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  • 重症COVID-19患者に対して回復期患者血漿は有効性示せず

    回復期患者血漿(convalescentplasma)については、JAMA誌に中国から否定的なRCTの結果が報告されましたが、(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766943)、今週のNEJM誌にも重症のCovid-19肺炎の入院中の成人患者についてのランダム化比較試験において、臨床的有効性や30日後までの死亡の抑制効果がないことが報告されました。中和抗体の存在が確認されているのですからウイルス増殖に対する有効性はありそうなものですが、抗体の種類によってはインターフェロン作用を抑制して、かえって予後を悪くする可能性もあることが報告されていますので(https://science.sciencemag.org/content/370/6515/e...重症COVID-19患者に対して回復期患者血漿は有効性示せず

  • ホヤのマイクロバイオームから新しい抗真菌薬が発見された

    長らく診ている関節リウマチの患者さんがある日手関節の腫脹を訴えて来院されました。関節外にも広がるような腫脹で、骨破壊もかなり高度でした。「滑膜炎が悪化したんですかね~」とか言いながら穿刺したところ米粒体が採取され、培養で真菌(Candidaparapsilosis)が検出されました。「カビの思ひで」のひとつです。そういえば私が子供の時には「水虫の薬ができたらノーベル賞だ」というような出所不明のうわさがありました。抗真菌薬ではないですが、抗寄生虫薬で大村先生がノーベル賞を受賞されたので、あながちいい加減な情報でもなかったのかもしれません。現在抗真菌薬もいくつか開発されていますが、真菌に対して選択的な毒性を示す薬剤は真正細菌に対して選択毒性を示す薬剤よりもバリエーションに乏しく、現在用いられている抗真菌薬は主として...ホヤのマイクロバイオームから新しい抗真菌薬が発見された

  • MTXを止めるか?etanerceptを止めるか?それが問題だ

    関節リウマチ治療において、生物学的製剤(BIO)はmethotrexate(MTX)とのコンビネーションで使用されることが多く、その方が有効性も高いとされています。それではコンビネーションによって寛解に達した場合に、どちらから止めるのが良いのでしょうか?あるいは止めてはいけないのでしょうか。StudyofEtanerceptAndMethotrexateinCombinationorasMonotherapyinSubjectswithRheumatoidArthritis(SEAM-RA)はこのような質問に答えるために計画された臨床試験です。MTX+etanerceptによってSDAI寛解(≤3.3)に達した患者を①MTXmonotherapy(N=101)②Etanerceptmonotherapy(N=1...MTXを止めるか?etanerceptを止めるか?それが問題だ

  • COVID-19ワクチンについての私見(現時点でのまとめ)

    Pfizer/BioNTech社やModerna社のCOVID-19ワクチン(ロシアのSputnikVも?)の第3相試験の中間解析の結果、90%以上の有効性が確認され、安全性にも問題はなかったことが報道されました。またLancetにはOxfordグループのワクチンについての論文発表もあり、今後続々と報告が出てきそうです。この機会に自分の知識を整理するために、これまでのワクチンについてまとめてみたいと思います。--------------------------冬が近づいてきてもCOVID-19の勢いは収まる気配を見せず、日本ではウイルス陽性者の数が増え続けています。心配なのは感染者の中に占める高齢者の割合が増加していること、入院が必要な重症者が増えていることで、「これこそが日本の第1波(欧米的な意味で)ではない...COVID-19ワクチンについての私見(現時点でのまとめ)

  • 高感度ひずみゲージの開発

    ウェアラブルデバイスなどのsoftmachineは現在進歩著しい分野ですが、このようなデバイスの開発には弾力性のあるひずみゲージや圧センサーの開発が必須です。この論文は、異方性抵抗構造(strain-mediatedcontactinanisotropicallyresistivestructures,SCARS)に基づいた、高い弾性を備えた汎用性の高い高感度ひずみ検出デバイスの開発を報告しています。医療を含め、様々な分野への応用が可能そうです。Araromietal.,Nature.2020Nov;587(7833):219-224.doi:10.1038/s41586-020-2892-6.高感度ひずみゲージの開発

