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  • ダークウォーターズ ・・・ズシンとくる映画

    ダークウォーターズ 2019年 アメリカ映画 アメリカの化学大企業デュポン社がテフロンなどに使われる化学物質PFOAの毒性を知りながらも隠蔽していことを知った弁護士の物語(実話)。監督はグラム・ロックをめぐる映画『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』などで知られるトッド・ヘインズ。ものすごい映画だった。あまり広く公開されていないみたいだが、観れる方はぜひ観てとオススメしたい。日本版のDVDなどは未発売。 Dark Waters [DVD] Mark Ruffalo Amazon この記事では、映画のおすすめポイントを紹介したい。 1 まず事実として衝撃的。 ・テフロン加工を空焚きするとインコが死ぬ…

  • ロマンス・ドール

    ある晩、amazon primeでちょっとエッチなものを見ようとしていた。 過激なものや「実用的」なものではなく、なんとなくエッチなものである。 検索したところvシネみたいなものが多く⭐︎は大体3弱。 そんな中⭐︎4つだったものをクリック。 「ロマンス・ドール。主演:高橋一生、蒼井優」 この二人が主演ということは意外と普通の映画?と思いつつ、見てみることに。 ロマンスドール 高橋一生 Amazon ラブドール(ダッチワイフ)製作工場で働くことになった高橋一生が、オッパイのモデルとして現れた蒼井優と結婚するも、色々あって・・・二人の秘密と関係はどうなっていくのか・・・といった話。一気に最後まで持…

  • Be My Last(宇多田ヒカル)、吉井和哉カバー

    吉井和哉の宇多田ヒカル「Be My Last」カバー ロックバンドThe Yellow Monkeyが中学生の頃から好きなのだが、そのボーカル吉井和哉が宇多田ヒカルのBe My Lastのカバーをしている。 Be My Last Universal Music LLC Amazon 宇多田ヒカルは積極的に聞いてはいないながらも、かかっているのを聞いて引き込まれるような名曲が多数あることは知っている。その中でもこの曲は本当に切なくて、吉井和哉経由で知ったのだが、実際歌ってみると歌詞にメロディーが100%ライド(乗っかる)していって、思わず泣いてしまうこともしばしば。 音源も当然いいのだが、ギター…

  • 『山田玲司のヤングサンデー』からの『卒業』

    山田玲司のヤングサンデー 最近ちょくちょく見ているニコニコ動画(youtubeでも観れる)「山田玲司のヤングサンデー」は、漫画家山田玲司を中心にご機嫌なメンバーがじゃれあっている楽しい番組なのだが、山田玲司の教養と語り口のわかりやすさと本質を捉える力、衒学的にならずにエンターテイメントとしても楽しめるバランスがとても良い。メンバーより年上の「兄貴」役で「レイジさん」「レイジさん」と慕われているのだが、見ていても自ずと「レイジさん」と呼びたくなる、サブカル紳士山田玲司から目が離せない。 彼の漫画はあまり読んでないのだが、『アリエネ』は立ち読みで知っていたこともあって、全巻買って読んだが、爽やかか…

  • D. H. ロレンス 『チャタレイ夫人の恋人』

    D. H. ロレンス作の『チャタレイ夫人の恋人』はスキャンダラスな姦通小説として知られ、日本でも裁判沙汰になっている。映画化もされているが、レンタルビデオ屋(最近行っていない)では官能ドラマジャンルに置かれていたりする。なので、これまで完全にイロモノで読まなくてもいいものかと思っていた。だが、私がいうまでもないのだろうが、これはとても真摯な名作である。ロレンスは真摯な作家だと思う。 完訳チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫) 作者:D.H. ロレンス 新潮社 Amazon 映画は一度ネットで落ちているものを途中まで見たことがあった。 チャタレイ夫人の恋人(字幕版) ホリデイ・グレインジャー Ama…

  • 大島弓子『綿の国星』(「山田玲司のヤングサンデー」から)

    漫画家山田玲司のニコニコ動画番組「山田玲司のヤングサンデー」を最近よく見るのだが、少女漫画家の草分けの代表としてよく名前が挙げられる大島弓子。 少女漫画はあまり読んだことがないので、いい機会と思い一冊読んでみた。 綿の国星 1 (花とゆめCOMICS) 作者:大島 弓子 白泉社 Amazon 冒頭は『綿の国星』ではなく、別の読み切りの一本「夏の終わりのト短調」にまずやられた。 両親が海外に出張でいなくなるということで叔母の家に住むことになるというところから始まる。一つ年上の従兄がいる、という設定でこの恋愛話かと思うと、教育ママとなった叔母が、本当の自分の気持ちに従えずにステータスに囚われていっ…

  • バチェラー・ジャパン 地獄の評価ゲーム

    バチェラー・ジャパンを初めて見た(シーズン1)。 陰キャラ非モテ時代が長い私(男性)は、その心性が染み付いているので、この手の番組はなんとなく遠ざけて見ていなかったのだが、酔っ払った勢いでなんとなく見てみたら意外にも面白かった。 バチェラー・ジャパン 予告編 Amazon 面白いと思う点は、選ばれる側の女性が、バチェラーと愛し合う関係にあるのかを考えているのか、単に自分が評価=承認されるのかを考えているのかで結構態度が違う点である。というか後者の方にどんどんみんな傾いていく。 バチェラーの側は(おそらくは)実際に結婚相手となりそうな人を探している。本来は女性側も誰が自分に合うのかを選ぶ側にある…

  • Better Day to Get Away(Brainchild's)

    私が心酔してやまないバンドThe Yellow MonkeyのギタリストのプロジェクトBrainchild'sの一曲。youtubeでたまに見ていたのだが、先日勢いでアルバムも買って聴いている。この曲はエモすぎて、何度聞いても感情が込み上げてくる。 曲のMV途中まで www.youtube.com イントロA:ギターのリフが割とロックのベタな感じで始まって、単音なためにそんなにスピード感がない。リズム隊が入ってくると疾走しだす。 Aメロ:この曲のポイントは何といってもボーカルの哀愁とエモい感じが疾走していくところにある。Aメロでボーカルが渋めに入ってくると、スピード感が増すのがいい。英語と日本…

  • zArAme

    以前Cowpers(〜2002年)について書いた。 callmts.hatenablog.com そのCowpersのボーカル・ギターの竹林現動(ゲンドウ)氏が2015年頃に始めたのがzArAme。Cowpersは昔聞いていて、そして、解散後も折に触れて聞いていて、あんまり音楽を熱心に探して聞かなくなった頃でも時々聞いていた。夜中に酔っ払いながら盛り上がって、ネットを検索したりしていたら、ゲンドウ氏がzArAmeを始めていたことを知って、CDを買ったり、その後ちょくちょくチェックしたり・・・。そんなバンドzArAmeについて。 バンドの音の特徴はパンク・ロックを軸にしながらも多彩。基本的にはゲ…

  • 『コリーニ事件』ドイツ映画(2019年) 良作

    2019年ドイツ映画 日本では2020年劇場公開 良作 collini-movie.com 劇場で2回見た(1回目は途中で尿意が我慢できずに1、2分見逃したのもあって)。 クライマックスの法廷劇の展開のための布石が色々置かれる前半はやや展開が重いが、後半のドラマの展開には引き込まれる。 ↓予告編 www.youtube.com ストーリー(ネタバレしない程度に) 主人公はドイツの弁護士カスパー・ライネン。彼は生粋のドイツ人ではなく、トルコ系。ドイツではトルコ系の人々は移民(かつては「ゲスト労働者」と呼ばれた)とその子孫として多く居住している。典型的イメージとしては、彼らは、ブルーカラーか、ケバ…

