『氷像』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 暑い夏の日。 マイクは、3歳になる娘のリタに、大きなクマの氷彫刻をプレゼントした。 冷たくてかわいらしいクマの氷彫刻に、リタは大はしゃぎだった。 置いておく場所がないので、クマの氷彫刻は庭のビニールプールに入れておいた。 しばらくして、マイクはお出かけしようと車を出したが、 リタは氷のクマがよほど気に入ったようで、そばを離れなかった。 仕方ないのでマイクは自分だけ車に乗り、デパートへ出かけた。 数時間後、あのビニールプールが6歳児以上用だったことを…

『シンデレラの絵』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ アカネの親友のリナが交通事故に遭って入院した。 頭を強く打ってなかなか意識が戻らず、アカネがお見舞いに行けたのは事故から3週間後のことだった。 リナの意識が戻らない間に、リナとアカネの小学校で演劇の発表会があった。 リナはその劇でシンデレラの役をするはずだったが、 結局、劇に出られなかったので、代わりの子がシンデレラをやることになった。 アカネは、きっとリナがそのことを残念がっていると思い、 お見舞いの時に、シンデレラの劇で主役を演じるリナの絵を描…

『催眠術』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ グレゴリーは催眠術にハマっていた。 催眠術の本を買って読み、自分も催眠術が出来るようになりたいと思っていた。 ある日グレゴリーは、自分にも催眠術が出来るかどうか、友達のアントンで試してみることにした。 「いいか、アントン。この振り子をよく見て。君は、 好物のミートボールが、大嫌いなカエルに見えるようになる！」 アントンは椅子に座り、グレゴリーが持っている振り子をじっと見つめた。 そして、うわあぁ！と悲鳴を上げた。 「机！机の上にカエル......！…

『見たら死ぬビデオ』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ セシリーはある日、部活の先輩にビデオをもらった。 「見たら死ぬビデオだってさ。部室を整理してたら出てきたんだ。 君こういうの好きだろ」 怖い話が好きなセシリーは喜んだが、一緒にいた友達のダリアは怖がった。 次の日、セシリー、ダリア、先輩の3人とも死んだ。 誰一人、ビデオを再生してはいなかった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ......意味は分かったかな？ セシリーが先輩にもらったビデオは、怖い話でよくある「見たら死ぬビデオ」。 ただひとつ他の怖い話と違う…

『海で見たもの』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 小学生のヨシフの一家は、夏休みを利用して海へ旅行に来ていた。 海は水色に澄んで、イルカがたくさん泳いでいた。 海を満喫し、夕方になってヨシフ達が海辺で休憩していると、 ヨシフの妹のゾーヤがスケッチブックと鉛筆を手に、日が沈む地平線を眺めて絵を描いていた。夕焼けの海で、イルカがジャンプしている。 「今日見たものを、形に残しておきたいから」 ゾーヤは言った。ヨシフは、 「すっごく上手だね！」と楽しそうに言った。 一家が旅行から帰ってくると、あの海で少女…

『大繁盛のスーパー』

はじめまして、わたしの名前はルー。 今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あるところに、とても繁盛しているスーパーがあった。 そのスーパーのレジ係は非常に手際がよく優秀で、 いつも人で大賑わいのスーパーなのに、レジが滞ることは一切なかった。 しかし、その中で特に優秀なレジ係のマリッサのレジカウンターに、 少し変な客がやって来るようになった。 その客は、レジでの全ての動作がとにかくモタモタしていた。 前の客の清算が終わってもなかなか買い物かごをレジに置かない、 商品をスキャンする直前で「やっぱりこれは買わない」といくつかの商品を棚へ戻しに行…

『ギロチン』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ エワの住む町に、有名な占い師がやって来た。 何でもその占い師は、人がいつ、どんな風に死ぬのかを占うことができるという。 占いが大好きなエワは、さっそく次の休日に占ってもらいに行くことにした。 そして当日。 エワは占い師の店の前の行列に並び、やがて名前を呼ばれて占い師のいる部屋に入った。 マントを羽織った暗い表情の老婆が、部屋の真ん中の椅子に腰かけている。 エワはわくわくしながら訊いた。 「私はどんな風に死ぬんですか？」 老婆はじっとエワをねめつけ、…

『お婆さんには黙っておこう』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 日本のお話。 医者の青年が、祖母に戦争の時代の話を聞いていた。 「当時、女性は従軍看護婦として野戦病院で兵士の治療をさせられたのよ。 病院には毎日たくさんの兵士が担ぎ込まれて、私たち看護婦は必死に治療に当たったわ。 戦争地にある病院だから、食べ物は毎日支給されるお豆腐だけ。 ひどい環境だったけれど、食べ物があるだけまだマシだったわ。 他の病院で働いていた友達は、2週間は飲まず食わずだったと言っていたから。」 少し懐かしむように、祖母は振り返った。 …

