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  • 粉雪舞う白い世界で その27 ふたりの帰る場所

    私が東京へ戻り再び凌と暮らし始めてから、また新しい冬を迎えようとしていた。凌は影山エステートの専務として精力的に仕事をこなしていた。そして「リリー」のセラピストとして復帰した私を、古田さんや美紀ちゃん、他のスタッフも喜んで迎え入れてくれた。凌は私がス

  • 粉雪舞う白い世界で ふたりの帰る場所

     私が東京へ戻り、再び凌と暮らし始めて1年が経ち、また新しい冬がやってきた。凌は影山エステートの専務として精力的に仕事をこなしていた。私も「リリー」のセラピストとして復帰し、古田さんや美紀ちゃん達と再び仕事に励んだ。凌は元々自動車の免許を持っていた

  • 粉雪舞う白い世界で その26 「イオリ アイシテル」

     私は退院してからすぐに今まで通り、スナック「ゆり」で働き始めていた。ぼおっと休んでいるより、仕事をしている方が気が紛れた。私はゆりさんに頼まれて、お客様にだす料理の材料を買いに店の外へ出た。急いで買い物を終え、店へと帰る道を早足で歩いた。冷える

  • 粉雪舞う白い世界で その25 同じ空の下のどこかで

     次の日、私はMRI検査という脳のレントゲンを撮った。病院の食事を食べ、あとは何をするでもなく、ただぼんやりと過ごした。本を読みたかったけれど、まだ脳を疲れさせることはやめなさいと看護師さんに注意された。私は窓の外の木の枝に止まる鳥を、所在なく見て

  • 粉雪舞う白い世界で その24 粉雪舞う白い世界で

     気が付くと、私は真っ白な部屋のベッドに仰向けで横たわっていた。ゆっくりと目を開くも、蛍光灯の光が眩しくて何も見えない。しばらくするとやはり白くて高い天井が目に映った。そのままぼんやりしていると、誰かが私の手を握りしめた。「りお!」今度こそしっ

  • 粉雪舞う白い世界で その23 どこにいても、なにを見ても

     スナック「ゆり」で働くようになって、もう1年が経とうとしていた。季節は1年前と同じ、寒い冬が訪れていた。ゆりさんが明日は一日店を閉めると私に告げた。スナック「ゆり」は基本定休日を定めていなかった。ゆりさんの都合と気分次第で突然店は休みになる。

  • 粉雪舞う白い世界で その22 「りお」と「ゆり」

     次の日の午後、私は机を挟んで、ゆりさんの前に正座をさせられていた。私が大きなミスをしたときに行われる、説教タイムの始まりだ。「りお。昨夜の失態はどういうこと?」「・・・すみませんでした。」私はしおらしく頭を下げた。ゆりさんは呆れた表情で私を見

  • 粉雪舞う白い世界で その21 『粉雪』

    不動産屋の中年男性・・・大鶴さんに連れられて行ったそのスナックは繁華街の裏通りにある「ゆり」という名の店だった。古ぼけた雑居ビルの1階にある、小さなスナックだ。黒いガラスの自動ドアから店に入ると、カウンターの向こうに、紫色の派手な蝶の柄が入ったワンピ

  • 粉雪舞う白い世界で その20 新しい街を彷徨いながら

    ダウンジャケットにジーパン、そして首には凌がクリスマスにプレゼントしてくれたピンクのマフラーを巻いて、私は後ろ髪を引かれる思いで家を出た。郵便局のATMで少ない貯金を下ろし、地下鉄に乗ってとりあえず新宿へ向かった。どこへ行けばいいかなんてわからない。で

  • 粉雪舞う白い世界で その19 本当の気持ちを隠したままで

     私は絶望に打ちひしがれながら、凌とコユキの匂いがする家へ帰った。コユキがケージの中でピピっと嬉しそうに鳴いた。私はその鳴き声を聞きながら、ぼんやりと椅子に座りこんだ。どれくらいの間、そうしていただろう。ふいに私は自分がしなければならないことを思い

  • 粉雪舞う白い世界で その18 母という名の鎖

     凌は影山エステート東京支社で重要なポストに就いた。でも優秀な部下が凌の負担を減らしてくれているらしく、以前のように夜遅く帰ることは少なくなった。私は、変わらず「リリー」でセラピストとして働いていた。凌と私とコユキで、一緒に朝起きて、夜ご飯を食べて、笑い

  • 粉雪舞う白い世界で その17 砂糖菓子のように甘い夜

    家に着くと私と凌は部屋着に着替え、キッチンのテーブルを挟み、向かい合って座った。凌のただならぬ様子に雰囲気を変えようと、私はつとめて明るい声をだした。「ビールでも飲む?」私が椅子から立ち上がり、冷蔵庫から缶ビールを出そうとすると、凌はそれを止めた。

