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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

本猿
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2020/02/09

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  • 『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』エリック・ホッファー|有意義な人生を歩みたい

    『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』エリック・ホッファー 中本義彦/訳 作品社 2025.03.17読了 東京都品川区・東急東横線不動前駅 に「フラヌール書店」という独立系書店がある。書籍の多さからどうしても大型書店に行くことが多いのだが、独立系書店も応援している。このフラヌール書店は2回ほど訪れた。書店の佇まいや選書も好みで、何よりブックカバーがとてもかわいくてそれが欲しいがために行ったというのもある。レジでの会計時以外で話したことはないが、店主・久禮(くれ)さんがおすすめしている、というか自分を育てた本として紹介されていたのがこの自伝だ。 エリック・ホッファーの人生は数奇である。こ…

  • 『穴』小山田浩子|人はみな、なんらかの穴に落ちてしまうのだ

    『穴』小山田浩子 新潮社[新潮文庫] 2025.03.16読了 癖になる小山田さんの小説。本当はこの『穴』から読めばよかったのかもしれない。というのも、この作品で芥川賞を受賞されたからだ。別に芥川賞作がその作者の傑作だとかすべてが自分に合っているかなんて保証はないけれど。しかし審査員(プロの小説家)たちからの評価が高かったのは確かだ。 表題作の『穴』は、夫の転勤を機に田舎に移り住んだ松浦あさひの日常を描いている。しかしそれはちょっと変わったものであった。ある日隣に住む義母からおつかい(コンビニに振込に行くというもの)を頼まれて外を歩いていたら、不思議な動物に誘われて穴に落ちてしまう。 落ちた穴…

  • 『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』R・F・クァン|言語、語源、翻訳に興味がある人は是非

    『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』上下 R・F・クァン 古沢嘉道/訳 早川書房 2025.03.15読了 今から子どもの頃に戻れるのならば、、、私は翻訳家もしくは教師になる夢に向かって学びたい。さすがに今からは現実的に難しい。いくら「何ごともいつから始めても遅くはない」という前提があるにせよ。「ロビンは、言語が心に永久に刻印を打つ年齢だった(上巻48頁)」とあるように、語学だけではなく小さい頃でないと吸収できないものがある。できなくはないが相当の努力と時間がかかる。子どもの頃は歌詞なんて簡単に覚えられたのに、今はそうはいかない。 似ているものも出てくるが実際のオックスフォードとは異なっ…

  • 『プリンシパル』長浦京|復讐するために極道の女になる

    『プリンシパル』長浦京 新潮社[新潮文庫] 2025.03.10読了 玉音放送がラジオで流れた日に、実家の父親が危篤との報を受けて実家に戻る綾女(あやめ)。ヤクザ稼業を嫌い家を出て教師を勤めていたが、やむを得ず父亡きあとを継ぐことになる。女性でありながらも戦後日本のヤクザのトップに立った彼女の生き様が力強く描かれた作品である。 青池家の惨殺のシーンがかなりグロくてキツかった。この事件をきっかけとして綾女は家を継ぐ決意をするのだが、理由は復讐をするため。それが叶ったら死をすんなりと受け入れる覚悟だ。もはや殺してほしいと何度も願う。綾女が政府やGHQにも立ち向かう姿がカッコよくて惚れ惚れする。 昭…

  • 『華麗なる一族』山崎豊子|私たちが生きるこの世界は残忍で非道なものだらけ

    『華麗なる一族』上中下 山崎豊子 ★ 新潮社[新潮文庫] 2025.02.08読了 15年ぶり位に再読した。強烈におもしろかったことは覚えているが内容はほとんど忘れかけていた。とはいえ万俵大介(まんぴょうだいすけ)が妻妾同居の生活を営んでいる場面まで読んだとき「あぁ、そうだそうだ」と段々と思い出してきた。煌びやかに見える一族の裏にある、歪で異様なもの。 阪神銀行頭取・万俵大介を中心として、妻・寧子(やすこ)、愛人・相子、長男・鉄平、次男・銀平、3人の娘などの華麗なる万俵一族の栄光と崩壊を描いた圧巻の作品だ。 預金残高を増やすための支店長らの奔走、銀行合併の内幕など、金融業界の裏事情のようなもの…

  • 『夜に星を放つ』窪美澄|生きていくうえで何度も味わう喪失と再生

    『夜に星を放つ』窪美澄 文藝春秋[文春文庫] 2025.03.01 読んでいる間ずっと、昔よく聞いていた(今でももちろん大好きな)斉藤和義さんの「夜に星が綺麗」がずっと頭の中でリフレインしていた。この本には5作の短編が収められているが、共通しているのは夜空、星座、空のこと。夜空に浮かぶ星を見て人は何を思うのか。よく考えたら昼間の空をじっくり眺めることはそんなにないけど、夜空は様々な想いを巡らせる。 どの作品も優しくて切なくて、ほんのりと涙が出てくるようなしみじみと良い作品だった。星と同時に出てくるのは「人との別れ」だ。死別だったり離婚だったり、失恋して離れてしまったり。人が生きていくうえで何度…

