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とりま文系歯科医師が自己投資。 https://booklovers45.hatenablog.jp/

読書好きな一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。 読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設しました。 好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。

幻想スナフキン
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2020/01/09

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  • 読書感想:『忙しさ幻想』

    厚労省のデータでは、1973年から2023年の50年間で、労働者一人あたりの年間総実労働時間は約400時間も減少している。 にもかかわらず、現代人はますます忙しさを感じています。 なぜ、人間は、『忙しさ』を感じるのか、その『忙しさ』との向き合い方を考える、本になります。 忙しさ幻想 作者:豊留 菜瑞 サンマーク出版 Amazon 『忙しさ』に関しては、コロンビアビジネススクールのシルビア・ベレッサー准教授が2016年に発表した論文によると、『忙しさこそが見せびらかしの対象』であり、これはつまり、その人に対する需要が高いということを示す指標になると言います。 また、人々が忙しさを歓迎するもう一つ…

  • 読書感想:『灰の劇場』

    一緒に暮らしていた女性二人が自殺を図ったという、何気ない三面記事を、ずっと心の中の『棘』として刺さり続けていた、小説家デビューした主人公。 数十年後、またその記事を目にした主人公は、それをもとに脚本を描こうとする。 灰の劇場 (河出文庫) 作者:恩田陸 河出書房新社 Amazon 筆者の恩田陸氏も作中で書いている通り、この記事は、実際に目にした1994年9月25日の朝日新聞の三面記事として実在しているもの。 フィクションの部分と、ノンフィクションの部分が交互に続き、最終的にそれらが絡み合って一つの作品として構成されている。 ―むろん、今現実に起きていることを考えても、本当に「何が起きていたのか…

  • 読書感想:『夜の道標』

    ―優しく、思いやりがあって、けれど自分が想像できる範囲内で思いやることの乱暴さに気づくほどには優しくない。 本当に相手を思いやっているわけではなく、相手を思いやる自分でいるために言葉を投げるから、投げかけた先のことは想像していない。(P.89) 今回読んだ小説は、読了後、胸が締め付けられるような小説でした。 今回紹介する小説は、芦沢央氏著 『夜の道標』 です。 夜の道標 (中公文庫) 作者:芦沢央 中央公論新社 Amazon 1996年、横浜市内の個人塾で、塾の経営者が何者かによって殺害されました。 被疑者と思われる元教え子は、2年経過してもその足取りを掴めないでいる。 殺人犯を匿う女性、窓際…

  • 読書感想:『男子の本懐』

    以前から、読みたいなと思っていた経済小説を読みました。 今回ご紹介する小説は、城山三郎氏著 『男子の本懐』 という本です。 男子の本懐(新潮文庫) 作者:城山三郎 新潮社 Amazon 尊敬する政治家の一人である、金輸出解禁に生命をかけた浜口雄幸総理と、それを支えた井上準之助大蔵相を主人公にした経済小説です。 第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、浜口総理と井上蔵相は、まさに決死の覚悟で金本位制を断行。 金解禁は、当時すでにほとんどが金本位制に復帰している世界経済に、日本も仲間入りすることであり、経済面での国際協調の実現になる。 また、金解禁に先立って、英、米などから信用供与を得るという…

  • 読書感想:『忘れられた巨人』

    最近小説を読む時間が絶望的に減少している気がします。 なんとか時間を見つけて本を読みたいと思うのですが、電車の中でも結局仕事で疲れちゃって、ウトウトしてしまう。 電車の中でも、本を読んでいる人がかなり少なくなった気がします。 間が空いたとしても、こうして言葉をアウトプットする習慣は何としても継続していきたいと思っています。 本日は、何とか時間をかけて読み終えた、カズオ・イシグロ氏の作品、 『忘れられた巨人』 の感想を書きたいと思います。 忘れられた巨人 カズオ イシグロ ハヤカワ文庫 初版 ノーブランド品 Amazon booklovers45.hatenablog.jp 舞台は中世におけるブ…

  • 読書感想:『楊令伝』第十四章、第十五章(最終章)

    自分が現在継続して読み続けている、北方謙三氏の『楊令伝』を、ついに読み終えました。 北方謙三 文庫版 楊令伝 完結BOX 全15巻+読本 16冊セット (集英社文庫) 作者:北方 謙三 集英社 Amazon 『楊令伝』は前作『水滸伝』に引き続き、『岳飛伝』へと繋がる、『大水滸伝』シリーズの一つです。 自分が大学生の時から、読み始めた『水滸伝』 途中のブランクを経ながら、『水滸伝』、『楊令伝』と読み終えました。 学生から社会人になって、登場人物に対する見方が変わっていることに、自分も思いを馳せています。 人生のバイブルとなった『大水滸伝』シリーズ。 そうそう簡単に表現できないくらいの凝縮された大…

  • 読書感想『平等について、いま話したいこと』

    欧米を代表する超有名な知識人、マイケル・サンデル氏とトマ・ピケティ氏。その2人の対談本だということで、書店ですぐに目を惹かれ購入しました。 平等について、いま話したいこと 作者:トマ ピケティ,マイケル サンデル 早川書房 Amazon 本書は、日本だけでなく、世界でも大きな議論のテーマとなっている『不平等』について、2024年5月20日にパリ経済学校で対談した内容を編集したもの。 時には両者において熱く激論が交わされ、社会制度の在り方について熟考させる内容でありました。 特に印象深かったのは、ドナルド・トランプや、マリーヌ・ルペンのような右派ポピュリストに対して、左派が行ってきた行動を痛烈に…

  • 読書感想:『ペッパーズ・ゴースト』

    ―物事の受け取り方は人によって違うし、何通りもある。 本年もどうぞよろしくお願いします。マイペースに読書を続けていきたいと思います。 今年最初の読書感想は、昔から読ませていただいている、伊坂幸太郎氏の作品、 『ペッパーズ・ゴースト』 という作品。 ペッパーズ・ゴースト (朝日文庫) 作者:伊坂 幸太郎 朝日新聞出版 Amazon 主人公の中学国語教師の壇先生は、くしゃみや会食などで誰かの飛沫を浴びると、その人の翌日の未来を見ることができる。 それと並行して、猫を虐待するネット配信を支援していた人たちを特定し、その人々に対して罰を与えるネコジゴ・ハンター。 小説を読み進んでいくうちにそれぞれのス…

  • 読書感想:『神様の暇つぶし』

    ―みんな自分の恋愛だけがきれいなんだよ。 父親を事故で無くした大学生の女子が、父親よりも年上の写真家の男と出逢い、時間を共にする中で、自分の中で想定もしていなかった感情が込み上げ、次第に惹かれていくお話。 神様の暇つぶし (文春文庫) 作者:千早 茜 文藝春秋 Amazon 正直、恋愛ものの小説は好んで読むほうではないのですが、この筆者千早茜氏の小説は、読んでいて気恥ずかしくなるような感情にはならなさそうだったのと、情景描写に食事が描かれていることが多い。 食べることが好きな自分としては、なんか面白そうだなあと書店で思い、興味を惹かれ購入しました。 最終的に読み終わった後の感想としては、幾つか…

  • 読書感想『大人の流儀12 またどこかで』

    思春期の14歳中2の時、伊集院静氏の『海峡三部作』シリーズを読み、生きることの困難さ、そしてそれでもめげない人間の逞しさを学びました。 思春期に読んだ本の中の一冊として、とても心に刻まれています。 20代になってからは、『大人の流儀』シリーズを読み、人生の辛苦を味わい、熟成された大人としての格好良さを学びました。 またどこかで 大人の流儀12 作者:伊集院 静 講談社 Amazon 今の現代においては、ややもすれば頑固、時代遅れ、と思われる発言も多々あったと思うのですが、冷静に、じっくりとその発言に耳を傾けてみると、そこから学ぶべきものも非常に多かったです。 ―人間は皆が皆強く、逞しい生きもの…

  • 読書感想:『六人の噓つきな大学生』

    明日(2024年11月22日(金))映画化される作品になります。 映画を観る前に、小説で読んでみようと思って買った小説なのですが、あまりに面白すぎて、どんどんページを進めてしまいました。 以前自分も通った道の就活の時のことを思い出しましたが、作品として本当に『面白い』ものでした。 ネタバレになりそうなので、読了後の詳しい感情は説明できませんが、本当に作品として『面白い』ものであり、傑作だと思いました。 六人の嘘つきな大学生 (角川文庫) 作者:浅倉 秋成 KADOKAWA Amazon IT企業の最終面接に残った六人の大学生。 うまくいけば六人全員に内定が出るはずが、突如「六人の中から内定者を…

  • 読書感想:『石橋湛山を語る』

    更新がだいぶ遅くなってしまいました。 最近読書から遠ざかっていたのですが、またゆっくりマイペースに読書習慣を継続していきたいと思います。 ついこの間、日本では衆議院総選挙が行われましたが、現代の日本の政治をしっかり見据えるために、自分の思想信条の礎となる文献を読もうと考えるようになりました。 日本が今後も国際社会で名誉ある地位を保ち、引き続き繫栄していくために、私は徹底して反戦を貫き通すことが大事だと思っています。 そうした中、しっかりと学んでいきたいと思える、歴史上の人物がいます。 石橋湛山です。 石橋湛山を語る いまよみがえる保守本流の真髄 (集英社新書) 作者:田中秀征,佐高信 集英社 …