  • 粉雪舞う白い世界で その16 熊手とタコ焼きといちご飴

     秋ももうすぐ終わりそうな11月。「リリー」がある靖国通り沿いには、賑やかな屋台が並んでいた。花園神社で毎年恒例である「酉の市」が行われるからだった。花園神社は江戸時代から「新宿の守り神」として地元の人から愛されている神社だ。その日は新宿の人出が

  • 粉雪舞う白い世界で その15 幸せの青い鳥

    初夏のある日。凌が知り合いの人から小鳥を貰って帰ってきた。「ヒナを沢山産んじゃったんだって。もう無理矢理押し付けられたようなもんだよ。俺、鳥なんか飼ったことないし、困ったなぁ。」その小鳥は綺麗な空色の身体に頭部は白く黒いぶちが入った、つぶらな丸い瞳を

  • 粉雪舞う白い世界で その14 何もせずただ抱きしめ合って

     アロマオイルマッサージのお客様を送り出して、手の空いた私は給湯室で汚れたタオルを洗濯することにした。洗濯機のないこの店では、洗濯は全てスタッフが手洗いする。夏が近づいていた。桶に水と洗剤をいれ、その後タオルを水につけ揉み洗いする。冬の水の冷たさ

  • 粉雪舞う白い世界で その13 桜の下でプラトニック

     寒い冬が過ぎ、日差しが温かい春がやって来た。凌に劇団の友人達と新宿御苑で花見をするから、伊織も一緒に行こうと誘われた。「私はいいよ。凌はお友達とお花見、楽しんで来て。」「伊織と今年の桜を一緒に見たいんだ。きっとソメイヨシノが綺麗に咲いてるよ。」

  • 粉雪舞う白い世界で その12 毒入りホットケーキと檻の中の未来

     お正月休みに凌は、鎌倉にある実家へ帰ると私に告げた。実家には父親と義理の母、そして義弟が暮らしているとのことだった。凌は自分の実家のことをあまり話したがらなかった。妾の子として引き取られた凌が、実家でどんな扱いを受けていたのかは容易に想像できた。

  • 粉雪舞う白い世界で その7それでも君をひとりにしたくない

     和やかな夕食が終わると、影山さんはストーカーがドアを叩くのを玄関の前で待機すると言った。いつでもストーカーを追いかけることが出来るように、影山さんはあらかじめ革ジャンを羽織り、スニーカーを履いたまま上がり框に体操座りをした。「伊織ちゃんは部屋の奥にいて

  • 粉雪舞う白い世界で その11 愛は諸刃の剣のようなもの

     私と古田さんと美紀ちゃんは着替えをし店を出ると、降り出した雨をよけながら、隣のビルの地下にあるサイゼリヤに入った。窓際の4人掛けテーブル席にそれぞれ座った。「あ~お腹すいたね。何食べようか?」「サイゼと言ったらやっぱりミラノ風ドリア一択でしょ。」

  • 粉雪舞う白い世界で その10 どうして逝ってしまったのだろう

     リラクゼーションサロンに来店するお客様は、やはり肩こりや腰痛を訴える人が多い。さきほど担当した少し肥満気味な女性客も、腰を重点的にマッサージして欲しいという希望を最初に告げられた。私はその肉付きのよい腰の脊柱起立筋の際を親指で指圧していった。「あ

  • 粉雪舞う白い世界で その9 ふたりのサンタクロース

     クリスマスイブの「リリー」には若い女性のお客様が午前中から押し寄せた。そのほとんどがアロマオイルマッサージ希望のお客様だ。彼とのクリスマスデートに備えて身体をピカピカにしておきたいのだろう。アロマオイルマッサージの施術が出来るセラピストはこの店で

  • 粉雪舞う白い世界で その8 友達以上恋人未満の距離

    私は家具や諸々のモノを処分し、すぐにアパートを解約した。そして大きなバッグに着替えや身の回りのものだけを持って、ストーカーから逃げるように凌の部屋へと避難した。私達はルームメイトになる証として、私は影山さんを「凌」、そして影山さんは私を「伊織」とお互い

  • 粉雪舞う白い世界で その6 本当に欲しいものは

     私は影山さんを部屋に招き入れ、一枚しかない座布団を敷いた小さなテーブルの前に座ってもらった。ここでも影山さんは物珍しそうに、キョロキョロと部屋の中を眺めていた。六畳一間の質素な部屋に、影山さんの目を楽しませるものなど何も無かった。「あんまりジロジ