  • audibleはしっくりくる。又吉直樹『劇場』を聞いて。映画との比較も。

    最近audibleを使い出した。 観たい映画も読みたい本もたくさんあって、netflixなんかも入って観たいが、時間は限られている。皿を洗いながらなんとなく本を読めたらというのはとても魅力的だった。 子供の頃、寝るときにカセットテープで、児童文学の朗読テープを聞いていた時があった。 芥川の「蜘蛛の糸」とかが入っている『赤い鳥』名作集と、宮沢賢治の童話や『風の又三郎』など少し長いものを聞いていた。大抵一本聞き終わる前に寝てしまうのだが、全部聴き終わって無音になると、なんか変な感じがしながら、少し起きていた。 父親が買ってきていたテープはたまに増えていて、何か性的なニュアンスもある、当時としてはよ…

  • COWPERSについて

    zArAme(ザラメ)とDON KARNAGEのスプリットCD(およびレコード)を先日購入した。 購入が割と変わった形で、レコード保護の段ボールにはボーカル・ゲンドウ氏のサインもあったりして個人的には感動的だったのでそのことについて詳しく書きたいのだが、ゲンドウ氏の前バンドCOWPERSも懐かしくなって聴きだして止まらなくなったので、まずはCowpersについて書きたい。 おそらくこのページに来ている人は、COWPERSにやられている人が多いと思うのだが、zArAmeは聞いたが、COWPERSはまだという人もいるかもしれない。どちらの人も読んでいただけたら幸いです。 筆者はリアルタイムでは解散…

  • 『アングスト 不安』オーストリア映画 シリアルキラー視点の異色映画

    1983年オーストリア映画 紹介動画 angst2020.com 公開当時はオーストリアでは即上映禁止。ヨーロッパ各地でも禁止になり、私財をはたいて制作していた監督は破産という曰く付きの快作。日本では、上映されずレンタルビデオ化はされていたが、ほぼ埋もれていた。 どんな映画か? 怖い? グロい? 実在の殺人犯について、殺人者視点で撮られた映画である。タイトルの「アングスト」は日本語で言う「不安」。普通のスリラーやホラーだと、殺人者や怪物に脅かされる被害者の側の不安を観客は共有するが、この映画は殺人者視点なので、そういう意味での「不安」はない。 このブログの執筆者はホラー映画は怖くて一人で見られ…

  • 内田樹にそそのかされて 『仁義なき戦い』シリーズ一気見

    1 辺境ラジオを聞いて 作業のお供に何か聞こうと思って久々に「辺境ラジオ」を聞いた。 www.mbs1179.com このポッドキャストページのチープな感じが和む作りだが、youtubeの方が自由に止めたりできて利用しやすい。 聞いたのは2020年1月の放送。正月に忠臣蔵をみたくなるという話から、内田樹が忠臣蔵の核にあるのが、大石内蔵助という「ゼロ記号」であるという議論を展開。何を考えているかわからない、内容としてはゼロの存在が、全体を展開させる中心にある構造(みたいな話)が特徴であるという。さらに『仁義なき戦い』も同じで、ここではゼロ記号は金子信雄演じる「山守」がゼロ記号。ほんまかいなと思い…

  • Henry Cow ライヴDVDレヴュー Vevey 1976

    奇妙奇天烈でユーモラスかつマジなプログレッシヴ・ロックバンドHenry CowのライヴDVDを観た。前にも観たことがあった1976年の野外ライヴ。 Vol.10: Vevey 1976 [DVD] アーティスト:Fred Frith,Georgie Born,Lindsay Cooper,Tim Hodgkinson,Chris Cutler 発売日: 2017/03/10 メディア: DVD 以下のボックスにも収録。 The Road Vol.6-10: +DVD アーティスト:Henry Cow 発売日: 2009/02/24 メディア: CD Henry Cow Box Redux: T…

  • 『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』(ファティ・アキン監督作品)。(『ジョーカー』に不満のある人はぜひ観てください by 花沢健吾)

    映画チラシ 久々に映画館に行った。観たのはドイツ映画『フリッツ・ホンカ 屋根裏の殺人鬼』。客は数える程で4人・・・。「楽しい」とは言い難いが、ひたすら観入ってしまう110分だった。映画館を出た後もモヤモヤして色々考えさせられる。観客に間違いなく思考を促す作品であり、その意味で間違いなくいい映画である。 作品情報 『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』 2019年ドイツ映画 原題 „Der Goldene Handschuh“ ファティ・アキン監督 ヨナス・ダスラー、マルガレーテ・ティーゼル、カーチャ・シュトゥット他出演 110分 日本公開2020年 1 映画の紹介(ネタバレなし) フリッツ・ホン…

  • U-Next31日無料を利用して毎日何を観る? 第18夜〜25夜 『都会のアリス』『さすらい』『消えた声が、その名を呼ぶ』『豚小屋』『ニーチェの馬』『愛のむきだし』ほか

    私事で恐縮だが怪我の療養中である。毎日が日曜日ではないが、仕事は抑えめ、移動は最小限、時間はたくさんある。コロナ騒ぎでさらに仕事は控えめになった。 ということでアマゾン・プライムとU-Nextに無料会員登録して色々みていた。U-Nextの方が高いのでこっちを中心に見た。ラインナップも充実。 U-Nextではポイントが必要な映画と見放題映画に分かれている。見放題映画の中から31夜何を見るか考えてみた。現在17夜まで選択済み。本ブログはドイツ映画紹介が趣旨なので、半分以上はドイツ映画を入れるというシバリで選択。 現在まで 1『パーマネント・ヴァケーション』2『コーヒーをめぐる冒険』3『トリコロール…

  • 男の二人旅、音楽最高、モザイク少々。長いが見る価値大。『さすらい』ヴィム・ヴェンダース「ロードムービー3部作」第3作

    『さすらい』1976年、西ドイツ。 ヴィム。ヴェンダース監督、リュディガー・フォーグラー、ハンス・ツィシュラー主演。175分。 さすらい [DVD] 発売日: 2008/01/23 メディア: DVD ヴィム・ヴェンダースの「ロードムービー3部作」の3作目。カンヌ映画祭の批評家連盟賞受賞で批評家からは3作中一番評価が高いと思われる作品。制作費73万800マルク(1976年当時8700万円、現在だと3億5000万円くらい)。1975年の6月から11週間で撮影された。 https://de.wikipedia.org/wiki/Im_Lauf_der_Zeit 本記事では映画の個人的感想とポイント…

  • タイトルから何の映画かわからないのが残念・・・『シャトーブリアンからの手紙』(フォルカー・シュレンドルフ監督作)は地味だけどいい映画。アマゾン・プライム、U-Nextなどで視聴可能

    『シャトーブリアンからの手紙』2011年、フランス・ドイツ映画(テレビ用映画)。ドイツ語原題 „Das Meer am Morgen“(『朝の海』) フォルカー・シュレンドルフ監督、90分。 シャトーブリアンからの手紙 [DVD] 発売日: 2015/05/02 メディア: DVD タイトルとパッケージを見ても、いまいち何の映画かよくわからない感じ。最初は昔のフランス人作家のシャトーブリアンの話かと思ったが、鉤十字なのでナチス関連ということはわかる。監督は『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ。シュレンドルフは文芸系映画に強いので、これもそうかと予測してみた。最初地味でイマイチかと思った…

  • 落ち着きどころがないままの『まわり道』・・・ヴェンダースの「ロード・ムービー3部作」2作目。ナスターシャ・キンスキーの妖しい魅力あり

    『まわり道』1975年。原題 „Falsche Bewegung“ (『間違った動き』) ヴィム・ヴェンダース監督、リュディガー・フォーグラー主演、103分。 まわり道 デジタルニューマスター版 [DVD] 発売日: 2006/04/21 メディア: DVD 作品情報 前後のヴェンダース作品との関連 ヴィム・ヴェンダースの俗にいう「ロードムービー3部作」の2作目。 前作『都会のアリス』とは違ってカラー。カラーだが、全体に灰色の空が多く、雰囲気は前作よりむしろ暗い。音楽もテーマが不穏な響き。 主人公を演じるのは前作同様リュディガー・フォーグラーで、本作では作家志望の青年ヴィルヘルムを演じている。…

