ごぶさたしました。春になってまた読書を始めようと思い、ご案内します。トルストイをやったんなら、次はドスト氏だろうと、カラマーゾフに向かうことにしました。『カラマーゾフの兄弟』～その粗筋とつぶやき～4月10日からスタートします。よかったら覗いてみて下
「動乱の『太平記』は、振り返ればすべては兵どもの夢の跡、しかし、当人たちにとっては揺れ動く歴史の流れの中で誇りと名誉に文字通りに命を賭けた、男たちの旅路の物語、…だと思って読み始めてみます。よろしければお付き合い下さい。」
『徒然草』→【徒然草〜人間喜劇つれづれ】 『源氏物語』→【源氏物語・おもしろ読み】 『正法眼蔵』→【「正法眼蔵」を読んでみます】 に続く第四弾は『太平記』としました。 よろしければ覗いて見てください。
関東から後を追いかけてきた軍勢が美濃国に着いて、「将軍はきっと宇治、勢多の橋を外して防ごうとされるだろう。それならば国司の軍勢は川を渡りかねて、無駄に日を過ごすだろう。その時、我々が疲れた兵の弱っているのに乗じて、国司の軍勢を前後から攻めれば、すぐに勝
一方、鎌倉の戦に敗れて方々へお逃げになった上杉民部大輔、弟・宮内少輔は相模国で立ち上がり、桃井播磨守直常は箱根から出陣し、高駿河守は安房・上総から鎌倉へ渡り、武蔵、相模の軍勢を呼ばれたところ、考えがあって国司方に付かなかった江戸、葛西、三浦、鎌倉、板東
大将左馬頭殿はその頃わずか十一歳だった。まだ思慮のある年頃でもなかったが、よくよくこの協議をお聞きになって、「いったいこれはそなた達の意見とも思われないことだ。戦をするときに、一方が負けないということはあるはずがない。むやみに恐れるのならそれは戦をしな
これを見て、奥州の軍勢十万余騎は一斉に川に入って、まっすぐに渡ったので、鎌倉勢八万余騎は同じく渡り合わせて川の中で勝負を決しようとした。しかし、まず先に渡った奥州勢の人馬に、東岸の流れがせき止められて、西岸の水の速いことはあたかも龍門三つの滝のようだっ
奥州の国司北畠中納言顕家卿は、去る元弘三年正月に園城寺の合戦の時に上洛されて、義貞に協力し尊氏卿を西海に追い遣った並ぶ者のない大きな功績だということで、鎮守府の将軍に任命されて、また奥州に下された。その翌年、官軍が戦いに敗れて帝は叡山から還幸なされて、
先に亡くなった相模入道高時の次男、相模二郎は、一家が滅んだ後は空では体を小さくし、地上では抜き足で歩いて、一身を置くのに安心できる所がなかったので、ここの禅寺、あそこの律寺に一夜二夜を明かして隠れ歩いていたが、ひそかに使者を吉野の帝に行かせて、「亡き父
主上が京へお帰りになり、官軍が金崎で皆討たれたと広く伝えられたので、もはや再び朝廷の力に従うことは、しばらくはないだろうと世間が皆思いこんでいたところ、先帝がまた三種の神器を持って吉野へ潜幸され、また義貞朝臣がすでに数万の軍勢を率いて越前国に討って出た
新田義貞と義助が杣山から討って出て、尾張守と伊予守が府中を逃れて、その他あちこちの城が落とされたと伝えられたので、尊氏卿と直義朝臣は大いに怒って、「このことは、ひとえに春宮が、彼らをお助けになろうというので金崎で腹を切ったと仰ったのを本当だと思って、杣
方々の宮方がこの煙を見て、「おお、鯖江の辺りに戦があったぞ。駆けつけて味方に加勢しよう」というので宇都宮美濃将監泰藤、天野民部大輔政貞が三百余騎で鯖並の宿から駆けつける。一乗少将行実朝臣が二百余騎で飽和から討って出られる。瓜生越前守重と弟加賀守照が五百
そうしているうちに年が改まって、二月下旬にもなったので余寒も次第に緩んで、兵達も弓を引くにも手がかじかまず、残雪がむら消えになって、馬が地を踏む足に蹄を傷めない。 「今はいい時期になった。徐々に国府辺りに近く攻め寄せて、敵の行き来する途中に城を拵えて、
こうしているところに、加賀国の住人敷地伊豆守と山岸新左衛門、上木平九郎以下の者たちが畑六郎左衛門尉時能の誘いに応じて加賀と越前の境の細呂木の辺りに城を構え、津葉五郎の大聖寺の城を攻め落として、国中を支配した。 この時までは平泉寺の衆徒達は皆二心無い将軍
