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tamaログ https://tamasan7.hatenablog.com

推理小説研究会出身。主にミステリの感想を書いています。すべてネタバレ前提です。

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2021/03/09

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  • ⑨時空旅行者の砂時計 方丈貴恵

    *ネタバレです。 タイムトラベル×ミステリの特殊設定でありながら、呪われた一族、孤立した館、密室、見立殺人とミステリ好きにはたまらないガジェットがふんだんに盛り込まれている。 こういうベタな設定大好き!! 変化球もいいけれど、これぞミステリの系譜というべきベタベタな設定が本当に愛おしいし、それを書いている作者にも親しみを感じる。 さらに読者への挑戦付きだったので、久々にメモをとりながら本気で挑戦! その結果は・・・ 一つ目の事件と密室の謎は完全に解けた!! いやあ、中々健闘したのではないでしょうか。探偵にはなれなかったがワトソン君としては有能なほうではなかろうか。 事件を一つずつ振り返りましょ…

  • ⑧ベーシックインカム 井上真偽

    *ネタバレです。 作者の井上真偽と言えば、「その可能性はすでに考えた」で新たな世界を見せてくれた次世代ミステリの作家さん。 ベーシックインカムは、経済本のようなタイトルだが、テクノロジーの発達した未来を舞台にしたSFミステリ短編集。そのせいか購入した本はちょっと近未来ぽい?珍しい装丁だった(笑) どの短編もテクノロジーが発展した世界での問題や希望が謎を通して描かれていて良粒◎ 特に「もう一度、君と」と「目に見えない愛情」が良かった。 「もう一度、君と」はVRにハマっていた妻が突然失踪し、残された夫は妻を探すため、妻が失踪直前にみていた怪談系VRの世界へ飛び込み手がかりを探していくというストーリ…

  • ⑦天使の殺人 辻真先

    *ネタバレを含みます。 作者の辻真先さんは、「たかが殺人じゃないか」で2021年度このミス1位をとっている。なんと御年88歳だとか。恐れ入りながら著作を知らなかったので、調べてみたところ、別名義=牧薩次(辻真先のアナグラムだ!)で「完全恋愛」を書かれていた。 今回は、実際に舞台で上演された「天使の殺人(完全版)」を購入。 これ、完全版ということで、本編と戯曲版が収められていて、本編が小説版天使の殺人、戯曲版は実際上演されたものの準備稿である。なので、あらすじ以外はまったく違う内容なのだが、前知識の全くなかった私は本編と戯曲版をあわせて1つの内容だと思って読んでしまったので混乱した。勿体ない! …

  • ⑥人間の顔は食べづらい 白井智之

    *ネタバレを含みます。 食用クローン人間が売買される時代のSFミステリ。 新型コロナウイルスが流行り、家畜の感染により肉食をやめた人間たち。その結果、子どもの危機的な栄養不足という社会問題が起こり、その解決策として可決された法案が食人法である。 しかし、クローン人間は高額なため、買えるのは一部の富裕層のみ。金持ちの趣味の悪い娯楽としか機能していないから不愉快だ。 また主人公?でもある柴田が本当にクズすぎる。チー坊というクローン人間を地下室で違法に飼っているのだが、暴力を振るうのは日常茶飯事。さらにわざとなのか無神経なのかは不明だが、チー坊に本や新聞を与えるという鬼畜の所業。 結局、知識を与える…

  • ⑤Another 綾辻行人

    *ネタバレを含みます。 Anotherを初めて読んだのは、ちょうど10年くらい前だ。 当時、漫画化・アニメ化と世間はAnotherフィーバーだったのを覚えている。館シリーズで新本格の入り口に立ったばかりのわたしは、Anotherこそが綾辻さんの代表作だと言われているようで気に入らず、端的に言うとアンチAnother派だった。昨年、Another2001が発売されたということで、復習しようと思い再読した。朧げに覚えていたのは、階段から落ちたクラスメイトが悲惨な死に方をすること、死者が三神先生だったこと。クラスに死者が紛れており、クラス関係者が次々死んでいくという設定は再読でも十分ハラハラした。3…

  • ④ラグナロク洞 霧舎巧

    *ネタバレを含みます。 お気に入りの<あかずの扉>研究会シリーズ3作目。 このシリーズは、鳴海さんと後動さんと2人の探偵が出てくるが、私は鳴海さん推しだ。 作中でカケルが「今の鳴海さんの推理は―(省略)―決して瑕疵のない唯一無二の回答というわけではない。―(省略)―だが、それを言いきってしまえるのが鳴海さんだし、そういうはったりにも似た推理が見事に的中してしまう人物こそが、名探偵なのだとぼくは思う」と鳴海さんを評していた。推理力では後動さんのほうが上なのかもしれないが、私はカケルと同様に、鳴海さんの名探偵であろうとする姿勢、名探偵の誇りを持っているところが好きだ。 今回の作品は、館の仕掛け、密…

  • ③キングを探せ 法月綸太郎

    *ネタバレを含みます。 タイトルが秀逸である。この作品はタイトル自体にトラップが仕掛けられているのだ。 最初に犯人視点で計画のあらましを描くことで、読者はある程度の真相をあらかじめ知ることになる。しかし、りさぴょんとカネゴンの対象(殺してほしい相手)は明示されておらず自分で考えなくてはいけない。 この時点では、JとX(としておく)の対象は、J=りさぴょん・X=カネゴンでもJ=カネゴン・X=りさぴょんどちらでも当てはまる。それが確定するのは、3番目に殺されたジョウシマがりさぴょんの兄だと分かったときだ。この時、残りのカードをKだと思い込んでいると、当然ジョウシマはJであるから、J=りさぴょん・K…

  • ②あいにくの雨で 麻耶雄嵩

    *ネタバレを含みます。 解説で千街さんが書かれているように、麻耶雄嵩は破壊者だ。「翼ある闇」や「夏と冬の奏鳴曲」でこてんぱんにされた読者は分かると思う(笑) 千街さん曰く、ミステリというのは事件の解決とともに救済がもたらされ、非日常から日常に戻ってこられるのだが、麻耶雄嵩は強烈な真相を提示することで、登場人物たちの世界を破壊してしまうのだそうだ。 しかし、この作品は、世界を壊されるような衝撃はない。 夏と冬の奏鳴曲などが破壊される物語だとするならば、この作品は腐敗していく物語かもしれない。 というのも、この作品にはピリオドが打たれていないからだ。 ミステリにおいて、ピリオドというのは登場人物に…

  • ①ナイン・テイラーズ ドロシー・L・セイヤーズ

    *ネタバレを含みます。 2021年の初読みはナイン・テイラーズ。 意図せず大晦日から読み始めたけれど、この作品を読むには、365日中一番ふさわしい日だった。 この作品の主人公である鐘については、説明があるものの縁がなさすぎて、仕組みや歴史などいまいち分からなかった。挿絵があれば分かりやすかったかもしれない。 だけど、縛られた人間が、9時間もの間(いつこと切れたは不明だが)鐘の轟音のもとに放置されていたらどうなるかは想像に容易い。拷問でも音楽を大音量で聞かせるというのがあるけれど、それのレベルマックスである。 この作品は読み終えたあと、どこか薄気味悪さを残す。この落ち着かない薄気味悪さはきっと、…

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