『○』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ リョウのもとにある日、差出人不明のメールが届いた。 「○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○」 何のことやら分からない。 次の日も、その次の日も、同じメールが届いた。 リョウはさすがに鬱陶しくなり、返信をした。 「うぜぇ！死ね」 すると、使っている携帯の機能で、その文章に自動的に規制が入ったものが表示された。 『うぜぇ！○ね』 リョウは、自分がずっと呪われていたことに気づいた。 （解説） 意味は分かったかな？ 「うぜ…

『いじめ』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆テレンティアは最近、娘のアンフィサの成績が心配だった。 小学校の低学年までは、学年で一番成績が良かったアンフィサだけど、 どうも最近、勉強に集中出来ないみたいで、成績が下がってきていた。 何度訳を訊いても、アンフィサは何も答えない。 勉強が嫌いというわけではないのに、一体どうしたのだろう。 テレンティアは買い物帰りの道を歩きながら考えていた。 道端で遊んでいたわたしは、テレンティアが通りかかったので教えてあげた。 「ねぇ、アンフィサが誰かにいじめられ…

『学校に通えない子ども達』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ リンマは、SNSを通じてボランティアをしている。 貧しい国の学校に通えない子ども達のために、 お金や衣類の寄付を集めたり、署名を募ったりするのが主な活動内容だ。 「学校に通えない子どもを1人でも減らすために、私にできることをしたいです」 リンマはフォロワーたちにそう言っていた。 ある日、「キフォー」というアカウントが、リンマの活動を支援してもいいかとメッセージを送ってきた。 リンマはお礼を伝え、活動への参加方法を教えた。 数日後、アフリカ大陸のある…

『初めてしゃべった言葉』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ヘナの第一児は、体の小さいいわゆる未熟児だった。 体に異常がないか調べるため、生まれたばかりのヘナの赤ちゃんは保育器に入れられ、 しばらく病院で様子を見ることになった。 赤ちゃんはそのまま10か月も病院にいたが、無事に退院した。 退院の日、ヘナは夫と共に病院へ行き、10か月ぶりに赤ちゃんをこの手に抱いた。 すると、生後10か月になった赤ちゃんは言葉を発した。 無邪気な笑顔でこう言ったのだ。 「しねくそガキ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ......意味は…

『意地悪な怪談』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「この話を聞いた人は、一週間以内に不幸になります。 ......ってやつ。怖い話とか都市伝説でよくあるじゃない？ あれってすっごく意地悪よね！ そんなこと言われたら嘘でも本当でも、一週間ずっと気持ち悪い思いをするのに。」 ミトリーは、高校の中庭で友人のクライヴに言った。 「どっちでもいいけど、そういうのって結局嘘だぜ、ミトリー。 だってその話を聞き手より先に知ってるはずの語り手は、特に不幸になんてなってないだろ。」 「分からないわよ、もう不幸になっ…

『豚となすびを炒めたもの』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげる。 今回のはすっごく短いよ。◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ イネッサが学校から帰ると、お母さんが晩ごはんを作っていた。 「なにを作っているの？」 「豚となすびを炒めたものよ」 お母さんが答える。 お母さんなんか大嫌いだ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ......意味は分かったかな？ 豚肉となすびを炒めた料理、とってもおいしそうだけど、 イネッサはきらいだったのかな？ ううん。だって、 お母さんが作っていたのは、「豚肉となすびを炒めた料理」じゃなくて、 生き物の「豚」となすびを炒めたもの。 生…

『絶対に見つけなさい！』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 小さな島に少年が住んでいた。 島には少年の家族の他に人はおらず、一家は毎日、沖でとれる魚を食べて生活していた。 ある日、少年の父が、大きくて立派な魚をたくさん持って漁から帰ってきた。 「すぐに丸焼きにするわね！」 少年の母は喜んで魚を料理し、家族に振る舞った。 少年は喜んで、丸焼きの魚を一匹、まるごと食べた。 その魚は、腹の中に1つの指輪を飲み込んでいた。 その指輪は、泥棒が船で国の外に逃げようとして、うっかり海に落としたものだった。 泥棒が指輪を…

