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日本百名曲 -20世紀篇- https://songs20thcentury.hateblo.jp/

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介。 昭和・平成のポップス・ロック・歌謡曲を中心に、 歌詞解釈からサウンド、キーワードから脱線したバカ話などを展開します。 100曲通り過ぎて、現在500名曲の紹介を驀進中。

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2020/07/29

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  • 『おなじ星』 Jungle Smile ~ 盛り上がりすぎて一方通行にならなければいいなぁ。【リマスター版】

    カラオケでこの曲を選曲した人がいたならば、ぜひとも勝手にハモりパートを歌って迷惑がられたい。 長年にわたりそう思ってやまないのだが、ついぞその機会に巡り合ったことがない。 というより、今の今までただの一度も、この曲やこのグループの話題が、身の回りの日常会話に登場したことも、街角で偶然巡り当たったこともない。 うすうす感じてはいる。 この曲、本来「百名曲」に選ぶような対象ではないのだろう。 まさに知る人ぞ知る名曲、とか、隠れた名曲、そういうカテゴリにピッタリの曲だ。 だけど選ばずにいられなかった。 だってこんなにいい曲なのだから。 声を大にして再度言う。だってこんなにいい曲なのだから。 >>全文…

  • 『わかれうた』 中島みゆき ~ 私小説的な物語 お笑いの自虐ネタではありません 【リマスター版】

    ねぇよ! 反射的に突っ込みたくなるくらい強烈な、そんな問いかけから歌はスタートする。 「♪みちに倒れて 誰かの名を 呼び続けたことは ありますか?」 すごいね、これ。 名作と呼ばれる小説の多くは、その書き出しが最も印象的だったりするが それらに勝るとも劣らぬ書き出しだと思う。 >>全文を読む

  • 『ロビンソン』 スピッツ ~ 「君」は誰? メルヘン主導の雰囲気先行曲 【リマスター版】

    日本の流行歌史上に、燦然とそびえ立つこの名曲(決して言い過ぎではないと思う)は、歌詞に出てくる「君」を何と解釈するかによって、歌詞の意味が大きく変わってくる。 普通にラブソングとして考えれば、「君」は手の届かない女性と捉えることができる。 しかし、タイトルをはじめとして、抽象的で暗喩のようなキーワードばかりが並ぶために、具体的に何を言っているのかさっぱりわからない歌詞なのだから、単純にラブソングとしてとらえていては本質を見誤る可能性がある。 そもそも草野マサムネによるスピッツの歌詞の世界は、ファンタジーというか、メルヘンの世界にどっぷりつかっているフシがあるので、「君」といっても、必ずしも人と…

  • 『津軽海峡・冬景色』 石川さゆり ~いまだ条件反射。北へ向かうは上野発 【リマスター版】

    暗転した舞台。 三味線と鼓による『天城越え』(1986年/setaudioimage('https://music.apple.com/jp/album/%E5%A4%A9%E5%9F%8E%E8%B6%8A%E3%81%88-%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3/586854923?i=586855195&uo=4&at=1001l4PV', 'https://audio-ssl.itunes.apple.com/itunes-assets/Mus…

  • 『聖母たちのララバイ』 岩崎宏美 ~ テンションが高すぎて眠れやしない子守歌 【リマスター版】

    どこまでも、どこまでも音階の上がっていく歌唱。 どこまでも、どこまでもヒートアップしていく演奏。 歌いだしからクライマックスまで、この歌唱と演奏の二つが、螺旋のようにたがいに絡み合い、頂点まで上り詰めていく。 それはまさに圧巻のひと言。 ん~、あふれる思いが強すぎるのか、うまく文章で表現することができない。 自分の中では、日本の楽曲のなかでも5本の指に入るくらい、「超」の付く屈指の名曲だと思っているんだけれど。 岩崎宏美の、20代前半とはとても思えないような見事な歌いっぷりに感服しきりだ。 「♪さぁ 眠りなさい~」と始まるくせに、前述のようにどんどんヒートアップてしまって これではとてもじゃな…

  • 『太陽が燃えている』 The Yellow Monkey ~ ないはずの説得力がある骨太サウンド 【リマスター版】

    まったくの個人的嗜好から言わせてもらうと、バンド・サウンドのベストはイエモンだと思う。 おそらく意識的に超高音と重低音を排除し、中低音の音域にどっかと腰を据えた骨太のサウンドに、話し言葉のような日本語を載せている。 そのせいだろう、歌詞カードがなくても何をしゃべっているのか割合はっきりと聞き取れる。 そう、歌っているというよりは喋っているような感覚。 そして、これは意識しているわけではないと思うが、アクセントがおかしくなるくらいであれば、平然とリズムや旋律を変えてしまうようなことを、あっさりやってのける。 その結果として言葉を大事にしている印象を受けるから、イエモンは歌詞がいい、なんて評判を受…

  • 『精霊流し』グレープ ~ 若いツバメと和楽器奏者 人物相関が複雑で妄想が暴走 【リマスター版】

    1977年の『案山子』(さだまさし/setaudioimage('https://itunes.apple.com/jp/album/%E6%A1%88%E5%B1%B1%E5%AD%90/282131872?i=282132059&uo=4&at=1001l4PV', 'https://audio-ssl.itunes.apple.com/apple-assets-us-std-000001/Music/v4/f6/0c/6b/f60c6bbe-ee11-f4e1-10ae-9a057e82884d/mzaf_1615159188262341867.plus.aac.p.m4a'); )にし…

  • 『One more time, One more chance』/山崎まさよし ~ 待ち人来たらず。だって待ち合わせていないもの。 【リマスター版】

    個人的願望としては、ここに歌われている「君」には、どうあっても生きていてもらいたい。 亡くした人に対して、言えなかったこと、後悔していること、一緒にやりたかったこと。 そんな遂げられなかった思いを、夢のような奇跡によって叶えるなんて物語は、もはやあらゆるジャンルで手を変え品を変え語りつくされており、感傷的な感動物語は正直食傷気味でさえある。 それドコロか元来そのような設定がないはずの物語にさえも、読み手側の裁量でソッチの話に解釈され、あらたなストーリーが展開してしまうことすらある。 『となりのトトロ』のサツキとメイが物語の中盤で実はすでに死んでいる、なんていうような妄想裏設定を、これ以上増やし…

  • 『伊勢佐木町ブルース』 青江三奈 ~ スケベを餌にやりたい音をやってのけるべし 【リマスター版】

    歌詞の内容はともかくとして、イチイチかっこいい曲である。 跳ねるようなストリングスのリフ、 静寂の中、時計の秒針が時を刻むような、乾いたドラムの音、 青江三奈のタメのきいたハスキーボイス、 そしてブレイク。 「ドゥドゥヴィドゥヴィドゥビ・・・」のスキャット、 その後に絶妙なタイミングで入る三連の演奏。 ただカッコいいだけのサウンドであれば、ここまでヒットはしなかっただろうが、 そこに 「アッ・・・ ンッ・・・」 吐息、というより、喘ぎ声と言っていいようなボイスを加えたところ、絶妙な背徳感をもたらし、見事に大ヒットとなった。 >>全文を読む

  • 『スシ食いねェ!』 シブがき隊 ~ 寿司ネタの定番 ネタはネタでも話のネタ 【リマスター版】

    「江戸っ子だってねェ。」 「おぅ、神田の生まれよォ。」 どこの誰だか知らないけれど、誰もがみんな知っている(by『月光仮面は誰でしょう』(近藤よし子/1958年/setaudioimage('https://music.apple.com/jp/album/%E6%9C%88%E5%85%89%E4%BB%AE%E9%9D%A2%E3%81%AF%E8%AA%B0%E3%81%A7%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86/1597901670?i=1597901932&uo=4&at=1001l4PV', 'https://audio-ssl.itunes.apple.com/i…

  • 『誰か故郷を想はざる』 霧島昇 ~ まるで縦横無尽の格ゲーコマンド 【リマスター版】

    表題曲初めて聴いたのは、どういうわけか夢路いとし・喜味こいしの漫才の中でだった。 小学生から中学生にかけての時期、TVやラジオの演芸番組、今でいうお笑い番組を片っ端からカセットテープに録音し、ダブルカセットのラジカセを駆使してCMや前振りなどの余計な部分をカットして寄せ集めた”漫才集”を何本も作成して、ラジカセやヘッドホンステレオで楽しんでいた。 今だったら録画をするんだろうけど、映像を保存・再生するなんていう芸当を持つ機械は当時家に存在せず、それどころか、集めだした初期のころはテレビのスピーカーの前に陣取り、周囲の音が入らないように息を殺して生録音していた。 後になって、おそらくTVを占領さ…

  • 『東京』 マイ・ペース ~ 東京東京うるさいんだよう 【リマスター版】

    『東京』の名をタイトル中に冠した歌はいくらでも思いつくほど無数に存在するが、個人的にもっとも好きな曲がこれ。「東京」という言葉の繰り返し頻度だけみても、とびぬけて群を抜いている。 『セクシャルバイオレットNo.1』(桑名正博/1979年/setaudioimage('https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-no-1/id586118243?i=586118806&uo=…

