古事記下つ巻現代語訳五十七古事記下つ巻雄略天皇陵の破壊書き下し文天皇、其の父王を殺したまひし大長谷天皇を深く怨みたまひ、其の靈に報いむと欲ほす。故其の大長谷天皇の御陵を毀たむと欲ほして、人を遣はす時に、其の伊呂兄意富祁命奏言さく、「是の御陵を破壞たむには、他し人を遣はすべくあらず。專ら僕自ら行き、天皇の御心の如く破壞ちて參出でむ」とまをす。尓して天皇詔りたまはく、「然あらば命の隨に幸行でますべし」とのりたまふ。是を以ち意祁命、自ら下り幸でまして、其の御陵の傍を少し掘り、還り上り、復奏言さく、「既に堀り壞ちつ」とまをす。尓して天皇、其の早く還り上りませることを異しびまして、詔りたまはく、「如何に破壞ちたまひつる」とのりたまふ。答へて白さく、「其の陵の傍らの土を少し掘りつ」とまをしたまふ。天皇詔りたまはく、「...古事記下つ巻現代語訳五十七雄略天皇陵の破壊