  • ポケモンスタンプラリー仙台旅行

    2週間前ほどの話になってしまうのですが、弾丸で仙台旅行に行ってきました。 というのも、現在JR東日本ではポケモンスタンプラリーというものがやっており、そのステージ駅として仙台駅がエクストラステージに設定されています。 www.jreast.co.jp 自分の大好きなラプラスのスタンプをゲットするため、弾丸で仙台に行ってきました。 仙台駅 行きつけのお寿司屋に行ったり、ずんだカフェに行ったり、史跡を回ったり、有意義な夏休みを送ることができました。 もちろん、目的のスタンプをゲット。 ゲットした後は、東京駅で見せると、メダルをゲットできます。 ラプラスのスタンプと、メダル 実はポケモンスタンプラリ…

  • 読書感想:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

    書店で目に留まり、『ギクッ』と思って購入した本。 なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) 作者:三宅香帆 集英社 Amazon 自分も含めてなのですが、明らかに現代人は、本を読まなくなったのではないかな、と思います。 自分が学生の頃は、電車でもそれなりの人が本を読んでいたと思うのですが、今ではスマホをいじっている人がほとんどで、本を読む人はごく一部のような気がします。 筆者の三宅香帆氏も言っていますが、読書は人生に不可欠な『文化』です。 それは、決して労働の疲労によって奪われていいものではないでしょう。 そもそも、日本人の読書文化とはいったいどういったものなのでしょうか。 本書は…

  • 読書感想:『夜間飛行』

    古典の小説は、定期的に読もうと思っています。 よくお世話になっているのが、光文社古典新訳文庫ですが、今回ご紹介するのは、サン=テグジュペリの著作、 『夜間飛行』 という小説。 夜間飛行 (光文社古典新訳文庫) 作者:サン=テグジュペリ 光文社 Amazon 本作は、1931年に刊行された、サン=テグジュペリの小説における代表作。 小型飛行機の墜落事故を題材とし、その当時南米と欧州を結んでエアメールを運んでいた夜間郵便にまつわる一夜の状況を描いています。 物語は23章からなっており、テンポよく話が進んでいく。 生死のはざまで、漠然とした不測の脅威が付きまとう夜間空路を滑走する操縦士。 また、どん…

  • 読書感想:『ガザとは何か』

    ガザを改めて学ぶ上で、とても勉強になる一冊です。 ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義 作者:岡真理 大和書房 Amazon 2023年10月7日の、ハマス主導のガザのパレスチナ戦闘員による奇襲攻撃に対して、イスラエルによる未曽有のジェノサイド攻撃が始まりました。 攻撃開始からわずか2週間で、ガザのパレスチナ人の死者は4000人を超えます。 この未曽有の惨劇に対して、何よりもハッキリしておかないといけないことがあります。 それは、現在起きていること、これはジェノサイドにほかならないということです。 ガザの住民たちの7割は、1948年、イスラエルの建国に伴う民族浄化によって暴力的に故郷を…

  • 読書感想:『はじめての短歌』

    SNSばかり入りびたると、心身の調子が悪くなる感じがします。 デジタルデトックスではないけれども、スマホをいじるのから少し離れ、紙媒体の本を読むということも、健康維持の一つと考えています。 また、下手の横好きではあるけれども、『短歌を作ってみる』というのも、趣味の一つとしています。社会に何か爪痕を残したい、というわけではないけれども、何かしら残したいというのはありますね。 歌人の穂村弘氏の書いた、 『はじめての短歌』 という本も、短歌の魅力を存分に紹介しています。 はじめての短歌 (河出文庫) 作者:穂村弘 河出書房新社 Amazon 穂村氏は、『生きのびる』ということと、『生きる』というもの…

  • 読書感想:『人間そっくり』

    2024年の今年は安部公房生誕100年。 今回も、まさに安部文学と言えるような作品を鑑賞。 今回の小説は、 『人間そっくり』 というSF小説。 人間そっくり(新潮文庫) 作者:安部公房 新潮社 Amazon 〈こんにちは火星人〉というラジオ番組の脚本家のところに、火星人と自称する男がやってくる。 その男とやり取りをしていく間に、脚本家自身も、自分が人間そっくりの火星人なのか、火星人そっくりの人間なのか、わからなくなってくる。 わからなくなってくる脚本家自身と同じように、小説を読んでいる読者の自分においても、ぐるぐる頭が回ってわけがわからなくなってしまうような作品。 個人的には、まさに安部文学、…

  • 読書感想:『カンガルー・ノート』

    安部公房氏が生誕して100年の2024年。 本日ご紹介するのは、安部公房氏が完成させた最後の長編とされる、 『カンガルー・ノート』 カンガルー・ノート(新潮文庫) 作者:安部公房 新潮社 Amazon ある日突然、自分の脛に〈かいわれ大根〉が生えているのに気づく。 治療してもらおうと訪れた病院でベッドに括り付けられ、医師から硫黄温泉での療養を勧められる。 主人公は坑道から運河、賽の河原から共同病室へさまよい、様々な登場人物と巡り合う。 『カンガルー・ノート』とは、文房具の会社で、新商品の開発をしている主人公が、会社の提案箱に何気なく投函し、まさかの採用をされたアイデアである。 この作品を上梓し…

  • 読書感想:『本心』

    ―何のために存在しているのか?その理由を考えることで、確かに人は、自分の人生を模索する。僕だって、それを考えている。けれども、この問いかけには、言葉を見つけられずに口籠ってしまう人を燻り出し、恥じ入らせ、生を断念するように促す人殺しの考えが忍び込んでいる。(P.465) 2024年に映画化もされるという、平野啓一郎氏の 『本心』 を読みました。 本心 作者:平野啓一郎 コルク Amazon 存命中、思いがけずふと〈自由死〉を望んだ主人公の母。 そんな最愛の母が突然息を引き取ったことで、何とかその母をAIによって蘇らせようとした主人公。 AIによって生み出された〈母〉との対話の中で、生前なぜ、〈…

  • アーティゾン美術館へ行ってきました。『ブランクーシ 本質を象る』

    先日、また自分の大好きな美術館、アーティゾン美術館に行き、 『ブランクーシ 本質を象る』 展を鑑賞してきました。 www.artizon.museum ブランクーシは、20世紀を代表するルーマニアの彫刻作家で、今回のように彫刻作品を主体とする、大規模な展覧会は、日本初ということでした。 ブランクーシは、同時期に発見された非西欧圏の芸術とも通じる、野性的な造形を特徴とし、素材への鋭い感性に裏打ちされた洗練されたフォルムを追求したことで知られています。 個人的に自分の印象に残ったのは、『鳥』をテーマにしたものでした。 ≪雄鶏≫ 写真の≪雄鶏≫は、垂直的な造形から、まさに空間を切り裂くような強度を持…

  • 読書感想:『続 まんが パレスチナ問題』

    現在深刻な状態になっている、パレスチナ問題。 戦闘員でない無防備の一般市民が殺され、何としても早急に即時停戦が望まれています。 今回紹介する 『続 まんが パレスチナ問題』 は、今から10年弱近く前の新書ではあるのですが、現在のパレスチナ問題を理解するうえで、非常にわかりやすい本となっています。 正・続 まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書) 作者:山井教雄 講談社 Amazon 前作の『まんが パレスチナ問題』は2005年に発刊され、自分が中高生の時に読んで学習させてもらいました。 本書はそれと繋がる形で、今なお混迷を極めるパレスチナ問題に関して理解の一助になるものだと思われます。 ―ハ…

  • 読書感想:『無関係な死/時の崖』

    20世紀の混沌を縦横無尽に漕ぎ渡り、人間と社会をめぐって、深い洞察の言葉を紡ぎつづけた安部公房。 その作品世界は、悪夢のようでありながら笑いに満ち、悲惨でありながら生のエネルギーに溢れています。(芸術新潮2024年3月号参照) 2024年の今年は、安部公房氏の生誕100年という年。 中高時代に初めて出逢い、衝撃を受けてから、改めて社会人になってから、様々な作品を読もうと思って手に取りました。 最初はとっつきにくく、話の展開が非常に特徴的で難解な部分もあるのですが、なぜかそれが病みつきになるというのが、安部公房氏作品の魅力なところ。 今回紹介する短編集、 『無関係な死/時の崖』 には、 〈人魚伝…

  • 読書感想:『アボカドの種』

    『言の葉をついと咥えて飛んでゆく小さき青き鳥を忘れず』 当時の時事ニュースでも取り上げられた、俵万智氏の短歌。 イーロンマスクがTwitterをXに名称変更した際、その時に詠んだ短歌。 初めて目にしたとき、思わず声を出して唸ってしまいました。本当に天才的な句だと思います。 そんな俵万智氏の最新の歌集となるのが、今回ご紹介する、 『アボカドの種』 という本。 アボカドの種 作者:俵 万智 KADOKAWA Amazon 俵氏も言っていますが、平凡な日常は、決して油断ならないのだと思います。 『日常の言葉集めて丁寧に一人のために生まれる短歌』 短歌に用いる言葉は、すごくシンプル。 日常的に何気なく…

  • アーティゾン美術館に行ってきました。2024年2月。

    本日休みだったので、知人から勧められた、アーティゾン美術館の、 『マリー・ローランサンー時代をうつす眼』 を鑑賞してきました。 www.artizon.museu 彼女は20世紀に活躍した画家であり、キュビスムの画家として紹介されることも多くありますが、「前衛的な芸術運動」や「流派(イズム)」を中心に語る美術史の中にうまく収まらない存在でありました。 正直、自分もこの絵画展を知り、初めて彼女のことを知ったのですが、現代美術の中の一つの方向性として、東京でこうしたものに参加できたのは、非常に有意義なことだと思いました。 プリンセス達 三人の若い女 五人の奏者