  • 粉雪舞う白い世界で その5 粉雪と手袋と帰り道

    粉雪と手袋「初めはちょっとした違和感があっただけなんです。」私はテーブルの上のトレーに置かれた、しなびたフライドポテトに目を落とした。「閉めておいた筈の郵便受けの扉がたまに開いていて、でも特に気にも留めていなかったんです。そしたらある日、私の部屋のド

  • 粉雪舞う白い世界で その4 客とスタッフとしてではなく

    「田山さん、先週もちょっと思ったけど、なんか元気ないね。」影山さんにそう言われて、私は自分の顔から笑顔が消えていることに気付きハッとした。影山さんは有言実行の人だったらしく、初めて「リリー」に来店した日から毎週金曜日に欠かさず店に通ってきてくれるよう

  • 粉雪舞う白い世界で その3 形のない淋しさの欠片

    その日は午後から店が混みあい、休む暇なくシフトに入ることが出来た。予定通り仕事を19時に上がり、着替えをし、店を出るとママチャリで帰途についた。冬の夜空は真っ暗で星一つ見えず、冷たい風を受けて、私はダウンジャケットの襟元をきつく合わせた。夜の新宿は

  • 粉雪舞う白い世界で その2 革ジャンを着た夢追い人

     「いかかですかぁ!」「よろしくお願いしまぁす!」「お身体、お疲れじゃありませんかぁ!」靖国通り沿いの道では、老若男女様々な人達が通り過ぎる。スーツを着たサラリーマン、観光に来ている外国人、大学生風の若いカップル、ゴスロリファッションを身に着けた女

  • 粉雪舞う白い世界で その1 歌舞伎町のセラピスト

    街行く人々はもうとっくに、それぞれの役割を果たすためのパーツとして動き出していた。そして私もこの街を動かす小さなネジのひとつだった。冬の冷たい空気の中で、朝日を浴びながら新宿駅の大ガード下をくぐり、ドン・キホーテを横目に、人込みをかきわけながら、私はママ

  • 星まかせの恋 その10

    さそり座男性の特徴 『嫉妬深く独占欲が強い』  街はクリスマスムード一色に染まり、至るところにサンタクロースの人形やクリスマスリースが飾られている。スノーマンの電飾やモミの木にぶら下がっている星々のオーナメントが眩い。「今夜は千鶴ちゃんが好きな

  • 星まかせの恋 その9

    うお座女子の特徴その9 『やっぱり星占いが大好き』頬に流れる涙を拭いもせず、私は駅に向かってズンズンと歩いた。藤代さんの馬鹿。もう知らない。絶対に許さないんだから。駅の改札を抜けようとした瞬間に、腕を掴まれた。振り向くと藤代さんが息を切らしながら

  • 星まかせの恋 その8

    うお座女性の特徴その8 『ストレスに弱く落ち込みが激しい』 バーでの一夜から、私の目に映る景色が一変した。朝、目が覚めて窓を開けると水彩画のような水色の空がまぶしく、その日一日が良い日になる予感で満ち溢れた。街中の木々や緑、花屋の店先で咲き誇る季節

  • 星まかせの恋 その6・7

    うお座女性の特徴その6 『周りの意見に左右されやすい』 とりあえず私は藤代さんと1ヶ月間「お試し交際」をすることになった。藤代さんの私を想う強い言葉に、正直心はぐらりと揺れた。水族館のロマンチックなシチュエーションの波に乗っかってしまおうかとも考えた。け

  • 星まかせの恋 その5

     うお座女性の特徴その5 『ロマンチックなデートスポットには目がない』 藤代さんの後に付いてJRの駅から電車に乗った。窓ガラスから見える都会の街並みが、午後の光の中でゆっくりと流れていく。「どこへ行くんですか?」「俺の癒しの場所。」「まさか、いやら

  • 星まかせの恋 その4

     うお座女性の特徴その4 『押しに弱い』 「この前は本当にありがとうございました。」海老とハーブがたっぷりと入った生春巻きにスイートチリソースを付けて頬張る藤代さんに、私はそう言って頭を下げた。日曜日の昼下がり、私はアジアンな装飾がお洒落なベトナ

  • 星まかせの恋 その3

    うお座女性の特徴その3 『星占いが大好きである』 『どうすれば人は運命の相手と出会い、幸せを掴むことが出来るのでしょうか?これは地球上に生まれたすべての人間が求める永遠のテーマと言えるでしょう。人生が星によって決まっているなどと簡単に信じることは

  • 星まかせの恋 その2

     うお座女性の特徴その2 『世話好きである』 「加奈子、大丈夫?全部出しちゃいなさい!」海鮮居酒屋の女子トイレの便器に顔を突っ込んで苦しむ加奈子の背中をさすりながら、私はそう声をかけ続けた。「ウエップ・・・飲み過ぎた~。」「どうしてそんなになる

