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  • ハン・ガン『別れを告げない』を読む

    ハン・ガン著、斎藤真理子訳『別れを告げない』(2024年4月10日白水社発行)を読む。白水社の内容説明ノーベル文学賞受賞作家の最新長篇!作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメール...ハン・ガン『別れを告げない』を読む

  • 昔話シリーズ(小学生の頃) 遠い日の母と僕

    今で言う高齢出産で生まれた一人っ子の私は、幼いときは母とべったりだった。小学校に上がる前か、それとも低学年の頃だったのだろうか、近所の銭湯からの帰り道、まだ蓋をしていなかった川沿いの道を、いつものたわいない歌を二人でふざけて歌いながら歩いていた。なぜだかふと思いついて軽い調子で私が言った。「僕もう本当は“ベタベタ”はいやなんだ」母が歩みをピッタと止めて、ものすごくびっくりした顔で私を見た。そして、一呼吸置いて、言った。「そうね、もうそうなのね」と言った。たいした考えもなく出た一言が、なにか大変なことをしてしまったと思い、あとは黙って家まで帰った。母を偉いと思ったのは、それ以降、ぴたりと、私を幼い子ども扱いする態度は見せなかったことである。もちろん、母にとっては僕が唯一つであることは折に触れてわかってはいた...昔話シリーズ(小学生の頃)遠い日の母と僕

  • 椹野道流『亡羊の嘆』を読む

    椹野道流(ふしの・みちる)『亡羊の嘆鬼籍通覧』(講談社文庫、ふ69-6、2018年8月10日講談社発行)を読む裏表紙にはこうある。「料理に必要なのは、夢と愛!」TVで大人気の料理研究家・夢崎愛美が法医学者たちでさえ目を覆いたくなる異様な刺殺体で発見された。O医科大学法医学教室での解剖の結果、多数の刃物を使った芸術的ともいえる刺殺方法が明らかに。怨恨殺人か、快楽殺人か?犯人が遺体に込めたメッセージとは?若き法医学者たちが事件の真相に迫る!12月30日、TVで人気の料理研究家・夢崎愛美が大阪の実家で斬殺された。食堂の大きなテーブルの上に寝かされ、9本の包丁、ナイフが突き刺さっていた。大晦日の解剖は外表所見だけで5時間かかり、元旦にずれ込んだ。O医大法医学教室助手の伏野ミチル(著者と同音)、院生の伊月崇、技術員...椹野道流『亡羊の嘆』を読む

  • 田沢裕慶『もっと知りたい東洲斎写楽』を読む

    田沢裕慶著『アート・ビギナーズ・コレクションもっと知りたい東洲斎写楽』(2024年11月30日東京美術発行)東京美術による内容紹介寛政6年(1794)5月、名プロデューサー蔦屋重三郎によって見いだされ、江戸の歌舞伎役者を描いた豪華な大首絵28図の一挙出版という華やかなデビューを果たした東洲斎写楽。今もなお世界中の人々の心を掴む異才に迫る入門書。B5版、80頁の写真による絵画紹介本。東洲斎写楽(ウィキペディアによる)(とうしゅうさい・しゃらく)(生没年不詳)は、江戸時代後期の浮世絵師。約10か月の短い期間に役者絵その他の作品を版行したのち、忽然と姿を消した謎のとして知られる。その出自や経歴については様々な研究がなさ絵師れ、阿波徳島藩主蜂須賀家お抱えの能役者斎藤十郎兵衛(さいとう・じゅうろべえ、宝暦13(17...田沢裕慶『もっと知りたい東洲斎写楽』を読む

  • 赤川次郎『上役のいない月曜日』を読む

    赤川次郎著『上役のいない月曜日』(文春文庫、あ1-29、2008年11月10日文藝春秋発行)を読んだ。裏表紙にはこうある。「月曜の朝」は「最低の気分」と同義語。ところが、出社してみると、うるさい上司たちはなんと全員が会社を休んでいた!喜んだのも束の間、次から次へと難題が起こり……。表題作のほか、「花束のない送別会」「禁酒の日」「徒歩十五分」「見えない手の殺人」の、平凡なサラリーマンが巻き込まれる五つの短篇を収録。解説・江上剛第83回直木賞候補作。ミステリーと言うよりは、しがないサラリーマンもの。「上役のいない月曜日」社員数44名のM文房具会社、月曜日の朝、めずらしく社長を始め、営業課長、経理課長、配送課長、庶務課長が揃って休みだった。社員にとって最低の気分になる月曜の朝が、最高の月曜になるはずだった。とこ...赤川次郎『上役のいない月曜日』を読む

