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  • 心の栄養がズラリと並ぶ『そんなときは書店にどうぞ』(瀬尾 まいこ)

    神社に行かないと手に入らないと思っていたけど、持つ人や贈る人の気持ち次第で、なんだってお守りにできるのだ。(本文より) 入試でお馴染みの作家の昨年末に出した 本づくりの舞台裏が丸見えになる面白本。 エッセイに短編小説1本がついてるよ~。 親しい友人に語りかけるような語り口で 爆笑ものの作家人生が描かれてんだよな。 変な編集者や熱血書店員の話だけでなく 本人の惜しみないやらかしもそこかしこ。 全然カッコつけないところが滅茶クール。 素材文適性は『幸福な食卓』の続編たる 短編小説の後半パートにありそうな感じ。 書店員の青年が心の傷に向き合う話だが、 全力疾走とレモンちゃんの周辺が匂うよ。 難易度的…

  • さびしい闇を埋める『眠れない夜のために』(千早 茜)

    稀に入試で見かける作家の11月の新作。 短編集と謳ってるんだが一つ一つの話は むしろ掌編と言っていいくらいの手軽さ。 スキマ時間にさらりと読める作品だろう。 文章量は多くなくてもじんわり来る話や SF、怖くなる話もあって多彩な品揃え。 オレが気に入ったのは『水のいきもの』。 眠れない主人公が真夜中に歩き回る中で 思わぬ体験をするっていうストーリーだ。 10編には合わない話もあるがどこかに 必ずキラリと光る言葉があるんだよな~。 難易度としては、やや難にカテゴライズ。 俺のレビューの真ん中へんはこんな感じ。 個性だけでなく世界観もさまざまな舞台で、闇の時間がまたたくような輝きを魅せてくれます。 …

  • 出題されるかもしれない新刊本(2025年3月前後)

    3月は珍しく新作の情報があんまないな。 『アルプス席の母』で注目を浴びている 早見先生の中受小説はガチ推し作品だよ。 以下のリストは未読の作品が多めなんで、 たぶん問題文に向かない本も含まれてる。 2/27発売 『キャロットバトン』(こまつ あやこ) 個性がバラバラな4人の童話創作リレー。 3/3発売 『白い虹を投げる』(吉野 万理子) 小6野球少年たちは転校しても支え合う。 3/7発売 ☆先行レビュー済☆ 『問題。 以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』(早見 和真) 少女の中学受験を通じて変貌する家族像。 3/7発売 『あの子の隣で待つ春は』(上田 聡子) 個性を輝かせる少女達の…

  • ぼくらは考え抜いてゆく『おおなわ 跳びません』(赤羽 じゅんこ)

    「それって、偽善、じゃねぇの?」つい、強めの声が出てしまった。(本文より) 稀に入試で見る作家の昨年10月の作品。 タイトルと表紙の感じから気の強い子が 行事への参加を拒否する話かと思ったが 読んでみたら先入観とはまるで違ったわ。 足を普通に動かせない大人しめな少女と クラスメイト達が大なわ跳びの最適解を 意見を出し合いながら模索していく話だ。 子供主導で利害を調整するストーリーに ふんだんに学びの要素が盛り込まれてる。 道徳的なのにいい話を読まされるような 重さや説教臭さがないところが凄いんだ。 自然とSDGSに親しめる優良図書だよ。 これは読書感想文にも向いてそうだわ~。 かなり平易だけど…

  • たとえ茨の道だとしても『あの日の風を描く』(愛野 史香)

    新たな知識が、朝露の清冽な冷たさのように、脳に染み込んで刺激する。(本文より) 昨年10月に出た角川春樹小説賞大賞作。 美術品の模写や修復を描いた珍しい本だ。 ハンパな自分を思い知り塞いでた青年が 従兄の誘いで新しい世界に踏み込むよ~。 先輩らと難題に挑む中で関係性が深まり その過程で大切な気づきも獲得していく。 彼の熱量の変化にぜひ注目して欲しいな。 美術用語が壁になるが素材文適性もある。 特に4章と5章の人間ドラマがよいかも。 問題文に使えるかもしれないシーン 四章前半〇名前の由来を知らされるまで 四章後半△セリフに決意がにじみでる日 五章前半△様々な言葉を浴びて浮き沈み 五章後半△ピンチ…