  • 主人公が好きになれないが・・・『僕とカミンスキーの旅』 「盲目の天才画家」と伝記作家のロードムービー(未ソフト化 U-Next視聴)

    2015年、ドイツ。原題 „Ich und Kaminski“ (『僕とカミンスキー』) ヴォルフガング・ベッカー監督、ダニエル・ブリュール、イェスパー・クリステンゼン主演。124分。 映画チラシ。 2003年に『グッバイ・レーニン』で母親思いの好青年を演じたダニエル・ブリュールと監督のヴォルフガング・ベッカーが12年ぶりにタッグをくんだことでも話題の映画。 アート・ジャーナリストのツェルナーが盲目の画家マヌエル・カミンスキーの伝記を書こうとしている話。カミンスキー本人に取材の中で、カミンスキーのかつての恋人探しの旅に出ることになる(ロードムービー風になる)。映画冒頭のカミンスキーの軌跡のまと…

  • 少女とのあてどない旅・・・『都会のアリス』 ヴィム・ヴェンダースの「ロード・ムービー三部作」その1

    『都会のアリス』1974年西ドイツ。原題 „Alice in den Städten“ (『いろんな都市をめぐるアリス』) ヴィム・ヴェンダース監督、リュディガー・フォーグラー、イェラ・ロットレンダー主演。107分。 都会のアリス [DVD] 発売日: 2008/01/23 メディア: DVD 1970年代から現在まで活躍を続けるドイツを代表する映画監督ヴェンダース。70年代から80年代にかけて「ニュー・ジャーマン・シネマ」の旗手として、ロードムービーの名作をたくさんつくっている。本記事では彼の最初のロードムービー『都会のアリス』を紹介。ネタバレしても問題ない映画だと思いますが、あまり詳しい内…

  • カルト映画への道半ば? 『アイアン・スカイ』月面ナチス基地映画

    2012年フィンランド、ドイツ、オーストラリア映画。 ティモ・ヴォレンソラ監督、ユーリア・ディーツェ主演。 アイアン・スカイ Blu-ray 発売日: 2014/07/09 メディア: Blu-ray ナチスの残党が月面帝国を作っていたというトンデモな設定。アメリカ大統領選のキャンペーンとしてヒラリー・クリントンを思わせる民主党候補が、宇宙飛行士として黒人を送ったところ、ナチスに囚われる。黒人がもっていたスマホを調達にナチスが地球にやってきて、いろいろあって宇宙戦争になるというストーリー。 バカ映画、知的パロディ、カルト映画など様々な評をネットで見ていたが、実際のところどんなものなのかと見てみ…

  • U-Next31日無料を利用して毎日何を観る? 第13夜〜第17夜 ベルリンやカンヌなど国際映画祭受賞作から。主に家族テーマの映画

    U-Nextではお試し無料会員登録で31日間様々な映画を観ることができます。本ブログでは31日間毎夜見るとしたら何を観るかということで書いてきました。 これまで12夜まで書いてきました。 callmts.hatenablog.com callmts.hatenablog.com 本記事では、第13夜から第17夜まで、U-Nextで視聴可能な、国際映画祭などでの受賞作を紹介します。キーワードとしては家族、ドイツ映画を入れるしばりで選びました。 第13夜 『別離』(アスガー・ファルハーディー監督) イラン 2011年 第61回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞、123分 第14夜 『ありがとうトニ・エル…

  • ドイツにサッカーを伝えたコッホと生徒たちの青春映画 『コッホ先生と僕らの革命』 シナリオに難点もあるが良作

    2011年ドイツ。原題 „der ganz große Traum“ (『とても大きな夢』) ゼバスティアン・グロープラー監督、ダニエル・ブリュール主演。 コッホ先生と僕らの革命 [DVD] 発売日: 2018/11/02 メディア: DVD ドイツに初めてサッカー協会を作ったコンラート・コッホをモティーフにしている。 史実とは結構違うようだがそこはご愛嬌。 以下簡単に作品の紹介 あらすじ 時代は1874年、ドイツが統一国家になって3年後のブラウンシュヴァイク(ドイツ中部の都市)。コンラート・コッホはイギリスから母校に英語教師として呼ばれてやってきた。イギリスの友人と一緒にプレイしたサッカーボ…

  • 輸入過程でジャンルが変わる。ドイツ映画『熟れた快楽』(原題『輝く幸福』)。神を見失った不眠症の主婦とややサイコな脳科学教授の不倫

    『熟れた快楽』2016年ドイツ作品。原題 „Gleißendes Glück“ (『輝く幸福』) 101分。スヴェン・タディッケン監督、マルティナ・ゲデック主演。 マルティナ・ゲデック目当てでU-Nextにあったので見た。 熟れた快楽 [DVD] 発売日: 2017/05/02 メディア: DVD ジャンル違いの輸入 ドイツ映画で日本に入ってくるのはおおまかにいって4種類。 1 ドイツ性を強く帯びた作品。ナチスや収容所などの負の歴史と向き合うものをドイツでは国際的に売ることも視野によくつくっている。 2 フィルム・フェスティヴァルで受賞したり、監督が有名になったりしていて、一定の評価が保証され…

  • U-Next31日無料を利用して毎日何を観る? 第11夜 バカナイトニッポン、第12夜 カルトドイツ

    U-Next31日無料会員登録で毎晩何を見るか? 前回はわりと真面目に選びました。 callmts.hatenablog.com 第11夜は視聴可能期間が迫っているものがあったので、急がねばということで、偉大なるバカ映画を。第12夜はドイツのカルト映画を。 第11夜1本目 『直撃!地獄拳』(石井輝男監督)1974年 第11夜2本目 『直撃!地獄拳 大逆転』(石井輝男監督)1974年 第12夜 『小人の饗宴』(ヴェルナー・ヘルツォーク監督)1970年

  • 『パラサイト』ポン・ジュノ監督の怪獣映画『グエムル−−漢江の怪物』 ウイルスの宿主怪物(?)。『WXIII 機動警察パトレイバー』との比較も交えて。

    最近『パラサイト』が話題のポン・ジュノ監督の2006年の大ヒット怪獣映画(韓国では1200万人以上を動員)。ウイルスものでもあるとの噂を聞き、今更ながら観てみた。 グエムル-漢江の怪物- コレクターズ・エディション [DVD] 発売日: 2007/01/26 メディア: DVD 公開当時は2003年のアニメ、パトレイバーの映画版第三作『WXIII』の怪獣がパクられているのではということで多少論争になって盛り上がったらしい。 本記事では、補助線として『パトレイバー』の比較から『グエムル−−漢江の怪物』のテーマを考察。怪獣の出現状況、怪獣の出自、怪獣退治の主体を比較するとそれぞれの話の特徴が大体把…

  • 『フランス組曲』 占領下のフランス、ドイツ将校と恋に落ちてしまった人妻は・・・

    2014年、イギリス、フランス、ベルギー映画。 ソウル・ディブ監督、ミシェル・ウィリアムズ、マティアス・スーナールツ主演。 フランス組曲 [DVD] 発売日: 2016/06/03 メディア: DVD ナチス・ドイツ占領下もの。特にフランスはレジスタンスものでよく映画になるが、これは住宅に間借りしたドイツ軍の将校と恋に落ちてしまって・・・という話。原作はユダヤ系でフランスで作品を発表していた。アウシュヴィッツで死んでいて、死後『フランス組曲』の原稿が発見され出版。ベストセラーになった。映画は、そのうち一編を映画化。 映画の特徴 話自体は、オーソドックスな「敵なのに好きになってしまったドラマ」。…