  • 星まかせの恋 その1

     うお座女子の特徴その1 『平和主義で争いを好まない』 ここは魚介類が売りの大手チェーンの居酒屋。畳に細長いテーブルが置かれ、刺身の船盛やらポテトフライやらアボカドサラダなどのつまみが所狭しと並べられている。長机の向こう側には3人の男性が座ってい

  • 彼はB専?! 「要さんの全てが好きです」

      事務所内がざわめいている。同じフロアで働く誰もが私を遠巻きに見て、コソコソと内緒話をしている。「あんな人、この職場にいたっけ?」「あれ、臼井さんでしょ?だって臼井さんのデスクにいるもの。」「どうしちゃったの?臼井さん。」こんな声が私の耳に

  • 彼はB専?! 「臼井ちさで来たら認めてやるよ」

    要さんのご自宅は、都内の下町にある和風建築な一軒家だった。築年数は古そうだけれど、門も庭の草木も綺麗に手入れされていて、要さんのおばあ様がしっかりとした老婦人であることを物語っていた。玄関の扉を開けると、要さんは大きな声で中にいるであろう人に呼びかけた

  • 彼はB専?! 「だから俺を切り捨てないで」

    和木坂課長から幸田ミチルに連絡が来たのは、その夜から3日後のことだった。 (今度の日曜日にどこか遊びに行かないか?) (行きたいところある?) 幸田ミチルとして和木坂課長と会うのは本当にこれで最後・・・。だったら一番行きたいところへ行って、

  • 彼はB専?! 「今、ここで電話してみようかな」

     和木坂課長に連れられて入ったオイスターバーの名前は「ムーンリバー」黒で統一されたモダンな店内のカウンターに、私と和木坂課長は並んで座っていた。JAZZのスタンダードナンバーが静かに流れ、間接照明のオレンジ色の灯りが、和木坂課長の憂いある横顔を照らす。

  • 彼はB専?! 「今夜は君と飲みたい気分なんだ」

    和木坂課長と約束した水曜日がやって来た。今日は更衣室のロッカールームに大きなカバンが詰め込まれている。カバンの中身は、幸田ミチルになるための洋服やバッグや靴。いくら私が職場でモブだからといって、気を緩めてはならない。和木坂課長には私、臼井ちさが幸田

  • 彼はB専?! 「和木坂課長がB専・・・?」

     家に帰り着いた私は、一眼レフのカメラを定位置に戻し、服を脱ぎ捨て、バスルームへと駆け込んだ。シャワーを浴びながら、クレンジングクリームを顔に塗りたくり、ジャバジャバとお湯で顔を洗い流し、幸田ミチルのメイクを落とす。バイバイ、幸田ミチル。そしてお帰りなさ

  • 彼はB専?! 「ミチルちゃんに一目惚れしました」

     フリータイムも終わり、とうとうマッチングの時間がやってきた。小さな紙にひとりずつ、マッチングしたい相手の番号を書き、スタッフが手早くその紙を集める。男女共に、お互いの番号が書いてあれば、カップル成立だ。でも私は本日限りの幸田ミチルだから、誰ともマ

  • 彼はB専?! 「幸田ミチルって・・・ブスだったの?」

    「ハイ、チーズ!」「ありがとうございました~!」「いえいえ。」私はダブルピースで被写体となっていた、茶髪ロングヘアーの女性にスマホを返した。女性は一緒に写った男性に「あとで写真、送りますね~」などと嬉しそうに話している。二人はもう連絡先の交換を

  • 彼はB専?! 「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」

     ねこんかつ会場「キャット×キャット」は、お洒落な猫カフェだった。今回の婚活パーティのキャッチコピーは「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」どこに句読点を付ければいいのかまったくわからない。恐る恐るその猫カフェの透明な扉を開けると、赤いルージュの

  • 彼はB専?! 「別人になってしまおう!」

     日曜日の朝。布団で惰眠を貪っていると、スマホから「ダースベーダーのテーマ」の着信音が流れた。久々に真紀からの電話だ。私は寝ぼけまなこで、のそのそと布団から手を伸ばしてスマホを掴み、横になったままそれを顔の前に掲げた。「もしもし。」「あーもしも

  • 彼はB専?! 「きっと私は恋愛運がゼロなんだ」

    「あ~ただいま~。今日も疲れたぁ~。」築40年の古ぼけたマンションにエレベーターなどという便利な乗り物は存在しない。コンクリートの階段を4階まで息を切らしながら昇り、鉄製の赤茶けた扉の鍵を開け、やっと我が家の玄関にたどり着いた。1Kバストイレ付・賃料

