォーマンスはどうだろう? 2回の例外を除いてすべて上昇している。2回の例外とは1974年と2001年だ。第一次オイルショックとITバブル崩壊(Nasdaqバブル崩壊)だ。 2023年は、その両方

  • 日本の「対ロシア貿易」で驚愕の事実

    日本の「対ロシア貿易」で驚愕の事実、制裁前よりも取引額が上回る異常事態に こんな記事を見た。驚愕の事実とか異常事態とかただならぬ書き方だ。 内容は、 日本は現在、ロシアに対して経済制裁中なのだが、輸入額は制裁前を上回るという異常な事態が起きている。ロシアに日本から巨額の貿易マネーが流れ込んでいる。貿易のカギを握っているのは、輸入ではエネルギーと水産物、輸出では中古乗用車である。岸田首相は対ロ政策はどうするつもりなのか。 で、日露貿易のグラフを作ってみた。今回はそれだけ。特に意味はない。 この貿易額をどう判断するのかは、わからない。 制裁効果は薄そうだとは思う。しかし、「驚愕の事実」

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