「え、今日も一緒に寝るの?」「寝る」「やなんだけど‼︎僕ひとりで寝たいんだけど‼︎」「寝る」いーやーだーって、どんなに言ったところで無駄だった。そう。鴉が聞い…
「悪かった」「………鴉?」光の部屋。え、今日も一緒に寝るの?ってすごい迷惑そうに言う光をほぼスルーして、光の部屋。おとなしくしてたカラスと気狐が、光に飛びつい…
天ちゃんのハイテンションがよく分かんなくて、鴉はどうなんだろうって鴉を見上げてみた。鴉が僕の視線に気づいて僕を見たから、首を傾げてみた。天ちゃんのアレは何だろ…
やきもちって言われてもよく分からない。これが?この気持ち悪いのが?今まで抱いたことのない感情。俺は自分を感情の乏しい人間だと思ってた。泣いた記憶もあんまりない…
鏡越しに目が合った。歯磨きをシャコシャコしながら。と、思うんだけど、鴉は無言のまま先に歯磨きを終えて洗面所を出てった。鴉はいつも無口で無愛想。これ、いつも通り…
「吐きそう?熱は?」いや、そういう意味じゃなくて。って言う間もなく、天狗が俺のおでこに触れた。天狗は人じゃない。だから俺より全然丈夫にできてて、天狗は知ってる…
鴉がついてくる。僕を見てる。………よね?食器棚からグラスを出して、冷蔵庫からお茶を出して入れた。見られてる気がする。何でだろう。僕がまた泣いてたから?どうした…
何て表現をしたらいいのか分からない感情が気持ち悪かった。今まで別に、天狗と光が話してても何も思わなかったのに。気持ち悪い感情。初めて抱く感情。感情は胸のあたり…
天ちゃんの言葉が心にしみた。いつでもおいで。いつでもどこにでも駆けつける。それが僕にとってどれほどの言葉か。母さんが死んじゃってから、僕が安心して居られる場所…
今日も光と寝てやろうって思いながら、風呂から出てお茶を飲んだ。居間にまだ天狗が居るっぽくて、覗いたら天狗が。天狗が。光が。想像してなかった絵面がそこにあって、…
鴉がお風呂まだなのに、僕にもう一回風呂行ってこいって言われて、僕は今日実に3回目のお風呂に入った。もう本当に泣きすぎ。干からびちゃうよ。さっさと浴びて出てった…
もう一回風呂入って来いって、光を風呂に行かせて光の布団のシーツを替えた。居間にはまだ天狗が居た。多分、だけど、心配してくれてる。俺のことを。俺と光のことを。替…
鴉が僕をこうやってすると、かーくんはいつも鴉を攻撃する。僕がこういうことをされるとイヤって暴れるから、僕が何も言わなくてもイヤだと思って守ってくれてるのかそれ…
抱っこした光はおとなしく抱っこされてた。カラスがばさばさ飛んで邪魔してきたけど、かーくんって光が呼んで、おいでって手を広げたら、光の腕におさまった。気狐も一緒…
もういい加減泣き疲れた。泣き尽くした。多分、僕の今日までで1番泣いてる。布団に潜ってたから暑いし、頭と目は重いし鼻は詰まってし喉がかわいた。僕は小さくないって…
「またすごい顔だな」布団に潜ったまま光が泣き出して、お前今日は本当よく泣くなあって頭を撫でた。布団から漏れる声は大きくなって、光は泣いた。いっぱい泣け、光。お…
夜に山に出るのはさすがにバカだって分かってる。だから部屋までダッシュした。勢いに任せて戸を開けたら、部屋に居たかーくんが飛んだ。きーちゃんが部屋の奥に逃げた。…
光は部屋に行った。音的に。外には行ってない。部屋にはカラスと気狐が居るから、何かあったら知らせてくれるだろう。光に伸ばしたやり場のない手を、空でぎゅっと握って…
夜ご飯はハンバーグだった。鴉のハンバーグ、好き。美味しい。しかも今日はチーズが入ってて、目玉焼きが乗ってるスペシャルバージョンだった。おいしい。おいしいねって…
「鴉、ありがと」って、夜光に渡されたのは、キレイに畳まれた、昼間に光の汗と涙と鼻水を拭いた俺のTシャツだった。光は昼ご飯を食べて自分の食器を洗ってから、泣いて…
ありがとうってどう伝えたらいいんだろう。言葉で伝えればもちろんいいんだけど。追いかけて来てくれて、いつもはあんまり喋らないのに、色々言ってくれて、泣きまくった…
とりあえずTシャツを着替えて、脱いだTシャツを脱衣所の洗濯カゴに入れた。カゴに入れといてね‼︎洗濯しちゃダメだからね‼︎って、手と顔を洗うのに洗濯機横の洗面所…
湿った空気の山。鴉に手を引かれて歩いた。帰るぞって言われて頭に浮かんだ家は、僕が住んでた家じゃなくて、天ちゃんの家。まだほんの1ヶ月ぐらいしか居ないのに、帰り…
「おっかえり〜って、鴉、服きたなっ。ぴかるん顔ぶさっ」「ぶっ…ぶさっ⁉︎」「………ただいま」「あ、天ちゃん、あの、た…ただいま」「うん、おかえり」帰ってくるの…
もう今まで我慢してた涙を全部出しちゃえ、って、途中から思った。泣いたけど、母さんが死んじゃったときとか、父さんが全然帰って来ない、心細い真夜中とか。学校で襲わ…
それはそれは見事にぐちゃぐちゃな顔だった。涙まみれ鼻水まみれ汗まみれ。やっぱり光は小さい。これで小さくないって言うんだから光はよく分からない。光。光を産んだ人…
光にもあるものはちゃんとある。ないよそんなのって、それは言うことができなかった。だって、鴉が言ったものは、確かに僕にあったから。当然だと思ってたそれらが、当然…
俺は生まれてすぐ親に捨てられた。でも、天狗に拾われてこうして今生きてる。だからかわいそうでも不幸でもない。光は今少し大変だけど、生まれてすぐには捨てられること…
めちゃくちゃなことを言ってる。僕は。自分で思う。カッコ悪い。最低。ひどい。もっとまともな人間のつもりだった。僕があんなだったんだから、こんななんだから、分かる…
うん。光が言うことにうんって思った。俺も思ってたし。親に捨てられたのに、俺は。「俺もそう思う」「ふぇ⁉︎」予想外の俺の反応だったのか。ふぇ?って光が変な声。そ…
ごめんって鴉が言った。ごめんって何って思った。ごめんは、ごめんなさいは僕。僕が勝手に鴉に色々思って色々八つ当たりしただけ。なのに鴉が謝ってる。普段そんなにしゃ…
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