  • 『もう恋なんてしない』槇原敬之 ~ 残ったのは、モノではなく強迫観念 【リマスター版】

    以下に記載するのは、表題曲の場面に至る前に、あったであろう出来事を思いめぐらせてみたものだ。 単なるイタい妄想ともいう。 というかほぼそれ。 【もう恋なんてしない──前日譚】 「・・・私がいないと、あなた一人じゃ何にもできないんだろうけど、せいぜい頑張ってね。」 いったい君にはいくつ頭と足があるんだい?と尋ねたくなるくらい、いっぱいの帽子といっぱいの靴を、一つ一つ丁寧に荷造りしながら、君は言った。 次から次へと湧き出してくるそれらの物に半ば呆れながら、僕は尋ねる。 ──本気で出ていくのかい?脅しのつもりならもう充分だろ? >>全文を読む

  • 『KNOCKIN' ON YOUR DOOR』 L<->R ~ つたなさがにじむ青い応援歌 【リマスター版】

    「♪あのきむにゅどぅ~」 いや、歌のタイトル言えてないし(笑)。 個人的に、テレビや動画の音楽番組というものを全く見ないせいか、曲自体は知ってても、誰のなんていう曲かまったく知らない、なんてことがざらにある。 L<->Rとかいう妙な名前のバンドの、「Knokin' on your door」というタイトルの曲が存在することはなんとなく知ってはいた。 そして、実際には何と歌っているかわからないけども「♪あのきむにゅどぅ~」と聞こえる歌い出しの曲があることも知っていた。 この両者が結びついたのは何年も後になってからのこと。 >>全文を読む

  • 『お富さん』 春日八郎 ~ 意外にヤクザな物語だよ おトォーミさん 【リマスター版】

    「♪死んだハズだよ お富さん」 元ネタは意外にも歌舞伎らしい、と知ったのは最近のこと。 人の女に手を出したチンピラが、女ともども半殺しの目にあって、命からがら逃げだして自分だけ生き延びたと思っていた。 しばらくのち、当の女は誰かに囲われていて、いい暮らしをしていたことを知り、てめえだけがいい目見やがって、と男は女をユスりにかかる。 そんな話らしい。 歌の歌詞も、よくよく見ると確かにそういう話なっている。 ・・・マジで? >>全文を読む

  • 『花火』 aiko ~ 泣いてまで諦めなければいけない恋とはいったい何なのか 【リマスター版】

    つまりは、この「花火」っていうのは、恋心のことなんだよな。たぶん。 理由はわからないけど、どうしてもあきらめなければいけない恋。 「♪夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして」 一歩引いた位置から俯瞰するように、客観的に自分の恋心を眺めてみた。 「♪確かに好きなんです 仕方ないんです」 恋している。間違いなく。こればっかりは否定できない。 「♪涙を落として火を消した」 やっぱりやめよう。現実的に考えて、泣く泣く恋をあきらめた。 「♪バイバイバイ・・・」 と恋心に別れを告げながら曲は終了する。 なんで叶わないのか、なんで叶えようともしないまま諦めるのか、そこのところは語られない。 >>全文…

  • 『さよなら夏の日』 山下達郎 ~ 勝手な解釈は聴き手の自由だ(くれぐれも自己責任で) 【リマスター版】

    毎回毎回、もっともらしく歌詞の解説をしてはいるが、実のところは、シチュエーションの設定次第で、物語の解釈はどうとでもなることが多い。 こういうのを詩(歌詞)の「懐の広さ」という。 懐の広さがあるからこそ、人はうたの中に自分の実体験や、見聞きした物語との共通点を見出すことが出来る。たとえそれが、ごくごく僅かな取っかかりであったとしても、想いを共感、投影することで、曲と想い出とをセットにして、心にとどめ込むのだと思う。 時に、なんでこんな曲がそんなに人気があるのだろう、と疑問に思うようなヒット曲に出くわすことがある。 そんな曲の多くはドラマや映画などのタイアップであって、楽曲とビジュアル的なドラマ…

  • 『軍艦行進曲』 日本海軍 ~ あっけらかんと、守備重視のカウンター戦法 【リマスター版】

    「♪キン・キン・キンタマリンの ナ・ナ・フ・シ・ギ!」 いきなりこんなんでスマンスマンスマン。 ご存じ「軍艦マーチ」こと『軍艦行進曲』だが、自分が小学生のころ、こんな替え歌が流行っていた。 軍歌のはずなのに普通に替え歌が通用するほど、昭和生まれの小学生には身近な曲だったってことだ。 パチンコを題材にしたコミックソング『ひらけ!チューリップ』(間寛平/1975年setaudioimage('https://music.apple.com/jp/album/%E3%81%B2%E3%82%89%E3%81%91-%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%…

  • 『今宵の月のように』 エレファントカシマシ ~ 醒めつつも前向きな感じがカッコイイと思うお年頃 【リマスター版】

    街灯もまばらな夜道。 妙に輪郭のはっきりとした自分の影を足元に見つけ、・・・?と思わず背後を振り仰ぐと、そこには、ぽっかりと満月が浮かんでいたりする。 月の光って意外と明るいんだよね。 いつか、今夜の月のように光り輝くんだ、という少し遠慮がち聞こえてしまいがちな歌詞も、案外そこまで悪い目標でもないんじゃないか思える瞬間だ。 そう思って聴くと、 「♪くだらねぇと呟いて 醒めたツラして歩く」とか、 「♪いつまでも続くのか 吐き捨てて寝転んだ」とかいう ブッキラボーでヤサグレた歌詞の中にも、「新しい季節の始まり」や「愛を探しに行こう」といったの言葉に未来への光明が見えてくる・・・ とカッコつけて思い…

  • 『駅』 竹内まりや ~ 「別れても好きな人」にならなくてよかったと思う 【リマスター版】

    メロディーラインを無視して伴奏だけ聴いていると、なんだかものすごく不穏な空気が流れていることに気付く。 ドッド、、、、ドッド、、、と、ゆっくり迫りくるようなバスドラムの音や、時折不協和音のように1拍だけ挟まれる違和感のある和音コードなど、まるでサスペンスシーンのBGMのようだ。 明るい声質の竹内のボーカルが無ければ、かなり違った印象の曲になっていたことだろう。 思うにこれらは、主人公の「後ろめたさ」を表現しているのではないだろうか。 >>全文を読む

  • 『アメリカン・フィーリング』 サーカス ~ 滑川市民に告ぐ!今こそ立ち上がれ! 【リマスター版】

    なぜだ。なぜなんだ。 昔からずっと疑問だった。 誰も気づいていないのか。 気づいていてもあまりに馬鹿らしくてやらないのか。 それとも著作権者の許可が下りないからやらないのか。 実は人知れずやったんだけど不発で知られていないだけなのか。 富山県、蜃気楼で有名な魚津市の隣に、滑川なめりかわという市がある。 日本海に面し、ホタルイカの水揚げで有名な港町だ。 >>全文を読む

  • 『So Young』 The Yellow Monkey ~ げにイエモンは感嘆符がよく似合う

    あぁしまった!そうだった! と関西弁で叫んでいるように聞こえてしまっていけないが、 「そぉや~ん!!」こと、『So Young』。 頑なまでに日本語にこだわった歌詞で、最後まで英単語のひとつも使わずに、ラストにしてようやく絞り出すように叫んだ英語でもある。(英語ではなく関西弁に聞こえるけど) チャラチャラしたカッコだけの英語の使い方とはわけが違う。(と思う) >>全文を読む

  • 『想い出の渚』 ザ・ワイルドワンズ ~ 日本人の夏はノスタルジィでできている 【リマスター版】

    夏のうたがノスタルジックになったのは、いつからなのだろう。 夏のうたといえば、大人も子どもも恋人たちも夏だぜ海だぜ騒ごぜイエイ、てな感じの開放的な歌とは必ずしも限らない。 むしろ夏の日の思い出を、優しく、ときに切なく歌い上げる曲が、特に日本の歌には多い気がする。 >>全文を読む

  • 『Love Phantom』 B'z ~ 自身の作り出した亡霊に振り回され自暴自棄になるお話 【リマスター版】

    松本孝弘というギタリストは、自身でほぼすべてのB'z楽曲で作曲とアレンジを行っていて、演奏でもどーだとばかりのテクニックを誇示しているクセに、なぜか一歩引いているような印象を受ける。 ボーカルをとらない、っていう部分も大きいんだろうけど、実は意外と自己顕示欲が少ないんじゃないかと。ああ見えて。 わかる人にだけわかってもらえれば、OK。目立つのは相方にお任せよん。 少なくともレコードの曲を聴いている限りでは、そういう印象を受ける。 表題曲『Love Phantom』でも、最初に爆音から駆け上がるようなギターを響かせたと思うと、あっという間にほかの音に吸い込まれるように背後にそっと引っ込んでしまう…

  • 『川の流れのように』 美空ひばり ~ 平成という時代は昭和の大きな残響から始まった 【リマスター版】

    時系列から整理していこう。 時は平成元年。 昭和天皇の崩御に伴い、1月8日に始まった平成という時代のわずか4日目に、この曲はシングルカットされた。 平成元年(1989年)1月11日のこと。 以下、昭和と平成の境目を反復するように時をたどる。 さかのぼって、およそひと月前。 この曲の初リリースは前年12月のアルバム『不死鳥パートII』に収録されたことによるもの。 昭和63年(1988年)12月1日の発売。 時はくだって、昭和最後の日からちょうど1か月後。 美空ひばり体調不良のため、全国ツアーがわずか2日目を最後に中止となり、結果として生涯最後となったステージ。 平成元年(1989年)2月7日。福…