左中将義貞朝臣と弟・脇屋右衛門佐義助は、金崎城が落ちた後、杣山の麓の瓜生の館で、いるのかいないのか分からないような状態でおられたが、いつまでもこうしてなすこともないままに時を待っていられようか。あちこちに隠れている敗軍の兵を集めて越前国内へ討って出て、
同じ年十月三日、改元がなされて延元になった。その十一月五日の人事異動で足利宰相尊氏卿が上席十一人を越えて位は正三位に上がり、官職は大納言になり、征夷大将軍の武官を兼ねられた。弟左馬頭直義朝臣は五人を越えて、位は四位になり、日本の副将軍におなりになる。
建武三年六月十日、光厳院太上天皇が再び天皇の御位にお即きになったが、三年のうちに天下が覆って北条高時が滅んだので、その例からしてどうだろうかと、多くの人に反対意見が多かったけれども、「この将軍尊氏が筑紫から攻め上った時に、院宣を出されたのもこの方である
「そもそもこの国の起こりは、家々に伝えていることがそれぞれ別々で、その説はまちまちではあるけれども、一応書かれている一説には、天地が分かれて以後、第九の減劫に人の寿命が二万歳の時、迦葉仏が西方に姿を現された。その時大聖釈尊はその教えを受けて、兜率天にお
金崎城が攻め落とされて後、諸国の宮方は力を失ったのか、あるいは降参しあるいは退散して、天下が将軍の威に従う姿は、まるで吹く風が草木を靡かすようである。あちらこちらに宮方の城があって、延暦寺がまたどんなことを始めるだろうかと危ぶまれたころは衆徒の意向に背
それにしても、御匣殿の御嘆きは、申し上げることもできないほどだった。この御匣殿が一宮に初めて参上なさった昔の、お心の尽くされ方は世に例がないと言われていた。 一宮が元服されて宮殿の奥深くで成人なさった後、学問も優れてご容姿も大変に立派でいらっしゃったの
そして一方、夜が明けると、蕪木の港から春宮がいらっしゃると知らせてきたので、島津駿河守忠治をお迎えに参上させ、引き取り申し上げた。昨夜、金崎で討ち死に、自害した首百五十一を並べて検分されたところ、新田の一族では越後守義顕と里見大炊助義氏の首だけがあって
土岐阿波守、栗生左衛門、屋島七郎の三人は、一緒に腹を切ろうと岩の上に立ち並んでいた所に、船田長門守が来て、「新田殿のご一家のご運がここで全く尽きたのであればそれぞれ皆が討ち死にすべきであるけれども、総大将兄弟は杣山にいらっしゃる。お子たちも三、四人もこ
新田越後守義顕は一宮の御前に参って、「合戦の状況は、もはやこれまでと思われます。私たちは致し方なく武名を重んじる家に生まれましたので、自害いたそうと思います。上様の御事については、たとえ敵の中にお出になられましてもお命を取るようなことはまさかございます
金崎城では瓜生の軍勢が寄せ手の背後から攻めるのを、命運を賭けて待っておられたが、判官が敗れて軍勢の多くが討たれたと伝えられたので、当てにする所がなくなって心細く思われた。日が経つにつれて兵糧も乏しくなったので、あるいは川の魚を釣って飢えを凌ぎ、あるいは
昔、秦の時代に趙盾と知伯という二人が趙国の覇権を長年争っていた。ある時知伯が趙盾のために取り巻かれて、夜が明けたら討ち死にしようとしていた時、知伯の家臣の程嬰、杵臼という二人の兵を呼び寄せて、「私はすでに運命が尽きて、趙盾に取り囲まれた。夜が明けたら必
さて、敗軍の兵達が杣山に帰ったところ、手傷を受けた者、死んだ者を数えると、里見伊賀守、瓜生兄弟、甥の七郎の他、討ち死にした者五十三人、傷を受けた者は五百余人だった。子は父に死に別れ、弟は兄に死に後れて、泣き悲しむ声は家々に溢れた。しかし、瓜生判官に老母
高越後守もかねて注意していたことなので、敦賀港から二㎞東に当たって強固な要害のあるところに今川駿河守を大将として二万余騎を差し向けて、所々に楯を垣のように並べて、いつ寄せてくるかと待ち受けていた。 夜が明けるとまず一番手に宇都宮、紀氏清氏の三百余人が押