  • 彼はB専?! 「和木坂課長はアレだって話だよ」

     しかし、である。今日の私はツイている。なんと徴収課の和木坂要課長も残業しているではないか。徴収課の主な仕事は保険料の納期を過ぎている会社に納付を促し、督促をし、場合によっては差し押さえもするという、いわゆる汚れ仕事である。今日の和木坂課長はグレーの

  • 彼はB専?! 「ウスイサチは今日も残業だ(はあ~)」

     カタカタカタ・・・・。広いオフィスにパソコンキーを打ち鳴らす音が響く。そろそろ終業時間が迫ってきているからか、オフィス内では雑談をする職員達がちらほら現れる。でも私は雑談の輪になんて入らない。いや、入れないというのが正しいけど。私の職場は、とあ

  • 隣のお兄ちゃん

     ※18禁です。苦手な方は気を付けて下さい。20XX年 12月3日(火) 雪 今日もママは帰りが遅いみたい。ママはパパと離婚して、朝早くから夜遅くまで仕事をしている。ママの職場は町の小さなお弁当屋さん。だからママはよく、お弁当を持って帰ってくるの

  • 愛を知るまでは★番外編★厳しい家庭教師・封印 ~弘毅side~

    「鹿内君、ちょっとだけいい?」大学のゼミが休講だった日の午前中、モモの散歩を終えた俺は、真理子さんに声を掛けられた。俺は少し走ったのでTシャツが汗で濡れていた。「大丈夫ですけど・・・着替えてきてもいいですか?」「ええ。もちろん。リビングで待ってい

  • 小説投稿サイト

    「愛を知るまでは」 を小説投稿サイト「小説家になろう」へ投稿しています。もし興味がありましたら、サイトに飛んで読んでみて下さい。 https://novel18.syosetu.com/n0469hs/https://novel18.syosetu.com/n3026ht/ https://novel18.syosetu.com/n3582hu/

  • 愛を知るまでは★番外編★ 両想い前夜 愛を知るまでは→弘毅side~

    つぐみと俺は兄と妹のような関係のまま、いくつかの季節が過ぎた。そしてこの春、つぐみは無事希望の大学に合格した。家庭教師でもある俺は、自分のミッションを遂行出来たことに安堵していた。そして俺も大学を卒業し、中学教師として就職先を決めることが出来た。

  • 愛を知るまでは★番外編★ 嫉妬 子犬物語→弘毅side

    俺は高坂由宇と『子犬物語』で意気投合し、サシで飲みに行くことにした。焼き鳥をメインにしているチェーン店の居酒屋へ俺と高坂由宇は連れ立って入った。日曜の夜だと言うのに店内は背広を着たサラリーマンや若い学生風のグループなどで込み合っていた。店員にさっき空

  • 愛を知るまでは★番外編★ 解放 ふたりきりの夜→弘毅side~

    俺のバイト先は「ささ木」という名の、個人で経営している創作料理が売りの和風居酒屋だ。そこで俺はホールを任されている。大学に入ってからすぐに見つけたバイト先だから、もうかれこれ2年近く勤めていることになる。店長は佐々木淳という名の、スキンヘッドにシル

  • 愛を知るまでは★番外編★ 8月16日 美也子さん→弘毅side~

    ☆8月16日☆美也子がつぐみを通して俺に送りつけてきたものは、ミスチルのライブチケットだった。日時は8月16日土曜日。その日は野球サークルの先輩、板垣五郎の誕生日パーティに誘われていた。もちろん予定がなくても、そのライブに行くつもりなどさらさらな

  • 愛を知るまでは★番外編★ 愛してる~つぐみside~

    ☆愛してる☆ 私、山本つぐみはこの春大学を卒業し、桜蘭保育園で保育士として勤め始めた。大学に入るまでは自分のなりたいものがなんなのか漠然としていて、夢に向かって突き進む周りの人達を羨ましいと思っていたけれど、当時私の家庭教師をしてくれていた弘毅が「

  • 愛を知るまでは★番外編★ 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ~信二side~

     ☆世界はそれを愛と呼ぶんだぜ☆ 最近、嬉しいことがあった。それは俺の可愛い姪っ子、山本つぐみと、俺の大切な親友、鹿内弘毅がようやく付き合い始めたことだ。弘毅はつぐみの暮らす家に約2年ほど居候していた。俺は弘毅のつぐみへの恋心に気付いていたの

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その35 余韻

    ☆余韻☆ こうして俺は、つぐみを手に入れた。つぐみ、君はもう俺という檻の中から決して出られないんだよ。その覚悟は出来ている? 天使のような、妖精のような、清らかな女と幸せになる。これが俺を捨てた実母への、俺を犯した義母への・・・復讐。 