  • 『大都会』 クリスタル・キング ~ 底辺の現実にも、希望あふれる壮大な歌 【リマスター版】

    最初に威勢よく現れたきり、その後なかなか登場しないサビを待ちわびているうちに、いつしか 「♪交わす言葉も寒いこの街 これもさだめと生きてゆくのか」 Bメロのハーモニーの虜となってしまった。 ロングのカーリーヘアー、田中昌之による超ド級のファルセットボイスと、パンチパーマ+サングラスのムッシュ吉崎によるべらんめぇボイス。 見た目にも歌声にも強烈な個性を持つツインボーカルをメインに据えたバンド、クリスタルキング。 そのビジュアルの異様さからなのか、アニメ「北斗の拳」の主題歌に抜擢されるなど、当時からほぼイロモノ扱いのバンドであったと思う。 さらに表題曲『大都会』のインパクトがあまりにも強すぎたせい…

  • 『息子』奥田民生 ~ エア息子とロマンチ母ちゃん 【リマスター版】

    10代の頃、どういうわけかこの表題曲が大のお気に入りだった。 サウンドだけでなく、この歌詞世界にしてやられていたような気がする。 くだけた口調で、無限とも錯覚できる世界の大きさと、人生の可能性を語る、そのアベコベさにだ。 「♪半人前が いっちょ前に 部屋の隅っこ ずっと見てやがる おぅ メシも食わず 生意気なヤツだ」 感情移入したのは、同世代と思われる息子、ではなく、なぜかオヤジの方。 10代の身空で息子がいるはずもなく、結婚相手どころか恋人の影すらもなかった時分なのに。 ところが実際、子をもって知ったことだが、自分の子どもに、そこまでの可能性を見い出さないし、世界の広さを語れるほど、世界を知…

  • 『なごり雪』 イルカ ~ 季節はまだ春じゃない、旅立ちはまだ先のはず 【リマスター版】

    本当に、恋人もしくは恋人未満の男女の別れのうた、なのだろうか? もとはかぐや姫・伊勢正三による男性目線だった歌を、女性であるイルカがカバーして歌うことで、その違和感はさらに深まった。 おそらくは表題曲と同時に発表された、同じく伊勢正三作詞・作曲の『22才の別れ』(かぐや姫/1974年/setaudioimage('https://itunes.apple.com/jp/album/22%E6%89%8D%E3%81%AE%E5%88%A5%E3%82%8C/id552292665?i=552292951&uo=4&at=1001l4PV', 'https://audio-ssl.itunes.…

  • 『青春サイクリング』 小坂一也 ~ 名古屋人ならば、そう呼んでいたに違いない 【リマスター版】

    のっけから個人的な余談から始まって申し訳ないが、「方言」というものにあれこれ興味を持ちはじめたのは、インターネット前夜ともいえる時代のこと。 当時、ネイティブな地域の言語差をうかがい知ることができたのは、主にテレビや物語世界だけであったが、親の転勤によっていやがおうに別体系の方言世界に放り込まれ、そこでこれ以上ないほどの衝撃を受けた言葉がある。 「ケッタマシーン」 マシーンという外来語がついているが、れっきとした日本の方言である。 >>全文を読む

  • 『強く儚い者たち』 Cocco ~ 悪魔のささやきの裏には、報われない恋の悲しさがある 【リマスター版】

    時は、大航海時代。 「♪嵐の中で戦って 突風の中生き延び」 「♪飛魚のアーチをくぐって 宝島がみえた」 何かの物語の主題歌でないことが不思議なくらい、なんとも寓話的なシチュエーション。 それにしても視点が斬新。 主人公の役どころは、なんと「悪魔のささやき」。 >>全文を読む

  • 『帰って来たヨッパライ』 / ザ・フォーク・クルセイダーズ ~ 元ネタいくつ、みつけられるかな? 【リマスター版】

    巡り合わせの妙というものだろう。栄えあるオリコンチャート史上初のミリオンセラーが、よりによってこんな…と言ったら失礼にあたるけど、表題曲だったりする。 初のミリオンセラー、といってもそれまで100万枚以上売れた曲が存在しなかったわけではない。オリコンが集計を開始した1968年以降で最初、というだけのことなのだけれども。 オリコンチャートの記念すべき第1回目の1位である『ラブユー東京』(1966年/黒沢明とロスプリモス/setaudioimage('https://music.apple.com/jp/album/%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%A6%E3%83%BC%E6%9…

  • 『東京音頭』 小唄勝太郎・三島一声 ~ 1932年生まれ、今なお現役。20世紀最大のヒット曲 【リマスター版】

    「♪ハァ~」の掛け声で始まる曲は数多くあれど、その最高峰に位置し、いまだに盆踊りの代表曲として現役である表題曲は、なんと1933年(昭和8年)のリリース。 三味線と小太鼓、合いの手の掛け声という、お座敷唄の様式をベースに、太鼓と管弦楽伴奏を加えて音に厚みを持たせており、まさに、ザ・音頭といった趣。 というより、この東京音頭が、「音頭」というものをひとつのジャンルとして確立させたといった方が正しいのかもしれない。 振り付けなんか全然知らないけど、流れてくれば思わず小躍りしたくなる。 子どものころ盆踊りにて、わからないままに曲に合わせて櫓の周りをただぐるぐる周回していた記憶がある。 ぁヨイヨイ♪ …

  • 『君がいるだけで』 米米クラブ ~ 偉大なるマイナー、移り気男の必死なアピールを茶化す 【リマスター版】

    おそらくは、本人たちですら意図せぬままに、J-POPの頂点まで登り詰めてしまった偉大なるマイナー。米米クラブ。 推測でしかないが、この歌にしても、元々はトレンディー路線のポップスに対する、単なるパロディだったんじゃないかと思えてしょうがない。 例えば、『君がいるだけで、心が強くなれる』なんてフレーズ、スゴくそれっぽいじゃん? 的なノリで作ってしまったのではないだろうか。 そんな妄想さえ抱かせてしまうほど、元来の彼らには「アンチ正統派」感と「本気の悪ふざけ」を楽しむ感がある。 そう考えていくと、音の切れ目と言葉の切れ目が全然かみ合っていないことさえも、実はワザとトレンディーを茶化したんじゃないか…

  • 『冬のリヴィエラ』 森進一 ~ さわやかな森進一はお好きですか? 【リマスター版】

    演歌とは何か、という問いに対する答えに、「演歌歌手が歌っているうた」という、文字通り本末転倒しているくせに、実に核心をついた答えがある。 演歌というのは非常に厄介な分類で、誰でも演歌というものに対して一定のイメージを持っているにもかかわらず、メロディーやリズムといった音楽上の特徴からは、ジャンルを分けることが出来ないためだ。 演歌の主だった特徴の例を挙げれば 例えば、コブシを効かせて歌う、とか、 例えば、日本人の情緒を綴っている、とか、 例えば、どの歌もみんな一緒に聞こえる、とか(失礼な奴だな!) そういう「印象面」での分類であるため、体系的に分類するのが困難なのだ。 >>全文を読む

  • 『少年時代』 井上陽水 ~ 憧れを覚えていますか。いいえ忘れたことにしました 【リマスター版】

    通常「和製ボブ・ディラン」といえば吉田拓郎のことを指すが、いやいや和製ディランであれば、むしろ井上陽水のことだろう、と常々思っている。 これはどうやら、世間の持つボブ・ディランのイメージと、自分の持つボブ・ディランのイメージに隔たりがあることから来ているらしい。 自分のイメージするディランといえば、第一に「偉大なる詩人先生」であり、あの崩した歌い方は、ディランのその次の特徴であるという認識だからだ。 2016年に、ディランがノーベル「文学賞」を受賞したことで、一概に自分の感覚がずれていたのではないと知り少し安心した。 さてディランのことはさておき、井上陽水。 >>全文を読む

  • 『Yes-No』 オフコース ~ 心の中の問いかけに、いつまでも答えは返らない。 【リマスター版】

    遠くかすかにこだまする、草笛のような音色。 風に乗ってほのかに聞こえてくるかのようだ。 あまりに静かな、そんな印象の立ち上がりに、「無音」と判断した車載のFMトランスミッターは、容赦なく省エネモードを発動、音の出力をOFFにしてしまう。 ケッ。所詮機械には、この繊細さがわかるまい。 心の中で毒づき、時には、アホか!と声に出して身振りを添えて一人ツッコんでみるものの、相手は機械。 結果は変わらず、一定の基準によってのみ動作する。 無念。 >>全文を読む

  • 『ALICE』My Little Lover ~ 時計の針も逆さに回る、文字化けの森のアリス 【リマスター版】

    あれはいつのころだっただろうか。 英語の授業において、今考えるとトンデモないことが流行した。 たとえば、日本語訳が 『Aが~すると、決まってBは…になる』 という英語構文があったとする。 この「~」を「ピー」、「…」を「プー」などと読むのだ。 たった、たったそれだけのことなのだが、まあ、なんということでしょう。 『Aがピーすると、決まってBはプーになる』 つまらないハズの英語の文法が、実に意味ありげで素敵に危険な言葉に変貌を遂げるではありませんか! >>全文を読む