  • 赤川次郎『三毛猫ホームズの青春ノート』を読む

    赤川次郎著『三毛猫ホームズの青春ノート岩波ブックレットNO.38』(1984年11月20日岩波書店発行)岩波書店の内容紹介私の名前はホームズ.ご主人はいまや中高生のアイドルです.私や中年刑事をダシにつかって,年に20冊以上も本を出しています.だから,今度はご主人の青春時代をそっと,のぞいてみようかななんて思っているんです.「岩波ブックレット」は、岩波書店出版の、平均70ページ前後小冊子シリーズ。内容は、憲法、平和、人権、環境などのテーマが多い。本書は、全部で63頁の小冊子。著者36歳の時の作で、中高校生時代(桐朋学園)の読書遍歴を中心に述べている。小学生から漫画を描き始め、中学3年生のときから小説を書いていた。赤川次郎が高校2の時に一冊の手帳が自分のものになり、メモを書き始めた。受験で明け暮れる毎日だった...赤川次郎『三毛猫ホームズの青春ノート』を読む

  • 嵐山光三郎『老人は荒野をめざす』を読む

    嵐山光三郎著『老人は荒野をめざす』(ちくま文庫あ26-14、2024年4月10日筑摩書房発行)を読んだ。筑摩書房の内容紹介すぐ隣にある死を意識し、亡くなった多くの友を悼み、生きている者は、いっそ「死ぬ気」で生き切ってみようと自身も読者も励ます老年エッセイ集。「老残」を越えて生きるのだ!26年間続いた人気コラム最後の3年間より精選した老年エッセイの粋。文庫オリジナル「不良定年」を標榜してから幾星霜。西行、芭蕉、きだみのる……「荒野をめざしたひとびと」を想いながら、今も歩み続ける日々。すぐ隣にある死を意識しつつ、亡くなった友を悼み、いっそ「死ぬ気」で生き切ってみようと自身も読者も励ます。終刊した「週刊朝日」で26年間続いた人気連載「コンセント抜いたか」最後の3年間より精選した老年エッセイの粋。トイレのドア事件...嵐山光三郎『老人は荒野をめざす』を読む

  • 昔話シリーズ(中学生の頃) 心に残る先生

    関東学院大学が開催した「心にのこる最高の先生」をテーマにしたエッセイ・コンテストの受賞作をまとめた本「心にのこる最高の先生MYBESTTEACHER」大巧社を読んだ。最高の先生は、生徒に自信とやる気を起こさせ、その効果は長い年月に及ぶ。各エッセイにほぼ共通しているのは、ほめ上手が多いし、かなり型破りで、自分の考えをしっかり持った先生が多いことだ。教師は生意気盛りの生徒からはバカにされることも多い。しかし、教師という職業は、この本のように若者の人生に大きな影響を与えることができるすばらしい仕事でもある。私自身、今、過去の先生を思い出して、私にとっての最高の先生は誰かと考えてみた。それは、中学のときの田中先生に違いないと思った。意志の強そうな真一文字の口に長くとがったあご、黒縁のめがねを掛け、ざんきり頭。先生...昔話シリーズ(中学生の頃)心に残る先生

  • 最相葉月『母の最終講義』を読む

    最相葉月著『母の最終講義』(2024年1月22日ミシマ社発行)を読んだ。ミシマ社の紹介あの介護の日々は、母から私への教育だった――。『絶対音感』『星新一』など傑作ノンフィクションの書き手であり、新聞の人生案内も人気な著者の、半生にじみ溢れる名エッセイ集。珠玉の47本。最相葉月デビュー30周年記念企画●本文より「約三十年、介護とそれに伴う諸問題で心身共に限界だった時期もあるが、不思議なことに最近は、母が身をもって私を鍛えてくれていると思えるようになった。いざとなっても人工呼吸器や胃ろうはせず、自然に任せようと思っている。覚悟はあるのか、私。」(p26「母の最終講義が始まった」より)「ああもう限界。酸素不足の水槽で口をパクパクさせる金魚のようになったら、一刻も早く東京に戻らねばならない。人に会い、原稿を書き、...最相葉月『母の最終講義』を読む