「北国の道が塞がって、後ろに敵がいたのでは、金崎を攻めることが難しいだろう。なんとしても杣山の軍勢を国中にはびこらせないようにしなくてはならないだろう」というので、尾張守高経は北陸道四ヶ国の軍勢三千余騎を率いて、十一月二十八日に蕪木の浦から越前の国府に
それではすぐに杣山に帰って旗を挙げようと相談していたところに、諸国の軍勢たちが挨拶もなしに自分の所領に徐々に帰ったのを押しとどめるために、高越後守が四方の出入り口に厳しく兵士を置いて人を通さない。あるいは所用があって通る人は、越後守の証明をもらって通っ
その頃、先帝は吉野においでになって、近国の兵が馳せ参じているということが伝えられると、京都の狼狽は言うに及ばず、諸国の武士もまた天下は収まらないようだと落ち着いていられない。 この事がすでに一、二ヶ月に及んだけれども、金崎城では人の出入りが絶えたので知
先帝が花山院を抜け出されて吉野に潜幸なさったところ、近国の軍勢は言うに及ばず、諸寺諸社の衆徒神官に至るまで、皆先帝の徳に従って、ある者は軍用の金品を差し出し、ある者は御祈りをしたのだが、根来の衆徒は一人も吉野へ参上しない。これは必ずしも武家に味方して公
決めた時刻になると、三種の神器を新勾当内侍に持たせられて、子供が踏み分けた築地の崩れから女官の姿で忍んでお出になった。景繁は、あらかじめ用意していた事なので、主上を馬にお乗せ申し上げて、三種の神器を自分で担ぎ、まだ夜のうちに大和路にかかって梨間の宿まで
主上は、重祚の事は間違いありませんと尊氏卿がいろいろに申された偽りの言葉を当てになさって山門から還幸なさったのだが、元来欺き申すためだったので、花山院の旧邸に押し込められなさって、お心を秋風が吹く寂しさの中で悩まされる。 霜に響く遠い寺の鐘の音に御枕を
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ごぶさたしました。春になってまた読書を始めようと思い、ご案内します。トルストイをやったんなら、次はドスト氏だろうと、カラマーゾフに向かうことにしました。『カラマーゾフの兄弟』～その粗筋とつぶやき～4月10日からスタートします。よかったら覗いてみて下
ご無沙汰しました。私のブログ第5段は、トルストイ作『戦争と平和』を読んでみることにしました。タイトルは「『戦争と平和』を物語る～粗筋とつぶやき」です。リンクになっていますので、お気が向いたら、覗いてみて下さい。
《ところで、さて、読み終わって、これは一体どういう物語だったのかと振り返って見ますと、人びとの出入りがあまりに激しく、舞台も日本中に及び、また途中に長々と中国の歴史もはさみ込まれていて、にわかにはストーリーも思い出せません。 『太平記』は三部に分けて考え
《およそ二年半懸かりましたが、全巻を読み終わって、さまざまな思いがあります。 まずは、『集成』が言っていたように、この作品はまだ草稿であって、これから書き改められて完成品になるべきものであったらしいことへの驚きです。年次や人物の誤りが随所にあり、読者の知
そんな時、細川右馬頭頼之が、その頃西国の統治に当たっていて、敵を滅ぼし人を心服させ、諸事の取り仕切りのやり方が、いくらか先代の貞永、貞応の昔のやり方に似ていると噂されたので、ただちに天下の管領職に据えて幼い若君を補佐するようにと、協議の意見が一致したの
こうしているところに、その年の九月下旬の頃から、征夷将軍義詮が心身ともに具合が悪くなり、寝食が優れなくなったので、和気と丹波の医家両家は言うに及ばず、医療にその名を知られたような者たちを呼んで様々の治療をしたけれども、あの大聖釈尊が沙羅の木の下で亡くな
そうしているうちに、その年八月十八日、最勝講が行うようにということで、南都北嶺に命じて必要な人数が呼び集められた。興福寺から十人、東大寺から二人、延暦寺から八人だった。園城寺は、今回の訴訟に是非の裁定が成されていないので招集に応じないという考えを伝えた