  • 『Choo Choo TRAIN』 Zoo ~ 冒頭から催眠術にかけられるカオスソング 【リマスター版】

    Q1.ヒアリング問題です。 次の音声を聞いて内容を書き下し、カッコ内にその意味を日本語で書きなさい setAudioTagFromLink('https://www.dropbox.com/scl/fi/9qp8go8myrw73qkmz2lpu/Choo.mp3?rlkey=grxx5fv1onstpvmm6v6iz5ds9&st=27gcxvgt&dl=0'); A1.♪ちゃ~んとデレレレ脳裏忠義一本です fit for festival (抜かりなくデレております。頭の中はすべて忠義心のみで一点の曇りもございません。まさに祭典には最適にございまする。) もちろん上に書いたふざけた解答は正…

  • 『センチメンタル・ジャーニー』 松本伊代 ~ 短命を宿命づけられていた長寿曲【リマスター版】

    伊代ちゃん発見!(写真は本文に関係なし)松本人志とも読めるな・・・求む、松本幸四郎(546)! あれ、センチメンタルってどういう意味だっけ? 言葉の意味が何だったか混乱してしまいそうになるこの曲は、歌詞の最中に歌い手本人の自己紹介が入るという、画期的なチャレンジを施した曲でもある。 何よりチャレンジャーである最たる部分は、自らが、曲の賞味期限を数か月に絞ってしまっているところにある。 「♪伊代はまだ 16だから」 1981年10月21日リリースのこの曲は、馬鹿正直に捉えれば、松本伊代が17才になる翌1982年6月21日には、歌えなくなってしまうからだ。 わずか8か月がこの曲のリミットだったはず…

  • 《ただいま過去記事掘り返し中》~ 掘り出し物に出会えるかしら?

    相変わらず更新が滞りまくっておりまして面目ございません。 次回 『素敵なルネッサンス』平松愛理 の予定でしたが(次回予告するのは初めてかもしれない)予定を変更して、現在過去記事を掘り返している最中でございます。 というのも、今年に入ったくらいからiTunesやGoogleDriveの仕様が変わったらしく、聴けなくなった視聴ボタンやバナー、リンク切れ等が山のようにできてしまったためです。 それらの対応を兼ねて、現在順不同に過去記事のメンテナンス+内容更新を行っている最中でございます。 内容を結構一新することも多いので(見直しするとどうしても追記したくなってしまう。記事が長くなるので良いことではな…

  • 『大迷惑』 UNICORN ~ もはやドタバタ時代劇

    1980年代後半日本。この浮かれまくった時代に存在したあらゆる事象に「バブル」の影を語りたがるのは、極論すぎる以前にワンパターンで気が引ける。 実際、この稿の書き出しを、 「24時間戦えますか?」というイカレたキャッチコピーが何の違和感もなく受け入れられ、そのキャッチコピーを下敷きに制作されたCMソング『勇気のしるし』(牛若丸三郎太/1989年/setaudioimage('https://music.apple.com/jp/album/%E5%8B%87%E6%B0%97%E3%81%AE%E3%81%97%E3%82%8B%E3%81%97-%E3%83%AA%E3%82%B2%E3%8…

  • 「MAY」 斉藤由貴 ~ 奇妙な双子 中二病でも恋がしたい!!

    主人公は、今で言う「中二病」をこじらせているように思う。 説明するまでも無いかもしれないが、中二病なる俗語の意味するところを要約すると、 自分やその周辺に何らかの「妄想的設定」*1を設け、その設定を達成するために自らにキャラ付け*2をしたり、強がり的な背伸び*3をするなどして、言動や服装を「それっぽく演出」するイタい行動の数々を、ひとつの症候群と称したものである。 罹患年齢は必ずしも中学2年生である必要はなく、むしろもっと歳がいっているにもかかわらず、 相変わらず中学生のような妄動を繰り返すような人間のことを指すように思う。 表題曲は、全体にかなり難解な歌詞であるが、その前提で眺めてみると状況…

  • 『あなた』 小坂明子 ~ あんなことイイな できたらイイな いっぱいあった

    本人の想いが真剣で深刻であればあるほど、 想いが募り過ぎた結果、思考がぶっ飛べばぶっ飛ぶほど、 我々のような無責任な傍観者は、それを茶化さずにはいられない。 果たしてどこからどこまでが実際にあったことで、 どこからどこまでが主人公の妄想なのかわからない世界を 仰々しいアレンジで彩ったこの表題曲は、まさにそんな曲だ。 なにせ、声高らかに歌い上げるその「もしも」の世界は、 ディテイルばかりが具体的なわりに現実味が乏しく、 自信たっぷりに歌い上げるくせに、情けないほどの未練が詰まっている、 そんな矛盾があふれているからだ。 「♪もしも私が家を建てたなら 小さな家を建てたでしょう」 この「もしも」は、…

  • 『天使の誘惑』 黛ジュン ~ 80年代アイドルソングの予感がする

    2002年に島谷ひとみが『亜麻色の髪の乙女』(※試聴環境がないようです by)のカバー*1を 大ヒットさせたことで、にわかに巻き起こったカバー曲ブーム。 2匹目のドジョウを狙って、グループサウンズ時代を中心とした 古きよき時代のカバー曲が現れては消えていった。 そんな中、個人的に次はこれではないか、と密かに目していた*2のがこの表題曲。 歌詞とメロディーは残しつつ、リズムやアレンジを大胆に変えて歌えば、 「♪思い出は オレンジ色の雲の彼方に浮かんでいる」 というようなラブリーなフレーズや、 「♪砂浜で泣き真似すると 優しい声が流れてくる」 というような主人公の小悪魔的なフレーズと相まって そこ…

  • 『ヨイトマケの唄』 丸山明宏 ~ 色眼鏡で見られてしまうのは全部妖怪のせいなのです

    のちに年を経て「美輪明宏」という名の妖怪モノノケとなるよりも、ずっと以前。 まだ一介の「化け物」に過ぎなかった丸山明宏というシャンソン歌手が繰り出した、 泥臭く力強くも、切なく心温まる渾身の一作。 男どもに混じって、負けじと肉体労働を生業として働く母親と、 家庭環境をはやされ苛められつつも、強く育つ主人公の立身出世を描く。 歌詞にも歌唱にも、とっつき易さや心地よさというものが皆無であるにもかかわらず このレコードは意外なほどの大ヒットとなったが、 「土方」という歌詞中のキーワードをやり玉に挙げられ、 道徳的な題材にもかかわらず、いわゆる「放送禁止曲」のレッテルを貼られてしまった。 それは、歌唱…

  • 『Stay By My Side』 倉木麻衣 ~ 夢に魅入られ永遠を誓いかけるも様子見に走る

    宇多田ヒカルの二番煎じ、のような扱いで ほとんど何の前触れもなく突如ミュージックシーンに登場した倉木麻衣だが、 比較されるようになった一番のきっかけは、この二人の声質が似ていたからだろう。 本人やその周辺の意図したものではなかったのかも知れないが、 あわよくば便乗して売り出そうと考えた人間が、ひとりもいなかったとは考えにくい。 宇多田を多分に意識して、プロフィール的アピールを寄せて行ったように見えるし、 そもそも論として、利用できるものはなんだって利用すればいいというのは、 鵜の目鷹の目で鎬を削る世界では至極当然のことで、 それについて周りがどうこう言う筋合いはひとつもない。 心に留めてもらう…

  • 『恋心』相川七瀬 ~ ワールドミュージック風無国籍が、騒々しく沈黙を歌う

    幾重にも重ねられ、ぶアツい壁をつくり上げるギターサウンド。 そのアツさ(厚さ・熱さ・篤さのトリプルアツさ)に包み込まれながら、しっとりと歌い上げられるボーカル。 そのどちらにも強い違和感を覚える。 これってなんかいつもと違う。 相川七瀬の楽曲といえば、表題曲以前に限らず、以後においても、 『Break Out!』(1996年/※試聴環境がないようです by) 『夢見る少女じゃいられない』(1995年/※試聴環境がないようです by ) 『彼女と私の事情』(1998年/※試聴環境がないようです by )に代表されるように、 まるで、「過去に鳴らした音はいらない。必要なのはこれから鳴らす音だ」なん…

  • 『Over』 Mr.Children ~ やれうつな まったく懲りないフラレ男たち哉

    なんでだろう。フラレ男の歌がとっても好きな自分がいる。 といっても、好き好んでフラレ男のイジケっぷりを愉しんでいるわけではなく、 気づいたらその手の曲ばかりを好んで聴いていたことに、気づいただけだが。 過去にここで採り上げた曲の多くに、その傾向が見られることからもよくわかる。 どうも、やけっぱち気味に開き直っているのが好みのようだ。 具体例を挙げてみよう。 「♪別にふざけて困らせたわけじゃない 愛というのに照れてただけだよ 夜というのに派手なレコードかけて 朝までふざけようワンマンショーで」 (『勝手にしやがれ』 沢田研二/1977年/※試聴環境がないようです by) 「♪孤独が好きな俺さ 気…

  • 『Choo Choo TRAIN』 Zoo ~ 冒頭から催眠術にかけられるカオスソング

    Q1.ヒアリング問題です。 次の音声を聞いて内容を書き下し、カッコ内にその意味を日本語で書きなさい ※試聴環境がないようです ♪ちゃ~んとデレレレ脳裏忠義一本ですfee for festival (抜かりなくデレております。頭の中はすべて忠義心のみで一点の曇りもございません。こちらが祭礼の手間賃にございます。) これはZOOの代表曲である表題曲の導入部分のフレーズで、 のちにEXILEが、ほぼカラオケ状態の同曲のカバーをヒットさせた*1際にも 全く同じフレーズが使われたことでもおなじみであるが、 この部分は実はまったく別の歌からの引用、いわゆる「サンプリング*2」で、 サンプル元はアメリカのボ…