  • 散歩&「すずな(菘)」でランチ

    依然としてバラの季節だ深紅のバラ結婚記念日の送り物は、「愛」の花言葉を持つ深紅のバラがおすすめ。99本だと「永遠の愛」だが、貰っても困るので、「最愛」の11本か、愛する人に贈る12本がおすすめという。心に留めておきましょう??モッコウバラ杉並の松庵に立つ大正・昭和初期に流行した洋館付き和風住宅「一欅庵(いっきょあん)」。アーティストの作品展示や教室、演奏会、落語会などの会場として活用している。。私も9年前、ここで行われる落語を聞いた後で、建物見学会へ参加したことがある。一欅庵の欅(けやき)。左下が建物。大木と柘植の木があるお宅重そうなお団子を重ねたような柘植の木。あんこ型のお相撲さんのようでもある。この公園には、いつも保育園児のうるさいくらいの声が響く。夕方通ると、寂しいのは子供のいない夕方の公園だなと思...散歩&「すずな(菘)」でランチ

  • コメダ珈琲でランチ

    西荻窪まで散歩の足を延ばした。さて一休みと顔を上げると、「コメダ珈琲」がある。ドアを開けて入ると、目の前には階段しかなく、2階に上がる。結構広くて席数も多いが、火曜日の朝10時なのに満杯に近い。席が衝立で区切られてるので、落ち着ける。すぐに案内されて、とりあえずコーヒーだけとメニューを見ると、コーヒーの値段でモーニングが選べる。今10時だから、小さくてもパンを食べたらランチになってしまう。しかし、付いてくるものを断るわけにいかないと、二人共モーニングを注文し、ブランチならぬ、モーニングランチとすることにした。それにしても、パンにあんこが付くとはと呟くと、相方が、コメダ珈琲は名古屋だからじゃないと言う。「喫茶店のあんこ」、コーヒー1杯にパン、ゆで卵などのサービスがつく「モーニング」は、名古屋が発祥ともいわれ...コメダ珈琲でランチ

  • 渡辺靖『リバタリアニズム』を読む

    渡辺靖著『リバタリアニズム』(中公新書25222019年1月25日中央公論新社発行)を読んだ。中央公論新社の紹介リバタリアニズムアメリカを揺るがす自由至上主義渡辺靖著アメリカ社会、とりわけ若い世代に広がりつつあるリバタリアニズム(自由至上主義)。公権力を極限まで排除し、自由の極大化をめざす立場だ。リベラルのように人工妊娠中絶、同性婚に賛成し、死刑や軍備増強に反対するが、保守のように社会保障費の増額や銃規制に反対するなど、従来の左右対立の枠組みではとらえきれない。著者はトランプ政権*誕生後のアメリカ各地を訪れ、実情を報告。未来を支配する思想がここにある。*一期目2001年発行と古い本だがリバタリアニズムの基本概念は以下の本がわかりやすい。森村進「自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門」講談社現代新書基本...渡辺靖『リバタリアニズム』を読む

  • 歴代版画年賀状

    私はかって、版画を彫って、刷って、30年以上、喪の年を除いて毎年、約100枚の年賀状を出し続けていた。年一度だけの創作活動で図案を考え、色別に数枚の木版を彫り、絵具を塗り、バレンでこすって一枚一枚版画年賀状を仕上げていた。「版画年賀状のつくり方」1980年、年賀状を初めて版画で手摺りした。今調べたら、1980年の干支は「申(さる)」1982年、1983年は上記と同様な、スタンプ使ったほうがましな、簡単な漫画なので略。1984年はミッキーマウス。私も若かった!3色摺り。干支は「子(ねずみ)」1985年、重なる部分を濃くすると思いついたが、濃くしすぎて失敗。干支は「丑(うし)」1986年、縁起物の版画だが、工夫なし。多少の色ずれ、黒点などは手摺りの良さ?1988年、彫りは苦労したが、その割には冴えない。干支は...歴代版画年賀状