  • 読書感想:『非色』

    こんなにも衝撃的で、感動した作品だとは思いませんでした。 間違いなく、自分の中での印象に残った傑作です。 今回ご紹介するのは、前回に引き続き、有吉佐和子氏の 『非色』 という小説。 非色 (河出文庫) 作者:有吉佐和子 河出書房新社 Amazon 物語は、終戦後、日本に駐留した占領軍と結婚した、いわゆる『戦争花嫁』を主人公とする。 恋に落ちた黒人占領軍兵士との間に、妊娠が発覚した主人公は、その子供を産むか産まないか悩む。 しかし、実の母親が、黒人と結婚しようとしている主人公に対し、 『黒ン坊生まれちゃ困るじゃないか』 と言い放つ。 反骨精神のようなものを持ち合わせる主人公は、より黒人兵士との結…

  • 読書感想:『青い壺』

    また名作に出逢いました。 2024年に、没後40年を迎える作家、有吉佐和子氏。 その有吉氏の幻の長編小説が、奇跡の復刊を遂げたということで書店でフェアをやっており、気になって手にしたのが、今回紹介する、 『青い壺』 という小説でした。 新装版 青い壺 有吉佐和子 ノーブランド品 Amazon ひとりの陶芸家が焼き上げた、ひとつの青い壺。 ふとしたキッカケでその壺は作り主の元を離れ、人から人へ様々な場所へ移動していく。 壺自体も、いろいろな扱いを受ける。 ある時は恭しく高級な桐箱に入れられて大切に保存されたかと思えば、ある時は新聞紙に包まれ床下に無造作に置かれるときもある。 その中で、美しい壺に…

  • 読書感想:『悲しみのなかの真実 石牟礼道子 苦海浄土』

    近現代の文学は、作者がいて作品がある、というのが一般的である。 しかし、今回紹介する作品は、それとは異なる意味がある。 石牟礼道子氏が著した作品、 『苦海浄土』 は、水俣病の患者たちが本当の語り手だと、石牟礼氏は述べる。 水俣病の患者たちは、言葉を奪われて書くことができない。自分はその秘められた言葉の通路になっただけだと、石牟礼氏は述べられていた。 その『苦海浄土』を深く理解するための一助になりえるのが、NHKブックス100分de名著の 『悲しみのなかの真実 石牟礼道子 苦海浄土』 である。 NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土―悲しみのなかの真実 (NHK「100分 de…

  • 読書感想:『夜明けのすべて』

    ―社会に出て、関わる人も広がって、本当に言いたいことを言って、何の曇りもなく自由に思いどおりに生きている人などそういないことを知った。 ありのまま生きているように思える人も、そんな強い自分であるために、どこかで無理をしている。 他人がどう思うかを考慮せず、自分の心だけに従って動ける人は、めったにいないはずだ。 本日ご紹介する本は、瀬尾まいこ氏著 『夜明けのすべて』 という小説。 夜明けのすべて 作者:瀬尾まいこ 水鈴社 Amazon 同じ職場で働いている、それぞれ内部に苦しさを抱えている男女。 PMS(月経前症候群)という症状により、自分の感情を抑えられず、周りが見えなくなり、歯止めがきかずに…

  • 読書感想:『経済学を知らずに医療ができるか!?』

    スナフキンです。今年もどうぞよろしくお願いします。 今年初回の読書感想は、東京大学大学院医学研究科教授、康永秀生氏著の 『経済学を知らずに医療ができるか!?』 という、医療経済学の本。 経済学を知らずに医療ができるか!? 医療従事者のための医療経済学入門 作者:康永 秀生 金芳堂 Amazon 経済学部出身で、現在医療に携わっている自分としては、医療経済学の知識のアップデートは常に行っていきたいと思っています。 本書は基本的な医療経済学の基礎から説明が始まり、その後応用的な各論へと展開されていき、非常にわかりやすいものになっています。 特に印象深かったのは、医療費増加の要因の中で、一番影響が大…

  • 2023年もお世話になりました。2024年もどうぞよろしくお願いします。

    あと数時間で、2023年も終わってしまいますが、本年もありがとうございました。 個人的なことになりますが、今年は年初から緊急の入院と手術があり、なかなかハードでインパクトのある一年でした。 読書感想を中心にしたこのブログでしたが、読書のペースは少し落ちてしまったかな。 その代わり、年間100作くらい映画を見る一年でありました。 来年はまたブログを充実させながら、読書記録を残していきたいと思います。 細々としたブログですが、足をお運びくださる方も、どうぞ来年もよろしくお願いします。 スナフキン

  • 読書感想:『97歳の悩み相談』

    97歳の悩み相談 (講談社文庫) 作者:瀬戸内寂聴 講談社 Amazon 本書は、京都・嵯峨野の寂庵にて、2019年1月27日に行われた『10代のための特別法話』などもとに、再構成したもの。 『Q:人に悪く思われないか、いつも気にしてばかりいます』 という質問には、 『悪口を言った評論家たちに向かって、「みんな死んでしまえ」と思っていたら、みんな先に死んでしまった』 と、自らの文学界を干された経験を踏まえて話す、瀬戸内寂聴氏。 生前の寂聴氏の力強い言葉に、いったいどれだけ多くの人が励まされたのだろうか。 寂聴氏の好きな言葉に、 『若き日にバラを摘め』という、英国の詩人ロバート・へリックの言葉が…

  • 大分旅行に行ってきました。

    先月になりますが、10月19日から22日にかけて、大分旅行に行ってきました。 大分の知人に案内されながら、様々な場所を観光し、美味しいグルメを堪能。 国宝富貴寺 豊後牛のステーキや、佐伯のお寿司は本当においしかったです。 別府の地獄蒸しプリンも二回目。 地獄蒸しプリン 鍾乳洞なども探検し、非常に有意義な時間を過ごすことができました。 来年以降も、機会を見つけていきたいと思います。 鷹来屋で見つけた、本当においしい日本酒

  • 読書感想:『別冊100分de名著 フェミニズム』

    『鴻巣:他者と関係を結ぶことについて、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロは「横の旅」と「縦の旅」という言葉で説明しています。 グローバルな時代において、リベラルなインテリたちは「横の旅」をする。 つまり、世界に飛び出していってさまざまな知識人と意見交換をしたりするのだけれど、それは結局、同じ階層の人たちと話し合って「そうだね、そうだね」とうなずきあっているに過ぎない。そうではなく、「縦の旅」をしようとイシグロは言っています。 (中略) ですから、まったく意見が異なるような人、「フェミニズムって何ですか?」という人とお話しするほうがずっと難しい。野枝が「縦の旅」に踏み出した意義は、とても大きい…

  • 国立新美術館のテート美術館展に行ってきました。

    お疲れ様です、スナフキンです。 本日は有休をいただきまして、少しゆっくり気分転換しようと思い、都心で遊んできました。 都内の美術館は、月曜日が休館日のことが結構多いのですが、六本木にある国立新美術館は本日開館していたので、そちらのほうに伺ってきました。 本日は 『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』 という特別展を鑑賞。 www.nact.jp 個人的に大好きなターナーは、文学のシェイクスピアと対照的に、美術のターナーとして英国美術の頂点に位置付けられており、その作品が観られるのはいいなと思い、楽しみにして行きました。 英国風景画を支えた美学の一つに、『ピクチャレスク』というもの…

  • 読書感想:『グローバライズ』

    今回ご紹介するのは、木下古栗氏著の 『グローバライズ』 という本。 グローバライズ GLOBARISE (河出文庫) 作者:木下古栗 河出書房新社 Amazon 友人が読んでいて、興味を持って自分も読んでみたいと思った作家さんです。 読了後、非常に斬新かつ複雑な気分に襲われました。笑 木下氏の小説を、どのように表現していくか非常に難しいです。 一般人が表現したら、下ネタ、変態、異常性ともとれるような内容を、芸術と言う枠組みにまで昇華するところが、何か癖になってしまう。 「この文章は何か違う」という強烈な違和感が、とても病みつきになってしまう。 本書における、木下古栗のインタビューでも、 『昔、…

  • 読書感想:『100分de名著 ボーヴォワール 老い』

    NHKテキストの『100分de名著』シリーズは、読みたいものが非常に多いです。 今回紹介する、ボーヴォワールの 『老い』 は、邦訳で二段組の上下巻、総ページは700ページ超という大著なのですが、上野千鶴子氏がとても分かりやすく解説してくださっています。 ボーヴォワール『老い』 2021年7月 (NHK100分de名著) 作者:上野 千鶴子 NHK出版 Amazon ボーヴォワールは、 『老いは文明のスキャンダルである』 と表現しました。 現代社会において老人は人間として扱われていない、老人の人間性が棄損されている、ということへの怒りから、ボーヴォワールは『老い』を書いたといいます。 本書の中で…

  • 読書感想:『ハンチバック』

    ―私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、-5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知な傲慢さを憎んでいた。 Twitterのとあるツイートで引用されていた、本書の内容。強烈な衝撃を受けたのを覚えています。 今回紹介するのは、第169回芥川賞受賞作、市川沙央氏著 『ハンチバック』 という小説。 ハンチバック (文春e-book) 作者:市川 沙央 文藝春秋 Amazon 筆者は筋疾患先天性ミオパチーという難病を罹患し、背骨が弯曲する症候性側…

