chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 遺したい記憶『少年が見た戦争』(宮川健郎・編)

    もうすぐ新しい戦争文学の発売日が来る。 複数の受賞歴がある林けんじろう先生の 新作『君のせいだ、涙がでるのは。』は、 戦禍の記憶が物語の重要なカギを握るよ。 6/17に出るんで来週中に紹介予定だ。 さてと、今日紹介するのは古い戦争文学。 発売は今年の1月だが戦争を知る世代が 残した名作たちを選びぬいて掲載してる。 『夜』(三木 卓) 『わたしが一番きれいだったとき』(茨木 のり子) 『春さきのひょう』(杉 みき子) 『そして、トンキーもしんだ』(たなべ まもる) 『大もりいっちょう』(長崎 源之助) 『ブッとなる閣へひり大臣』(古田 足日) 『烏の北斗七星』(宮沢 賢治) 『赤牛』(古井 由吉…

  • エールを背に受けて『カーテンコールはきみと 幽霊部長の銀河鉄道』(神戸 遥真)

    むずかしい。どんな勉強より登場人物の役作りより、よっぽどむずかしい。(本文より、志望校を決めかねる心情を引用) たまに入試で見る作家の2月の新作だよ。 絶対SFと間違うタイトルだが現実路線。 ユーレイなんて一度だって出てこないし 銀河鉄道は宮沢賢治の作品をモチーフに 舞台を作り上げるところからきているよ。 シリーズ物だけど先にこちらを読んでも 大丈夫なよう描かれてる親切な仕上がり。 因みに前作は本好きでない子に推せる本 リストに挙げていた経緯があったりする。 今作は主人公が変わるけど面白さは不変。 キャラが増え物語の幅が広がった印象だ。 例によって読み易く難易度分類では平易。 以下、マイレビュ…

  • 気分まで晴れわたる『雨上がりのスカイツリー』(高森 千穂)

    どうせ、いろいろ変わったんだ。中学受験もしてみるかな。(本文より) 入試では見たことのない作家の1月の本。 かなり平易なので小4でも読めそうだよ。 両親が離婚してしまい父と暮らす少女が つらい時期を乗り越え変わっていく話だ。 勇気が伝染する流れが心地よかったわ~。 思わぬ展開から中学受験も関わってくる。 踏んだり蹴ったりのようなはじまりから 何もかもが上向いていく部分が楽しいな。 以下はマイレビューの前半フェーズっス。 主人公は父子家庭の小学六年生。 ものまね芸人兼バイトという父のことが大好きな彼女が、ギリギリの生活を助けながら健気に歩んでいく物語です。 素敵な親子関係だったな~。 父のカッコ…

  • 彩りあふれる人生観『月収』(原田 ひ香)

    月収三十万には二十万の三倍の価値がある。(本文より) たまに入試で見る作家の2月に出た本だ。 年齢も収入も様ざまな女性6人の人生が 思わぬ場面で交差する連作短編集ですわ。 カッコよかったのは、ゆとりある生活を 手に入れた女性の賢さあふれる生きざま。 これはマネー教育にも良さそうな本かと。 お金の話題は品がないとされる世の中で 得がたい考え方に触れられるのが嬉しい。 積みあがる貯金がくれるこころの安寧や お金に囚われることで失うものも描かれ 拝金主義に偏らないバランス感覚がイイ。 難易度の面ではやや難といった水準かな。 以下はレビューの前半パートからの抜粋。 なんて身もふたもないタイトル!って思…

  • よどみをキレイに流し去る『もし、自分がブサイクだと思ったら』(日本児童文学者協会・編)

    あのさ、ダサくてなにがあかんの。(『もし、親と好みが合わなかったら』の本文より) タイトルに惑わされるんだが外見の話は 全五話のなかの一つに過ぎないからな~。 人とのつながりこんなときはシリーズは 様々な子どものお悩みに寄り添う短編集。 実力派と公募勢の作品は彩りもカラフル。 5作品の内訳は以下の通りになりまっせ。 『もし、自分がブサイクだと思ったら』(尾関 忍) 『もし、友だちの推しを好きになってしまったら』(長江 優子) 『もし、俺がホームランボールを取っていたら』(佐藤 いつ子) 『もし、親と好みが合わなかったら』(宮下 恵茉) 『もし、学校生活が砂漠化してしまったら』(石井 睦美) 面…

  • うれし楽しい共学生活『それいけ! 平安部』(宮島 未奈)