  • U-Next31日無料を利用して毎日何を観る? 第1夜〜第10夜 (半分ドイツ映画しばり) アマゾンプライム情報も

    私事で恐縮だが現在怪我の療養中である。毎日が日曜日ではないが、仕事は抑えめ、移動は最小限、時間はたくさんある。色々つらいが、とにかく時間はある。毎日日曜日とまではいかないが、けっこう休みである。 ということでアマゾン・プライムとU-Nextに無料会員登録して色々みている。ラインナップでは高いだけあってU-Nextに軍配。 U-Nextではポイントが必要な映画と見放題映画に分かれている。見放題映画の中から31夜何を見るか考えてみた。 方針としては ・本ブログはドイツ映画中心で書いているので少なくとも半分はドイツ映画 ・どこのレンタル屋に行ってもありそうなものは除外で個人的趣向に沿って ・見ると映…

  • ボールが来ないときのキーパーは・・・『ゴールキーパーの不安』 今見ても新鮮。

    『ゴールキーパーの不安』1972年、西ドイツ。原題 „Die Angst des Tormanns beim Elfmeter“ (ゴール前11メートルのゴールキーパーの不安) ヴィム・ヴェンダース監督、アルトゥーア・ブラウス主演。原作ペーター・ハントケ。 ゴールキーパーの不安 [DVD] 発売日: 1998/09/25 メディア: DVD 本作はペーター・ハントケの同名の小説を映画化したもので、ハントケ自身も脚本に加わった。ちなみにハントケは最近ノーベル文学賞を受賞。小説も再刊。 不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパーの...... 作者:ペーター・ハントケ 発売日: 2020/01/…

  • 全編ワンショット138分映画『ヴィクトリア』 おすすめ作品。ネタバレなし。

    『ヴィクトリア』原題 „Victoria“ 2015年、ドイツ映画。ゼバスティアン・シッパー監督、ライア・コスタ、フレデリック・ラウ主演。 ヴィクトリア [DVD] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2016/09/21 メディア: DVD ワンカット映画といえば『カメラを止めるな』(全編ではないけど)、最近だとワンショットにみえる『1917』も話題。日本だとあまり知名度がないが、2015年のこの『ヴィクトリア』もドイツでは大ヒットで、ドイツ映画賞6部門で受賞など評価も高いです。138分(実質134分くらい)ワンショットですごいです。 ワンショット映画 とりあえず最初からカメラを…

  • 『カスパー・ハウザーの謎』

    『カスパー・ハウザーの謎』 1974年、西ドイツ映画。原題 „Jeder für sich und Gott gegen alle“ (各々は自らのために、そして神はすべての者に反対して) ヴェルナー・ヘルツォーク監督、主演ブルーノ・S。 カスパー・ハウザーの謎 HDリマスター [Blu-ray] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2016/12/07 メディア: Blu-ray 邦題にあるカスパー・ハウザーは実在の孤児で、その生育環境の奇妙さと謎の死が興味をひき、何度も文学作品に取り上げられている。「狼に育てられた子供」と少し似ていて、人間との交流をもたないまま座敷牢で育った。 監督ヘルツ…

  • 魔女狩り VS 醸し出されるフェミニズム ヴィム・ヴェンダース作品ではあまり注目されない『緋文字』(1972年)を見返す。

    1973年、西ドイツ・スペイン映画、原題 „Der Scharlachrote Buchstabe“ (『真紅の文字』)。ヴィム・ヴェンダース監督。ゼンタ・ベルガー主演。 緋文字 デジタルニューマスター版 [DVD] 出版社/メーカー: 東北新社 発売日: 2006/04/21 メディア: DVD 1 映画について 2 映画の難点 3 ヴェンダース版『緋文字』の特色 1926年リリアン・ギッシュ主演版と比較 4 ピューリタン道徳の描き方について 原理主義への批判 5 醸し出されるフェミニズム まとめ 1 映画について アメリカの作家ナサニエル・ホーソーンのゴシック・ロマン『緋文字』を映画化した…

  • オーストリアの異色監督 ウルリヒ・ザイドル『パラダイス 愛』

    2012年、オーストリア映画。ウルリヒ・ザイドル監督作品。 パラダイス:愛 [DVD] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2018/07/04 メディア: DVD ザイドルについて ウルリヒ・ザイドルはオーストリアの映画監督。 「オーストリアの普通の人物についてのドキュメンタリー」のような映画をとる。脚本などはあるのだろうが、普通の人の生活を切り取ったような映画をとる。 生活の一断面を切り取ったようにみえるシーンの連続でザイドルの映画は成り立つ。説明らしい説明はなされず、見るものに何の画面なのか、人物たちはどんな関係なのかを読み取るよう要求する。なので、多少敷居は高い。また、大きな…

  • ナチス映画に必ず出てくる・・・「親衛隊(SS)」とは何か? 簡単まとめ

    ナチス映画を見ていてよく出てくる「親衛隊 SS」。だいたい極悪役だが、SSとはそもそも何なのか、あまり知られていないと思う。というかあまり知らなかったので調べてみた。 『イングロリアス・バスターズ』より、ランダ大佐(SS) 「親衛隊 SS」がやっていること。 SSは映画ではユダヤ人狩りや治安維持と称した虐殺のシーンで出てくる。銃火器や警棒をもっており、軍隊のようでもあり警察のようでもある。SSは実際、軍事にも警察にも関わっており、どちらの機能も果たすヌエのような存在である。黒の制服の極悪非道冷酷無比集団である。 だが、一応ナチス・ドイツも国家であるとしたら、その中でSSはどう位置付けられるだろ…

  • ちょっとズレた人たちと過ごす一日の足跡・・・『コーヒーをめぐる冒険』。モノクロでオシャレ風だが、話はしょっぱくてオススメ。

    2012年、ドイツ映画。原題 „oh boy“ (『なんてこった』『やれやれ』という感じか)。ヤン・オーレ・ゲルスター監督、トム・シリング主演。この記事では簡単に映画について紹介。 コーヒーをめぐる冒険 [DVD] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2015/01/07 メディア: DVD 映画概要 画面はモノクロ、かかる音楽はゆったりしたモダンなジャズ。基本的な雰囲気はオシャレな映画である。よく比べられるのはジム・ジャームッシュ作品。ともかく時間は90分を切っているので、まず気軽に見られる。 一人のやや疲れた青年ニコが、恋人とすれ違いコーヒーを飲み損ねる場面から始まる。この青年…

  • 『顔のないヒトラーたち』・・・アウシュヴィッツ裁判の前史を描く。「死の天使」エンゲレなどのネタや色気もとりいれ、バランスのとれた良作。

    2014年、ドイツ映画。原題 „Im Labyrinth des Schweigens“ (『沈黙の迷宮の中で』) ジュリオ・リッチャレッリ監督、出演:アレクサンダー・フェーリング、アンドレ・シマンスキ、フリーデリーケ・ベヒト。 顔のないヒトラーたち DVD 出版社/メーカー: TCエンタテインメント 発売日: 2016/05/11 メディア: DVD 映画概要 戦後西ドイツ、1963年のフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判が開かれるまでの過程を描く。実在の人物とフィクションの人物がバランスよく組み合わされている。主演は『ゲーテの恋』で若きゲーテを演じたアレクサンダー・フェーリング。 主演のヘ…