  • 読書感想:『未来のサイズ』

    ―短歌は、日々の心の揺れから生まれる。どんなに小さくても「あっ」と心が揺れたとき、立ち止まって味わいなおす。その時間は、とても豊かだ。歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと感じる。(P.179) イーロン・マスク氏が、親しみのあったTwitterの名称とロゴを、Xに変更したことに伴い、俵万智氏が詠んだ短歌が、SNS上で非常に反響を呼んだ。 「言の葉を ついと咥(くわ)えて 飛んでゆく 小さき青き鳥を忘れず」 「このままで いいのに異論は 届かない マスクの下に唇をかむ」 ここまで完璧な短歌を、ビシッと詠んでしまう俵万智氏のセンスには脱帽するばかりだ。 あまり偶像崇拝的な形で評価したくはな…

  • 読書感想:『傲慢と善良』

    ライフスタイルの多様性は都会だからこそ許されるのであろうか。 自分の価値観を重視し、自由に人生を生きるのは『傲慢』なのだろうか。 帯拍子で、 〈『人生で一番刺さった小説』との声、続出〉 とのタイトルに惹かれ、書店で購入した辻村深月氏の小説。 傲慢と善良 (朝日文庫) 作者:辻村 深月 朝日新聞出版 Amazon 恋愛や婚活にまつわる小説でありつつ、個人の生き方の本質までかなり緻密に踏み込んでおり、登場人物と同世代な自分は、考えさせられることの多い、印象深かった小説でありました。 婚約者が突然姿を消し、婚約相手の主人公は、彼女の居場所を探すために、彼女の『過去』を遡り、向き合うことになる。 そし…

  • 読書感想:『動物農場』

    最近色々とドタバタしていて、読書はしてはいるのですが、読書感想を書くペースがおざなり勝ちになっているスナフキンです。 今回は、ディストピア小説で有名な、ジョージ・オーウェルの作品で、代表作『一九八四年』と並ぶ、もう一つの代表作をご紹介したいと思います。 今回紹介する作品は、 『動物農場』 と言う作品。 動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者:ジョージ・オーウェル 早川書房 Amazon とある農場で飼いなさられていた多くの動物たち。 動物たちは、老いたブタのメイジャーを指導者に仰ぎながら、 『すべてのどうぶつは平等』 という理想を実現するための、自分自身による、ユートピアの農場、『動…

  • アーティゾン美術館に行ってきました。

    昨日お休みをいただき、日本橋のアーティゾン美術館で現在開催されている、 「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」展 を鑑賞してきました。 www.artizon.museum 19世紀末のフランスを中心としたヨーロッパ、芸術を生み出す活気と自由な雰囲気に満ち溢れる中、フォーヴィスム、キュビスムなどの新しい美術が芽吹きました。 その後、表現の到達点のひとつとして抽象絵画が誕生しましたが、今回はその抽象絵画の全世界に渡る発展と展開を紹介した、美術展になります。 抽象絵画も、正直自分の脳の中での理解って非常に難解な部分があります。 ただ、自分の思考回路の中で、整理のつかない中でも、なにか心の…

  • 映画『怪物』鑑賞してきました。

    先日の休みに、映画『怪物』を鑑賞してきました。 gaga.ne.jp 実はノベライズを先に読んでいたので、ストーリーは理解していたのですが、やはりこれは劇場へ行かなきゃと思い、映画鑑賞。 怪物 (宝島社文庫) 作者:佐野 晶 宝島社 Amazon さすが是枝裕和監督。 高校1年の時に、『誰も知らない』を鑑賞して衝撃を受けて以来、ずっと注目していますが、本当に天才だと思っています。 正直、人生に残るくらいの、傑作でした。 小説を読み始めたときも、映画のタイトルが『怪物』なので、どの登場人物が、怪物的に鬼畜なキャラクターなのか、それとも複数人いるのか、ずっと考え続けていました。 しかし、この作品は…

  • 読書感想:『レモンと殺人鬼』

    Twitterの読書アカウント界隈で、『面白かった!』という反響が多かったので、自分も読んでみようと思って購入。 2023年第21回の『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリを受賞したらしく、ワクワクしながら読ませていただきました。 今回紹介する小説は、くわがきあゆ氏著 『レモンと殺人鬼』 というミステリー小説。 レモンと殺人鬼 (宝島社文庫) 作者:くわがきあゆ 宝島社 Amazon 10年前、父親が通り魔に殺されて以来、母も失踪し、姉妹も別々の親戚に引き取られ、不遇な境遇を送っていた主人公。 そんな中で静かに日々を送っていたが、さらに追い打ちをかけるように、妹が遺体となって発見され…

  • 読書感想:『ロスト・ケア』(一部ネタバレあり)

    GW中、都内では最終上映となった、長澤まさみ×松山ケンイチ両氏主演の映画 『ロストケア』 を鑑賞しました。(映画タイトルは『ロストケア』) lost-care.com ロスト・ケア (光文社文庫) 作者:葉真中 顕 光文社 Amazon 延べ43人もの人間を殺害し、戦後になってから発生した連続殺人事件としては、最多の犠牲者を数える事件。 その事件で、〈彼〉は死刑判決を下された。 しかし、なぜ〈彼〉はここまでの連続殺人を引き起こしたのか。 連続殺人犯と、正義を信じる検察官との対峙において、現代社会の深刻な介護現場の現状を炙り出した映画だったのですが、それが本当に印象的だったので、小説も買って読ん…

  • 読書感想:『ユートピア』

    本日も、湊かなえ氏の小説をご紹介。 以前から購入してずっと積読だったのですが、やっと読み終えることが出来ました。 ユートピア (集英社文庫) 作者:湊かなえ 集英社 Amazon 物語の舞台は、緑豊かな海辺に面した、人口7千人の鼻崎町と言う町。 過去には一日に一万人が訪れるくらいの商店街も存在していたが、現在は閑散としており、これからどのように町おこしをしていこうか、地元の人も扱いかねている。 商店街の仏具屋の妻である堂場奈々子、都会から移住してきた陶芸家の星川すみれ、男が水産会社に勤める転勤族の妻、相葉光稀。 ばらばらな属性を持った女たちが、祭りで偶然起きた事件をキッカケに、すみれの作る陶器…

  • 読書感想:『絶望読書』

    人間は、人生で絶望する。 絶望した時に、何が必要だろうか? 立ち直りの方法だろうか?励ましの言葉だろうか? 『それよりも前に、必要なものがある』 と、本日紹介する本の著者、頭木弘樹氏は言う。 頭木氏は、大学3年の20歳の時に難病になり、13年間の闘病生活を送った人物。 絶望は『瞬間』ではなく『期間』であり、絶望したままのある程度の時間がある。 そんな絶望の期間に、どのように過ごせばいいのだろう。 『絶望において、一番大切なのは、絶望の時期の過ごし方だ』と筆者は言う。 本書は、そんな絶望の期間の過ごし方や、絶望した時に、寄り添ってくれる本や映画やドラマなどを紹介している。 絶望読書 (河出文庫 …

  • 読書感想:『統一教会 何が問題なのか』

    現代の日本政治を考える上で、この問題はもう目を背けるわけにはいかないだろう。 昨年から買っていたのですが、今回やっと 『統一教会 何が問題なのか』 を読み終えました。 統一教会 何が問題なのか (文春新書) 文藝春秋 Amazon 宗教はそれを信じる者のアイデンティティの根幹を規定し、世界観総体を形成する。 つまり、宗教には妥協や譲歩といったものは原理的には有り得ない。 この宗教的特徴を鑑みた上で、『政教分離原則』というものが存在する。 政教分離原則は、政治権力の作用が全ての宗教に対し平等であるように、特定の宗教宗派の立場に偏らないようにするために設けられたもの。 しかしながら、その線引きは難…

  • 読書感想:『対岸の彼女』

    『―結局さ、のっぺりしすぎてるんだよ、とナナコは言っていた。 何もかもがのっぺりしてる。毎日、光景、生活、成績、全部のっぺりしてるから、いらいらして、カーストみたいな理不尽な順位をつけて優位に立ったつもりにならなきゃ、みんなやっていられないんじゃないかな。(P.132)』 30代と言うのは、人との出逢いに倦み始める年頃なのかもしれない。本書の解説で、作家の森絵都氏が、そのように述べている。 対岸の彼女 (文春文庫) 作者:角田 光代 文藝春秋 Amazon 本書で登場する人物は女性であり、その女性同士の、すれ違いや、葛藤、悩みなどを描いた小説なのだが、この悩みと言うのは、男性にも共通するのでは…

  • 読書感想:『カインは言わなかった』

    血の滲むような、言葉では表現しつくせない努力や根性を持って見せても、 『絶対に超えられない、人智を超えたもの』 というものを、誰しも感じたことがあるに違いない。無論自分もそうしたものがあると痛感して生きている。 今回紹介する小説においても、何物をも犠牲にしても、追いつけない、追い求めることのできない、『圧倒的存在の何か』に翻弄され続ける登場人物が出てくる。 この『圧倒的存在の何か』、また、人智を超えるという意味合いで、神とは何か、という非常に大きな問いを、小説を通じて投げかけるのが、芦沢央氏の 『カインは言わなかった』 である。 カインは言わなかった (文春文庫) 作者:芦沢 央 文藝春秋 A…

