他作品へ 宇宙人が必要だ。 今の人類には、宇宙人が不可欠なのだ。 つまり危機感が無い。 今も世界のどこかで戦争が行われ、世界のどこかは飢餓で苦しんでいるというのに、この国の連中ときたら、自分だけは関係が無いと思っている。...
前ページ しかし、このままにしておくのも忍びない。 僕はどうしようかと少し考えを巡らせ、声を掛ける。「ナスタニさん、なんかすみません。でも、たぶんもう僕には無理です。大根でダメなら、もう無理です」「おぉぉいマジかよ無責任かよ、余計酷くなっ
前ページ 「いやいや、ちょっと待て、でも鼻はたぶんヤバいって!」「いや大丈夫ですって。祖母が言っていたんです。祖母を疑うんですか?」「いや、そういうわけでは……」 疑わないなら、従うべきだ。 「じゃあちょっとやってみましょうよ。先人の教えに
前ページ 日が暮れるのを待ち、再び墓地へと向かう。 墓地へ着くと、ナスタニさんはまた唸り声を上げながら苦しんでいた。「ナスタニさん、薬、効きませんでしたか」 僕は声を掛ける。 ナスタニさんは呻き声の合間に返事を返してきた。「いや、よく考
前ページ しかし翌日、依頼主から再度連絡が入る。 昨晩、またうるさかったらしい。 僕は少しげんなりする。 どうするべきだろうか。 少し考える。 考えた結果、この際、本当に医者を連れていくしかないと思い、総合病院から町医者、往診対応の.
前ページ 適当な胃薬を購入し、僕は再び墓地に戻る。 相変わらずナスタニさんは唸っていた。「ナスタニさん、薬、買ってきましたよ。飲めます?」「助かる! 礼を言うよ」 腐ったお酒を飲めた以上、薬だって飲めるはず。僕がペットボトルの水と一緒に
前ページ 「あの、どうして痛むのか、わかりますか?」 僕は少し話を聞いてみる。「ちょっと前に、他の墓にお供えしてあったお酒を飲んだら、それから痛む! あれ、腐ってやがったよ、ふざけんなよ!」 わりと自業自得だとは思った。 もう夏場も近く、す
前ページ 「君、俺が見えるんだろ!? だったら頼むから医者を呼んでくれ!」 幽霊はしきりに、がなりたてる。 しかし、僕は困る。 ――医者を連れてきても、幽霊が見えないと、どうしようもない。 そう思ったので、僕は返す。「いや、ちょっと申.
前ページ 夜9時。 幽霊もそろそろ呻く頃合いかと、僕は再び現場へと向かった。 車を依頼主のアパートの横へ止めさせてもらい、僕は墓地へと向かう。 墓地の周辺まで来ると、声が聞こえた。 低く、不気味に這いずり回る、濁音混じりに伸びた震える声
前ページ 現場に入る前に、僕は依頼主と会う約束をしていた。直接、状況を聞いておきたいし、前金も受け取っておきたい。 現場の墓地の前で、夕方に待ち合わせた。 僕が到着すると、既に依頼主と思わしき人物は待っており、見て、僕は驚く。 ――か
前ページ 少し、依頼主とメールでやり取りをした。 会話を重ねると、少なくともまともな人間には思えてくる。 少なくとも文面上では礼儀正しく、腰も低い。 僕はその依頼主が頭のおかしい人間ではないことを理解し、依頼を受けることにした。 メー
前ページ 僕には昔から霊感がある。 霊感というか、幽霊と話が出来る。 僕の祖母も幽霊と話せたらしく、生前は霊媒師を生業にしていたので、もしかしたら遺伝的なものなのかもしれない。 むしろ考えてみれば、どうして今までそっちの道を選ばずに過酷な
他作品へ 「医者を呼んでくれ!」 ……そう言われても、僕も困る。 「なんでもいいから医者を呼べ!」 困惑していると、更に言葉を重ねられた。 しかし僕はどうしたものか、本当に困ってしまう。 とりあえず無視して帰るかと、心は揺らいだ。...