その年の六月十八日、園城寺の衆徒が蜂起して、朝廷と幕府に連れ立って訴えを興すということがあった。その原因を何事かと調べると、南禅寺の造営のためにこの頃建てられた新しい関所において、三井寺（園城寺）へ帰る稚児を関所にいた禅僧が殺害したのだった。これは希代
このようでは天下もどうなることかと危ぶんでいるところに、今年の春の頃から鎌倉左馬頭基氏がちょっとした病になったと噂されたところ、貞治六年四月二十六日、生年二十八歳で急に逝去なさった。兄弟の愛情は強いものだけれども、この別れとなるとどうして悲しまずにいら
いよいよその日になると、寝殿の中央の廂の御簾を巻き揚げて階段の西の間から三間北に向かって、二間にそれぞれ菅の座布団を敷いて公家の座とする。長治元年には二列だったが、今回は関白殿がこのような座を設けられた。御帳の東西には九十㎝ほどの几帳を立てられ、昼の御
貞治六年（正平二十二年 一三六七）三月から同年十二月頃まで。 貞治六年三月十八日、長講堂へ行幸があった。この時は後白河法皇の御遠忌追善のために三日間ご逗留なさって、法華経をお誦みになった。安宮院の良憲法印と竹中僧正慈照が導師として参られた。めっ
この時の新院光明院殿も、山門の貫首梶井宮も、ともに皆禅僧におなりになって、伏見殿にいらっしゃったので、急いでお亡くなりになった山中へお出かけになって、火葬のことなどをお取りしきりになり、後ろの山に葬り申し上げる。おいたわしくも、仙院や宮中での崩御であら
御下向は大和路に入られたので、道の都合もよいと、南朝の主上のいらっしゃる吉野殿にお入りになった。この三、四年の前までは両統が南北に分かれてここで戦いあちらで敵対したので、呉と越が会稽山で策略を巡らし漢と楚が覇上で対立した以上だったけれども、今は世を捨て
さて御山にお着きになって大塔の扉を開かせて金剛界と胎蔵界の曼荼羅を拝見なさると、胎蔵界七百余尊、金剛界五百余尊は、入道太政大臣清盛公が手ずからお書きになったお姿である。あれほど悪を積んだ浄海がどのような宿縁に促されてこうした大善行をしたのだろうか。宇宙
光厳院禅定法皇は、正平七年の頃に、南山賀名生の奥から楚の囚われ人のような身を許されなさって、都へ還御なさった後、世の中をますますつまらないものとお思いになったので、その御所を離れ都の華やかな暮らしを捨てて、さらに御身を楽な立場に置きたいとお思いになった
昔、仲哀天皇が天皇としての文武の徳によって高麗の三韓をお攻めになったが、戦いに利なくお帰りになったのを、神功皇后はこれは戦略と軍備が足らなかったためだと、唐国へ戦さを学ぶための謝礼として金三万両を送られて、履道翁の一巻の書物を求められた。これは黃石公が
つくづくと読書の合間に太古の記録を見ると、異国から我が国を攻めたことが、国の始まり以来これまでに七回に及んでいる。特に、文永、弘安の二回の戦いは太元国の皇帝が支那の四百州を討ちとってその勢いが天地を凌ぐ時だったので、小国の力で退治しがたかったけれども、
四十数年の間、我が国は大いに乱れて外国も少しの間も穏やかでない。この動乱に乗じて、山道には山賊が現れて旅人は山野を通ることができず、海上には海賊が多く、舟人は海難を避けがたい。欲心に溢れた流れ者達が徒党を組んで集まったので、浦々島々は多く盗賊に占拠され
大夫入道道朝が都を出て後、越前国河口の庄が南都に返されたので、神の訴えがたちまちに収まって、八月十二日に神木はお帰りになった。時刻は午前六時と定められたのだが、その夜明けから雨が暗くなるほどに降って風が荒かったので、天の怒りはなお何事か残っているのかと
道朝はこのことを伝え聞いて、貞治四年八月四日の夕方、将軍の御前に参上して、「ご不審を受けているということを内々知らせてくれる人がありますが、私には不忠不義のことはありませんので、知らせてくれた人の間違いでしょうと私の気持ちを言い遣りましたが、昨日、近江
ごぶさたしました。春になってまた読書を始めようと思い、ご案内します。トルストイをやったんなら、次はドスト氏だろうと、カラマーゾフに向かうことにしました。『カラマーゾフの兄弟』～その粗筋とつぶやき～4月10日からスタートします。よかったら覗いてみて下