  • 『とんぼ』 長渕剛 ~ 逃げたつもりが希望へ向かっていた男の話

    いい大人になってから、不良っぽさへのあこがれを持ってしまうと 人の見てくれっていうのは、こうなってしまうのかなぁ。 この頃の長渕剛に対する印象は、まさにそんな感じだった。 「♪好きです好きです心から愛していますよと 甘い言葉の裏には一人暮らしの寂しさがあった」 (『巡恋歌』1978年/※試聴環境がないようです by) 「♪Oh 順子君の名を呼べば僕は悲しいよ だから心のドアをノックしないで」 (『順子』1980年/※試聴環境がないようです by) そんな、ちょっとスネた感じの恋のうたを歌っていた そこら辺に居そうな線の細めのニィちゃんが、 「♪ぴぃぴぃぴぃ ぴぃぴぃぴぃ ぴぃぴぃぴぃ ロクなも…

  • 『ウェディング・ベル』 シュガー ~ 静粛どころか奔放すぎるオルガンにつき聴き逃がし注意

    一発屋の巣窟として名高い、ヤマハの「ポプコン」出身である。 そんな出自から容易に想像がつくように、 表題曲の歌い手であるシュガー、および作詞・作曲の古田喜昭は、 いずれもご多分に漏れず、一発屋として記憶されている。 その特大の一発こそが、『ウェディング・ベル』であり、 美しいたたずまいのコーラスの中の「くたばっちまえ アーメン」という 強烈なフレーズによる爆発的な瞬間最高風速で、 一発屋どころか一瞬屋と呼んで良いような存在となった。 一発屋というのは、特大のヒット曲を出したものの、その後鳴かず飛ばずで終わった、 あるいは一発の印象が強烈過ぎて、ほかのヒットがまるで無かったことになってしまった、…

  • 『そして伝説へ・・・』 NHK交響楽団 ~ ホントに伝説になっちゃった有言実行タイトル

    競馬のGⅠファンファーレ(※試聴環境がないようです by)に代表されるような、 ファンファーレの名手である、作曲家・すぎやまこういちの面目躍如というべきだろう。 Aパートのファンファーレを、トランペットが高らかに歌い上げ、 一転ゆったりとおとなし目のBパート、転調を挟みながら感傷的な盛り上がりを見せるCパート、 Bパートのメロディに、波打つような伴奏を伴うDパートへとつながる。 駆け足気味に一気にテンポアップして歯切れのいいのEパートに突入し、 そして冒頭のファンファーレを展開させながらの怒涛のエンディングに向かい、 ティンパニーのロールを伴った低音で重厚に締める。この余韻がたまらない。 映画…

  • 『道標ない旅』永井龍雲 ~ 空の向こうにあったはず。まだ見ぬ遥かなフロンティア

    世界の広さと、地球の鼓動が感じられるような、 雄大で、のびやかな旋律と、希望をのせたメッセージ。 こういう歌がヒットチャートに乗らなくなって、 もうずいぶん経つように思う。 というより、それは一過性のブームだったのかもしれない。 ジャンルを表わす総称*1が名付けられなかったことが原因かもしれないが、 その多くは1970年代に集中しており、 やがて80年代の浮かれた雰囲気に埋没していってしまった。 大海原や大空の向こうにある世界へと、風や翼に乗って飛んでいく、 それは逃避行や自分探しのような側面を持ちつつも、 何のアテも、現実的な展望も全くないけれど、夢と希望を載せた人生という旅路。 この時代、…

  • 『ブルドッグ』 フォーリーブス ~ にっちもさっちも、どーにも ウヮオ!

    ゴム紐の輪っかを使った、何の意味もなさそうだが実に印象的なパフォーマンスと 「♪にっちもさっちも どうにもブルドッグ ガゥ!」 という、これまた何の脈絡もないが極めて印象的なキメ台詞で、 まるっきりキワモノのような扱いのこの表題曲だが、 楽曲として、なかなかにカッコイイ隠れた逸品である。 ツインギターならぬ、ツインベース*1が奏でる、低音域を勢いよく駆け抜ける前奏が、 うなり上げるバスドラムのクレッシェンド*2によって炸裂し 「♪止まれ! ウルサいぞオマエら!」と、パンチのきいた歌い出しにつながる。 フォーリーブスは、ジャニーズ事務所の最初期のアイドルグループだが、 歌も尾藤イサオばりに迫力が…

  • 『喝采』 ちあきなおみ ~ タイトルがいいよね。曲の最後に拍手が聞こえてきそう。

    いつものように──Macugaマクーガ ・Arekeyアーキー (誰?) ※意味はありません まったく意味の無い雰囲気だけの上の一文はともかくとして、 『喝采』といえば、コロッケの物まねヅラばかりが脳裏に浮かんできていけない。 ちあきなおみが比較的若く引退した*1からだな。きっと。 それもともかくとして、歌謡曲史上、最も衝撃的と名高い歌い出しがこれ。 「♪いつものように幕が開き 恋の歌 歌う私に 届いた報せは 黒いフチ取りがありました」 華やかな夢の舞台から一転、抗えない現実にぶち当たる衝撃。 主人公は呆然自失として、かつての恋人の葬儀に駆け付ける。 ・・・まあ、このシチュエーションは、実際は…

  • 『アンコ椿は恋の花』 都はるみ ~ 生きている島に負けじと、声を響かせる最高の楽器

    個人的な話題からで恐縮だが(いつものこと?) 初めて火山というものを体感したのが、1986年の伊豆大島三原山の噴火だった。 授業中、突如「バーン」という激しい音とともに発生した地震に、教室は騒然となった。 その後、間をおいて幾度となく激しく窓をバタバタ言わせ繰り返す地震に、 机の下にもぐりながら、いったいぜんたい何事が起ったのか案じていた。 やがて校内放送で「地震ではありません」という、意味不明なアナウンスがあり、 伊豆大島の噴火による空振だと説明が添えられた。 この時初めて「空振」なる語句を耳にしたが、要は噴火による衝撃波のことだ。 ここ数日ニュースで見聞きしていた、どこぞの島の噴火が、 こ…

  • 『東京節』 添田さつき ~ 大正のリズムネタだよパイのパイのパイ!

    「♪ラ~メちゃんたら ギッチョンチョンで パイのパイのパイ パ~リコっとパナナで フライフライフライ」 嬉しくなっちゃうくらい意味の無い歌詞に、もろ手を挙げてバンザイだ。 ここまで強烈な無意味っぷりをカマされた日にゃ、 これに意味を求めることこそ、無粋ぶすいってやつだろう。 表題曲よりも前時代、明治の世に流行した『オッペケペー節』*1の 「♪オッペケペー オッペケペー オッペケペッポ ペッポッポー」のような 節をつけたスキャットのような単なる掛け声とも違って、 所々に「たら」とか「で」「の」といった、言葉をつなげる語句が使われているものだから それぞれキーワードに、実は何か意味があるんじゃない…

  • 『月光』 鬼束ちひろ ~ 陽の光をわずかに映し、地上をかすかに照らす存在

    やべぇ。出だしから歌詞をすごい勘違いしてた。 「♪ I am the last child」(私は最後の子ども)だとばかり思っていたのに、 正しくは「♪ I am God's child」(私は神の子)だったらしい。 どっちにしてもえらく大層で印象的な歌い出しであることに違いはないけど、 滅び行く世界にたった一人生まれた、最後の絶望、 というようなテーマで書き進めようと思っていた出鼻を 思いっ切り挫かれてしまった。 モノを語るときは、ちゃんと下調べしてから構想を練らないといけないね。 「自由をもっと」だと思ってたら「理由をもっと」だったし。 耳鼻科通いが必要かもしれぬ。 それはそうと、さてと困…

  • 『Pride』 今井美樹 ~ コワモテ兄ちゃんの乙女な一面をどう扱おうか

    いったいぜんたい、どのツラ提げて作詞・・・作曲 布袋寅泰。 あのコワモテのあんちゃんが、よりによって 「♪私は今 南の一つ星を見上げて誓った」だなんて、、、 決してヒトを顔面だけで判断するものではないが、 普段のあの、あからさまに作ったキャラクターのような言動と、 喜びも悲しみも一抱えに生きようと誓う女性を描く歌詞との ギャップをどう補ったらいいかがわからない。 後に布袋が今井美樹と結婚に至ったこと*1をもって、 その隙間を埋めるパズルのピースを見つけた気になりかけたが、 心のどこかでやっぱり腑に落ちない自分がいる。 ミュージシャンっていう人種は、結局、ロマンチストなんだな、と思う。 じゃなけ…

  • 『渡良瀬橋』 森高千里 ~ 素直な音色の地名オタク

    表題曲の前年にも、『ロックンロール県庁所在地』(1992年/※試聴環境がないようです by)という、 タイトルからしてイカレた楽曲を本人の作詞・作曲で発表*1しているくらいなので、 森高千里は、おそらく地図・地名のマニアの類なのだろうと推測する。 九州出身の本人とは、ほとんど接点のない北関東という場所にもかかわらず、 地図でみつけたという川と、それに架かる橋の名前から着想を得て シングル曲を作ってしまうのだから、筋金入りというやつだ。 渡良瀬橋。 栃木県足利市を流れる、渡良瀬川に架かる橋。 幹線道路でもなんでもない、こんな地元民しか利用しないマニアックな橋は、 学校で使う地図帳などで見つかるよ…