  • 昔話シリーズ(小学生の頃) だまされて楽しい八幡様のお祭り

    子どもの頃代々木八幡宮の近くに住んでいた。八幡様は木々がうっそうとしたちょっとした山になっていて、境内の林の中には、復元された縄文時代の堅穴式住居があった。作家の平岩弓枝の父親が宮司だった。九月にはお祭りがあり、八幡様の階段の登り口からお社まで出店がずらりと並ぶ。小学生の頃は、お祭りのときだけもらうお小遣いを握り締めて、出店を端から一つずつのぞき込んでいくのが楽しみだった。手をポケットに入れてしっかりもらった小銭を握ったまま緊張して歩いて行った。八幡様に着いて、出店を見て回り、いざ買おうと思ったら、お金がない。青くなってそのまま家に帰って、「しっかり握り締めていたのにすられた」と訴えた。母は、「馬鹿ね。ポケットに手を突っ込んだまま歩いていれば、ここにお金を持ってますって教えているようなものでしょ」と冷たく...昔話シリーズ(小学生の頃)だまされて楽しい八幡様のお祭り

  • 「一軒家カフェ&サロンハナ」でランチ

    「一軒家カフェ&サロンハナ」へのアクセス西荻窪駅南口、改札を出て右の仲通街を入り、ピンクのゾウさんをくぐり直進します。セブンイレブン、おもち屋さん、ひぐらし古具さんを通り過ぎ、ケーキ屋Lotusさんを過ぎたら(「輪島功一スポーツジム」の手前を)右折してすぐ右側です。駅から徒歩3~4分ほどです。11時半からなのに、無理を言って10分ほど早く中に入れていただいた。民家を改造したカフェなので、一口で靴を脱ぐ。いかにも韓国といった螺鈿細工のテーブルがあった。オーナーは韓国の御夫婦。刺繍「23.3.18.日本テレビ“ぶらり途中下車の旅”当店にご来店頂きました」と「舞の海」さんのサイン色紙1階カフェ「あずきパーラー」は、あずきを使ったメニューを中心に、酵素玄米のお食事やあずきスイーツなど、カラダにやさしくココロもほっ...「一軒家カフェ&サロンハナ」でランチ

  • 5月(1)の花

    5月5日に届いた花9本の深紅のカーネーション、淡いピンクと、白&紫の小さなナデシコ(撫子)。背景はアレカヤシ5日後、まだ2本の深紅のカーネーションは完全に開花していない。8日後、まだカーネーションの2,3輪が完全には開き切っていないが、ほぼ最盛期だろう5月(1)の花

  • 5月(2)の散歩

    このところ、「お!鮮やかな花がある」と思うと、バラだ。スープニールドゥ・アンネフランクピンクのグラデーション近くでパチリゴージャス!バラ御殿赤紫?深紅モッコウバラ?クレマチスは紫が良く似合う淡い紫のクレマチスもなかなか上品白いクレマチス?テッセンは、クレマチスの原種の一つで、雄しべが花弁化しているというちょっと変わったアジサイオランダカイウ?白い花びらが縦にながいのがカラー??ドウダンツツジ?ニオイバンマツリ(ナス科ブルンフェルシア属)?近づいてパチリゼラニュームオーストラリア原産のブラシノキ(ボトルブラッシュ)デルフィニウム属イエローアニスツリー?武者絵のぼり5月(2)の散歩

  • 浅田次郎『地下鉄(メトロ)に乗って(新装版)』を読む

    浅田次郎『地下鉄(メトロ)に乗って(新装版)』(講談社文庫あ70-24、2020年10月15日講談社発行)を読んだ。裏表紙にはこうある。地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の、家族と暮らした懐かしい町。高校生で自殺をした兄の命日となる日だった。兄の姿を見つけた真次は運命を変えようとするが、時間を行き来するうちにさらなる過去にさかのぼり……。いつの時代も懸命に生きた人びとがいた。人生という奇跡を描く、感動の傑作長編。巻末の吉野仁氏の解説から引用する。小さな衣料会社の営業マンがふとしたはずみで(地下鉄で)タイム・トリップし、はからずも家族の過去と向き合うことになる。自殺した兄、反目していた父、そしてデザイナーとして会社でともに働くみち子。地下鉄に乗るたび、過去へつながる出口へと向かい、自分の知らなかった事...浅田次郎『地下鉄(メトロ)に乗って(新装版)』を読む