    今までの人生、こんなに強く求められたことなんてなかった。(本文より) 米のとぎ汁が化粧品だったってご存じ? 難しいことを考えずに純粋に没頭できる 4月に発売された爽やか青春ストーリー。 この先生、運命的出会いのインパクトは 本作も成瀬シリーズ同様に凄いんですわ。 それぞれに抱えるものがある少女たちが 新しい挑戦のなかで解き放たれていくよ。 この本、魅力的なキャラだらけなんだが、 オレの推しは頼りなげな顧問の先生だな。 みんなを落ち着かせるべき大事な場面で アワアワして生徒に宥められたりと愉快。 ま、先生らしいところも見せるけどな? 素材文適性はいくばくかありそうな印象。 書店で目立ってるし多分…

  • 立ち向かう知恵『もし、自分の居場所がない気がしたら』(日本児童文学者協会・編)

    今回、ほんと怖くて。世界が敵になったみたいな。(『もし、インターネットでいやな思いをしたら』の本文より) 人とのつながりこんなときはシリーズは 有名作家と新人の作品が詰まった短編集。 タイトルは最終話から来ていて寂しさが テーマの作品集っていうわけじゃないよ。 所収の5篇は以下のラインナップですわ。 『もし、二次元の彼に恋をしてしまったら』(いとう みく) 『もし、インターネットでいやな思いをしたら』(吉野 万理子) 『もし、大切な人との別れが怖くなったら』(如月 かずさ) 『もし、黒い心をもてあましたら』(当原 珠樹) 『もし、自分の居場所がない気がしたら』(土野 寧々) ベテランが凄いのは…

  • 弱さと向き合えたなら『この手はいつか』(中山 聖子)

    いやちがう。たぶんぼくは、本当のことを聞くのがこわかったのだ。(本文より) 昔クラスに一人はこういう子がいたな~。 普段大人しいのに突如キレる少年の話で まれに入試で見る作家の3月の作品だわ。 見えない内面がきっちりと描かれていて 彼が暴れる理由が明確に伝わってきたよ。 事情がわかると見え方が変わるもんだな。 彼の置かれた状況ってのがまた苦しくて 心をまるごと持っていかれるんですわ~。 ま、前半につらい場面が多めなんだけど だんだんちがった展開になっていくから 終盤の見事なシーンまで突っ走るといい。 素材文適性は後半偏重という印象かな? 文句なしで良素材になる場面が複数ある。 問題に使えそうな…

  • 心のビタミンになる『もし、自分が平凡だと感じたら』(日本児童文学者協会編)

    学校ではリラックスしてすごしている。うん、女子だけって、ゆるくて心地いい。家のリビングがつづいてるって感じだよ。(『もし、緊張感のない女子校に入ったら』の本文より) 人とのつながりこんなときはシリーズは 今年1~2月にかけて発売された作品集。 本のタイトルは所収の一篇から来ていて 本全体のテーマを示している訳じゃない。 つまり、色んな話が楽しめるってことよ。 今作のラインナップは以下の通りですわ。 『もし、ぽつんとしてしまったら』(石川 宏千花) 『もし、緊張感のない女子校に入ったら』(おおぎやなぎ ちか) 『もし、伴奏を断ったなら』(杉成 恵佳) 『もし、自分が平凡だと感じたら』(イノウエ …

  • 心と心をつなぐもの『サヨナラは言わない』(アントニオ・カルモナ)

    パパはママが死んでから、ママを憎んでるような気がするの・・・。(本文より) 海外の名作ってのもたまには紹介するよ。 フランスの文学賞を獲った作品なんだが 主人公の母が日本人で日本ネタが多めだ。 日本も舞台になるんで親しみやすいよ~。 ストーリーの序盤はなかなか重いけどな。 大切な人を失い混乱を極める心の闇から 少女が解き放たれていくっていう物語だ。 変わるきっかけユニークかつ超パワフル。 読めばバイタリティが伝染しそうなほど。 難易度は普通なので小6で読めるだろう。 以下、俺のレビューから少し持ってきた。 日本文化へのレスペクトが凄い! 主人公は12歳の日仏ハーフ。 理由がわからないまま母が消…

  • 会計畑の成瀬『ぼきののか』(宮島 未奈)

    いつかあたしの面白さに気付いてくれる人が現れるんじゃないかって心のどこかで夢見ていた。(本文より) 『成瀬は信じた道をいく』の続編3作目。 小説新潮2025年5月号掲載の短編だ。 1作目と2作目のレビューは以下の通り。 続編1作目『やすらぎハムエッグ』 続編2作目『実家が北白川』 このシリーズは中毒性があるもんだから 俺なんかは単行本を待てないんだよな~。 なんでもない会話のセリフがシュールで おかしみが詰まりに詰まってるんだもん。 今作では立命館大生のユーチューバーが あざとさから成瀬嬢に目を付けるんだわ。 こいつは数字を取れそうなキャラだ、と。 そこから強烈キャラが想像を軽々超える 働きを…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、児童書☆読み合わせさんをフォローしませんか?

ハンドル名
児童書☆読み合わせさん
ブログタイトル
中学受験と児童書と
フォロー
中学受験と児童書と

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用