  • 彼女は熱意で押し通る『古本食堂 新装開店』(原田 ひ香)

    本意って伝わらないものなんです。自分の気持ちなんて、相手に伝わらないのが普通って思ってたらいいんです。(本文より) 昨年6月発売で今年の修道で使われた本。 シリーズ前作も今年茗渓学園で出てたよ。 70代店主が20代女性と切り盛りする ユニークな古本屋を舞台にした物語だわ。 食べ物の描写がじれったいほど魅力的で 作中で紹介される本も気になったりする。 この本のいいところは、惹かれた何かを 実際に食べたり手にしたりできるところ。 たまにある描写ではメチャ旨そうなのに 実際には一生お預けみたいなのとは違う。 ま、お仕事小説なので敷居は高く難しめ。 以下、俺のレビューから来た4フレーズ。 本にまつわる…

  • 誰も奪えない光『星の教室』(髙田 郁)

    教育を受けることは、そのひとの人生に希望の灯を点すことだ。(本文より) 長く親しまれそうな傑作が登場したわ~。 旧作をたまに入試で見る作家の新作だよ。 深~い事情があって夜間中学に入学した 生徒や周囲の人々の生き様が感動を誘う 学ぶことの尊さが直に伝わってくる話だ。 彼らの切実な学びへの渇望は衝撃だった。 物語の舞台になった2001年ごろには 義務教育を終えていない人が170万人、 一方で、夜間中学は全国にたった35校。 存在が知られていなかった面もあるけど、 全然ニーズに追いついてなかったんだな。 この作品が何かを変える契機になるかも。 素材文適性は前半が特に高かった印象だ。 今回も少しばか…

  • イマジネーションの翼『風の港 再会の空』(村山 早紀)

    この世界を生きるに足る、優しい場所だと教えてくれたのは、あなたでした。(本文より) 『風の港』ってタイトルからして素敵だ。 たまに入試に出る作家の1月の新作だよ。 前作は複数の入試問題に採用されてたが 今日紹介するのはシリーズ2作目になる。 思わぬ邂逅で荒んだ男が心を洗われたり、 医大を目指す青年の気持ちが救われたり、 悩める女性が決意を新たにしたりと多彩。 共通するのはほんのり元気をくれるトコ。 素材文適性の面では最終話『夢路より』。 公務員の青年の話だけど、小学校時代の 二人の友人ができるまでの話はアリかも。 難易度の面ではやや難といったレベル感。 俺のレビューの冒頭部分を以下に置くよ。 …

  • 確かな架け橋『音のない理髪店』(一色 さゆり)

    自分が書いたものが人と人をつなぐきっかけになってほしい。(本文より) これも障がいを深掘りした作品になるよ。 耳が聴こえないことで身に迫る危機とか やまない差別や偏見、歪んだ制度などを これでもかとブッ込んだストーリーだわ。 日本手話と日本語対応手話が別物だとか、 東京と大阪で水をあらわす仕草が違う等 びっくりさせられることも多かったな~。 嫌になるようなエピソードがある一方で 未来に希望を持たせてくれる話もあるよ。 人を思いやることの大切さが沁みる本だ。 難易度が高いので小学生にはキツイかな。 以下の文章は俺のレビューの一部分だよ。 聞こえる者と聞こえない者の間に架け橋を! そんな願いが込め…

  • 感嘆のため息もれる『見えなくても王手』(佐川 光晴)

