5月の 何気ない日々の 美しい時の流れで きらきらと 澄んだ小川の せせらぎのように さりげなくも きみの手に触れて 優しく 思いを伝えられたら ・・・どうか その君の瞳を 閉じてほしい 疑いの雲一つない 澄んだ 青い空の下で 桜の新芽溢れる 並木道に 君を誘い 君の髪に触れる 晩春の風に乗せて そっと 思いを伝えられたら ・・・どうか その君の瞳を 閉じてほしい それから きみが ゆっくりと 瞳を開き 庭先の 小雨に滴る スズランを 見るように 大きな瞳で 幸せそうに 微笑んで 頷いてくれたなら ・・・どうか その君の瞳を 閉じてほしい その間 君を思って 度々 悲嘆した 涙した 湖畔へ ど…
紳士のような木々 目に飛び込む新芽の期待 昆虫の愛らしい忙しさ 鏡のような水溜まり 木漏れ日のレースが森を飾る 花々が不規則に開花する 蝶々が木々の間をひらひら舞う 辺りに霧が立ち込める 花のような蝶・蝶のような花 幻の森プラネタリウム ―夕暮れ 重圧により沈みゆく夕日に その古の謎への黙想に浸る木々の影 疑われたカラスの訝(いぶか)しげな言い訳に ほくそ笑む野獣の天動説 ―深夜 鉄格子のような木々 月明りは届かず 死の様な静けさに フクロウの焦り
暗闇の中 ロウの灯に 一人静かにブランデーを ・我を忘れ 時間に漂い 疲労に寄り添って ・・グラスに手を伸ばし ファースト・キス ・・・唇の温もりに 氷がよろめき ・・・・放たれた光が 目じりに沿って 奥へ消えてゆく ・・暗闇の中 灯に我を忘れ 疲労に寄り添い ・・・グラスに手を伸ばし セカンド・キス ・・・・よろめきに 光が 目じりに 消えてゆく ・・・暗闇の中 ロウの灯に 揺られ 時間に 疲労が 漂い ・・・・グラスに・・・唇が・・・光が・・・時間が・・・消えてゆく・・ (ブランデータイム) ・・・寄り添って・・温もりに・・キス・・ ・・・・漂い・・・よろめいて・・・キス・・・ ・・・・揺…
秋風に誘われ、旅に出よう! 大通りをスキップするほどの大胆さ 輝く夜空の星を数える冷徹な理性 ポケットにオレンジ3個持って、さあ、出発! どこへ? ・・・ここからあそこへ どこへ? ・・・ここ。 僕はもう人懐っこい芝生の上で横になっていて オレンジ1個食べちゃった。 空を眺めては、脳裏に詩句が止めどもなくよぎっていく。 雲の切れ間に結んでは流れていき、隣町で難解な詩になり ―大変 大迷惑! どこへ? ・・・隣町へ謝罪さ どこへ? ・・・僕はずっと部屋にいるよ!
ご飯の時だけ すっと身を起こし 甘い声を使い分け 昼夜構わず 鳴いてくる 。 すり寄って来る。 聞かずふりの僕に、 もう一度。 暖かい日向で、うたたねにご満悦。 その心地よさが解るなら 僕の睡眠を妨げるのを控えたらどうだい? 「んにゃーおー」 ...君の勝手さ。
優しさの癖で心は脆くなり、優しさの重みに心は砕け ああ。私は散った。 月のブローチに。 幾つかは星に。 幾つかは欠片に。 私は青ざめて、それを拾い集めた。 それでも、あなたは近づいて、月のブローチを指差し 「ねえ、それが欲しいわ。」 私は震える手でそれを渡したが、 頬を滴る涙は香りとなって漂い消えた。 あなたはその日から慰めを覚えたが 私はなく、冷ややか瞳があなたを見ている。 ああ。私は散った。 あなたの胸に。 幾つかは星に。 幾つかは欠片に。
澄んだ夜空に月が孤高に在り。 砂金のような輝きを注ぎだす。 人々はその輝きに魅了され、夢見心地の脳裏には 伝承の約束の詩が流れ出す。 古の舟渡は朦朧と大川を行き来し、こう言った。 (古の船乗りの詩) 「彼女を送り届けて、眠らぬ夜を過ごし、 何度、むなしい朝日を浴びせられたことか。 ・・・そう、朝に彼女はいない。彼女がいるのは、夜。 向こう岸から水面に反響し、彼女のか細い声が、 あの約束の声が聞こえてくるではないか ・・・そう、彼女がいるのは、夜! 今こそ、ありったけの力を込め、船を漕ぐのだ! 彼女は月明りの裏に身を潜めているのだろう。」 ―月が夜空の極みに達すると、 雲の衣を身にまとい、おぼろ…
あれから、どのくらい月日が流れただろう 記憶に深く刻まれた傷跡も、もう気にならない ―波は月に寄り添うと必死で 反復のおかげで綺麗にステップを刻んでいるー 再び歩ける自分がいて、そうしない自分がいる 私は波ではない、月でもない 記憶にけじめをつける必要はなく、 ただ、方向が知りたいだけで・・・ ―月明りに照らされて、 砂浜に残された二人分の足跡に合わせて歩くー ―ああ、歩きにくい、負けるものか! 「さあ、家に帰ろう。」
早寝早起きの日々の中、景色に老いが滲み出る頃 冬が忍び足でやってきます。 「陽だまりに抱えられ、ほらっ」 野良猫の奴も遠慮なしのうたたねです。 誰も歓迎せず、―いいえ、皆に受け入れられているのですね。 ・・・そっと、忍び足で、近づいて。 ―分かっているのです。でも気づいたら、ねっ。 「陽だまりに抱えられ、ほらっ」 野良猫の奴も遠慮なしのうたたねです。 縁側でお茶碗の温もりを感じながら 一人、手櫛で白髪を整えます。 ―いいじゃないですか、 野良猫の奴も今日はそっとしてやりましょう。
小さい頃、親父のげんこつは痛かった。 ずしりと。背筋はピンと伸びていた。 大きくなって、親父の拳は飛んでこない。 それでも、拳は目の裏に潜んでいたよ。 ある時、親父の拳が目の裏から飛んできた。 でも、親父の拳はげんこつにはなれなかったよ。 頬にずしりと。背筋はピンと伸びなかったけど、 お星さまがいくつも見えたよ。
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