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その34 求愛

    ☆求愛☆ つぐみと俺は兄と妹のような関係のまま、季節は過ぎた。そしてこの春、つぐみは無事希望の大学に合格した。家庭教師でもある俺は、自分のミッションを遂行出来たことにホッとした。そして俺も大学を卒業し、教師として就職先を決めることが出来た。俺

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その33 確信

     ☆確信☆ その日は俺が家庭教師をする金曜日の午後だった。つぐみの体調が良くないことは、部屋に入ったと同時にすぐわかった。いつもより顔が赤いし、息も荒い。「つぐみ、なんか顔、赤くないか?」「大丈夫です。微熱です。朝、計ったら37℃しかなかったし

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その32 予感

    ☆予感☆ 元旦の朝。俺は待ち合わせ時間の5分前につぐみの部屋のドアをノックした。つぐみはピンクのセーターにチェックのスカート。ポニーテールの髪から覗くうなじは、産毛が生えていて、生まれたての赤ちゃんみたいだった。俺とつぐみは電車で都内最大級の

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その31 家族

     ☆家族☆ クリスマスが終わり、あっという間に大晦日がきた。家事で何か手伝えることはないかとリビングを覗くと、健太郎さんが真冬だというのに半袖ポロシャツに緑のジャージという軽装で庭を闊歩していた。頭には白いタオルを鉢巻にしてる。「お父さん、何して

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その30 変化

    ☆変化☆ つぐみは、俺の前で泣いたあの夜から、またもや変わった。泣き顔を見てから、初めての金曜日。つぐみにあの日の涙の理由を聞くことも出来ず、淡々と家庭教師を勤めていた。つぐみの部屋に入った瞬間から、甘ったるい匂いがしていることに、俺はすぐに気

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その29 嫉妬

     ☆嫉妬☆ つぐみの家庭教師の時間が終わった。今日は数学の問題集をやらせてみたが、だいぶ応用問題も解けるようになってきた。教え子が成果を出してくれると、家庭教師としても俄然やる気がでるというものだ。しかし今日のつぐみは、どこかしら上の空で、何かを

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その28 封印

    ☆封印☆ 「鹿内君、ちょっとだけいい?」大学のゼミが休講だった日の午前中、モモの散歩を終えた俺は、真理子さんに声を掛けられた。俺は少し走ったのでTシャツが汗で濡れていた。「大丈夫ですけど・・・着替えてきてもいいですか?」「ええ。もちろん。リビ

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その27 強敵

    ☆強敵☆ つぐみが俺の好きなアイスチョコもなかを持って部屋を訪ねてきた。甘いもので俺になにかを頼もうとしていることはすぐにわかった。神宮司美也子からのエサは無視するが、愛しい女が与えてくれるエサなら、腹を減らしていなくても食いついてやろう、それが

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その26 白紙

    ☆白紙☆ 俺のバイト先は「ささ木」という名の、個人で経営している創作料理が売りの和風居酒屋だ。そこで俺はホールを任されている。大学に入ってからすぐに見つけたバイト先だから、もうかれこれ2年近く勤めていることになる。店長は佐々木淳という名の、スキ

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その25 暴走

     ☆暴走☆ 俺が大学のレポートに頭を悩ましていると、部屋のドアの外からノックが三回鳴った。ゆっくりした間隔で、少しづつ小さくなっていくちょっと遠慮がちな音。間違えるはずもない。つぐみだ。「はい。」俺は嬉しい気持ちを抑え、平常心を保ちながら返事

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その24 魔法

     ☆魔法☆ 俺はディズニーシーとディズニーランドの券を2枚づつ用意した。「信二。俺、ディズニーシーの券、2枚持っているから彼女と行ってこいよ。」俺はそう信二に声を掛けた。「え?いいのか?」「ああ。バイト先でもらったから。」「じゃあゆりちゃんと

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その23 落胆

     ☆落胆☆ 俺とつぐみの仲を強固にするためには、俺を付きまとう女に犠牲になってもらう必要があった。その犠牲者に、野球サークルのマネージャーのひとりである、藤沢良美を選んだ。派手なファッションにケバイ化粧。外見もそうだが、なにより人によって態度を変

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その22 接近

    ☆接近☆ つぐみと予想外に早く親しくなれた俺は、どんどん欲が出て来た。つぐみの外見を少しだけ俺色に変えてみたい。俺の手でつぐみが変わっていく・・・そんな独占欲と所有欲が俺の中で渦巻いていた。つぐみを「花と乙女」の常連客で親交のある磯野薫の店に連

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その21 初回

     ☆初回☆ 「まあまあ。初めまして。雨の中大変だったわね。狭い家だけどどうぞ上がって!」「はい。初めまして。鹿内弘毅と申します。お世話になります。ご迷惑でしょうがどうぞよろしくお願いします。」俺はそう言って深くお辞儀をした。「迷惑なんて全然思って