  • 『もう恋なんてしない』槇原敬之 ~ 残された最たるは、モノではなく強迫観念

    以下に記載するのは、表題曲の場面に至る前の出来事を、思いめぐらせてみたものだ。 こういうのは単なるイタい妄想ともいう。 【もう恋なんてしない──前日譚】 「・・・私がいないと、あなた一人じゃ何にもできないんだろうけど、せいぜい頑張ってね。」 いったい君にはいくつ頭と足があるんだい?と尋ねたくなるくらい、いっぱいの帽子といっぱいの靴を、一つ一つ丁寧に荷造りしながら、君は言った。 次から次へと湧き出してくるそれらの物に半ば呆れながら、僕は尋ねる。 ──本気で出ていくのかい?脅しのつもりならもう充分だろ? 「潔くないなぁ。何度もいったでしょ。男らしく諦めたら?」 女のくせに、と言ったら怒るくせに、そ…

  • 『抱きしめてTONIGHT』 田原俊彦 ~ ぎこちないラテンのリズムで何様目線

    一番の疑問点は、これって誰の視点?ということだろう。 人知れず悩みを抱える相手に対し、 「♪悩み事を隠すの、案外下手だね。」と声をかけた、 その視点の主あるじとは一体? ◇仮説 1 【恋人(彼氏・彼女)】 これが一番仮定しやすい、視点の主だろう。 「君」を女性と決定づけるものは無いので、彼氏・彼女のどちらか断定はできないが、 面倒なので以下、「君」は女性だということにしておこう。 「♪君ばかりを見てきたから わかるつもりさ」 悩んでいるよね?何でもお見通しだよ。いつも君のこと見ているからさ。 なんてキザったい、「たらし」のセリフなんだろう。 で、悩みの解決策として「♪素直になれ」というアドバイ…

  • 『星空のディスタンス』 アルフィー ~ 照れ屋なのか奥ゆかしいのか。ただ図々しいのか。

    ジ・アルフィー。 そのスタイルからして、変なバンドとしか言いようがない。 なんといっても、「事実上」のメインボーカルが一番目立たないではないか。 3人並んだ向かって左端で、サングラスの向こうに照れ屋の瞳を押し隠して、 おとなしそうにチョコンとしている。 そんなボーカルが左端にいて、派手な目立ちたがりのギタリストが右端にいて、 一番パッとしない雰囲気だけどよく喋る男が真ん中にいるという図式。 「事実上」と、あえてカッコ書きしたのは、 3人ともそれぞれメインボーカルを張っている曲があって、 桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦、メンバーそれぞれのボーカルにおいて オリコン1位のヒット曲を持っている*1、…

  • 『春なのに』 柏原芳恵 ~ 青い春の空に消えた、あっけない幕切れに

    温度差の描写が見事。 送る側である主人公──おそらく在校生だろう*1──と、 卒業していく彼との、単純な別離の歌と捉えることもできる。 というか、ふつうはそう捉えるだろう。 しかしどちらかというと、自分がこの曲から受ける印象は、 おかれた立場の違いから生まれた疎外感をきっかけに、 自ら恋心に見切りをつけた歌、なのではないかと思っている。 「♪さみしくなるよ。それだけですか? むこうで友達、呼んでますね・・」 主人公は、もっと違った言葉が聞きたかったのだろう。 彼にも一緒に別れを惜しんでもらいたかったのだろうか。 しかし、卒業という解放感に浮き足だつ卒業生の彼には、 主人公が感じているほどの深刻…

  • 『日立の樹』ヒデ夕樹・朝礼志 ~ この歌なんの歌 気になる歌 見たことのあるCMだ!

    「♪この木なんの木 気になる木 見たこともない木ですから 見たことのない花が咲くでしょう」 言わずと知れたCMソングの雄である。「この木なんの木」こと『日立の樹』。 CMソングをはじめ、映画やテレビ、舞台などのタイトル曲やサウンドトラックなど、 何かの副産物として作られる楽曲を総じて、企画モノ、と表現することがある。*1 それはオリジナルで作られることもあれば、既存曲の替え歌や、 やはり既存曲でイメージにピッタリ合うものをあてるなど、様々だ。 それらは、流行ばかりにとらわれずに、ジャンルの垣根も越えて、 今までになかったものを、斬新なものを、という気概にあふれるものが多く、 変化に富んでいて大…

  • 『ドリフのズンドコ節』 ザ・ドリフターズ ~ カバー王者、ドリフのキレッキレソング

    カバーソングの王者といえば、ザ・ドリフターズだと思っている。 もちろん、この稿における「ザ・ドリフターズ」とは 日本一のコメディーグループ、いわゆる「ドリフ」のことで、 『ラストダンスは私に』(1960年/※試聴環境がないようです by)などで知られる、 アメリカのR&Bバンド「ザ・ドリフターズ」のことではないことは言うまでもない。 ドリフといえば、コントグループというイメージがあまりにも強く、 そもそもコミックバンドであること自体がそれほど知られているわけではない。 しかも多くのカバー曲をヒットさせたバンドであるとなると、 今となってはほとんど知られていないと思う。 ドリフの歌唱としてよく知…

  • 『修学旅行』 舟木一夫 ~ 修学旅行の想い出は、やっぱ場所より人と出来事よ

    懐メロ特集で必ずと言ってよいほど出現する 「♪ぁ・あ~ぁ~ぁ~ぁ~高校三年せ~」に、 『高校三年生』(1963年/※試聴環境がないようです by )はもう耳にタコよ、 という自分のようなひねくれた輩には ぜひ、『修学旅行』をおススメする。 『高校三年生』のヒットの最中*1にリリースされた、あからさまな便乗曲ながらも、 結構攻めたつくりの、意欲作になっているからだ。 疾走するような、汽車のリズムにあわせて、 めまぐるしい転調と変拍子の小難しい曲を、 とても高校出たてのホヤホヤと思えないような 舟木一夫のぬたくったような歌声が おそらく当時の基準でいう「さわやか」に流れていく。 間の抜けた女性コー…

  • 『山の人気者』/中野忠晴とコロムビア・リズム・ボーイズ ~ ヨーデル放題、チチしぼり放題

    もしもあなたが、「ヨーデル」と聞いて 何らかのフレーズを思い浮かべることができるとするならば、 たぶんあなたは、この『山の人気者』という曲を さわりだけでも知っているといって、過言ではないだろう。 おそらく、ヨーデルの曲で日本で最も知られているものといえば、 アニメ「アルプスの少女ハイジ」の主題歌 『おしえて』(伊集加代子/1974年/※試聴環境がないようです by)だと思われる。 しかし、「ヨーデル」と聞いてハイジを思い浮かべる人はほとんどいない。 それよりは、ヨーデルといえば、「♪ヨーロレイヒ~」という まさにそのフレーズを思い浮かべる人が多いと思う。 その元ネタこそが、この『山の人気者』…

  • 『軍艦行進曲』 日本海軍 ~ あっけらかんと、守備重視のカウンター戦法

    「♪キン・キン・キンタマリンの ナ・ナ・フ・シ・ギ!」 いきなりこんなんでスマンスマンスマン。 ご存じ「軍艦マーチ」こと『軍艦行進曲』だが、 自分が小学生のころ、こんな替え歌が流行っていたのだ。 そんな替え歌が通用するほど、 昭和生まれの小学生には身近な曲だったってことだ。 パチンコ屋なんかに出入りしてはいなかったけど、 当然のこととして、昭和の娯楽・パチンコの代名詞的な曲だと認識していた。 で、おそらく、「パチンコ」→「チンコ」→「キンタマ」的な 小学生大喜びパターンの替え歌が流布していたと思われる。 どうでもいいことだが、冒頭の歌詞は、前奏ともいえる部分に当てはまり、 本来歌詞がある「♪守…

  • 『ミュージックアワー』 ポルノグラフィティ ~ ありそうでなかったリアルシミュレート

    ああ、なんだかこの曲、唯一無二感がすごくない? 妙にリアルな架空のラジオ番組をでっちあげて*1、 ト書き(ナレーション)やモノローグ(心の内の声)の一つも用いることなく、 番組のはじめから終わりまでを、シミュレート再現するというもの。 実に本物っぽいDJのタイトルコールから始まり、 「This Program brought to you by Porno Graffitti. See you next time!」 (この番組はポルノグラフィティがお送りいたしました。また次回!) で終わるという、心憎いばかりのラジオあるあるが繰り広げられる。 番組としては短くて変じゃねーか?と思う人もいるか…

  • 『涙の天使に微笑みを』原由子 ~ 本当に自分の記憶違いなのか。いまだに世界を疑っている

    かつては、タイトルや歌い手を間違えて覚えていたために いくら探しても見つからない曲、というものが存在しえた。 ネット時代の今日では、些細な手がかりであっても おおよその情報は(誤情報も含めて)ググって得ることができるが、 それ以前は、その方面に明るそうな人に尋ねるか、 さもなくばCDショップ店頭や、レンタルCDなどで ジャケット情報をもとに、しらみつぶしていくのが常套手段だった。 そんなだから、ジャケットに収録曲の記載がないCDを運任せで購入して 玉砕することも当然の成り行きだったし、逆に思わぬ出会いもあった。 いくつか私的な具体例をあげてみよう。 大阪のアメリカ村で立ち寄ったレコードショップ…

