脳と食の研究者の新谷隆史です。本ブログでは人類史の礎となった様々な食の革命について考察していきます。
ジャガイモ飢饉-産業革命と食(7)アメリカ合衆国には、先祖がアイルランド出身のアイルランド系アメリカ人(IrishAmerican)がたくさんいます。自らの出自がアイルランド系であるという意識が高い人は多く、一説によると、約1割のアメリカ人が自分のことをアイルランド系と考えているそうです。アイルランドは、イングランド・ウエールズ・スコットランドがあるブリテン島の西隣の島で、1649年から1920年代までイギリス(イングランド)の支配を受けていました。このため、アイルランドからイギリスの支配であった北アメリカなどに移住する人が多くいました。特に1840年代後半にアイルランドで「ジャガイモ飢饉」と呼ばれる大飢饉が起きると、数百万人のアイルランド人が北アメリカに移住しました。アイルランド人はイギリス(イングランド)人...ジャガイモ飢饉-産業革命と食(7)
ジンの光と影-産業革命と食(6)「ジン(gin)」はカクテルによく使われる蒸留酒です。ジンを使ったカクテルには「ジントニック」「ホワイトレディ」「マティーニ」「ギムレット」などたくさんあります。ちなみに我が家では、時々ホワイトレディを飲みます。近年は世界的なジンブームと言われていて、日本でも小規模な蒸留所などが造る「クラフトジン」が人気です。クラフトジンとは材料などにこだわって造った高級ジンのことです。「ジンは自由」と言われるように、ジンの定義は「ジュニパーベリーの風味を主とする蒸留酒」となっているだけで、ジュニパーベリー以外の材料に縛りはありません。そのため、ボタニカル(茶や桜などの植物)、ハーブ、スパイス、フルーツなどのさまざまな材料を使うことで、造り手の個性あふれるジンを醸造することができるのです。さて、...ジンの光と影-産業革命と食(6)
ヴィクトリア・サンドイッチ前回の「産業革命期のイギリスのパン」でベーキングパウダーの話をしましたが、ベーキングパウダーが使われ出した19世紀に誕生したイギリスのお菓子に「ヴィクトリア・サンドイッチ(ヴィクトリア・スポンジケーキ)」があります。このケーキは、同じ量の小麦粉(ベーキングパウダー入り)と卵、砂糖、バターで作った生地を焼き上げて作ります。下のケーキは一枚のケーキを上下に切り分けて、間にラズベリージャムを塗っていますが、別々に焼いた2枚のケーキでラズベリージャムをはさむのが本当の作り方です。上から粉砂糖をふって出来上がりです。サクサクふわふわとした感じのとても美味しいケーキです。ヴィクトリア・サンドイッチこのケーキの名前の「ヴィクトリア」は当時のイギリス女王だったヴィクトリア(在位:1837~1901年)...ヴィクトリア・サンドイッチ
産業革命期のイギリスのパン-産業革命と食(4)日本人が朝食に食べるパンと言えば「食パン」が第一にあげられます。食パンとは発酵させたパン生地をフタつきの角型に入れて焼いたもので、外側が型にくっつくことで平らになるため、直方体の形になります。この日本の食パンの元祖は、パン生地を角型に入れて焼いたイギリスの「ホワイトブレッド」だと言われています。ただし、ホワイトブレッドの型にはフタが付いていないため、パンのてっぺんは山型になり、生地の中の気泡も大きくなります。また、大きさも日本の食パンよりも一回りほど小さいです。産業革命期のイギリスではホワイトブレッドがたくさん作られ、朝食やアフタヌーン・ティーで多くの人々の空腹を満たしました。さらに、この時期には、今でもイギリスを代表するパンとなっている「イングリッシュマフィン」な...産業革命期のイギリスのパン-産業革命と食(4)
イギリスの砂糖の歴史-産業革命と食(3)前回のお話しはイギリスの紅茶の歴史でした。イギリスの紅茶にはたくさんの砂糖が入っていましたが、今回は産業革命期のイギリスの砂糖について見て行きます。砂糖は最初は高級品で、上流階級の人々しか口にすることができませんでした。しかし、次第に価格が下がるとともに流通量も増えることで、一般家庭に加えて、肉体労働者も朝食と午後の休憩時に飲むことができるようになりました。今回は、このような砂糖の価格の低下と流通量の増加がどのようにして起こったかを見て行きます。***************ヨーロッパの国々が砂糖の生産を行っていたのがカリブ海の島々(西インド諸島)やブラジルなどの南米大陸だった。この地域に最初にサトウキビが持ち込まれたのは15世紀終わりのコロンブス第2回目の航海の時で、ス...イギリスの砂糖の歴史-産業革命と食(3)
本日は妻が作ったボルシチを食べました。ボルシチはウクライナの伝統的な料理で、赤紫色のビーツを使った煮込み料理です。ビーツ以外には牛肉とジャガイモなどの野菜が入っています。ウクライナはとても悲惨な状況になっていますが、何とか平和を取り戻してほしいと切に願います。ボルシチを食べました
イギリスの紅茶の歴史-産業革命と食(2)イギリスの飲み物と言われると、まっ先に「紅茶」を思い浮かべる人も多いかと思います。実際に、イギリス人は紅茶を1日に5杯程度飲むと言われており、日本人が毎日たくさんの「緑茶」を飲むのによく似ています。この緑茶と紅茶は見た目も風味もかなり別物ですが、両者はともにチャノキの葉から作られます。しかし、作り方が異なっているので、色と風味が別物になるのです。緑茶の場合は、摘んだ葉をすぐに蒸します。こうすることで、茶の葉に含まれる酵素が壊れ、茶本来の風味を楽しむことができるのです。また、色も薄くなります。一方、紅茶の場合は、積極的に酵素を働かせることで作られます。つまり、摘んだ葉をもむことで酵素をしみ出させ、しばらく置くことで酵素反応を進めます。そうすると、茶の葉に含まれるカテキンなど...イギリスの紅茶の歴史-産業革命と食(2)
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