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その22 接近

    ☆接近☆ 俺はつぐみの外見を少しだけ俺色に変えてみたいと思った。つぐみを俺の行きつけのバー「花と乙女」の常連客で、親交のある磯野薫の店に連れていき、つぐみの髪をいじってもらった。つぐみは自分の新しい髪型にとまどいと恥じらいを見せた。そしてそのまま

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その21 初回

     ☆初回☆ 初めて生のつぐみと対面した。高校の2年生になったつぐみは、写真でみるつぐみより少しだけ大人びていて、写真の何十倍も愛らしかった。これから俺がこの家を出る日まで、同じ家で同じ空気を吸い、同じものを食べ、その声や行動をこの目に焼き付けること

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その20 開始

    ☆開始☆ そして今日は小雨降る5月初めの土曜日。つぐみと話せる初めての日。白い壁に赤い屋根、玄関ポーチにはパンジーとスノーボールの花。深緑の重い扉の前に、俺は傘もささずに立っている。表札には山本健太郎、真理子、そしてつぐみの文字。俺はこれか

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その19 冠婚葬祭

    ☆冠婚葬祭☆ バイトは家庭教師と居酒屋の店員、二足のわらじを履くようになった。それというのも、いとこの陽平の結婚が決まり、伯父の家に陽平の妻となる女を住まわせることになったからだ。その女は陽平の大学のサークル仲間で、和風美人だがお嬢様育ちで少し人

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その18 大学

    ☆大学☆ 大学生活は高校時代と違って、規則もゆるく自由な時間もかなり増えた。俺と信二は当然のごとく野球サークルに入った。ここでも高校の部活とは違って、気の向いた時に気の向いた人間が練習をし、たまに試合をするという感じだった。俺のキャンパスライフ

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その17 才女

     ☆才女☆ 高校3年の冬を迎え、大学受験はもう目の前にあった。俺は信二と同じ大学を受けることに決めていた。信二はここ最近、猛烈に勉強をした成果が出始め、早慶大学を受けることを決意した。俺も早慶大学には、教育学部に受講したい講師がいるし、その選択に

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その16 写真

     ☆写真☆ それからというものの、俺は月に二回くらいの割合で、勉強をするために信二の家へお邪魔するようになった。信二の家は信二の父親である山本康太郎と母親の山本信江、そして信二の3人家族だ。信二の家に行くときは甘党の信江さんの為に、必ず菓子を持参す

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その15 絵本

     ☆絵本☆ 高校3年の秋。もう大学受験の競争はスタートしていた。俺はなんとか信二の家に招かれたいと思っていた。信二は両親ともに45歳の時に生まれた恥かきっ子だと、特に自虐をいう風でもなく教えてくれた。信二の兄山本健太郎は両親が22歳の時の子供だか

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その14 檸檬

     ☆檸檬☆ 信二とは教室でも部活でも、互いにいなくてはならない存在になっていった。高校生活も3年目に突入し、俺は野球部のキャプテンになった。受験シーズンが始まる夏までの短期間限定だったが。俺より信二の方が適任だと思ったが、顧問から指名され、自分が

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その13 親友

    ☆親友☆ 俺はその日を境に、山本信二に少しづつ近づいていった。あの少女を、つぐみを、俺のものにする。これが俺の今後の人生の大きなドリームでありサクセスとなった。それには時間がかかるだろう。けれど俺の座右の銘である、計画を立て実行し必ず成功して

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その12 少女

     ☆少女☆ 銀杏の葉が黄色く染まり、少し吹く風が冷たくなってくる季節に、俺の高校は学園祭という催しを毎年行っていた。ホームルームの議題は学園祭にクラスで何を出し物にするかで揉めに揉めた。和菓子喫茶をやりたいという女子グループとお化け屋敷をやりたいと

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その11 迷走

     ☆迷走☆ それでも俺は「恋」という感情を手に入れてみたくて、自分へのルールを破り、同じ学年の女子生徒の告白を受け入れてみた。上野千賀子は女子バレーボール部に入っていて、明るくあっけらかんとした性格をしていた。スポーツをしているだけあって、向上心もあ

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その10 孤独

     ☆孤独☆ 俺がマルコを連れて川沿いの広い公園を散歩していると、突然誰かに肩を叩かれた。嗅いだことのある甘ったるいラベンダーの香りが、俺の鼻孔にまとわりついた。「弘毅君。久しぶり!」その声の主は陽平に連れていかれたバーベキューの時に声を掛けられた

