様々なテーマを重ねた重厚な内容で、大人の女性向けの小説です。 恋愛、妊娠、結婚生活、出産、ジェンダー問題など、リアリティな話題が盛り沢山です。多くの女性に夢をお届けしたいです。
ラブホテルの前まで来ると、私は途端に牢獄のような恐ろしさを感じて後ずさりをした。 ゴシック建築を思わせるような蔦性植物のデザインの黒く厳めしい門が私達の…
中谷産婦人科No.1六章 青い夜の果てに・・②「前夜祭」も明けて・・
クリスマスイブの夜、私はマモルさんと一緒にみなとみらいにいた。 空は陽が沈み、ここ数日見た中でも、一層深く、透明感を増したように真っ青で、それが海と一体…
中谷産婦人科No.1六章 青い夜の果てに・・①クリスマス前のロマンチックな日々・・
マモルさんは一緒に暮らすうちに、ますます優しくなっていった。 照れくさそうなぶっきらぼうな態度を改め、私の目を見てきちんと会話をするようになり口数も一気…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?⑧運命の転換期に現れる精霊?
「それでね、今聞いたユマの話が、ばーちゃんから聞いた話に酷似してるんだよね。」 「え、なになになに?」 途端に絢子が生き生きとして身を乗り出した。 「ば…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?⑦まさかそんなことが・・
絢子がゆっくりと口を開く。 「相手は三年だってさ。」 「三年て・・」 一体誰と言う言葉までは出てこなかった。 あのように私やミナミへ思わせぶりな態度をと…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?⑥野本の不穏な噂
十二月の中旬に差し掛かろうとしていたある日、私の高一の時の友達だったみさとナナと絢子が訪ねてきた。 「ユマ~~!会いたかったよぉ~。」と家の中に入るや否…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?⑤女性の二面性・・聖と俗
きいこさんは再び私達の方へ戻って来た。 そして今度は私の向かい側に腰かけると、親しみのこもった眼差しで話しかけてきた。 「いいなぁ・・。マモルと結婚出…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?④奇抜なスナックのママさん
外に出ると夜が一層深まり、風がさっきよりも冷たかった。 店の奥からなだれ込むように外に飛び出してきたお義父さんと権平さんを、通行人達はこの辺りの酔っ払いに…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?③夜の美しい対照的な華
やがてネオン街の一角に、「スナック マダム」という看板が見えた。 看板には竹久夢二の絵画を思わせるような、昭和レトロな男女のイラストが描かれてあった。 …
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない?②不知火家のおもてなしは夜遊び
「ねぇ、ユマちゃん、たまにはさぁ外で夕飯食べに行こうよ。ずっとうちの中にいると腐っちゃうよ。」 珍しく日中に美憂さんから電話がかかってきた。 私はちょう…
中谷産婦人科No.1 五章 人間のように見えるけれど人間ではない? ①この世に妖怪なんかいるの
七か月にもなると、今までほとんど目立たなかったお腹の膨らみが、少しずつ洋服を着た上からでも目に見えるようになってきた。 近頃は胎動も頻繁に感じられるよう…
中谷産婦人科No.1四章 新婚生活⑪不知火家って何者?飛天って・・彼のことでは?
再び始まった味気ない日常を紛らわすために、私は時々「雲竜」にお昼のランチを食べに行った。 とはいったものの、そう安いものではないので度々訪れることはでき…
翌日は、ロープウェイに乗って大涌谷で卵を買った。 鼻歌を歌いながら颯爽と歩いていく私の後を、爽やかな風のように追って、マモルさんが声をかけてきた。 「お…
布団の中に閉じ込められながら、既に快楽を浴びてほぐされ、色香にぽってりと染まっていた私の躰は、マモルさんの企み通りに再び火が付き、簡単に燃え上がってしまっ…
中谷産婦人科No.1四章 新婚生活⑦山々を背景にした快美な晩餐
お待ちかねの夕飯の時間になると部屋に料理が運ばれてきた。 てっきりこの家の家庭料理でも出てくるのかと思いきや、お造りや揚げ物などからなる型通りのきちんとし…
中谷産婦人科No.1四章 新婚生活⑥大自然に染まりゆく幻惑的な彼
私は急に不安な気持ちに駆られながらその背中を追いかけた。 普段目にすることのない巨大な岩石や、どうかすると人の顔にでも見えてきそうな奇妙な形の老木が間近…
マモルさんがその話を店でしたところ、不知火家のおじさん・・すなわちお義父さんの友達の権平さんの会社の保養所があるので、二人で行ってきたらいいだろうというこ…
ある朝、私はいつものようにベッドから身を起こして山々の景色を眺めているうちに、こんなことを思いたって隣にいるマモルさんに声をかけた。 「ねぇ、マモルさん…
中谷産婦人科No.1四章 新婚生活③夕餉の気恥ずかしい二人きりの団らん
マモルさんが帰ってくる時間帯はまちまちで、夕方早くであったり夜遅くであったりした。 朝から晩まで非常に忙しいお店であるのに、夕方に帰ってきてくれるのは、不知…
中谷産婦人科No.1四章 新婚生活②謎めいた彼の首飾りの霊石・・?