  • 読書感想:『生きづらさについて考える』

    生きづらさについて考える (毎日文庫) 作者:内田 樹 毎日新聞出版 Amazon どうして今の若い人たちは、こんな政治の現状に抵抗しないのだろうか。 現状政治の全てを否定するわけではないが、ここまで自分達に不利になるような状況の中で、なぜもっと若い世代の人々は、政治に怒りを持たないのだろうとは、私も強く感じています。 その理由は、彼らが、 『空虚感を抱えたイエスマン』 だからと、内田樹氏は本書で述べています。 この『空虚感』というのがミソなのだろう。『虚しい…』と言いながら、現状を追認し、長いものに巻かれ、大樹の陰に寄るのは、むしろクールでスマートな生き方なのだ。そうした反応を、現代の若者は…

  • 読書感想:『死刑について』

    今から57年前、静岡県で一家4人が殺害された、いわゆる袴田事件。 つい先日の2023年3月20日、死刑が確定していた袴田さんの再審開始が確定しました。 今後早期の無罪で決着がつく可能性があり、死刑の冤罪の可能性がある事件においては、歴史的にも重大な出来事だと思います。 そのようなタイミングで、奇しくも非常に関連性のある書籍を自分は読んでいました。 小説家としても尊敬する平野啓一郎氏の 『死刑について』 という本です。 死刑について 作者:平野 啓一郎 岩波書店 Amazon 本書は、2019年12月6日に開催された、大阪弁護会主催の講演記録をもとに、2021年10月12日の日弁連主催のシンポジ…

  • 読書感想:『経済は地理から学べ!』

    文系で大学受験をした時、好きだった教科が、世界史と地理でした。 どっちがより好き、と言うわけではなく、本当にどっちも好きで、それぞれの教科を学べば学ぶほど、互いに知識が相互連関し、より社会に対する理解が深まっていったのがとても楽しかった記憶があります。 人生紆余曲折を経て、歯科医師になった今でも、その知識は本当に財産だな、と感じています。 世界史に関する書籍は圧倒的に多いのですが、地理に関する書籍は決して多くは無い。そんな中で、社会人でも読みやすく、地理の面白さが分かる書籍があったのでご紹介します。 本日紹介する本は、代々木ゼミナールの地理講師、宮路秀作氏が筆者の、 『経済は地理から学べ!』 …

  • 読書感想:『遠い山なみの光』

    目まぐるしく変化する激動の世界において、自分と世の中の関係性が上手く分からない、またそこまで言語化することは無いにしても、漠然と未来の世界にぼんやりとした気持ちを持つことはあると思います。 今回紹介する、ノーベル文学賞作家、カズオ・イシグロ氏の小説は、そんな自分と世の中の関係が分からない不思議な感覚を、非常に哲学的に描いたものになっています。 カズオ・イシグロ氏も、自分が尊敬していて大好きな作家の一人。 1954年に長崎で日本人として生まれたイシグロ氏は、5歳の時に家族とともに英国へ 行き、そのまま英国に移住。1983年には英国籍も取得し、スコットランド出身の女性とも結婚。ノーベル文学賞も受賞…

  • 読書感想:『中学生から知りたいウクライナのこと』

    『歴史がくり返してきた重要な問題のひとつは、たとえば日本のような戦場から離れた国に住む人びとの、当事者意識の減退と、関心の低下、そして倦怠ではないか、つまり「胸の痛み」が持続しないことではないか、ということです。(P.3)』 理解を深めるのに、非常に真剣な気持ちで読まないといけない書籍でした。 ただ、現代に生きる人間として、歴史と繋がる現代の社会問題に向き合い続けるのは、非常に大切なことです。 昨年読んでいた本なのですが、感想を書くのが遅れてしまいました。 ご紹介する本は、京都大学大学院文学研究科教授の小山哲氏と、京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史氏の共著、 『中学生から知りたいウクライナ…

  • 本年もどうぞよろしくお願いします。

    お疲れ様です、スナフキンです。 本年もどうぞよろしくお願いします。 引き続き、読書をモチベーションにして、自分自身のレベルアップに役立てたいと思います。 新年からちょっと風邪気味で体調がすぐれないので、正月は家でゆっくり過ごそうと思います。

  • 読書感想:『嫉妬/事件』

    『人はこうした追求と、こうして熱に浮かされたかのようにしるしを組み合わせようとする営みに、知性の使い方の逸脱を看て取るのかもしれない。私はむしろそこに、知性の詩的機能、文学や宗教や偏執病(パラノイア)において働いているのと同じ機能を看る。(嫉妬)(P.45)』 お疲れ様です、スナフキンです。 本日は今年ノーベル文学賞を受賞した、アニー・エルノー氏の著作二篇が掲載されている、ハヤカワepi文庫の 『嫉妬/事件』 をご紹介。 嫉妬/事件 (ハヤカワepi文庫) 作者:アニー エルノー 早川書房 Amazon 現在こちらも、『事件』と言う作品が、ロードショーされています。表題は、『あのこと』というも…

  • 読書感想:『母性』

    お疲れ様です、スナフキンです。 今年もあと少し、読書して感想書きたい本がいくつか残っているのですが、出来るだけ年内のうちに書き残していければと思っています。 今回ご紹介するのは、湊かなえ氏著 『母性』 という物語。 母性(新潮文庫) 作者:湊かなえ 新潮社 Amazon 著者の湊かなえ氏曰く、『これが書けたら、作家を辞めてもいい。』とまで言わせしめたヒューマンミステリー。 あともう少しで放映終了だとは思いますが、現在全国で映画化されており、映画鑑賞の前に、小説で是非とも読んでみたいと思っていた作品でありました。 wwws.warnerbros.co.jp 物語は、ある17歳の少女の、自殺か事故…

  • 読書感想:『方丈記』

    お疲れ様です、スナフキンです。 先日池袋のジュンク堂書店に足を運んだのですが、光文社古典文庫の棚で、過去5年間の売れ行きランキングというものが公開されていました。 その中で、1位だったのが、今回紹介する、日本を代表する古典的随筆 『方丈記』 でした。 方丈記 (光文社古典新訳文庫) 作者:鴨 長明 光文社 Amazon この世の無常と、草庵での簡素な暮らしを描いた本作。 冒頭の『ゆく河の流れは絶えずして~』は、多くの人が知るものだと思いますが、中高生に読んで以来、改めて読み返すと、なかなか染み入るものがあります。 訳者の蜂飼耳氏もまえがきで述べているのですが、『方丈記』が受け継がれ、現代まで伝…

  • 読書感想:『今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く』

    お疲れ様です、スナフキンです。 個人的に、自分の人生の羅針盤としている偉大な哲学者は何人かいるのですが、今回はその中でも特に人間味があって大好きな、ショーペンハウアーの解説書に関してご紹介したいと思います。 今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く (講談社現代新書100) 作者:梅田孝太,アルトゥール・ショーペンハウアー 講談社 Amazon ―運命がカードを切り、私たちが勝負する。 ショーペンハウアーによれば、人生はいつも思いどおりにはならず、ぎりぎりの勝負の連続であると説く。 我々がこの社会で生きていくための原動力は多くの場合、欲望である。欲望があるからこそ、それ…

  • 読書感想:『人生ってなんだ』

    『―いきなり、話は飛ぶのですが、僕は、もし、「教育にとって一番大切なことは何か?」と聞かれたら、「バランスよくマイノリティー感覚を経験すること」だと思っています。 (中略) バランスよくマイノリティー感覚を経験すること。 バランスよくというのは、マイノリティー感覚を感じる時期と、反対のマジョリティー感覚を感じる時期の両方を、ちゃんと持つということです。』 こんにちは、スナフキンです。 今回はメディア出演でも有名な演出家、映画監督の鴻上尚史氏のエッセイ、 『人生ってなんだ』 をご紹介。 人生ってなんだ (講談社+α新書) 作者:鴻上尚史 講談社 Amazon 鴻上氏の文章は、非常に軽快なうえ、印…

  • 読書感想:『太平洋戦争への道 1931-1941』

    『ヒトラーはいつも、偏見と憎悪とを掻きたて続けることに腐心しておりました。若い人たちにお願いしたい。他の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。』 これは自分の人生の教訓としている、ヴァイツゼッカー元ドイツ連邦共和国大統領の演説の言葉であるが、現代人は常に、歴史に対する学習意識を持ち続けないといけないと感じます。 本日紹介する本は、半藤一利・加藤陽子・保坂正康各氏による編著、 『太平洋戦争への道 1931-1941』 と言う本を読みました。 太平洋戦争への道 1931-1941 (NHK出版新書 659, 659) 作者:半藤 一利,加藤 陽子 NHK出版 Am…

  • 読書感想:『ある男』

    『何もかもを捨て去って、別人になる。-そうした想像には、なるほど、蠱惑的な興奮があった。必ずしも絶望の最中だけでなく、きっと、幸福の小休止のような倦怠によっても、そんな願望は弄ばれるのだ。』 お疲れ様です、スナフキンです。 また非常に感動的な小説に巡り合いました。今回紹介するのは、平野啓一郎氏著 『ある男』 という小説です。 ある男 (コルク) 作者:平野啓一郎 コルク Amazon 本作は、2022年11月、妻夫木聡さん主演で映画化されるもので、読売文学賞の受賞作でもあります。 離婚を経験し、シングルマザーとなった女性は、ある男性と再婚するのですが、悲しくもその再婚相手の男性が突然命を落とし…