  • 『CRUCIFY MY LOVE』 X JAPAN ~ ニホンゴで歌わんかいっ

    この曲に限らず、日本市場向けの作品であるにも関わらず 英語詞だけで構成されている曲は、古くからいくつか存在する。 つのだ☆ひろの『メリー・ジェーン』(1971年/※試聴環境がないようです by )をはじめ、 『モンキー・マジック』(1978年/※試聴環境がないようです by )などのゴダイゴの一連の楽曲*1、 ショーグンの『Bad City』(1979年/※試聴環境がないようです by ) トミー・スナイダーの『Super Hero』(1977年/※試聴環境がないようです by ) B'zのミリオンシングル「Real Thing Shakes」(1996年/※試聴環境がないようです by )、…

  • 『息子』奥田民生 ~ エア息子とロマンチ母ちゃん

    10代の頃、どういうわけかこの曲が大のお気に入りだった。 サウンドだけでなく、この歌詞世界にしてやられていたような気がする。 くだけた口調で、無限とも錯覚できる世界の大きさと、人生の可能性を語る、 そのアベコベさにだ。 「♪半人前が いっちょ前に 部屋の隅っこ ずっと見てやがる おぅ メシも食わず 生意気なヤツだ」 感情移入したのは、なぜかオヤジの方。 10代の身空で、息子がいるはずもなく、 奥さんどころか彼女の影すらもなかった時分なのに。 ところが実際、子をもって知ったことだが、 自分の子どもに、そこまでの可能性を見い出さないし、 世界の広さを語れるほど、世界を知らない。 将来の責任なんか全…

  • 『新しいラプソディー』 井上陽水 ~ ”I Love You”の最強呪文が解き放つ夢幻の世界

    「困るんだよな、こういうの。」 いかにも嫌味な上司が言いがちな感想を持ってしまうほど、困る。 なにが困るって、そりゃぁこういう、さりげなくていい曲ってのは、 言葉で説明がつけられないから、本当に困るのだ。 もう、聴いちゃって聴いちゃって。 いちいちオイラの駄文なんか読んでからじゃなくていいからさ。 陽水のボーカルが始まった瞬間から、世界に引き込まれるから。 シングルジャケット/amazonより 新しいラプソディー井上陽水J-Pop¥250provided courtesy of iTunes 作詞・作曲 井上陽水、編曲 星勝 1986年5月21日、フォーライフレコードより発売 オリコン最高位2…

  • 『ラズベリー・ドリーム』 レベッカ ~ フィーリングで演り、フィーリングで聴くべし

    カッティングと残響音のコントラストを利かせたギターによる導入から、 間をおいて、跳ねるようなドラムが、続いてピアノとベースがフィルインしてくる*1。 そしてNOKKOの抑えつつも勢いのあるボーカルを迎えるころには いかにも、バンド然、とした王道のサウンドが繰り広げられる。 新鮮さはないが、これが実に心地よい。 新鮮さがない、という表現にはいささか語弊があるかもしれない。 日本にバンドブームを巻き起すひとつのきっかけになったという レベッカという、このバンドのサウンドこそが、 その後のロックのスタンダードな音になったというほうが正しいのかもしれない。 ところどころ英語交じりの歌詞も、いかにもとい…

  • 『夏をあきらめて』 研ナオコ ~ ナイスカバー? yes. ナイスカバー。

    ひとの持ち歌を歌うことを「カバー」という。 レコードにかぶせて歌うから、カバー。 つまりは、カラオケのイメージ。 ・・だと思っていたが、どうも違うらしい。 英語で"cover for ××"(××は人を指す) で、「××の代わりを務める」 という意味から来ている表現だそうで、要するに代役のこと。 なんだリメイクだと思っていたら、スペアだったか。 しかし、そんな本来の意味通りの代役や、 だれもが認める名曲を××が歌い上げる・・・というようなカラオケ状態のものではなく、 カーペンターズの数々のヒット曲のように、無名に近い曲をヒット曲に育て上げたカバー*1、 もしくはそれなりに知られた曲ではあるが、…

  • 『銀河鉄道999』 ゴダイゴ ~ 隠された意味を探そうにも、そんなものは無いのが現実。

    この超名曲を、なぜに百名曲に選ばずに、500名曲としてしまったか。 あえて言い訳を述べるならば、まったくの個人的嗜好に行き着く。 短いフレーズをリピートしながらフェードアウトする曲が好きではないという、 そんな限りなく個人的な事情に、ただただ申し訳なく思う。 さて、999スリーナインの名を冠した名曲ってのはいくつか存在し、 ささきいさおのスリーナイン (『銀河鉄道999』1978年/試聴はこの先から)もいいし、 アルフィーのスリーナイン (『Brave Love〜Galaxy Express 999』1998年/※試聴環境がないようです by )も、もちろんいいんだけど、 ずば抜けているはこれ…

  • 『真冬の帰り道』 ザ・ランチャーズ ~ 大人になれない大人が、地団駄を踏むか、否か。

    「♪あなたの肩先に ひらひらこぼれてる プラタナスの枯葉 寒そな枯葉」 この曲ではそんな風に歌われるプラタナス。 「♪プラタナスの枯葉舞う 冬の道で プラタナスの散る音に 振り返る」 (『風』はしだのりひことシューベルツ/1969年/※試聴環境がないようです by) 「♪そよぐプラタナス ふたつの靴音 ああ恋の夜」 (敏いとうとハッピー&ブルー『星降る街角』/1977年/※試聴環境がないようです by) 「♪プラタナスの葉陰に ネオンがこぼれ 想い出が還る 並木通り」 (『たそがれの銀座』ロス・プリモス/1968年/※試聴環境がないようです by※これは純烈によるカバー) 「♪レースの飾りの向…

  • 『青春サイクリング』 小坂一也 ~ 小坂は名古屋人なので、たぶんこう呼んでいたに違いない

    のっけから余談から始まって*1申し訳ないが、 個人的に方言というものにあれこれ興味を持ちはじめたのは、 インターネット前夜の時代のこと。 当時、地域の言語差をうかがい知れたのは、主にテレビや物語世界だけであったが、 親の転勤によって、いやがおうに別体系の方言世界に投げ込まれ これ以上ないほどの衝撃を受けた言葉がある。 「ケッタマシーン」 マシーンという外来語がついているが、れっきとした日本の方言である。 濃尾地方*2に伝わる由緒正しき方言名詞で、通称「ケッタ」 。 その正体はなんと、標準語でいうところの「自転車」である。 自転車のような近代構造物に方言があることにまず驚き、 方言に英語が組み込…

  • 『銀座カンカン娘』高峰秀子 ~ 「銀座」は残った 柳とともに いつまでも

    流行を取り入れた歌詞が、時代とともに早々に廃れてしまうことは 『洒落男』(1929年/二村定一)の回で触れたとおりだが、 この『銀座カンカン娘』はというと、驚くべきことに 一語たりとも死語というものがないように見える。 「カンカン娘」という造語 ーーおそらくはイマドキの若い女性たちの総称として名付けた、 特にこれといった意味のない雰囲気名称と思われる*1ーーはともかくとして、 それ以外登場する語句は、今でも普通に使用されるものばかりだ。 言い回しに文語調の古めかしい表現が見受けられるが、 なに、映画や小説に限らず、現代の物語でもそんな表現はいくらでも残っている。 登場するカンカン娘たちのしぐさ…

  • 『洒落男』二村定一 ~ 流行は廃れる危険を考慮しないと、すぐに意味不明になる

    またしても時を遡り、20世紀前半に舞い戻ろう。 この「日本百名曲-20世紀篇-」を始めるにあたって、 各年代それぞれで候補曲としていた曲がいくつかあった。 戦前戦中の候補曲には、この『洒落男』をはじめとして 『東京節』*1(添田知道/1918年/※試聴環境がないようです by※これは近年のカバー) 『アラビヤの唄』(二村定一・天野喜久代/1928年/※試聴環境がないようです by※これも近年のカバー) 『蒲田行進曲』(川崎豊・曽我直子/1929年/※試聴環境がないようです by※これも近年のカバー) 『山の人気者』(中野忠晴/1934年/※試聴環境がないようです by※どれも近年のカバー) な…

  • 『本能』 椎名林檎 ~ 人間の歴史の上に、言葉とともに欲望が生まれた

    やけに耳障りな音だ。 不安になるような不協和音とは違う、人の息遣いを感じない電子音とも違う、 もっと実在的で、物の気配を感じ取れるような音。 まるで機械がけたたましく連続音を発生させる、町工場の界隈のような。 そう、喧噪という言葉がぴったりかもしれない、尖ったガチャガチャした音。 人の営みが作り出す、騒々しく耳障りな音の数々。 自分にとって、この曲は、そんなイメージがある。 うなり上げるベース、金属音のようなドラムス、空気を切り刻むようなストリングス*1、 そして町内放送のスピーカーから流れるような、椎名林檎のくぐもったボーカル。 ゼンブ解っていて耳障りにしているようにしか思えない。 だけど面…