  • 人付き合いには不器用な・・・傑作『マーサの幸せレシピ』・・・オススメ映画のポイントを考察。リメイクとの比較あり。

    2001年ドイツ映画。原題 „Bella Martha“(ステキなマルタ) 106分。 ザンドラ・ネッテルベック監督、マルティナ・ゲデック、セルジオ・カステリット主演 マーサの幸せレシピ [DVD] 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア 発売日: 2003/05/23 メディア: DVD これは非常に傑作映画。料理の腕はピカイチだが、客を罵ったりと「問題行動」もあり、人付き合いには不器用なシェフ、マルタの話。邦題では英語風にマーサになっているが、ドイツ語ではマルタである。ドイツ語を知らなくてもマルタもしくはマータと聞こえると思う。なので以下マルタで表記。 マルタ、冒頭のシーン。 内気な…

  • 3歳で成長を止めた子供が見る大人世界・・・『ブリキの太鼓』のエロ・グロ・ナンセンスと歴史の悲哀

    『ブリキの太鼓』(原題 „Die Blechtrommel“)は1979年の西ドイツ・フランス、ポーランド、ユーゴスラビア製作の映画。監督はフォルカー・シュレンドルフ。原作はノーベル賞作家ギュンター・グラス。 ブリキの太鼓 -日本語吹替音声収録コレクターズ版- [Blu-ray] 出版社/メーカー: Happinet 発売日: 2020/02/04 メディア: Blu-ray 2020年2月現在U-Nextで視聴可能。 カンヌ映画祭でパルム・ドール賞を獲った名作であるが、歴史的背景など多少知らないと、ピンとこないかもしれない映画である。多少知っているとのんびりと噛み締められるので、本記事では楽…

  • 『666号室』 666号室の映画監督たち

    1982年、西ドイツ、フランス合作 ヴィム・ヴェンダース監督作品。出演、ゴダール、スピルバーグ、ファスビンダー、ヘルツォーク、アントニオーニ他。 ベルリンのリュミエール/ 666号室 デジタルニューマスター版 [DVD] 出版社/メーカー: 東北新社 発売日: 2006/08/25 メディア: DVD ヴィム・ヴェンダースが1982年のカンヌ映画祭に際して、集まった映画監督たちに「映画とは、失われつつある言語で、死にかけている芸術か?」という問いかけを行い、滞在ホテルの666号室にて各人に10分間以内で話してもらった記録。テレビが普及しきって、映画にわざわざ行く客が減る中での質問であり、各監督…

  • 恋するイケメン・ゲーテ 『ゲーテの恋』 2010年ドイツ映画

    一言で言うと 若いイケメン・ゲーテが、田舎町の美しい娘と恋に落ちるが、泣く泣く諦める話。 『ゲーテの恋』ヒロインのシャルロッテ役:ミリアム・シュタイン。映画より。 作品情報 2010年ドイツ映画、原題 „Goethe!“ 監督:フィリップ・シュテルツェル、出演:アレクサンダー・フェーリング、ミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライプトロイ。 ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~ [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2020/01/08 メディア: DVD 一応伝記映画といえる。ゲーテがベストセラー『若きウェルテルの悩み』を書くにいたった経緯がわかる。ただし、各人物の詳…

  • ドイツ映画『ピエロがお前を嘲笑う』 ハリウッドでリメイク予定。未見の方は是非笑われてください。バラン・ボー・オダー監督作品。オススメ。

    2014年ドイツ映画、『23年の沈黙』のバラン・ボー・オダー監督商業映画第二作目。 原題は„Who am I - Kein System ist sicher“(ワタシハダレ−−安全なシステムはない) 邦題は劇中のセリフから。 ピエロがお前を嘲笑う [Blu-ray] 出版社/メーカー: TCエンタテインメント 発売日: 2018/06/27 メディア: Blu-ray オダー監督は1978年生まれの比較的若い監督でスイス出身、ドイツ育ち。ミュンヒェンの映画学校卒業後、『23年の沈黙』で注目され、本作が出世作。ドイツで映画賞を受賞しワーナー・ブラザーズがリメイクの権利を買い取った。未見の方はリ…

  • 心理劇としては弱いが・・・音、構図、演技の素晴らしさは見る価値大! 『23年の沈黙』 バラン・ボー・オダー監督作品

    2010年、ドイツ映画 バラン・ボー・オダー監督、出演:ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、ウルリク・トムセン、ゼバスティアン・ブロームベルク 23年の沈黙 [DVD] 出版社/メーカー: オンリー・ハーツ 発売日: 2011/05/27 メディア: DVD ストーリー 「13歳の少女が失踪し、麦畑で自転車が発見された。23年前の同じ日、同じ場所で、自転車に乗った11歳の少女ピアが暴行され殺されていた。事件は未解決のままだったが、元警官クリ山は、同一犯の仕業と確信して捜査に乗り出す。一方、23年前ピアが殺害されるのを傍観していたティモは、町を逃れ名前を変え、すべてを封印して幸せな家庭を築いていた…

  • 今更ながら 『ヒトラー 最期の12日間』人物整理プラスアルファ

    2004年ドイツ映画 原題 „Der Untergang“ (『没落』) オリヴァー・ヒルシュピーゲル監督、ブルーノ・ガンツ主演 ヒトラー 最期の12日間 [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2015/07/02 メディア: DVD ユーチューブでいじられまくってることでも有名なヒトラーのわめくシーンでおなじみのこの映画について書きます。『帰ってきたヒトラー』や『アイアン・スカイ』でもパロディがみられます。 本記事では、主に映画の重要登場人物について整理しています。莫大な数の人物が出てきますが、映画内では最低限の説明しかされないので、混乱する視聴者も多いと思います。見る前、見た後…

  • 前記事誤り訂正。

    前記事をみていただいた方へ。大変申し訳ありません。 前の記事でポランスキーをめぐるニュースを紹介しましたが、重大な間違いがありました。「首脳部がポランスキーへの映画賞取り消しを予告」ではなく、「首脳部が退陣を予告」でした。 またツェザール賞ではなく「セザール賞」の表記が適切でした。 謹んでお詫びいたします。 以後特にニュースなどについては誤りのないよう気をつけて紹介いたします。今後ともよろしく御願いいたします。 メナーデ

  • ドイツから映画ニュース 2020年2月14日付 ロマン・ポランスキー、アルメニア虐殺

    ロマン・ポランスキーの「フランス映画界のアカデミー賞」(セザール賞)をめぐって。以下引用 「ポランスキーをめぐる論争の後で:ツェザール・アカデミー首脳部が退陣 映画監督ロマン・ポランスキーをめぐる論争を背景に、フランス・セザール映画賞を授与しているアカデミー指導部が退陣することを予告した。ポランスキーの『私は弾劾する』が、ツェザール賞候補にノミネートしていた。すでに11月のプレミア上映の際に抗議が起こっていた。ポーランド・フランスで活動するポランスキー監督については新たなレイプ非難を受けて、多くの女性が映画館の入り口をブロックしていた。」 引用元 Deutsche Welle (14. 2. …

  • 無垢なナチス少女が汚れた世界へ向ける陰鬱なまなざし 『さよならアドルフ』 原題 Lore

    『さよならアドルフ』 2012年、オーストラリア、ドイツ映画、原題 „Lore“(『ローレ』(主人公の名前)) ケイト・ショートランド監督(オーストラリア人)、サスキア・ローゼンタール主演 さよなら、アドルフ [DVD] 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2014/08/08 メディア: DVD イギリス人作家レイチェル・シーファー(オーストラリア人、ドイツ人の間に生まれた)の小説集『暗闇の中で』の一編「ローレ」を、オーストラリアの監督ケイト・ショートランドが映画化。アマゾンプライムビデオで視聴可能。 あらすじ(中盤まで) 第二次大戦末期ドイツ敗戦直前から映画ははじ…

