chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 逃げる柴犬

    去年の12月、散歩をしようとチワワを連れて家を出ると、近くの公園の前で小学生たちが大騒ぎをしているのに気が付いた。用心しながら少しずつ近づくと、柴犬が子供たちを追いかけ回している。本人(犬)にとっては楽しく遊んでいるつもりだろうが、立ち上がると子供たちの身長とさほど変...

  • 狐の嫁入り

    30歳になる直前だったと思う。ある時、同僚のホーム・パーティーに参加すると、ヨーロッパのある国から来日していた青年を紹介された。絵を画いているという。思わず(心の中で)口をあんぐりと開けてしまうほど美しい顔だちをしていた。 その日から暫く経って、あれは東京の西部だったか...

  • 「泣いて良いよ。」

    子供の頃に事故に遭い、ある大学の付属病院にしばらくの間、入院していた。入院当初は毎日のように包帯を取り換える必要があったのだが、これがとてつもなく痛かった。傷口が包帯にひっついてしまい、包帯を剥がそうとすると傷口も一緒に引っ張られてしまったので。私は毎日、大声で泣いた...

  • 空飛ぶ猫

     特異な体験と言えば、米軍の貨物輸送機に猫と一緒に乗ったことだろう。大分前に、東南アジアで大きな地震が発生し、津波が島々を襲ったことがあった。ある国の動物保護団体が本土近くの島に取り残された(と主張)猫たちのレスキューを駐留米軍に依頼したのだった。どのような経緯で、私が...

  • 迷う子ども

    昨日、出かける前に犬と散歩をしようと外に出ると、ランドセルを背負った小さな女の子が大泣きをしていた。隣にも同じような背格好の女の子。口をきつく結んで、張り詰めた顔をしている。どうしたのかと尋ねると、迷子になったと言う。家は二人とも、私が犬とよく行く大きな公園の近くだと...

  • ちぎれる耳

    昨日、車内で女の子たちが楽しそうにピアスについてお喋りをしていた。わっかになったピアスをつけると、耳が引っ張られて長くなってしまうと言っていた。私も30歳の頃、ピアスをしようと思った事がある。どうしてもイヤリングに慣れなかったせいもあるが、当時、ピアスをすると(耳に穴を開...

  • 「遠くです。」

    55歳になったばかりの頃、ある駅で待ち伏せをされた事があった。なぜそうと分かったかといえば、その時一緒にいた友人にその人の外見を後日伝えたところ、彼とすれ違った事を憶えていたからだ。友人と別れ改札口に入ろうとした時、いきなり呼び止められた。 私は裸眼ではほとんど何も見え...

  • 熱帯の栗

    随分前だが、東南アジアのある国で開かれた会議に参加した事があった。アジア各国から何名かずつが参加していた。会議も終わり、打ち解けた数名で短い自由時間を有効に使おうとタクシーに乗り込み街に繰り出した。 すっかり暗くなって辺りの様子もよく見えなくなっていたが、突然、窓の...

  • すばらしい獣たち

    昨日、ハリーポッターの番外編のような映画を観てきた。これまで子供が楽しむものだと思っていたが、映像の迫力に圧倒され続けた。思い立って観に行ったのは、主人公が動物学者だと何かで読んだからだ。子供時代の私の夢は、ドリトル先生になる事だった。彼のように動物と話せる事は、何よりも...

  • かつぐ女

    今日、クリーニング店に出しておいた冬用の掛け布団を取りにいった。受け取った瞬間、 とても軽くなっていたので驚く。ひょいと肩にかつぎ歩き始めながら、いつかもこうして何かをかついで歩いた事を思い出した。 3年ほど前の年末、都内のある公園まで家を持たない人たちに使ってもらおう...

  • イノセント・ストーリーズ

    家の前の歩道で、時々学校帰りの子供たちとすれちがう。「こんにちは。」「その犬、可愛いですね。」「蜘蛛の巣、いりませんか?」などと話かけられる事もある。(返事に困る場合は、仕方なく無言のまま通り過ぎる) 若い頃は子供が好きではなかったが、年を取るにつれてとても好ましい存在...

  • 鳥は飛ぶ

    何年か前、家の近くで鳩が死んでいた。カラスの声が余りにもやかましいので何事かと表に出ると、車道の真ん中でうつぶせになっていた。車に轢かれたのだろうか、脚の辺りに血痕が見える。カラスたちは電線に止まって、何やら相談しているようだった。放っておくと、彼らに食い荒らされてしまう...

  • バイバイ ベイビー

    今日、出かける時に下の居間からテレビのCM が聞こえてきた。「幸せってなんだろう」と誰かが言っている。 10年ほど前に、友人の一人に誕生日プレゼントを渡したところ、「どうしよう。幸せになっちゃうかも」と言った。確か、四葉のクローバーを模ったガラス細工のキーホルダーだった...

