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  • 私は上手に笑えない『ちゃっけがいる移動図書館』(髙森 美由紀)

    自分にはないものを得るための努力に、ゴールはあるのか。考えると深い穴に落ちていきそうになる。(本文より) 登場人物に自分を重ねることあるよな? そうなると作中の世界により入り込める。 俺はこの作品の上手に笑えない主人公に メチャメチャ共感しちまったんだよな~。 わりと入試に出る作家のお仕事小説だよ。 面白いことが何もないと思ってた女性が ワンちゃんとの交流で活力をもらう話だ。 ハートウォーミングな筋書きが魅力だし 心が疲れている人には特に沁みるだろう。 大人向けだけど素材文適性は意外に高い。 移動図書館の訪問先で出会う少年達との 交流シーンなどが使いやすそうだったよ。 問題文に使いやすそうなパ…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2024年11月前後)

    11月は凄い新刊のラッシュがくるよ~。 上旬から注目作家の作品が続いていくし 中旬には講談社児童文学新人賞の佳作本 2冊同時発売も控えていてかなりアツい。 さらに下旬には有力な出題候補作もある。 12月にも超ヤバい企画が控えてるな~。 以下のリストは未読本が少なくないんで 出題向きじゃないのも混じってそうだよ。 10/30発売 『うそコンシェルジュ』(津村 記久子) 嘘の手練れが人助けに知恵を絞る11編。 10/31発売 ☆先行レビュー済☆ 『街角ファンタジア』(村山 早紀) 心を癒すさまざまな奇跡が詰まった一冊。 11/6発売 ☆先行レビュー済☆ 『雫』(寺地 はるな) 中学の卒業制作班のメ…

  • 実話ベースゆえのリアル『あしたの笑顔』(横田 明子)

    何それ。いくらほのちゃんに障がいがあるからって、犬と同じにしてほしくないんだけど。(本文より) 去年の11月に発売された作品なんだが アンジェルマン症候群はこの本で知った。 知的障害や発育遅延等の症状がある一方、 ニコニコしているってのも特徴なんだな。 本作は姉にその障害があるという少女の 同世代とは違った日々を描いた作品だよ。 親に二の次にされるのが当たり前の日々、 友だちの偏見にさらされるシーンなどが 平易な文章を通じて心を揺さぶってくる。 実話を元にしているせいか迫力が違うな。 またオレの感想の一部を紹介しておくよ。 主人公はしっかり者の小5女子。 姉に障害があることで人と違う日々を送る…

  • 小学生禁止?『小鳥とリムジン』(小川 糸)

    がんばれば道は拓けるなんて大嘘だ。そんな戯言は、努力すれば何とかなる状況の人が、口先だけで言っているに過ぎない。(本文より) 醜い感情と美しい愛情のギャップが凄い たまに入試に出る作家の今月の新刊だよ。 これは小学生には見せられないかもな~。 ちょっと際どい内容が少なくないからよ。 ただこういうセリフを見ると考えちまう。 性教育をすると寝た子を起こすとかって言うけど、僕から言わせれば、ちゃんとした性教育をしないことの方が、寝た子を変なふうに起こすと思うんだけど。(本文) ま、中3ぐらいになれば読んでいいかも。 大切な気づきくれる作品ではあると思う。 後半にかけて純粋な愛の物語になってく。 理想…

  • 変化に富んだエピソード『くらくらのブックカフェ』(廣嶋 玲子, まはら 三桃, 濱野 京子, 工藤 純子, 菅野 雪虫)

    物語は、登場人物の気持ちが自分とぴったり重なってくると、読むのが断然楽しくなる。(本文より) 児童文学界の大御所5人が揃い踏みだ! ユニークなのは、作家がリレーのように 短編のバトンを繋いでいく形式なところ。 かつSFや怖い話もあって盛りだくさん。 となりゃあズバリ!飽きる暇もないワケ。 子どもは『呪いの行く末』に夢中になり、 『もうひとつの世界へ』でも喜びそうだ。 他の話も面白いし物語を楽しみたいなら この本を手に取ってみるといいだろうな。 文章難易度は出題レベルのなかでは平易。 以下、俺のレビューから少し引用しとく。 大物作家5人の競演を堪能できる連作短編集。 猫がいざなうふしぎなカフェで…

  • 原風景を求めて『夢でみた庭』(長崎 夏海)

    10年前に発売された坪田譲治文学賞の 『クリオネのしっぽ』の続編らしいけど 前作を未読でも違和感は覚えなかったよ。 先にコチラを読んでもたぶん大丈夫だわ。 ヤングケアラーばりに自分を犠牲にして 家族のためにとがんばる少女が主人公だ。 低温気味のテンションで物語は続くけど 違うタイプの友人が出るのが救いかもな。 粗暴なやらかし女子のドタバタは面白く、 クール女子とのやりとりも興味深かった。 一応、レビューの前半だけ付けておくよ。 主人公は不器用で話下手な中学2年生。 母と幼い弟の3人で暮らす彼女が、家のことに忙殺されながら、亡き父にまつわる原風景を想い続けます。 しんどさを共有する少女たちの危う…

