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  • 彼はB専?! 「要さんの全てが好きです」

      事務所内がざわめいている。同じフロアで働く誰もが私を遠巻きに見て、コソコソと内緒話をしている。「あんな人、この職場にいたっけ?」「あれ、臼井さんでしょ?だって臼井さんのデスクにいるもの。」「どうしちゃったの?臼井さん。」こんな声が私の耳に

  • 彼はB専?! 「臼井ちさで来たら認めてやるよ」

    要さんのご自宅は、都内の下町にある和風建築な一軒家だった。築年数は古そうだけれど、門も庭の草木も綺麗に手入れされていて、要さんのおばあ様がしっかりとした老婦人であることを物語っていた。玄関の扉を開けると、要さんは大きな声で中にいるであろう人に呼びかけた

  • 彼はB専?! 「だから俺を切り捨てないで」

    和木坂課長から幸田ミチルに連絡が来たのは、その夜から3日後のことだった。 (今度の日曜日にどこか遊びに行かないか?) (行きたいところある?) 幸田ミチルとして和木坂課長と会うのは本当にこれで最後・・・。だったら一番行きたいところへ行って、

  • 彼はB専?! 「今、ここで電話してみようかな」

     和木坂課長に連れられて入ったオイスターバーの名前は「ムーンリバー」黒で統一されたモダンな店内のカウンターに、私と和木坂課長は並んで座っていた。JAZZのスタンダードナンバーが静かに流れ、間接照明のオレンジ色の灯りが、和木坂課長の憂いある横顔を照らす。

  • 彼はB専?! 「今夜は君と飲みたい気分なんだ」

    和木坂課長と約束した水曜日がやって来た。今日は更衣室のロッカールームに大きなカバンが詰め込まれている。カバンの中身は、幸田ミチルになるための洋服やバッグや靴。いくら私が職場でモブだからといって、気を緩めてはならない。和木坂課長には私、臼井ちさが幸田

  • 彼はB専?! 「和木坂課長がB専・・・?」

     家に帰り着いた私は、一眼レフのカメラを定位置に戻し、服を脱ぎ捨て、バスルームへと駆け込んだ。シャワーを浴びながら、クレンジングクリームを顔に塗りたくり、ジャバジャバとお湯で顔を洗い流し、幸田ミチルのメイクを落とす。バイバイ、幸田ミチル。そしてお帰りなさ

  • 彼はB専?! 「ミチルちゃんに一目惚れしました」

     フリータイムも終わり、とうとうマッチングの時間がやってきた。小さな紙にひとりずつ、マッチングしたい相手の番号を書き、スタッフが手早くその紙を集める。男女共に、お互いの番号が書いてあれば、カップル成立だ。でも私は本日限りの幸田ミチルだから、誰ともマ

  • 彼はB専?! 「幸田ミチルって・・・ブスだったの?」

    「ハイ、チーズ!」「ありがとうございました~!」「いえいえ。」私はダブルピースで被写体となっていた、茶髪ロングヘアーの女性にスマホを返した。女性は一緒に写った男性に「あとで写真、送りますね~」などと嬉しそうに話している。二人はもう連絡先の交換を

  • 彼はB専?! 「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」

     ねこんかつ会場「キャット×キャット」は、お洒落な猫カフェだった。今回の婚活パーティのキャッチコピーは「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」どこに句読点を付ければいいのかまったくわからない。恐る恐るその猫カフェの透明な扉を開けると、赤いルージュの

  • 彼はB専?! 「別人になってしまおう!」

     日曜日の朝。布団で惰眠を貪っていると、スマホから「ダースベーダーのテーマ」の着信音が流れた。久々に真紀からの電話だ。私は寝ぼけまなこで、のそのそと布団から手を伸ばしてスマホを掴み、横になったままそれを顔の前に掲げた。「もしもし。」「あーもしも

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