  • ミンクにおけるSARS-CoV-2感染の広がり

    新型コロナウイルスに感染したミンクを殺す、殺さないというニュースに注目していますが、デンマークには人間の約3倍のミンクがいるそうですね。デンマークにおけるミンク感染の広がりは中々止めることができず、6月以来200以上の農場で感染が確認されたそうです。問題になっているのはミンクの中でSARS-CoV-2が変異していることで、これまでにヒトで確認されたウイルスのうち300の変異体がミンク由来であると考えられています。特にCluster-5と呼ばれている変異体は感染に重要なSpikeタンパクに3つのアミノ酸変異と2つの欠損を有するもので、この変異型ウイルスは抗体やワクチンに対する反応性が低い可能性が指摘されています。またY453Fという変異体はデンマークではヒトにも広がっていますが、市販のモノクローナル抗体に反応せず...ミンクにおけるSARS-CoV-2感染の広がり

  • COVID-19に対するJAK阻害薬baricitinibの効果

    COVID-19にJAK阻害薬であるbaricitinibが有効ではないかという話は以前からありましたが、この論文ではアカゲザルにSARS-CoV-2を感染させたモデルを用いてbaricitinibの有効性を検討しています。Baricitinibを投与されたサルではI型インターフェロンの抗ウイルス反応やSARS-CoV-2特異的T細胞反応は変化させないが、炎症の減少、炎症細胞の肺浸潤の減少、好中球のNETosis活性減少を示し、その背景には炎症と好中球動員の原因となるサイトカインとケモカインの肺マクロファージ産生の強力な抑制があることを示しています。IL-6の阻害薬であるトシリズマブの有効性が疑問視される中で、期待が持てる治療薬なのかもしれません。いずれにしても今後の臨床研究の結果待ちではあります。COVID-19に対するJAK阻害薬baricitinibの効果

  • 高齢者に対するビタミンD、オメガ3脂肪酸、筋力増強運動の有効性

    高齢者の6つのエンドポイント((cardiovascularhealth,bonehealth,musclehealth,brainhealth,immunity)に対するビタミンD、オメガ3脂肪酸、筋力増強運動(週3回の筋力トレーニングを柔軟体操のみと比較)の単独介入およびコンビネーションの有用性を検証したDO-HEALTH試験の結果が報告されました。2157人がランダム化され、平均年齢は74.9歳で61.7%が女性でした。そのうち1900人が研究を完遂し、平均フォローアップ期間は2.99年です。結果はいずれの介入も有効性なし(血圧、shortphysicalperformancebattery,montrealcognitiveassessmentおよび非椎体骨折について)というものです。ビタミンDのディス...高齢者に対するビタミンD、オメガ3脂肪酸、筋力増強運動の有効性

  • 高齢者転倒・骨折予防に関する運動介入および多因子転倒予防評価についてのランダム化比較試験

    高齢者の転倒と、それに付随する大腿骨近位部骨折を始めとした脆弱性骨折は、患者の生命予後に影響する重篤な疾患であることが知られています。国内外で転倒予防の取り組みは数多く行われており、運動療法は転倒予防に有用であるという研究結果が報告されています。この論文ではイギリス全土の63の一般診療から70歳以上の9803人をランダムに選択し、①3223人はメールのみによるアドバイス、②3279人は転倒リスクスクリーニングを行い、メールによるアドバイスに加えて対象を絞った運動、③3301人は転倒リスクスクリーニングを行い、メールによるアドバイスに加えて、対象を絞った多因子転倒予防multifactorialfallpreventionの3群に振り分け、その後の転倒や骨折を検討しました。Primaryoutcomeはランダム化...高齢者転倒・骨折予防に関する運動介入および多因子転倒予防評価についてのランダム化比較試験

  • Alzheimer病の原因が感染症である可能性

    Alzheimer病の原因としてはアミロイドβ(Aβ)仮説が広く信じられています。これは何らかの理由で神経細胞に蓄積したAβが神経細胞の機能不全やアポトーシスを誘導し、認知障害を誘導するというものです。しかしAβの蓄積は必ずしもAlzheimer病患者にのみ認められるわけではなく、またこれまで開発されたAβ阻害薬はほとんどAlzheimer病に対する有効性を示せませんでした。最近発表された論文で、Aβは神経細胞への病原体感染に対する自然免疫系活性化の結果として産生される物質であり、病原体に対する神経細胞保護作用を有する可能性が報告され、注目されています。この仮説が正しいかどうかについてはもちろん今後の検証が必要ですが、Aβ仮説のように一つの説に拘泥するとかえって真実から離れてしまうのはよくあることですので、色々...Alzheimer病の原因が感染症である可能性

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