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その9 愛犬

     「愛犬」 ある日、突然陽平が犬を飼うと言い出した。動物など飼ったことのない俺は、正直反対したかった。動物は皆、飼い主より先に死ぬ。可愛がれば可愛がるほど、その別れは辛くなる。小学校の時に飼っていたクワガタさえそんな気持ちになるのだから、懐いて

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その8 労働

     ☆労働☆ 高校に入って初めての冬休み、俺はバイトを始めた。伯父は生活費や食費などの面倒を十分なほどに与えてくれていたが、将来のために自らの金を貯金しておきたかったのだ。いつ、どこで、どんな風に金が必要になるか分からない。中学時代に年上の女から貰

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その7 高校

     ☆高校☆ 新しく入った公立高校は伯父の家から歩いて20分くらいの場所にあり、俺は徒歩で通学していた。地元ではそれなりに有名な進学校で、制服も中学の時の学ランから、グレーのブレザージャケットに茶系のタータンチェックのズボンという洒落たものだった。実

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その6 従兄

     ☆従兄☆ 中学の卒業式が終わり、俺は実家を出た。必要最低限の物だけ段ボールに詰め、大学生になる従兄の陽平に車を出してもらい、荷物を運んでもらった。親父は初めの内は俺が家を出ることに難色を示した。息子のことで実の兄に借りを作ることが嫌だったのだ。

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その5 恩師

     ☆恩師☆ それからも流川は、たびたび店に顔を出すようになった。ただ何も話さずに酒を一杯飲んで帰るときもあれば、九州の実家に帰ったときのお土産だと言って、明太子の入った箱を渡されたときもあった。「生徒全員にこんなことしているのか?教師って仕事も大変

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その4 狂犬

    ☆狂犬☆ ある夜、同学年の不良グループに所属する荻原という男が、別の学校の不良にカツアゲされている現場に遭遇した。俺は気まぐれに、その荻原を助けた。別に難しいことではない。倒したい相手に、思い切り拳を叩きつける、ただそれだけのことだ。荻原はそ

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その3 女豹

    ☆女豹☆ 父親の言葉通り、梅の花が咲くころ、その女は我が家へやって来た。白いブラウスにグレーのロングスカート、あまり手入れされていない髪を後ろでひとつに結んだ、度の強い眼鏡をかけた女だった。ただその爪のネイルの赤さだけがやけに不自然に映った。第

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その2 亀裂

     ☆亀裂☆ 俺はガキの頃から、女という生き物に好かれた。いや、執着されたというべきなのかもしれない。女が猫なら、俺はまたたび、とでもいおうか。幼い頃はおままごとなどという退屈な遊戯にしょっちゅう参加されられた。それは小学生、そして中学生になって

  • 愛を知るまでは★ビターチョコレート編★その1 最愛

     ☆最愛☆ やっと。やっと。やっと手に入れた。 俺はつぐみの心と身体をやっと完全に手に入れることが出来たのだ。さっきまで繋がっていたつぐみの身体を反芻し、俺は深く息を吸い込み、その息を大きく吐き出しながらその事実を噛みしめる。 俺の腕の

  • 愛を知るまでは★イチゴキャンディ編★その32 初めてをあげる

     ☆初めてをあげる☆ 鹿内さんの新しい住まいであるマンションは、最寄り駅から15分ほど歩いた住宅地にある。駅前の商店街に美味しそうな洋菓子が並ぶ「パティスリーあゆみ」というケーキ屋さんがあったので、そこでショートケーキを二つ買った。鹿内さんの好きな

  • 愛を知るまでは★イチゴキャンディ編★その31 ちょっぴり大人のデート

     ☆ちょっぴり大人のデート☆ 鹿内さんが家を出てから1か月半。私と鹿内さんは1週間に1度の割合でデートを重ねていた。場所は駅前のカフェやファミレス、美味しいラーメン屋さん。お洒落なカフェもいいけれど、鹿内さんのお気に入りの隠れ名店に連れて行って

  • 愛を知るまでは★イチゴキャンディ編★その30 愛を知るまでは

     ☆愛を知るまでは☆ 美也子さんにそう言われたものの、私は鹿内さんに自分の気持ちを告白する勇気が持てないまま、時間だけが過ぎ去っていった。鹿内さんに「ずっと前から心に決めた子がいる」ということも、私の恋心の暴走をストップさせていた。そして鹿内さんと

  • 愛を知るまでは★イチゴキャンディ編★その29 美也子さんの助言

    ☆美也子さんの助言☆ 梅の花が咲くころ、いつもの図書館で私は再びある人と出会った。美也子さんだ。「元気?」美也子さんは相変わらずの美しい笑顔で私に声を掛けた。ピンクのリップがつやつやと輝く唇を私はみつめていた。「はい。大学受験がもうすぐなの

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