前ページ やがて公園の砂塵は立ち消え、かつてロボットだったものの残骸が姿を現す。 ロボットは負けた。少年達の夢は、ミサイルという非人道的な科学の前にひれ伏した。 タダシはもう、何もかもが嫌になった。 ロボットの残骸の上で1人の老人が右手
前ページ カッコいい。 現れた人型巨大ロボットにタダシは眼を輝かせた。全ての少年がかつて憧れた巨大ロボット。それが今、タダシの目の前に降り立ったのだ。 アパートの3階から見つめるタダシと、人型巨大兵器との目線が重なる。ゆうに10メートル
前ページ 戦車対ロケットランチャー。 勝てるのか、ロケラン老師は。 タダシは先の戦いでの火力に魅せられていた。戦車がいかに堅牢であろうとも、全てを殲滅させる圧倒的な力を、ロケットランチャーに信じた。 いけ、ロケットランチャー、僕らの想
前ページ 初めて見る実物のロケットランチャーに、タダシは興奮していた。今までゲームの世界でしか見たことのないそれがそこにある。それだけでタダシは嬉しくなった。どうせこの2人も戦うのだろうから、ロケットランチャー老師を応援しよう。タダシは老
前ページ 戦うのだろうか。これは流石に無理なのではないか。タダシは老師Aの危機を感じた。 だがそれでも、タダシは格闘術の可能性を信じたかった。槍を前にしても怯まず立ち向かった老師A。逆境にも負けず武器という暗愚な企みを打ち破った老師A。タ
前ページ 老師Aが勝った。 タダシは嬉しかった。老師Bの無念を背負い、武器という残忍な企みを正義が打ち破ったのだ。喜ばずにはいられない。 やがて卑怯老師がよたよたと立ち上がり、老師Aと握手をする。 卑怯者のくせに潔ぎが良い。タダシは心の
前ページ 老師Aは腰を落とし両の拳を胸の前へと持ち上げ、再び構えた。槍を持つ老師もまた腰を落とし、その下から槍の先を老師Aへと向け、戦いの意思を示している。 戦うのだろうか、老師Aは先ほど壮絶な戦いを終えたばかりだというのに。それも、素
前ページ 数秒だろうか、タダシには長く感じたが、少しすると老師Bはゆっくりと起き上がり、老師Aはその側へと歩みを詰める。2人は熱い握手を交わし、抱擁する。 なんて美しいんだろう。 タダシの心は揺れ動いた。 こんなに美しい光景に、結果
前ページ ただ、タダシにはよくわからない。 何故、朝の公園で老人が2人で殴りあっているのか。よくわからなかったが、タダシは少し見守ることにした。彼らの動きはそれ程魅惑的で、かつて少年だった者が等しく目指した最強という言葉を2人の老人が体現
前ページ 白く長い髭。禿げ上がった頭。 この人達は仙人です、と言われれば、迷わず信じてしまうような、そんな外見。老人には似つかわしくない爆裂的な筋肉の量だけが仙人らしさからかけ離れ、違和感を放っている。しかしその鍛え抜かれた肉体に、タダ
他作品へ タダシは困惑していた。 早朝、という程ではないが、目覚まし時計に頼ることなく自然と目を覚ました休日の早い時間。見ていたであろう夢をすぐに忘れ、少し空腹すら感じるような、気持ちの良い寝起きだった。そんな日は真っ先にカーテンを開
前ページ 船は落下速度を抑え、水平飛行に移る。 僕は携帯電話の電波状況を確認し、電話を掛けた。 「……眼科、終わった?」 通話が始まるとほぼ同時に、彼女は言う。 僕は返す。「そうだね、ちょっと時間が掛かったけど、終わったと思う」...
前ページ 自室で必要な荷だけを簡単にまとめ、エレベーターで最下層に降りる。 最下層は緊急脱出用のハッチだけしかなく、エレベーターを降りると、目の前には小型の脱出艇が肩身狭そうに待っていた。 操縦席に潜り込み、タッチパネルへ地球の座標を入
前ページ 「それに」 彼は続ける。「お前がどれだけ何を頑張っても、結果は変わらない。そこは理解と覚悟をしておいたほうがいい」「何もしませんよ、僕は。誰にも言いませんし、逃げもしない。故郷の人に生きて欲しい、それはやっぱり本心です。ただ、皆の
前ページ 僕は続けた。「異星人である僕をどう思うかなんてわかりません。わからないし、興味もない。この先、僕の素性を告白するかどうかも決めていない。でも、彼女は僕を祝いたいと言ってくれたんです、今、僕を。他の星から来たとか、そんな表面上の事
前ページ 彼は新しい煙草を一吸いし、眉間に少し皺を寄せながら煙を吐き出す。気持ち良いのかどうか、表情からではよくわからない。 煙を吐き切ると、彼は続けた。「ということで地球人は殲滅しなければならん。我々が生きるために、だ。例えお前の彼女で
前ページ 「それはわかってますよ。受け入れてくれない以上、殲滅する他ないです。でも何ででしょうね? 皆、良い人なのに」「まぁ、良い人ばかりだとは俺も思うよ。でも個々人では良い人だけど、彼等は群れると妙に他集団を毛嫌う傾向があるって、わかった
前ページ 「いや、まぁ、姿形はほぼ同じだからさ、そういうこともあるのかもしれないけどさ……でも理性というものがさ、許さないと思うんだよ、俺はさ、普通」 彼は狼狽している。でも、別にそんなに変な事だとは、僕は思わない。「でも、祝ってくれたんで
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