  • ヒトラー暗殺を企てた家具職人の人生 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』

    『ヒトラー暗殺、13分の誤算』 2015年ドイツ映画 原題 „Elser“ オリヴァー・シュピーゲル監督 ヒトラー暗殺、13分の誤算 [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2017/04/21 メディア: DVD 第二次大戦開戦初期のヒトラー暗殺未遂事件の犯人=反ナチ闘士ゲオルク・エルザーについての映画。 暗殺事件前後の背景 1939年、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻し、ソ連との協定もあってポーランド西部を占領した。ヒトラーは軍需産業に多大な財政投資を行い、完全雇用を達成していたが、この人々が無謀な戦争へと総動員されるとしたら、とんでもないことになる・・・この映画の主人公である家…

  • UFO番組的ヒトラー・ハンティング 『ヒトラーを追跡せよ 浮かび上がった亡命説』

    『ヒトラーを追跡せよ』2015年アメリカ 原題 “Hunting Hitler“ ヒストリーチャンネルで放映 現在アマゾンプライムビデオで視聴可能 www.amazon.co.jp アマゾンプライムでの番組紹介 2014年にFBIが機密解除した700ページ以上の文書。そこには、第二次世界大戦のナチス政権崩壊後もアドルフ・ヒトラーが生存し続け、南米へ逃亡した可能性があることが記されている。新たに発見された手がかりや最新技術を駆使して、ナチス帝国崩壊後のヒトラーの足取りを辿ってゆく。 捜査チームの中心:ボブ・ベーア 番組ホームページより https://prtimes.jp/main/html/r…

  • 女同士の愛憎舞台が示す普遍性 『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』 1972年、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品

    1972年、西ドイツ映画 原題 „Die bitteren Tränen der Petra von Kant“ ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督、マーギット・カーステンゼン、ハンナ・シグラ主演 ペトラ・フォン・カントの苦い涙【DVD】 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2018/12/22 メディア: DVD ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ファスビンダーは自身同性愛者だったが、彼が同性愛を初めて扱った作品。 ファスビンダーはもともと劇団も率いて戯曲を上演しており、『ペトラ・フォン・カント』も舞台が先にあった。 映画もほぼ全編を通じて、主人公のペトラの家で撮られる。 登場人…

  • ドイツ映画『犯罪 幸運』 二人の恋人の「法外」の「幸福」 ドーリス・デリエ監督作品

    『犯罪「幸運」』 2012年ドイツ映画 原題 „Glück“ (幸運) 監督ドーリス・デリエ、主演アルバ・ローアバハー、ヴィンツェンツ・キーファー 犯罪「幸運」(字幕版) メディア: Prime Video パッケージを見て、ドイツ映画ということで昔レンタルで借りて見た。今回アマゾン・プライムで見返してみた。監督は日本通としても有名なドーリス・デリエ。樹木希林の遺作となった『命短し恋せよ乙女』を撮ったことでも知られる。 原作はフェルディナンド・フォン・シーラッハの小説集『犯罪』中の「幸運」。 シーラッハは弁護士が本業で『犯罪』で作家デビュー。日本でもこれが知られていたため、タイトルに「犯罪」が…

  • デンマーク・ドイツ映画『ヒトラーの忘れもの』−−ナチス・ドイツの残した地雷を処理する少年兵たち 「人道的」というよりも「外交的」な名作

    『ヒトラーの忘れもの』 2015年、デンマーク・ドイツ映画 ドイツ語タイトル „Unter dem Sand-- Das Versprechen der Freiheit“ (砂の下−−自由の約束) マーティン・ツァントヴィレト監督、ローランド・メラー主演 (デンマークの監督、俳優) ヒトラーの忘れもの [DVD] 出版社/メーカー: Happinet 発売日: 2017/07/04 メディア: DVD 邦題の「忘れもの」はナチス・ドイツが連合軍上陸に備えてデンマークの海岸に設置した莫大な数の地雷のこと。 背景がわからないとやや理解が難しいところがあるかもしれないが、どの観客にも強い印象を残し…

  • オススメ作品 ドイツ映画『希望の灯り』 スーパーマーケットの従業員たちが、二時間観客の目を引き付ける

    2018年、ドイツ映画。 原題は„In den Gängen“(通路にて) 原作は旧東ドイツ出身のクレメンス・マイヤーの短編小説「通路にて」 監督トーマス・シュトゥーバー、主演フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒューラー 希望の灯り(字幕版) 発売日: 2019/10/02 メディア: Prime Video 旧東ドイツに位置するライプツィヒ近郊のスーパーマーケットが舞台。在庫管理係の新人で無口なクリスティアンを中心に、教育係のブルーノ、菓子部門勤務のマリオンらとの間に起こる交流を淡々と描いていく。 マリオン役は『ありがとうトニ・エルドマン』主演のザンドラ・ヒュラー出演 主演のフランツ・ロゴフス…

  • 「独裁」の実験 『ザ・ウェイヴ』(ドイツ映画) スリラー好きでない人にむしろオススメ

    2008年ドイツ映画 原題„Die Welle“ (波) ウェイヴ(字幕版) 発売日: 2015/11/15 メディア: Prime Video 「サード・ウェイヴ実験」をモティーフにしたジュニア小説が原作。「サード・ウェイヴ実験」は、ハイ・スクールの世界史の教師が、「なぜドイツ人がナチズムを受け入れることができたのか」を生徒に行った実験。1971年のスタンフォード囚人実験と並んで、その筋では有名な話である。原作は翻訳あり。

  • ゲイの「狂王」の「憧れ」の美しさ 『ルートヴィヒ』 ドイツ名物ノイシュヴアンシュタイン城へ行く前に見る映画

    原題 „Ludwig II.“ ルートヴィヒ2世 2012年、ドイツ映画 ルートヴィヒ(字幕版) 発売日: 2017/07/07 メディア: Prime Video ノイシュヴァンシュタイン城の王 バイエルン王ルートヴィヒ2世。ディズニーランド城のモデルとして有名なドイツの観光名所ノイシュヴァンシュタイン城を建てた。 ルートヴィヒ2世(22歳頃の肖像画) 時代は19世紀後半、ドイツが近代国家としての統一に向かい、民主主義の動きまで現れるへ中で、彼の王位は時代に取り残された権威になってしまう。セクシャリティーの問題もあって彼の結婚は不幸であり、個人としても王としても望み叶わず、芸術の世界に理想を…

  • ヘンリー・カウ50周年ボックス『 REDUX: THE COMPLETE HENRY COW BOX ~』(50th Anniversary)は買いか否か?

    本記事では、ヘンリー・カウの結成50周年記念で発売されたボックス・セットについて簡単に紹介したいと思います。少ないながらも、同じく気になっている人の購入の目安になればと思います。 Henry Cow Box Redux: The Complete Henry Cow アーティスト:Henry Cow 出版社/メーカー: Rer Megacorp 発売日: 2019/12/13 メディア: CD

  • バカ息子を甘やかすと・・・『我が闘争ーー若き日のアドルフ・ヒトラー』(ドイツ映画)

    2009年ドイツ映画 原題„Mein Kampf“ ハプスブルク帝国のハンガリー出身でイギリスで活躍したジョージ・タボリによる劇作品『我が闘争』の映画化。原作とは大筋では一緒だが、演出などは異なるようである。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョージ・タボリ アマゾン・プライムで視聴可能。レビューは不評。 我が闘争 若き日のアドルフ・ヒトラー(字幕版) 発売日: 2016/12/22 メディア: Prime Video ちなみにドイツ本国でも不評。 いい部分を探しながら見てみた。