  • 読書に親しむ、はじめの一歩『だるまさんがころんで』(林 けんじろう)

    こんな手ごろなところに全国への挑戦の場がある。その頂きに登りつめれば、一躍ニュースとしてとり上げられる。(本文より) だるまさんがころんだって遊びのことを 知らないってヤツはたぶんいないよな? でも、その子どもの遊びが磨き上げられ 極上のエンタメに化けているなんて話は まだ聞いたことがないんじゃねーかな? 本作はちゅうでん大賞受賞作家が王寺町 達磨寺で毎年開催されているだるころの 全国大会を題材にした気持ちのいい物語。 リアルな楽しさが直に伝わってくるよ~。 これは鬼役をした著者にしか描けないわ。 小4ぐらいから読める敷居の低さだけど つらい場所から逃げることを否定しない やり取りなどは広い層…

  • 心に羽を『ハロハロ』(こまつ あやこ)

    私の声は、今までの人生で一番遠いところに届いてるんだ。(本文より) 読めば明るく楽しい気持ちになれる新作。 デビュー作は講談社新人賞で最頻出作品、 2作目以降も割と入試に出ている作家の 12月上旬頃に発売される予定の作品だ。 内気な少女が楽しいオンライン英会話で 外向きのチカラをもらうってストーリー。 フィリピン人の講師がいい人だったわ~。 主人公を勇気づけてくれる振舞いが最高。 ドン・ビー・シャイって超シンプルだが それだけに使いやすい素敵なフレーズだ。 俺もいざってときに唱えたいと思ったよ。 本作の素材文適性はかなりの高さになる。 とくに飲料ネタで物価の差を知るシーン、 学校で起きる思わぬ…

  • 成瀬と違う強めヒロイン『婚活マエストロ』(宮島 未奈)

    どう考えても鏡原さんはもっと大きな企業で人材育成をしたほうがいい。(本文より、主人公がヒロインから受けた印象) 成瀬シリーズで本屋大賞などを受賞して いま勢いのある作家のもうすぐ出る本だ。 この先生が描く強い女の魅力はケタ外れ。 今作では、地方の小さなイベント会社で 世にもパワフルな女が大活躍するんだわ。 巻きこまれる低活力男の視点で話は進む。 婚活業界での彼の変わりっぷりがいいよ。 婚活&お仕事&成長というストーリーは あまり入試に向かないかもしれないけど 書店で目立つって条件はクリアするだろ。 舞台設定が大人向けなので難度は難しい。 俺のレビューのカケラを以下に付けとく。 まっすぐすぎる個…

  • 今さらだけど、激賞『藍色ちくちく-魔女の菱刺し工房』(髙森 美由紀)

    間違っていようといまいと、我が子を守りたい。(本文より) 豊島岡の生徒が大学受験会場で集中力を 高めるために運針して周囲をビビらせる みたいな話を何かの本で見た気がするが 今回の紹介本を読んでそれを思い出した。 今年の公立高校入試でよく出た作品だよ。 高校入試頻出本は中学入試でも出やすい。 女子高校生から51歳女性までの4人の 視点で描かれた話が繋がる短編集ですわ。 やりたいことが見つからない高2女子が 夢中になれるものを見つけ躍動する話や 悲しい出来事を機に引きこもった青年が 大役を果たせるようになるって話がいい。 老婆の振り返りを描く掌編はさらにいい。 これはぜひ大人も子供も読むべきだな~…

  • 命尽きるまで『われは熊楠』(岩井 圭也)

    お前は他者を見とらん。己を知りたいなら、己以外を見よ。(本文より) 今年の5月に発売された直木賞候補作だ。 知の巨人の意外な一面を描いているよ~。 並外れた知能とままならない癇癪を持つ 男の生きざまが圧倒的な迫力で胸に迫る。 時代背景や方言が高い壁になってるから 普通の小学生には歯が立たないだろけど 15歳の熊楠が学校の恩師の導きを受け 進むべき道に開眼する一章は要注目かと。 この章は後輩達との会話で気づきを得る 場面もあるので素材文適性がそれなりだ。 終盤にかけては話が壮絶になっていくよ。 紹介本の中では高難度で難関校向けかな。 俺の感想は以下にちょっとだけ付けとく。 「学問は、なんと快いも…

  • 魂のプレゼンテーション『銀河の図書室』(名取 佐和子)

    受験を行事の一環にして命を燃やすのが高校三年生なんだ。(本文より) 文化部の高校生たちの熱い青春を描いた たまに入試に出る作家の8月の新作だよ。 ミステリっぽい公式の紹介文なんだけど 真正面から部活×友情を描いている本だ。 学生だけでなく先生たちも魅力たっぷり。 こんな先生に会いたかったってマジ思う。 弱気すぎる主人公が周囲とのかかわりで どう変わっていくかに注目してほしいな。 教師としての宮沢賢治のエピソードなど 心惹かれる史実も身近に感じられるよ~。 例の表の暫定版に載せてないが完成版で かなりの上位に食い込んでくる注目作だ。 テーマ注目度は〇、素材文適性は◎だよ。 特に友人が先生にキツい…