ベランダ側の向かいは、少し寂れた雰囲気の古風な家だった。 こちらは丘の上なので、一段高い場所からその家の野原のように広い庭が見下ろせた。 庭は全体的に荒れ…
中谷産婦人科No.1四章 新婚生活①不知火家の謎?不気味な木製人形
マモルさんのアパートで一緒に暮らすようになって一か月も経つと、部屋の中の雰囲気にしっくりと体が馴染むようになった。 一間と台所しかない家だが、その狭い空…
中谷産婦人科No.1 三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味⑦彼女との再会!
途中で休憩時間となり、私はもうさっきからずっと我慢をしていたのでトイレへ急いだ。 何人かの人達も私と同じように急いでいた。 私がトイレから出てきた時はもう…
中谷産婦人科No.1 三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味 ⑥中谷産婦人科の院長先生
その翌週、私は母親学級に出掛けるために準備をして姿見の前に立った。 白レースのアジアンブラウスに、プリーツの入った黒のワイドパンツを合わせただけでかなり大人…
中谷産婦人科No.1 三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味⑤風変わりな医師
それからひと月が経ち、十月も半ばだった。 私は検診のため、久しぶりに「中谷産婦人科」を訪れた。 秋の気配を漂わせながらも結局残暑はしつこく十月の初めまで尾を…
中谷産婦人科No.1三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味④闇の中の艶美な肢体・・
宴会が終わった夜、マモルさんと不知火家の夫妻は、私を送り届けるような形で、再び叔母夫婦の家に挨拶に訪れに来た。 「ユマちゃんも、お腹の子も私達が責任もっ…
中谷産婦人科No.1三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味③艶美に甘く不思議な空間
宴席に集まってくれた人達の中で、特に、おじさんの古くからの親友で同じ釜で飯を食った仲間だという権平さん、マモルさんの遊び仲間で竹馬の友である里中さんに土井垣…
中谷産婦人科No.1 三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味 ②お披露目会
その数日後、不知火家の方から、せっかく籍を入れたのだから「お披露目会」を開こうという提案があった。しかし叔母夫婦は乗り気ではなく、参加したがらなかった。 …
中谷産婦人科No.1三章 大人への階段・・ほろ苦く甘い味①青葉の中に見る美しく儚い君
学校を辞めて一週間ほどしてから、マモルさんと私は籍を入れた。 区役所の帰り、二人でブラブラと公園の方へと歩いて行った。 会うのは大抵夜だったので、陽ざし…
中谷産婦人科No.1二章「ルーゴン・マッカール」⑥さようなら・・
放課後の教室はガランとしていて、感傷に誘われるというよりも先に、空洞の中に放り込まれたように虚しい気配だけが四方八方から感じられた。 久しぶりに訪れた教…
中谷産婦人科No.1 二章「ルーゴン・マッカール」⑤おばさん・・?
まるでその言葉が自分の言った言葉じゃないかのように信じられなかった。遠くの方で聞こえてきた何者かの声のような感じがした。 一斉にギョッとしたような目が向けら…
中谷産婦人科No.1二章「ルーゴン・マッカール」④また、あの地獄の生活に・・?
おばさんは、私を小学校低学年の時から面倒を見ているが、いわゆる「ママ友」というものを作ろうとしなかった。 それは血が繋がってはいるものの私との関係を詮索され…
その向こう見ずな若さを剥き出しにした気迫に、おばさんは一瞬呆気にとられたような顔をしたものの、すぐにマモルさんをキッと睨み返した。 「まぁ、何を言うんです。…
中谷産婦人科No.1二章「ルーゴン・マッカール」②マモルさんの家族がわが家へ!?
その翌日の夜、マモルさんは自分の両親を連れて、叔母夫婦の元へ訪れに来た。私はこの日も学校に行かなかった。 すべてを打ち明けた後となっては、学校に行くどころの…
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