  • 『アジアの純真』 Puffy ~ ネット住人のイッツ・ア・スモール・ワールド

    さて、どこからツッコんでやろうか。 脈絡なんか考えずに、片っ端から行ってみようか。 曲自体、見どころツッコミどころ満載の支離滅裂さだから それくらいがちょうどいいかもしれない。 アジアの純真、のタイトルよろしく、歌詞は北京からスタートする。 しかし続くのは、ベルリン(ヨーロッパ・ドイツ)、 ダブリン(ヨーロッパ・アイルランド)、リベリア(アフリカ・リベリア)。 早くも2歩目にしてアジアを飛び出して、舞台は世界へ旅立ってしまう。 その歌詞が載る和音は、まさかのワンコード(1和音)。 ベース音は20秒以上延々とBの音(ドレミ・・の「シ」の音ね)を刻む。 コーラスが途切れてEの音(「ミ」の音を基準に…

  • 『明日の行方』 Smile ~ 嘘と希望と逃避のはざまに

    訥々と語るセリフからは、夢見るロマンチストを気取っているのかと思いきや、 実はすべて、主人公の現実逃避の言葉であることに気づいてからは、 いったい彼に何があったのか、気になってしょうがなくなってしまったのだ。 この主人公、とにかく明日が来るのが怖くてたまらないらしいのだ。 何があったんだろう?何をしでかしたんだろう? 想像しだすとなんだかとっても笑えてきてしまう。 たぶん真面目な歌なのに。 「♪名も知れない花になって 風に吹かれたい」 「♪走りまわる風になって 花びらを舞わせたい」 「♪深く青い海になって 雲を映したい」 「♪鯨のような雲になって 海を渡りたい」 自由を夢見る若者って感じ?自然…

  • 『夜桜お七』 坂本冬美 ~ 蜃気楼のごとく一瞬かいま見えた、演歌の明るい未来

    こと音楽に関しては、基本的にかなりの雑食であるつもりなので、 今更ジャンルにこだわったり、ジャンル談義をするつもりはさらさらない。 というよりも、ジャンルの違いというものを よく理解していないがゆえの雑食とも言えるのでなおさらだ。 ジャンル談義をするスキルを持ちあわせていないというのが正直なところだ。*1、 それでも、この『夜桜お七』という曲が、その意に反して 図らずも演歌というジャンルにひとつの引導を渡してしまったということに、 あえてちょっと触れてみたいと思う。 従来の演歌像に囚われない、革新的な作風に 新進気鋭の作家の仕業と思いきや、 作曲は三木たかし*2、編曲は若草恵*3という昔なじみ…

  • 『夏だね』 TUBE ~ 全季夏へと強制連行! TUBEは夏の季語に違いない

    思考の跳躍っぷりが半端ない。 第一声、「春一番」で始まった歌が、わずか8小節足らずのうちに「6月」になり、 16小節に達する頃には、遥か「夏休み」にまで達する。 この間、文字数にしてわずか36文字。 「♪春一番が 小さな過去へと遠くなる六月 心はウワの空 指折り数える バラ色の夏休み」 なんというめまぐるしさだろう。 シーンが一気に、2月上旬から、7月下旬まで駆けぬけるのだ。 ちなみにこの思考を行う現在はというと、6月らしい。 気が早いことこの上ない。 散文形式*1の詩でこれなのだから、 もしもこれを世界一短い詩といわれる俳句にしたらこうなる。 春一番 指折り数える 夏休み これはもう俳句舐め…

  • 『Bye For Now』 T-BOLAN ~ 照れ隠しのコツは、トコトンカッコつけるべし

    くだらない駄洒落でしかないと、自分でもわかっているのだが、 いけないと思いつつ、どうしても頭をよぎってしまう、連想してしまう、 そんなフレーズが多々ある。 歌詞に「別れ」という言葉があれば、 それは半ば自動的に「ワカメ」という言葉に脳内変換され、 一瞬で曲を台無しにしてしまう。 この曲の導入部分に当てはめれば、 「♪素敵な別れさ 出会いの未来があるから」という前向きな別離で始まるはずが 脳内では「♪素敵なワカメさ~」と、生のワカメにほおずりせんばかりに、 最高の笑顔を見せる男の歌になってしまう。 高橋真梨子が、『ごめんね・・・』(1996年/※試聴環境がないようです by)において 「♪連れて…

  • 『いくじなし』 筋肉少女帯 ~ 狂気の中毒性に注意。迷宮に迷い込んで3アウト。

    イカしているということと、イカレているということは その文字ヅラ以上に紙一重だということに気づかされる。 大槻ケンヂの、イカレたボーカルや、狂気の物語世界の影に隠れているが、 バックを固めるアンサンブルの、まあ達者なことよ。 これぞメタルの王道、という趣のバスドラムの連続打ちで始まり、 間奏では三柴江戸蔵の優雅できらびやかなピアノソロ*1に導かれる、 『Jumpin' Jack Flash』(ローリング・ストーンズ/1968年/※試聴環境がないようです by) 風のリフなんか最高にナイス。 エンディングに向かって、ぐいぐいとテンションを高めていく演奏も圧巻だ。 この極端な対比のために、余計に狂…

  • 『青いスタスィオン』河合その子 ~ 青色は、空の青さと青春。スタスィオンは若気の到りか。

    おそらく、何かのオムニバスCDに収録されていたものを 何の気も無くソングリストに加えていたのであろう。 これまで幾度となく玉石取り混ぜ聴いていたために、聴き知る曲となったが、 この稿を書くにあたって、はたと困ってしまった。 だれの歌う、なんて曲かわからない! 以前にも、車の中でこの曲に差し掛かったとき、 同乗者に「この歌なんて曲?」と聞かれることがたびたびあって そのたびに、知らない。たぶん80年代くらいのアイドルの曲。 というような答え方をしていたと思う。 何度聴いても、どこかで聴いたことのあるような懐かしさを覚え、 そして何度聴いても、不思議と誰のなんという曲か調べようとは思わなかった。 …

  • 『パラダイス銀河』 光GENJI ~ 大人の目の届かない夢の世界のはずが、まさかの夢オチ

    当時、何故あれほどこの曲を毛嫌いしたか、自分でもわからないくらい 今聴くとなかなかにハッピーな佳曲じゃないか。 趣の異なるサビ、Aメロ、Bメロの組み合わせや、 主旋律とオブリガード*1の逆転、ゆがんだ和音を響かせるエンディングなどなど 展開もなかなかに凝っている。 だけど、これが流行した当時は「だめだこりゃ」といかりや長介ばりに吐き捨て、 やがて個人的に日本の曲を全く聴かなくなっていく、ひとつのきっかけになってしまった。 おそらくそのせいだろう。百名曲の記事を読み返してみると、 1980年代後半から、90年代前半にかけての曲の記事にはトゲが感じられる。 いけないよなぁとは思うものの、どうしても…

  • 『Get Wild』TM Network ~ 強迫観念に負けないよう、ワイルド願望にすがる二人

    正直言って、未だにこの『Get Wild』という曲を どうやって評価していいものだか、決めかねている。 「100名曲」に入れようともしたし、その後も何回か書きかけては、 書きあぐねて、書けなくて、その繰り返し。 その後のミュージックシーンの、ひとつの転換点であることは解るのよ。 もちろんいい曲であることもね。 だけで何だかしっくりこない。ストンと腑に落ちない。 最後に自分の背中を押すのに、何か些細なひっかかりがあるようなのだ。 それは例えるなら、かの村上春樹の小説を、まわりの高評価に触れるにつけ、 そうかな、と思い何冊か手を付けてみているものの、 これぞ、という手ごたえを掴めずにいることと、似…

  • 『津軽平野』千昌夫 ~ にっぽんのふるさと。家族の絆を歌う。

    いやいや、だって演歌だし、とか、だって千昌夫だし、とか 食わず嫌いしていないでこの曲を聴いてごらんなさいヨ。 びっくりするほど美しい曲だから。 出だしのオーボエとアコースティックギターの絡みと、遠くで聞こえる拍子木の音なんか、 日本人の心にズキューンと突き刺さって、涙ちょちょぎれそうなもんで、 それはまさに「紀行もの」のテーマ曲を彷彿とさせる。 それは大野雄二『光と風の四季』(1983年/「小さな旅」/※試聴環境がないようです by*1)だったり、 それは服部克久『自由の大地』(1987年/「新世界紀行」/※試聴環境がないようです by)だったり、 渡辺俊幸『新日本探訪のテーマ 』(1991年…

  • 『まちぶせ』 石川ひとみ ~ ストーカーという概念の有無で、曲の印象がまるで違う!

    この曲の作者である、ユーミンこと松任谷由実が のちに「荒井由実」名義でセルフカバーしたときには ストーカー気質の怖い女扱いされた、この曲の主人公だが、 まぁ、確かに文字通り捉えるならばかなり怖い女だ。 「あなた」と「あの娘」の恋人同士のテーブルに、 ずかずかとわり込んで「♪テーブルを挟んであなたを熱く見た」り 「あの娘」が振られたという噂を耳にしてからは、 あろうことか「♪別の人がくれたラブレター見せたり」と、 人の迷惑も顧みず、やりたい放題だ。 歌詞に出てこない「まちぶせ」というタイトルも、 男を待ち伏せするハンターのさまを連想させる。 何より怖いのが、「♪好きだったのよ あなた」と過去形で…

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