  • 『ありがとうトニ・エルドマン』

    2016年ドイツ映画 原題 Toni Erdmann 評価が分かれるだろう作品だが、個人的には久々の衝撃作で星5つ。多少ネタバレあります。 ありがとう、トニ・エルドマン(字幕版) 発売日: 2018/01/06 メディア: Prime Video 笑えない話 妻とも別れて暮らしている父。荷物を届けに来た宅配屋に、ちょっとブラックなジョークを「かます」シーンから映画は始まる。予備知識なしで見たので、最初何が起こっているのかわからなかったが、しばらく見ていると、このおっさんは始終「笑えないジョーク」をかましつづける人間なのだということがわかってくる。 なのでこれは基本的に笑えない映画である。またあ…

  • 黒人活動家とKKKメンバーの闘い 米映画『ベスト・オブ・エネミーズ』(日本劇場未上映作品)

    今回紹介するのは日本劇場未公開映画『ベスト・オブ・エネミーズ』 ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~ (字幕版) 発売日: 2019/12/04 メディア: Prime Video Amazon Primeでレンタル可能です。 アメリカでも2019年公開。飛行機でみました。実話ベースの良作。 舞台は1971年のアメリカ、ノースカロライナ州で当時黒人、白人の隔離政策がとられていました。 主人公は二人、黒人の公民権運動を進める黒人女性と、KKK会員の白人男性。 黒人が通う学校が火事になったことから、白人の学校への転校が議論される中で二人が次第に議論を交わしていく。 Wikipediaを見ると…

  • アイヒマンを逃さなかった検事フリッツ・バウアー ドイツ映画2本

    本記事で紹介するのは次の二本。 アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(字幕版) 発売日: 2017/07/05 メディア: Prime Video 2015年、劇場上映作 105分 検事フリッツ・バウアー ナチスを追い詰めた男 メディア: Prime Video 2016年のテレビ・ドラマ 93分 どちらもパッケージは地味な感じですが、とてもスリリングな政治的ドラマです。第二次大戦後のドイツが舞台です。どちらもamazon prime会員だと無料で見れます。 面白い作品なのですが、多少予備知識がないと十分に楽しめないかもしれません。ということでおせっかいながら、簡単な解説をネタバレしな…

  • 完璧なモラハラ夫 ファスビンダー『マルタ』

    『マルタ』原題も„Martha“ 主人公の名前である。苗字ではない。 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品で劇場上映ではなくテレビ映画(1974年) 演じるのはMargit Carstensen カールステンセンはファスビンダー作品の常連で大体酷い目に遭わされる(涙) 象徴的なのだが、父とローマを旅行中に、その優しい父が急死して、マルタが狼狽する中で財布まで盗まれる。楽しい旅行からの全くの無力。 大使館にかけこんでなんとかしようとする中、「運命の男性」とすれ違う。遭遇のシーンは必見。 役者はこれまた常連 Kahlheinz Böhm いつも「搾取者」のナイスミドル なんとか故郷へ戻った…

  • 「ゲイ映画」、「ゲイ表現」の魅力

    ブログを書き始めて、書きたい映画の多くがゲイ・レズビアンなど性的マイノリティーがテーマに組み込まれた映画であることにあらためて気づく。 アナザー・カントリー HDニューマスター版 [DVD] 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D) 発売日: 2010/01/29 メディア: DVD イギリスの名門校を舞台にした青春劇。ノブレス・オブリージュでレーニンを読む青年への恋からの「別の国」 。 自由の代償 [DVD] 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2007/11/22 メディア: DVD ニュー・ジャーマン・シネマの代表監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーは自身がゲイで、…

  • ヘンリー・カウとの出会い

    Henry Cowはイギリスのプログレ、ジャズロック、インプロ、カンタベリー系バンド。 フレッド・フリスやクリス・カトラー在籍のLegEndバンド。 ファーストアルバムが靴下のジャケットのLegEnd Legend by Henry Cow アーティスト:Henry Cow 出版社/メーカー: East Side Digital メディア: CD アナーキストっぽいシリアスな思想と洒落の融合。ジャズ・ロックとインプロに謎のユーモアをまぶした奇妙なサウンド。 個人的な想い出。 大学時代、軽音楽部に入ってドラムを叩いていた。軽音にはいかなくなったが、バンドではドラムを叩いていて、古今のロック音楽を…

  • 少女たちの秘密の儀式と人生の選択 イスラエル・フランス映画『秘密の祈り』

    2007年、イスラエル・フランス合作。ユダヤ教徒とフェミニズムという興味深いテーマにセクシャル・マイノリティーの問題も混交した青春映画。日本では2011年にアジアクィア映画祭にて上映。日本ではソフト化はされていなくて、なぜかイタリア版がアマゾンに出ています。 日本版のソフト化希望! The Secrets [Italian Edition] 出版社/メーカー: Medusa Video メディア: DVD 公式予告編。 The Secrets - Official Trailer この映画はネットで流されてたのを英語字幕で見たので細部はけっこう怪しいですが、演技と演出が良くてわかりやすいので大…

  • 女王蜂『HALF』

    芸人のハライチのラジオ(TBSラジオ『ハライチのターン』)を愛聴しているが、オープニング曲がかっこいい。岩井の選曲とのことで、岩井がかける曲は少なからず注目していた。 そこに前から名前は気になっていたバンド女王蜂の『Half』がかかった。たしか『モテキ』に出ていたバンドである。 『HALF』の衝撃にyoutubeを開く。 女王蜂 『HALF』Official MV HALF(Full Edition) 発売日: 2018/04/25 メディア: MP3 ダウンロード

  • 「テロリスト」になった女性の波乱の半生 ドイツ映画『レジェンド・オブ・リタ』

    西ドイツの実在のテロリスト女性をモティーフにしたフィクション。 レジェンド・オブ・リタ 発売日: 2019/10/09 メディア: Prime Video 『ブリキの太鼓』で有名なフォルカー・シュレンドルフ監督作品。 原題はDie Stille nach dem Schuss(銃撃の後の静寂) 仲間の奪還作戦に関わって、東ドイツに逃亡することになったリタの東での暮らしが描かれる。「テロリスト」になってしまった女性ではあるが、知的で魅力的、職場の同僚女性との恋愛関係などが情熱的に描かれる。 いつバレるかでもっと不安などに焦点をあてる作りもあっただろうが、観客が目にするのは、そういった部分は面にだ…

  • 初老ドイツ人女性とアラブ系移民の苦悩と愛 ドイツ映画『不安は魂を食い尽くす』

    ニュー・ジャーマン・シネマの代表ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品。初老のドイツ人女性とアラブ系移民(おそらく出稼ぎ労働者か)の恋と葛藤を描く。原題„Angst essen Seele auf“は、恋人のアラブ人がアラブの諺を話す場面から(人称変化をさせないで„essen“と言ったのをドイツ女性が言い直す)。 映画全体の趣旨とも合致する秀逸なタイトル。 不安は魂を食いつくす【DVD】 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2018/12/22 メディア: DVD ファスビンダーの作品は小難しげな「アート映画」もある。ドイツ人に「ファスビンダーが好き」と言うと、「ああいうのはわけ…

  • リリー・フランキーのお尻 日本映画『万引き家族』

    前から見たかったが、無料会員になったアマゾンprimeで視聴。 最初「ながら見」をしていて入っていけなかったが、風俗シーンで目を奪われてもっかいはじめから見直し、号泣。 万引き家族 メディア: Prime Video

  • 大江健三郎『万延元年のフットボール』、村上春樹『1973年のピンボール』

    『万延元年のフットボール』はノーベル賞作家大江健三郎の名作。 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) 作者:大江 健三郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1988/04/04 メディア: 文庫 『1973年のピンボール』はノーベル賞受賞が期待されながらも未だ取れない村上春樹の初期作。 1973年のピンボール (講談社文庫) 作者:村上 春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2004/11/16 メディア: 文庫 どちらも好きである。村上春樹に関しては、「鼠」が出てくる初期作が好きで、『ねじまき鳥』以降は読み通したことがほとんどない。大江健三郎は少ししか読んでいないが、万延元年に…