  • 読書感想:『琥珀の夢 小説鳥井信治郎(上・下)』

    お疲れ様です、スナフキンです。 今回も、自分が大好きな作家、伊集院静氏の小説を紹介したいと思います。 伊集院氏の小説は、人間が、他者と生きていく中で何が肝心なのか、人間形成において、何が必要なのかを様々な状況で問いかけるものが多いです。 今回紹介する、 『琥珀の夢』 と言う小説も、まさにそうした、人間の生きざまにおいて、学ぶべきことが多い小説と言えるでしょう。 琥珀の夢 小説 鳥井信治郎 上 (集英社文庫) 作者:伊集院静 集英社 Amazon 琥珀の夢 下 小説 鳥井信治郎 (集英社文庫) 作者:伊集院 静 集英社 Amazon 本作の主人公は、サントリーの創業者となった、鳥井信治郎。 明治…

  • 読書感想:『エフォートレス思考』

    お疲れさまです、スナフキンです。 7月は個人的にかなり慌ただしい月であり、コロナではなかったのですが、10数年ぶりに38.5℃の高熱を出して体調を崩してしまいました。 数週間ほど食欲も体力もかなり落ちていたのですが、今は大分本調子に戻っています。 自分ももう若くはないのだなあということと、体力づくりの重要性を本当に痛感しました。 読書もまた再開するようになり、今後もマイペースに読書ブログを継続していきたいと思います。 さて、本日ご紹介するのは、グレッグ・マキューン氏著、 『エフォートレス思考』 というビジネス書になります。 エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する 作者:グレッグ・…

  • 読書感想:『30代にとって大切な17のこと』

    ―幸せ感、満足感、感謝というのは、それを感じるのは素晴らしいことですが、「もう充分」という気持ちになって、よりよくなるための行動をストップさせてしまいます。 「30代」ですべてに満足して、「人生は感謝するばかり」というような境地に入ると、無風な場所に行くことになります。 中途半端にポジティブなエネルギーは、その人を止めてしまいます。 一方で、「今の自分を許せない」「自分が大嫌いだから、頑張ってみる」という感情は、実は行動につながっていくものです。 (中略) 30代の人生で大切なのは、満ち足りることより、行動することです。 今回紹介するのは、本田健氏の 『30代にとって大切な17のこと』 という…

  • 2022年上半期、感動した本と映画紹介

    お疲れ様です、スナフキンです。 今日で早くも今年の半分が経過。 社会人になって費やす時間は減ってしまいましたが、人生の深みを得るため、積極的に読書や映画鑑賞の時間を作っています。 ということで、今回は、中でも印象深く、学ぶことの多かった本や映画を少しご紹介。 【本バージョン】 1.暇と退屈の倫理学 2.消費社会の神話と構造 3.余命10年 特に1番目の本は、退屈とは何か、現代消費社会の暇と退屈が抱える本質を鋭く突いた哲学書で、非常に考えさせられる名著でした。 資本主義の全面展開によって、少なくとも先進国の人間は豊かになった。だが、暇を得た人々は、その暇をどう使って良いのか分からない。 資本主義…

  • 映画感想:『オフィサー・アンド・スパイ』

    お疲れ様です、スナフキンです。 映画の感想をこちらのブログで書くのは初めてなのですが、とても印象的に残った映画であり、また歴史学習の重要な文献にもなりうると思ったので、今回ブログを書いてみることにしました。 本日ご紹介するのは、ロマン・ポランスキー監督が映画化した、 『オフィサー・アンド・スパイ』 という映画。 longride.jp ロマン・ポランスキー監督には、有名な作品の一つとして、『戦場のピアニスト』がありますが、これは自分が中学生の時に鑑賞し、その後の人格形成に大きく関与した作品であります。 そのため、個人的に、この監督には深い思い入れがあり、今回改めて、彼の映画を鑑賞したいと思って…

  • 読書感想:『暇と退屈の倫理学』

    お疲れ様です、スナフキンです。 今回は、なかなか読み応えのある、勉強になった哲学書についてご紹介したいと思います。本日ご紹介する作品は、國分功一郎氏著、 『暇と退屈の倫理学』 という哲学の本。 暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon 哲学とは、問題を発見し、それに対応するための概念を作り出す営み。 この本は、人間にとって、退屈とは何か、現代消費社会の暇と退屈が抱える本質を鋭く突いた哲学書になります。 人類は様々な対立や悲劇を乗り越え、豊かさを目指して発展を遂げてきました。 だが、豊かさが達成されると、逆説的に人が不幸になってしまうという証明がされている。 イギリス…

  • 読書感想:『心が強い人はみな、「支える言葉」をもっている』

    ―簡単には折れない心を保つには、支えるものが必要です。私はそれを言葉だと考えています。心を支える言葉を持っていると、いざというときに自分を助けてくれます。 筆者の齋藤孝氏は、冒頭でこのように述べているが、まさにその通りだと思う。 今回紹介する本は、 『心が強い人はみな、「支える言葉」をもっている』 という、心を支え、強くするのに役立つ先人の言葉を集めた齋藤孝氏の本。 心が強い人はみな、「支える言葉」をもっている 作者:齋藤 孝 アスコム Amazon 読書体験によって得た知識や教養は、実際に役立てる機会は決して多いわけではないかもしれないが、ふとした瞬間に、ふっと湧き出て自分を助けてくれる。だ…

  • 読書感想:『カエルの小指』

    お疲れ様です、スナフキンです。 自分の中で、かなり充実感のある、素敵なミステリー小説に出逢えました。 つい最近、阿部寛氏主演の『カラスの親指』という映画を観たのですが、この映画が非常に感動する名作でありました。 内容としては、主人公のベテラン詐欺師のタケが、あることをキッカケにテツという男と出会う。 二人はコンビを組み、様々な詐欺を重ねていくのだが、ある日二人のもとに、まひろという少女が現れ、その姉のやひろ、恋人の貫太郎の三人がタケとテツの住んでいる家に転がり込み、それから五人の奇妙な共同生活が始まる。 そして、とある出来事をキッカケに、人生逆転の大規模な詐欺を企てる、というお話なのですが、こ…

  • 読書感想:『女と男の絶妙な話』

    本日紹介する本も、大好きな伊集院静さんの本。 週刊文春で好評連載されている、読者のお悩みに、伊集院さんがズバッと答える、『悩むが花』の回答集。 老若男女問わず多くの読者が、様々な質問を投げかけるが、伊集院さんはシンプルで軽快ながらも、ズバッと核心をついた回答をしてくれるところが非常に清々しい。 女と男の絶妙な話。 悩むが花 (文春文庫) 作者:伊集院 静 文藝春秋 Amazon 自分の中で印象に残った質問と回答を、いくつか紹介したいと思います。 Q:世間は「ミニマリスト」と言うのが流行っているが、ミニマリストについてどう思うか。(45歳・男・配送業) A:そのミニなんとかで、身の回りのモノをど…

  • 読書感想:『石川啄木 コレクション日本歌人選035』

    お疲れ様です、スナフキンです。 百人一首をキッカケに、日本の和歌に関して少し興味を持ち始めたのですが、今回は日本歌人の選集の中から、日本近代文学に多大な影響を与えた、石川啄木の歌に関しての本を読んでみました。 石川啄木 (コレクション日本歌人選) 作者:河野 有時 笠間書院 Amazon 石川啄木、自体は子供のころから名は知っていますし、何首か目にしたこと自体はあったのですが、こうしてじっくりと歌集を読んだのは初めてでした。 啄木自身は短歌について、「一利己主義者と友人との対話」と言う歌論なかで、「一生に二度とは帰ってこないいのちの一秒」を逃さないための、「形が小さくて、手間暇のいらない」便利…

  • 読書感想:『大人の流儀11 もう一度、歩きだすために』

    不思議なことだが、悲しみ、もしくは悲しみの記憶は、ふいに、その当人に近づき、背後から全身を抱擁するかのようにやって来る。 (中略) -あれ、今、私笑っていた? こうなれば回復は早い。早いのだけど、冒頭に書いた二行がやって来るのである。 嘘ではないし、いつまでも悲しみを忘れられない、その人がおかしいことでもない。 人間とは、そういう生きものであり、人生とは悲しみと、必ず遭遇するものである。 お疲れさまです。スナフキンです。 伊集院静氏の『大人の流儀』シリーズの最新刊、 『大人の流儀11 もう一度、歩きだすために』 の一節です。 もう一度、歩きだすために 大人の流儀11 作者:伊集院静 講談社 A…

  • ニッカウヰスキー『宮城峡蒸溜所』に行ってきました。

    お疲れ様です、スナフキンです。 先日から仙台の方に旅行に行っていたのですが、その際に自分にとって人生で2回目の蒸溜所見学をしてきました。 初めて行ったサントリーの山崎蒸溜所に続き、今回訪れたのは、霧深い峡谷に清流が流れる、ニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所でした。 booklovers45.hatenablog.jp 宮城峡蒸溜所は、北海道の余市蒸溜所に次ぎ、ニッカウヰスキーの第二の蒸留所として1969年に創設。 宮城峡は宮城県と山形県との県境に近く、新川(にっかわ)と広瀬川が合流する豊かな水と緑に恵まれた土地。 ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝は、新川の水で『ブラックニッカ』の水割りを飲んだ際…