    できれば時間を気にせずに、きみと指したいんだ。(本文より) 入試定番作品『駒音高く』の姉妹編だよ。 盲学校の高学年男子のストーリーだけど 将棋と障がい者教育への著者の本気度が 物語の中に見事に結実されてるんだわ~。 これはそう滅多に見られない優良図書だ。 特に著書の祈りが乗り移ったかのような 熱意溢れる教師の振舞いには要注目かと。 盲学校の子どもたち同士のやり取りにも 色んな意味で目が離せないシーンが多い。 ただ、将棋の戦型のようなマニアックな 語句が当たり前に使われる点では難しい。 素材文適性は将棋用語が減り人間模様に 重点が置かれる6章から8章が高そうだ。 帰郷、回想、学校トラブルのあたり…

  • 長らえ、何を伝えるか?『窓の向こう、その先に』(田村 理江)

    強いあこがれは、裏返されて嫉妬になり、そばにいたらはじかれそうな”こわさ”に変わった。(本文より) 入試で見たことのない作家の11月の本。 窓から外を眺めるのが好きな少女の話で 彼女と老人の変わった交流を描いてるよ。 奇跡のような巡り合わせが楽し気だわ~。 この作品の珍しいところは主人公の心が 真っ黒に染まり驚きの事態を起こす部分。 王道テンプレとは違うシナリオは新鮮だ。 難易度は平易なので小5で十分読めそう。 以下、俺のレビューの最初だけ付けとく。 おじいさんと少女は心を通わせることができるのか? その答えやいかに! 主人公は小学5年生。 特別なものに憧れ、満たされない日常に流されていた彼女…

  • 歩けよ黒髪の成瀬『実家が北白川』(宮島 未奈)

    ごめんね。こいつは男子校で六年間過ごしたせいで、女子へのあこがれが妙に強いんだ。(本文より) バカ売れしてる成瀬シリーズの最新短編。 小説新潮1月号に掲載されている話だよ。 京大のおとなしめ新入生男子が流される ままに入ったヘンテコサークルの日々で 例の大物と繋がる機会を得るんですわ~。 普通じゃない初対面のシーンはもや定番。 今回はしかも出で立ちからしてユニーク。 でも、確固たる信念は変わらずで嬉しい。 難易度分類ではやや難といったレベル感。 短い話を詳しく描いちまうとアレなんで 今回は物語のさわりだけ紹介しておこう。 主人公は京大近くで育った新入生男子。 地味な彼の日常は、異質な出会いを重…

  • 人生を賭ける仕事『日比野豆腐店』(小野寺 史宜)

    謝るくらいなら離婚しないでよ、とぼくは言ったけど、どちらからも返事はなかった。(本文より) たまに入試に出る作家の11月の新作だ。 この先生が人情を描いたら当たりは必然。 期待を裏切らないばかりか越えてくるよ。 熱意が人を動かす話とかグッときたわ~。 主役は短編ごとに違っていて70代女性、 40代女性、小4男子、高校生男子、猫。 猫視点の話は短いけど重要な役割がある。 終盤の高校生パートは特に胸アツだった。 性格の良さがにじみ出てるんだもんよ~。 素材文適性の面でも終盤でグンと上がる。 高校生と小学生が心を通わせる場面など エモくって問題文にもよいかもしれない。 店番、散策、進路のパートも使え…

  • 聲なき天の『オリオンは静かに詠う』(村崎 なぎこ)

    記憶にある札の場所を渾身の力で払った。手から星が散り、彗星のように札が飛んでいく。(本文より、競技かるたの鮮烈な描写) 聖光学院で出たことがある作家の新作だ。 聴覚障害にまつわる本人や周囲の葛藤が さまざまな角度から丹念に描かれてるよ。 深刻度の違いによる友人とのすれ違いや 家族も含めた無理解による苦悩がグサリ。 これは著者の最高傑作だという気がする。 心のバリアフリーに役立つ貴重な一冊だ。 競い合い火花を散らすライバルの思わぬ ふるまいなんかもあってグッときたわ~。 かつ、百人一首絡みの知識も満たされる。 作問者が気づけるかって問題はあるけど この作品の素材文適性はかなり高い印象。 問題文に…

  • きらめきの未来『ぶたのしっぽ』(海緒 裕)