  • 神代植物公園、深大寺へ

    吉祥寺駅南口の小田急バス4番・調布駅北口行きで240円、神代植物公園入口で下車。朝9時半開園と同時に入る。一般500円、65歳以上250円。予定は、「神代植物園」、「深大寺」、深大寺そば、「水生植物園」。入ったところの展示?ぼたん・しゃくやく園、ダリア園は、「しゃくやく」の天下。他は姿なし。「ルーズベルト」の名にひかれてパチリまだ、蕾も多いので、まだまだこれからも期待できる中心の白がきまってる「エクリプス」。そもそも、シャクヤクはボタン科だから、私にはボタンとの区別さえつかない。「サンライズ」。色が濃すぎるかな?花の中に3匹の虫。的を絞ってGoogleLens様に御判定お願いしたのに、「キバラオオタイランチョウ」って、どうみても鳥じゃないでしょう!大きさの感覚がないみたいで、失礼しました。赤というより紫に...神代植物公園、深大寺へ

  • 津村記久子『水車小屋のネネ』を読む

    津村記久子著『水車小屋のネネ』(2023年3月5日出版社発行)を読んだ。毎日出版社の内容紹介誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!第59回谷崎潤一郎賞受賞、2023年本屋大賞ノミネート。物語は1981年の第一話から始まって、10年刻みで、第四話は2011年、2021年のエピローグまでのある姉妹の年代記。第一話18歳の山下理佐は短大に進学するはずだったが、母が入学金を婚約者のために使ってしまった。さらに、母の婚約者が小3の妹・律をたびたび家から閉め出しているとわかった。理佐は、律を連れてほぼ身一つで...津村記久子『水車小屋のネネ』を読む

  • 桐野夏生『オパールの炎』を読む

    桐野夏生著『オパールの炎』(2024年6月10日中央公論新社発行)を読んだ。簡潔すぎる中央公論新社の紹介時代に先駆けてピル解禁を訴えていた女は――突然、姿を消した。謎多き女をめぐる証言から、世の理不尽を抉りだす圧巻の傑作長篇。1972年~1975年派手に活動した「中ピ連」(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合(本作中では「ピ解同」)、を率いた「榎美沙子」(本作中では塙玲衣子)をモデルとする小説だ。ノンフィクションライターが、塙玲衣子を知るいろんな人に会って話を聞くというルポルタージュの形で描かれる小説であり、塙玲衣子(榎美沙子)自身は登場しない。「好書好日」評者:山内マリコ/朝⽇新聞掲載:2024年08月24日その名を聞き、ピンクのヘルメットを嘲笑まじりに思い出す読者も多いだろう。不貞を働いた...桐野夏生『オパールの炎』を読む

  • 5月(1)の散歩

    控えめなピンクのハナミズキ明るいピンクのハナミズキ赤白のハナミズキちょっと大きなハナミズキ白いハナミズキ「ヤマボウシ」??「ヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃの木)」、「ハナミズキ」、「ヤマボウシ」と混乱していますどうだ!と「モッコウバラ」まだまだと「モッコウバラ」これでもかと、覆いかぶさるモッコウバラこれで決まりだと、モコモコのモッコウバラ「モッコウバラ」?紅白の「アザレア」近接してもあでやか「アザレア」?ヌカイトナデシコ(糠糸撫子)」?「シャクナゲ」「ナニワイバラ」「特徴的なのが、花の後にできる果実(偽果)で、その表面は長い毛に覆われ、独創的な形状になる」とあるが、まだまだの様子。オオハルシャギク(大春車菊)?キンポウゲ科キンポウゲ属の「アルパイン・デルフィニウム」?「テリハイカダカズラ(照派筏葛)」?「...5月(1)の散歩

  • 「椿屋珈琲 吉祥寺茶寮」でランチ

    吉祥寺駅北口、サンロードの入口左のビルのファミリーマートの上に「椿屋珈琲吉祥寺茶寮」がある。ここでランチにしてしまおうと、エレベーターで2階へ。珈琲が税込1200円と、さすが高級(?)カフェ、調度類は格式高い。国木田独歩の武蔵野に関する文が掲げてある。食事メニューもあるが、相方は、まだ11時前だし、もっと手軽なモーニングにするという。私は、相方からのお流れも計算して、ショートケーキセット。コーヒーはスペシャルティブレンド(写真はホームページから借用)。相方のモーニングセット。サラダドレシングが美味。糖質制限中で久しぶりのパンが美味しい。ドリンクはアイスティー。さすが高級カフェだ。カップ、ソーサーなどはすべて「ロイヤルコペンハーゲン」。私たちの普段使いのカップと同じなのだ??「椿屋珈琲吉祥寺茶寮」でランチ