  • 愛しい鮮血『グリフィスの傷』(千早 茜)

    人は驚くほど、人の痛みに無自覚なのだ。(本文より) 昨年の直木賞受賞作家の4月に出た新作。 傷にまつわる10編が詰まった短編集だ。 一部、小学生に見せられない話もあるが 最初の受付嬢が高校時代を振り返る話と 最後の女子高生視点の話はオーケーだよ。 最初の短編は酷いいじめを受けて感情を 失いかけた少女を変えた出来事が鮮烈だ。 最後の短編は思わぬ場所で学校の男子に 遭遇した少女が知る意外な話がアリだわ。 まぁ、こういう明らかに子どもの読者を 想定していない本は勧めるか迷うところ。 入試で出るときはヤバイ箇所を回避して 素材にするからスルーもしづらいけどな。 一応俺のレビューをちょこっと付けとく。 …

  • 気持ちを上向かせてくれる『街角ファンタジア』(村山 早紀)

    本の中には世界があった。果てしなく広がる宇宙があり、今日まで続いてきた人類の歴史があった。美味しそうな料理があり、そしてたくさんの物語があった。(本文より) たまに出題される作家の月末頃にでる本。 タイトルで想像できるファンタジックな 物語の魅力は、想像を超えてましたわ~。 五編の短編はどれも面白すぎるんだけど この中では二章の潰れかけレストランの 娘の話に素材文適性があるかもしれない。 若い頃の祖父の運命の分かれ目を少女が 体感する不思議で楽しいストーリーだよ。 四章は法事で退屈する本好きの男の子が 思わぬ出会いを心に刻むっていう筋書き。 これもちょっと使える部分がありそうだ。 難易度分類は…

  • すり減らない生き方『令和元年の人生ゲーム』(麻布競馬場)

    他人からの評価に右往左往させられるなんて、この世で一番馬鹿らしいことですから。(本文より) 今年の2月に発売された直木賞候補作だ。 Z世代の名門大学生やOBのリアルって なかなかに惹かれる内容じゃねーのよ? 表紙やペンネームはどこかチャラいけど 文学賞候補になっただけあってマジだよ。 マジで怠惰を目指す男が面白いんだわ~。 なんのために頑張るのかわからなくなる かもしれないから子供に見せづらいかな。 大人目線としては考えさせられてよさげ。 入試素材にはしにくいかもしれないけど 人を食ったキャラが躍動するって物語は 自由な校風が売り物ならアリだろうか? ま、楽しい読書にはお薦めって言えるよ。 学…

  • 心に日本刀を持つ女『常夏荘物語』(伊吹 有喜)

    常夏荘は夢の国ね。あの場所だけ時間が止まってるみたい。(本文より) 歪んだ名家の内外で奮闘する女達の物語。 たまに入試に出る作家の8月の新刊だわ。 なでしこ物語シリーズ最終巻ってことだ。 この作品から読んでもわからなくはない。 順番に読むほうが絶対に楽しめるけどな。 一言でいえば清々しい魅力に溢れた作品。 女達の胸のすくような活躍ぶりがいいよ。 自分だけでなく家族や仲間たちのために 笑みを絶やさず闘うとか最高過ぎんだろ。 ま、面白いけど普通の小学生には難しい。 以下、俺のレビューから一部持ってきた。 “もっと自分に正直でいい”と訴えかけてくる物語。 描かれるのは十人十色の闘う女の生き様です。 …

  • 【2025年入試版】国語出典予想ランキング(2023年9月~2024年8月発売)

    笑えるほどアクセスがない当サイトだが 今年も恒例のランキングを作ってみたよ。 作品の優劣ではなく出題者が選びそうか。 この点のみで順位付けしたリストが以下。 全てここでレビューを書いた作品たちだ。 表の説明はちょっと真面目に書いてみる。 出典予想ランキング(1位~50位) 暫定版ベスト50。12月上旬に完成版をリリース予定です。 私の勘で選んだ出題者に好まれそうな今期の作品群です。 昨年作った表は2024年中学入試への採用率が以下の通りでした。 1~25位・・・84% 26~50位・・・56% 51~75位・・・28% 76~100位・・・4% 今回も、ランキング上位には国語科のベテラン教諭が…

  • オトナの恋の物語『人魚が逃げた』(青山 美智子)

    本当にやりたいことを見つけ、育て、その手につかんだ我が子を、自由にさせるのが親の務めなのではないか。(本文より) 例によって話がリンクしあう連作短編集。 先月のテレビ番組で、これまでの著作の すべてが中学入試の素材に採用されたと 紹介された先生の1ヶ月後に出る本だよ。 たぶん作問者にもファンが多いんだろう。 となりゃあ注目しないわけにいかないな。 銀座の街に現れたミステリアスな青年が 脇役ながら面白い役割を演じる作品だよ。 テーマ注目度、素材文適性はともに〇印。 大人向け作品のわりには読みやすだろう。 子どもに見せられないシーンもなかった。 届くべき人のところに、届くべきものが 届きますように…

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