  • 『ゲーテはすべてを言った』鈴木結生|ゲーテ曰く、って使ってみたい

    『ゲーテはすべてを言った』鈴木結生 朝日新聞出版 2025.02.27読了 第172回芥川賞受賞作である。安堂ホセ著『デートピア』と同時のため2作が選出されたことになる。先に『デートピア』を読んだのは、『ゲーテは〜』を書店でパラパラめくったときに、引用がものすごく多くて学術書みたいで小説感がないな〜と思ったからだ。でも良い意味で期待を裏切られた。知識欲に突き刺さり、個人的に好きなタイプの作品だった。 端書きを読むだけで、著者の文章の上手さが伝わってくる。鈴木結生さんはまだ大学生だというが、落ち着いた文体とリズミカルさが融合していてすでに才能の片鱗を見せている。文章だけではなく、このような構成と…

  • 『君のためなら千回でも』カーレド・ホッセイニ|苦しむのは良心があるから

    『君のためなら千回でも』上下 カーレド・ホッセイニ 佐藤耕士/訳 KADOKAWA[角川文庫] 2025.02.26読了 書店に並んでいるのを見た時、目を疑った。タイトルが同じ本が出てるのかなと勘違いしてしまった。でもよく見るとホッセイニの著者名が!この作品はずっと読みたくて復刊しないかと待ち侘びていた。てっきりハヤカワepi文庫だろうと思っていたのに、まさか角川文庫だったのがかなりの驚き。いやでもでも、なんでもいいから嬉しい限り。カーレド・ホッセイニ氏の作品は『千の輝く太陽』を読んでどっぷり感動の嵐に巻き込まれていた。 ハッサンはどうして自分と一つしか違わないアミールにこんなにも忠誠心がある…

  • 『悪い時』ガブリエル・ガルシア・マルケス|誰もが虚ろに生きている不穏な世界

    『悪い時』ガブリエル・ガルシア・マルケス 寺尾隆吉/訳 光文社[光文社古典新訳文庫] 2025.02.24読了 去年新潮文庫から刊行された『百年の孤独』はめちゃくちゃ売れて話題になった(現在進行形か)。あの難解な小説がこんなにも売れているなんでちょっと信じがたいけれど、新潮社の宣伝戦略が上手かったのか。それでも読んだ人の好評な感想がないと今の時代はそうそう売れないし、やはり名作なんだろう。私は10年以上前に読んだのだけど難しくて良さがわからぬまま終わってしまった。つい先日『族長の秋』が新潮文庫から出てこれも好評なようだ(一応入手した)。いま、ラテンアメリカ文学が注目されている。 特にその『百年…

  • 『ブロッコリー・レボリューション』岡田利規|独特の読了感、ガム噛んだ

    『ブロッコリー・レボリューション』岡田利規 新潮社[新潮文庫] 2025.02.23読了 なんだかガムを噛んでるみたいだった。というちょっと変わった感想だが本当にそうなのだ。読み終えたら口の中が俄然スカッとする。 この本には、三島由紀夫賞を受賞した表題作を含めた5作が収められている。解説の高橋源一郎さんが「今まで読んだことのない体験をさせてくれる不思議な小説」、対談をした多和田葉子さんが「滅多に出逢うことのない独特の何かを含む」と言っているのが、まさしくその通りである。ちなみに文庫の巻末にある多和田さんと岡田さんの対談、高橋さんの解説がとても良い。 岡田さんは「自分の体験の印象を小説のなかに書…

  • 『カテリーナの微笑 レオナルド・ダ・ヴィンチの母』カルロ・ヴェッチェ|記録に残すことは崇高なもの

    『カテリーナの微笑 レオナルド・ダ・ヴィンチの母』カルロ・ヴェッチェ 日高健太郎/訳 みすず書房 2025.02.21読了 レオナルド・ダ・ヴィンチの名前を知らない人はいないだろう。絵画「モナリザ」「最後の晩餐」等で知られるルネサンス期を代表する万能の人物だ。私がまっさきにイメージする画は「岩窟の聖母」である(タイトルを覚えていたわけではなく先ほどググった)。彼の母親だろうとされている人がカテリーナという女性で、この小説では、彼女が産まれ生き抜いたとされる1400年代のイタリアの壮大な歴史絵巻が描かれている。 タタール人の攻撃が出てくる。まさしく『タタール人の砂漠』を思い出した。けれどあれは攻…

  • 『熊はどこにいるの』木村紅美|不気味な世界観に埋もれる

    『熊はどこにいるの』木村紅美 河出書房新社 2025.02.16読了 子どもが書いたようなタイトルの文字で一見児童文学かと思った。木村紅美さんという作家のことは知らなかったが、帯にある古川日出男さん、斎藤真理子さんのコメントに惹かれて手に取った。 ショッピングモールで保護された男の子のニュースが流れる。その男の子は丘の上にあるぬいぐるみ工房で育てられたユキだった。工房で住み込みで働く中年女性リツとアイ、津波で全てを失ったヒロとサキ。 4人の女性たちの視点で順番に語られる物語は、緊張感と危うさが伴う。決してやっていいことを行なっているわけではないのに、それぞれの過去を考えると一概に否定をすること…

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