  • レベッカ・ソルニット『説教したがる男たち』

    レベッカ・ソルニット著、ハーン小路恭子訳『説教したがる男たち』(2018年9月10日左右社発行)を読んだ。左右社の内容紹介女性は日々、戦争を経験している。どんなに頑張っても、話すこともできず、自分のいうことを聞いてもらおうとすることさえ、ままならない。ここはお前たちの居場所ではない。男たちは根拠のない自信過剰で、そう女性を沈黙に追い込む。ソルニット自身がその著者とも知らず、「今年出た、とても重要な本を知っているかね」と話しかけた男。彼にそんな態度を取らせている背景には、男女のあいだの、世界の深い裂け目がある。性暴力やドメスティック・バイオレンスは蔓延し、それでいて、加害者の圧倒的割合が男性であることには触れられない。女性たちの口をつぐませ、ときに死に追いやる暴力の構造をあばき出し、想像力と言葉を武器に、立...レベッカ・ソルニット『説教したがる男たち』

  • 昔話シリーズ(小学生の頃) 紙芝居の思い出

    私の子供のころは東京でもザリガニが取れる川や、自由に遊べる空き地があり、車もそう多くなく三角ベースの野球ができる裏道もあった。しかし、日常の遊び以外の娯楽といえば、たまのお祭りと紙芝居くらいだった。毎週何曜日かに来る紙芝居屋さんは、まず飴などのお菓子を売る。子供達はその飴をなめながら、紙芝居を見る。しかし、貧乏な我家には小遣いなどなく、家の事情が十分わかっている私はおねだりなどできなかった。あめを買わないで、後ろのほうで目立たぬように紙芝居をそっと見ていると、「ほら、そこの飴を買わない子!見ちゃだめだ」と、おじさんに怒られた。けっこう大勢いるので判らないと思ったのに、オドオドしているので、すぐ判ったのだろう。友達から一人だけ遠くに離れた坂の上から紙芝居を見てみるが、おじさんの声は聞こえるが絵が見えない。未...昔話シリーズ(小学生の頃)紙芝居の思い出

  • 若葉の井の頭公園散歩&リンデンで一服

    道路際によく生えている「ナガミヒナゲシ(長実雛芥子)」。オレンジ色の花がきれいなのだが、油断してはいけない。1本で15万粒もの種子を持っていて、猛烈な繁殖力がある。1961年に日本で初めて確認された外来種で、いまやほぼ全国で繁殖している。触るとかぶれる危険がある。「クンシラン(君子蘭)」。「直射日光を嫌い地植えは向かない」とあったが、ここでは木陰になっていた。「モッコウバラ」?「コバノランタナ」近づいてパチリ「サツキ」?「ガザニア」?「ヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃの木)」木漏れ日が一面に紋を成す井の頭公園、ひょうたん池の傍。大木に若葉が茂る。ひょうたん池の端から井の頭池を見る。サクラは跡形もなく、若葉の季節だ。水曜日の10時前、人影絶えて、静かすぎて、こころ。寂しい。ただただ静かな井の頭池離れて写真を撮...若葉の井の頭公園散歩&リンデンで一服

  • 髙田郁『星の教室』を読む

    髙田郁著『星の教室』(2025年2月18日角川春樹事務所発行)を読んだ角川春樹事務所による内容紹介主人公の潤間さやかは、中学の卒業証書を受け取っていない。義務教育さえまともに終えていないという枷が、社会でも家庭内でも、さやかを生き辛くさせていた。しかし、ある日、さやかは夜間中学という存在を知る。それは、戦争や貧しさや病など、さまざまな事情で義務教育を終えられなかった大人たちの集う学校だった。二十歳の春、さやかは河堀夜間中学への入学を果たす。仲間たちに支えられて過ごす日々が、学校や親への不信で雁字搦めだったさやかの心を解きほぐしていく。やがて、さやかには密かに叶えたい、という夢が芽生え始めるのだが……。潤間さやか:レンタルビデオ店「アガサ」勤務。19歳~。大阪市立の河掘夜間中学へ入学する。緒方:「アガサ」の...髙田郁『星の教室』を読む