    二度とキモイなんていわれないように、自分じゃない自分になり切ろうとしたんだ。(本文より) 今回は2ヶ月以上先に発売予定の新刊本。 ちゅうでん児童文学賞の大賞作品だよ~。 受賞作品は何年も連続で入試に出ている。 秘密の趣味と人に言えない苦悩に染まる 中二男子がヤングケアラーの不登校児と 関わるなかで心を開放するヒントを得る。 ヒトコトで言っちまうとこんな筋書きだ。 出番は多くないが主人公の祖母や担任の 先生のちょっとした気遣いが沁みたわ~。 野球部女子との微笑ましい関係も面白い。 本作では不登校の少年の独特の話し方が いくぶん硬質な印象を加えているんだが 軽妙な文体よりかは素材文適性にプラス。 …

  • そのとき何ができるのか『普通の子』(朝比奈 あすか)

    いつの時代も、人をいじめるのが楽しいたちの子が、一定数いるのよ。(本文より) いじめの問題を深く深く掘り下げた大作。 割と入試に出る作家の12月の新作だよ。 これは子どもには難しいし素材文適性も あまり高いとは思わないけど親は必見か。 主人公の大きな失敗は反面教師になるし もちろんよい対応もあって役に立ちそう。 教育に関心のある層に薦めたい一冊だよ。 オレは何かあったときのために保護者の 横のつながりは疎かにできないと感じた。 被害者と加害者の境目が際どい部分には 簡単に割り切れない現実を見た気がする。 ラストが風速100M級のインパクトの この作品へのレビュー要約版は以下だよ。 いじめは心を…

  • いのちを「いただく」ことの意味『ミルキーウェイ──竹雀農業高校牛部』(堀米 薫)

    人間、何かを突破しようとしたら、それなりの覚悟を決めるのが大事なんだよ。(本文より) 決戦の朝だけど気を紛らすために三連投。 なにか書いてないと落ち着かないのだよ。 2024年12月に発売されたばかりの こんな部活ありますシリーズの第4作目。 農ガールたちに光を当てた珍しい作品だ。 引っ込み思案の高校生が学校で実習用に 飼っている牛をお世話する牛部に出会い 普通では味わえない経験を重ねていく話。 彼女たちが大変な活動を乗り越えながら 何を吸収していくのか注目して欲しいよ。 都会で暮らす人には未知の話ばかりだし 学びっていう点では収穫の多い作品だわ。 原発事故エピソードは胸に迫りまくるし 日本の…

  • 鎮魂の響き『あの空にとどけ』(熊谷 千世子)

    がんばってるのにできないからしかたないじゃん、って言いわけを探した。でもそれは、つらいことから逃げだしただけかもしれない。(本文より) 命の大切さを訴える作品って貴重だよな。 小川未明文学賞等でも実績のある作家の 課題図書にも向いてそうな良質な新作だ。 本作では小学5年生の少女が家族を喪い 後悔にとらわれ身動きが取れなくなるよ。 そんな彼女が周囲の働きかけを受けつつ 一生懸命になれる物を見つけ立ち上がる。 序盤の重さがハードルになると思うけど たぶん中盤からは止まれなくなるだろう。 素材文適性が最も高いのもおそらく中盤。 主人公の心を動かす対話に注目したいね。 あとは終わりの方も問題に使えるか…

  • 運命は交差する『モノ』(小野寺 史宜)

    朝焼けの下で今まさに様々な交通機関が 受験生やその家族を目的地へ運んでいる。 書きもの集中するのが一番落ち着く俺は こんな朝でも平常運転中だったりするよ。 読むほうは文字が滑って頭に入らなくて 正直、まるっきり平常心じゃないけどな。 かなり前に読んだけどココでは未紹介の 割と入試に出る作家の夏に発売された本。 東京モノレールに著者が密着して描いた 沿線の魅力も伝わってくるお仕事小説だ。 誇りを持つこと、知恵を働かせること等 生きていく上でこの上なく大切なことを 物語を通じて教えてくれる作品だったよ。 駅や列車内で人の運命が交差する場面や 意欲的に働く社員の姿が魅力的だったな。 ひたむきに頑張る…

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