  • 読書感想:『続・大人の流儀』

    どんな生き方をしても、人間には必ず苦節が一、二度向こうからやってくる。そんな時、酒は友となる。 前回紹介した『大人の流儀』でも、伊集院静氏は酒についてこのように語っていますが、続編の『続・大人の流儀』でも、より共感を覚えるような、酒についての語りがされています。 続・大人の流儀 作者:伊集院 静 講談社 Amazon booklovers45.hatenablog.jp booklovers45.hatenablog.jp 私は若い時代に近しい者との死別に遭遇した。弟と妻、友も何人かいた。皆純粋な人間であり、人生の愉しみにこれから出逢おうという年齢だった。 先述したように、私はのっけから悪党だ…

  • 読書感想:『大人の流儀1』

    -一流大学の受験に受かるなんてのは、テレビのクイズ番組で人が読めない漢字を読んで、照れたような作り恥じらい(ホントいやらしいが)をしているタレントの自己満足と同じ程度のことでしかない。 -知識というものほど怪しいものはない。私に言わせるとこれほど荒唐無稽なものはない。だから“蘊蓄を披露する”という行為は、自分は馬鹿です、と懸命に語っていることに他ならない。 これほどにまでハッキリと核心を突き、自分の未熟さを痛感するのは逆に心地が良い。 そして、その痛烈な批評を行うだけでなく、自分のコアがあり、立ち居振る舞いに『真の大人の格好良さ』を滲ませる、非常に存在感のある重厚な作家は、なかなかいないのでは…

  • 読書感想:『ビギナーズ・クラシックス日本の古典 三十六歌仙』

    お疲れ様です、スナフキンです。 日本の古典文学に触れる機会を増やしていますが、今回紹介するのは、古典に造詣のある方ならご存知の『三十六歌仙』であります。 三十六歌仙 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫) KADOKAWA Amazon 三十六歌仙と言うものは、元々単独の作品としては存在していなかったといいます。母体は、藤原公任撰の『三十六歌撰』であり、百人一首よりも200年前、源氏物語と同時代に編纂された秀歌撰のことを指します。 近世まではかなり広く流布されていたようですが、明治以降になると、急速に時代が変化。 百人一首はかるた遊びと融合することで命脈を保った一方、三十六…

  • 読書感想:『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』

    現在NHK大河ドラマで、『鎌倉殿の13人』が放映されていますが、今回はそのドラマの知識を深め、より面白く鑑賞するのにも役立つ本を紹介したいと思います。 今回紹介するのは、 『眠れないほど面白い吾妻鏡』 という板野博行氏の本。 眠れないほどおもしろい吾妻鏡: 北条氏が脚色した鎌倉幕府の「公式レポート」 (王様文庫 D 59-8) 作者:板野 博行 三笠書房 Amazon 以前にも板野氏の著作として、『眠れないほど面白い百人一首』をご紹介しましたが、この『眠れないほどおもしろい』シリーズは非常に分かり易く面白いです。 登場人物の説明だけでなく、時代背景などについても丁寧に解説されているので、読者は…

  • 『中島みゆき 劇場版ライヴ・ヒストリー』を鑑賞してきました。

    今月初旬のことですが、個人的に久しぶりとなる、映画館での映画鑑賞を行ってきました。 今回鑑賞したのは、大好きな中島みゆき氏のライヴ・ヒストリーをまとめた、 『中島みゆき 劇場版ライヴ・ヒストリー 2007-2016』 という作品。 miyukimovie.jp 長く生きている人生の大先輩からしたら、まだまだ若輩の自分ですが、そんな自分の人生においても、激しいくらいの困難や、息も詰まるようなタフな場面に直面した経験は何度もありました。 音楽によって勇気づけられる、と言う経験は多くの人が持つことだと思いますが、中島みゆき氏独特の、そして強烈なインパクトを持つ歌詞に何度勇気づけられたことか。 ―お前…

  • 読書感想:『人生を面白くする本物の教養』

    最近気持ちが少し沈んだりすることがあり、休日にも慢性的に疲労が蓄積していて、無気力で何もしたくないという時がありました。 何かしなきゃ、と思うと逆にプレッシャーになるので、出来るだけそうした時期は休息の時間をしっかり取ろうと思っているのですが、そんな時に心の支えになってくれるのが、やはり本なのだなと実感しました。 特に、何十年も何百年も、無数の人々の眼力に耐え、人類の経験知の集積として評価されているものが古典であり、人生の指針に迷ったときには、自分も積極的に古典を読むようにしています。 今回ご紹介する本は、現立命館アジア太平洋大学学長で、生粋の読書家として有名な出口治明氏の、 『人生を面白くす…

  • 読書感想:『どうやら僕の日常生活はまちがっている』

    大好きなお笑い芸人ハライチの岩井勇気氏の、2冊目の書籍を読みました。 初版は2021年の9月なので、少し読むのは遅れてしまいましたが、前回の書籍が面白かったので、今回も是非買って読んでみようと思い購読。 booklovers45.hatenablog.jp どうやら僕の日常生活はまちがっている 作者:岩井 勇気 新潮社 Amazon 冒頭でも筆者が述べているとおり、本書は、芸人として今思うことや、自分の人生を振り返って感じることなどの“身削り自叙伝”ではない。 -ただの35歳の独身男が、一人暮らしを送る。買い物に行ったり、習い事をしたり、引っ越しをしたりする。そんな取るに足らない毎日をつらつら…

  • 上野の東京国立博物館の特別展、『ポンペイ展』を鑑賞しに行きました。

    お疲れ様です、スナフキンです。 先週のことになりますが、上野の東京国立博物館で特別展として開催された、 『ポンペイ展』 を鑑賞してきました。 pompeii2022.jp 紀元後79年、ヴェスヴィオ火山の噴火により、火山灰の下に埋もれてしまった悲劇のローマ帝国の街ポンペイ。 古代ローマ半島の南部ナポリ近郊にあったこの街は、1748年に発見されて以降、発掘が進むにつれて多くの貴重な情報が解明されてきました。 本展はポンペイから出土した多くの資料を所蔵するナポリ考古学博物館の協力のもと、日本初公開を含む約150点もの作品が紹介されています。 最終的にはローマの植民市になった都市なので、もちろん帝政…

  • 好きな百人一首紹介 ~Part4~

    お疲れ様です、スナフキンです。 以前自分の好きな百人一首の和歌を何作か紹介していたのですが、改めて詠み返してみると、その他にも魅力的な作品がいくつもあり、定期的に書き記していきたいと思いましたので、また再びご紹介していきたいと思います。 booklovers45.hatenablog.jp 眠れないほどおもしろい百人一首: あの歌に“驚きのドラマ”あり! (王様文庫) 作者:板野 博行 三笠書房 Amazon 今回の作者は、『古今和歌集』を編纂し、『仮名序』を著した大歌人、紀貫之の作品。 〈第35番〉 人はいさ 心もしらず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける (訳:人の心は変わりやすいものだ…

  • 読書感想:『アウシュヴィッツの地獄に生きて』

    お疲れ様です、スナフキンです。 本年一冊目の作品は、 『アウシュヴィッツの地獄に生きて』 という、強制収容所に収容され、その後生還したジュディス・S・ニューマン氏の回顧録を拝読させていただきました。 アウシュヴィッツの地獄に生きて (朝日文庫) 作者:ジュディス・S・ ニューマン 朝日新聞出版 Amazon 新年から戦争関連、特に強制収容所の筆舌に尽くしがたい現実を述べた本と言うのは、かなり精神的にも重たいものが有り、しっかり読むのにはかなりの体力が要ります。 しかしながら、決して目を背けてはいけない人類の歴史がそこにはあります。 ゆっくりとした時間が確保できるこの時期だからこそ、しっかりと読…

  • 本年もマイペースな自己投資ブログをよろしくお願いします。

    お疲れ様です、スナフキンです。新年あけましておめでとうございます。 早いもので、ブログを開設して今年で3年目になりました。 自分の読書や旅行、その他自分に関する学びの記録を記したとりとめのないブログですが、それでもここまで消さずに続いてきたので、まだまだこれからもマイペースに記事を書き続けていこうかなと思います。 昨年はあまり読書の冊数が多くはなく、もう少し本を読めばよかったかなと思っていましたので、今年はせめてその倍くらいの読書はしていきたいと思っています。 自己の目標は色々ありますが、基本的には前年度よりもパワーアップ、そして心身ともに若々しくいられる努力をして行きたいと思っています。 皆…

  • 読書感想:『ツリーハウス』

    お疲れ様です、スナフキンです。 今年最後の読書感想になりそうですが、今回は角田光代氏の 『ツリーハウス』 と言う小説を読ませていただきました。 ツリーハウス 作者:角田光代 文藝春秋 Amazon 夏の文庫フェアの時に、書店で面白そうだと手に取って途中まで読んで積読していた本だったのですが、年末少し落ち着いて読んでみようと思い、この度読了しました。 角田光代氏の小説では、過去に『八日目の蝉』を読んだことがありまして、登場人物の心理描写が絶妙で、感情移入しやすく面白いという記憶を持っていましたが、今回の作品もそうした心理描写を味わうことが出来る作品となっています。 また、それに加え本作では、第二…