  • 新川帆立『目には目を』を読む

    新川帆立著『目には目を』(2025年1月31日KADOKAWA発行)を読んだ。KADOKAWAの内容紹介なぜ少年Aは殺されたのか?【罪を犯した「本当は良い子」の少年たち。奪われた命が、彼らの真実を浮かび上がらせる。】重大な罪を犯して少年院で出会った六人。彼らは更生して社会に戻り、二度と会うことはないはずだった。だが、少年Bが密告をしたことで、娘を殺された遺族が少年Aの居場所を見つけ、殺害に至る――。人懐っこくて少年院での日々を「楽しかった」と語る元少年、幼馴染に「根は優しい」と言われる大男、高IQゆえに生きづらいと語るシステムエンジニア、猟奇殺人犯として日常をアップする動画配信者、高級車を乗り回す元オオカミ少年、少年院で一度も言葉を発しなかった青年。かつての少年六人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか?...新川帆立『目には目を』を読む

  • カツセマサヒコ「ブルーマリッジ」を読む

    カツセマサヒコ著「ブルーマリッジ」(2024年6月25日新潮社発行)を読んだ。新潮社の内容紹介出逢って八年。付き合って六年。同棲を始めて二年。もう僕らのあいだに、新鮮な出来事はほとんど残されていない。3歳年上の彼女にプロポーズした青年・雨宮守。長年連れ添った妻に離婚したいと告げられた中年・土方剛。世代も価値観も正反対だったふたりの人生は、社内のある疑惑をきっかけに変化し始め――。著者は、浅野いにおとの対談「男子ブルーを語る」で、このテーマを選んだ理由について、こう述べている。ここ数年でフェミニズムやジェンダーに関連する本を読む機会が増えたんですけど、そうした知識をインストールすると、過去の自分の言動や文章があまりに差別的だったり加害性を帯びていたりすることに気付かされるんです。……この「男性性の加害性」と...カツセマサヒコ「ブルーマリッジ」を読む

  • 酒井順子『消費される階級』を読む

    酒井順子著『消費される階級』(2024年6月30日集英社発行)を読んだ。集英社の内容紹介あの人より、上か、下か――「差別や格差を無くして、様々な違いを持つ人々が全て横並びで生きていきましょう」となった昨今、表面上は序列、区別、差別は消えたものの、姿を変えた「凸凹」は、いまだ世の中のあちこちに。『負け犬の遠吠え』『下に見る人』『男尊女子』『家族終了』など、時代を切り取る名著の書き手が、日本人の根深い階級意識をあぶり出す。以下、「上に見たり、下に見たり」を考察する21章タイトル。・男高女低神話のゆらぎ・五十代からの「楢山」探し・まぶた差別と日韓問題・“親ガチャ”と“子ガチャ”・東大礼賛と低学歴信仰・『ドラえもん』が表す子供社会格差・「有名になる」価値の今昔事情・「ひとり」でいることの権利とリスク・おたくが先達...酒井順子『消費される階級』を読む

  • 昔話シリーズ(小学生の頃) はるかなるチャンバラごっこ

    昔々、その昔、ほぼ70年前のことだった。ある日突然、「今夜やるぞ」との話が通っていた小学校を走り回る。いつ、誰が言い出すのか、誰にもわからない。話は休み時間に5,6年の男子生徒にまたたくまに広がっていく。その日の5時になると男の子たちが集まり始める。場所は、地元では大山公園と呼ばれているところで、野球のグランドほどの大きさがあり、ゆるやかな斜面で、一面の笹の間に木々が立ち並ぶ林になっている。5時半には驚くほどの子供たちが集まる。皆、手製の竹でできた刀を持っている。1mほどの細い竹の太い方を手元として、端から10cmぐらいのところにお椀や、おたまの中心に穴を開けたものを通し、紐を前後に巻きつけて固定し刀のつばとしている。自然発生的に戦いは始まる。誰が采配を振るうわけでもないのにうまい具合に東西2陣営に別れる...昔話シリーズ(小学生の頃)はるかなるチャンバラごっこ

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