  • 竹熊健太郎『私とハルマゲドン』

    正月に実家に帰って、昔買ったまま読まないでいたのを読んだ。 オウム真理教にはまった若者を見て「他人事とは思えない」ということで書いた内容。 オウムについての考察と、個人史にわかれる。オウムの考察はたぶんもっとすぐれたものがあると思うが、個人史からの実感が面白い。というか、祖父のエピソードやエロ本編集者になるまでの経緯、エロ本時代のちょっとしたメンターとの関係の考察がそれ自体面白い。 私とハルマゲドン (ちくま文庫) 作者:竹熊 健太郎 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2000/07 メディア: 文庫 解説は宮台真司と並んで著名な社会学者の大澤真幸。

  • ドイツ映画『5パーセントの奇跡』 「多様性」肯定戦略

    2017年ドイツ映画。実在の人物−−−−視覚の多くを失ってしまったが、努力もあって成功した−−−−の話をもとにした映画。酒を飲みながら見たせいもあるかもしれないが涙してしまった。 5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~(字幕版) 発売日: 2018/07/18 メディア: Prime Video 主人公の諦めなさとそれを支える妹をはじめとした家族、チンピラな同僚の支援が暖かい。アマゾンレビューをざっとみるとリアリズム的観点からはこのあたりが「迷惑かけてる」的になっていただけないようだが、障害があったりハンディがある人も支える社会が望ましいというのが映画のメッセージ。私も、さすがに公式見…

  • 二つのヒロイン『ドア・ロック』『スマホを落としただけなのに』 おまけに『82年生まれ、キム・ジヨン』とフェミニズム

    『ドア・ロック』は2018年の韓国映画、『スマホを落としただけなのに』も同じく2018年。どっちもスリリングで面白い。 ドアロック [DVD] 出版社/メーカー: アルバトロス 発売日: 2020/02/05 メディア: DVD スマホを落としただけなのに DVD 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2019/04/17 メディア: DVD どちらも「サイコ」な男のやばいストーキングに恐怖するスリラーでテーマ的に似ている。『スマホを』は主人公自身の秘密もあったりして観点が広がってしまうので、主人公の「サイコ野郎」に対する行為だけにしぼって比較すると、『ドアロック』では自ら

  • ナチ将校になりすます兵士の悪魔化(実話) ドイツ映画『小さな独裁者』

    ナチス・ドイツもの 「ヒトラーの・・・」といったタイトルの映画が毎年のように日本でも現れる。『ヒトラーの贋札』『ヒトラーの忘れ物』などはどちらもヒトラーは一切出てこない。これらは映画自体の出来は良い(特に『忘れ物』)ので、タイトルのつけ方になんだかなあと思うが、いずれにせよ、ナチスものは常に人目を引くのだろう。しかし、ドイツ映画を見るようにしている筆者としては、ヒトラーおよびナチスものはちょっと食傷気味だった。本作『ちいさな独裁者』についても全然期待もせずにみた。しかし、とんでもない話で、ナチスもの無尽蔵ともいえるネタの多さにあらためて驚愕。 原題は„der Hauptmann“(大尉) 第二…

  • James Iha: Let it come down

    スマパン(The Smashing Pumpkins)のドラマーであるジミー・チェンバレンについては前に書いたが、今回はギタリストのジェイムズ・イハについて。 『メロンコリー』収録の名曲 „take me down“ The Smashing Pumpkins - Take Me Down 祖父が沖縄出身で日系3世(日本名では井葉吉伸)なのもあって親近感からか日本で人気があるらしい。服のブランドも立ち上げてます。学生時代に飲み会かなんかで初めてあった女の子が、スマパンの話になったわけでもなかったと思うけど、ジェイムズにこの前ライブかなんかで会ったといってめっちゃ喜んでいたのを偶然聞いて、「やは…

  • SlintのSpiderland ドキュメンタリーDVD

    今日はアメリカのバンドSlintについて 大学生の頃色々聴き漁る中で、当時好きだったモグワイと近いスローコア、サッドコアみたいなくくりの中での有名バンドだった。 Tweez 発売日: 1989/01/01 メディア: MP3 ダウンロード ファーストアルバムはかのスティーヴ・アルビニの録音。ギターがビービー言う音と、跳ねるリズムがカッコイイ一曲目の印象が強力なアルバム。ボーカルはつぶやき、しゃべり、叫び。ウィキペディアでmath rockとされているが、トリッキーな感じや変拍子の組み合わせ感はなくて、フレーズ主体でリズムが変わる感じ。曲はスッと入ってきます。 個人的に愛聴したのが次のアルバム。…

  • ドイツ映画『50年後のボクたちは』 変な奴と友達になることのかけがえのなさ

    アマゾンプライムのスターチャンネルで視聴。 ドイツのベストセラー『チック Tschick』の映画化、原題もTscick ちょっと「サイコ」な主人公が、もっとエキセントリックな転校生チック(ロシアからの転校生でアジア系)と友達になって一夏車でぶっ飛んだ経験をするロード・ムーヴィー。変な奴と一緒にいることから生じた冒険、初恋、反逆、そして少しの自立。 50年後のボクたちは (字幕版) 発売日: 2018/04/03 メディア: Prime Video なんとなく見たあとで気づいたが監督はファティ・アキン(トルコ系のドイツ人監督、若い頃から活躍してて最近ではベテラン名監督)。 ファティ・アキンはこれ…

  • ジミー・チェンバレン

    Smashing Pumpkins(スマパン)について昨日書いたが、今日はそのドラマー、Jimmy Chaimberlinジミー・チェンバレンについても少し。 スマパンは稀有なバランスの上に成り立っていたバンドである。個人的な印象で簡単にまとめると・・・ ビリー・コーガン。ほとんどの曲をつくり、ボーカルとギターを担当。ハードなギターソロなども、もう一人のギタリスト、ジェイムズ・イハではなく、ビリーが担当。 ジェイムズ・イハ。沖縄出身の祖父母をもつ日系アメリカ人であるイハはアルバムごとに1、2曲を作る他、ギターはリフやエフェクト的な部分を担当。かといって単なるオマケではなく、ルックス的にも、音楽…

  • スマパンとイエモン、1979の思い出

    スマッシング・パンプキンズ、日本での略称スマパン。 90年代に一世を風靡するも、ドラマーのジミーがドラッグで解雇になったあたりからボロボロな感じになって2000年に解散。再結成してはたびたびメンバーを変えながら、現在も活躍中。 ザ・イエロー・モンキー、略称イエモン。 同じく日本で90年代中頃にブレイクし、98年の『パンチドランカー』あたりからファン以外での人気が下火に。イケてる感がなくなって、バンド(主にボーカルの吉井和哉)はそれにもがきながら解散。こちらも最近再結成して、活躍中。 この二つをつなぐものは直接的にはあまりないが、おそらくルーツとなる音楽がけっこう近い。イエモンの方はスマパンへの…

  • このブログについて

    こんにちは。このブログは筆者が観たもの、聞いたもの、読んだものについての感想、備忘録です。趣味の範囲で肩肘はらずに書いていきます。はじめたきっかけは足の骨折です。思うように動けないのはしんどい。 趣味 ロック音楽を聴く、ドラムを叩く、漫画を読む、水泳、自転車で街をぶらぶら 映画を見る(日本映画、ドイツ映画が多い)、料理、体癖論(野口整体) 好きなドイツ映画10選 『フィッツカラルド』『自由の代償』『パラダイス 愛』『ドッグ・デイズ』『インポート・エクスポート』『ありがとうトニ・エルドマン』『不安は魂を食い尽くす』『名もなきアフリカの地で』『ファニー・ゲーム』『バーダー・マインホフ』 日本映画 …

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