  • 読書感想:『エッセンシャル思考』

    お疲れさまです、スナフキンです。 年末が近づき、かつ今年読んだ本が例年にかけて多くはないこともあって、積読にしていた本を現在引っ張り出して読んでいるところです。 読書の冊数を決して増やすことが目的でないにせよ、来年はもう少しまた読書のペースを増やしていければと思っています。 さて、今回ご紹介するのは、数年前のビジネス書大賞でも賞を受賞し、現在でも多くのビジネスマンに読まれている、シリコンバレーのコンサルティング会社CEOのグレッグ・マキューン氏著、 『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』 をご紹介したいと思います。 エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする 作者:グレッグ…

  • 読書感想:『名画で読み解く プロイセン王家12の物語』

    お疲れ様です、スナフキンです。 以前にも、名画に描かれた謎を読み解き、分かり易く説明してくださる中野京子氏の書籍を紹介したことがあるのですが、今回も書店で目に留まり、興味深く読ませていただいたので、また紹介したいと思います。 以前の本の紹介はこちら。 booklovers45.hatenablog.jp booklovers45.hatenablog.jp booklovers45.hatenablog.jp さて、本日紹介するのは、 『名画で読み解く プロイセン王家12の物語』 というシリーズ本。 名画で読み解く プロイセン王家 12の物語 (光文社新書) 作者:中野 京子 光文社 Amaz…

  • 読書感想:『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』

    お疲れ様です、スナフキンです。 今回は書店で目に留まった、脳科学者中野信子氏著、 『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』 の読書感想を書き記したいと思います。 世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた 作者:中野 信子 アスコム Amazon 世界で通用する「頭のいい人」とは、ただの秀才ではない。 最近のメディアでも有名な中野氏は、東大の大学院で医学博士を習得した後、フランス国立研究所にポスドクとして勤務し、世界中のたくさんの「頭のいい人」の姿を見てきたという。 そのような経験を経て、強く思ったことがあったと筆者は言う。 それは、逆境も自分の味方にして、し…

  • 読書感想:『わたしのマトカ』

    お疲れさまです、スナフキンです。 少し前のブログにも書きましたが、以前『パナソニック汐留美術館』で開催された、『サーリネンとフィンランドの美しい建築展』に伺うことがありました。 booklovers45.hatenablog.jp 今回の本は、その時にフィンランド関連の書籍として手に取った、 『わたしのマトカ』 という本をご紹介したいと思います。 わたしのマトカ 作者:片桐はいり 幻冬舎 Amazon 本書は俳優の片桐はいり氏が、荻上直子監督の『かもめ食堂』という、オールフィンランドロケの日本映画に出ることになった際、フィンランドでの出来事を自由奔放に書いたエッセイ。 国内外を問わず、旅行が好…

  • 読書感想:『怒らないコツ』

    お疲れ様です、スナフキンです。 先日、仕事におけるメンタルトレーニングの対策として、 『頭に来てもアホとは戦うな!』 という本を紹介しましたが、もう一つ書店で目に留まった本があったので、今回はそちらをご紹介したいと思います。 booklovers45.hatenablog.jp 今回紹介する本は、植西聰氏著 『怒らないコツ』 という本。 怒らないコツ 作者:植西聰 自由国民社 Amazon 不用意にイライラしたり、また怒ってしまうことで、人は簡単に、他者との関係が悪化する。 『怒る』ということは、その人の人生に色々な意味で悪い影響をもたらしてしまう。 心から発せられる『怒り』の感情、言い換えれ…

  • 読書感想:『頭に来てもアホとは戦うな!』

    お疲れ様です、スナフキンです。 本日は職場の先輩に勧められた本を紹介したいと思います。 どんな仕事でも、しんどいときや気が滅入る時はあると思います。 かくいう自分も、『どうにもこうにもしんどいと感じる相手』との対応でストレスを強く感じることが最近増えました。 そうした想定外の相手との対応の際、自分はどうしても気持ちがテンパってしまうのですが、正直そうしたぶれるメンタルをコントロールしたいなと、最近になり強く感じるようになりました。 そんな際に先輩から紹介されたのが、田村耕太郎氏の 『頭に来てもアホとは戦うな!』 と言う書籍。 頭に来てもアホとは戦うな! 作者:田村耕太郎 朝日新聞出版 Amaz…

  • 博多で藤井フミヤ展を鑑賞してきました。

    お疲れ様です、スナフキンです。 先日のお休み中、また遠くへ足を運ぼうと福岡博多の方へ旅行をしに行ってきました。 個人的に博多への訪問は2度目だったのですが、プライベートでゆっくりと満喫することが出来たのはこれが初めてです。 初日は太宰府天満宮へ参拝。荘厳な景色の下で、今後の学問分野での能力向上に対しての気持ちを述べてきました。 その後も九州国立博物館、筥崎宮、香椎宮などの場所に訪れたのですが、最後に訪れた場所がとても強烈に印象的で感動したので、今回はそのことについてブログを書こうと思います。 博多の中心地に、博多リバレインという商業施設があるのですが、その施設の中にある福岡アジア美術館で、 『…

  • 京都の嵯峨嵐山文華館に行ってきました。

    お世話になります。スナフキンです。 先日Twitterでも話したのですが、先週に遅めの夏休みを少し頂き、京都の方へ軽く個人的な旅行をしてきました。(※人ごみを避け、感染リスクを抑えた上での行動を行いました。) 個人的に縁があり、行きたいと思っていた神社仏閣もある程度回りましたが、古典好きの人間として、一度伺ってみたいミュージアムがあり、今回はそちらの方にも足を運ばせていただきました。 それが今回紹介する、京都嵐山にある、 『嵯峨嵐山文華館』 というミュージアムです。 www.samac.jp ここには常設展として、百人一首の展示物があります。 日本で一番有名な百人一首は『小倉百人一首』ですが、…

  • パナソニック汐留美術館『サーリネンとフィンランドの美しい建築展』の見学をしに行きました。

    ご無沙汰のブログとなってしまいました。 最近は本年もチャレンジしようかなと思っている歴史能力検定のため、毎日世界史の勉強を行っており、読書の頻度がかなり落ちてしまっているスナフキンです。 こうした時にも継続的にブログを更新している人々は凄いな、と思うのですが、今回は世界史学習にも繋がる、美術館巡りを行ってきました。 コロナ禍でなかなか外へ出歩くモチベーションもそがれてしまっていますが、可能な限り、自身が住んでいる都内巡りをしたいなと思っています。 今回は、汐留にある、 『パナソニック汐留美術館』 の展示を見学。 『サーリネンとフィンランドの美しい建築展』 というものが開催されていました。 pa…

  • 読書感想:『楊令伝』第三章

    大分間が空きましたが、自分の備忘録のためにも引き続き書いていきたいと思います。 ――――――― 【おことわり】 自分が現在継続して読み続けている、北方謙三氏の『楊令伝』の読書感想を書き記していく予定です。 『楊令伝』は前作『水滸伝』に引き続き、『岳飛伝』へと繋がる、『大水滸伝』シリーズの一つで、ストーリー背景を描写する上で、多少のネタバレが生じてしまいます。 有り難くも当該ブログをご覧いただく際には、その点をご理解いただけると幸いです。 楊令伝 三 盤紆の章 (集英社文庫) 作者:北方謙三 集英社 Amazon booklovers45.hatenablog.jp ――――――― 〈前回までの…

  • 読書感想:『医者が教えるサウナの教科書』

    最近ハマっている趣味の一つにサウナがあります。 昨今のブームもあり、ビジネスパーソンを中心に再度注目されているサウナですが、今回その魅力を科学的に探究したいと思い、この本を購入してみました。 医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか? 作者:加藤 容崇 ダイヤモンド社 Amazon 筆者は慶應義塾大学医学部特任助教で、日本サウナ学会の代表理事も務めている加藤容崇氏。 いわゆる『仕事が出来る人』にはサウナ好きが多く、本書には、そんなビジネスのパフォーマンスを上げる医学的根拠が書かれています。 こうした医学的根拠を基に、自分にとってベストな入り方をそれぞれ…

  • 読書感想:『月と六ペンス』

    言わずと知れたサマセット・モームの代表作。 現代文学だけでなく、古典文学も少しずつでも併行して読んでいこうと心がけています。 月と六ペンス (光文社古典新訳文庫) 作者:モーム 光文社 Amazon 本作は、実在の画家ゴーギャンをモデルにした、ストリックランドという画家が、地位や名誉を捨て、画を描くために人生をささげた生涯を描いた作品。 実際のゴーギャン自身も破天荒であったが、作品中で描かれるストリックランドも、非常に一般人には理解の出来ないような行動、言動を行い、正に『天才』を表象したかのような姿を露わにする。 ただ、光文社古典新訳文庫の巻末にある、松本朗氏(上智大学准教授)の解説によれば、…

  • 読書感想:『人間の器』

    自分が尊敬する読書家のひとり、丹羽宇一郎氏の新書を読みました。新書を出すスピードが非常に早く、いつまでも精力的な方だなあと本当に頭が上がりません。 過去にも著書を紹介していますが、今回は『人間の器』をテーマにしたものになっています。 ちなみに過去のブログはこちら。 booklovers45.hatenablog.jp booklovers45.hatenablog.jp -人を測る真の尺度は、自分に何の利益ももたらせない人を、その人がどう扱うかということである。 これはイギリスの文学者、サミュエル・ジョンソンの言葉として引用されていますが、人間として生まれてきたからには、自分の命を宿す器は大き…

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