  • 中途半端な運命

    30歳に差し掛かろうという時、ある駅で同世代の男性にいきなり声をかけられた事がある。やってきた電車に乗らないわけにもいかず、車内でしばらく話した。差し出された名刺には聞いたことはあるものの、すぐに顔を思い出すことはできない女優の名前が書かれていた。脇に「マネージャー」とあ...

  • 100万回生きたねこの幸せ

       世界中で読まれている「100万回生きたねこ」を読んだのは、40歳をとうに過ぎてから だ。きっかけはすっかり忘れてしまったが、大人になってから読んで良かったと思う。も っと言えば、人を心から愛する経験を経てから読んで良かった。 主人公の猫は、100万回、生まれては...

  • 雨の日の落とし物

    最初は「また?」とよく驚かれたが、今では当たり前の事になってしまいめぼしい反応も特にない。10年ほど前からだろうか、私は、2か月に1回は落とし物を届けている。割かし落とし主にとっては大切なものばかりだ。財布、家や車、自転車の鍵、キャッシュカード、ギフト用手提げに入れら...

  • プードルの怒り

    先日、ウクライナ女性が日本に連れてきた犬の処遇が話題になった。私にとって2 番目の犬トトも、北米から1歳の時に日本へやってきた。成田空港での2週間の検疫期間 は、私にとってそれまでの生涯で最も長い日々だった。文字通り、指折り数えてついに 迎えた最終日、検疫所で再会した愛犬...

  • フランスのお化け一家

    フランスのお化け一家、バーバパパを知ったのはいつ頃だったのだろう。手元には、お皿やボール、ジッパー袋がある。バーバパパ一家ののほほんとしたところも好ましいが、私が一番好きなのは一家の誕生エピソードだ。 パリのカフェで偶々となり同士になった若い男女が、雑談をしながら落...

  • チワワのお詫び

    チワワは余りにも身体が小さいため、言葉だけの叱責でも躊躇してしまう。まだ小さかった頃、余りにもしつこくまとわりついたので、疲れていたせいもあり思わず大きな声で叱った事があった。一瞬、何が起こったのか理解できない様子だったが、すぐに自分のおもちゃ(大小さまざまなぬいぐるみ)...

  • パンダと台湾茶

    台湾のお茶が人気と聞き、今日、地元で試してみた。プラスチックゴミをなるべく出 さないように、滅多にこのタイプのものは購入しないのだが、台湾人の友人に久しぶり に連絡するきっかけにもなると思ったのだ。 彼女は、彼女が学んでいた大学で教鞭を取っていた古い知人から紹介された。...

  • 断崖絶壁のムーミン

    なぜこんなにもムーミンが好きなのだろう。6歳でムーミンの漫画(すばらしい翻訳 であるにもかかわらず、なぜか翻訳者名が記載されていない)を読み始めて以来、半世 紀以上が経つが、いまだにムーミングッズを買ってしまう。 だが、作者のフィンランド人、トーベ・ヤンソンが同性愛者だ...

  • 1ドルショップのマリア像

    数年前、アメリカのある州に3週間ほど滞在した。陽光の容赦ない強さに閉口しつつも、特異な滞在理由にほぼ毎日、興奮状態だったように思う。そろそろ、そうした状態にも限界が近づいた頃、ついに最終日を迎えた。 私たちは、毎日走らせていたレンタカーを返すにあたり、1ドルショップに寄...

  • はちみつとウクライナ

    はちみつは、蜂が蜜を吸う花によって味が変わると聞いたことがある。ウクライナの蜂はどんな花の蜜を吸っているのだろう。訳あって、はちみつはここ20年ほど口にしていなかったが、今日、紅茶に入れてみてその優しい美味しさに驚いた。砂糖とは明らかに違うまろやかな甘さ。 海外の大学で...

  • ハローキティ

    今日、親友の長女にささやかなギフトを送った。彼女が3歳ごろの事だったと思う、恐らく母親に促されて書いた誕生日祝いのお礼状が FAX で届いた。そこにはキティのイラストと共に「ヘロー キティ」とたどたどしいカタカナが書かれていた。この愛らしいメッセージを目にして「人はこうし...

  • 神去なあなあ日常

    今日、やっと「神去なあなあ日常」を読み終えた。バスと電車の中で少しずつ読み、3週間ほどかかったかと思う。三浦しおんさんの作品は、数年前に「天国旅行」を読み衝撃を受けてから、時々読んでいる。一部が映画にもなった「まほろ駅前シリーズ」もとても楽しませいただいた。どの作品も登場...

  • ウクライナと犬

    今日、ウクライナから飼い犬と共に日本へ逃れてきた方が、成田空港で半年、犬が検疫下に置かれる事を知らされ嘆いておられるというニュースを目にした。 約20年前、私も北米で生まれたプードルを連れて帰国したが、検疫は2週間で済んだ。この違いがもし、私と彼女の国籍の違いにあるので...

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、かおりさんをフォローしませんか?

ハンドル名
かおりさん
ブログタイトル
老いと花
フォロー
老いと花

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用