『2人ずつ』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ある男が悪魔を呼び出した。 貧しいその男は悪魔に、金と食料が欲しいと願った。 『良いだろう。その代わりこれから一週間、1日に2人ずつ、俺に生け贄を差し出せ。 生け贄の人間は家の納屋に入れておくこと。 生け贄を用意できなかったらお前を殺す』 悪魔の要求は重すぎた。願いの取り消しを申し立てたが、悪魔はいまさら遅いと言った。 男は他にどうすることもできず、 男の12人の子どものうち一番下の2人をその日、納屋に入れておいた。 翌日、2人の子どもは泡を吹いて…

『難問』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 広大な砂漠で遭難したヤコブは、砂の中に1つの集落を見つけた。 そこに住む人々は皆、痩せこけた不健康そうな身体をしていたが、 ここで暮らせているということは、生活に必要な物資はあるはず。 3日ほど飲まず食わずだったヤコブは助かったと思い、 通りすがりの人に物資を分けてほしいと頼んだ。 「それなら、我々の長老の出す『問題』に答えてもらう。 長老は、その問題に答えられた者には褒美として望むものを何でもやるとおっしゃったが、 あまりの難問だったので、未だ誰…

『進化論』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 小学生のキールのクラスは、はっきり言ってできの悪いクラスだ。 テストはいつも学年最下位。やんちゃな子が多く、先生への態度も悪い。 キールは勉強が好きなので、他の子と違ってちゃんと授業を受けていた。 そんなキールのクラスに、2学期になって新任の先生が担任としてやって来た。 「はじめまして。突然だが、先生はダーウィンの進化論を強く信じているんだ。 生き物はみんな、未熟な姿から時間をかけてよりよい姿へと進化してきた。 みんなも進化論のように、今のできない…

『10010111111』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ マサルの妻は数学者をしている。 ある日、妻はマサルの顔を見てこう言った。 「10010111111」 それ以来、妻は時々、マサルの顔を見るとその言葉、 「10010111111」を口にするようになった。 マサルが妻の食器を落として割ってしまった時。 部屋の掃除をさぼった時。 出かけるときに電気をつけっぱなしにしていた時。 妻が「それ」を口にするのは、マサルに不満を抱いている時ではないかと思えた。 そんなある日、マサルは妻と大喧嘩をした。 原因はマサ…

『ひとりぼっちのドラゴン』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 森の奥の洞窟に、一匹のドラゴンが住んでいた。 生まれてから長い年月を狭い洞窟で1人で過ごしてきたドラゴンは、 友だちがほしかった。 ある日、洞窟の前を一匹のリスが通りかかった。 ドラゴンは笑顔で声をかけた。 「ぼくと友だちになって！」 けれどリスはドラゴンを見ると顔を真っ青にして、震えて逃げていった。 またある日、洞窟の前を一匹のウサギが通りかかった。 ドラゴンは笑顔で声をかけた。 「ぼくと友だちになって！」 けれどウサギも、ドラゴンを見るなり真っ…

『不真面目な部下』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「部下がこのところ毎日、平気で遅刻して来るんだ」 会社で部長を務めるポルフィリーは、困った顔で妻に相談をしていた。 「そうなの？...まあでも、少しくらいなら許してあげたら？ もしかしたら朝が弱い人なのかもしれないし」 「それが本人に訊いたら、特にそういう訳じゃないそうだ。 それに、遅刻だけじゃない。彼は仕事中や会議中にすぐ居眠りをするんだ。 この間の本部との合同会議でも居眠りしていて、先方から印象が悪かったと言われてしまった」 「まあ...それは…

『化け物』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ある町で、男が化け物を見たと言った。 「1つの体に2つ頭がある人間を見たんだ。本当だよ！あれは化け物だ！」 違う町で、女が化け物を見たと言った。 「まるで紙みたいにペラペラの人間がいたのよ！ それを見たのは、私が出産のために入院してた病室の隣だったわ」 また別の町で、子どもが化け物を見たと言った。 「口が裂けたお化けがいたよ。本当だよ、怖かったんだ」 別の国で、ある人が化け物を見たと言った。 「肌が黄色い化け物を見たよ。白か黒なら見たことがあるが、…

『紙芝居』

はじめまして、わたしの名前はルー。10歳の女の子だよ。今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ シュウゾウの入居している老人ホームに、紙芝居屋さんがやってきた。 紙芝居屋さんは「フランダースの犬」の紙芝居を見せてくれた。 次の日、一緒に紙芝居を見ていたシュウゾウの友達の老人が、部屋で凍死していた。 その日も紙芝居屋さんは、紙芝居を見せてくれた。 今度は「人魚姫」の紙芝居だった。 次の日、一緒に紙芝居を見ていたシュウゾウの別の友達が風呂場に行ったきり戻ってこなくなった。 まるで水にとけて消えたみたいだった。 その日も紙芝居屋さんは、紙芝居を見せ…